JPH0549774B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、高層住宅や高層ビル等の排水設備に
おける排水主管の閉塞による排水の逆噴出防止方
法及びその装置に関するものである。

（従来の技術） 従来、高層住宅や高層ビル等における排水設備
は、台所、風呂、洗面所、洗濯機等からの雑排水
と水洗便所からの汚水排水を単管システムで集合
排水せしめるか、或いは、これらの排水を夫々分
離排水せしめる複管システムのいずれかで構成さ
れ、各階各戸からの排水を一旦横排水し、上層階
からの縦排水と合流せしめた上で下層階へ流下せ
しめ、最下部の曲成管部分で方向転換させ、当該
曲成管に連結した横引排水管を流出し、最終的に
浄化槽又は下水管へと流し込まれる排水システム
となつている。

斯る単管又は複管排水システムへ排出されるも
のとしては、常識的には、水溶性チリ紙と排泄物
からなる汚水排水と、雑排水であり、非水溶性の
固形物が流し台や洗面台等のＳトラツプ、浴槽や
洗濯機等の防水パンに設けた排水トラツプを越流
して流出することは本来無い筈である。

（発明が解決しようとする問題点） ところが、近時、此種の高層住宅等において排
水主管の閉塞が惹き起され、最下層の住宅の便所
や浴室の排水口から汚物を含む排水の噴き出し事
故が発生し、それが最下層の住宅の住民の不在と
重なると、局部的な被害の程度ではおさまらず、
フロアー全体を水浸しにして汚損させ、その結
果、原状回復やその補償、修理等に多大な費用を
要する事態を招来している。斯る排水主管の閉
塞、即ち管詰まりは縦排水管や排水合流管で惹起
される例は皆無であるが、最下端の曲成管の曲成
部分や曲成管と横引排水管との連結部分の近傍で
惹起され、当該閉塞箇所の曲成管とその横引排水
管を分解掃除すると、目皿や排水トラツプの封水
筒又は封水キヤツプ等が取り外してあるが故に、
誤つて小物のナイフ、スプーン、はし等や女性の
ピン止めの如きの固形異物を流出せしめた為と推
察される場合が原因であつたり、そうではなく意
識的に流出せしめたと推察される固形異物とし
て、特に多いものとしては、使い廃ての軽便カミ
ソリやその替刃とか、爪楊枝に止まらず、女性の
衛生用品とか小物の下着類が原因となり、これが
曲成管以降の管内壁面に引つ掛かることで惹起さ
れたり、最も酷い例としては、上層階で生ゴミの
如きものを便所から、或いは、浴室の排水トラツ
プの目皿や封水筒、封水キヤツプ等を取り外して
流し込む等、常識では考えられないことを原因と
して惹起された例さえある。いずれにしても、前
記事態の予防には限界があり、最下層の住宅が直
接被害を豪ることに変わりはなく、それ故、最下
層の住宅の便所、浴槽や洗濯機の防水パン等の最
も低い排水口から、逆噴出する汚水の突発的な噴
き出し事故の発生を未然に防止する手段の必要性
が生ずるに到つた。

（問題点を解決するための手段） そこで、本発明では、前記の如き万一の場合に
備えて発明したものであつて、先ず、第一に排水
主管の閉塞を排水の逆流感知器によつて感知し、
それによつて給水槽の元栓を電気的に閉成し、当
該逆流排水を前記排水主管から逆流排水管へ排出
する手段を、また、第二に、前記手段に加える
に、排水主管の閉塞を報知器によつて電気的に報
知する手段等をシステム構成してなる排水の逆噴
出防止方法を提供すると共に、第三に、排水主管
の下端方に主管部と副管部とからなる逆噴出防止
管を設け、その内、副管部に排水の逆流感知器と
逆流排水管を設け、給水槽の元栓を電磁弁にて形
成し、各戸とその管理人室や管理センター等に排
水主管の閉塞報知器を設け、前記逆流感知器と電
磁弁と閉塞報知器等とを電気的に結線した排水の
逆噴出防止装置をも提供したのである。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付図面に従つて説明
する。

先ず、高層住宅、高層ビル等の縦方向に、単管
排水システムを構成した給排水設備を示す第１図
において、Ｈは高層住宅、高層ビル等（以下、単
に住宅という）、F₁〜F_oは各階の住宅Ｈ、即ち各
戸を示し、その内、F₁は住宅Ｈの１階部分、F₂
は２階部分、F_oはｎ階部分である。

１，１Ｔは各戸F₁〜F_oの台所にセツトした流
し台と、その排水口に形成したＳトラツプ、２，
２Ｔは同じく洗面所にセツトした洗面台と、その
排出口に形成したＳトラツプ、３，３Ｔは浴室に
セツトした浴槽４の防水パンと、その排水口に形
成した排水トラツプ、５，５Ｔは洗濯機６の防水
パンと、その排水口に形成した排水トラツプ、
７，８は便所にセツトした水洗便器と、その給水
タンクである。９，９Ａは各戸F₁〜F_oの床下に
横方向へ配管した横排水管であつて、前記流し台
１、洗面台２、浴槽４、洗濯機６から排出される
雑排水と、水洗便器７から排出される汚水排水を
集合排水せしめる。１０，１０Ａは各階各戸F₁
〜F_oを縦方向に縦断して配管した縦排水管であ
つて、通常、各戸F₁〜F_oの便所又はその近傍の
配管室を縦貫している。１１は排水合流管であつ
て、その左右両側部又は一側部に前記横排水管
９，９Ａを、また、その上下両端部に縦排水管１
０，１０Ａを夫々連結接続している。１２は最下
部の曲成管であつて、前記縦排水管１０，１０Ａ
や排水合流管１１等の排水主管を流下した落下排
水を方向転換せしめる。１３は曲成管１２の排水
出口側に連結接続した横引排水管であつて、その
末端部を浄化槽又は下水管１４に接続している。
１５は排水の逆噴出防止管であつて、１階部分
F₁の排水合流管１１と前記曲成管１２との間に
連結接続している。の逆噴出防止管１５は、縦方
向の主管部１６と、当該主管部１６の左右両側部
から分岐させて突出形成した副管部１７，１７Ａ
とからなり、その内、一方の副管部１７には、排
水の逆流を感知する圧力センサー、フロートレス
センサー、光電センサー等の逆流感知器１８が構
成され、また、他方の副管部１７Ａには、第２図
に示すように直管、曲管等を組合せ構成した逆流
排水管２０を接続し、当該逆流排水を排水ポンプ
１９で、或いは逆流排水管２０のサイフオン作用
によつて汲み出すようにしている。このとき、副
管部１７の一方は、他方の副管部１７Ａより低目
に形成し、逆流感知器１８が感応した上で逆流排
水が排水主管から逆流排水管２０へ流出するよう
にすることが望ましい。また、第２図において３
１は副管部１７の開口端部を閉成する蓋であつ
て、当該蓋３０を外して排水主管内へワイヤコー
ドを挿通して捻回させ、これにて曲成管１２近傍
の配管を取外すことなく、排水主管の閉塞箇所の
清掃を行なうに利便としている。この逆流排水管
２０の他端部は、前記横引排水管１３の中間部か
ら後方部にかけての中途部分に連結接続するか、
或いは、第１図の想像線に示すように逆流排水管
２０Ａを直接浄化槽又は下水管１４と接続し、こ
れにて、逆流排水を前記の排水主管から逆流排水
管２０，２０Ａをバイパスさせて迂回排水せしめ
るか、或いは、予め第１図の想像線に示すように
各戸F₁〜F_oの流し台１、洗面台２、浴槽４、洗
濯機６、水洗便器７とその給水タンク８等に最大
限残溜している総排水量を貯溜するに必要十分な
予備タンク２１と連結接続し、この場合には、一
旦貯溜した逆流排水を事後的に浄化槽や下水管１
４へ排出することで対処せしめる。

２２は高層住宅Ｈの屋上に設置した高架式の給
水槽、２３は給水槽２２の給水出口に連結接続し
た給水管であつて、給水出口の近傍に取着した元
栓を電磁弁２４にて形成し、各戸F₁〜F_oへの給
水を電気的に開閉制御、特に元栓の閉成を制御す
るようにしている。２５は各戸F₁〜F_o毎の給水
元栓であつて、各階各戸F₁〜F_oを縦断して降設
した前記給水管２３の分岐部分に取着している。
２６は各戸F₁〜F_o毎の給水管であつて、前記流
し台１、洗面台２、浴槽４、洗濯機６の直上部に
分岐配管され、また、水洗便器７の給水タンク８
と連結接続している。

２７，２８は排水の逆流、即ち排水主管の閉塞
を知らせる警報ブザー、警報ランプ等の閉塞報知
器であつて、その内、報知器２７は各階各戸F₁
〜F_o毎に取着され、また、報知器２８は高層住
宅Ｈの管理人室や管理センター等に設けられ、異
常事態の発生を報知せしめる。２９は給水槽２２
の電磁弁２４と、各戸F₁〜F_oの報知器２７と、
管理人室や管理センター等の報知器２８と、排水
ポンプ１９等を、逆流感知器１８に感応して電気
的に制御せしめる電気配線である。

（作用） 前記の如くシステム構成した給排水設備におい
て、各戸F₁〜F_oの流し台１、洗面台２、浴槽４、
洗濯機６等からの雑排水と、水洗便器７からの汚
水排水は、通常、Ｓトラツプ１Ｔ、２Ｔ、排水ト
ラツプ３Ｔ，５Ｔを回曲して横排水管９，９Ａを
流出し、各階毎の排水合流管１１部分で上層階の
縦排水管１０，１０Ａから流下する雑排水と円滑
に合流させられ、最下部の曲成管１２部分で方向
転換した上で、横引排水管１３を経て浄化槽又は
下水管１４へと流入せしめられる。

斯る場合に前記横排水管９，９Ａから万一何等
かの非水溶性の固形異物が汚水排水や雑排水に混
在して流し出され、それが縦排水管１０，１０
Ａ，排水合流管１１等の排水主管を流下し、最下
部の曲成管１２で方向転換した上で、当該近傍の
管内壁面に引つ掛かつて繋溜される等のことが生
ずると、これが為に流下排水の流れが悪くなつて
排水主管を徐々に閉塞せしめ、その結果、流下排
水は排水主管内を逆流し始め、やがて逆噴出防止
管１５の副管部１７，１７Ａへと流入して逆流感
知器１８を感応せしめる。当該感応信号を受け
て、先ず、第一に、給水槽２２の元栓に形成した
電磁弁２４が電気的に閉成され、これにて各階各
戸F₁〜F_oへの給水が断たれる。また、前記感応
信号によつて、排水ポンプ１９が駆動し、断水
後、各戸F₁〜F_oの流し台１、洗面台２、浴槽４、
洗濯機６及び水洗便器７の給水タンク８から流し
出される残溜排水を、排水主管から逆流排水管２
０，２０Ａへ向けて汲み出すか、或いは、逆流排
水管２０，２０Ａのサイフオン作用で汲み出し、
最終的に浄化槽又は下水管１４へと外部排出せし
めたり、予備タンク２１へ貯溜せしめる。また、
逆流感知器１８による感応信号を受けて各階各戸
F₁〜F_oの閉塞報知器２７、管理人室や管理セン
ター等の閉塞報知器２８のいずれか一方又は両方
を作動せしめ、これにて各戸の住民や管理人等に
排水主管の閉塞と給水槽２２の断水との異常を報
知する。その後、専門業者による管閉塞箇所の修
理、修復作業が速やかに行なわれ、再び給水槽２
２の電磁弁２４を開成して水の使用を可能とす
る。

尚、前記の場合には、逆噴出防止管１５を専用
管として構成したが、第３図に示す如く曲成管１
２の排水入口側を上方へ所要長延設した縦管部１
２Ａを一体形成し、当該縦管部１２Ａを主管部と
し、その左右両側部から副管部１７，１７Ａを分
岐形成し、その内、一方の副管部１７の蓋３１に
閉塞感知器１８を取着し、他方の副管部１７Ａに
逆流排水管２０，２０Ａを連結し、曲成管１２そ
れ自体を逆噴出防止管１５として構成することも
できる。また、第３図において３０は曲成管１２
の内側部に螺合支持した止栓であつて、当該止栓
３０を開成して曲成管１２近傍の閉塞異物の有無
を確認したり、或いは、曲成管１２以降の閉塞箇
所に滞溜、堆積した閉塞異物をかき出したり、押
し出して清掃するに利便な構成としている。

また、前記の場合には、単管排水システムにお
ける排水の逆噴出防止方法とその装置について説
明したが、これを雑排水と汚水排水を分離排水す
る複管方式の排水システムに同様に構成するも、
何等本発明の要旨を変ずるものではない。

また、本発明では、排水主管の閉塞が曲成管１
２以降の部分で惹起される場合がほとんどであ
り、排水合流管１１や縦排水管１０，１０Ａ等の
排水主管で惹起される場合が皆無である等のこと
を勘案し、常に、最下層の住宅が直接被害を豪る
との観点からシステム構成したが、前記以外の閉
塞箇所として、各階各戸F₁〜F_oから流出せしめ
た固形異物が、横排水管９，９Ａから排水合流管
１１迄の途中で引つ掛かることで惹起される例も
ある。

この場合には、自己の行為に起因したものであ
るために早期発見され易く、また直ちに水の使用
を中止したり、排水をストツプすることで対処で
きる為、その被害の程度も軽微である等のことを
勘案して格別な排水の逆噴出防止策を講じていな
い。斯る場合についても同様な対策を講ずるとす
れば、排水合流管１１の手前部分等に逆噴出防止
管１５を横設し、それから上方へ副管部１７を分
岐形成し、当該副管部１７に逆流感知器１８と逆
流排水管１０を取着し、当該逆流排水管１０の他
端部を排水合流管１１直下の縦排水管１０，１０
Ａに連絡し、これにて、逆流排水を逆流感知器１
８で感知し、その感応信号によつて各戸F₁〜F_o
の給水元栓２５を電気的に閉成制御し、また、当
該逆流排水を逆流排水管１０のサイフオン作用に
よつて排水主管の縦排水管１０，１０Ａへバイパ
スさせて排出せしめ、併せて、排水主管の閉塞を
閉塞報知器２７、２８によつて報知せしめる逆噴
出防止システムを付設することで対処することが
できる。

（発明の効果） 本発明は、前記の如く排水主管の閉塞を排水の
逆流感知器によつて感知し、それによつて給水槽
の元栓を電気的に閉成し、当該逆流排水を前記排
水主管から逆流排水管へ排出せしめ、その上、排
水主管の閉塞を報知器によつて電気的に報知する
等の逆噴出防止方法と、排水主管の下端方に主管
部と副管部とからなる逆噴出防止管を設け、その
内、副管部に排水の逆流感知器と逆流排水管を設
け、給水槽の元栓を電磁弁にて形成し、各戸とそ
の管理人室又は管理センター等に排水主管の閉塞
報知器を設け、前記逆流感知器と電磁弁と閉塞報
知器とを電気的に結線した逆噴出防止装置とした
ので、排水主管の閉塞によつて特に最下層の住宅
の便所、浴槽や洗濯機の防水パン等の最も低い排
水口から逆噴出する汚水の突発的な噴き出し事故
を未然に防止する対処策の一として極めて有益な
発明である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、単管排水システムをベースとする高
層住宅等における給排水設備の全体概要図、第２
図は逆噴出防止管近傍の要部拡大図、第３図は曲
成管それ自体を逆噴出防止管とした場合の変形例
を示す図である。 符号表、Ｈ……高層住宅、ビル等、F₁〜F_o…
…各戸、１……流し台、１Ｔ，２Ｔ……Ｓトラツ
プ、２……洗面台、３，５……防水パン、３Ｔ，
５Ｔ……排水トラツプ、４……浴槽、６……洗濯
機、７……便器、８……給水タンク、９，９Ａ…
…横排水管、１０，１０Ａ……縦排水管、１１…
…排水合流管、１２……曲成管、１３……横引排
水管、１４……浄化槽又は下水管、１５……逆噴
出防止管、１６……主管部、１７……副管部、１
８……逆流感知器、１９……排水ポンプ、２０…
…逆流排水管、２１……予備タンク、２２……給
水槽、２３，２６……給水管、２４……電磁弁、
２５……元栓、２７，２８……管塞報知器、２９
……電気配線、３０……止栓、３１……蓋。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 排水主管の閉塞を排水の逆流感知器によつて
   感知し、それによつて給水槽の元栓を電気的に閉
   成し、当該逆流排水を前記排水主管から逆流排水
   管へ排出し得るように構成したことを特徴とする
   排水の逆噴出防止方法。 ２ 逆流排水を、排水主管から排水ポンプと逆流
   排水管又は逆流排水管のサイフオン作用によつて
   排出せしめてなる特許請求の範囲第１項に記載の
   排水の逆噴出防止方法。 ３ 逆流排水を、逆流排水管から横引排水管、浄
   化槽又は下水管へ迂回排出せしめるか、或いは、
   予備タンクへ貯溜せしめてなる特許請求の範囲第
   １項又は第２項に記載の逆噴出防止方法。 ４ 排水主管の閉塞を排水の逆流感知器によつて
   感知し、それによつて給水槽の元栓を電気的に閉
   成し、当該逆流排水を前記排水主管から逆流排水
   管へ排出し、併せて、排水主管の閉塞を報知器に
   よつて電気的に報知し得るように構成したことを
   特徴とする排水の逆噴出防止方法。 ５ 排水主管の閉塞を、警報ブザー、警報ランプ
   等によつて各戸とその管理人室や管理センター等
   へ報知せしめてなる特許請求の範囲第４項に記載
   の排水の逆噴出防止方法。 ６ 排水主管の下端方に主管部と副管部とからな
   る逆噴出防止管を設け、その内、副管部に排水の
   逆流感知器と逆流排水管を設け、給水槽の元栓を
   電磁弁にて形成し、各戸とその管理人室又は管理
   センター等に排水主管の閉塞報知器を設け、前記
   逆流感知器と電磁弁と閉塞報知器とを電気的に結
   線したことを特徴とする排水の逆噴出防止装置。 ７ 逆噴出防止管を曲成管にて形成し、当該曲成
   管の縦管部を主管部とし、当該主管部に副管部を
   分岐形成してなる特許請求の範囲第６項に記載の
   排水の逆噴出防止装置。