JPH05506B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、肖像写真あるいは絵、文字などの表
示体が取り付けられた石碑に関する。

（従来の技術） 墓石、墓誌などは、通例、石材の表面を刻設し
て文字などを表現するようにしているものである
が、碑面にさらに肖像写真などが取り付けられる
ようにしたものも考案されている。本発明者も、
肖像写真等を取り付けた石碑について先に出願し
た（実願昭62−51460号）。この石碑は、写真、絵
などの表示物の少なくとも表面側にガラス等の透
明な材料を密着させ、この透明な材料を密着した
表示体を石碑等の表面に設けた凹部内に嵌着して
成るものである。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、上記の表示体は、写真、絵など
をそのまま使用しており、また表面の保護板とし
て透明なガラス板を使用しているため、長時間に
わたつて外光にさらしておくと褪色が生じ、初期
の品質を保持し得なくなる。すなわち、従来の表
示体では経年変化にたいする耐久性が不十分であ
るという問題が判明した。

墓石など一般の石碑は戸外に設置されるもので
あり、雨風等の自然環境に常時さらされている。
したがつて、長年月にわたつて表示物の品質を維
持するためには、品質を劣化させないための十分
な方策をたてる必要がある。石碑等に肖像写真を
設置するような場合は、とくに、褪色等の品質の
劣化が起こらないことは絶対の条件となる。これ
らの条件からみると、従来の表示体は、いまだ十
分に満足できるものとはいえない。また、墓石等
に用いる製品としては、長期間にわたつて設置し
ても品質を劣化させないという一定の使用上にお
ける安全度が要求される。

そこで、本発明は上記問題点を解消すべくなさ
れたものであり、その目的とするところは、肖像
写真などの表示内容が簡単に表示できると共に、
設置期間が長年月にわたつても、品質を劣化する
ことのない表示体が設置された石碑を提供しよう
とするものである。

（課題を解決するための手段） 本発明は上記目的を達成するため次の構成をそ
なえる。

すなわち、墓石、墓誌等の石材に、肖像写真、
絵、文字等の所要の表示内容を表示した表示体が
取り付けられた石碑において、前記表示体が、肖
像写真、絵、文字等の表示内容を耐紫外線インク
を用いて、プラスチツクシートによつて形成した
表示シートに印刷して表示し、該表示シートの表
示内容の印刷面上に、紫外線で硬化する接着剤を
介して、表示シートに接着される面に紫外線の透
過を抑制するコーテイング処理を施したガラス等
の透明板からなる表面保護板を密着し、表示シー
トの裏面に、表示シートの裏面を遮蔽して保護す
る裏面保護板を接着し、一体的に接着された前記
表面保護板、裏面保護板および表示シートの周側
面全体と、裏面保護板の裏面に、表示シートを外
気からシールすべく保護用塗料を塗布して成るこ
とを特徴とする。

（作用） 表示シートに表示された表示内容は、表面保護
板から透視される。表示シートは表面保護板と裏
面保護板によつて保護され、また、保護被膜によ
つてシールされていることによつて、外気あるい
は雨水の侵入などが防止される。プラスチツクシ
ートから成る表示シートには耐紫外線用印刷イン
クを用いて表示内容が印刷され、表面保護板には
紫外線の透過を抑制するコーテイング処理が施さ
れているから、表示内容が変質することが極力抑
えらる。また、紫外線硬化用の接着剤を用いるこ
とによつて、さらに耐久性を高めている。

（実施例） 以下本発明の好適な実施例を添付図面に基づい
て詳細に説明する。

第１図は、本発明に係る石碑に用いる表示体の
一実施例を示す斜視図、第２図は断面図を示す。

図で１０は表示体の表面を保護する表面保護板
である。この表面保護板１０は後述する表示シー
トの表面を保護するものであるが、表示シートに
表示された肖像、絵、文字等を透視できるよう透
視ガラス等の透明材によつて板状に形成する。実
施例では、楕円形に形成している。また、この表
面保護板１０は表示シートに光が照射されて表示
シートに表示された表示内容が極力変色しないよ
うにするため、偏光ガラス板のように透過光量を
抑制する素材を用いると好適である。この他、着
色した透明材を用いてもよい。また、透明材とし
てはガラス板の他各種合成樹脂素材等が利用でき
る。

また、表面保護板１０の表示シートと密着する
側の表面には紫外線の透過を抑制するコーテイン
グ部を設ける。このコーテイング部１２は蒸着等
の手段によつて可視光を透過し紫外線の透過を抑
制するフイルタを形成するものである。

１４は表示体の裏面を保護する裏面保護板で、
実施例では前記表面保護板１０と同サイズの楕円
形に形成したガラス板を用いた。

１６は前記表面保護板１０および裏面保護板１
４の間に挟まれて接着剤によつて一体に貼着され
た表示シートである。この表示シート１６は肖像
写真あるいは所要の絵、文字などを表示したもの
である。表示シート１６は長期間にわたつて変色
等の変化を生じさせないため、シート材としてプ
ラスチツクシートを用い、これに肖像写真等の表
示すべき内容を印刷して形成する。印刷する際に
は、表示内容が外光にさらされても変色をきたさ
ないように耐紫外線用の印刷インクを用いて行
う。

プラスチツクシートは、通常の写真などに用い
られている基材と比較して、はるかに熱に強く、
また外部環境変化にたいする耐久性が優れている
という特徴がある。また、通常の写真などでは光
があたると、わずかの期間のうちに褪色などの変
化を生じるが、上記のようにプラスチツクシート
に印刷して表示し、さらに、耐紫外線用インクを
用いて印刷することにより、外光の影響による経
年変化をきわめて低く抑えることができる。

なお、前記表示シート１６は接着剤１８を介し
て表面保護板１０および裏面保護板１４との間に
挟着するが、ここで用いる接着剤も、外光が照射
されることによる経年変化を抑えるため、紫外線
によつて硬化する接着剤を用いる。表示シート１
６を貼着する際には、表示シート１６と表面保護
板１０との間に空気が封入されないように、完全
に貼着する必要がある。空気が封入されたり貼着
が完全でなかつたりすると、表示内容の品質の劣
化を招く。表示シート１６との密着性を良好にす
るため、表面保護板１０および裏面保護板１４は
所定の平坦度を有しているものを使用するのがよ
い。

２０は表面保護板１０、裏面保護板１４および
表示シート１６を一体に接合した後、表示体の周
側面および裏面全体にわたつて形成したシール用
の保護被膜である。この保護被膜２０は表示体内
に外気や雨水、ほこりなどが侵入しないようにシ
ールして保護するものである。実施例では光散乱
を抑える目的も兼ねて、黒色の熱硬化性の塗料を
用いて保護被膜２０を形成した。なお、この被膜
は墓石、石碑などに上記表示体を設置した際に、
石材との間での緩衝材としても作用する。

第３図は、上記のように構成された表示体を石
碑に設置した様子を示す説明図である。上記表示
体を設置する際は、石材２２に表示体が収容でき
る深さの凹部を形成し、凹部内に表示体を接着固
定する。これにより、石碑の表から、表面保護板
１０をとおして表示シートに表示された肖像写真
等の表示内容を透視することができる。表面保護
板として偏光ガラス体を用いた場合は、外光を一
部遮断するため表示内容はやや暗く透視されるよ
うになる。

上記表示体は、たとえば、墓石に故人の肖像を
表示する場合などに好適に用いることができる。
墓石に用いる場合は、肖像などが長年月にわたつ
て変質しない耐久性がとくに要求されるが、上述
した表示体は、耐紫外線用の印刷インクを用いた
印刷によつて表示内容を表しており、また、表面
保護板に紫外線の透過を抑制する処理を施してい
るから、外光による褪色にも十分に耐えることが
でき、、外気、雨水等の外部環境に対する耐久性
も十分である。

なお、前記表示体の取り付け位置あるいは取り
付け対象物はとくに限定されるものではなく、墓
石の他に墓誌あるいは種々の石碑などに取り付け
ることができる。また、表示体の形状あるいはサ
イズなども適宜に設定でき、表面保護板、裏面保
護板、表示シート等も種々の材質のものが使用で
きる。また、表示体に表示する内容も肖像写真の
他、所要の文字等を表示することも自由に行うこ
とができる。

以上、本発明について好適な実施例を挙げて
種々説明したが、本発明はこの実施例に限定され
るものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内
で多くの改変を施し得るのはもちろんのことであ
る。

（発明の効果） 本発明によれば、上述したように構成したこと
により、所要の肖像写真などが表示された表示体
が取り付けられた石碑を容易に提供することがで
きる。また、表示シート、表面保護板等の構成に
より、外光とくに紫外線等から表示内容を効果的
に保護することができ、表示内容を変質させるこ
となく長年月にわたつて良好な状態で維持するこ
とができるとともに、外気、雨水等の外部環境に
よつて表示内容の品質を劣化させることがない高
い信頼性および耐久性が得られる等の著効を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明に係る石碑に用い
る表示体の一実施例を示す斜視図および断面図、
第３図は表示体の取り付け状態を示す説明図であ
る。 １０……表面保護板、１２……コーテイング
部、１４……裏面保護板、１６……表示シート、
１８……接着剤、２０……保護被膜、２２……石
材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 墓石、墓誌等の石材に、肖像写真、絵、文字
   等の所要の表示内容を表示した表示体が取り付け
   られた石碑において、 前記表示体が、 肖像写真、絵、文字等の表示内容を耐紫外線イ
   ンクを用いて、プラスチツクシートによつて形成
   した表示シートに印刷して表示し、 該表示シートの表示内容の印刷面上に、紫外線
   で硬化する接着剤を介して、表示シートに接着さ
   れる面に紫外線の透過を抑制するコーテイング処
   理を施したガラス等の透明板からなる表面保護板
   を密着し、 表示シートの裏面に、表示シートの裏面を遮蔽
   して保護する裏面保護板を接着し、 一体的に接着された前記表面保護板、裏面保護
   板および表示シートの周側面全体と、裏面保護板
   の裏面に、表示シートを外気からシールすべく保
   護用塗料を塗布して成ることを特徴とする石碑。