JPH0550830B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明は、正の抵抗−温度係数（PTC）特性
を有する自己温度制御性ヒータに関するものであ
る。 ［従来の技術］ 結晶性熱可塑性樹脂に金属粉末、カーボンブラ
ツク、グラフアイト等の導電性付与剤を１種また
は２種以上分散させてなるPTC特性を有する組
成物からなる抵抗体を一対の電極間に設けてなる
自己温度制御性ヒータは、省エネルギー型ヒータ
として応用分野が広がりつつある。 架橋ポリビニリデンフルオライドは、PTC特
性を示す組成物を得るための優れた樹脂である。
ポリビニリデンフルオライドは、その融点近傍お
よびそれより上の温度において優れた熱的、化学
的および機械的安定性を有する。 しかし、ポリビニリデンフルオライドからなる
PTC組成物が約110Vよりも大なる電圧を受ける
と、これらの抵抗はその電圧に依存する速度で非
可逆的に増加する。 かかる電圧に依存する抵抗の増加を改善するた
めに、ポリカルボン酸のアリルエステル、ビスマ
レイミドまたはトリスマレイミド、多価アルコー
ルのアクリル酸またはメタクリル酸エステル、ポ
リカルボン酸のビニルエステル、多価アルコール
のアリルもしくはビニルエーテル、またはビスア
クリルアミドなどのモノマを添加することが特開
昭52−19746号に記載されている。 ［発明が解決しようとする問題点］ しかし、多価アルコール誘導体は熱安定性に劣
り加工中に重合してしまう欠点を有しており、ポ
リカルボン酸誘導体も熱安定性、樹脂との相溶性
に劣り、実用化できないことが明らかとなつた。
また、トリアリルシアヌレートやトリアリルイソ
シアヌレートについても検討したが、これらのモ
ノマは比較的良好な熱安定性および樹脂との相溶
性を有し、ある程度改善された電圧安定性を与え
るものの、樹脂組成物を高温（例えば220℃以上）
で成形した場合には電圧安定性与えないことがら
明らかになつた。 本発明は上記に基づいてなされたものであり、
優れた電圧安定性を有する自己温度制御性ヒータ
の提供を目的とするものである。 ［問題点を解決するための手段］ 本発明の自己温度制御性ヒータは、電極間に、
(a)式−CH₂CF₂−の繰り返し単位を含む結晶性熱
可塑性樹脂、(b)導電性カーボンブラツク、および
(c)トリス（アクリロイルオキシエチル）イソシア
ヌレートまたはトリス（メタクリロイルオキシエ
チル）イソシアヌレートを含有する組成物からな
る抵抗体が設けられ、この抵抗体は架橋されてい
ることを特徴とするものである。 本発明において、(a)成分としての式−CH₂CF₂
−の繰り返し単位を含む結晶性熱可塑性樹脂とし
ては、ポリビニリデンフルオライド、エチレンと
テトラフルオロエリレンのコポリマ、ビニリデン
フルオライドと少なくとも１個の共重合可能なエ
チレン性不飽和コモノマとのコポリマ、エチレン
とモノクロロトリフルオロエチレンのコポリマな
どがあげられる。 (b)成分の導電性カーボンブラツクとしては、フ
アーネスブラツク、アセチレンブラツク、ケツチ
エンブラツクなどから選ぶことができる。(a)，
(b)，(c)の三成分中におけるカーボンブラツクの含
有量は、４〜20重量％が好ましい。 また、(c)成分のモノマの含有量は１〜15重量％
が好ましく、１重量％未満では電圧安定性を得る
ことが難しく、15重量％以上添加しても電圧安定
性の効果は横ばいとなり、組成物の可撓性を損な
う欠点が生じ傾向にある。 この他に必要に応じて炭酸カルシウムなどの酸
受容体、安定剤、難燃剤、加工助剤等を含有させ
てもよい。 上記各種成分からなる組成物は、銅線などから
なる２本の平行電極上に押出成形されて抵抗体が
形成され、その外周に絶縁体が設けられてから電
子線などの電離性放射線の照射により架橋され
る。 ［実施例］ 第１図は本発明の自己温度制御性ヒータの一実
施例の断面説明図であり、１は電極、２は抵抗
体、３は電極である。 電極１として0.26mmφのニツケルメツキ銅線を
19本撚合せた撚線を用い、これを２本平行に並べ
た外周に第１表の各例に示す配合成分からなる抵
抗体２を形成した。 抵抗体２の形成に際しては、第１表の各配合成
分をドライブレンドした後に50mm２軸押出機で混
練してペレツトに押出し、このペレツトを押出機
に導入して260℃の温度で電極１の外周に押出被
覆した。更に、抵抗体２の外周にエチレン−テト
ラフルオロエチレンコポリマを0.5mmの厚さに押
出して絶縁体３を形成し、続いて高エネルギの電
子線で20Mradの線量を照射して架橋した。

【表】 各例の自己温度制御性ヒータについての初期抵
抗、およびAC300Vの電圧を印加し、所定時間経
過ごとの室温における抵抗値の測定結果を第２図
に示す。 また、各例の自己温度制御性ヒータの電極近傍
での発泡の有無および架橋状況につて評価した結
果を第２表に示す。 電極近傍の発泡の有無は、ヒータを解体して目
視により判定し、架橋状況はジメチルホルムアマ
イドで110℃、24時間抽出した後の不溶分［％］
を測定した。

【表】 トリアリルイソシアヌレートを含む比較例２で
は電極近傍での発泡が見られ、十分に電極と接触
してないことが認められた。 実施例１および２では、電極近傍での発泡が見
られず、またトリス（アクリロイルオキシエチ
ル）イソシアヌレートおよびトリス（メタクリロ
イルオキシエチル）イソシアヌレートの高度な熱
安定性とすぐれた架橋機能により、長時間の電圧
安定性を示すものと推察される。 ［発明の効果］ 以上説明してきた通り、本発明によれば長時間
にわたつて優れた電圧安定性を有する自己温度制
御性ヒータを実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の断面説明図、第２
図は各例におけるヒータの300V課電における時
間に対する抵抗の変化を示すグラフである。 １……電極、２……抵抗体、３……絶縁体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電極間に、(a)式−CH₂CF₂−の繰り返し単位
   を含む結晶性熱可塑性樹脂、(b)導電性カーボンブ
   ラツク、および(c)トリス（アクリロイルオキシエ
   チル）イソシアヌレートまたはトリス（メタクリ
   ロイルオキシエチル）イソシアヌレートを含有す
   る組成物からなる抵抗体が設けられ、この抵抗体
   は架橋されていることを特徴とする自己温度制御
   性ヒータ。