JPH0539533A - 熔融脱硫炉の操業方法 - Google Patents

熔融脱硫炉の操業方法

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JPH0539533A
JPH0539533A JP3219264A JP21926491A JPH0539533A JP H0539533 A JPH0539533 A JP H0539533A JP 3219264 A JP3219264 A JP 3219264A JP 21926491 A JP21926491 A JP 21926491A JP H0539533 A JPH0539533 A JP H0539533A
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伸正 家守
Akihiko Akata
明彦 赤田
Keiji Fujita
敬二 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硫化亜鉛精鉱を熔融脱硫するに際し、スラグ
への亜鉛の分配率を高くすると共に、スラグの流動性を
維持できる臨界的温度範囲を求める。 【構成】 亜鉛を含有する硫化精鉱を主とする原料と、
フラックスと、要すれば補助燃料とを、工業用酸素、酸
素富化空気、空気の何れか一つと反応させ、酸化亜鉛を
生成し、これをスラグ中に溶解させる熔融脱硫炉の操業
方法において、該炉内スラグの融点をスラグ組成より推
定し、炉底近傍のスラグ温度をこの推定融点以上とし、
かつ表層部のスラグ温度を1300℃度以下とし、スラ
グへの亜鉛の分配率を上げると共に炉底のビルドアップ
を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜鉛を主成分とする硫
化精鉱を原料とする熔融脱硫炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より製練炉の操業において、スラグ
の硫動性を確保することは最重要な管理項目の一つであ
った。近時提案されている鉄−シリケート系スラグに酸
化亜鉛を吸収させることにより効率良く亜鉛製練を行お
うとする熔融脱硫法においてもこの点は同じである。
【0003】ところで、硫化亜鉛精鉱を原料として操業
する場合、種々の要因により操業条件がある幅の中で変
動することは良く知られている。このような場合、スラ
グ組成も一定の幅をもつことになり、組成によっては流
動性がなくなり、炉底のビルドアップを生じる等、操業
に支障をきたすが、スラグが固化し操業を停止せざるを
得なくなる恐れがある。これを防止するため、スラグ温
度を比較的高く、すなわち1300〜1350℃に維持
するのが一般的である。
【0004】スラグ温度を高くすることは、スラグ中へ
の亜鉛の溶解度は温度が高いほど高くなる点からはプラ
ス要因である。
【0005】しかし、上記1300〜1350℃という
温度条件では、亜鉛の揮発率が著しく大きくなり、亜鉛
の煙灰への分配率が増加し、その結果、スラグへの亜鉛
の分配率は低いものとならざるを得なかった。
【0006】従って、亜鉛のスラグへの分配率を大きく
するためには、スラグ流動性が得られるかぎり、スラグ
温度を低くすることが不可欠とされていた。しかし、ス
ラグ組成とスラグの融点との関係が確立されておらず、
このためスラグ温度を低くした場合には、いつ炉底付近
のスラグが凝固し、炉底のビルドアップが生じるか全く
予想できない状況であった。
【0007】この状況は前記熔融脱硫法においてもまっ
たく同じであり、炉内の炉況に応じ表層、あるいは炉底
近傍のスラグ温度を測定しつつ、スラグ表層部の温度が
1300〜1350℃となるように操業していたので、
スラグへの亜鉛分配率を上げることが難しかった。な
お、安定操業時には、抜出されるスラグの温度と炉内ス
ラグ層表層部の温度との差はなく、炉底近傍のスラグ温
度はこれらの温度より概ね50℃低い状況である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、亜鉛
を主成分とする硫化精鉱を原料とする熔融脱硫炉の操業
方法において、スラグ表層部の温度を1300℃以下で
操業することを可能にする方法の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の方法は、亜鉛を含有する硫化精鉱を主とする原料
と、フラックスと、工業用酸素、酸素富化空気、空気の
何れか一つとを反応させ、酸化亜鉛を生成し、これをス
ラグ中に溶解させる熔融脱硫炉の操業方法において、該
炉内スラグの融点をスラグより推定し、炉底近傍のスラ
グ温度が、この推定融点以上となり、スラグ表層部の温
度が1300℃以下となるように操業するものであり、
好ましくは下記の式2に従い炉内スラグの推定融点を求
めるものである。
【0010】なお、下記の式2を用いるに際しては、予
め既知の組成のスラグを用いてEの値を求めておくこと
が必要となる。
【0011】
【式2】 ここで、Tは求めるスラグの融点(℃)であり、CFe
はスラグ中の鉄品位(%)であり、CSiO2 はスラグ
中のSiO2 品位(%)であり、CZnはスラグ中の亜
鉛品位(%)であり、Eはスラグの組成により定まる値
(℃)である。
【0012】なお、温度の維持には、必要に応じて重油
等の補助燃料を吹き込んで行う。
【0013】
【作用】本発明者らは、種々の操業解析より、スラグ組
成と融点との関係に注目することにより前記課題を解決
できることに気付き、以下の検討を行った。
【0014】すなわち、既知の組成のスラグをジルコニ
ア製坩堝に装入し、Ar雰囲気中で1300℃に24時
間保持し、次いで、該熔融スラグを水中に投入して急冷
し、試料を得た。引続き、1150℃まで温度を10℃
刻みで変更して同様に試料を作成した。
【0015】このようにして得られた種々の組成の試料
を研磨し、研磨面を偏光顕微鏡により観察し、各組成に
おいてガラス質のみが存在する最低温度と、ガラス質以
外の析出層が見られる最高温度との平均値を求め、この
平均値を対応する組成のスラグの融点と見なした。次
に、各組成と得られたスラグの融点との関係を詳細に検
討した。
【0016】この結果、組成に固有の定数Eを導入する
ことにより融点と組成とのあいだに以下の関係式を得
た。
【0017】
【式3】 ここで、Tは求めるスラグの融点(℃)であり、CFe
はスラグ中の鉄品位(%)であり、CSiO2 はスラグ
中のSiO2 品位(%)であり、CZnはスラグ中の亜
鉛品位(%)であり、Eはスラグの組成により定まる値
(℃)である。
【0018】なお、Eの値は、SiO2 、亜鉛以外の成
分、特にCaOやAl2 3 の品位に特有の値であるた
め、予め組成との関係で求めておくことが必要となる。
例えば、CaO=0%、Al2 3 =0%の場合には、
Eは−273℃であり、CaO=5%、Al2 3 =6
%の場合には、Eは−343℃であり、通常の操業にお
いては、−273℃〜−473℃の間の値をとる。
【0019】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに説明す
る。
【0020】[比較例1]図1に示す試験用熔融炉は、
高さ2.8m、内径1.5mの反応塔10と、長さ5.
25m、内径1.5mのセトラー20を有し、該セトラ
ー20の一端が反応塔10に結合され、他端が排煙道2
2に結合されている。側壁に酸素・燃料バーナー24を
設けてあり、ランス16には原料・フラックス混合器1
8が接続されている。反応塔10の上部に直径2.5c
mの吹込みランス16を垂設し、該ランス16よりZn
=51.3%、Pb=1.4%、S=30.2%、Fe
=11.0%、CaO=0.3%、SiO2 =1.9%
の亜鉛精鉱と、Zn=1.7%、Pb=0.4%、S=
0.9%、Fe=36.5%、CaO=1.0%、Si
2 =26.0%のフラックス(1)と、Fe=1.2
%、CaO=1.5%、SiO2 =91.7%のフラッ
クス(2)と、CaCO3 =100%のフラックス
(3)とを70%の酸素富化空気と共に、炉内に予め装
入しておいた熔融スラグ中に吹込み、スラグ温度が13
20℃、Fe/SiO2 が0.9、Zn品位が20%と
なるように2日間の操業を行った。得られたスラグの流
動性は良好であり、炉内で固化するようなことは1度も
なかった。しかし、亜鉛のスラグへの分配率は低く、全
装入亜鉛量の35%が煙灰に分配された。
【0021】[実施例1]比較例1と同様にして操業す
るに際し、このスラグ組成に対応するEの値−343を
用いて、式3に従いスラグの融点Tを求めた。その結
果、Tは1163℃となったので、炉底近傍のスラグの
温度がこの融点以上となるように、抜出しスラグ温度を
1220℃とし、さらに2日間の操業を続けた。この結
果、スラグの流動性は多少悪化したものの、スラグの凝
固による炉底のビルドアップは起きなかった。そして、
煙灰として飛散する亜鉛量を35%から20%に低減す
ることができた。なお、操業期間中の炉内スラグ表層部
の温度は抜出しスラグ温度とほぼ同じであった。
【0022】[実施例2]比較例1と同様に操業するに
際し、フラックス(2)の切出し比率を減少させて、ス
ラグの温度を1220℃に維持したままFe/SiO2
を1.4まで上昇させた。操業変更後、約3時間でスラ
グの固化による炉底の上昇が始り、一日後に50mm上
昇していた。そこで、このスラグ組成に対応するEの値
−343を用いて式3によりスラグの融点を求めた。そ
の結果、スラグの融点は1190℃であり、推定炉底近
傍温度1170℃よりも高くなっていることがわかっ
た。なお、この操業条件での亜鉛の煙灰への分配率は2
2%であった。
【0023】この結果に基づき、抜き出しスラグ温度を
1250℃に上昇させたところ、炉底の上昇は停止し
た。この条件でさらに2日間の操業を続けたところ、亜
鉛の煙灰への分配率は25%に上昇したものの、それ以
上の炉底の上昇は見られなかった。なお、この操業条件
では上昇した炉底はそのままであり、操業開始時の状態
に復帰させることはできなかった。
【0024】
【発明の効果】本発明の方法によれば、炉底のビルドア
ップを防止しつつ、抜出しスラグ温度を1300℃以下
とすることができ、その結果、亜鉛のスラグへの分配率
を上昇させることができ、スラグより還元揮発等により
亜鉛を回収する際の実収率の向上をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用した熔融炉の断面略図で
ある。
【符号の説明】
10 反応塔 16 ランス 18 原料・フラックス混合器 20 セトラー 22 排煙道 24 酸素・燃料バーナー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛を含有する硫化精鉱を主とする原料
    と、フラックスと、工業用酸素、酸素富化空気、空気の
    何れか一つとを反応させ、酸化亜鉛を生成し、これをス
    ラグ中に溶解させる熔融脱硫炉の操業方法において、該
    炉内スラグの融点をスラグ組成より推定し、炉底近傍の
    スラグ温度をこの推定融点以上とし、かつ表層部のスラ
    グ温度を1300℃度以下とすることを特徴とする熔融
    脱硫炉の操業方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、炉内スラ
    グの融点を下記式1に従い求め、式1のEの値を予め既
    知の組成のスラグを用いて求めることを特徴とする熔融
    脱硫炉の操業方法。 【式1】 ここで、 Tは求めるスラグの融点(℃)であり、 CFeはスラグ中の鉄品位(%)であり、 CSiO2 はスラグ中のSiO2 品位(%)であり、 CZnはスラグ中の亜鉛品位(%)であり、 Eはスラグの組成により定まる値(℃)である。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100893189B1 (ko) * 2007-08-28 2009-04-16 이순환 탈부착형 이동식 들것
JP2018511023A (ja) * 2015-04-10 2018-04-19 オウトテック (フィンランド) オサケ ユキチュアOutotec (Finland) Oy 冶金炉の運転方法および装置

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