JPH0549584B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は高速走行する糸条の糸掛けに使用する
糸掛用サクシヨンガンに関するものである。

〔従来技術〕

高速紡出糸等のように高速で走行する糸条を巻
取装置などに糸掛けするには、一般に圧空式サク
シヨンガンが用いられている。従来この圧空式サ
クシヨンガンにおける課題の一つは、その走行糸
条の吸引張力をできるだけ向上させ、より高速の
糸条を糸掛操作できるようにすることであつた。

ところが、このようにサクシヨンガンの吸引張
力を上げていくと、それだけベンチユリ後部の排
気管中の排気流量が増加していくため、サクシヨ
ンガン先端の導糸口から圧空の逆流（噴き出し）
が起るようになり、その結果として緒糸の吸込み
が不可能になるという不都合が生ずる。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、上記問題点を解消し、緒糸に
対する高い吸込力と、糸掛中に連続供給される糸
条に対する高い吸引力との両者が共に得られる糸
掛用サクシヨンガンを提供することにある。

〔発明の構成〕

上記目的を達成する本発明は、先端に糸条を吸
込む導糸口を有する導糸管の後端周囲に圧空の噴
射口を設けると共に、該噴射口に続いてベンチユ
リ部及び排気通路を順次設けた糸掛用サクシヨン
ガンにおいて、前記ベンチユリ部の後部に、前記
排気通路から分岐した側通路を設け、該側通路
に、該側通路を開閉可能にしたバルブを設けたこ
とを特徴とするものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明を図に示す実施例により説明す
る。

以下、本明細書において「吸引力」とは、サク
シヨンガンの吸引機構が圧空のエジエクター効果
により糸条を随伴吸引する力のことであり、また
「吸引力」とはサクシヨンガン先端の導糸口に緒
糸を吸込む力を意味する。

第１図に示す本発明のサクシヨンガンにおい
て、１は本体であり、その内部には圧空室２とベ
ンチユリ部３とが形成されている。４は導糸管で
あり、その先端には糸条を吸込むための導糸口４
ａを開口し、後端をベンチユリ部３の喉部３ａに
臨ませている。この喉部３ａと導糸管４後端との
間には環状をしたスリツト状の噴射口５が形成さ
れている。この噴射口５は複数の独立の孔が導糸
管４後端の周囲を環状に囲むようなものであつて
もよい。この噴射口５から噴出する噴出流は、ベ
ンチユリ部３の軸線にほゞ沿う直進流となるよう
にしてある。本体１の側部には圧空の供給管６が
接続されて圧空室２に連通している。

ベンチユリ部３の下流側には排気管を形成する
長いブースタチユーブ８が連結されている。この
ブースタチユーブ８は直管部８ａとテーパ管部８
ｂとが交互に順次組合された形状をし、下流へ向
かうほど内径の大きなものが接続されている。ブ
ースタチユーブ８の長さｌはベンチユリ部３の喉
部３ａの径ｄとの比ｌ／ｄが40以上となるように
設定され、かつ最大内径Ｄの喉部３ａの径ｄとの
比Ｄ／ｄが1.2以上となるように設定されている。

上記ブースタチユーブ８の内部は、上述のよう
な直管とテーパ管との組合せにするほか、内径の
異なる直管だけを順次下流に向かうほど大きな径
の管を組合せて多段化してもよく、或いは内径の
異なるテーパ管を同様に順次組合せて多段化した
ものであつてもよい。また、一段だけのテーパ管
であつてもよい。

このブースタチユーブ８は、その長さｌおよび
最大内径Ｄをベンチユリ部３の喉部３ａの径ｄに
対して、ｌ／ｄを40以上、Ｄ／ｄを1.2以上にす
ることにより、ベンチユリ部以降の排気をスムー
ズに排出させるようにし、かつ走行糸条に対する
流体力（圧空の糸に対する粘性力と圧空の慣性
力）を高め、その吸引張力を著しく向上すること
ができる。

一方、ベンチユリ部３の後部に接続した主排気
通路としてのブースタチユーブ８の外周には副排
気通路１５が設けられ、ブースタチユーブ８の基
部には主排気通路と副排気通路１５とを接続する
側通路となる連通口１０が周方向に沿つて多数設
けられ、その連通口１０に対応してスライダ１１
が摺動自在に嵌合している。スライダ１１はその
ノブ１１ａを矢印方向に操作すると、上記連通口
１０を閉塞する位置Ｃと開口する位置Ｏとに交互
に切換えられるバルブ機能を有するようになつて
いる。ブースタチユーブ８と本体１の後端にはそ
れぞれ排気ホース１２，１３が接続され、この二
重ホースの間に形成された通路１４内を上記連通
口１０から分岐し、副排気通路１５を通過した排
気が通過するようにしてある。

さて、上述したサクシヨンガンは、スライダ１
１を連通口１０を閉塞する位置Ｃに設定して圧空
を供給すると、長いブースタチユーブ８の効果に
よりベンチユリ部３以降の主排気通路の排気流量
（圧力）を増大し、吸引力を高めることができる
が、他方で導糸管４先端の導糸口４ａから圧空を
逆流させ、緒糸を導糸口４ａへ吸込む吸込力を低
下させる。しかし、スライダ１１を位置Ｏ側へ切
換えて連通口１０を開口させると、主排気通路の
排気の一部が副排気通路１５を経て通路１４へ分
流するためベンチユリ部３以降の主排気通路の排
気流量（圧力）は低下し、導糸口４ａにおける吸
込力を増大させることができる。

第２図は、吸引張力及び吸込張力と排気通路中
の圧力との関係を示すものであり、実線，は
連通口１０をスライダ１１で閉塞したときの圧力
−張力曲線を示し、破線′，′は連通口１０を
開口したときの圧力−張力曲線を示す。なお、吸
込張力は糸条をサクシヨンガンに吸込ませ、その
糸条の吸込み長さを導糸管の長さよりも若干短く
したとき、すなわち、噴射口から噴出する気流に
糸条が当たらないようにしたときに糸条供給部に
働く張力を測定したものであり、また吸引張力は
糸条を導糸管から排気ホースに至るまで吸引させ
たときに糸条供給部に働く張力を測定したもので
ある。

この第２図に示すように、スライダ１１を位置
Ｃにして連通口１０を閉塞した場合、ブースタチ
ユーブ８による吸引張力は実線のように圧力が
上がるほど上昇するが、これに対して導糸口４ａ
における吸込張力は実線のように或る圧力P₁
を境にして低下するという特性を有している。一
方、スライダ１１を位置Ｏにして連通口１０を開
口した場合、ブースタチユーブ８に吸引張力は破
線′のように実線よりも低下するが、導糸口
４ａにおける吸込張力は破線′のように実線
よりも高くなるという特性を有している。すなわ
ち、スライダ１１を位置Ｃにしたときには高い吸
引張力を得ることができ、位置Ｏにしたときには
高い吸込張力を得ることができるのである。

したがつて、上記サクシヨンガンは糸掛作業の
初期にはスライダ１１を位置Ｏにして確実な吸込
みを行うことができ、糸掛中はスライダ１１を位
置Ｃに切換えることにより高い吸引張力を得るこ
とができる。また、実施例のように連通口１０か
らバイパスした排気を排気ホース１２，１３の間
の通路１４に排出するようにし、そのまま大気中
に放出しないようにすれば、排気が発生する騒音
を抑制することができ、作業環境を良好にするこ
とができる。

なお、上記実施例では、スライダ１１を主排気
通路の管外壁外周を長手方向に手動するようにし
たが、スライダを管壁の円周方向に回動するよう
に設けて連通口１０を開閉するようにしてもよ
い。また、実施例では側通路である連通口１０を
副排気通路１５に連通させるようにしているが、
この副排気通路１５を設けないで、直接大気中に
噴出させるようにしてもよい。

また、上記実施例は、噴射口５からの噴射流を
ベンチユリ部３の軸線にほゞ平行となる直進流と
し、高吸引力を長いブースタチユーブ８によつて
得るようにしたものであるが、上記噴射口５をベ
ンチユリ部３の軸線に対し傾斜させ、その噴出流
を旋回流となるようにして高吸引力を得るように
したものであつてもよい。

〔発明の効果〕

上述したように、本発明は導糸管の後端周囲に
圧空の噴射口を設けると共に、該噴射口に続いて
ベンチユリ部及び排気通路を順次設けた糸掛用サ
クシヨンガンにおいて、前記ベンチユリ部の後部
に、前記排気通路から分岐した側通路を設け、該
側通路に、該側通路を開閉可能にしたバルブを設
けたから、糸掛作業の初期には側通路を開口させ
ることにより緒糸に対して高い吸込力を得ること
ができ、またバルブを切替えて側通路を閉塞する
ことにより糸掛中に連続供給される糸条に対する
高い吸引力を得ることができる。これにより、緒
糸の確実な吸込みと、、高速走行する糸条に対す
る糸掛作業とが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるサクシヨンガンの縦断面
図、第２図は吸引張力並びに吸込張力と排気通路
中の圧空圧力との関係図である。 １……本体、２……圧空室、３……ベンチユリ
部、３ａ……喉部、４……導糸管、５……噴射
口、８……ブースタチユーブ（排気通路）、１０
……連通口（側通路）、１１……スライダ（バル
ブ）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 先端に糸条を吸込む導糸口を有する導糸管の
   後端周囲に圧空の噴射口を設けると共に、該噴射
   口に続いてベンチユリ部及び排気通路を順次設け
   た糸掛用サクシヨンガンにおいて、 (イ) 前記ベンチユリ部の後部に、前記排気通路か
   ら分岐した側通路を設け、 (ロ) 該側通路に、該側通路を開閉可能にしたバル
   ブを設けたことを特徴とする糸掛用サクシヨン
   ガン。