JPH0549184U - 溶接機電極の検査装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極の形状にかかわらず，電極種類別の専用
部材を用いることなく，また，検査のための電極の位置
精度を要求することなく電極先端形状を検査することの
できる溶接機電極の検査装置を提供する。 【構成】 スポット溶接機の可動電極７と固定電極８と
により感圧抵抗板６の垂直方向から所定距離移動させて
加圧したとき，電極先端が所定の半球状であるときに
は，半球頂部で加圧された部分の感圧抵抗板６の板厚方
向の抵抗値を最低として，半球状の面で加圧される面積
に対応して板厚方向の抵抗値が変化する。一方，電極先
端が磨耗または研磨不足で平らになっているような場合
には，電極の感圧抵抗板６に対する移動距離が同一であ
ると，加圧され最低抵抗値を示す面積が大きくなるため
板厚方向の抵抗値は大きく変化する。従って，電極先端
が磨耗または研磨不足であることが感圧抵抗板６の板厚
方向の抵抗値を測定することで判定できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は，スポット溶接機における電極先端の磨耗状態あるいは研磨状態を検 査する溶接機電極の検査装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

スポット溶接は重ね合わせた被溶接物の両側から一対の電極で挟圧し通電する ことにより，重ね合わせた被溶接物の接触面に溶融凝固した部分を作って接合す ることで溶接がなされる。このスポット溶接機の電極先端は，溶接作業の繰り返 しと共に磨耗し溶接に適した形状が徐々に損なわれてくる。そこで，随時電極の 先端の磨耗状態を検査し，磨耗している場合には交換あるいは研磨して適正な先 端形状に保つように管理される。 上記電極先端の磨耗状態の検査，あるいは研磨の仕上がり状態の検査を行うた めに用いられる検査装置の従来例を図５に示す。 図５に示す電極検査装置は，磨耗した電極先端を研磨した切削状態を検査する もので，使用する電極３１の所定先端形状に合致する凹形状の電極形状型３２に 研磨した電極３１を当接させ，電極形状型３２の底部中央に設けた開口部３４に ，例えば近接スイッチ３３を設置して，電極３１の先端部との距離を測定し，電 極形状型３２に挿入した電極３１の先端の研磨の度合いを検査する。電極３１の 半球状の先端は使用ににより半球頂部が磨耗してくるので，これを半球状に回復 させることが研磨作業として行われるが，研磨が不足している場合には電極３１ の先端と近接スイッチ３３との距離が大きくなるので研磨不良を検出することが できる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来例における電極の検査装置において，検査する電極３１を挿入する電 極形状型３２は電極の種類に対応する凹形状を有するものが必要であるため，電 極の種類に応じた数の電極形状型を用意しなければならない。また，電極形状型 ３２の中心位置に正確に電極３１が挿入されないと，電極３１の先端と近接スイ ッチ３３との距離が正確に得られず，誤認検査となる恐れもある。 本考案は，電極の形状にかかわらず，電極種類別の専用部材を用いることなく ，また，検査のための電極の位置精度を要求することなく電極先端形状を検査す ることのできる溶接機電極の検査装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案が採用する手段は，板面垂直方向から加圧さ れる面積に比例して板厚方向の抵抗値が変化する感圧抵抗板と，スポット溶接機 の電極先端で前記感圧抵抗板を所定圧力で加圧したときの前記感圧抵抗板の抵抗 値を測定し，測定された抵抗値により前記電極先端の形状を判定する電極形状判 定手段とを具備してなることを特徴とする溶接機電極の検査装置として構成され る。

【０００５】

【作用】

本考案によれば，感圧抵抗板に対し電極を感圧抵抗板の垂直方向から所定圧力 で加圧したとき，電極先端が所定の半球状であるときには，半球頂部で加圧され た部分の感圧抵抗板の板厚方向の抵抗値を最低として，半球状の面で加圧される 面積に対応して板厚方向の抵抗値が変化する。一方，電極先端が磨耗または研磨 不足で平らになっているような場合には，電極の感圧抵抗板に対する加圧距離が 同一である最低抵抗値を示す面積が大きくなるため板厚方向の抵抗値は大きく変 化する。従って，電極先端が磨耗または研磨不足であることが感圧抵抗板の板厚 方向の抵抗値を測定することで判定できる。

【０００６】

【実施例】

以下添付図面を参照して本考案を具体化した実施例につき説明し，本考案の理 解に供する。尚，以下の実施例は本考案を具体化した一例であって，本考案の技 術的範囲を限定するものではない。 ここに，図１は本実施例に係る溶接機電極の検査装置の構成図（ａ）と別実施 態様の構成図（ｂ），図２は溶接機電極の検査装置の基本構成を示す説明図で， 図２（ａ）は電極先端が所定の形状である場合，図２（ｂ）は電極先端が磨耗ま たは研磨不足である場合を示す。図３は感圧抵抗板の構造例を示す断面図で，図 ３（ａ）は加圧力が加わらない状態，図３（ｂ）は加圧力を加えた状態を示す。 図４は図２による検査構成における感圧抵抗板の抵抗値の変化を示すグラフであ る。 まず，図２〜図４を用いて溶接機電極の先端形状を検査する基本構成について 説明する。 図２において，感圧抵抗板２を電極３に対して所定位置に配し，電極３の先端 が感圧抵抗板２に対して当接した状態から垂直方向に所定距離ｄだけ移動させて 感圧抵抗板２を加圧し，このときの感圧抵抗板２の板厚方向の抵抗値を測定する 。 感圧抵抗板２は異方導電性ゴム等からなり，板厚方向から加圧されたとき，加 圧面積に比例して板厚方向の抵抗値が変化するもので，例えば，図３（ａ）に示 すように導電性細粒１０を板厚方向に配列したゴム等により板状に形成されてお り，加圧を受けない状態では感圧抵抗板２は高抵抗を示すが，図３（ｂ）に示す ように，加圧されたときには加圧面積部分の導電性細粒１０に導通域が形成され ，板厚方向の抵抗値が変化する。また，感圧抵抗板２の加圧面の反対面には導電 層１１が形成されている。 図２（ａ）は電極３の先端が所定の半球状である場合を示しており，このとき 電極３の半球状頂部が加圧する部分の感圧抵抗板２の板厚方向の抵抗値が最も小 さく，円周方向に抵抗値が序々に大きくなるため，図示するように電極３と導電 層１１との間の抵抗値を抵抗測定器４で測定すると，電極３の半球状先端で加圧 されたときの感圧抵抗板２の板厚方向の抵抗値が検出される。一方，図２（ｂ） に示すように電極３の先端が磨耗または研磨不足で平らになっている場合には， 加圧されて抵抗値が最も小さくなる面積が広いため，電極３の先端が感圧抵抗板 ２に当接した状態から移動する加圧距離ｄを一定にしたときには，電極３と導電 層１１との間の抵抗値は，電極３の先端が所定の半球状である場合より小さくな る。この抵抗値の変化は，電極３先端の磨耗または研磨不足の状態によって図４ に示すように加圧面積に比例した抵抗値となるので，抵抗測定器４の測定値に良 否判定の基準値を設定しておけば，電極３の磨耗または研磨不足を抵抗測定器４ の測定値から判定することができる。 上記基本構成をもとに，スポット溶接機における一対の電極の磨耗または研磨 状態を同時に検査する構成を図１に示す。 図１（ａ）において，検査装置１は感圧抵抗板６と抵抗測定器４ａ，４ｂと良 否判定装置５とにより構成されている。感圧抵抗板６は導電層１１の両面に感圧 抵抗板６ａと感圧抵抗板６ｂとを接合して構成され，感圧抵抗板６をスポット溶 接機の可動電極７と固定電極８との間に配して，両電極７，８で挟圧することに より感圧抵抗板６ａは可動電極７の先端による加圧を受け，感圧抵抗板６ｂは固 定電極８の先端による加圧を受ける。従って，可動電極７と固定電極８とにより 感圧抵抗板６を挟圧したときの可動電極７と導電層１１との間の抵抗値を抵抗測 定器４ａで測定し，固定電極８と導電層１１との間の抵抗値を抵抗測定器４ｂで 測定して，この各測定値を良否判定装置５に入力して良否判定基準値と比較し， 表示することにより，可動電極７の先端形状と固定電極８の先端形状とを同時に 判定することができる。 また，図１（ｂ）に示すように各感圧抵抗板６ａ，６ｂのそれぞれの表面に可 撓性の導電膜１２を形成して構成すれば，この可撓性の導電膜１２と反対面の導 電層１１との間に抵抗測定器４ａ，４ｂを接続して，各感圧抵抗板６ａ，６ｂの 板厚方向の抵抗値を測定できるので，検査測定のための接続を各電極７，８に接 続することなく容易に実施することができる。

【０００７】

【考案の効果】

以上の説明の通り本考案によれば，感圧抵抗板に対し電極を感圧抵抗板の垂直 方向から所定距離移動させて加圧したとき，電極先端が所定の半球状であるとき には，半球頂部で加圧された部分の感圧抵抗板の板厚方向の抵抗値を最低として ，半球状の面で加圧される面積に対応して板厚方向の抵抗値が変化する。一方， 電極先端が磨耗または研磨不足で平らになっているような場合には，電極の感圧 抵抗板に対する加圧移動距離が同一であると，加圧面積が大きくなるため抵抗値 は大きく変化する。従って，電極先端が磨耗または研磨不足であることが感圧抵 抗板の板厚方向の抵抗値の変化を測定することで判定できる。 また，２枚の感圧抵抗板を積層した積層感圧抵抗板を相対向する一対の電極で 挟圧してときの各感圧抵抗板の抵抗値を測定すれば，一対の各電極の先端形状の 磨耗または研磨の状態を上記の方法により同時に判定することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の実施例に係る溶接機電極の検査装置
の構成図（ａ）と，別実施態様の構成図（ｂ）。

【図２】 本考案の実施例に係る溶接機電極の検査装置
の基本構成を示すもので，図２（ａ）は電極先端が所定
形状である場合，図２（ｂ）は電極先端が磨耗または研
磨不足である場合を示す構成図。

【図３】 感圧抵抗板の構造例を示す断面構造図。

【図４】 感圧抵抗板の加圧面積に対する抵抗変化を示
すグラフ。

【図５】 従来例に係る検査装置の構成図。

【符号の説明】

１──検査装置 ２，６，６ａ，６ｂ──感
圧抵抗板 ３──電極 ４，４ａ，４ｂ──抵抗測
定器 ５──良否判定装置 ７──可動電極 ８──固定電極

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】板面垂直方向から加圧される面積に比例し
   て板厚方向の抵抗値が変化する感圧抵抗板と，スポット
   溶接機の電極先端で前記感圧抵抗板を所定圧力で加圧し
   たときの前記感圧抵抗板の抵抗値を測定し，測定された
   抵抗値により前記電極先端の形状を判定する電極形状判
   定手段とを具備してなることを特徴とする溶接機電極の
   検査装置。