JPH0539550A - 軟磁性合金膜 - Google Patents
軟磁性合金膜Info
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- JPH0539550A JPH0539550A JP19687891A JP19687891A JPH0539550A JP H0539550 A JPH0539550 A JP H0539550A JP 19687891 A JP19687891 A JP 19687891A JP 19687891 A JP19687891 A JP 19687891A JP H0539550 A JPH0539550 A JP H0539550A
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- Japan
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- flux density
- magnetic flux
- magnetostriction
- soft magnetic
- alloy film
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- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F10/00—Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
- H01F10/08—Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure characterised by magnetic layers
- H01F10/10—Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure characterised by magnetic layers characterised by the composition
- H01F10/12—Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure characterised by magnetic layers characterised by the composition being metals or alloys
- H01F10/126—Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure characterised by magnetic layers characterised by the composition being metals or alloys containing rare earth metals
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- Engineering & Computer Science (AREA)
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- Magnetic Heads (AREA)
- Thin Magnetic Films (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 高飽和磁束密度を有しながらも、磁歪が低減
された軟磁性合金膜。 【構成】 Fe x Co y Sm z なる組成を有し、そ
の全体が体心立方構造の結晶からなる軟磁性合金膜。但
し、30at%≦x≦95at%、5at%≦y≦70a
t%、0.2at%≦z≦5at% 【効果】 Smの少量添加により体心立方構造を有する
もので、高飽和磁束密度を有したまま磁歪を低減させる
ことができる。この高い飽和磁束密度を有する合金膜か
らなる薄膜を磁気ヘッドに応用することで、より一層の
高密度磁気記録に適した磁気ヘッドを提供することがで
きる。
された軟磁性合金膜。 【構成】 Fe x Co y Sm z なる組成を有し、そ
の全体が体心立方構造の結晶からなる軟磁性合金膜。但
し、30at%≦x≦95at%、5at%≦y≦70a
t%、0.2at%≦z≦5at% 【効果】 Smの少量添加により体心立方構造を有する
もので、高飽和磁束密度を有したまま磁歪を低減させる
ことができる。この高い飽和磁束密度を有する合金膜か
らなる薄膜を磁気ヘッドに応用することで、より一層の
高密度磁気記録に適した磁気ヘッドを提供することがで
きる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度記録用磁気ヘッ
ド等に適した飽和磁束密度の高い軟磁性合金膜に関する
ものである。
ド等に適した飽和磁束密度の高い軟磁性合金膜に関する
ものである。
【従来の技術】近年、磁気記録の分野では、その高密度
化が強く要求されている。これに伴い記録媒体上の記録
波長が短くなり、それによる反磁界に抗して記録パター
ンを安定に保持するために、より高い保磁力(Hc)の
媒体が用いられるようになっている。このような媒体に
記録するためには、ギャップから強力な磁界を発生する
磁気ヘッドが必要であり、そのコア材料として高い飽和
磁束密度のものが必要とされる。一方、記録再生兼用磁
気ヘッドの場合、媒体からの微小磁界を効率よく検出す
るために、コアの初透磁率(μ)も高いことが要求され
る。ところで、磁気ヘッドの記録効率を上げるにはギャ
ップ部の磁界分布を急峻にすることが有効であり、これ
に適した磁気ヘッドとして、薄膜ヘッド、及び高飽和磁
束密度薄膜をギャップ近傍にのみ配したメタル イン ギ
ャップ(MIG)型ヘッドが挙げられる。尚、上記のよ
うな線記録密度の向上とは別に、トラック密度の向上
も、面記録密度の向上に重要であり、ヘッドの狭トラッ
ク化が推進されている。ヘッドを狭トラックに加工する
にはフォトリソグラフィーによる加工が行われる薄膜ヘ
ッドが有利である。また、薄膜ヘッドは高周波化にも有
利な形状である。このように、磁気ヘッドのコア材料と
しては、高飽和磁束密度かつ良好な軟磁気特性のものを
薄膜という形で得ることが強く要求されている。
化が強く要求されている。これに伴い記録媒体上の記録
波長が短くなり、それによる反磁界に抗して記録パター
ンを安定に保持するために、より高い保磁力(Hc)の
媒体が用いられるようになっている。このような媒体に
記録するためには、ギャップから強力な磁界を発生する
磁気ヘッドが必要であり、そのコア材料として高い飽和
磁束密度のものが必要とされる。一方、記録再生兼用磁
気ヘッドの場合、媒体からの微小磁界を効率よく検出す
るために、コアの初透磁率(μ)も高いことが要求され
る。ところで、磁気ヘッドの記録効率を上げるにはギャ
ップ部の磁界分布を急峻にすることが有効であり、これ
に適した磁気ヘッドとして、薄膜ヘッド、及び高飽和磁
束密度薄膜をギャップ近傍にのみ配したメタル イン ギ
ャップ(MIG)型ヘッドが挙げられる。尚、上記のよ
うな線記録密度の向上とは別に、トラック密度の向上
も、面記録密度の向上に重要であり、ヘッドの狭トラッ
ク化が推進されている。ヘッドを狭トラックに加工する
にはフォトリソグラフィーによる加工が行われる薄膜ヘ
ッドが有利である。また、薄膜ヘッドは高周波化にも有
利な形状である。このように、磁気ヘッドのコア材料と
しては、高飽和磁束密度かつ良好な軟磁気特性のものを
薄膜という形で得ることが強く要求されている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】高飽和磁束密度の薄膜
としてはFeを主成分とするものが種々提案されてい
る。例えば、Feを主成分とする結晶粒を著しく微細に
することにより(実効的な結晶磁気異方性の低減)、良
好な軟磁気特性を得た例として本発明者等は特願平1−
278220号,特願平1−298829号などを出願
している。これらの飽和磁束密度の上限は約18kGで
あった。また、純鉄を何らかの方法で軟磁性化したとし
ても、その飽和磁束密度は21.5kGである。将来的
に、より一層の高記録密度化を考えた場合、さらに高い
飽和磁束密度が要求されてくると予想される。Co(1
0〜70at%)を含むFe−Co合金はFeよりも高
い飽和磁束密度を有し、中でもFe−Co(Co;40
at%)合金は24.5kG(室温)もの飽和磁束密度を
有することが知られている。24.0kGの飽和磁束密度
を有するFe−Co(Co;50at%)合金はパーメ
ンジュール(Permendur)と呼ばれ、バルクの材料とし
て既に実用化されている。しかし、薄膜としてこの合金
を作製した場合、良好な軟磁気性特性を得ることは極め
て困難である。これは、Fe−Co合金が+8×10-5
もの大きな磁歪を有することに起因している。即ち、ス
パッタ、蒸着等の薄膜形成プロセスにより作製された薄
膜には、108〜1010dyn/cm2の内部応力が存在し、こ
れをゼロにすることは現実的には不可能に近いため、こ
の応力による逆磁歪効果で、薄膜を構成する各結晶には
大きな磁気異方性を生じることになる。多結晶体である
薄膜ではこのような異方性の分散(不均質性)が顕著と
なり、スムーズな磁化の反転が行われなくなり、軟磁気
特性が得られなくなってしまう。このような異方性は極
めて大きなものなので、結晶の微細化により、これを軽
減したとしても、実用に供し得るほどの軟磁気特性を得
ることは難しい。これを解決するにはFe−Co合金結
晶の持つ磁歪を低減することが必要である。その方法と
してはSiやAlを多量に添加することが既に提案され
ている。 (論文 N.Tsuya、K.Arai、K.Ohmori、and T.Honma :IEE
E Trans.Magn、MAG-18(1982)1424.,M.Hayakawa、K.H
ayasi、W.Ishiwata,Y.Ochiai、M.Matsuda、Y.Iwasaki a
nd K.Aso:IEEE Trans. Magn. MAG-23(1987)3092.な
ど)しかし、これら非磁性元素の多量の添加により、飽
和磁束密度は20kGを切るため、Fe系薄膜に対する
優位性はあまりなかった。
としてはFeを主成分とするものが種々提案されてい
る。例えば、Feを主成分とする結晶粒を著しく微細に
することにより(実効的な結晶磁気異方性の低減)、良
好な軟磁気特性を得た例として本発明者等は特願平1−
278220号,特願平1−298829号などを出願
している。これらの飽和磁束密度の上限は約18kGで
あった。また、純鉄を何らかの方法で軟磁性化したとし
ても、その飽和磁束密度は21.5kGである。将来的
に、より一層の高記録密度化を考えた場合、さらに高い
飽和磁束密度が要求されてくると予想される。Co(1
0〜70at%)を含むFe−Co合金はFeよりも高
い飽和磁束密度を有し、中でもFe−Co(Co;40
at%)合金は24.5kG(室温)もの飽和磁束密度を
有することが知られている。24.0kGの飽和磁束密度
を有するFe−Co(Co;50at%)合金はパーメ
ンジュール(Permendur)と呼ばれ、バルクの材料とし
て既に実用化されている。しかし、薄膜としてこの合金
を作製した場合、良好な軟磁気性特性を得ることは極め
て困難である。これは、Fe−Co合金が+8×10-5
もの大きな磁歪を有することに起因している。即ち、ス
パッタ、蒸着等の薄膜形成プロセスにより作製された薄
膜には、108〜1010dyn/cm2の内部応力が存在し、こ
れをゼロにすることは現実的には不可能に近いため、こ
の応力による逆磁歪効果で、薄膜を構成する各結晶には
大きな磁気異方性を生じることになる。多結晶体である
薄膜ではこのような異方性の分散(不均質性)が顕著と
なり、スムーズな磁化の反転が行われなくなり、軟磁気
特性が得られなくなってしまう。このような異方性は極
めて大きなものなので、結晶の微細化により、これを軽
減したとしても、実用に供し得るほどの軟磁気特性を得
ることは難しい。これを解決するにはFe−Co合金結
晶の持つ磁歪を低減することが必要である。その方法と
してはSiやAlを多量に添加することが既に提案され
ている。 (論文 N.Tsuya、K.Arai、K.Ohmori、and T.Honma :IEE
E Trans.Magn、MAG-18(1982)1424.,M.Hayakawa、K.H
ayasi、W.Ishiwata,Y.Ochiai、M.Matsuda、Y.Iwasaki a
nd K.Aso:IEEE Trans. Magn. MAG-23(1987)3092.な
ど)しかし、これら非磁性元素の多量の添加により、飽
和磁束密度は20kGを切るため、Fe系薄膜に対する
優位性はあまりなかった。
【0003】本発明は、上記の問題点を解決し、Fe−
Co合金の高い飽和磁束密度を保ちつつFe−Co合金
結晶のもつ本質的な磁歪を低減し、軟磁性を有する薄膜
を得ることを可能とするものである。
Co合金の高い飽和磁束密度を保ちつつFe−Co合金
結晶のもつ本質的な磁歪を低減し、軟磁性を有する薄膜
を得ることを可能とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の軟磁性合
金膜は、Fe x Co y Sm z (Fe:鉄,Co:コ
バルト,Sm:サマリウム)なる組成を有し、その全体
が体心立方構造の結晶からなることを特徴とするもので
ある。 但し、30at%≦x≦95at% (at%=原子パ
ーセント) 5at%≦y≦70at% 0.2at%≦z≦5at%
金膜は、Fe x Co y Sm z (Fe:鉄,Co:コ
バルト,Sm:サマリウム)なる組成を有し、その全体
が体心立方構造の結晶からなることを特徴とするもので
ある。 但し、30at%≦x≦95at% (at%=原子パ
ーセント) 5at%≦y≦70at% 0.2at%≦z≦5at%
【0005】請求項2に記載の発明は、結晶粒の平均粒
径が40nm以下であることを特徴とする請求項1に記
載の高飽和磁化軟磁性合金膜である。
径が40nm以下であることを特徴とする請求項1に記
載の高飽和磁化軟磁性合金膜である。
【0006】平衡状態においてはSmはFeやCoにほ
とんど固溶しないが、スパッタや蒸着等の、いわゆる気
相急冷プロセスにより、強制的に固溶させる(非平衡相
を形成する)ことが可能である。異なる結晶構造の化合
物が析出した場合、飽和磁化等の性質が大きく変化して
しまうが、この場合、高い飽和磁化を有するFe−Co
の体心立方格子(bcc)構造を有したままSmを少量
固溶させることができる。合金膜の作製には真空蒸着あ
るいは、RF2極スパッタ、マグネトロンスパッタ、3
極スパッタ、イオンビームスパッタ、対向ターゲット型
スパッタ等の既存の薄膜作製装置を用いることができ
る。
とんど固溶しないが、スパッタや蒸着等の、いわゆる気
相急冷プロセスにより、強制的に固溶させる(非平衡相
を形成する)ことが可能である。異なる結晶構造の化合
物が析出した場合、飽和磁化等の性質が大きく変化して
しまうが、この場合、高い飽和磁化を有するFe−Co
の体心立方格子(bcc)構造を有したままSmを少量
固溶させることができる。合金膜の作製には真空蒸着あ
るいは、RF2極スパッタ、マグネトロンスパッタ、3
極スパッタ、イオンビームスパッタ、対向ターゲット型
スパッタ等の既存の薄膜作製装置を用いることができ
る。
【0007】
【作用】磁歪の本質的な原因は、電子のスピン間の相互
作用が関与している。即ち、結晶構造が変らない場合、
異なる電子状態を持つ元素が固溶すると、スピン間の相
互作用が変化して磁歪が変化する。このような効果が大
きいことが期待できる元素として希土類金属が考えられ
る。希土類金属は3d遷移金属と異なり、軌道磁気モー
メントが生きている(3d遷移金属はスピン磁気モーメ
ントのみ)ので、軌道に伴う異方的な電子雲と格子を構
成する原子の電子との静電的な相互作用がある。このよ
うな結晶場の中での磁性イオンの軌道の振舞いから磁気
異方性を説明するモデルとして一イオンモデルがある
が、同様なメカニズムで磁歪の変化も期待できる。この
ような観点に立ち、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結
果、希土類元素の中で、SmがFe−Coの磁歪を低減
させる効果を有することを見出した。ここで、Sm濃度
(z)は0.2at%以上でないと、その効果が明確に
あらわれない。またSmを5at%以上添加すると、体
心立方構造単相状態を維持することができなくなり、非
晶質相が混在するようになって、飽和磁束密度が低下し
てくる。尚、FeχCoySmzにおいて、30≦χ≦9
5at%、5≦y≦70at%としたのは、Feより高
い飽和磁束密度を得るためである。ところで、既に述べ
たようにSmはFeやCoには平衡状態では非固溶であ
る。このような非固溶物質を強制固溶させた場合、結晶
粒が微細化することが知られている。このような微細化
によって、上記の磁歪の低減効果と相まって、実効的な
異方性をより低下させることにより、より良好な軟磁気
特性を得ることができる。尚、結晶粒径が40nmより
大きいときは、このような実効的な異方性低減効果は現
われない。また、このような結晶の微細化を更に促進す
るには、成膜時に基板をイオン照射すること等が有効で
ある。
作用が関与している。即ち、結晶構造が変らない場合、
異なる電子状態を持つ元素が固溶すると、スピン間の相
互作用が変化して磁歪が変化する。このような効果が大
きいことが期待できる元素として希土類金属が考えられ
る。希土類金属は3d遷移金属と異なり、軌道磁気モー
メントが生きている(3d遷移金属はスピン磁気モーメ
ントのみ)ので、軌道に伴う異方的な電子雲と格子を構
成する原子の電子との静電的な相互作用がある。このよ
うな結晶場の中での磁性イオンの軌道の振舞いから磁気
異方性を説明するモデルとして一イオンモデルがある
が、同様なメカニズムで磁歪の変化も期待できる。この
ような観点に立ち、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結
果、希土類元素の中で、SmがFe−Coの磁歪を低減
させる効果を有することを見出した。ここで、Sm濃度
(z)は0.2at%以上でないと、その効果が明確に
あらわれない。またSmを5at%以上添加すると、体
心立方構造単相状態を維持することができなくなり、非
晶質相が混在するようになって、飽和磁束密度が低下し
てくる。尚、FeχCoySmzにおいて、30≦χ≦9
5at%、5≦y≦70at%としたのは、Feより高
い飽和磁束密度を得るためである。ところで、既に述べ
たようにSmはFeやCoには平衡状態では非固溶であ
る。このような非固溶物質を強制固溶させた場合、結晶
粒が微細化することが知られている。このような微細化
によって、上記の磁歪の低減効果と相まって、実効的な
異方性をより低下させることにより、より良好な軟磁気
特性を得ることができる。尚、結晶粒径が40nmより
大きいときは、このような実効的な異方性低減効果は現
われない。また、このような結晶の微細化を更に促進す
るには、成膜時に基板をイオン照射すること等が有効で
ある。
【0008】
【実施例】DC三極高速スパッタ装置を用い、水冷した
銅基板上にFe−Co−Sm合金膜を成膜した。合金タ
ーゲットはアーク溶解により作製した。スパッタ時のA
rガス圧は4×10-2Torr.ターゲット電圧1kV
とした。磁歪の測定は、歪ゲージにより、基板から剥離
した状態で行った。飽和磁束密度は試料振動型磁力計に
より測定した。結晶構造はX線回析により同定した。一
例として、Sm濃度を0.5at%に一定にしてFe:
Coの比率を変化させた場合の磁歪の変化を図1に示し
た。比較例として、Smを含まないバルクのFe−Co
合金を破線で示した。図1から明らかにように、わずか
0.5at%のSmの添加で、磁歪が負の方向に変化し
ており、本実施例の軟磁性合金膜では、Fe:Co≒8
5:15付近において、磁歪を10-6台と小さくするこ
とができることがわかる。図2にSmが0.5at%の
合金膜の飽和磁束密度のFe:Co比による変化を示し
た。これらは体心立方構造の結晶組織を有しており、F
e−Coのバルク合金(比較例;破線)と比較しても飽
和磁束密度の低下は大きくない。さらに、Fe:Co=
93:7程度のCo濃度の本実施例の合金膜は、純鉄よ
り高い飽和磁束密度を有していることがわかる。図1お
よび図2からわかるように、本実施例の合金膜の中で
も、Smを0.5at%含み、Fe:Co=85:15
付近の合金膜は、磁歪が10-6台と小さく、かつ22.
1kG程度の高い飽和磁束密度をもつものである。
銅基板上にFe−Co−Sm合金膜を成膜した。合金タ
ーゲットはアーク溶解により作製した。スパッタ時のA
rガス圧は4×10-2Torr.ターゲット電圧1kV
とした。磁歪の測定は、歪ゲージにより、基板から剥離
した状態で行った。飽和磁束密度は試料振動型磁力計に
より測定した。結晶構造はX線回析により同定した。一
例として、Sm濃度を0.5at%に一定にしてFe:
Coの比率を変化させた場合の磁歪の変化を図1に示し
た。比較例として、Smを含まないバルクのFe−Co
合金を破線で示した。図1から明らかにように、わずか
0.5at%のSmの添加で、磁歪が負の方向に変化し
ており、本実施例の軟磁性合金膜では、Fe:Co≒8
5:15付近において、磁歪を10-6台と小さくするこ
とができることがわかる。図2にSmが0.5at%の
合金膜の飽和磁束密度のFe:Co比による変化を示し
た。これらは体心立方構造の結晶組織を有しており、F
e−Coのバルク合金(比較例;破線)と比較しても飽
和磁束密度の低下は大きくない。さらに、Fe:Co=
93:7程度のCo濃度の本実施例の合金膜は、純鉄よ
り高い飽和磁束密度を有していることがわかる。図1お
よび図2からわかるように、本実施例の合金膜の中で
も、Smを0.5at%含み、Fe:Co=85:15
付近の合金膜は、磁歪が10-6台と小さく、かつ22.
1kG程度の高い飽和磁束密度をもつものである。
【0009】また、軟磁性合金膜中のSmの濃度別の磁
歪と飽和磁束密度の測定値を表1に示す。
歪と飽和磁束密度の測定値を表1に示す。
【0010】
【表1】
【0011】表1から、Smの濃度をある程度高くする
ことで、磁歪を低減させることができることがわかる。
しかしながら、Smの濃度が5at%を超えると、飽和磁
束密度が著しく低下してしまう。これは、Smの濃度が
高くなるとキュリー温度の低い非晶質相が混在してくる
ためと考えられる。
ことで、磁歪を低減させることができることがわかる。
しかしながら、Smの濃度が5at%を超えると、飽和磁
束密度が著しく低下してしまう。これは、Smの濃度が
高くなるとキュリー温度の低い非晶質相が混在してくる
ためと考えられる。
【0012】
【発明の効果】本発明の軟磁性合金膜は、Smの少量添
加により体心立方構造を有し、高飽和磁束密度を有した
まま磁歪が低減されたものである。これより純鉄(Bs
=21.5kG)よりも高い飽和磁束密度の薄膜の軟磁性
化が可能となる。このような非常に高い飽和磁束密度を
有する薄膜を磁気ヘッドに応用した場合、微小トラック
及び微小ギャップから強力な磁界を発生することが可能
になり今後のより一層の高密度磁気記録に適した磁気ヘ
ッドを提供することができる。
加により体心立方構造を有し、高飽和磁束密度を有した
まま磁歪が低減されたものである。これより純鉄(Bs
=21.5kG)よりも高い飽和磁束密度の薄膜の軟磁性
化が可能となる。このような非常に高い飽和磁束密度を
有する薄膜を磁気ヘッドに応用した場合、微小トラック
及び微小ギャップから強力な磁界を発生することが可能
になり今後のより一層の高密度磁気記録に適した磁気ヘ
ッドを提供することができる。
【図1】合金中のCo比に対する磁歪の関係を示すグラ
フである。
フである。
【図2】合金中のCo比に対する飽和磁束密度の関係を
示すグラフである。
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小杉山 真一 宮城県仙台市太白区八木南2−2−16 テ イアラハウス103号 (72)発明者 長谷川 直也 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 Fe x Co y Sm z (Fe:鉄,C
o:コバルト,Sm:サマリウム)なる組成を有し、そ
の全体が体心立方構造の結晶からなることを特徴とする
高飽和磁化軟磁性合金膜。 但し、 30at%≦x≦95at% (at%=原子
パーセント) 5at%≦y≦70at% 0.2at%≦z≦5at% - 【請求項2】 結晶粒の平均粒径が40nm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の高飽和磁化軟磁性合
金膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3196878A JP2853923B2 (ja) | 1991-08-06 | 1991-08-06 | 軟磁性合金膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3196878A JP2853923B2 (ja) | 1991-08-06 | 1991-08-06 | 軟磁性合金膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0539550A true JPH0539550A (ja) | 1993-02-19 |
JP2853923B2 JP2853923B2 (ja) | 1999-02-03 |
Family
ID=16365156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3196878A Expired - Fee Related JP2853923B2 (ja) | 1991-08-06 | 1991-08-06 | 軟磁性合金膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2853923B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6132892A (en) * | 1997-09-17 | 2000-10-17 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Soft magnetic alloy film and manufacturing method thereof, and magnetic head incorporating the same |
CN109321784A (zh) * | 2017-07-31 | 2019-02-12 | 台耀科技股份有限公司 | 含钐的软磁合金 |
-
1991
- 1991-08-06 JP JP3196878A patent/JP2853923B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6132892A (en) * | 1997-09-17 | 2000-10-17 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Soft magnetic alloy film and manufacturing method thereof, and magnetic head incorporating the same |
CN109321784A (zh) * | 2017-07-31 | 2019-02-12 | 台耀科技股份有限公司 | 含钐的软磁合金 |
JP2019049048A (ja) * | 2017-07-31 | 2019-03-28 | 台耀科技股▲ふん▼有限公司 | サマリウム含有軟磁性合金 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2853923B2 (ja) | 1999-02-03 |
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