JPH0546983Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、シートクツシヨンを前端部を下にし
て倒立させるとともに、シートバツクを前方へ倒
し込み、該シートバツクの背面を荷台面として利
用する車両用シートに関する。

「従来の技術」 従来の車両用シートとしては、例えば第５図に
示すようなものがある。

車両用シート１は、シートクツシヨン２とシー
トバツク３とを有して成り、前記シートクツシヨ
ン２は、前端部２ａを下にして倒立可能に車体側
フロアＦに枢着されており、前記シートバツク３
は、車体側フロアＦに固設されている支持ブラケ
ツト４，４に、着座可能な設定状態と略水平な状
態に倒し込まれた変位状態との間で起倒可能に枢
着されている。

支持ブラケツト４，４には、シートバツク３の
要部と当接して該シートバツク３を変位状態の位
置に規制するストツパ５，５が突設されている。

前記車両用シート１は、シートクツシヨン２を
倒立させ、シートバツク３を前方に倒し込むと、
変位状態のシートバツク３の背面３ａを荷台面と
して利用できるようになる。

このような車両用シート１では、シートバツク
３を前倒させた際に、シートバツク３の要部と支
持ブラケツト４，４に突設されているストツパ
５，５とが激しく衝突し、異音を発する等で、使
い心地が良くない。

そこで、シートバツクとシートクツシヨンとの
違いはあるが、倒し込んだ際の衝撃を緩衝させる
ものとして、実開昭58−157729号に記載された車
両用シートがある。

前記車両用シートは、シートクツシヨンが、車
体側フロアに載置された着座可能な設定状態と、
前端部を下にして倒立させた変位状態との間で起
倒可能に車体側フロアに枢支軸を介して枢着され
ているものである。

車両用シートには、さらに、倒立するシートク
ツシヨンの要部を受ける止めるアーム部材が、前
記シートクツシヨンの枢支軸の近傍に、枢着され
ている。

前記アーム部材は、前記シートクツシヨンの枢
支軸とは別に新たに設けた軸に揺動可能に枢着さ
れており、シートクツシヨンを倒立させた際の衝
撃を緩衝させるために、アーム部材を受け止めた
シートクツシヨンの動きに抗する方向に付勢した
ものである。

「考案が解決しようとする課題」 しかしながら、このような従来の車両用シート
では、シートクツシヨンを倒立させた際の衝撃を
緩衝させるために設けたアーム部材が、シートク
ツシヨンの枢支軸とは別に設けた軸に枢着されて
いるので、部品点数が多くなる上、構造が複雑に
なり、コストが嵩むという問題点があつた。

さらに、アーム部材がシートクツシヨンから離
れ、別途余分にスペースを必要とするので、車室
内空間を有効に利用することができないという問
題点があつた。

本考案は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、クツシヨン体であるシートバツ
クとクツシヨンとを、着座可能な設定状態から、
シートバツクの背面を荷台面として利用可能な変
位状態に変位させた際における衝撃を緩衝するこ
とができて、使い心地が良い上に、部品点数が少
なく構造が簡単でコストが嵩まず、車室内空間を
有効に利用することができる車両用シートを提供
することを目的としている。

「課題を解決するための手段」 かかる目的を達成するための本考案の要旨とす
るところは、 シートクツシヨンを前端部を下にして倒立させ
るとともに、シートバツクを前方へ倒し込み、該
シートバツクの背面を荷台面として利用する車両
用シートにおいて、 前記シートクツシヨンおよびシートバツクはい
ずれも車体側に枢着されたクツシヨン体であつ
て、その少なくとも一方のクツシヨン体を変位状
態の位置に規制するアーム部材を、変位状態に至
る直前の前記クツシヨン体を受け止める受け止め
位置と、受け止めた前記クツシヨン体を変位状態
の位置に規制する規制位置との間で揺動可能に、
前記クツシヨン体の枢支軸に枢着し、 前記アーム部材を前記クツシヨン体の設定状態
から変位状態への変位に抗する方向に付勢し、前
記クツシヨン体を変位状態の位置に規制する際の
衝撃に抗して緩衝するばねを設けたことを特徴と
する車両用シートに存する。

「作用」 車両用シートが着座可能な状態の際には、クツ
シヨン体であるシートバツクとシートクツシヨン
とは、設定状態の位置にあり、該クツシヨン体を
変位状態の位置に規制するアーム部材は、変位状
態に至る直前のクツシヨン体を受け止める受け止
め位置にある。

シートバツクの背面を荷台面として利用する際
は、シートクツシヨンを前端部を下にして倒立さ
せるとともに、シートバツクを前方へ倒し込む。

クツシヨン体の変位過程で、変位状態に至る直
前になると、受け止め位置にあるアーム部材とク
ツシヨン体とが当接し、クツシヨン体がアーム部
材により受け止められる。

クツシヨン体を受け止めたアーム部材は、クツ
シヨン体の設定状態から変位状態への変位に抗す
る方向に付勢されつつも、クツシヨン体に押され
て、クツシヨン体を変位状態の位置に規制する規
制位置に至つてから止る。

変位状態至つたクツシヨン体は、アーム部材に
より変位状態の位置に規制され、シートバツクの
背面が荷台面として利用できるようになる。

クツシヨン体がアーム部材により、受け止めら
れてから、変位状態に至るまで間は、アーム部材
がクツシヨン体の変位状態への変位に抗する方向
にばねにより付勢されているので、クツシヨン体
が変位状態に至る際の衝撃を緩衝することができ
る。

また、アーム部材は、枢支軸をクツシヨン体の
枢支軸と共有しているので、枢支軸を別途設けて
いるのと異なり、部品点数を少なくすることがで
き、構造も簡単にすることができる上に、余分な
スペースを取ることがない。

「実施例」 以下、図面に基づき本考案の一実施例を説明す
る。

第１図〜第４図は本考案の一実施例を示してい
る。

第２図に示すように、車両用シート１０は、ク
ツシヨン体であるシートクツシヨン２０とシート
バツク３０とを有して構成されており、車両用シ
ート１０の前方には、フロントシート７０，７０
が配設されている。

シートクツシヨン２０は、前端部２１を下にし
て倒立可能に車体側フロアＦに枢着されている。

シートバツク３０の下部３１には、第１図に示
すように、支持アーム４０，４０が固設されてお
り、シートバツク３０が着座可能な設定状態と背
面３２が略水平となつて荷台面として利用可能な
変位状態との間で起倒可能に、前記支持アーム４
０，４０が、車体側フロアＦに固設されている支
持ブラケツト５０，５０に枢支軸４５，４５を介
して枢着されている。

シートバツク３０を変位状態の位置に規制する
く字型のアームブラケツト６０，６０は、その両
端が揺動可能に前記枢支軸４５，４５に枢着され
ている。

アーム部材６０の一方の揺動端６１には、前倒
過程のシートバツクを受け止めるストツパ部６２
が形成されている。

車体側フロアＦに固設されている支持ブラケツ
ト５０には、アーム部材６０を、変位状態になる
直前のシートバツク３０を受け止めることが可能
な受け止め位置と、受け止めたシートバツク３０
を変位状態の位置に規制する規制位置との間で揺
動させるため、アーム部材６０の前記ストツパ部
６２が係合する係合溝５１が穿設されている。

アーム部材６０の他方の揺動端６３と車体側フ
ロアＦに固設されている支持ブラケツト５０と
は、ばね６４により連結されている。

前記ばね６４は、アーム部材６０を、規制位置
から受け止め位置の方向、つまり、シートバツク
３０の設定状態から変位状態への変位に抗する方
向に付勢している。

次に作用を説明する。

車両用シート１０が着座可能な状態の際には、
シートクツシヨン２０は着座可能に車体側フロア
Ｆに載置されており、シートバツク３０は起立し
ており、どちらも設定状態の位置にある。

第３図に示すように、シートバツク３０を変位
状態の位置に規制するアーム部材６０は、ばね６
４に付勢されて受け止め位置にある。

シートバツク３０の背面３２を荷台面として利
用する際は、シートクツシヨン２０を倒立させて
フロントシート７０，７０に立て掛けるととも
に、シートバツク３０をシートクツシヨン２０が
載置されていた箇所に倒し込む。

シートバツク３０が倒れ込み、変位状態に至る
直前になると、第４図に示すように、受け止め位
置にあるアーム部材６０の一方の揺動端６１に形
成しているストツパ部６２に当接し、シートバツ
ク３０は受け止められる。

シートバツク３０を受け止めたアーム部材６０
は、ばね６４により、受け止め位置の方向に付勢
されながらも、シートバツク３０に押されて、シ
ートバツク３０を変位状態の位置に規制する規制
位置に至る。

アーム部材６０が規制位置に至ると、第１図に
示すように、アーム部材６０のストツパ部６２
が、支持ブラケツト５０に穿設されている係合溝
５１の縁部に当接して、アーム部材６０が規制位
置に規制されるとともに、アーム部材６０を押し
ていたシートバツク３０も前倒状態の位置に規制
される。

アーム部材６０により変位状態の位置に規制さ
れたシートバツク３０の背面は、荷台面として利
用できるようになる。

シートバツク３０が、アーム部材６０により、
変位状態に至る直前に受け止められると、アーム
部材６０がシートバツク３０の変位状態への倒れ
込みに抗する方向に付勢されているので、倒し込
んだシートバツク３０が変位状態に至つた際の衝
撃を緩衝することができる。

アーム部材６０は、枢支軸をシートバツク３０
の枢支軸４５と共有しているので、別途アーム部
材６０を枢支する枢支軸を設けたものと異なり、
部品点数を少なくすることができ、構造も簡単に
することができる上、余分なスペースを取ること
がない。

なお、本実施例においては、アーム部材６０を
シートバツク３０の枢支軸に設けたが、シートク
ツシヨン２０側に設けても同様の作用効果が得ら
れることは言うまでもない。

「考案の効果」 本考案に係る車両用シートによれば、クツシヨ
ン体が変位状態に至つた際の衝撃を緩衝すること
ができるので、異音等が発生することがなく、使
い心地を良くすることができる。

また、アーム部材を枢支する枢支軸を、シート
バツクの枢支軸と共有させたので、別途アーム部
材を枢支する枢支軸を設けたのと異なり、部品点
数を少なくすることができ、構造も簡単にするこ
とができるので、コストを削減することができ
る。さらに、余分なスペースを取らないので、車
室内空間を有効に利用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の一実施例を示してお
り、第１図は車両用シートの要部側面図、第２図
は車両用シートの全体斜視図、第３図はシートバ
ツクが設定状態の際の車両用シートの要部側面
図、第４図はシートバツクが前倒過程にある際の
車両用シートの要部側面図、第５図は従来例であ
り、車両用シートの全体側面図である。 １０……車両用シート、２０……シートクツシ
ヨン、３０……シートバツク、４０……支持アー
ム、４５……枢支軸、５０……支持ブラケツト、
５１……係合溝、６０……アーム部材、６１……
一方の揺動端、６２……ストツパ部、６３……他
方の揺動端、６４……ばね。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シートクツシヨンを前端部を下にして倒立させ
   るとともに、シートバツクを前方へ倒し込み、該
   シートバツクの背面を荷台面として利用する車両
   用シートにおいて、 前記シートクツシヨンおよびシートバツクはい
   ずれも車体側に枢着されたクツシヨン体であつ
   て、その少なくとも一方のクツシヨン体を変位状
   態の位置に規制するアーム部材を、変位状態に至
   る直前の前記クツシヨン体を受け止める受け止め
   位置と、受け止めた前記クツシヨン体を変位状態
   の位置に規制する規制位置との間で揺動可能に、
   前記クツシヨン体の枢支軸に枢着し、 前記アーム部材を前記クツシヨン体の設定状態
   から変位状態への変位に抗する方向に付勢し、前
   記クツシヨン体を変位状態の位置に規制する際の
   衝撃に抗して緩衝するばねを設けたことを特徴と
   する車両用シート。