JPH0540002U - 二重キヤツプトレツドを有するタイヤ - Google Patents

二重キヤツプトレツドを有するタイヤ

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JPH0540002U
JPH0540002U JP7272092U JP7272092U JPH0540002U JP H0540002 U JPH0540002 U JP H0540002U JP 7272092 U JP7272092 U JP 7272092U JP 7272092 U JP7272092 U JP 7272092U JP H0540002 U JPH0540002 U JP H0540002U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 重作業運転に耐える、比較的深い溝の設けら
れた2重キャップ構造のトレッドを有するタイヤを提供
する。 【構成】 トレッドキャップが内側及び外側層よりな
り、その内側層のゴムが少なくとも1種類の選ばれたジ
エンゴムと trans-1,4- ポリブタジエンゴムとよりなる
ようにする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、二重キャップ構造のゴムトレッドを有する空気ゴムタイヤに関する 。より詳細には、本考案は内側および外側のエラストマー組成物のトレッドキャ ップを有するようなタイヤに関する。本考案は、特にトラック用タイヤ等におい て見られるような比較的溝が深く比較的厚いタイヤトレッドに適用することがで きる。
【0002】
【従来の技術】
トラック用タイヤは、通常、比較的厚いトレッド及びそれに対応して比較的深 い溝を有する。トレッドのラグの高い壁及びそれと組み合わされる溝によっても たらされる曲げモーメント及び梃作用のために、しばしば異常に大きな応力がそ の深い溝の底や内側部分に加えられる。
【0003】 このような応力は、それら底の近傍において特にタイヤが比較的重操業の運転 条件で使用されるときに溝内面に亀裂を生ずる場合がある。このような溝の内側 部分における溝亀裂は醜い外観のために通常望ましくなく、またそのような亀裂 が次第に深くまで伝播すると水、泥及び路面の破片等を取り込み、更に種々の保 守の困難性を伴うためにも望ましくない。
【0004】 典型的にはトレッドの外側キャップ層は、肉眼視できるトレッド溝及びこれと 組み合わされる地面と接するように設計された多数のラグ部とを含む。このキャ ップ部は通常そのようなトレッド形状を含み、そして通常はトレッドの溝の丁度 下までのトレッド厚さにまで達している。このキャップ部のゴムは、しばしば良 好な横滑り抵抗、トレッドの摩耗及びタイヤの回転抵抗を与えるように配合され ている。そのトレッドは、或る場合にはキャップ部の下方に位置する基部をも備 え、そしてトレッド自身の一部としてトレッドキャップとその下のタイヤの支持 ベルト又はカーカス部との間に位置している。しかしながら、それは、トレッド のラグ及び溝の構成を含むキャップ部である。このようなタイヤ構造はよく知ら れている。
【0005】 また2重層のゴムよりなるトレッドキャップが提案されている。その外層は路 面と接触することが想定され、そしてカーカス又はトレッド基部に隣接する内側 層は、或る場合には上述した溝の亀裂を防ぎ又は低下させるように設計される。 このようなトレッドキャップの内層は、上述の各トレッド溝の内側部分、少なく ともこのトレッドの深い溝の内側部分を含む。従って場合によっては内側キャッ プ層は、タイヤのカーカス部又はトレッド基部層の外向きの延長と言うよりは、 外側キャップ層の内向きの延長であると考えられる。
【0006】 種々の目的のために、例えばタイヤトレッドのゴム組成物を含めて trans-1,4 - ポリブタジエンを使用することが発表されている(例えば特許出願公告第 60- 133,036 号、同 62-101,504 号並びに同 61-143,453 号、及び米国特許第4,510, 291 号並びに同5,025,059 号参照)。トレッドのキャップ/基部構造の基礎的な 一成分として trans-1,4- ポリブタジエンを使用することが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら本考案においては、内側キャップ層に対する要求条件を、キャッ プ/基部構造のトレッドのベースの代わりに、外側キャップ層のそれら(トレッ ド摩耗、横滑り抵抗等)に更に類似させ且つ一致させている。これは、タイヤト レッドの摩耗に際して内側キャップ部が場合によって路面に暴露されることが予 想され、従って、外側キャップ層と同様に路面による摩耗及び摩擦の性質を必要 とするからであり、これは、通常はタイヤの接地部となることを意図していない タイヤトレッドのトレッド基礎成分には通常求められないような要求条件である 。
【0008】 珍しいことにtrans-1,4-ポリブタジエンは、これが室温での未加硫状態におい て、その高い結晶度のため典型的にはゴムというよりはむしろ熱可塑性樹脂であ る。しかしながら、このものはその骨格の中に多数の二重結合を含んでいるので 、これは種々のエラストマー類と適切に混合し、共加硫させることができる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本考案に従えば、ラグとそこに対応する溝とを備えた二重キャップ構造のゴム トレッドを有し、該キャップが内側キャップ層と接地に適合した外側キャップ層 を含むものであるゴムタイヤにおいて、該外側キャップ層は最も深いトレッド溝 の外側深さの少なくとも 25 %、好ましくは主要部、より好ましくは約 75 ない し約 85 %を含み、該内側キャップ層が最も深いトレッド溝の内側の深さの約 7 5 %未満、好ましくは副次的部分、より好ましくは約 15 ないし約 25 %を囲み 、該内側キャップ層は全てのトレッド溝の下に有り且つ広がっており、更に該内 側キャップ層は、ゴム 100重量部基準(phr)で(A)約 40 ないし約 95 重 量部、好ましくは約 50 ないし約 80 重量部、の天然及び/又は合成の cis-1,4 - ポリイソプレンゴム、cis-1,4-ポリブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共 重合ゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエン三元共重合ゴム及び 3,4- ポリイ ソプレンゴムから選ばれた少なくとも1つのジエンゴムと、(B)約5ないし約 60 重量部、好ましくは約 20 ないし約 50 重量部、の約 75 ないし約 85 %の trans-1,4- 含有量を有するtrans-1,4-ポリブタジエンとを含む硫黄加硫ゴム層 組成物であることを特徴とするゴムタイヤが提供される。
【0010】 本考案のトレッドキャップの記述では、一態様として外側キャップ層はトレッ ドキャップの主要部として記載され、これに対応して内側キャップ層は副次的部 分からなると記載される。この表現は、外側キャップ層の厚さがトレッドキャッ プの厚さの 50 %を越える(すなわち例えば少なくとも 51 %)であり、これに 対応して内側キャップ層がキャップの全厚さの副次的部分からなること、すなわ ちトレッド外面からトレッド溝の下まで延びているトレッドキャップの「底」ま で測って 50 %未満(すなわち例えば 49 %より少ない)という通常の意味にお いて用いられている。なお、それらトレッド溝は、適宜それらの外側部分(外側 キャップ層)及び内側部分(内側キャップ層)に関して参照されている。それら 溝の外側部は典型的にはトレッドの露出されている外表面と直接連なり、そして その内側部分は溝の底まで延びている。
【0011】 また一態様において、キャップの外層及び内層はそれらが実際に各溝の壁部の 1部であるようにそれぞれの溝の部分を囲んでいると記述される。外側キャップ 層は、これがその上をタイヤが走行するような下地(すなわち地面)と接触する ことが想定されているタイヤトレッドの表面であるという意味において、接地に 適していると記述される。
【0012】 好ましくは、このような trans-1,4- ポリブタジエンは、 trans-1.4- 異性体 構造のブタジエン繰り返し単位約 75 ないし約 85 %、1,2-構造の単位約2ない し約18%並びに cis-1,4- 構造の単位約2ないし約 18 %、及びこのものの未加 硫状態で約 35 ℃ないし約 60 ℃の範囲の少なくとも1つ以上の融点を有するこ とによって特徴づけられるものである。本考案の一態様において、外側キャップ 層は trans-1,4- ポリブタジエンを含まない硫黄加硫されたゴム組成物である。 すなわち、この態様においては外側キャップ層は trasn-1,4- ポリブタジエンを 含まない。
【0013】 ここで記載の目的として「配合された」ゴム組成物とは、適当な配合成分、例 えばカーボンブラック、油、ステアリン酸、酸化亜鉛、シリカ、ワックス、老化 防止剤、樹脂(類)、硫黄及び促進剤(類)が配合されているそれぞれのゴム組 成物を意味する。
【0014】 本考案の実施に際して、上記トレッドキャップは約 6.5 から約 25 mm まで の範囲内の全厚さを有することができ、その際外側キャップ層は約 4.5 ないし 約 20 mm の厚さを、そして内側キャップ層は約2ないし約 20.5 mm の厚さを 有する。これらそれぞれの厚さは記述の便宜上の代表的なものと考えてよく、個 々のトレッド厚さはタイヤ毎にタイヤの大きさ及び目的とする運転条件に応じて 若干変化することができる。
【0015】 実際に、大型のオフロードタイヤ及び大型の農業用タイヤについてはトレッド キャップの全厚さは約 140 mm にさえ達することができ、そして前記内側キャッ プ層は 35 mm 未満、又はそれ以上に達する厚さを有する。
【0016】 それぞれのラグの間の溝は全てのタイヤトレッドにおいて種々の深さを有する ことができるけれども、最も深い溝は約 5.5 ないし約 22 mm の深さ(その壁 部の高さ寸法)を有することができる。好ましくは、最も深い溝の深さの約 15 ないし約 25 %、又はそのタイヤの目的とする用途について保証されるときは75 %未満、が上記キャップのゴム内層に含まれる。一方、最も浅い溝は同様にその タイヤの型及び目的とする用途に依存してキャップ外側部分の中に完全に含まれ てもよい。
【0017】 すなわち本考案の一態様において、前記二重キャップ構造のトレッドは、トレ ッドの最も深い溝の深さの約 75 %未満が前記内側キャップ層に囲まれるような 前記二重キャップ構造のトレッドが提供される。好ましい態様のひとつにおいて は、トレッドの最も深い溝の深さの約 15 ないし約25%が内側キャップ層に囲ま れる。
【0018】 内側キャップ層は、タイヤカーカス、又はタイヤのトレッド基部層或いはトレ ッドのキャップ/基部構造の単純な延長であると考えられるものではない。これ は、トレッド基部はこれまではトレッド溝を基本的に除外すると考えられていた けれども、内側キャップ層がいまや実際にトレッド溝の低い領域を含むからであ る。同様に、例えばトレッドの摩耗、亀裂成長抵抗性、引き裂き及び曲げ疲労抵 抗性のような内側キャップ層についての望ましい物理的諸性質は、場合によって はトレッドキャップ/基部構造或いはトレッドを支持するタイヤカーカス内の基 部層についての所望の諸性質よりはむしろ外側キャップ層についての所望の諸性 質に更に密接に近似する。
【0019】 本考案に用いられる trans-1,4- ポリブタジエンは、例えば、触媒系としてカ プリル酸コバルト並びにトリエチルアルミニウム及び触媒修飾剤としてのパラア ルキル置換フェノールの存在のもとで、有機溶剤中の 1,3- ブタジエンのアニオ ン性のバッチ重合又は連続重合により得ることができる。この trans-1,4- ポリ ブタジエンは、未加硫状態で少なくとも1つの軟化点又は融点を示すことが見出 されている。
【0020】 本考案の実施において、外側トレッドキャップ層のゴム組成物は、例えば、少 なくとも1種類の、 cis-1,4- ポリイソプレンゴム、天然及び合成の双方の、3, 4-ポリイソプレンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、スチレン/イソプレ ン/ブタジエン三元共重合ゴム及び cis-1,4- ポリブタジエンゴムから選ばれる 少なくとも一つのゴムよりなることができる。好ましくはそれは天然ゴム又は c is-1,4- ポリイソプレンゴムと cis-1,4- ポリブタジエンゴムとの組み合わせよ りなるのがよい。一態様において、外側キャップ層は trans-1,4- ポリブタジエ ンを含まない。
【0021】 ベースゴム組成物は、キャップ内側ゴム層と組み合わせて、又はこれの下層と して用いるときは、例えば 1,4- ポリイソプレンゴム、天然又は合成の 1,4- ポ リブタジエンゴム及びスチレン/ブタジエン共重合ゴムのような種々の硫黄加硫 可能なゴムよりなることができる。一態様においてこれは trans-1,4- ポリブタ ジエンを含むことができる。
【0022】 この技術の当業者は、キャップの内外層の各ゴム組成物が、例えば種々の硫黄 加硫可能な成分ゴムを通常的に用いられる種々の添加物質、例えば硫黄、活性化 剤、遅延剤、及び促進剤のような加硫助剤、例えば油、軟化用樹脂を含む種々の 樹脂類、シリカ及び可塑化剤、填料、顔料、脂肪酸類、酸化亜鉛、ワックス、酸 化防止剤及び抗オゾン剤のような加工用添加剤、解膠剤、及び例えばカーボンブ ラックのような補強材と混合するようにしてゴム配合において一般的に知られた 方法によって配合されるであろうことは容易に理解できる。当業者に知られてい るように、硫黄加硫可能な物質及び硫黄加硫された物質(ゴム)の目的とする用 途に依存して、上述した種々の添加剤を選択し、そして通常的なそれぞれの量で 通常的に用いる。
【0023】 カーボンブラックの典型的な添加量はジエンゴムの約 20 ないし 100 重量部 (phr) 、好ましくは 30 ないし 60 phr である。使用する場合に典型的な粘着剤 樹脂の量は約 0.5 ないし約 10 phr 、通常は約1ないし約5 phr である。加 工用助剤の典型的な量は1ないし 20 phr であることができる。そのような加工 助剤は例えば、芳香族系、ナフテン系及び/又はパラフィン系の種々の加工用油 を含むことができる。使用する場合のシリカの量はしばしばシリカカプリング剤 とともに約5ないし約 25 phr であることができる。代表的なシリカは例えば無 定形水和シリカであることができる。酸化防止剤の典型的な量は約1ないし約5 phr であることができる。代表的な酸化防止剤は例えば、ジフェニル-p- フェニ レンジアミン及び他の、例えば Vanderbilt Rubber Handbook (1978) の 344 - 346 頁に記述されているようなものであることができる。抗オゾン剤の典型的な 量は約1ないし約5 phr である。使用する場合の、ステアリン酸を含むことが できる脂肪酸類の典型的な量は約 0.5 ないし約3 phr である。酸化亜鉛の典 型的な量は約2ないし約5 phr である。ワックス類の典型的な量は約1ないし 約5 phr である。しばしば、微結晶性ワックスが用いられる。解膠剤の典型的 な量は約 0.1 ないし約1 phr である。典型的な解膠剤は例えばペンタクロル チオフェノール及びジベンズアミドジフェニルジスルフィドである。上述した各 添加剤の存在及びそれらの相対的な量は本考案のアスペクトの1つと考えるべき ではなく、これはより本質的にはタイヤトレッドのゴムのそれぞれの配合物の用 途に指向されるものである。
【0024】 加硫は硫黄加硫剤の存在のもとに行われる。適当な硫黄加硫剤の例としては元 素状硫黄(遊離硫黄)又は硫黄放出性加硫剤、例えばアミンジスルフィド、重合 したポリスルフィド又はオレフィン−硫黄付加物が含まれる。好ましくは硫黄加 硫剤は元素状硫黄である。当業者に知られているように、種々の硫黄加硫剤が約 0.5 ないし約4 phr の量で用いられ、その際約 1.5 から約 2.25 phr までの 量が好ましい。
【0025】 種々の促進剤が加硫に必要な時間及び/又は温度の制御のため、及び加硫物の 性質を改善するために用いられる。具体例の一つにおいて、単一促進剤系、すな わち主促進剤が用いられる。通常は、主促進剤を約 0.5 ないし約 2.0 phr の 範囲の量で用いる。もう一つの具体例においては2種類又はそれ以上の促進剤の 組み合わせが一般に比較的多量に(0.5 ないし 1.0 phr)用いられ、そして副促 進剤が一般により少ない量で(0.05 - 0.50 phr)、活性化のため及びその加硫物 の性質の改善のために用いられる。これらの促進剤の種々の組み合わせがその最 終的諸性質の相乗効果をもたらすことが知られており、そしてこれはそれぞれの 促進剤を単独で使用することによってもたらされるものよりも若干良好である。 加えて、種々の遅延作用性促進剤を用いることができ、これらは通常の加工温度 によっては影響を受けないけれども、通常的な加硫温度においては満足な加硫を もたらす。本考案において用いることのできる適当な型の促進剤はアミン類、ジ スルフィド類、グアニジン類、チオ尿素類、チアゾール類、チウラム類、スルフ ェナミド類、ジチオカルバマート類及びキサンタート類である。好ましくは主促 進剤はスルフェナミドであるのがよい。副促進剤を用いる場合はこれは好ましく はグアニジン、ジチオカルバマート又はチウラム化合物であるのがよい。硫黄加 硫剤の存在及びそれらの相対的量は本考案のアスペクトの1つと考えるべきでは なく、これはより本質的にはタイヤトレッドのゴムの個々の配合物の使用、特に トレッドの内側キャップ層の中に trans-1,4- ポリブタジエンを含むことに指向 されている。
【0026】 タイヤは、当業者に明らかな種々の方法によって仕込まれ、成形され、型込め され、そして加硫される得る。本考案に従い得られるタイヤは、当業者に知られ た種々の方法によって通常的に成形して加硫される。
【0027】
【実施例】 本考案のよりよい理解のために添付の図面を参照して説明する。図1は、積層 ゴムラジアル空気タイヤ1の断面図である。このタイヤ1は、トレッド2、二つ のビーズ又はビード要素3、トレッド2とビード要素3とをつないでいるサイド ウォール4、及びトレッド2とサイドウォール4とを支持するためのベルト6並 びに積層体(プライ)5よりなる。これは、通常的なゴム積層ラジアル空気タイ ヤの構造を若干典型化して示したものと考えるべきである。
【0028】 本考案によれば、トレッド2はそれ自身キャップ内側部分又は内層7及びキャ ップ外側部分又は外層8に別れているキャップ要素として表わされる。分割線9 が簡便のために内側キャップ層7と外側キャップ層8との間に示されている。ト レッド2は、また多数のラグ 10 及び溝 11 を備えて構成されている。これらの 溝 11 は種々の深さのものであることができるけれども、説明のために比較的深 い溝 11a と浅い溝 11b とを示してある。それら深い溝 11b については、こ れら溝 11 の底のところの内側、底又は基部の湾曲部 12 もあげてある。この図 1から、内側キャップ部分7は外向きに延びており、分割線9によってより明瞭 に示されているように、それらの最も深い溝の深さの少なくとも一部を囲んでい ることがわかる。また内側キャップ部7は、全トレッドキャップ2の全ての溝 1 1 の下に位置し、かつ広がっている。
【0029】 本明細書で示されるように、キャップ内側部7は trans-1,4- ポリブタジエン を含み、そしてキャップ内側部7によって囲まれる深い溝 11b の、中でもそれ らの内側湾曲部 12 のところでの亀裂を防止し又は実質的に除くように設計され ている。外側キャップ層8は、ラグ 10 及びそれに対応する溝 11 (特に 11b) の外向きの広がりの主要部を占める。
【0030】 以下、本考案をいくつかのより具体的な実施例を参照して詳細に説明する。こ れらにおいて部及び%の値は、特に記載しない限り重量基準である。
【0031】 [実施例I] 未加硫状態で約 40 ℃と 60 ℃との二つの軟化点を有するtrans-1,4-ポリブタ ジエンを含むジエンゴムの混合物を、下記表1の実験A、B及びCに示す配合に よって調製した。実験Aは参照実験である。
【0032】
【表1】 表 1 なお、通常量の老化防止剤(類)(パラフェニレンジアミン型)、酸化亜鉛、 ステアリン酸、スルフェナミド型促進剤を用いた。 1)高い trans-1,4- ポリブタジエン含有量(trans-1,4-: 80%)により特徴 づけられる本考案のための trans-1,4- ポリブタジエン: この実施例の trans-1,4- ポリブタジエンは、約 80 %の trans-1,4- 含有量 、約5%の cis-1,4- 含有量、及び約 15 %のビニル-1,2- 含有を有することに よって特徴づけられた。このものは更に約 205,000 の数平均分子量(Mn)及 び約 430,000の重量平均分子量(Mw)を有することによって特徴づけられてい た。これはその上に、約 -75℃の Tg 及び約 40 ℃(主)及び 60 ℃(副)の融 点(Tm)を有することによって特徴づけられていた( Tg 及び Tm はともに、10 ℃/分において示差走査熱量計によつて決定することができる)。
【0033】 この trans-1,4- ポリブタジエンは、 1,3- ブタジエンを脂肪族炭化水素(例 えばヘキサン)の中の溶液において p- ドデシルフェノール改質剤を含むカプリ ル酸コバルト及びトリエチルアルミニウムの触媒の存在のもとにバッチ重合させ ることによって好適に作ることができるけれども、これはまた適当なゲル防止剤 を用いて連続重合によって作ることもできる。
【0034】 [実施例II] 調製されたゴム組成物を約 150℃の温度において 20 分間加硫し、そして得ら れた加硫ゴムのサンプルの物理的性質について評価し、これを下記表2に示す。 実験サンプルA、B及びCは、実施例Iの実験サンプルA、B及びCに対応する ものである。
【0035】 加硫したシートまたは小片を、弾性率、引張及び伸びの試験、反跳試験、引き 裂き試験及びベルト亀裂試験のために、サンプルA、B及びCについて各々作製 した。ベルト亀裂試験用サンプルは、種々の幅及び深さの多数の溝を備えたもの である。
【0036】
【表2】 表 2 註) 1): 180o の角度で引き裂くことを含む自己接着力の試験、( 5 mm wide s trips )ニュートン力にて測定。
【0037】 2): ASTM試験 No. D430 3): 試験実施期間の日数 4): 肉眼による 10 分割評価値(但し 10 =最も悪い、すなわち実際上全溝 底湾曲部においてサンプルを横切る深い亀裂あり、1=最も良好(すなわちその ような溝亀裂なし)。
【0038】 このように加硫したゴムの引き裂き抵抗性及び疲労亀裂抵抗性は、実験Bにつ いて著しく高い。従って trans-1,4- ポリブタジエンは、二重キャップゴムのト レッドでの内側キャップ層として優れた候補の一つであると考えられる。
【0039】 本考案を説明するためにいくつかの代表的具体例及びその詳細を以上に示した が、当業者には本考案の技術的範囲及び本質から逸脱することなく種々の変更及 び修飾を行うことができることは明らかである。
【0040】
【発明の効果】
以上説明した本考案により、重作業運転に耐える、比較的深い溝の設けられた 2重キャップ構造のトレッドを有するゴムタイヤが提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のゴムタイヤの一例である積層ゴムラジ
アル空気タイヤを示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 ゴムタイヤ 2 トレッド 3 ビード要素 4 サイドウォール 5 積層体(プライ) 6 ベルト 7 内側キャップ層 8 外側キャップ層 9 分割線 10 ラグ 11 溝 11a 深い溝 11b 浅い溝 12 湾曲部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 トーマス ジヨセフ シガツタ アメリカ合衆国 44333 オハイオ州 フ エアローン ストラトフオード ロード 300 (72)考案者 ジヨニー デイル マシー セカンド アメリカ合衆国 44236 オハイオ州 ハ ドソン ニコルソン ドライブ 5781

Claims (8)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラグとそこに対応する溝とを備えた二重
    キャップ構造のゴムトレッドを有し、該キャップが内側
    キャップ層と接地に適合した外側キャップ層を含むもの
    であるゴムタイヤにおいて、該外側キャップ層は最も深
    いトレッド溝の外側の深さの少なくとも 25 %であって
    約 85 %未満を含み、該内側キャップ層が最も深いトレ
    ッド溝の内側の深さの約 75 %未満を囲み、該内側キャ
    ップ層は全てのトレッド溝の下に有り且つ広がってお
    り、更に該内側キャップ層は、ゴム 100重量部基準(p
    hr)で(A)約 40ないし約 95 重量部、好ましくは
    約50 ないし約 80 重量部、の天然及び/又は合成の ci
    s-1,4- ポリイソプレンゴム、cis-1,4-ポリブタジエン
    ゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、スチレン/イ
    ソプレン/ブタジエン三元共重合ゴム及び 3,4- ポリイ
    ソプレンゴムから選ばれた少なくとも1つのジエンゴム
    と、(B)約5ないし約 60 重量部、好ましくは約 20
    ないし約 50 重量部、の約 75 ないし約 85 %の trans
    -1,4- 含有量を有するtrans-1,4-ポリブタジエンとを含
    む硫黄加硫ゴム層組成物であることを特徴とするゴムタ
    イヤ。
  2. 【請求項2】 前記外側キャップ層が、 trans-1,4- ポ
    リブタジエンを含まないゴム組成物よりつくられる請求
    項1記載のゴムタイヤ。
  3. 【請求項3】 トレッドの最も深い溝の深さの約 15 な
    いし約 25%が、前記内側キャップ層に囲まれている請
    求項2記載のゴムタイヤ。
  4. 【請求項4】 トレッドの最も深い溝の深さの副次的部
    分が、前記内側キャップ層に囲まれている請求項2記載
    のゴムタイヤ。
  5. 【請求項5】 トレッドキャップが、約 6.5 ないし約
    25 mm の全厚さを有し、前記外側キャップ層が約 4.5
    ないし約 20 mm の厚さを有し、前記内側キャップ層
    が約2ないし約 20.5mm の厚さを有する請求項4記載
    のゴムタイヤ。
  6. 【請求項6】 トレッドキャップの全厚さが約 140 mm
    未満であり、前記内側キャップ層が 35 mm 未満の厚さ
    を有する請求項2記載のゴムタイヤ。
  7. 【請求項7】 前記 trans-1,4- ポリブタジエンが、 t
    rans-1,4- 異性体構造のブタジエン繰り返し単位約 75
    ないし約 85 %、1,2-構造のその単位約2ないし約18
    %、及び cis-1,4- 構造のその単位約2ないし約 18 %
    を有し、その未硬化状態で約 40 ℃ないし約 60 ℃の範
    囲にある少なくとも1つの融点を有する請求項2記載の
    ゴムタイヤ。
  8. 【請求項8】 前記外側キャップ層が、 cis-1,4- ポリ
    イソプレンゴム、天然及び合成の双方の、 3,4- ポリイ
    ソプレンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、スチ
    レン/イソプレン/ブタジエン三元共重合ゴム及び cis
    -1,4- ポリブタジエンゴムのうちの少なくとも1種から
    選ばれる少なくとも1つのゴムを含む請求項2記載のゴ
    ムタイヤ。
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