JPH0548137B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、簡単なシステムで血液を体外循環さ
せ、その血液中の成分を除去するための装置に関
するものである。

（従来技術及びその問題点） 血漿分離交換システム、血液濾過または透析シ
ステムのごとく、血液を体外循環させ、フイルタ
膜を介して血液中のターゲツト物質を除去する方
法が従来から知られている。

こうしたシステムは、いずれも血液ポンプや各
種モニタその他の周辺機器類が必要で、全体の構
成が複雑であり、回路のセツトが面倒であつた。
また、治療に際しては、通常、患者の血管に手術
によつてシヤントを接続するため、治療開始まで
の準備作業が大変である。

このため、緊急時や術後の患者、あるいはドナ
ーフエレシス供血者などに、簡易に上記システム
を適用することは難しく、システムの簡素化が望
まれていた。

本発明は、このような現状に鑑み、緊急時など
に簡単に血液体外循環療法を実施できるシステム
を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために採用した本発明の手
段は、 血液体外循環回路に設けられ、血液中の成分を
除去するための血液処理器と、 前記血液処理器に血液を送給するための血液送
給装置と、 前記血液送給装置の血液入側と出側に設けられ
るクランプ手段と、 前記血液処理器の上流側に設けられ、前記血液
送給装置から送られてきた血液を血液処理器に導
入する前に一時貯留するための血液貯留具と、 前記血液処理器の排液口に連通された排液収納
バツグと、 前記血液処理器の下流側に接続され、返血され
る血液中に薬剤を混入するための薬液収納バツグ
を備え、 前記血液送給装置は、気密状態に保持されたハ
ウジングと、該ハウジング内に収納され前記血液
体外循環回路と連通する軟質バツグと、前記ハウ
ジングの内部を減圧又は加圧するポンプから構成
されていること、 を特徴とする。

（作用） 血液送給装置の入側クランプ手段を開け、出側
クランプ手段を閉じると共に、血液送給装置のポ
ンプを作動させてハウジング内を減圧すると、軟
質バツグの内部に供血者から血液が導入される。
次に入側クランプを閉じ、出側クランプを開けて
ポンプによりハウジング内を加圧すると、軟質バ
ツグ内の血液は血液貯留具に導入され、そこに一
旦貯留される。血液貯留具内の血液は次に送られ
てくる血液の圧力により血液処理器に導入され、
血液成分が除去される。除去された排液は廃液収
納バツウに収納される。また血液処理器で成分除
去処理された血液には薬剤収納バツグから必要な
薬液が混入され、その後、供血者に返血される。

（実施例） 以下本発明を血漿交換装置に適用した場合の実
施例を添付図面に従つて説明すると、同図におい
て、１はシングルニードル、２は体外循環回路で
あり、前記シングルニードル１は二又に分岐して
体外循環回路２の各端部が接続されている。

前記体外循環回路２は塩化ビニル等のチユーブ
であり、その中間部には、血液送給装置３、血液
貯留具４、血漿分離器５が順次設けられるととも
に、血漿分離器５の下流側には血液製剤が入つた
バツグ６が前記回路２から分岐して設けられてい
る。また、血液送給装置３の血液入側及び出側に
は、それぞれクランプ７，８が設けられている。

血液貯留具４は血漿分離器５の上流側に接続さ
れており、血液送給装置３から送られてきた血液
を一時貯留し、後から送られてきた血液の圧力に
より血液貯留具４内の血液を血漿分離器５に導入
している。なお、血液製剤収納バツグ６の連結チ
ユーブは流量調整用のクランプ１３が設けられて
いる。

前記血液送給装置３は、内部を気密状態に保持
したハウジング９と、その内部に備えられた軟質
バツグ１０から構成されており、その軟質バツグ
１０の出入口は前記回路２のチユーブと連通して
いる。

前記ハウジング９は硬質プラスチツク等所定の
剛性を有する材質で作られ、また軟質バツグ１０
は軟質塩化ビニール、シリコーンゴムその他弾力
性のある材質で作られている。

また、前記血液送給装置３には、ハウジング９
の内部の空気を吸引または吸入するためのポンプ
１１が設けられている。このポンプ１１は前記ク
ランプ７，８と連動しており、ハウジング９内の
空気を吸引する場合は、入側クランプ７が開、出
側クランプ８が閉となり、空気を吸入する場合は
入側クランプ７が閉、出側クランプ８が開となる
ように機械的もしくは電気的手段によつて制御さ
れる。

なお、前記クランプ７，８としては、回路２の
チユーブを外方から押圧し、流路を閉塞もしくは
開放する方式のものが好ましい。

一方、前記血漿分離器５は、本実施例の場合、
ケーシング内に多数の中空糸膜を収納したタイプ
のものが使用されている。この中空糸膜は血球成
分を通過させないが血漿成分は通過させる大きさ
のポアサイズ（たとえば0.04μ）を有しており、
本実施例ではポリビニルアルコール膜が使用され
ている。

なお、血漿分離器５の排液出口には排液バツグ
１２が接続されている。

本発明の場合、前記血液貯留具４、血液製剤収
納バツグ６、排液バツグ１２は塩化ビニル等の軟
質プラスチツク製とするのが好ましい。

次に、上記実施例の操作手順を説明すると、ま
ず、システム全体に生理食塩水を充填し、リンス
した後、プライミングを行なう。その後、シング
ルニードル１を患者に接続し、ポンプ１１により
ハウジング９内の空気を吸引し減圧する。このと
き入側クランプ７は自動的に開、出側クランプ８
は閉となり、血圧により血液が軟質バツグ１０内
に流入する。

こうして、一定量（たとえば100ml）軟質バツ
グ１０内に採血されると、その重量により自動的
にポンプ１１は停止し、同時に入側クランプが
閉、出側クランプ８が開となる。続いて、ポンプ
１１によりハウジング９内へ空気を送給し、軟質
バツグ１を加圧して、内部の血液を血液貯留具４
に送り込む。この血液貯留具４内の血液は、後か
ら送られてくる血液の圧力により、血漿分離器５
に送られ、内部の中空糸膜を介して血球成分と血
漿成分とに分離される。

分離された血漿成分は排液バツグ１２に排出さ
れ、また、血球成分は循環回路２を通り、途中、
バツグ６から血液製剤その他の薬剤が混入された
後、シングルニードル１から患者に返血される。

以上のような本発明は、血漿分離交換システム
の他、血液濾過システム、血液透析システム、血
漿採取システム等にも適用することができる。

（効果） 以上説明した本発明によれば、以下のような優
れた効果を得ることができる。

血液送給装置から送られてきた血液は一時血
液貯留バツグに貯留した後、血液処理器に導入
されるため、血液処理器内部の濾過圧を安定さ
せた状態で血液成分の除去処理をすることがで
きる。また、必要とあれば血液貯留バツグを手
などで加圧して濾過圧を高くすることもでき
る。さらに、血液処理器で処理された排液は、
あらかじめ接続された排液貯留バツグに収納さ
れ、体内に返血される血液中には薬液供給バツ
グから所定量の薬液が混入される。したがつ
て、緊急患者や単なる供血者の場合、血液ポン
プやモニタ等の大掛かりな装置がなくとも簡易
に血液体外循環法による血液成分除去処理が可
能となる。

血液の流路経路は完全なクローズドシステム
となつているため、外気に触れることがなく衛
生的であり、しかも血液送給装置での空気圧の
操作により採血・返血をソフトに行うため、溶
血等の心配もない。

ポンプ及びクランプ手段を除けば、すべての
構成部材がプラスチツクによるデイスポーザブ
ルかが可能であり、使用に際してもポンプ及び
クランプ手段を所定位置にセツトするだけで操
作が簡単である。

【図面の簡単な説明】

添付図面は、本発明の実施例を示すシステム概
略図である。 図中１はシングルニードル、２は体外循環回
路、３は血液送給装置、４は血液貯留具、５は血
漿分離器、７，８はクランプ、９はハウジング、
１０は軟質バツグ、１１はポンプである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 血液体外循環回路に設けられ、血液中の成分
   を除去するための血液処理器と、 前記血液処理器に血液を送給するための血液送
   給装置と、 前記血液送給装置の血液入側と出側に設けられ
   るクランプ手段と、 前記血液処理器の上流側に設けられ、前記血液
   送給装置から送られてきた血液を血液処理器に導
   入する前に一時貯留するための血液貯留具と、 前記血液処理器の排液口に連通させた排液収納
   バツグと、 前記血液処理器の下流側に接続され、返血され
   る血液中に薬剤を混入するための薬液収納バツグ
   を備え、 前記血液送給装置は、気密状態に保持されたハ
   ウジングと、該ハウジング内に収納され前記血液
   体外循環回路と連通する軟質バツグと、前記ハウ
   ジングの内部を減圧又は加圧するポンプから構成
   されていること、 を特徴とする血液体外循環処理装置。