JPH0542838Y2

JPH0542838Y2 -

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Publication number: JPH0542838Y2
Application number: JP3775788U
Authority: JP
Priority date: 1988-03-22
Filing date: 1988-03-22
Publication date: 1993-10-28
Anticipated expiration: 2003-03-22
Also published as: JPH01140960U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この考案は、容器の内部に浣腸液をはじめ、腔
洗滌液、尿道結石溶解液、胆石溶解剤等の薬液を
収納し、容器本体の周壁を手で押圧する動作によ
り、これらの薬液をノズルの先端部から体内に注
入し得るようにした薬液注入容器に設けられてい
る逆流防止弁の改良に関する。

〔従来の技術〕

一般に、此の種の薬液注入容器には、使用時に
容器本体の周壁を押圧しながら体内に薬液を注入
する際、注入の手を休めた場合でも、腸内圧力に
よつて腸液や薬液が容器内部に逆流しないよう
に、ノズル孔の途中にステンレスボール等を弁体
にした浮動型の逆流防止弁を設けたものが多い
（例えば実公昭57−36190号公報及び実公昭61−
21075号公報に記載された浣腸液注入容器）。

〔考案が解決しようとする課題〕

けれども、従来の逆流防止弁について、弁の閉
鎖気密性を考えた場合、球形の弁体を使用した浮
動弁では、第７図イの如く弁座内周面の形状を半
球形の凹曲面に形成し、弁体と弁座とを面接触の
状態で密接させて気密性を保持する手段がよく採
用されるが、実際上、弁体の曲率半径に合わせて
弁座内周面の形状寸法を正確な凹曲面に形成する
には、かなりの困難が伴なうので、殆んどの場
合、第７図ロのような形状に加工されてしまい、
弁体と弁座とが面接触の状態にはならず、線接触
の状態で逆流防止を行なつているため、接触面の
一部に傷があつたりすると、著しく不具合を生じ
る恐れがある。

また、第８図イの如く、球形の弁体に対して弁
座内周面の形状を円錘面の一部で形成した場合で
も、第８図ロのように線接触の状態でしか当接し
ないので、前記同様の結果を生じることになり、
弁体の向きが常に一定しない浮動弁特有の不安定
さとも相俟つて、これが従来の逆流防止弁に共通
する未解決の大きな課題になつていたものであ
る。

本考案は、前記のような課題を解決するために
案出されたものであつて、その目的は、弁の閉鎖
気密性が非常に良好で然かも常に円滑且つ確実な
弁開閉機能を発揮し、製造及び組立も極めて容易
な構造を具えた薬液注入容器の逆流防止弁を安価
に提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

この考案による逆流防止弁では、上記の目的を
達成するために、ノズルの内部に浮動型の逆流防
止弁を設けた薬液注入容器に於いて、弁体を軸方
向に沿つてほゞ前後対称に形成し、前記弁体の外
周面と、この弁体に対向する弁座の形状を、それ
ぞれ同一の頂角を有する円錘面の一部で形成する
と共に、前記弁体の軸方向の長さをノズル孔及び
弁室の内径よりも大きく形成し、弁体の最大径は
ノズル孔及び弁室の内径よりも小さく、且つ、弁
室の出口に対設した突起部の対向径よりも稍大き
く形成してあることを特徴とする。

〔作用〕

弁体と弁座は、弁閉鎖時に相互の円錘面にて面
接触の状態で圧接し、薬液の逆流を確実に防止す
る。また、弁体はほゞ前後に対称な一対の同形円
錘面で形成されているため、弁組立時及び弁開閉
時に於いて方向性の違いを生じることがなく、さ
らに、弁体各部の寸法は弁室内の形状に応じて絶
対に誤動作及び組立不良を招く恐れがないように
規制される。

〔実施例〕

以下、本考案による逆流防止弁の構造及びその
動作を実施例の図面について具体的に説明する。

図面中の符号１はポリエチレン等の柔軟な合成
樹脂材料により成形された中空の容器本体、２は
前記容器本体１後端の薬液充填口１ａに螺着した
蓋体、３は同じく容器本体１前端の薬液吐出口１
ｂに嵌着して取付けたカテーテル、４は前記カテ
ーテル３の先端部に挿入して連結したノズル、６
は同じくノズル４の先端部に冠着したキヤツプで
あつて、本考案の薬液注入容器２０に設けた逆流
防止弁１０は、実施例の場合、従来の薬液注入容
器と同様にノズル４の内部に設けられているが、
容器本体１の内部に連らなる薬液流通路の途中で
あれば、これ以外の位置に設けてもよい。

第１図イ，ロは本考案の逆流防止弁を構成する
弁体７の形状と、この弁体７を収容するノズル４
内部の弁室８の構造を示したもので、弁体７には
球形のものを用いずに、弁体７の外周面７ａとこ
の弁体７に対向する弁座９の内周面９ａの形状を
それぞれ同一の頂角Ｑを有する円錘面の一部で形
成し、本実施例の場合、特に前記弁体７の外周面
７ａ，７ｂは、同一形状のものを軸方向に沿つて
ほぼ前後対称に連続させた形状に成形されてお
り、そして、弁体７の軸方向の長さＬは、ノズル
孔１１及び弁室８の内径Ａ，Ｂよりも大きく形成
し、弁体７の最大径Ｄは、ノズル孔１１及び弁室
８の内径Ａ，Ｂよりも小さく、且つ、弁室８の上
部に対設した突起部１２の対向径Ｃよりも稍大き
く形成してある。本考案の逆流防止弁に於いて、
弁室８の内部に収容される弁体７と、これに対向
する弁座９との関係は、上記のような形状及び寸
法構成になつているので、組立時に弁体７を弁室
８の内部に挿入する際、ノズル孔１１に対する弁
体７の挿入姿勢が不適切な状態、例えば第６図図
示の如く弁体７の中心軸Ｘ−Ｙとノズル孔１１の
中心軸Ｘ１−Ｘ１が直角に近い向きで公叉してい
る場合には、弁体７の長さＬがノズル孔１１の内
径Ａよりも大きいため、不正な状態では弁体７を
ノズル孔１１に挿入できなくなる。これに対し、
第５図図示の如く弁体７の中心線Ｘ−Ｘとノズル
孔１１の中心軸Ｘ１−Ｘ１がほゞ同じ方向になつ
ておれば、弁体７の向きが多少ずれていても、弁
体７の外周面７ａが円錘形になつているので、ノ
ズル孔１１の内周壁面及び突起部１２に誘導され
て、その姿勢を正しく修正しながらスムーズに弁
室８の内部に導入される。また、本実施例の場
合、弁体７の外周面７ａ，７ｂはそれぞれ軸方向
に沿つて前後対称に形成されている関係上、弁体
７の先端部は前後いずれの方向から挿入しても同
じ結果が得られるので、組立作業の際に、弁体７
の向きを気にする必要がなく、ノズル孔１１に弁
体７の先端部を挿入すれば、常に正しい状態で弁
室８の内部に弁体７を収容することができる。

前記のようにして、弁室８内部に収容された弁
体７は、薬液注入時には、その吐出圧力によつて
第３図図示の如く弁座９から離脱し、弁体７の最
大径Ｄが弁室８の内径Ｂよりも小さく形成されて
いるため、弁室８内に於いて浮動しながら薬液の
流路を開く。この場合、弁体７の最大径Ｄは、弁
室８の出口８ａに設けた突起部１２の対向径Ｃよ
りも大きく形成されているので、弁体７が弁室８
から外部に脱出する恐れがないことは勿論、弁体
７の長さＬが弁室８の内径Ｂよりも大きく形成さ
れているため、弁室８の内部で弁体７が不正に起
立したり、前後に反転したりすることはないの
で、薬液の流れに乱れが生じる恐れがなく、常に
一定の状態を保持し、弁体７と弁室８との間隙を
通つて薬液をノズル孔１１からスムーズに流出さ
せる。

また、前記の薬液注入動作中、注入の手を休め
たりして腸内の圧力により弁体７に逆方向の圧力
が作用した時には、その圧力によつて弁体７が弁
座９の方向に移動し、第２図図示の如く弁座９に
圧接して直ちに薬液の流路を閉鎖する。その際、
本考案の逆流防止弁１０では、弁体７の外周面７
ａとこの弁体７に対向する弁座９の内周面９ａの
形状がそれぞれ同一の頂角Ｑを有する円錘面の一
部で形成してあるので、弁体７の中心軸Ｘ−Ｘの
向きが多少ずれていても、弁体７の外周面７ａが
弁座９の内周面９ａを做うようにして中心部へス
ムーズに誘導され、その突入姿勢を自動的に修正
しながら所定の位置に納まると同時に、円錘形を
なす弁体７の外周面が恰かも楔を打ち込むような
動きで弁座９の内周面９ａに隙間なく圧接し、面
接触の状態で安定度の高い確実な逆流防止作用を
発揮する。

〔考案の効果〕

本考案による薬液注入容器の逆流防止弁は上記
の通り構成されているので、次に記載する優れた
効果を奏する。

先ず、弁体の外周面とこれに対向する弁座の内
周面が同じ頂角を有する円錘面の一部で形成され
ているため、弁閉鎖時に従来の場合と違つて常に
面接触の状態で圧接し、腸液や薬液の逆流を極め
て円滑且つ確実に防止する。

また、弁体がほゞ前後に対称な一対の同形円錘
面の一部で形成されているので、弁組立時及び弁
開閉時に於いて方向性の違いを生じる恐れがな
く、弁体の挿入組立が容易で作業工数の低減化を
計ることができる。

さらに、弁体各部の製作寸法が弁室内の形状に
合わせて絶対に誤動作及び組立不良を生じること
がないように規制されているため、非常に信頼性
の高い逆流防止弁を安価に提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による逆流防止弁の具体的な実
施構造の一例を示したもので、第１図イは弁体の
側面図、第１図ロはノズルの縦断面図、第２図及
び第３図は使用時に於ける弁体の動作状態を示す
縦断面図、第４図は本考案の逆流防止弁を組込ん
だ薬液注入容器の一例を示す一部を破断した側面
図、第５図及び第６図は弁室への弁体挿入動作を
示す縦断面図、第７図イ及び第７図ロと第８図イ
及び第８図ロはそれぞれ従来の逆流防止弁とその
弁閉鎖状態を示す縦断面図である。１……容器本体、１ａ……薬液充填口、１ｂ…
…薬液吐出口、２……蓋体、３……カテーテル、
４……ノズル、６……キヤツプ、７……弁体、７
ａ，７ｂ……弁体の外周面、８……弁室、８ａ…
…弁室の出口、９……弁座、９ａ……弁座の内周
面、１０……逆流防止弁、１１……ノズル孔、１
２……突起部、Ｑ……頂角、Ｌ……弁体の長さ、
Ａ……ノズル孔の内径、Ｂ……弁室の内径、Ｃ…
…突起部の対向径、２０……薬液注入容器。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

ノズル４の内部に浮動型の逆流防止弁１０を設
けた薬液注入容器２０に於いて、弁体７を軸方向
に沿つてほゞ前後対称に形成し、前記弁体７の外
周面７ａ，７ｂと、この弁体に対向する弁座９の
形状を、それぞれ同一の頂角Ｑを有する円錘面の
一部で形成すると共に、前記弁体７の軸方向の長
さＬをノズル孔１１及び弁室８の内径Ａ，Ｂより
も大きく形成し、弁体７の最大径Ｄはノズル孔１
１及び弁室８の内径Ａ，Ｂよりも小さく、且つ、
弁室８の出口８ａに対設した突起部１２の対向径
Ｃよりも稍大きく形成してあることを特徴とする
薬液注入容器の逆流防止弁。