JPH0542134Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、トイレの水洗タンクの蓋の上で手を
洗えるように蛇口が臨ませてある形式の水洗トイ
レにおいて、前記蛇口から出る水を利用して芳香
を有する水溶性の固形洗浄剤を溶かし、該洗浄剤
の水溶液を水洗タンクを通じて便器へ導くように
するため、前記蓋のタンクへ通ずる孔を中心とす
る位置に載置して使用する洗浄剤の溶出器に関す
るものである。

また本考案は前記のような溶出器のうち、上方
から注がれる水のみにより洗浄剤を溶かすように
したものでなく、溶出器自身により水洗タンクの
蓋の孔の部分である程度水をせき止め、主として
当該部分に一時的に溜る水によつて洗浄剤を溶出
させる構造の溶出器に関するものである。

「従来の技術」 従来のこの種の溶出器の例を第１３図を参照し
て説明する。

１は水溶性で芳香を有する固形の洗浄剤ａを収
容するカツプ状の収容器で、底面の中央部に水洗
タンクｃの蓋ｂの孔ｄへ案内するためのガイド片
１１を形成し、このガイド片１１を中心としてす
のこ状に通水孔１２を形成し、底部外周へほぼ
120度間隔に蓋ｂの上に収容器１を浮かせて載置
するための脚１３を形成している。この収容器１
には、上からの通水と洗浄剤ａの芳香の拡散と空
気抜きとを兼ねて孔２１を多数形成したキヤツプ
２をねじ合せている。また、この溶出器において
は洗浄剤ａに図示しない逆カツプ状の中蓋をかぶ
せたものもあるが、この場合は当該中蓋にも空気
抜きのための孔を形成している。

前記の溶出器は、蛇口ｅが蓋ｂの孔ｄの真上に
位置する場合には蛇口ｅからの水が前記孔２１を
通じて洗浄剤ａに注がれ、この水によつて洗浄剤
ａが溶けるほか、蓋ｂの上面の孔ｄを中心とする
部分に溶出器を置くことにより蓋ｂの上面に一時
的に溜る水によつても洗浄剤ａが溶ける。また、
蛇口ｅが蓋ｂの孔ｄの真上に位置しない場合は、
もつぱら蓋ｂの漏斗状の部分ｆに一時的に溜る水
によつて洗浄剤ａが溶ける。そして、このように
溶けた洗浄剤ａの水溶液は、水洗タンクｃを経て
図示しない便器に供給され当該便器を洗浄する。

「考案が解決しようとする問題点」 水洗タンクの蓋ｂの上に一時的に溜る水の量に
比例して洗浄剤ａの溶出量が増減するが、前述の
従来の溶出器は、例えば水道水圧の高い位置にあ
る（例えば高層住宅では下の階に行く程水道の水
圧が高くなる）家屋では、一回の水洗あたりの出
水量が多くて洗浄剤の溶出用が一般に多すぎ、他
方水道水圧の低い位置にある家屋では、一回の水
洗あたりの出水量が少なくて洗浄剤の溶出量が一
般に少な過ぎる。

また、水道の水圧は時間帯によつても異なるの
で時間によつても同様な現象が見られる。

したがつて、一回の水洗操作による洗浄剤の溶
出量にばらつきを生じ、このばらつきを調整する
ことができないため、ある家屋のトイレでは溶出
量が多過ぎて不経済になり、またある家屋のトイ
レでは溶出用が不足して十分な洗浄効果が得られ
ない欠点があつた。

本考案の目的は、前述のような場合に洗浄剤の
溶出量を調整することができる溶出器を提供する
ことのある。

「問題点を解決するための手段」 本考案は前述の目的を達成するため、底部又は
側周下部に通水孔を有するカツプ状の洗浄剤収容
器と、適宜の角度間隔に脚を有し前記洗浄剤収容
器を上方より下方へ突出し得る状態で保持する支
持台と、前記洗浄剤収容器のキヤツプとを備え、
支持台は前記洗浄剤収容器を挿入し得る環状の基
部と、当該基部の上縁に形成された筒状の立壁又
は前記基部の上縁に沿い所定の角度間隔に形成さ
れた立壁を有し、前記洗浄剤収容器の外周と前記
立壁の内側との一方にはカム溝状、ねじ溝状又は
上下方向に階段状若しくはじくざぐ状をなす溝を
形成するとともに他方には凸部を形成し、前記溝
に前記凸部を係合して前記洗浄剤収容器のレベル
調整機構を構成したことを特徴としている。

「作用」 溶出器における洗浄剤収容器の保持レベル調整
機構により、水道水圧が高く一回の洗浄あたりの
出水量が多い時又は家屋では出水量に合せて収容
器を支持台により高レベルで保持させ、水道水圧
が低い家屋等では収容器を支持台により低レベル
で保持させる。支持台に収容器を高レベルで保持
させた場合は、水洗タンクの蓋の上面と収容器の
底面との間が広くなつてせき止められる水量が少
なくなると同時に、収容器が水没する部分、すな
わち洗浄剤の水と接触する部分が相対的に少なく
なるので洗浄剤の溶出量はより少なくなり、反対
に支持台へ収容器を低レベルで保持させた場合
は、水洗タンクの蓋の上面と収容器の底面との間
が狭くなつてせき止められる水量がより多くなる
と同時に、収容器内の洗浄剤の水と接触する部分
が相対的に多くなるので洗浄剤の溶出量がより多
くなる。

「実施例」 以下第１図〜第１２図により本考案に係る溶出
器の好適な実施例を説明する。

第一実施例を示す第１図〜第７図において、３
は水溶性で芳香を有する固形の洗浄剤ａを収容す
るカツプ状の収容器であつて、合成樹脂で製造さ
れており、底面の中央部に第６図の状態で水洗タ
ンクの蓋ｂの孔ｄに案内される適数のガイド片３
１を有し、底部外周部分の対称位置に通水孔３
２，３２を形成している。

この収容器３の底部外周壁部分には各通水孔３
２と対応する位置にスカート状部３３を形成して
おり、このスカート状部３３にも収容器３に通ず
る通水孔３４を形成している。

収容器３の底面には、前記通水孔３２から底部
中央部のいずれかのガイド片３１に達する状態に
溝（第５図及び第７図参照）３５を形成し、トイ
レの水洗後に収容器３内に残留している洗浄剤ａ
の水溶液の滴をタンクの蓋ｂの上に落下させず、
前記溝３５、ガイド片３１を伝つてタンク内に落
下させるようにすることにより、着色されている
洗浄剤ａの水溶液の濃厚な滴で蓋ｂの上面が汚れ
るのを防止するように構成している。

収容器３の内底部は、洗浄剤ａの水溶液が通水
孔３２，３２へ向けて円滑に流れるように、中央
部から通水孔３２に向かつてやや先下りの浅い傾
斜溝状に形成し、内底部周縁には所定の角度間隔
に内底部の最も高い位置と一致する状態の枕片３
ａを形成して、内部の洗浄剤ａが傾いたりがたつ
いたりしないように構成している。

４は収容器３を下方に突出し得る状態で保持す
る支持台で、底部外周へ所定角度間隔に脚４１を
形成し、収容器３をタンクの蓋ｂの上面から浮上
した状態に保つようになつている。

この実施例では、支持台４は収容器３を挿入し
得る環状の基部４０と、この基部の上に連続して
形成した筒状の立壁４１とを有し、この立壁４１
の内側対称位置に凸部４３を形成するとともに、
収容器３の外周面の対称位置に下端よりカム溝状
の溝３６を形成し、該溝３６と前記凸部４３とを
係合させて支持台４に収容器３を保持させること
により、収容器３のレベル調整機構ｇを構成して
いる。

したがつて、支持台４に対して収容器３を回す
と該収容器３が支持台４に対して昇降する。

支持台４の環状の基部４０の外周側には、上向
きの水溜り４４と、この水溜り４４の外周に適宜
の間隔で窓孔４６を有する円筒状の胴部４８とを
一体に形成し、この胴部４８の上端に鍔４９を形
成している。

水溜り４４は、底部に適宜の間隔で形成された
通水孔４７により下方空間と通じ、また第６図の
組立状態において、収容器３の側周下部の通水孔
３４と通ずるように立壁４１の下端に形成されて
いる横長の通水孔４５により収容器３と通じてい
る。

キヤツプ５は合成樹脂製であつて、第４図のよ
うに外周輪郭を花弁形とする椀状に形成され、内
部に外周壁の凹み部を５４を突端とする星形に類
似した平面形状の隔壁５３を形成し、この隔壁５
３の外周に位置する上部に孔５２を形成してい
る。

前記の隔壁５３の円弧部５ａの中の相対してい
る円弧部５ａの内側に係合片５１を形成し、この
係合片５１を収容器３の外周上部の対称位置に形
成した縦溝状の係合溝３７，３７に係合してキヤ
ツプ５と収容器３が一体に回るように構成してい
る。

キヤツプ５の外周壁の凹み部５４の内側は、キ
ヤツプ５を回す時の障害にならない程度に支持台
４の鍔４９に係止し、キヤツプ５の前記隔壁で囲
まれた部分が空気溜り５５を構成するようにする
のが望ましい。

第６図における収容器３のレベルは中間位置に
あり、同図上方よりキヤツプ５を時計方向に回す
と収容器３は下降し、キヤツプ５を逆に回すと収
容器３は上昇する。この実施例では、収容器３を
下限まで下降させた時は収容器３の底面が第６図
の矢印ロまで達し、上限まで上昇させた時は収容
器３の底面が同図矢印イまで上昇するように構成
している。

支持台４に収容器３を高レベルに保持させる
と、収容器３の堰の作用が減少してタンクの蓋ｂ
の上に一時的に溜る水量は相対的に少なくなると
同時に、収容器３の水没部分も少なくなるので、
内部の洗浄剤ａに接触する水の量が少なくなつて
洗浄剤ａの溶出量も減少する。

逆に収容器３を低レベルに保持させると、収容
器３の堰の作用が増大して蓋ｂの上に溜る水量が
相対的に多くなると同時に、洗浄剤ａに接触する
水の量が相対的に増加するのでその溶出量が増大
する。

したがつて、水道水圧に応じて支持台４におけ
る収容器３のレベルを変えることにより洗浄剤ａ
の溶出量を調整することができる。

第８図〜第１０図は本考案に係る溶出器の第二
実施例であつて、以下前記の第一実施例と異なる
構成及び作用についてのみ説明する。

支持台４の立壁４１は、収容器３を挿入し得る
環状の基部４０の上周縁に沿い対称位置に適宜の
間隔を置いて断続して形成され、この各立壁４１
の内側に対称に凸部４３を形成し、この凸部４３
と収容器３の外周面のカム溝状の溝３６とを第９
図のように係合させて収容器３のレベル調整機構
ｇを構成している。

収容器３の側周下部に形成されている通水孔３
４の上位近傍には、対称位置に対の通水孔３８を
形成している。

キヤツプ５における隔壁５３の円弧部５ａの先
端には、係合片５１を収容器３の係合溝３７へ案
内し易くするためガイド片５６を一体に形成し、
外周壁の凹み部の内側に丸みのある係止部５７を
突出させ、この係止部５７を第１０図のように支
持台４の外周の鍔４９に係止し、第９図及び第１
０図のような組立状態においてキヤツプ５の隔壁
５３で囲まれている部分が空気溜り５５を形成す
るように構成している。

第９図の状態は収容器３の保持レベルが中間位
置であり、同図左側の通水孔３４と各通水孔３８
（第８図）は立壁４１によつて遮蔽されており、
収容器３の底部の通水孔３２，３２と同図におけ
る右側の通水孔３４のみが開放され、水はこれ等
の通水孔のみから収容器３内に入る得る状態にあ
る。

第９図において、キヤツプ５を上方より時計方
向に止まるまで回すと収容器３が下限レベルに下
降し、収容器３の全部の通水孔３２，３２，３
４，３４，３８，３８が支持台４の基部４０の下
方に開放され、水がこれ等全部の通水孔より収容
器３内に入り得る状態になる。また、キヤツプ５
を逆方向に止まるまで回すと収容器３が上限レベ
ルに上昇し、通水孔３４，３４，３８，３８は立
壁４１で遮蔽され、下方に開放されている通水孔
３２，３２のみから水が収容器３内に入り得る状
態になる。

したがつて、この第二実施例の溶出器３は支持
台４が保持する収容器のレベルを変えることのみ
により洗浄剤ａの溶出量を調整するのでなく、前
述のように通水孔３２以外の他の各通水孔３４，
３４，３８，３８を収容器３の保持レベルに応じ
て開閉することによつても溶出量を調整できるか
ら、洗浄剤ａの溶出量をより厳密に調整すること
ができることになる。

前記各実施例において、溝３６はカム溝状のも
のに変えてねじ状の溝を形成しても実施すること
ができるほか、第１１図のように収容器３の外周
面に上下方向へじくざぐ状の溝３６を形成しても
実施することができる。さらに、この溝３６はじ
ぐざぐ状のものに変えて階段状に形成しても実施
することができる。

また、第１２図のように前記のような各態様の
溝３６を支持台４の立壁４１の内側に形成すると
ともに、該溝３６に係合される凸部４３を収容器
３の外周面に形成しても実施することができる。

「考案の効果」 本考案に係る洗浄剤の溶出器は、洗浄剤収容器
のレベルを選択的に変化させることにより、水洗
タンクの設置場所における蛇口からの出水量に応
じて収容器内の洗浄剤の溶出量を調整することが
でき、洗浄剤の溶出量の過不足をより少なくして
より適切な溶出量を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る溶出器の一例を示す分解
断面図、第２図は収容器の正面図、第３図は支持
台の底面図、第４図はキヤツプの底面図、第５図
は収容器の底面図、第６図は第１図の溶出器の組
立状態の拡大断面図、第７図は第５図の矢印Ａ−
Ａにおける一部拡大断面図、第８図は溶出器の他
の実施例を示す一部破断分解斜視図、第９図は第
８図の溶出器の組立状態の拡大断面図、第１０図
は第９図の矢印Ｂ−Ｂにおける一部断面図、第１
１図は洗浄剤収容器の他の例を示す正面図、第１
２図は保持レベル調整機構の他の例を示す一部を
断面とした分解正面図、第１３図は従来の溶出器
を例示した断面図である。 主要図中符号の説明、３は収容器、３１はガイ
ド片、３２，３４は通水孔、３６は溝、３７は係
合溝、３９は凹部、４は支持台、４０は環状の基
部、４１は立壁、４２は脚、４３は凸部、４４は
水溜り、４９は鍔、５はキヤツプ、５１は係合
片、５７は係止部、３０，５８はねじ山、ａは洗
浄剤、ｇはレベル調整機構である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 底部又は側周下部に通水孔を有するカツプ状
   の洗浄剤収容器と、適宜の角度間隔に脚を有し
   前記洗浄剤収容器を上方より下方へ突出し得る
   状態で保持する支持台と、前記洗浄剤収容器の
   キヤツプとを備え、支持台は前記洗浄剤収容器
   を挿入し得る環状の基部と、当該基部の上縁に
   形成された筒状の立壁又は前記基部の上縁に沿
   い所定の角度間隔に形成された立壁を有し、前
   記洗浄剤収容器の外周と前記立壁の内側との一
   方にはカム溝状、ねじ溝状又は上下方向に階段
   状若しくはじくざぐ状をなす溝を形成するとと
   に他方には凸部を形成し、前記溝に前記凸部を
   係合して前記洗浄剤収容器のレベル調整機構を
   構成したことを特徴とする、水洗トイレ用洗浄
   剤の溶出器。 (2) キヤツプが前記洗浄剤収容器へ少なくとも該
   収容器と一体に回る状態に取付けられた、実新
   案登録請求の範囲第１項に記載の水洗トイレ用
   洗浄剤の溶出器。