JPH0551205A - 炭素材料表層の黒鉛化度制御方法及び炭素材料の表面被覆方法 - Google Patents

炭素材料表層の黒鉛化度制御方法及び炭素材料の表面被覆方法

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JPH0551205A
JPH0551205A JP3211890A JP21189091A JPH0551205A JP H0551205 A JPH0551205 A JP H0551205A JP 3211890 A JP3211890 A JP 3211890A JP 21189091 A JP21189091 A JP 21189091A JP H0551205 A JPH0551205 A JP H0551205A
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JP
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carbon material
carbon
graphitization
silicon carbide
degree
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JP3211890A
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English (en)
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Kazuhiro Hasegawa
和広 長谷川
Masaru Sato
勝 佐藤
Susumu Nakai
進 中井
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目 的】 炭素材料の黒鉛化度の制御方法として、素
材原料の調製、又は成型後の熱処理方法の選定等がある
が、表面層を所望の黒鉛化度に制御することは容易でな
かった。 【構 成】 非酸化性雰囲気または酸化性雰囲気下で炭
素材料表面にレーザおよび/またはプラズマフレーム等
の高エネルギービームを照射して炭素材料表層の黒鉛化
度を制御する。そして炭素材料上に耐酸化性に優れた炭
化珪素皮膜を形成するときには、酸素分圧が 0.1〜100t
orr の雰囲気中で高エネルギービームの照射を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素材料表層の黒鉛化
性の制御を自由ならしめ、その反応性の制御を容易にす
るものであり、また本発明はそれを利用した炭素材料の
表面被覆方法に関し、更に詳述すれば炭素材料に被覆を
施してその耐酸化性を向上せしめ、宇宙飛行体等の構造
材、タービンブレードおよび原子炉用部材等、高温酸化
雰囲気において繰り返し使用に耐える材料を供給するこ
とを目的とした炭素材料の被覆方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】航空・宇宙技術の発展に伴い、その分野
で使用される材料への要求性能はますます厳しくなりつ
つある。また、人造黒鉛電極、放電加工用電極、黒鉛ブ
ラシ等、従来から炭素が利用されている分野において
も、その品質改善への要求は厳しい。
【0003】従来、炭素材料の黒鉛化度の制御方法とし
ては、原料(例えば、タールピッチ、炭素粉末等)をあ
らかじめ調製し、その後成型および焼成等の方法により
希望の炭素材料を得ようとする方法がほとんどである。
一旦得られた炭素材料の黒鉛化度の制御方法としては、
不活性ガス雰囲気下、該炭素材料を1000℃以上の高温で
処理することにより行われる。またこの方法が、一旦成
型された炭素材料を黒鉛化するほとんど唯一の方法であ
った。
【0004】しかしながら、あらかじめ改質された原料
を成型することにより、炭素材料の黒鉛化度を制御する
方法では、原料資源を有する部署においてしか実行不可
能であること、成型後の熱処理過程においても黒鉛化度
は変化することおよび原料の調製工程において大量処理
を行う場合、全量均質なものを製造することが困難であ
る、という問題点を有する。
【0005】また、得られた炭素材料を不活性ガス雰囲
気下において、1000℃以上の高温で処理する方法であれ
ば、出発原料を有しない部署においても実行可能である
が、半面使用できる電気炉が炭素電極を用いたものに限
られてくるため、不活性雰囲気下における処理しか行え
ない。その結果、炭素材料の黒鉛化を進行させることは
できても、逆にアモルファス化を促進することは困難で
あった。
【0006】また、アメリカのスペースシャトルに代表
される宇宙往還機においては、外表面の大部分が高強
度、高剛性の炭素繊維強化炭素複合材料(以下、C/C
複合材料という)からなり、その耐酸化性向上のために
種々の研究が行われている。本材料における従来の耐酸
化被覆方法としては、特開昭61-27248号公報に記載の方
法すなわちC/C複合材料に拡散反応法により炭化珪素
被覆を行い、その外表面に化学気相蒸着(CVD)法に
より窒化珪素皮膜を形成する方法が最も特徴的である。
この方法における拡散反応法とは、Si、 SiC、 Al2O3
らなるセラミックス粉末中にC/C複合材料を埋没させ
て加熱処理を施すことにより、C/C複合材料表層部を
SiCに転化させるものである。さらに、該皮膜上層部に
緻密な窒化珪素皮膜を形成して耐酸化性の向上を図って
いる。
【0007】また、特開平1−136962号公報には、耐熱
材料表面の前処理を行った後、該耐熱材料の表面をRe、
W、Ta、Hf、Zr、TiおよびNiから選ばれた高融点金属の
単層膜または多層膜で被覆する方法が開示されている。
しかしながら、特開昭61-27248号公報に記載された方法
では、外層として窒化珪素を使用しているため、使用可
能温度が1500℃と低く、しかも高温での強度低下が大き
いため、熱負荷の大きな部位への適用は困難である。ま
た、光学的異方性が大きくかつ黒鉛化度の高いピッチを
マトリックスとして用いたピッチ系C/C複合材料の場
合、活性サイトが従来の樹脂系C/C複合材料に比べて
少ないため、前記拡散反応法をそのままピッチ系C/C
複合材料に適用しても、ほとんどSiと炭素との反応は期
待できない。
【0008】つまりこの方法によれば、低黒鉛化性部位
がほとんどである熱硬化性樹脂をマトリックスとして使
用した樹脂系C/C複合材料では有効な拡散反応層を形
成することが可能であるが、高黒鉛化性部位が多いピッ
チ系C/C複合材料では、熱応力緩和層( SiC層)を形
成することができず、その結果その上部にCVD法によ
り形成される SiC皮膜は、わずかな熱負荷で破壊すると
いう問題点があった。
【0009】上述したように、この技術は概念こそすば
らしいものの、すべての材料に適用可能な方法とは言え
なかった。特開平1−136962号公報に記載された方法で
は、Re、W、Ta、Hf、Zr、TiおよびNiから選ばれた高融
点金属の単層膜または多層膜の形成を良好に行うために
表面調製を行うことが特徴的である。この表面調製は、
0.1torr以下の圧力で 100〜1500℃の温度で加熱して脱
ガスを行い、次いで1000〜2500℃の温度で加熱して表面
調製し、さらにスパッタリング、ショットピーニング等
により表面近傍を粗化するものである。ところで本方法
によれば、ピッチ系C/C複合材料の表面粗度は変化す
るものの、黒鉛化度の変化は期待できず、拡散反応法に
より2000℃以下さらに限定すれば主に1700℃前後で化学
反応を行わせる場合、有効な表面処理方法とはなり得な
かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、ま
ず炭素材料表層の黒鉛化度制御方法を提案し、次にそれ
を利用した耐酸化性に優れ高温酸化雰囲気においての繰
り返し使用に耐える炭素材料の表面被覆方法を提案する
ことを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、非酸化性雰囲
気または酸化性雰囲気下で炭素材料表面に高エネルギー
ビームを照射することを特徴とする炭素材料表層の黒鉛
化度の制御方法であり、望ましくは高エネルギービーム
としてレーザおよび/またはプラズマフレームを用いる
ことができ、またレーザを用いる場合、その出力が1kw
以上であることが望ましく、プラズマフレームを用いる
場合にはプラズマガンと炭素材料間の距離が 200mm以内
であることが望ましい。
【0012】また本発明は、酸素分圧が 0.1〜100torr
の雰囲気中で炭素材料表面に高エネルギービームを照射
した後、該炭素材料の表面を拡散反応法により炭化珪素
化し、さらに化学気相蒸着法により該炭化珪素上層部に
炭化珪素皮膜を形成することを特徴とする炭素材料の表
面被覆方法であり、望ましくは高エネルギービームとし
てレーザおよび/またはプラズマフレームを用いること
ができ、レーザを用いる場合、その出力が 1.0kw以上で
あることが望ましく、プラズマフレームを用いる場合に
はプラズマガンと炭素材料間の距離が 200mm以内である
ことが望ましい。
【0013】
【作 用】本発明において用いることのできる炭素材料
は、一般炭素材料、等方性黒鉛等の特殊炭素材料、C/
C複合材料等から用途に応じて選択される。このうち、
C/C複合材料は高温比強度に優れているため、高温構
造材としての利用価値が大きい。
【0014】本発明の炭素材料の表面改質方法として、
高エネルギービームであるレーザおよび/またはプラズ
マフレームを用いる。この高エネルギービームは単独で
用いてもよいし、複合してもよい。レーザを用いる場
合、その出力は1kw以上であることが望ましい。すなわ
ちレーザ出力が1kw以下であれば、炭素材料の表面温度
を1000℃以上にすることが事実上不可能だからである。
また、レーザ光をZnSeレンズで集光し、レーザ光のエネ
ルギー密度を高めることもできる。
【0015】プラズマフレームを用いる場合、炭素材料
とプラズマガンとの距離によって改質度合いが変化する
が、圧力が 760torrであればプラズマガンと炭素材料間
の距離は 100mm以内が好ましく、減圧になればなるほど
その距離は遠くてもよい。ただし、その距離は最大でも
200mm以内とすることが好ましい。すなわち、 200mm以
上の距離であれば、その位置におけるプラズマフレーム
の有するエネルギーは減少し、その結果、特に非酸化性
雰囲気下において炭素材料の改質が行われ難くなるから
である。 760torrにおいてプラズマガンと炭素材料間の
距離が 100mm以上であってもやはり、その位置における
プラズマフレームの有するエネルギーは小さく、炭素材
料の加熱が十分に行われない。その結果炭素材料の改質
が進行しないため好ましくない。
【0016】レーザおよび/またはプラズマを照射する
場合、その操作は真空チャンバー内で行うことが好まし
い。すなわち、大気雰囲気下で行った場合、酸化により
炭素材料が破壊されるからである。黒鉛化度を高めるた
めには、照射は10-2torr未満の減圧下または10-2torrに
減圧後Ar等の不活性ガスで置換した雰囲気で行うことが
必要である。すなわち、減圧操作を10-2torr以上で終え
た場合、雰囲気中に含まれる酸素により炭素の酸化が促
進され、その結果炭素の結晶構造を乱すからである。逆
に黒鉛化度を低下させるためには、酸素分圧が10-2torr
以上 300torr以下であることが好ましい。すなわち10-2
torr以下であれば、炭素材料表面の酸化はほとんど進行
せず、その結果黒鉛化性を低下させることはできない。
逆に酸素分圧が 300torr以上であれば、炭素材料の酸化
が急激に進行し破壊が起こるため好ましくない。
【0017】以上の方法により、炭素材料の改質を行う
ことができる。次に本発明の炭素材料の被覆方法につい
て述べる。C/C複合材料を製造する場合、マトリック
スとして使用可能な樹脂は、熱可塑性樹脂としてピッ
チ、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂、フラン樹脂、
エポキシ樹脂等が代表的なものとして挙げられる。この
なかでピッチは、1000℃以上の熱処理を施すと容易に黒
鉛化する。そのため、炭素繊維織布を基材にしたC/C
複合材料では、ピッチから得られたマトリックスは繊維
軸に直角方向に層状構造が発達し、その結晶子はフェノ
ールやフラン等の樹脂から得られたマトリックスの結晶
子に比べて大きい。その結果、ピッチを用いて作製した
C/C複合材料は極めて異方性が大きく、黒鉛化度が高
くなり、Siとの反応部(活性サイト)が少なくなる。そ
のため、従来からピッチ系C/C複合材料系の拡散反応
法によるSiC化は困難であった。本発明においては、炭
素材料の表面処理により活性サイトを増やすことが可能
なため、コールタールピッチ、石油系ピッチ等のピッチ
を成型及び含浸材料として自由に使用できる。
【0018】本発明においては、被覆工程において上記
の炭素材料表面にあらかじめ高エネルギービームを照射
して、黒鉛構造を変質させることが特徴である。高エネ
ルギービームとしてはレーザおよび/またはプラズマ溶
射を用いることができる。レーザ照射を行う場合に、出
力は1kw以上であることが望ましい。すなわち、出力が
1kwに満たない場合、レーザ照射位置の温度上昇はそれ
ほど期待できず、黒鉛構造の変化に必要なエネルギーを
供給できないからである。また、レーザ光のエネルギー
密度を高くするために、ZnSe等の集光レーザを用いても
よい。ただし、レーザ光を集光した場合照射面積が小さ
くなるため、試料全体に照射するには、移動ロボット等
により試料を移動させながら照射することが必要であ
る。炭素材料上へのレーザ光照射時間は、レーザ出力や
集光レンズを用いた場合の試料の位置(焦点からの位
置)によって左右されるため、一義的に決定することは
できないが、試料がレーザ光の焦点位置に無い場合、90
秒以上照射することが望ましい。それ以下であれば、試
料表面の改質に十分なエネルギーを試料に与えられない
ためである。試料がレーザ光の焦点位置にある場合、炭
素材は一瞬にして昇華するため、照射時間は1秒以上で
あれば十分である。
【0019】プラズマフレームを用いる場合、プラズマ
ガンと試料間の距離は 200mm以内が望ましい。すなわ
ち、それ以上の距離であれば、プラズマフレームの温度
が低下し、黒鉛構造の変化に必要なエネルギーを供給で
きないからである。また、プラズマフレームはそれ自体
のエネルギー密度は低く、またフレームの中心部と外周
部では温度差が激しいため、少なくとも 180秒以上炭素
材料に照射することが望ましい。それ以下では、試料が
十分に加熱されず、改質に必要な温度に達しないためで
ある。
【0020】炭素材料表面に高エネルギービームを照射
する場合、酸素分圧が 0.1torrから100torrである雰囲
気下で行うことが好ましい。すなわち 0.1torr未満であ
れば、炭素材料表面の黒鉛化度を改質するのに十分な酸
素が供給されないため好ましくなく、逆に 100torr超で
あれば高エネルギービームを照射した場合、炭素材料の
劣化が急速に進行し破壊に至るため好ましくない。
【0021】上述の方法によって得られた表面改質され
たC/C複合材料は、通常のピッチをマトリックスとし
て用いたものに比べて、他元素との反応性に優れている
ため、耐酸化被膜の一手法である拡散反応法において
も、特別な条件を設定することなく反応層を形成するこ
とができる。すなわち、特開平1−316098号公報に開示
されたような簡便な方法によって反応層を形成できるの
である。拡散反応法の代表的なものは、金属シリコンを
含むセラミックス粉末中に炭素材料を埋没させ、1500℃
から1950℃の温度で30分から 300分間反応させる方法、
SiOを発生する原料粉末例えばコークスと二酸化珪素の
等モル混合物上部に炭素材料を置き、1600℃から2000℃
の温度で5分から 300分反応させる方法などが挙げられ
る。
【0022】拡散反応法によって得られた炭化珪素改質
層上部には、さらに化学気相蒸着法(CVD法)により
緻密な炭化珪素被覆を行う。すなわち、拡散反応法によ
り得られた炭化珪素改質層は多孔質であり、それだけで
は1500℃以上の高温下において十分な耐酸化皮膜とはな
らないからである。CVD法による炭化珪素の被覆は最
も一般的に行われており、しかも緻密な皮膜が得られる
ことが特徴的である。その具体的方法としては、例えば
四塩化珪素、メタン、水素、アルゴンの混合気体(体積
比1:1:5:1)を50mmHgから400mmHg、 900℃から1
300℃の温度で20分から 900分反応させることにより得
ることができる。但し、CVDの反応条件は、析出させ
る炭化珪素の結晶構造、用いる原料ガスの種類等によっ
て非常に異なるため、必ずしも上述の反応条件に限定さ
れるものではない。
【0023】以上の方法により、炭素材料の耐酸化性は
飛躍的に改善され、かつ急激な熱サイクル負荷によるC
VD皮膜の剥離もなくなる。
【0024】
【実施例】
実施例1、2 基材となるC/C複合材料は、以下の手順によって作製
した。二次元炭素繊維織布(使用糸:PAN系高弾性炭
素繊維、1K8HS)を 300×300 mmに切断し、12枚積
層して多孔板に挟んだ後、含浸槽に装入した。その後、
220℃に溶融したコールタールピッチ(軟化点85℃、ベ
ンゼン不溶分31.2%、キノリン不溶分 0.1%未満、測定
方法はJIS K 2325に従った)を5mmHgの真空下において
含浸槽に注入し、炭素繊維織布に含浸させた。引き続
き、常圧下窒素ガス雰囲気中、昇温速度 200℃/hrで、
炭素繊維織布をピッチに浸したまま 600℃まで加熱し、
さらにこの温度で1hr保持した。次いで含浸槽より成型
体を取り出した後、アルゴンガス雰囲気下 300℃/hrの
昇温速度で2400℃まで加熱し、さらにこの温度で2hr保
持し、C/C基材を得た。このC/C基材にコールター
ルピッチ〔軟化点 208℃(この測定はフローテスターで
行った)、ベンゼン不溶分42.0%、キノリン不溶分 0.1
%以下〕を3mmHgの真空下 310℃で含浸した後、この成
型体を常圧下窒素ガス雰囲気で20℃/hrの昇温速度で10
00℃まで炭化処理した。次いで、 300℃/hrの昇温速度
で、アルゴン雰囲気中2400℃まで昇温し、さらにこの温
度で2hr保持した。この含浸−再炭化処理−再黒鉛化処
理を合計4回繰り返し、嵩密度1.76g/cm3 、曲げ強度
35.8kg/cm2 の高強度C/C複合材料を得た。
【0025】上記方法によって得られたC/C複合材料
を50×50mmに切断し、真空チャンバーに装入し、10-3to
rrまで減圧した。その後、レーザ出力を 1.5kw(実施例
1)、3kw(実施例2)にしてC/C複合材料に照射し
た。照射時間は60秒とした。以上の方法によって得られ
たC/C複合材料をラマン分析にかけ、その黒鉛化性を
評価した。
【0026】結果をレーザ照射を行わなかった未処理材
と併せて表1に示す。 実施例3 実施例1によって得られたのと同様のC/C複合材料を
真空チャンバーに入れ、プラズマガンから 100mmの距離
に置いた後10-3torrまで減圧した。その後、プラズマ出
力を28kw(冷却水に奪われる熱量を引けば、実際溶射に
使用されるのは約12kw)にし、C/C複合材料に照射し
た。照射時間は各面10分とした。このようにして得られ
たC/C複合材料をラマン分析にかけ、その黒鉛化性を
評価した。
【0027】結果を表1に示す。 実施例4 実施例1で用いたのと同様のC/C複合材料を真空チャ
ンバーに入れ、10-1torrに減圧した後、空気を導入して
10torrにした。その後、レーザ出力 1.5kwにしてC/C
複合材料に3秒間照射した。このようにして得られたC
/C複合材料をラマン分析にかけ、その黒鉛化性を評価
した。
【0028】結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】実施例5 基材となる炭素繊維強化炭素複合材料は、以下の手順に
よって作製した。二次元炭素繊維織布(使用糸:PAN
系高弾性炭素繊維、1K8HS)を 300×300 mmに切断
し、12枚積層して多孔板に挟んだ後、含浸槽に装入し
た。その後、 220℃に溶融したコールタールピッチ(軟
化点85℃、ベンゼン不溶分31.2%、キノリン不溶分 0.1
%未満、測定方法はJIS K 2325に従った)を5mmHgの真
空下において含浸槽に注入し、炭素繊維織布に含浸させ
た。引き続き、常圧下窒素ガス雰囲気中、昇温速度 200
℃/hrで、炭素繊維織布をピッチに浸したまま 600℃ま
で加熱し、さらにこの温度で1hr保持した。次いで含浸
槽より成型体を取り出した後、アルゴンガス雰囲気下 3
00℃/hrの昇温速度で2000℃まで加熱し、さらにこの温
度で2hr保持し、C/C基材を得た。このC/C基材に
コールタールピッチ〔軟化点 208℃(この測定はフロー
テスターで行った)、ベンゼン不溶分42.0%、キノリン
不溶分 0.1%以下〕を3mmHgの真空下 310℃で含浸した
後、この成型体を常圧下窒素ガス雰囲気で20℃/hrの昇
温速度で1000℃まで炭化処理した。次いで、 300℃/hr
の昇温速度で、アルゴン雰囲気中2000℃まで昇温し、さ
らにこの温度で2hr保持した。この含浸−再炭化処理−
再黒鉛化処理を合計5回繰り返し、嵩密度1.76g/cm
3 、曲げ強度35.8kg/cm2 の高強度C/C複合材料を得
た。
【0031】上記方法によって得られたC/C複合材料
を50×50mmに切断した後、真空チャンバーに装入し、10
-3torrまで減圧した。その後空気を導入して5torrに
し、レーザ出力3kwにして前記C/C複合材料に照射し
た。レーザ光は、ZnSeレンズ(f= 600mm)で集光し、
C/C複合材料はレーザ光の焦点位置から100mm遠方に
置いた。照射時間は 120秒とした。この後、ラマン分析
によってその黒鉛化性を評価した。上記の方法によって
表面改質C/C複合材料を、高純度コークスと二酸化珪
素の等モル混合物の入った黒鉛容器に入れ、Arガス10l
/min 流通下1850℃で60分反応させることにより、該炭
素材料表層部を炭化珪素に転化させた。 SiC転化層の膜
厚は、EPMAによって求めた。さらに、CVD法によ
り SiC被覆を行った。反応条件は、メチルトリクロロシ
ランを30wt%含有する水素ガスを12l/min 反応室に送
り、反応温度1200℃、圧力15torr、保持時間10hrで平均
膜厚100μmの SiCを形成した。
【0032】以上の方法によって得られた耐酸化性C/
C複合材料を、40kw横型電気炉に入れ、空気雰囲気下室
温から1500℃まで60分で昇温し、その温度で30分間保持
し、さらに室温まで放冷する空気酸化試験を繰り返し行
った。その結果を表1に示す。 実施例6、7 実施例5で得たのと同様のC/C複合材料を50×50mmに
切断して真空チャンバーに装入し、10-3torrまで減圧し
た。その後空気をそれぞれ50torr、90torrになるまで導
入し、試料は実施例5と同様の位置に保持し、レーザ光
(出力3kw、ZnSeレンズによる集光あり)を90秒照射し
た。その後、実施例5と同様の方法で拡散反応層、CV
D層を形成した。酸化試験(実施例5と同様)の結果を
表2に示す。
【0033】実施例8 実施例5で得たのと同様のC/C複合材料を50×50mmに
切断して真空チャンバーに装入し、10-3torrまで減圧し
た。その後空気を導入して 100torrにした。プラズマ出
力を 800A、35Vに設定し、プラズマガンとC/C複合
材料間の距離を250mmにした後、プラズマフレームをC
/C複合材料に照射した。照射時間は 240秒とした。そ
の後、実施例5と同様の方法で拡散反応層、CVD層を
形成した。酸化試験(実施例5と同様)の結果を表2に
示す。
【0034】比較例1 実施例5で得たのと同様のC/C複合材料を50×50mmに
切断して真空チャンバーに装入し、10-3torrまで減圧し
た。その後空気を導入して 300torrにした。レーザ光焦
点に対する試料位置は実施例5と同様にした。試料にレ
ーザ光(出力3kw)を90秒照射したところ、試料表面は
激しい煙を出して燃えた(試料表面には深さ4mm程度の
溝が掘れていた)。
【0035】比較例2 実施例5で得たのと同様のC/C複合材料をそのまま、
実施例5と同様の拡散反応処理およびCVD処理し、酸
化試験を行った。その結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】炭素材料は、その処理条件によって黒鉛
化度が変化する材料である。黒鉛化度が高いほど耐酸化
性が増し、また他元素との反応性が低下する。ところ
で、使用目的によっては、炭素材料と他元素との反応性
の向上が必要になる場合があり、その際炭素材料の黒鉛
化度を低下させることにより、反応性を向上させること
が可能になる。本発明によれば、炭素材料の黒鉛化度を
自由にかつ短時間で調製できるため、種々の反応性や化
学特性を有する炭素材料の製造が可能になる。
【0038】また、特にピッチをマトリックスとして用
いたC/C複合材料は、反応の活性サイトが少なく、拡
散反応法によってSiとの反応が十分に起こらなかった。
その結果、拡散反応の後CVD被覆を行っても、十分な
熱応力緩和層が形成されていないため、熱サイクル試験
において皮膜が容易に剥離していた。また、炭素材料自
体に関しては、黒鉛化度を向上させるための研究は行わ
れても、それを低下させる研究は全く行われていなかっ
た。そのうえ、酸素存在下、高エネルギービーム照射を
行うことにより炭素材料の黒鉛化度を部分的に低下させ
る、又は官能基を導入して活性サイトを増やすという簡
便な手法により炭素材の反応性が向上するという事実
は、全く新規に見出されたものである。
【0039】黒鉛化性の高い材料への被覆において、本
発明の方法を適用すれば、従来困難を極めていた拡散反
応被覆が可能になるため、C/C複合材料の利用分野が
飛躍的に拡大することが期待される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非酸化性雰囲気または酸化性雰囲気下で
    炭素材料表面に高エネルギービームを照射することを特
    徴とする炭素材料表層の黒鉛化度の制御方法。
  2. 【請求項2】 高エネルギービームとしてレーザおよび
    /またはプラズマフレームを用いることを特徴とする請
    求項1記載の炭素材料表層の黒鉛化度制御方法。
  3. 【請求項3】 レーザ出力が1kw以上であることを特徴
    とする請求項2記載の炭素材料の黒鉛化度制御方法。
  4. 【請求項4】 プラズマガンと炭素材料間の距離が 200
    mm以内であることを特徴とする請求項2記載の炭素材料
    の表層の黒鉛化度制御方法。
  5. 【請求項5】 酸素分圧が 0.1〜100torr の雰囲気中で
    炭素材料表面に高エネルギービームを照射した後、該炭
    素材料の表面を拡散反応法により炭化珪素化し、さらに
    化学気相蒸着法により該炭化珪素上層部に炭化珪素皮膜
    を形成することを特徴とする炭素材料の表面被覆方法。
  6. 【請求項6】 高エネルギービームとしてレーザおよび
    /またはプラズマフレームを用いることを特徴とする請
    求項5記載の炭素材料の表面被覆方法。
  7. 【請求項7】 レーザ出力が 1.0kw以上であることを特
    徴とする請求項5記載の炭素材料の表面被覆方法。
  8. 【請求項8】 プラズマガンと炭素材料間の距離が 200
    mm以内であることを特徴とする請求項5記載の炭素材料
    の表面被覆方法。
JP3211890A 1991-08-23 1991-08-23 炭素材料表層の黒鉛化度制御方法及び炭素材料の表面被覆方法 Pending JPH0551205A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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