JPH0545699B2

JPH0545699B2 -

Info

Publication number: JPH0545699B2
Application number: JP59221972A
Authority: JP
Inventors: Katsumi Hasegawa; Tamotsu Matsuda
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 1984-10-24
Filing date: 1984-10-24
Publication date: 1993-07-09
Also published as: JPS61102422A

Description

【発明の詳細な説明】｛産業上の利用分野｝本発明は、ステープル繊維束もしくはフイラメ
ント繊維束に交絡を付与する交絡処理装置に関す
る。さらに詳しくは、実質的に無撚のステープル
繊維束もしくはフイラメント繊維束の比較的太物
糸を対象とし、非圧縮性であり、エネルギー密度
の大きい高圧水を高速で噴射して繊維束に均一で
緻密な交絡を与え、従来にない風合を有する新規
な紐状の特殊交絡糸を得る交絡処理装置に関す
る。

｛従来の技術｝近年、天然皮革に対する関心と受容が年々高ま
つており、その内、最近において細くスリツトし
た紐状の天然皮革を製編してニツト製品を得るこ
とが考えられている。

これと全く同様に、ニードルパンチ法などで製
造したシート状の人工皮革を１〜３mmの幅にスリ
ツトして上記天然皮革と類似させようとする試み
がある。

｛発明が解決しようとする問題点｝しかしながら、人工皮革に限つては、たとえ強
固に交絡し合つたシートといえども、細くスリツ
トすると相互の交絡をも切断してしまうため、引
張強度が極端に小さくなるという欠点を有する。

また、上記の人工皮革は、シート状人工皮革の
製造工程、スリツト工程、巻取工程という繁雑で
多くの工程を経なければならないという問題点が
ある。

本発明な目的は、上記のごとき繁雑で多くの工
程を必要とすることなく、単純工程で強度の大き
い、天然皮革紐に類似した風合の優れた周方向、
半径方向、および長さ方向に均一で緻密な交絡を
有する特殊交絡糸を得ることのできる繊維束の交
絡処理装置を提供せんとするものである。

｛問題点を解決するための手段および作用｝上記目的を達成する本発明の構成は、 (イ) ステープル繊維束もしくはフイラメント繊維
束の入口と出口とを有し、内部を通過する前記
繊維束に圧力が10〜300Kg／cm²の高圧水を噴射
して構成繊維を互いに交絡せしめる繊維束の交
絡処理装置であつて、 (ロ) 前記入口と出口との間には、前記繊維束を通
過せしめる第１の繊維束通過孔と該繊維束通過
孔に開口せしめられた内径が0.05〜1.00mmの複
数の高圧水噴射孔からなる高圧水噴射孔列とが
設けられていると共に、前記第１の繊維束通過
孔の前および後には、該第１の繊維束通過孔の
内径よりも３倍以上大なる内径の第２および第
３の繊維束通過孔がそれぞれ設けられ、 (ハ) 前記第１の繊維束通過孔の複数の高圧水噴射
孔には、該高圧水噴射孔のそれぞれに連通する
高圧水供給装置が接続されていると共に、 (ニ) 前記第２および第３の繊維束通過孔には、外
部に通ずる高圧水の排出口が設けられているこ
とを特徴とする繊維束の交絡処理装置である。

従来より、糸条を交絡することによつて巻取性
や解舒世を改良したり、あるいは撚糸やサイジン
グ工程を省略するという技術は、空気噴流を用い
て行なわれているが、エネルギー密度の小さい気
体では、周方向、半径方向、長さ方向に均一で緻
密な交絡を有する特殊交絡糸を得ることはできな
い。

本発明は、上記の如く、好ましくは最も身近な
資源である水を用い、高速水流であるウオーター
ジエツトを実質的に無撚のステープル繊維束、あ
るいはフイラメント繊維束の周囲より衝突させ
て、従来得ることのできなかつた風合を有する紐
状の特殊交絡糸を得るものである。

以下に、本発明に係る交絡処理装置を図面を参
照して説明する。

第１図は、本発明の係る交絡処理装置の一実施
例を示す縦断面図である。

図において、ハウジング２の内部に高圧水噴射
孔である流体噴射孔５および第１の繊維束通過孔
である繊維束通過孔７を有するノズル１を収納す
ると共に、該ノズル１の入口部１０にテーパーガ
イド３を配設し、該テーパーガイド３とハウジン
グ２とは、ノズル交換が容易なように、ボルト１
２により取り外し自在に一体に固定している。

テーパーガイド３には、前記ノズル１の繊維束
通過孔７に通じる入口側で大きくノズル１の方向
に向つて狭められた繊維束通過孔を有している。
ハウジング２には、高圧水供給口９を有し、該ハ
ウジング２とノズル１との間には、ハウジング２
の高圧水供給口９とノズル１の流体噴射孔５に通
じる高圧水室８が設けられている。該ハウジング
２とノズル１との接触部にはＯ−リング４が取付
けられており、ハウジング２の高圧水供給口９を
通過して供給される高圧水は、高圧水室８に達す
るが、該高圧水室８は、Ｏ−リング４によつてシ
ールされているため、流体噴射孔５より繊維束Ｙ
に向かつて高速度で噴出する。噴射流が供給され
る高圧水の圧力変動に影響されないように、第１
図においては、高圧水供給口９と流体噴射孔５と
の位置が一致しないように配設されている。

ノズル１の流体処理部６とテーパーガイド３と
の間に位置するノズル１の第２の繊維束通過孔で
ある繊維束通過孔１３の内径は、流体処理部６の
繊維束通過孔７の内径より大にされており、該大
径の繊維束通過孔１３には外部に通じる流体排出
口１５が設けられている。また、同様にノズル１
の流体処理部６とノズル１の出口部１１との間に
位置するノズル１の第３の繊維束通過孔である繊
維束通過孔１４の内径も流体処理部６の繊維束通
過孔７の内径より大とされている。

流体噴射孔５の径が大きくなるにしたがつて、
あるいは高圧水室８の圧力が高くなるにしたがつ
て流体の流量は、多くなる。ノズル内径が小さく
排水が悪いと、流体処理部をはじめノズル内部に
流体が溜り、交絡の効率が低下してしまう。した
がつて、本発明においては、上記した如く、流体
処理部６の繊維束通過孔７以外の繊維束通過孔１
３，１４の内径を極度に大きくし、すなわち繊維
束通過孔７の内径よりも３倍以上大きくし、しか
も流体糸排出口１５より速やかに流体を排出する
ようにしたものである。

上記流体噴射孔５の開口部における繊維束通過
孔、すなをち流体処理部６のノズル径を、供給繊
維束の径とほぼ同じか、もしくはそれより小さく
することが好ましい。すなわち、供給繊維束が、
流体処理部において、ノズル内壁に片寄つたりし
て通過すると、ノズル内で振動したりして均一な
交絡糸が得られ難い。流体処理部６のノズル径を
供給繊維束の径より小さくすると、効率良く均一
に流体処理され、緻密で良好な交絡糸を得ること
ができるのである。

本発明は、上記の交絡処理装置において、流体
噴射孔５を繊維束通過孔７の方向に複数列配置
し、そして各列には流体噴射孔が繊維束通過孔７
の内壁周方向に複数個設けられている。さらに、
第１の流体噴射孔列の各流体噴射孔と、他の流体
噴射孔列の各流体噴射孔とは、繊維束通過孔７の
周方向に対して位相が相違して配列されている。

第２図イ，ロは、第１図のノズル部におけるそ
れぞれＡ−Ａ，Ｂ−Ｂ断面図を示す。

第１図においては、流体噴射孔５を繊維束の通
過方向に対して２列、すなわち、５Ａ，５Ｂを配
置した例を示している。そして、それぞれの列に
は流体噴射孔が十字状に４個所穿設された例を示
している。また、５Ａ，５Ｂの各列の流体噴射孔
は位相がズラされている。本発明は、上記の如
く、各流体噴射孔の位相を相違させることによつ
て、繊維束の周面から流体を均一に噴射し、かつ
高圧水を使用することにより、緻密な交絡を付与
するようにしたものである。なお、第２図におい
ては、２列の例を示したが、さらにそれ以上の列
とすることもできることはいうまでもない。一
方、第２図に示すように、流体通過孔５以外のノ
ズル１の内径拡大部には、繊維通過孔１３と１４
に連通する流体排出口１５が４個設けてあり、流
体の排出を容易にすることができるようになつて
いる。

このような交絡処理装置において、供給繊維束
Ｙは、図示されない張力付与装置によつて、張力
が付与され、徐々にテーパーガイド３の繊維束通
過孔７の入口部１０に導かれ、流体処理部６を通
過する過程で、流体噴射孔５より噴射される高速
水流により交絡処理されながら、ノズルの出口部
１１を経て交絡処理装置の外の巻取機等で巻取ら
れる。

第２図において、ノズル１の流体噴射孔５は、
繊維束通過孔７の軸方向に直角に設けたものを示
したが、これに限定されるものではない。すなわ
ち、繊維束Ｙがスライバーのように低強度な繊維
集合体である場合には、流体処理部６で大きな抵
抗が発生する。そのため、巻取機で交絡糸を巻取
り始めるに際し、本発明の流体処理装置と巻取機
間の未処理繊維束部分で切断する場合がある。そ
こで、流体噴射孔５を、ノズルの出口部１１方向
に主として流体が流れるように、繊維束進行方向
の対し、0゜〜10゜ほど類似させておくこともでき
る。つまり、高圧流体の噴射力で交絡糸が送り出
されてくるため、流体処理糸条の巻取力も小さく
てすむのである。従つて、流体処理開始時の、交
絡処理装置と巻取機関の繊維束の未処理部の切断
を防止することが可能である。

第３図は、第２図とは異なるノズルの流体噴射
孔の形状を示す断面図であり、流体噴射孔５がノ
ズルの中心に対して偏心され、旋回流が発生する
ようにしたものである。この旋回流により繊維束
Ｙにねじり力を与えながら交絡を付与することが
できるのである。したがつて、右旋回、左旋回、
旋回なしのノズルを組み合せ、特異な風合の交絡
糸を得ることが可能である。また、供給繊維束Ｙ
がスライバーなどのステープル繊維束である場合
には、引張強度が低いため、図示されない張力付
与装置によつて付与される未処理繊維束の張力が
高いと容易に切断してしまう。そこで、第３図に
示しような偏心ノズルにより、ステープル繊維束
に撚りを与えながら流体処理の行なえば、未処理
繊維束の切断を極度に減少させることが可能とな
る。

本発明装置での処理回数は１回でも充分である
が必要により複数回繰返して処理することもでき
る。また、流体の圧力を変えて数回流体処理を行
なう場合には、第４図に示すような交絡処理装置
を使用するとよい。

第４図は、本発明に係る他の実施態様を示す交
絡処理装置の縦断面図である。

第４図の装置においては、２つのノズルの直列
に配置させた例であり、第１のノズル１′の流体
噴射孔列５Ｃによつて低圧流体処理を行ない、第
２のノズル１″の流体噴射孔列５Ｄで比較的高圧
流体処理を行なうようにしたものである。なお、
上記のごとき２つのノズルによる処理に限らず、
それ以上のノズル数の処理をも行なうこともでき
る。

第４図において、高圧で交絡させるに従つて交
絡糸は細くなつていくが、ノズル内で繊維束Ｙが
振動したり、ノズル内壁に片寄つたりすると均一
な交絡糸が得られ難い。そこで第２のノズルの高
圧側の流体処理部６Ｄの繊維束通過孔７の内径
は、第１のノズルの低圧側の流体処理部６Ｃの繊
維束通過孔の内径よりも小さくしてあり、しかも
夫々の噴射孔において通過する繊維束の径とほぼ
同じ内径、もしくは繊維束の径より小さめにして
ある。これによつて、効率良く均一に流体処理さ
れ、緻密で良好な交絡糸を得ることができる。

第４図においては、第１のノズル１′と、第２
のノズル１″との間の繊維通過孔１６は、流体処
理部６の内径よりも大きな内径とされ、その下端
に流体排出口１５が設けられている。

以上の通り、本発明は、ノズル１に配設された
流体噴射孔５により、図示されない高圧水供給装
置である高圧ポンプで得られる静的エネルギーを
高速度で噴射して動的エネルギーに変換し、繊維
束に効率良く作用させるという機能を有する。

流体噴射孔５の径は0.05〜1.00mmの範囲が適当
であり、10〜300Kg／cm²の高圧水を供給する。

供給される繊維束は、フイラメント、ステープ
ル繊維束のいずれも可能であり、その総太さは、
1000デニール以上が好ましい。

また、単糸繊度は10デニール以下が好ましく、
５テニール以下とすることがさらに好ましい。さ
らに、0.9デニール以下の極細の繊維を使用すれ
ば緻密で交絡でスエード調の外観の紐を得ること
ができる。

フイラメント繊維束を使用する場合には、目的
に応じた太さに多数本束ねて流体処理を行なう
が、表面が粗硬な感触の紐となり易い。これに対
してステープル繊維の場合には、紡績工程の練条
加工したスライバーまたは粗紡工程を通過した粗
糸を使用すればよい。供給繊維束は、撚りの無い
もの、あるいは甘い撚り加工を施した繊維束が適
しており、繊維が互いにルーズな状態で本発明装
置に供給されることが好ましい。

極細繊維を用いた場合には、外周部の交絡度合
が密となり、円周表面全体が繊維の緻密なランダ
ム交絡構造のスエード調の外観を呈する。

また、２種以上の高分子物質を海島状態に混合
紡糸して得た混合紡糸極細繊維であるスライバー
を、本発明の交絡処理装置によつて交絡させたの
ち、海成分を溶解除去した交絡糸、あるいは、さ
らに、流体処理装置によつて再度交絡を与えた交
絡糸は、特殊光沢と柔軟性に優れたスエード調外
観の特殊交絡糸となる。

｛発明の効果｝以上の通り、本発明に係る繊維束の交絡処理装
置によれば、エネルギー密度の非常に大きな高圧
水を直接、繊維束に対して噴射できると共にその
排水を速やかにすることができるので、複雑な工
程を経ることなく、容易に柔軟な紐状の特殊交絡
糸を得ることができる。

しかも、得られた特殊交絡糸は、繊維束周面に
均一に交絡加工が施され、単糸間相互が強く交絡
した丸味を帯びた形状であるため、強度が非常に
優れ、従来にない優れた風合を有するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係る交絡処理装置の一実施
例を示す縦断面図であり、第２図イ，ロは、第１
図のノズル部におけるＡ−Ａ，Ｂ−Ｂ断面図を示
す。第３図は、第２図とは異なるノズルの流体噴
射孔の形状を示す断面図である。第４図は、本発
明に係る他の実施態様を示す交絡処理装置の縦断
面図である。図面中の符号の説明、１……ノズル、２……ハ
ウジング、３……テーパーガイド、４……Ｏ−リ
ング、５……流体噴射孔、６……流体処理部、
７，１３，１４，１６……繊維束通過孔、８……
高圧水室、９……高圧水供給口、１０……ノズル
入口部、１１……ノズル出口部、１２……ボル
ト、１５……排水口、Ｙ……繊維束。

Claims

【特許請求の範囲】１ (イ) ステープル繊維束もしくはフイラメント
繊維束の入口と出口とを有し、内部を通過する
前記繊維束に圧力が10〜300Kg／cm²の高圧水を
噴射して構成繊維を互いに交絡せしめる繊維束
の交絡処理装置であつて、 (ロ) 前記入口と出口との間には、前記繊維束を通
過せしめる第１の繊維束通過孔と該繊維束通過
孔に開口せしめられた内径が0.05〜1.00mmの複
数の高圧水噴射孔からなる高圧水噴射孔列とが
設けられていると共に、前記第１の繊維束通過
孔の前および後には、該第１の繊維束通過孔の
内径よりも３倍以上大なる内径の第２および第
３の繊維束通過孔がそれぞれ設けられ、 (ハ) 前記第１の繊維束通過孔の複数の高圧水噴射
孔には、該高圧水噴射孔のそれぞれに連通する
高圧水供給装置が接続されていると共に、 (ニ) 前記第２および第３の繊維束通過孔には、外
部に通ずる高圧水の排出口が設けられているこ
とを特徴とする繊維束の交絡処理装置。