JPH0548701B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は１軸関節機構とあぐら振り機構を組合
わせてなる骨格義足における膝関節に関するもの
である。

＜従来の技術＞ 一般に、外観を健常肢と同じような形状、色彩
をもつウレタンカバーとなる外装部材を装着する
骨格義足における膝関節は、継手下部の上端に単
なるブレーキドラム型膝ドラムを設置し、該膝ド
ラムの前端に継手上部を連結して関節構造とし、
且つ該継手上部の前面と継手下部に連接の下腿骨
格部の前面間にわたり膝伸展用弾性バンドを張設
した構成としている。この場合、従来この種の膝
関節の機構は、歩行時の屈曲のみを狙つたもので
あり、椅子に腰掛けるとか床、畳に腰を下ろすな
どに伴う動作で、足組みするとか、あぐらを組む
等の如く足を横方向に回動する所謂あぐら振りは
できなかつた。

＜発明が解決しようとする課題＞ このため、近時は患者の要望により膝関節を、
歩行に際する前後方向の屈曲だけでなく、横方向
への回動（あぐら振り）もできるよう改良されて
きている。この場合の回動機構は、継手上部に連
設のソケツト側外郭部材に押ボタンを横突設し、
該押ボタンの奥端に装着した前記外郭部材に嵌合
せる継手上部の芯軸部に臨む係止ピンを押圧する
横向使用のクリツク機構とし、この押ボタンをウ
レタンカバーを隔てた外方よりその都度押圧操作
し、二重となるソケツト用外郭部材と継手上部の
係合を解き、この継手上部以下となる下腿側を横
振りするものである。即ち、従来のあぐら振り機
構は押ボタン操作を、外部からその都度手動作業
をもつて行うため、面倒な取扱いとなつている。

また、歩行に際する膝屈折の戻りとなる伸展機
構は、継手上部と継手下部の外面位置に配設する
弾性バンドをもつて行うため、ウレタンカバーを
喰い込む欠陥を有している。また、このウレタン
カバーの内側には、前記弾性バンド、押ボタンに
対応する箇所を少し削らねばならず製作も面倒で
あつた。

本発明は上記実情に鑑み、膝屈曲の戻りを義足
本体内に繰込む伸展レバーで戻し、且つ継手上部
の係合を所定の膝曲角度以上になると自動的に外
れるカム使用とし、前記課題を解決するようにし
た骨格義足における膝関節を提供することを目的
としたものである。

＜課題を解決するための手段＞ 本発明は、継手下部の上端に、該継手下部内の
弾発機構で制御される伸展レバーを後端に設けた
膝ドラムをドラム軸で枢着すると共に、この膝ド
ラムの前部に継手上部の支持腕部を取付け、且つ
継手上部の上面にあぐら用回転板を回動自在に載
置し、該回転板と継手上部とのピン係合を、前記
ドラム軸に設けた角度調整型固定カムに起因し、
膝が所定角度以上屈曲した時に外れるようにした
ものである。

＜作用＞ 上記のような構成のため、この膝関節は一般歩
行にあつて、蹴り出し位置から遊脚相に移行する
際に所定角度だけ前向き膝下りされ、遊脚相の終
期に伸展レバーの強制押戻しで伸展し円滑な歩行
を行う。また、腰掛け動作等のように所定歩行時
の最大膝屈曲より更に深く折曲すれば、該継手上
部より垂下突設のピン型従動体が、継手下部のド
ラム軸端の固定カムのカム面に従動して押し上げ
られ、この従動体で継手上部と回転板間に介在の
ピン係合となるクリツク軸を後退し、該回転板側
が横方向に回動自在となる。このことは、実質的
にソケツト側回動板を基準とすれば継手下部にあ
たる下腿側が横に振れることとなる。即ち、膝折
曲げを所定角度以上にすれば、クリツク軸が自動
的に外れ所謂あぐら振りができる。

＜実施例＞ 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
れば、次の通りである。

１は下方に下腿パイプ２を接続する継手下部
で、該継手下部１の上端後部の両側に突設の支持
片部１ａに、前部上方に向け傾斜のブレーキ用ス
リツト３を形成した膝ドラム４のドラム部４ａ
を、固定のドラム軸５の貫通をもつて支承し、該
膝ドラム４の前端に設けた嵌合部４ｂに、継手上
部６の前端下部に突設の支持腕部６ａを嵌合し、
支軸７の貫通で連結して膝関節本体８を構成する
と共に、この継手上部６の上面に重ねる水平のソ
ケツト側あぐら用回転板１０を設置し、この継手
上部６の中央に植設の芯軸９を回転板１０の中央
孔部１０ａに挿通し、且つ該回転板１０の周縁部
に下向き突設した内部にスプリング１１ａを配す
係止ピン１１を、常時（非横振り時）は継手上部
６の周縁部に設置のピン型従動体１２上に臨ませ
るクリツク機構とし、且つこの従動体１２は前記
ドラム軸５の側端部に設けた締付軸部３２で角度
調整となる固定カム１３のカム面１３ａの変位に
応じ昇降自在とし、あぐら振り機構１４を構成す
る。また、前記膝ドラム４の後端に一体突設のレ
バー受用支片１５には屈曲型進展レバー１６を接
続し、該伸展レバー１６の下端を、前記継手下部
１の内部下端に突設の支持筒１７に装着した弾発
機構となるスプリング１８付の摺動駒１９に連結
し、全体として安全歩行型の膝関節２０となる。
この場合、継手上部６の中央下面に設置したレバ
ー部６ｂを前記膝ドラム４のスリツト上部となる
締付片部４ｃに接触させる。また、前記回転板１
０の上部にはアライメント調整手段２２を設置す
る。このアライメント調整手段２２は、回転板１
０の上面に載置の椀状リング２１の弯曲面２１ａ
に環状ソケツト台座２３の下面の弯曲面２３ａを
重ね、且つ該ソケツト台座２３の環枠内２３ｂに
設置するテーパー駒体２４、四方外周から横挿通
する４本の規制ボルト２５の繰込み量でアライメ
ントを決める構成としている。この逆向き設置の
テーパー駒体２４は、中央に挿通する固定ボルト
２６を前記回転板１０に貫通の継手上部６の芯軸
９に配するナツト体２７に螺合し締付固定とす
る。また、このテーパー駒体２４は締付軸部２４
ａと外郭テーパー部２４ｂ間にベアリング２８を
介在し、継手上部６に固定しても外郭テーパー部
２４ｂが回転板１０の回動に伴い可動となる構成
である。２９は断端部を入れるソケツトで、該ソ
ケツト２９は下面設置のソケツト台座２３に穿つ
たネジ孔３１より挿通する取付ボルト３０の先端
を螺挿して一体とする。また、前記角度調整型固
定カム１３の固定は、ドラム軸５を反対側から貫
通する締付軸部３２端を螺合する引張りにて固定
し、且つ補助的に支持片部１ａに接衝する止ビス
３３を配設している。この固定カム１３は締付軸
部３２の締付位置の設定でカム変位を予め変え係
止ピン１１の離反位置（角度）を調整自在として
いる。

次にこの作用を説明すると、先ずこの膝関節２
０の使用に際し、継手下部１の接続筒部１ｂに下
腿パイプ２を挿嵌し締付ネジ３４をもつて固定
し、継手上部６の上面に取付けたソケツト台座２
３に大腿ソケツト２９を固定しておく。この状態
でソケツト２９に患者の断端部を嵌めてセツトす
る。この場合、アライメント（軸位）の調整は、
ソケツト台座２３の四方に挿通した規制ボルト２
５を適宜螺挿しこの先端をテーパー駒体２４のテ
ーパー面２４ａに押圧し、この螺挿度に応じテー
パー駒体２４を移動し実質的にソケツト台座２３
を左右前後にずらして膝関節側の軸位を調整す
る。この時、中間位置となる椀状リング２１をソ
ケツト台座２３の弯曲面２３ａに対してずらし傾
斜を付けることもできる。また、この骨格義足全
体にウレタンカバーの外装部材Ａを装着する。

ここにおいて、所定の歩行を行えばよい。即
ち、立脚相の末となる蹴り出し期の終りから遊脚
相への移行に際する体重の掛かりで膝関節は、接
地側となる継手下部１を基準とし、該継手下部１
と膝ドラム４のドラム軸５を支点として適宜屈曲
する（第８図参照）。この場合、屈曲に伴い傾斜
する膝ドラム４は、後端の支片１５に連結の伸展
レバー１６を、継手下部側の支持筒１７に装着の
スプリング１８の弾発に抗して押し下げるため、
遊脚相となつて足部が地上より離れると、前記ス
プリング１８の弾発により伸展レバー１６は押し
上げられ膝ドラム４が元の位置まで戻り回動す
る。即ち、遊脚相に移行したときのリリースを強
制的に敏速に行い得る。また、歩行中、所定の膝
曲げ位置で止めたいときは、大腿側に体重を移せ
ば、継手上部６の下面のテコ作用をもつレバー部
６ｂで膝ドラム４のスリツト上部となる締付片部
４ｃを押圧旋回させるため、このドラム部４ａが
狭まりドラム軸５にきつく接衝し迅速ブレーキ動
作をし、その屈曲状態のままが保たれる。尚、正
常歩行に伴う膝屈曲範囲にあつては、継手上部６
側から垂下してなる従動体１２が固定カム１３の
カム面１３ａを摺動しても所定のカム変位位置ま
で達せず、従つて該従動体１２に接する係止ピン
１１を回転板１０内に押し戻すまで至らず、該回
転板１０はまだ不動（固定）である。

次に、腰掛けるときの足組み等で下腿を横に振
りたいときは、起立状態から前記ドラム軸５を支
点として継手上部６を折曲げて行けば、これに伴
い従動体１２が固定カム１３のカム面１３ａを摺
動し所定角度（例えば90°）に達したとき、前記
カム面１３ａは最大変位ａ位置となるため、該カ
ム面１３ａを摺動させる従動体１２が押上げら
れ、これに当接の回転板１０側の係止ピン１１を
スプリング１１ａに抗して後退させ、この回転板
１０内に没入させ（第９図参照）、該回転板１０
は係合が外れフリーとなる。この後、継手上部６
より下方となる下腿側を横に廻せば、該下腿側が
横に振られ足組状態となる。このことは、座敷に
上がつたときのあぐら組みに際しても同様であ
る。

また、元の歩行状態に戻す場合は、下腿側を前
記と逆に回転し回転板１０内に後退している係止
ピン１１をて継手上部６の従動体１２の軸線上に
合致させ、然る後、下腿側を地面に付けて立ち上
がれば（膝関節を真つ直ぐにする）、前記従動体
１２は固定カム１３のカム面１３ａの最大変位ａ
位置より移動して戻るため、該従動体１２は上方
の係止ピン１１のバネ圧の押し出しで降下追従さ
れると共に、係止ピン１１の先端部が継手上部６
の軸孔３５に差込まれピン係合となり、継手上部
６と回転板１０は一体となる。この後は、前記同
様に正常歩行を行えばよい。

＜発明の効果＞ 上述のように本発明の骨格義足における膝関節
は、継手上部の上面に配設する回転板に装着の係
止ピンを、継手上部に垂直装着の従動体側に嵌合
自在とし、該従動体を継手下部に設けた膝ドラム
のドラム軸端の固定カムに摺動するようにしたこ
とで、歩行に対しては正常歩容を取れる。この場
合、膝ドラムには伸展レバーを配設し膝屈曲後の
リリースを強制的とし円滑、安全な歩行ができ
る。また腰掛けるときの足組とか、あぐらを組む
ときは、この膝関節を歩行最大屈曲角より大きく
曲げるだけで、継手上部側の従動体が固定カムの
変位に追従し前記係止ピンを上方へ後退させ、継
手上部と回転板のピン係合が自動的に外れ下腿側
を横に振ることができる。再度の歩行に当たつ
て、下腿側を元に位置に戻し廻わしをして立ち上
がるだけで、クリツク機構となる係止ピンのカム
変位規制が解けあぐら振り機構が自動的にロツク
され、面倒な操作を要しない。また、この場合固
定カムの締付固定位置の設定如何で膝の深い折曲
げ、浅い折曲げでも横振りが可能となる。更に本
発明で良い点は、従来のような押ボタンが消えた
あぐら機構とし、伸展機構を外部装着構造でなく
骨格内装の構成としてなるため、ウレタンカバー
の外装部材の喰込み減少もなく、長期使用に耐
え、且つ製作も容易となる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は側面
図、第２図は正面図、第３図は反対側から見た側
面図、第４図は要部縦断側面図、第５図は分離し
た斜面図、第６図は使用状態の側面図、第７図、
第８図は正常歩行時の説明図、第９図は係止ピン
離反の説明図、第１０図は横振り状態の説明図で
ある。 １……継手下部、４……膝ドラム、５……ドラ
ム軸、６……継手上部、１０……あぐら用回転
板、１１……係止ピン、１２……従動体、１３…
…角度調整型固定カム、１３ａ……カム面、１６
……伸展レバー、１８……スプリング、１９……
摺動駒。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 継手下部の上端に、該継手下部内の弾発機構
   で制御される伸展レバーを後端に設けた膝ドラム
   をドラム軸で枢着すると共に、この膝ドラムの前
   部に継手上部の支持腕部を取付け、且つ継手上部
   の上面にあぐら用回転板を回動自在に載置し、該
   回転板と継手上部とのピン係合を、前記ドラム軸
   に設けた角度調整型固定カムに起因し、膝が所定
   角度以上屈曲した時に外れることを特徴とする骨
   格義足における膝関節。