JPH0547658Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔概要〕 インクリボンカセツトのインクリボンが印字ヘ
ツドの部分へ引き出される部分の直前に、インク
リボンが巻着されるように回転自在なローラと、
巻着されたインクリボンがローラから離脱する部
分に、該インクリボンの背面から圧接させるばね
圧接手段とを設けて、ローラにインクリボンを圧
接させることにより、印字ヘツドに供給されるイ
ンクリボンの斜行などの不都合が生じないように
する。

〔産業上の利用分野〕

本考案はプリンタに使用されるインクリボンカ
セツトの構造にかかり、とくに印字部に引き出さ
れるインクリボンの斜行などが生じるのをなくす
る構造に関する。

近年、データ処理装置の入出力端末機や、ワー
ドプロセツサなどのプリンタとして各種のシリア
ルプリンタが開発、実用化されている。

とりわけ、シリアルドツトプリンタはドツトで
文字、画像などを構成して印字を行なうために、
オフイスオートメーシヨン（OA：office
Automation）における端末機として用途が拡大
しており、印字の高速化とともに印字品質の向
上、および装置の高信頼性が要求されている。

第２図の平面図に示すように、熱転写形プリン
タの印字部は左右両側にサイドフレーム１，１を
そなえ、サイドフレーム１，１間にはプラテン２
が回転自在に支持されている。このプラテン２に
は印刷用紙３が二点鎖線で示されるように巻掛け
られ、モータ４の回転にともなうギヤ５ａとギヤ
５ｂの歯車列を介したプラテン２の回転により矢
印Ａ方向に送られる。

プラテン２の前面図示下方にキヤリア６がプラ
テン２と平行に配置されたガイドシヤフト７に左
右方向へ摺動自在に係合支持されており、キヤリ
ア６はプラテン２と平行に設けられている送りね
じ８に螺合されている。送りねじ８はベルト９を
介して別のモータ１０に接続されており、モータ
１０の正逆方向への回転によつて、キヤリア６を
矢印Ｂ−Ｃ方向への往復移動をさせることができ
る。

キヤリア６にはインクリボンカセツト１１が搭
載されており、インクリボンカセツト１１には内
部に収納されているインクリボン１１ａがその一
部をプラテン２に対向されるように露出させられ
ている。このキヤリア６にはドツトによつて印字
を行なう発熱素子をそなえた印字ヘツド１２が、
インクリボンカセツト１１に嵌まり込むようにし
てインクリボン１１ａの背面位置に配置されてい
る。

〔従来の技術〕

インクリボンカセツト１１は第３図の内部配置
を示す平面図に示されるように、収納筐体１４′
の内部右方にインクリボン１１ａが巻装された供
給部１３を回転可能にそなえられるとともに、イ
ンクリボン１１ａを露出させるための引き出し孔
と引き込み孔の部分に、それぞれリボンガイド１
５ａおよび１５ｂが形成されている。このリボン
ガイド１５ａ，１５ｂ間にはインクリボン１１ａ
が張架されて印字ヘツド１２により印字が行なわ
れるように構成されている。

収納筐体１４′内部左方にはインクリボン１１
ａを巻取る巻取り部１６が回転自在にそなえられ
ており、巻取り方向へ図示省略の外部の駆動源に
滑り摩擦クラツチなどを介して接続されるように
なつている。

以上のような構成で、インクリボン１１ａは巻
取り部１６の巻取り力で引つ張られて供給部１３
から引き出され、リボンガイド１５ａを経由して
印字ヘツド１２に供給され、他方のリボンガイド
１５ｂから引き込まれて巻取り部１６に巻取られ
る。

印字品質を良好とするために巻取られるインク
リボン１１ａに所定のテンシヨン力を付与するこ
とが必要であり、このために引き出し孔の手前の
リボンガイド１５ａと隣接した下面に当接部１７
を設け、先端にフエルトなどの摩擦部材１８を取
り付けて支点１９を軸にして矢印Ｄ方向に付勢さ
れた板ばね２０を設け、当接部１７との間にイン
クリボン１１ａを挟圧させ制動力によるテンシヨ
ンを付与させるようにしている。

このような構成のインクリボンカセツト１１を
第２図に示されるキヤリア６上に搭載させると、
巻取り部１６に駆動源が接続されプリンタの印字
動作に連動されて、巻取り部１６を巻取り方向に
回転させながらキヤリア６の矢印Ｃ方向への移動
とともに印字を終えたインクリボン１１ａが巻取
られる。このとき、印字ヘツド１２はＣ方向への
移動にしたがつて発熱し、インクリボン１１ａの
インクを溶融しプラテン２上の印刷用紙３上に転
写して指定された所定の印字を行なう。

１行分の印字が終了すると改行のためにモータ
４が逆転され、ギヤ５ａ，５ｂを介したプラテン
２の回転により印刷用紙３は矢印Ａ方向に送られ
印字が継続して行なわれる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

以上のように従来構成のインクリボン１１ａは
印字ヘツド１２の前面に供給されるが、インクリ
ボン１１ａにテンシヨンを付与するために設けた
当接部１７は、インクリボン１１ａ表面との摺動
接触により傷付いたり、インクなどの種々の物質
が付着し易く、このためにインクリボン１１ａに
付与されるテンシヨンの変動が大きく変化するほ
か、付着物は幅方向に平均しないことから背面か
ら圧接される摩擦部分１８による押圧が不均一と
なり、インクリボン１１ａが斜行したり、折れや
皺などを生じる原因となり、印字の汚れ、巻取り
ならびに走行状態の不安定状態をひきおこすなど
の問題点があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

上記従来の問題点は本考案の構成による、イン
クリボンを供給する供給部と、該インクリボンを
巻取る巻取り部と、上記供給部と巻取り部とを収
納する収納筐体と、上記供給部から引き出されて
巻取り部に巻取られるインクリボンの途中が印字
ヘツドに接するよう上記収納筐体の外部に引き出
されるための引き出し孔ならびに引き込み孔と、
該引き出し孔の直前に設けられ巻取り部の方向へ
移動されるインクリボンの表面側に接触させられ
るとともにその周面に巻着される回転自在なロー
ラと、該ローラに巻着されたインクリボンが上記
引き出し孔に向けて該ローラから離脱する部分に
インクリボンの背面側からインクリボンをローラ
に圧接させるばね押圧手段と、を設けてなること
を特徴とするインクリボンカセツトであり、ばね
押圧手段は先端部分が折り曲げられた板ばねと該
折り曲げられた内側部分の面に取り付けられたフ
エルトとからなり、該フエルト部分が板ばねの弾
性力でインクリボンと圧接されるように構成され
たインクリボンカセツト、により解決される。

〔作用〕

インクリボンを印字のために引き出される引き
出し孔の直前に設けられた回転自在なローラに巻
着接触されたインクリボンに対し、ローラに巻着
開始側と巻着されている部分とはそのままとし、
インクリボンが引き出し孔に向けてローラから離
脱しようとしている部分に対して、ばね押圧手段
でインクリボンをローラに圧接させることによ
り、供給部から引き出されるインクリボンは供給
部の回転摩擦抵抗などによる適宜な張力でローラ
の周面に正確に接触ガイドされて回転巻着状態が
得られる。

このために、巻着部分には余計な作用力が作用
しないので、自然にローラ面にしたがつてインク
リボンが装着されるわけである。このように安定
した姿勢のインクリボンはローラから離脱するま
でそのままローラに添つており、離脱部分で押圧
手段によりローラに圧接された状態が確保されて
印字部分に引き出され、印字ヘツドに対して安定
した姿勢でテンシヨンの付与された状態で供給さ
れ、印字が行なわれるから従来のような斜行など
の不都合なことは生じない。ローラとの離脱部分
で圧接させることの利点は印字ヘツドなどによる
巻取り側からのインクリボンを斜行させるような
作用力が作用しても、ここで圧接させることでロ
ーラとの巻着部分への影響は分断阻止されるから
安定した走行姿勢が維持される。

〔実施例〕

以下図面を参照して本考案を実施例にもとづき
詳細かつ具体的に説明する。

第１図ａは本考案のインクリボンカセツトの一
実施例の平面図であり内部の配置状態が示され
る。なお、全図面を通じて同一箇所には同一符号
を付して示してある。

第１図ａの平面図に示されるように、インクリ
ボンカセツト２３は収納筐体１４内部の図示右方
にインクリボン１１ａが巻装された供給部１３を
回転可能にそなえられるとともに、インクリボン
１１ａを印字部分に露出させるための引き出し孔
と引き込み部分に、それぞれリボンガイド１５ａ
および１５ｂが形成されている。このリボンガイ
ド１５ａ，１５ｂ間にはインクリボン１１が張架
されて印字ヘツド１２により印字が行なわれるよ
うに構成されている。

収納筐体１４内部の図示左方にはインクリボン
１１ａを巻取る巻取り部１６が回転自在にそなえ
られており、巻取り方向へ図示省略の外部駆動源
に滑り摩擦クラツチなどを介して接続されるよう
になつている。

以上のような構成で、インクリボン１１ａは巻
取り部１６の巻取り力で引つ張られて供給部１３
から引き出され、リボンガイド１５ａを経由して
印字ヘツド１２へ供給され、他方のリボンガイド
１５ｂから引き込まれて巻取り部１６に巻取られ
る。

印字品質を良好とするために巻取られるインク
リボン１１ａに所定のテンシヨン力を付与するた
めの制動力を作用させるの、本考案では供給部１
３から引き出されたインクリボン１１ａが、途中
に立設されたガイドピン２８ａ，２８ｂによつて
走行方向が規定されて印字ヘツド１２部へ引き出
される引き出し孔の直前に、回転自在なローラ２
１を設けこのローラ２１面にインクリボン１１ａ
を巻着させるように配置したことにある。

このローラ２１は収納筐体１４に立設された回
転軸２１ａに支持されて回転自在なものであり、
しかもガイドピン２８ｂとリボンガイド１５ａと
にガイドされる間に割り込んで、インクリボン１
１ａを大きく彎曲迂回させるよう図示状態に位置
させたことにより、インクリボン１１ａがローラ
２１面に十分な長さで巻着されるように構成され
ている。

さらに、ローラ２１に巻着されたインクリボン
１１ａが引き出し孔に向けて離脱しようとしてい
る部分に、インクリボン１１ａをローラ２１に圧
接させてテンシヨン力を付与させるためのばね押
圧手段２２を設けている。このばね押圧手段２２
はガイドピン２８ａ，２８ｂ間に掛け渡されたイ
ンクリボン１１ａとほぼ並行状態に取り付けられ
た板ばね２４ａの先端が折り曲げられ、その折り
曲げられた内側部分の面に取り付けられたフエル
ト２５ａとからなるものである。板ばね２４ａの
図示右方は係止ピン２７によつて位置決め支持さ
れており、中間の支持ピン２６とでローラ２１方
向への弾性的なばね圧接力が付与されている。

このように板ばね２４ａを折り曲げることによ
り、丁度インクリボン１１ａがローラ２１から離
脱する部分を、ローラ２１を回り込むようにして
フエルト２５ａで圧接させることができる。

上記構成のインクリボンカセツト２３を第２図
に示されるキヤリア６上にインクリボンカセツト
１１に代えて搭載させると、巻取り部１６に駆動
源が接続されプリンタの印字方向に連動されて、
巻取り部１６を巻取り方向に回転させながらキヤ
リア６の矢印Ｃ方向への移動とともに印字を終え
たインクリボン１１ａが巻取られる。このとき、
印字ヘツド１２はＣ方向への移動にしたがつて発
熱し、インクリボン１１ａのインクを溶融してプ
ラテン２上の印刷用紙３に転写し指定された所定
の印字を行なう。

１行分の印字が終了すると改行のためにモータ
４が逆転され、ギヤ５ａ，５ｂを介したプラテン
２の回転により印字用紙３は矢印Ａ方向に送られ
印字が継続して行なわれる。

一方、インクリボンカセツト２３内では供給部
１３から引き出されたインクリボン１１ａが、ガ
イドピン２８ａ，２８ｂによつて走行方向を規定
され、ローラ２１に巻着されて引き出し孔の部分
のリボンカセツト１５ａの方向へ引き出される。
インクリボン１１ａはローラ２１と離脱する部分
をばね押圧手段２２で圧接されているから、ロー
ラ２１に接触を開始して離脱するまではローラ２
１の面と密着されており、供給部１３の回転摩擦
抵抗、およびガイドピン２８ａ，２８ｂとの接触
抵抗などによるテンシヨン力で、このローラ２１
面をガイドとして安定した走行位置が維持確保さ
れ正確な引き出し姿勢が得られる。

インクリボン１１ａの表面と接触するローラ２
１は回転自在であるから、インクリボン１１ａの
移動によつてずれることなく同一の回転速度で追
従回転されることになり、インクリボン１１ａ表
面のインクなどと摺動接触しないことで従来のよ
うな問題点はまつたく生じることがない。インク
リボン１１ａの背面を圧接するばね押圧手段２２
は、インクリボン１１ａがローラ２１から離脱し
ようとする部分を圧接していることで、印字ヘツ
ド１２や印刷用紙３などと接することによるイン
クリボン１１ａへの斜行力などを分断するように
抑え、ローラ２１に巻着されているインクリボン
１１ａ側への伝達されることを阻止している。し
たがつてインクリボン１１ａの走行姿勢は安定に
維持されることになる。

ばね押圧手段は第１図ｂに示される他の実施例
および、第１図ｃの斜視図（同図ｂのＥ部拡大斜
視図）に示される２２ａのようなことでも実現可
能である。すなわち、巻取り部１６の巻取り力で
引つ張られるインクリボン１１ａがローラ２１と
離脱しようとしている位置P₁で、フエルト２５
ａの先端部２５a′を圧接させるようにしたことで
あつてもよい。

このフエルト２５ａの先端部２５a′がインクリ
ボン１１ａを圧接させる位置は、ローラ２１との
接触開始位置P₂と離脱位置P₁との間であれば、
いずれの位置でも印字ヘツド１２ならびに巻取り
部１６に対するテンシヨン付与のための制動力を
与えることは可能であるが、終端部である離脱位
置P₁とすることが前実施例で記述したことによ
り有効であることは同様である。しかしながら、
この実施例によれば先端部２５a′としたことによ
り、局部的に集中して圧接作用がなされるから、
インクリボン１１ａの巻着範囲を多くすることが
できる。巻取り部側からの不都合な作用力に対し
ても明確に分断阻止することができるといつた格
別な作用、効果をもたらすものである。

以上のように本考案によれば、ばね押圧手段が
ローラを回りこむようにしてインクリボンの走行
方向に対して同方向にばね付勢しているから、単
に圧接させるものに比べて圧接部分が引き込まれ
るようになり、ばねの圧接力以上の作用が得られ
るといつた作用ならびに効果を奏する。

〔考案の効果〕

以上詳細に説明したように、本考案のインクリ
ボンカセツトをプリンタに使用することにより、
印字ヘツドに対するインクリボンの供給姿勢状態
が変動することなく安定し、印字品質の向上なら
びに信頼性の向上が果たされる実用上の効果はき
わめて顕著なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは本考案のインクリボンカセツトを示
す平面図、第１図ｂは本考案のインクリボンカセ
ツトの他の実施例を示す平面図、第１図ｃは同図
ｂのＥ部拡大図、第２図は熱転写形プリンタ装置
の印字部の概要を示す平面図、第３図は従来のイ
ンクリボンカセツトの概要を示す平面図、であ
る。 全図において、１１，２３はインクリボンカセ
ツト、１１ａはインクリボン、１２は印字ヘツ
ド、１３は供給部、１４，１４′は収納筐体、１
５ａ，１５ｂはリボンガイド、１６は巻取り部、
１７は当接部、１８，２５ａはフエルト、１９は
支点、２０，２４ａは板ばね、２１はローラ、２
１ａは回転軸、２２，２２ａは押圧手段、２６は
支持ピン、２７は係止ピン、２８ａ，２８ｂはガ
イドピン、である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ インクリボン１１ａを供給する供給部１３
   と、該インクリボンを巻取る巻取り部１６と、
   上記供給部と巻取り部とを収納する収納筐体１
   ４と、上記供給部から引き出されて巻取り部に
   巻取られるインクリボンの途中が印字ヘツド１
   ２に接するよう上記収納筐体１４の外部に引き
   出されるための引き出し孔ならびに引き込み孔
   と、該引き出し孔の直前に設けられ巻取り部の
   方向へ移動されるインクリボン１１ａの表面側
   に接触させられるとともにその周面に巻着され
   る回転自在なローラ２１と、該ローラに巻着さ
   れたインクリボンが上記引き出し孔に向けて該
   ローラから離脱する部分にインクリボンの背面
   側からインクリボンをローラに圧接させるばね
   押圧手段２２と、を設けてなることを特徴とす
   るインクリボンカセツト。 ２ ばね押圧手段２２は先端部分が折り曲げられ
   た板ばね２４ａと該折り曲げられた内側部分の
   面に取り付けられたフエルト２５ａとからな
   り、該フエルト部分が板ばねの弾性力でインク
   リボン１１ａに圧接されるようにしたことを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記載
   のインクリボンカセツト。