JPH0539704Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、消化管（胃、十二指腸等）に用いら
れる消化管用カテーテルに関するものである。

〔従来の技術及び問題点〕

消化管用カテーテルは、患者の消化管内に留置
され、内容物の排除、吸引、洗浄、薬液、造影剤
注入、手術後の胃内圧減圧、栄養補給等種々の機
能を営むものであるが、カテーテルの具備すべき
条件としては以下のことがあげられる。

(1) 詰まらないこと、即ち吸引時においては消化
管内の内容物によつて、また薬液や栄養剤の注
入時にはこれらの薬液や栄養剤自身によつてカ
テーテルが閉塞しないことが必要である。

(2) 安全にかつ挿入し易いこと、即ち早く咽喉を
通過し、食道。胃等でとぐろを巻かないことに
加え、器官内腔を傷つけないこと、及び消化管
に早く進入できること、さらには再挿入できる
ことが要求される。患者は意識的または無意識
的にカテーテルを引き抜きがちであるからであ
る。

(3) 必要な期間使用できること、即ち消化液に耐
え、使用期間中折れたり、切れたりせず、かつ
先端オリーブ（進行の際、錘の作用を営む）が
離脱しないことが必要である。

(4) 患者にあまり異物感を与えないこと、このた
めには導入管は細いこと、生体適合性があるこ
と、目立たないこと等が要求される。

これらを満たすためには、導入チユーブは弾性
と適度の硬さと柔軟性に富み、かつ詰まりを防ぐ
ためにチユーブの内径と先端の開口部（薬液等流
出口）が大きいことが好ましい。

従来、経口、経鼻的に消化管内に挿入、留置す
るカテーテルには、第４図にみられるように先端
近くの導入チユーブ３に数個の側孔を設けたもの
が知られている（例えば実開63−77055号公報
等）。

しかし、これら導入チユーブ３自体に側孔を設
けたものは、その部分が強度的に弱くなり、その
ためチユーブ折れを起こし、挿入困難、流路閉鎖
になる恐れがある。逆に、チユーブ折れを起こし
難くするためには、側孔の大きさを小さくせざる
を得ず、そのため薬液等の詰まりを生じ易くなつ
てしまうという問題がある。

また、柔軟な導入チユーブに弾性の導入用芯線
を挿入して形状を保持し、消化管の所望の部位に
到達せしめるようにしたものがある。この導入用
芯線（以下、マンドリンと呼称する。）を用いた
チユーブの場合には前記のチユーブ自身に側孔が
設けてあるため、チユーブの屈曲やマンドリンの
前進等により容易にマンドリンの先端がチユーブ
の側孔より外に出て消化器等を傷つけてしまうと
いう欠点を有する。

また、第５図に示す如き金属粉や造影剤（粉
体）等をプラスチツク中に加え、繰り込んで形成
したオリーブ１に開口部２を設けたものが知られ
ている（例えば特開59−131365号公報等）が、開
孔部の内側部と外側部の開口面積が変らないため
吸引や薬液投入時に詰りを生じ易いという欠点が
ある。これを防ぐために側孔を大きくするとオリ
ーブの形状保持ができなくなつたり、前記マンド
リンの先端突出が生じ易い等の問題がある。

〔発明が解決しようとする課題〕

本考案者らは、従来の側孔の欠点に鑑み、詰ま
りにくく、マンドリンが側孔より突出し難い側孔
の構造について種々検討を加え、側孔の外表面開
口部面積が側孔の内腔面開口部面積よりも大きい
構造とすることにより上記課題を解決できること
を見いだし、本考案を完成するに至つた。

〔課題を解決するための手段〕

すなわち、本考案は、カテーテル基部に接続
し、先端部にオリーブを取りつけた導入チユーブ
からなる消化管用カテーテルであつて、前記オリ
ーブの側部に側孔を設け、該側孔が前記オリーブ
内腔に接する開口部面積より外表面開口部面積を
大として形成された消化管用カテーテルに係る。

本考案によれば、側孔の開口部形状をチユーブ
内腔に接する内側開口部面積より外表面開口部面
積を大とすることにより、吸引や薬液注入等の高
粘度物の詰まりをなくすようにしたものである。

本考案の実施例を図面に基づいて以下に説明す
る。第１図Ａは本考案に係るカテーテルの一部省
略斜視図であつて、カテーテル基部５が導入チユ
ーブ３の一方の端すなわち基部側に、オリーブ１
が他端すなわち先端部側に取り付けられている。
第１図Ｂは同図Ａのカテーテルと組み合わせて用
いるのに好ましいマンドリン６の一例であり、カ
テーテル基部５から導入チユーブ３に挿入され、
その先端はオリーブ１中に達することができる。
該マンドリンは金属またはプラスチツクにより作
られ、第１図Ｂに示すように、必要により操作用
翼片７を設けてもよい。

先端部に取り付けられるオリーブ１は、例えば
ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ
塩化ビニル等の硬質ないし半硬質プラスチツクス
中に造影剤として硫酸バリウム、酸化ビスマス、
タングステン等の粉末を練り込んで形成され、第
１図乃至第３図に示すように円筒状であつてよ
い。本実施例では、例えば長さ15mm、外径５mm、
内腔径2.5mmで形成し、側部には吸引あるいは薬
液等の流出口としての側孔２が穿設されている。
側孔の開口形状は、オリーブ内腔８壁から外壁に
むけてカテーテル基部側に傾斜を有させて次第に
拡大させ、形成している。第２図に示す実施例に
おける側孔の開口形状は3.0×2.5mm（内腔壁側）
から4.5×3.8mm（外壁面側）の長円形であり、第
３図に示す実施例においては2.8×2.5mm（内腔壁
側）から5.0×3.5mm（外壁面側）の長方形であ
る。なお、側孔の形状は第２図のように連続的に
傾斜させてもよく、第３図に示すように途中より
さらに拡開させて各形成してもよい。ようする
に、内腔８に接する開口部面積より外表面に接す
る開口部面積が大として形成されることが必要で
ある。また、側孔を形成する開口壁面において、
少なくともカテーテル基部側内壁面の延長線とオ
リーブ内腔の先端から基部側にかけて中心線とが
交わる交差角度θがカテーテル基部側に直角より
小さくして、さらには20度〜85度で形成されるこ
とが好ましい。このことによりマンドリン６をオ
リーブ１内まで挿入したとき、マンドリンの先端
が側孔２壁に当たつても、側孔から飛び出すこと
がなくなり、従つて、安全を確保することができ
る。また、吸引や薬液等の注入の効率向上や詰り
の危険性を低下するために側孔は２つ以上設ける
ことが好ましい。オリーブの先端には、導入チユ
ーブ３内に体内等への本カテーテルの挿入が容易
となるように注入された潤滑剤が先端部表面を覆
うようにするために、第３図に示すようなマンド
リンが突き抜けないような細径の先端孔９が設け
られていてもよい。

カテーテル基部５は、半硬質プラスチツクで、
ルアーテーパー付きのものが好ましく用いられ、
吸引または薬液注入、マンドリン挿入用等の筒状
部と筒状部から分岐した枝管から形成されてい
る。

カテーテル基部５は通常使用されるカテーテル
基部材料、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ナイロン等から作られる。

導入チユーブ３は本実施例では例えば外径2.5
mm、内径1.6mmでチユーブ壁には造影剤として硫
酸バリウム20％を練り込んだ造影ライン４が含ま
れている。なお、オリーブ１に近い２〜３cmの部
分はオリーブ取付けのため、もう少し管径を太く
し、かつ、多少硬くしてもよい。

導入チユーブは蠕動を受けるため、できるだけ
柔軟であることが好ましく、軟質プラスチツク材
料例えばポリウレタン、シリコーン樹脂等から作
られる。

なお、必要により、オリーブ及び導入チユーブ
の表面や内腔面、さらにはマンドリン表面にも親
水性高分子皮膜を形成せしめ、カテーテル操作を
より容易にするようにしてもよい。

〔考案の効果〕

本考案に係る消化管用カテーテルは、オリーブ
において、内側から外側へ傾斜状に次第に拡大し
た側孔を設けることにより、吸引や薬剤の注入時
の詰まりを防止することができ、そのため、カテ
ーテルの引き抜きや再挿入の回数を低減できる。
また、側孔を所定の形状とすることによりマンド
リンを内挿したカテーテルの挿入に際して、さら
にはマンドリンの再挿入時に際して、該マンドリ
ンの外への突き抜けの危険性をなくすことができ
るため患者に与える苦痛や危険を著しく低減出来
る等、医療上非常に有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る消化管用カテーテルの一
部省略斜視図であり、第２図及び第３図は本考案
に係る消化管用カテーテルのオリーブ部分の拡大
縦断面図であり、第４図及び第５図は従来例のカ
テーテルの先端部を示す断面図である。 図中、符号１はオリーブ、２は側孔、３は導入
チユーブ、６はマンドリンを各示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ カテーテル基部に接続し、先端部にオリーブ
   を取りつけた導入チユーブからなる消化管用カ
   テーテルであつて、前記オリーブの側部に側孔
   を設け、該側孔が前記オリーブ内腔に接する開
   口部面積より外表面開口部面積を大として形成
   された消化管用カテーテル。 ２ 前記側孔が内部より外部にむけてカテーテル
   基部側に傾斜を有させて形成される請求項１記
   載の消化管用カテーテル。