JPH0543073U - 回転速度検出センサ装置及びこれを装備せるころがり軸受 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ころがり軸受に収められるように簡単化され
かつ磁力線の漏れのない回転速度検出センサ装置を提供
することを目的とする。 【構成】 コード発生要素（１１）は軸方向に磁化され
た二つの多極リング（１４，１５）を有し、センサ要素
（１２）は、上記多極リングと軸方向に対向するように
配置された集束枝（２０，２１，２０ａ，２１ａ，２
３，２４）をもつ磁束集束器（１８）と協働する上記多
極リングと同一線上に配された誘導コイル（１７）を有
している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は回転速度検出センサ装置及びこれを装備するころがり軸受に関する。

【０００２】

【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】

従来、非回転部材上のころがり軸受に取り付けられ、ころがり軸受の回転輪に 取り付けられて交互磁界を発生するコード発生要素と、ころがり軸受の非回転輪 に取り付けられて空隙をもって上記コード（信号）発生要素と対向せるセンサ要 素とを有する、回転部材の回転速度検出センサ装置は広く知られている。

【０００３】 フランス特許出願第２２６３５１８号には、ロータに収められた該ロータの回 転速度の測定のため回転数指示器が開示されており、周方向に延びる帯状の磁性 体は周方向に交互磁極を有している。また、上記ロータと同心にあるステータに は誘導巻線が設けられている。該巻線の両側にはロータの磁極に向かう歯を有す る導電板が配設されている。二列の歯が、誘導巻線のための磁束集束器を形成す るように、反対極の磁極に対向して位置している。上記出願に開示されている回 転数指示器は、寸法上の制約そして漏れの防止という点でころがり軸受内に収め ることは困難である。さらには、部品要素が多いために製造費が嵩み、ころがり 軸受の限られた空間に収めることはできない。

【０００４】 ころがり軸受内の磁気コード発生装置についての回転密封シール装置は、フラ ンス特許出願第２６４２４８３号に開示されている。この装置においてコード発 生要素は、軸方向、半径方向そして周方向の係止手段とキャリアリングのライニ ングと協働する当接面とを有する多極リングの形になっている。上記コード発生 要素の軸方向位置を正確にするために、ころがり軸受の回転輪は特に用意された 当接面を有し、製造コストを著しく高いものとしている。センサ要素はコード発 生要素と空隙をもって軸方向で対向するようにして非回転輪上に取り付けられて いる。この出願にはセンサ要素の構成についての詳細な説明はない。

【０００５】 上記従来の回転速度検出センサ装置は技術面そして実用面での問題がある。こ れらの装置をころがり軸受に組み込むためには、該装置が正確な位置となるよう にころがり軸受の内外輪の少なくとも一方に特別な加工を施さねばならない。コ ード発生要素として一つの多極リングを用いている公知の装置では、上記多極リ ングにより発生された磁力線の一部はセンサによって使用されていない。かかる 事態は磁力線を受けるセンサの作動部がコード発生要素の一部にのみ対向すると きに生ずる。これは磁束集束器を用いることによって部分的に補償される。また 、多極リングの近接した包囲によっても磁力線の漏れという現象が生ずる。これ らの現象はセンサに集められる信号のパワーを損なうという点で好ましくない。

【０００６】 本考案の目的は、軸受の回転速度検出センサ装置にあって上記の問題を解決し 、コード発生要素により発せられる磁力線の漏れを極力小さくして信号を強力化 し、コード発生要素と磁束集束器との間の磁力線が良好な磁気回路を形成するよ うにすることにある。

【０００７】 本考案は、すべての要素が簡単化され、ころがり軸受に特殊加工することなく 該ころがり軸受に正確に位置付けられる回転速度検出センサ装置を提供すること をも目的とする。これらの種々の改善は低い製造コストのもとに作ることができ る。

【０００８】

【課題を解決するための手段、作用及び効果】

本考案にもとづくころがり軸受の回転速度検出センサ装置は、軸方向に磁化さ れた同心の二つの多極リングをもつコード発生要素と、環状の磁束集束器と協働 する誘導コイルをもつセンサ要素とを備え、上記コード発生要素とセンサ要素と が軸方向にて空隙をもって互いに対向するように構成される。

【０００９】 好ましくは、コード発生要素の二つの多極リングは、ころがり軸受の回転部分 に取り付けられた強磁性体のキャリア（支持部材）の半径面に配設されるのがよ い。上記キャリアは、ころがり軸受の上記回転部分に取り付けられるようにする ために、内周または外周に筒状部をもつ環状フランジの形に作ることができる。 また、帯状シート材を、例えばブランキングそしてスタンピングすることにより 簡単かつ経済的に上記のごとくの支持部材を作ることができる。

【００１０】 二つの多極リングはキャリアに一工程でモールドすることにより非常に経済的 に作ることができる。その場合、フェライトのような磁性体をモールド用のエラ ストマあるいはプラスチック材に含有させる。かかる二つの多極リングは互いに 完全に分離させることもできるし、例えばキャリアへの多極リングの固定を強化 する目的で、上記二つの多極リングを非磁性体で連結することもできる。

【００１１】 周方向に交互に異極をもつセグメントとしての二つの多極リングの磁化は、キ ャリアへの一工程でのモールド後に、誘導コイル装置によってなされる。二つの 多極リングは共に同数の磁極セグメントを周方向に等分布にして有するようにす ると有利である。フランジの同一面に同心の二つの多極リングを配することは、 該多極リングを特に効果的に磁化するための軸方向磁化に好適である。

【００１２】 このようにして得られるコード発生要素はころがり軸受の回転部分への真直ぐ な取付けにより正規位置に簡単かつ正確に取り付けられる。その取付けは、例え ば、ころがり軸受の回転部分の選定された基準面に軸方向から当接する工具をも って押入することによりなされる。

【００１３】 センサ要素は磁束集束器と協働する誘導コイルによって形成される受動型のも のでよい。ころがり軸受の回転部分によってコード発生要素が回転駆動を受ける と、多極リングで発生され磁束集束器を介してセンサが受ける磁束は回転速度に 比例した周波数で変動する。多極リングに対向するセンサ要素は磁束集束器を経 て磁力線を受ける。

【００１４】 磁束集束器は、ブランキングそしてスタンピングによって、強磁性材料の板材 からほぼ環状に一体品として経済的に作られる。該磁束集束器は空隙をもって多 極リングに軸方向で対向して磁束を集束する部材を有している。

【００１５】 磁束集束器は実質的に平坦なワッシャ型のラジアルコア部を有し、多極リング によって発せられる磁力線を集束するために、ブランキングやスタンピングのよ うな成形によらずに機械加工によって上記ラジアルコアから軸方向あるいは半径 方向に延出する歯を形成してもよい。

【００１６】

【実施例】

以下、本考案の実施例を添付図面にもとづいて説明する。

【００１７】 図１はアンティロックあるいはＡＢＳシステムを装備する自動車の車輪のハブ の回転速度を検知する応用例を示している。ハブは車輪及びディスクあるいはブ レーキドラム（図示せず）の取付けのためのラジアルフランク４を有する回転要 素２を回転駆動するための回転軸１を備えている。回転要素２の筒状部３には、 回転要素２に固定された内輪６、車体の固定部に固定された外輪７そして上記回 転せる内輪６と固定せる外輪７との間に配された二列のボール９を有するころが り軸受５が取り付けられている。

【００１８】 速度検知のためのセンサ装置１０は回転要素２のラジアルフランク４に対して 反対側にて、ころがり軸受５の側部に設けられている。センサ装置１０は回転せ る内輪６に取り付けられたコード（信号）発生要素１１と、固定せる外輪７に取 り付けられたセンサ要素１２を有している。センサ要素１２は、好ましくは、筒 状金属インサートによってころがり軸受の固定せる外輪７に軸方向に取り付けら れたプラスチック材料のブロックに設けられている。かかるブロックは取付け工 具を用いることにより、取付けを正確かつ容易とする支持・基準面を有利にもつ ことができる。センサ装置１０により測定された回転速度を車輌の運転のために 使用することができるようにするために、連結頭部１３がセンサ要素１２と信号 処理ユニット（図示せず）とを電気的に接続するようになっている。

【００１９】 図２に示される実施例において、コード発生要素１１は、半径方向に間隔をも って配設された同心の二つの多極リング１４，１５を有している。外側の多極リ ング１４と内側の多極リング１５は環状フランジ１６のラジアルフランクに取り 付けられている。上記フランジ１６はさらに、軸方向に延び、ころがり軸受の回 転せる内輪６に取り付けられる筒状部１６ａを有している。このように構成され るコード発生要素１１は、ころがり軸受の固定せる外輪７と回転せる内輪６の間 の半径方向空間に設けられている。多極リング１４，１５は、共通の半径面で境 界付けられる作用面をもつ軸方向での磁化がなされている。

【００２０】 センサ要素１２は、誘導コイルを形成するように軸受の回転中心軸線と同心の 巻線の形態をなす受動センサ１７を有している。上記巻線は熱融着そして／ある いは熱融解コーティング層をもつ導線であることが望ましい。環状の磁束集束器 １８は誘導コイル１７を部分的に包囲している。磁束集束器１８は半径方向に延 びる中央コア部１９をもつフランジ状に形成され、端部が同心の筒状部２０，２ １によって軸方向に延出するワッシャ状を形成している。磁束集束器１８の筒状 部２０，２１はコード発生要素の多極リング１４，１５の面の自由面に向けて、 実質的に互いに同じ直径をもって軸方向に指向している。漏れ防止用のリップ２ ２がコード発生要素１１とセンサ要素１２との間に設けられ、種々の外部障害物 から本考案装置を保護する一方で、軸受内のグリースが外部に漏出するのを防止 している。

【００２１】 図３ないし図６には、二つの同心の多極リング１４，１５と磁束集束器１８の 種々の形態を示している。図４は外側の筒状部２０が軸方向の歯２０ａをもつ磁 束集束器１８を示している。各歯２０ａの周方向幅は、好ましくは、対応する多 極リング１４の各磁極の幅と同じであるのがよい。また、これは磁束集束器の二 つの隣接せる歯の間の空間についても同じことが言える。こうして、一つの歯２ ０ａが多極リング１４の一つの磁極に対向するようになる。磁束集束器の他のす べての歯２０ａも同時に、同極をもつ多極リング１４の磁極と対向する。それに よって、多極リング１４により発生する磁力線は磁束集束器１８の軸方向の歯２ ０ａで直接に捕らえられ、中央コア部１９と第二の筒状部２１を経た後に、磁場 を生ずる多極リング１５の磁極と反対の磁性の多極リングの磁極にて回復する。 さらに、二つの多極リングの間には、漏れのない磁力線の循環が形成される、該 磁力線は強磁性体のラジアルフランクを経て一つの多極リングから他の多極リン グへ形成される。

【００２２】 かくして、センサと多極リングとの間での磁力線の循環、すなわち、磁束集束 器１８で捕らえられた磁場の強化、その結果、センサ要素内の誘導コイルに誘導 される電気信号の強化がなされるということが理解される。

【００２３】 図５と図７に示されているように、筒状部２１に軸方向の歯２１ａを形成する ことも可能である。歯２１ａは歯２０ａと同様にすれば十分である。多極リング １４，１５の磁極の配置によっては、多極リング１４と１５のそれぞれの反対磁 性の二つの磁極の間に磁気回路を形成するという観点から、歯２１ａは歯２０ａ に対して相対的に周方向にずらすこともできるし、ずらさないでもよい。図４に 戻ると、筒状部２０に代えて、同じ結果を得るのに筒状部２１のみに磁束集中の 歯を形成することも可能であることは明らかである。軸方向の歯２０ａそして／ または２１ａをもつ磁束集束器１８は、二つの多極リングを有するコード発生要 素の場合よりも小さな磁場をもつようにすれば、従来の単一の多極リングにも使 用可能である。

【００２４】 図８に示す実施例は磁束集束器１８の形においてのみ図２に示す例と相違する 。コード発生要素１２の誘導コイル１７を配するための空間を形成するように軸 方向に幅広の多極リング１４，１５を用いることで同様の結果が得られる。かく して、磁束集束器１８は等しく分布され半径外方そして／あるいは内方に延びる 歯を周方向に設けたワッシャの形にすることができる（図９及び図１０参照）。 磁束集束器１８の歯２３，２４は、コード発生要素１１の多極リング１４，１５ によって生ずる磁力線の集束枝として機能する。図４、図５そして図７に図示さ れた磁束集束器に関しては、歯２３，２４は多極リング１４，１５の各磁極の幅 の関数として寸法付けられる。

【００２５】 図１１には、ころがり軸受の外輪２６が回転できるのに対して内輪２５が固定 されている場合における、本考案の他の実施例を示している。この場合、コード 発生要素１１は、キャリアフランジ１６の筒状部１６ａによりころがり軸受の回 転せる外輪２６上に固定されている。センサ要素１２は固定された内輪２５に取 り付けられている。コード発生要素１１とセンサ要素１２との間の関係は、前実 施例の場合と変わってはいない。

【００２６】 図１２及び図１３にはコード発生要素１１についての二つの実施例が示されて いる。キャリアフランジ１６は、作られるべきコード発生要素１１の多極リング １４，１５の直径と実質的に同じ直径の二つの円周線上に周方向に分布された固 定孔２７，２８を有している。多極リング１４，１５は上記固定孔２７，２８の 領域にモールドされたエラストマあるいはプラスチックのものとすることもでき る。一旦モールドした後、多極リング１４，１５は適宜手段により軸方向に磁化 される。

【００２７】 また、作られるべき多極リング１４，１５の間に位置する円周線上に固定孔２ ９を分布するようにして一列とすることもできる。その場合、多極リング１４と １５を結ぶ部分３０をモールドの際に残しておくならば、コード発生要素１１の 作動部を構成するために磁化される多極リング１４，１５の機械的強度を向上さ せることができる。

【００２８】 従来の装置と本考案装置における磁力線の漏れの差を示すために、図１４と図 １５に両者について磁力線の分布を図示した。コード発生要素として一つの多極 リング３１を有する従来装置（図１４）にあっては、磁束集束器３２は多極リン グ３１で発生される磁力線のごく一部しか集束していない。これに対して、本考 案装置（図１５）にあっては、磁束集束器１８の集束枝２０，２１に対向する多 極リング１４，１５の最適な配置によって、従来装置の場合に比し磁力線の漏れ はきわめて少なくなっている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例装置の軸線を含む面での断面
図である。

【図２】図１装置の要部拡大図である。

【図３】図１装置に用いられるコード発生要素の多極リ
ングの部分図である。

【図４】図３の多極リングと協働する磁束集束器の部分
図である。

【図５】図４のものに代えて使用可能な磁束集束器の他
の形態を示す部分図である。

【図６】図１装置に用いられる他の形態のコード発生要
素の多極リングの部分図である。

【図７】図６の多極リングと協働する磁束集束器の部分
図である。

【図８】他の実施例装置の軸線を含む面での断面図であ
る。

【図９】図８装置に用いられる磁束集束器の部分図であ
る。

【図１０】図８装置に用いられる他の形態の磁束集束器
の部分図である。

【図１１】さらに他の実施例装置の軸線を含む面での断
面図である。

【図１２】コード発生要素の一形態を示す断面図であ
る。

【図１３】コード発生要素の他の形態を示す断面図であ
る。

【図１４】従来装置の磁束集束の様子を示す図である。

【図１５】本考案装置の磁束集束の様子を示す図であ
る。

【符号の説明】

６，２６ 回転輪 ７，２５ 非回転輪 １１ コード発生要素 １２ センサ要素 １４，１５ 多極リング １６ 環状フランジ １６ａ 筒状部 １７ 誘導コイル １８ 磁束集束器 １９ 中央コア部 ２０，２１ 筒状部 ２０，２１，２０ａ，２１ａ，２３，２４ 集束枝 ２３，２４ 歯 ２７，２８，２９ 固定孔

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 非回転部材（８）上のころがり軸受に取
   り付けられ、ころがり軸受の回転輪（６，２６）に取り
   付けられて交互磁界を発生するコード発生要素（１１）
   と、ころがり軸受の非回転輪（７，２５）に取り付けら
   れて空隙をもって上記コード発生要素と対向せるセンサ
   要素（１２）とを有する、回転部材の回転速度検出セン
   サ装置において、コード発生要素（１１）は軸方向に磁
   化された二つの多極リング（１４，１５）を有し、セン
   サ要素（１２）は、上記多極リングと軸方向に対向する
   ように配置された集束枝（２０，２１，２０ａ，２１
   ａ，２３，２４）をもつ磁束集束器（１８）と協働する
   上記多極リングと同一線上に配された誘導コイル（１
   ７）を有していることを特徴とする回転速度検出センサ
   装置。
2. 【請求項２】 コード発生要素（１１）の多極リング
   （１４，１５）は、ころがり軸受の回転輪（６，２６）
   に取り付けられる筒状部（１６ａ）を有する環状フラン
   ジ（１６）に固定されていることとする請求項１に記載
   の回転速度検出センサ装置。
3. 【請求項３】 多極リング（１４，１５）は固定領域
   （２７，２８，２９）を有するフランジ（１６）に磁化
   材料を含有せるエラストマあるいはプラスチック材をモ
   ールドすることにより形成され、上記多極リングはモー
   ルド後に磁化されることとする請求項２に記載の回転速
   度検出センサ装置。
4. 【請求項４】 センサ要素（１２）の磁束集束器（１
   ８）は二つの同心な筒状部（２０，２１）の間で半径方
   向に延びる中央コア部（１９）を有し、上記二つの筒状
   部のうち少なくとも一方が多極リング（１４，１５）の
   少なくとも一つと対向するように配置された軸方向の歯
   （２０ａ，２１ａ）を分布して有することとする請求項
   １ないし請求項３のうちの一つに記載の回転速度検出セ
   ンサ装置。
5. 【請求項５】 磁束集束器（１８）はワッシャの形状を
   なし、少なくとも一つの端部は多極リング（１４，１
   ５）の少なくとも一つと軸方向で対向する半径方向の歯
   （２３，２４）が分布して設けられていることとする請
   求項１ないし請求項３のうちの一つに記載の回転速度検
   出センサ装置。
6. 【請求項６】 軸方向の歯（２０ａ，２１ａ）または半
   径方向の歯（２３，２４）は、対応する多極リング（１
   ４，１５）の磁極と周方向の幅が同じであることとする
   請求項４または請求項５に記載の回転速度検出センサ装
   置。
7. 【請求項７】 請求項１ないし請求項６のうちの一つの
   回転速度検出センサ装置を装備したこととするころがり
   軸受。