JPH0550633B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この発明はガス及び流体等の流路切替え用電磁
弁に関し、詳しくは電動機の原理によつて得られ
るトルクを利用して回動弁を回動させることによ
り流動体の流路の切替えを行なうロータリー四方
切替弁に関する。

＜従来の技術＞ 従来、電磁石の励磁力により弁部材を上下動し
て開閉動作を行う電磁弁や圧力差を利用した摺動
弁形電磁弁（摺動弁形切替弁）については周知で
ある。

そこで、従来として四方切替弁について述べ
る。従来の四方切替弁は、冷凍サイクルに於ける
冷媒の流れの方向を、基本的には室内側熱交換器
から室外側熱交換器へ又は、室外側熱交換器から
室内側熱交換器へ切替えて室内を暖房又は冷房す
るのに用いるものである。この四方切替弁は第５
図及び第６図に示す如く、密閉された横向き円筒
状の弁本体１の胴壁面の上面に圧縮機２の吐出管
３に接続する高圧ガス用接続管４を開口させ、弁
本体１の胴壁の下面に圧縮機２の吸入管５に接続
する低圧冷媒用接続管６を中央にしてその両側に
室内側熱交換器７に接続する接続管８と室外側熱
交換器９に接続する接続管１０とを並べて開口さ
せており、接続管６，８，１０の開口端は弁本体
１の筒軸方向に面一にシート１１で弁本体に固定
されている。又、弁本体１内部には前記シート１
１の開口面上を筒軸方向に摺動し、接続管６と
８、又は６と１０を択一的に連通せしめるＵ字形
状の摺動弁１２が、摺動弁１２の両側に配設され
たピストン体１３，１４に連結板１５で連結され
て設けられている。さらに弁本体１の一方端部を
密閉する部材１６とピストン体１３との空間１７
及び部材１８とピストン体１４との空間１９には
それぞれ高圧ガス、又は低圧ガスを択一的に切替
えて導入する毛細管２０，２１及び低圧ガス用毛
細管２２が設けられている。この３毛細管は、第
６図に示すように小さなニードルバルブ用空間２
３，２４及びその中間に連通されている。

今、圧縮機から吐出された高圧ガスは接続管４
を通りピストン体１３及び１４に設けられた小さ
な穴を通り空間１７，１９に流れる。この時コイ
ル２５が無通電の時はニードルバルブ２６がスプ
リングにより小空間２４を密閉し、ピン２７を介
して相対する反対側のニードルバルブ２８が開
き、小空間２３は解放される。従つて空間１７と
小空間２４の圧力は高圧、又、空間１９は低圧と
なりこの圧力差によつてピストン体１３，１４は
空間１９の方に移動する。このとき、摺動弁１２
も連結板１５により同一方向に移動して接続管
６，８の流路が連通する。この時の状態で回路は
冷房状態となつている。コイル２５に通電した時
は励磁力でニードルバルブ２６，２８を上記と逆
に移動させるとピストン体１３，１４は空間１７
方向へ移動して摺動弁１２により接続管６，１０
の流路が連通して回路は暖房状態となる。但し、
この時は運転中は連続通電である。

＜発明が解決しようとする問題点＞ 以上が従来例の四方切替弁の動作原理であり、
第５図に示す如く、非常に複雑精巧な構造となつ
ており、部品点数も約10〜70点にもおよび高価に
なつていた。

またヒートポンプ式空気調和機は、圧縮機の停
止により、運転中のサイクル各部に保持していた
圧力等がバランスして失い、再起動する際の元の
圧力状態等に復元するまでにエネルギーと時間を
必要とした。

そのため、ロスを最小限に押える手段として従
来、冷凍サイクルの圧縮機、熱交換器等の各部に
電磁弁を設けて、運転中の状態を保持するため、
流路の遮断をしなければならず非常に高価で作業
も複雑なものとなつている。

又、一部ではロータリー四方弁も開発及び公表
されているが、第７図に示すように一端に一つの
接続流路を他端に複数の接続流路を有した円筒状
箱体４７と箱体にその外周壁を囲むように取付け
られた中空リング体からなる電磁石４８のため、
製品（例えばヒートポンプ式空気調和機）に組込
んだ後、例えば電磁石４８に異常があり電磁石４
８の交換を要する時には、各接続流路が連結され
ているため一端側の接続流路６，８，１０の連結
を外し電磁石４８を交換しなければならない等メ
ンテナンスの容易性に欠けるという問題点を有し
ていた。

この発明は以上の事情に鑑みなされたもので、
その目的はこの発明をヒートポンプ式空気調和機
に用いた場合には、エネルギー損失を簡単に最小
限に押えることができ、その上四方弁自体を簡単
かつ安価にできメンテナンスが容易にできるよう
にすることにある。

＜問題点を解決するための手段＞ この発明はロータリー四方切替弁であつて、一
端に複数の接続流路が開口した円筒状の非電磁性
体からなる箱体と、この箱体内にその円周方向に
摺動回動可能に収納された所定形状の回動弁と、
箱体内に設けられた前記回動弁の回動中心を支持
するセンター軸と、前記回動弁の回動角度を所定
角度に規制するストツパーと、回動弁の一方面ま
たは回動弁の回動中心を対称点として対向する二
方面の所定位置に回動弁回動時に回動弁とともに
箱体の内壁にある間隔を有して接しながら移動す
るように前記回動弁に囲繞固定された永久磁石
と、箱体にその外周壁を囲むように取付けられた
中空リング体からなる電磁石と、この電磁石に通
電したときに極性変換可能に構成された回動弁と
所定角度回動させたときの永久磁石の２つ停止位
置に略対応する箱体の外周壁に接しかつこれらの
接触位置によつて形成される回動弁の中心からの
角度が回動弁の回動角度よりも大きくなるよう電
磁石の中空部内に配設された２つまたは回動弁の
回動中心を対称点として対向する２組の磁極発生
部とを備え、回動弁停止時で永久磁石が一方の磁
極発生部側に位置したときに（Ａ位置）箱体の接
続流路３７と他の複数の接続流路のうちの１つの
接続流路４０とを連通させ、回動弁が回動して永
久磁石が他方の磁極発生部側に位置したときに
（Ｂ位置）前記接続流路３７とは箱体の前記接続
流路４０以外の接続流路３８とを連通させる扇状
の切欠部のを回動弁に設けるとともに、永久磁石
がＡ位置のときに箱体の前記接続流路３７，４０
以外の２つの接続流路を連通させ、永久磁石がＢ
位置のときに箱体の前記接続流路３７，３８以外
の２つの接続流路を連通させる凹部を回動弁の箱
体との接する面に設けたものである。

＜作用＞ この発明は、四方切替弁に通電し２つまたは対
向する２組の磁極発生部のうち永久磁石側の１つ
または１組の磁極発生部の極性を永久磁石と反発
する極性とし他の磁極発生部の極性を永久磁石と
吸引する極性とすると、回動弁が所定角度回動し
て箱体の１接続流路と箱体の他の複数の接続路の
うちの１つの接続流路とを回動弁の切欠部を介し
て連通させるとともに、箱体の複数の接続流路の
うち残りの２つの接続流路を回動弁の凹部で連通
するようにしたものであり、かつ箱体一端側に複
数の接続流路が開口しているため電磁石の取付
け、取外しが容易に行なえる。

＜実施例＞ 以下図に示す実施例に基づいてこの発明を詳細
に説明する。

第１図、第２図及び第４図において、ロータリ
ー四方切替弁は箱体２９、回動弁３０、センター
軸３１、ストツパー３２、永久磁石３３ａ，３３
ｂ、電磁石３４及び２組の磁極発生部３５ａ，３
５ｂ，３６ａ，３６ｂから構成される。

箱体２９は短円筒状の非磁性体からなり、一端
には接続流路３７，３８，３９，４０が開口され
ている。これらの接続流路３７〜４０の開口幅は
略同等である。なお、これらの接続流路は以下接
続管と称する。

回動弁３０は所定厚さを有し、かつ回動弁３０
の中心寄りに回動弁３０の外周縁に沿つて接続管
３７と接続管３８，４０の連通可能に扇状の切欠
部４１が形成された円板からなり、箱体２９内に
センター軸３１を介して円周方向に回動可能に収
納されている。さらに回動弁３０には３つの接続
管３８〜４０側の面で回動弁３０の中心を対称点
として、前記切欠部４１と対称の位置に回動弁３
０の中心寄りに回動弁３０の外周縁に沿つて長孔
状の凹部４２が形成され接続管３９と接続管３
８，４０を連通可能に凹設されている。

ストツパー３２は上記切欠部４１内に突出する
よう箱体２９の一端に設けられており、回動弁３
０の回動角度を所定角度（α）に規制するもので
ある。

永久磁石３３ａ，３３ｂは回動弁３０の中心を
対称点として回動弁３０の二方面外周縁で前記切
欠部４１と前記長孔状の凹部４２との間の中央部
に囲繞固定され回動時に回動弁３０とともに箱体
２９の内壁にある間隔を有して接しながら回動す
る。

電磁石３４は箱体２９にその外周壁を囲むよう
に取付けられた中空リング体である。

磁極発生部３５ａ，３５ｂ，３６ａ，３６ｂ
は、電磁石３４に通電したときに極性変換可能に
構成されたもので回動弁３０が所定角度回動され
たときに永久磁石３３ａ，３３ｂの２つの停止位
置に略対応する箱体２９の外周壁に接し、かつこ
れらの接触位置によつて形成される回動弁３０の
中心からの角度が回動弁３０の回動角度より大き
な角度（β）を形成し、一組の磁極発生部３５ａ
と磁極発生部３５ｂ、磁極発生部３６ａと磁極発
生部３６ｂは回動弁３０の回動中心を対称点とし
て電磁石３４の中空部内の対称位置に配設されて
いる。

次に上記四方切替弁をヒートポンプ式空気調和
機に使用した場合の作動を説明する。

第３図において、圧縮機４３から吐出された高
圧ガスは接続管３７の通り箱体２９内の回動弁３
０切欠部４１より箱体２９内の空間に流れ、又回
動弁３０切欠部４１より接続管４０を経て室外側
熱交換器４６〜毛細管４５〜室内側熱交換器４４
〜接続管３８から箱体２９内に戻り、回動弁３０
の凹部４２を経て接続管３９から圧縮機４３に吸
入される。この時、回動弁３０は接続管３７から
の高圧ガスにより、図中上方に押圧され箱体２９
内の一端面と回動弁３０の凹部４２側端面とが密
着し、接続管３８，３９への高圧ガスの流出防止
をしている。前記この時の状態の回路（サイク
ル）が冷房であり、箱体２９内の配置は第４図ａ
の状態となる。なお、第４図中に示す電磁石３４
の磁極発生部３５ａ，３５ｂ，３６ａ，３６ｂは
無通電状態で単に永久磁石３３ａ，３３ｂと吸引
状態にあるだけである（微少電流等を通電しても
良いことはもちろんである）。

次に第４図により切替えについて説明する。

まず第４図ａに示す無通電の電磁石に瞬時
（0.5秒程度）通電するとともに磁極の変換を行な
い、永久磁石３３ａ，３３ｂに対向する磁極発生
部３５ａ，３５ｂの磁極の極性をその磁極発生部
３５ａ，３５ｂが永久磁石３３ａ，３３ｂと反発
状態となるよう永久磁石３３ａ，３３ｂと逆の極
性とする。そして他方の磁極発生部３６ａ，３６
ｂの磁極の極性を永久磁石３３ａ，３３ｂと吸引
状態となる極性とする。ここで回動弁３０が反発
−吸引により発生したトルクにより回転すると接
続管３７と３８及び接続管３９と４０が連通す
る。この時の状態の回路が暖房である。なお、第
４図ａ，ｂ中に記載の記号(D)(E)(S)(C)は各接続管３
７，３８，３９，４０の開口端をそれぞれ示して
いる。第４図ｂは暖房での状態であり、吐出され
た高圧ガスが接続管３７より切欠部４１、空間、
切欠部４１→接続管３８→室内側熱交換器（凝縮
器）４４→毛細管４５→室外側熱交換器（蒸発
器）４６→接続管４０を経て凹部４２を通り接続
管３９へと流れ圧縮機４３に吸入される。

したがつて圧縮機４３の定常運転時の圧力及び
冷媒配分は、高価な電磁弁を一つも使用せずに、
圧縮機４３停止後も容易に保持されるため、エネ
ルギー損失を最小限に押えることができる。した
がつてヒートポンプ式空気調和機の運転効率を高
めることができる。また、この発明によるロータ
リー四方切替弁では図示した如く部品点数は10点
程度であり安価で付加価値の高いロータリー四方
切替弁を提供することができる。さらにこの発明
のロータリー四方切替弁を搭載することにより、
安価で運転効率の高いヒートポンプ式空気調和機
を提供することができる。また電磁石３４のメン
テナンスを行うに当つては箱体２９から取り外す
だけで良く、接続管３７〜４０の接続を外す必要
がない。

＜発明の効果＞ この発明をヒートポンプ式空気調和機に使用し
た場合には、簡単にエネルギー損失を最小限に押
えることができる。したがつて、上記空気調和機
の運転効率を向上させることができる。また、部
品点数を従来よりも少なくすることができるため
構造が簡単となり、安価に品質精度の高い四方切
替弁を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａはこの発明の一実施例を示す平面図及
び正面図、第１図ｂは同正面図、第２図ａは第１
図ａのａ−ａ断面図、第２図ｂは第１図ａのｂ−
ｂ断面図、第３図ａはこの発明をヒートポンプ式
空気調和機に用いた例の水平断面図、第３図ｂは
同上サイクル図、第４図ａ，ｂは冷房暖房時の状
態説明図で、ａは冷房時の状態を示し、ｂは暖房
時の状態を示す、第５図、第６図は従来例の四方
切替え電磁弁の構成説明図、第７図は従来例のロ
ータリー四方切替弁の説明図である。 ２９……箱体、３０……回動弁、３１……セン
ター軸、３２……ストツパー、３３ａ，３３ｂ…
…永久磁石、３４……電磁石、３５ａ，３５ｂ，
３６ａ，３６ｂ……磁極発生部、３７〜４０……
接続管（接続流路）、４１……切欠部、４２……
凹部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一端に複数の接続流路が開口した円筒状の非
   電磁性体からなる箱体と、この箱体内にその円周
   方向に摺動回動可能に収納された所定形状の回動
   弁と、箱体内に設けられ前記回動弁の回動中心を
   支持するセンター軸と、前記回動弁の回動角度に
   規制するストツパーと、回動弁の一方面または回
   動弁の回動中心を対称点として対向する二方面の
   所定位置に回動弁回動時に回動弁とともに箱体の
   内壁にある間隔を有して接しながら移動するよう
   に前記回動弁に囲繞固定された永久磁石と、箱体
   にその外周壁を囲むように取付けられた中空リン
   グ体からなる電磁石と、この電磁石に通電したと
   きに極性変換可能に構成され回動弁を所定角度回
   動させたときの永久磁石の２つの停止位置に略対
   応する箱体の外周壁に接しかつこれらの接触位置
   によつて形成される回動弁の中心からの角度が回
   動弁の回動角度より大きくなるよう電磁石の中空
   部内に配設された２つまたは回動弁の回動中心を
   対称点として対向する二組の磁極発生部とを備
   え、回動弁停止時で永久磁石が一方の磁極発生部
   側に位置したときに（Ａ位置）箱体の接続流路３
   ７と他の複数の接続流路のうちの１つの接続流路
   ４０とを連通させ、回動弁が回動して永久磁石が
   他方の磁極発生部側に位置したときに（Ｂ位置）
   前記接続流路３７と箱体の前記接続流路４０以外
   の接続流路３８とを連通させる扇状の切欠部を回
   動弁に設けるとともに、永久磁石がＡ位置のとき
   に箱体の前記接続流路３７，４０以外の２つの接
   続流路を連通させ、永久磁石がＢ位置のときに箱
   体の前記接続流路３７，３８以外の２つの接続流
   路を連通させる凹部を回動弁の箱体との接する面
   に設けてなるロータリー四方切替弁。