JPH0539288A - 新規生理活性物質n‐13、その使用および製造 - Google Patents

新規生理活性物質n‐13、その使用および製造

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JPH0539288A
JPH0539288A JP21796691A JP21796691A JPH0539288A JP H0539288 A JPH0539288 A JP H0539288A JP 21796691 A JP21796691 A JP 21796691A JP 21796691 A JP21796691 A JP 21796691A JP H0539288 A JPH0539288 A JP H0539288A
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lipid peroxide
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Yuji Yamagishi
岸 裕 司 山
Kazutoshi Shindo
藤 一 敏 新
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Kirin Brewery Co Ltd
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Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カルシウムオーバーロード阻害作用、および
活性酸素種を消去し過酸化脂質生成を抑制する作用を合
わせ持つ新規化合物その用途および製造法を提供する。 【構成】 次式(I)で示される新規化合物またはその
塩。 【化1】 上記の化合物を有効成分として含む、カルシウム蓄積阻
害剤、活性酸素消去剤または過酸化脂質生成抑制剤。Auxarthron 属に属し、n−13の生産能を有する菌株を
適当な培地で好気的に培養し、その培養物より化合物n
−13を得ることを特徴とする、上記式(I)で示され
る化合物n−13の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は新規物質に、さらに詳し
くはカルシウムオーバーロード阻害作用および活性酸素
消去作用、過酸化脂質生成抑制作用を有する新規化合物
n−13、ならびにその用途および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】脳細胞におけるカルシウムの蓄積(カル
シウムオーバーロード)は、例えば痙攣、片頭痛、無酸
素症および虚血後にみられる。細胞中のカルシウム濃度
は細胞機能の調節にきわめて重要であるので、制御され
ない高濃度の細胞内カルシウムは、上記の疾患と結び付
いた退行性の変化を直接的にまたは間接的に引き起こす
と考えられている。また、心筋あるいは血管平滑筋細胞
内へのカルシウムイオン(Ca2+)の過蓄積は、心筋障
害、心臓伝導障害異常あるいは血管異常障害等を招き、
循環器系疾患の原因となる。それ故、カルシウムオーバ
ーロード阻害物質は、無酸素症、虚血性脳疾患、片頭
痛、およびてんかんに有用であるばかりでなく、虚血性
心疾患、心不全、高血圧あるいは不整脈等に対して有用
な予防および治療薬となりうる。一方、生態の病的状態
においては、活性酸素種(active oxygen radicals)が
多量に発生することが示唆されており、局所的に発生し
たその活性酸素種は内因性の鉄と錯体を形成することに
よって強力なハイドロキシルラジカル(OH・)を生成
し、その結果、組織に大量の過酸化脂質が発生する。こ
の過酸化脂質は、血管をはじめ正常な臓器・組織を傷害
し、血管障害、炎症・浮腫などの二次的病変の原因とな
ることが知られている。従って、活性酸素種を消去し過
酸化脂質生成を抑制する物質は、虚血性心疾患・脳血管
障害・動脈硬化・炎症・腎疾患・癌・消化性潰瘍などの
各種障害や疾患に対する予防および治療剤として使用す
ることが可能である。従来、カルシウムオーバーロード
阻害作用と活性酸素種を消去し過酸化脂質生成を抑制す
る作用を合わせ持つ薬剤として脳代謝改善作用を有する
塩酸フルナリジンが知られているが、このような作用を
有する物質に関しては不断の希求があるといえよう。
【0003】〔発明の概要〕
【発明が解決しようとする課題】本発明は、カルシウム
オーバーロード阻害作用、および活性酸素種を消去し過
酸化脂質生成を抑制する作用を合わせ持つ新規化合物そ
の用途および製造法を提供することを目的とするもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明による化合物は、
次式(I)で示される新規化合物n−13またはその塩
である。
【化2】 本発明は、また、この物質の使用、すなわち、カルシウ
ム蓄積阻害剤、活性酸素消去剤および過酸化脂質生成抑
制剤に関する。すなわち、本発明によるこれらの予防剤
もしくは治療剤は、上記式(I)で示される化合物n−
13またはその塩を有効成分として含むものである。本
発明は、さらにまた、この物質の製造法に関する。すな
わち、本発明による上記式(I)で示される化合物n−
13の製造法は、Auxarthron属に属し、n−13の生産
能を有する菌株を適当な培地で好気的に培養し、その培
養物より化合物n−13を得ること、を特徴とするもの
である。
【0005】〔発明の具体的説明〕新規物質n−13 1) 化学構造 本発明による新規物質n−13は、前記の式(I)で示
される化学構造を有する。n−13の化学構造は、プロ
トン核磁気共鳴スペクトル(図3)、炭素13核磁気共
鳴スペクトル(図4)、紫外部吸収スペクトル(図
1)、赤外部吸収スペクトル(図2)、および質量分析
スペクトルを詳細に検討することによって前記の通り決
定された。 2) 物理化学的性状 (1)外観:赤褐色結晶 (2)融点:170〜171℃ (3)溶解性 メタノール、ジメチルスルフォキサイド、クロロホル
ム、酢酸エチル、に可溶、水に不溶。 (4)Rf値(メルク社製「シリカゲル60F254 」使
用):クロロホルム−メタノール(50:1) 0.
46 (5)高分解能マススペクトル:() 測定値 358.1206(M+H)+ 計算値 358.1210(C2021NO3 Cl) (6)分子式 C2020NO3 Cl (7)紫外部吸収スペクトル:図1に示されている。 (8)赤外部吸収スペクトル(KBrディスク法):図
2に示されている。 (9)プロトン核磁気共鳴スペクトル(500メガヘル
ツ、重ジメチルスルフォキサイド中):図3に示されて
いる。 (10)炭素13核磁気共鳴スペクトル(125メガヘル
ツ、重ジメチルスルフォキサイド中):図4に示されて
いる。 式(1)で示される化合物n−13は、窒素原子の位置
において酸付加塩(たとえば塩酸との塩など)および塩
基付加塩(たとえば水酸化ナトリウムとの塩など)があ
り得る。本発明化合物は、これらの付加塩をも包含する
ものである。なお、酸付加塩および塩基付加塩を医薬と
して使用する場合には、酸および塩基は薬学上許容され
るものでなければならないことは言うまでもない。
【0006】n−13の製造 1) 概要 n−13は現在のところ微生物の培養によってのみ得ら
れているが、類縁化合物の合成化学的または微生物学的
修飾によって製造することも、あるいは全合成化学的に
製造することもできよう。また、遺伝子工学的手法によ
ることもできよう。すなわち、化合物n−13の産生に
関与する遺伝子を適当な微生物に組み込み、得られる形
質転換体を培養し、この培養物から得ることも可能であ
ろう。微生物の培養による場合の菌株としては、Auxart
hron属に属するn−13生産能を有するものが使用され
る。具体的には、本発明者らの分離したAuxarthron um
brinum n13株がn−13を生産することが本発明者
らによって明らかにされているが、その他の菌株につい
ては、抗生物質生産菌単離の常法によって適当なものを
自然界より分離することが可能である。また、Auxarthr
on umbrinumn−13株を含めてn−13の生産菌を放
射線照射その他の変異処理に付して、n−13の生産能
を高める余地も残されている。遺伝子工学的手法による
こともできることは前記したところである。
【0007】2) n13株 n−13生産能を有するAuxarthron属の菌株として本発
明者らの見いだしているn13株は、下記の内容のもの
である。 (1) 由来および寄託番号 n−13株はオーストラリアで採取した土壌から分離さ
れたものであり、平成3年(1991)4月30日に工
業技術院微生物工業技術研究所に寄託されて「微工研条
寄第3378号」(FERM BP−3378)の番号
を得ている。 (2) 菌学的性状 n13株の菌学的性状は下記のとおりである。 i) 形態 n13株は、集落の組織は羊毛状を呈するかびで、分生
子は認められない。また、子のう果は、黄褐色で球形〜
亜球形で網目状の菌糸に覆われており、付属系(append
age )は、褐色で先端は淡色、分子せず滑面で先端は直
生またはわずかにかぎ状である。子のうは、8胞子、球
形〜亜球形で、子のう胞子は、粗面で、球形〜亜球形を
呈す。 ii) 各種培地上の生育状態 a.麦芽エキス寒天培地 集落表面はオレンジ色で、裏面は橙色の色調であり、羊
毛状の組織を呈する。生育は、比較的緩慢であり、培養
14日目で直径2〜3cmの集落を形成する。分生子およ
び子のう等は認められない。 b.ツァペック寒天培地 集落は羊毛状にうすく発育し、白色〜淡黄色で、裏面の
色は無色〜淡褐色を呈する。分生子は、認められない。
子のう果の色は、黄褐色で、球形〜亜球形で網目状の菌
糸に覆われている。褐色で先端は淡色、非分岐、滑面の
appendage が認められ、先端は直生または、わずかにか
ぎ状を呈する。子のうは8胞子、球形〜亜球形で粗面な
子のう胞子である。 c.ポテトデキストロース寒天培地 集落の直径は、3〜4cmで、オレンジ色の色調をなす。
集落の裏面は橙色で、 集落の組織は羊毛状を呈す
る。分生子および子のう等は、認められない。 d.YpSs寒天培地 集落の色調は、黄色〜オレンジ色で、裏面の色は黄色〜
橙色である。集落の組織は羊毛状で、分生子および子の
う等は認められない。 iii) 生理学的性質 本菌株の生育しうるpHおよび温度の範囲と最適生育p
Hおよび温度は、以下に示す通りである。 pH 温度(℃) 生育の範囲 4〜11 15〜37 最適生育条件 5〜9 20〜30 pHについては、ポテトデキストロース液体培地、ま
た、温度については、ポテトデキストロース寒天培地を
用い、7日間それぞれ培養をおこなった。以上の菌学的
性質をもとにして、宇田川俊一、椿啓介ら:“菌類図
鑑”(1978)講談社、および、R.S.Currah:Taxonom
y of Onygenales. MYCOTAXON, Vol.XXIV p.l(19
85)を参考にして検索をすると、本菌株はその子のう
および付属器の色調・形態から、不整子のう菌綱、ギム
ノアスカス科、Auxarthron umbrinumに最も類似してい
ると思われた。そこで、本菌株はAuxarthron umbrinum
n13と命名した。
【0008】3) 培養/n−13の生産 化合物n−13は、Auxarthron属に属するn−13生産
菌を適当な培地で好気的に培養し、その培養物から目的
物を採取することによって製造することができる。培地
は、n−13生産菌が利用しうる任意の栄養源を含有す
るものでありうる。具体的には、例えば、炭素源として
グルコース、ガラクトース、グリセロール、および油脂
類などが使用でき、窒素源として大豆粉、魚粉、乾燥酵
母、酵母エキスなどの有機物ならびにアンモニウム塩ま
たは硝酸塩、たとえば硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウ
ムおよび塩化アンモニウムなどの無機物が利用できる。
また、必要に応じて、塩化ナトリウム、塩化カリウム、
炭酸カルシウム、燐酸塩、重金属塩などの無機塩類を添
加することができる。発酵中の発泡を抑制するために、
常法に従って適当な消泡剤、例えばシリコーン油を添加
することもできる。培養方法としては、一般に行われて
いる抗生物質の生産方法と同じく、好気的液体培養法が
最も適している。培養温度は15〜37℃が適当である
が、20〜30℃が好ましい。この方法でn−13の生
産量は、振盪培養、通気攪拌培養ともに培養7日間で最
高に達する。このようにしてn−13の蓄積された培養
物が得られる。培養物中では、n−13はその一部は培
養濾液中に存在するが、その大部分は菌体中に存在す
る。このような培養物からn−13を採取するには、合
目的的な任意の方法が利用可能である。そのひとつの方
法は抽出の原理に基づくものであって、具体的には、培
養濾液中のn−13についてはこれを水不混和性のn−
13用溶媒(前記n−13の物理化学的性状の項参照)
例えば酢酸エチルなどで抽出する方法、あるいは菌体内
のn−13については濾過、遠心分離などで得た菌体集
体をメタノール、エタノール、アセトンなどで処理して
回収する方法などがある。菌体を分離せずに培養物その
ままを上記の抽出操作に付すこともできる。適当な溶媒
を用いた向流分配法も抽出の範疇に入れることができ
る。培養物からn−13を採取する他のひとつの方法は
吸着の原理に基づくものであって、既に液状となってい
るn−13含有物、例えば培養濾液あるいは上記のよう
にして抽出操作を行うことによって得られる抽出液を対
象として、適当な吸着剤、例えばシリカゲル、活性炭、
「ダイヤイオンHP20」(三菱化成社製)などを用い
て目的のn−13を吸着させ、その後、適当な溶媒にて
溶離させることによってn−13を得ることができる。
このようにして得られたn−13溶液を減圧濃縮乾固す
れば、n−13粗標品が得られる。このようにして得ら
れるn−13の粗標品をさらに精製するためには、上記
の抽出法および吸着法にゲル濾過法、高速液体クロマト
グラフィーなどを必要に応じて組み合わせて必要回数行
えばよい。例えば、シリカゲルなどの吸着剤、「セファ
デックスLH−20」(ファルマシア社製)などのゲル
濾過剤を用いたカラムクロマトグラフィー、「YMCパ
ック」(山村科学社製)などを用いた高速液体クロマト
グラフィーおよび向流分配法を適宜組み合わせて実施す
ることができる。具体的には、たとえば、n−13粗標
品を少量のメタノールに溶解し、「セファデックスLH
−20」カラムに付し、メタノールで活性画分を溶出さ
せ、濃縮乾固するとn−13の純品が得られる。得られ
る化合物n−13は、常法によって前記したような塩の
形にすることができる。
【0009】n−13の用途 本発明による化合物n−13は、後述するように、カ
ルシウムオーバーロード阻害作用並びに活性酸素種を消
去することによる優れた過酸化脂質生成抑制作用を有す
るという点で有用であり、カルシウム蓄積阻止剤および
過酸化脂質生成抑制剤、具体的には例えば脳、心臓、末
梢における循環障害に基づく各種疾患や炎症、浮腫など
の諸病態に対する予防・治療剤として期待できるもので
ある。医薬品として使用する場合の製剤化および投与方
法は、従来公知の種々の方法が適応できる。すなわち、
投与方法としては、注射、経口、直腸投与などが可能で
ある。製剤形態としては、注射剤、顆粒剤、錠剤、粉末
剤、座剤などの形態がとり得る。また、経口または直腸
投与の場合は、常法により徐放化製剤してからこれを用
いることもできる。製剤化の際には、n−13に悪影響
を与えない限り、医薬用に用いられている種々の補助
剤、すなわち、担体もしくは希釈剤やその他の助剤、例
えば安定剤、防腐剤、無痛化剤、乳化剤など、が必要に
応じて使用され得る。製剤において、n−13の含量
は、製剤形態等により広範囲に変えることが可能であ
る。本発明化合物n−13の投与量は、動物試験の結果
および種々の状況を勘案して、連続的または間欠的に投
与したときに総投与量が一定量を越えないように定めら
れる。具体的な投与量は、投与方法、患者または被処理
動物の状況、たとえば年齢、体重、性別、感受性、食
餌、投与時間、併用する薬剤、患者またはその病気の程
度に応じて変化することは言うまでもなく、また一定の
条件のもとにおける適量と投与回数は、上記指針をもと
として専門医の適量決定試験によって決定されなければ
ならない。具体的には、成人1人1日当たり0.1〜1
00mg程度であるが、上記のように年齢、病態、症状な
どの条件により、適宜増減されることが好ましい。
【0010】〔実験例〕以下の実験例は、本発明を更に
具体的に説明するためのものであり、本発明はこれによ
って限定されるものではない。
【0011】
【実施例】
実験例1: n−13のカルシウムオーバーロード抑制
作用実験 96ウェルマイクロプレートに培養したマウス3T3細
胞に、カルシウムイオノフォアA23187と本発明化
合物を90分間作用させ、A23187の毒性に対する
化合物の抑制作用を検討した。細胞の生存はMTT法
(J.Immuno.Methods,6555(1983) )により測定した。5
0%以上生存を回復させる薬物濃度範囲を示した。表1
に示されるように本発明化合物は塩酸フルナリジンと同
程度にカルシウムイオノフォアであるA23187の毒
性に拮抗した。
【0012】実験例2: n−13の過酸化脂質生成抑
制作用実験 ウィスター系雄ラットの前脳を摘出し、67mMのリン
酸緩衝液(pH7.4)でホモジェナイズして、脳ホモ
ジェネートを調製した。アスコルビン酸存在下37℃で
1時間振盪しながらインキュベートすることで、脳ホモ
ジェネート中に活性酸素種が発生し、その結果過酸化脂
質の生成がみられる。この反応において、試験薬物を添
加し、同様にインキュベートをおこない、インキュベー
ト混合物中に生成したマロンジアルデヒド(MDA)を
チオバルビツール酸法によって測定した。脂質過酸化を
増幅する因子として、硫酸第一鉄を条件に応じて添加し
た。薬物の過酸化脂質生成抑制作用は、薬剤無添加のコ
ントロールのMDA値に対するMDA生成の抑制率を求
めコントロール値の50%に抑制する濃度をIC50値と
して示した。表1に示されるように本発明化合物はトコ
フェロールおよび塩酸フルナリジンより強い過酸化脂質
生成抑制作用を示した。
【0013】実験例3: n−13のラジカル発生剤に
よる赤血球膜障害抑制作用実験 14週令の雄性ラット腹部大動脈よりヘパリン加採血を
行い、遠心分離することにより赤血球を得た。この赤血
球をヘマトクリット値が1%となるように希釈し、被検
薬物と37℃20min プレインキュベート後、ラジカル
発生剤AAPH(2,2′−アゾビス(2−アミジノプ
ロパン)ジハイドロクロライド)またはH2 2 を添加
し37℃60分間インキュベートした。上清の541n
mにおける吸光度を測定し溶血の指標とした。薬剤無添
加のコントロール溶血に対する抑制率を求めコントロー
ル値の50%に抑制する濃度をIC50値として示した。
表1に示されるように本発明化合物にもトコフェロール
および塩酸フルナリジン同様、赤血球膜障害抑制作用が
認められた。
【0014】実験例4: n−13の化学ラジカル消去
作用実験 DPPH(ジフェニルピクリルヒドラジル)をエタノー
ルに溶解し被検薬物を添加し、30分間室温にて反応
後、600nmにおける吸光度を測定した。薬物の作用
は吸光度を0.1低下させる濃度として示した(IC
0.100 )。表1に示されるように本発明化合物にトコフ
ェロールと同程度の化学ラジカル消去作用が認められ
た。
【0015】実験例5: n−13の血小板凝集抑制作
用実験 5週令の雄性ラット腹部大動脈よりクエン酸加採血を行
い、遠心分離により血小板画分を得た。ADP(アデノ
シンジフォスフェート)およびA23187による凝集
に対する被検薬物の作用を調べた。表1に示されるよう
に本発明化合物はADP凝集を抑制しないがA2318
7による血小板凝集を抑制した。なお試験薬物は水に難
溶なので、DMSOで溶解し、希釈後に試験に供した。
また、対照薬物としてトコフェロール(Tocopherol)お
よび塩酸フルナリジン(Flunarizine-HCl )を用いた。 表1 n−13 トコフェロール 塩酸フルナリジン 生理活性 (μg/ml)(μg/ml) (μg/ml) Caオーバーロード阻害作用 1.3 〜40 10〜80 1.3 〜80 脳ホモ抗酸化作用 IC50 0.47 67.1 11.5 (+Fe2+) IC50 0.55 >100 29.2 赤血球膜傷害抑制作用 (AAPH) IC50 16 16 8 (H2 O2 ) IC50 4 <2 <2 化学ラジカル消去作用 (DPPH) IC0.100 9 9 36 血小板凝集抑制作用 (A23187) +(0.2mg/ml) -(0.2mg/ml) -(0.2mg/ml) (ADP ) -(0.2mg/ml) -(0.2mg/ml) -(0.2mg/ml)
【0016】実験例6: n−13の調製 使用した培地は、下記の組成の成分を1リットルの水に
溶解してpH6.0に調整したものである。 グルコース 20.0g ペプトン 5.0g リン酸一カリウム 5.0g 硫酸マグネシウム 0.5g 硫酸第一鉄 0.5g 寒天 1.0g 上記培地100mlを500mlのイボ付き三角フラスコへ
分注したものを10本調製し、殺菌後、Auxarthron um
brinum n13株(FERM BP−3378)をスラ
ントより各々のフラスコへ1白金耳ずつ接種し、27℃
にて7日間振盪培養した。培養終了後、培養液を濾紙濾
過して菌体を分離した。この菌体を500mlのメタノー
ルで抽出し、抽出液を濃縮後酢酸エチルで2回抽出す
る。一方培養濾液も酢酸エチル抽出し、両抽出液に無水
硫酸ナトリウムを添加して脱水し、濾過した後、濾液を
濃縮乾固した。シリカゲル(メルク社製kie sel gel 6
0)のカラム(3cmφ×30cm)に付し、クロロホルム
で溶出した。活性フラクションを濃縮乾固するとn−1
3の粗標品0.1グラムを得る。これを逆相高速液体ク
ロマトグラフィーに付し80%のメタノールで展開し、
n−13画分を分取した。このn−13画分27mgを小
量のメタノールに溶解し、低温で結晶化させn−13の
純品10mgを得た。
【0017】
【発明の効果】式(I)で示される化合物n−13およ
びその塩は、カルシウム蓄積阻害作用および活性酸素種
を消去し過酸化脂質生成を抑制する作用を合わせ持って
いる。これらの本発明化合物が上記のような両生理作用
を有しているという特性は当業者にとって思いがけなか
ったことと解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】メタノール中でのn−13の紫外吸収スペクト
ルを模写したものである。
【図2】n−13のKBrディスク法による赤外吸収ス
ペクトルを模写したものである。
【図3】n−13の重DMSO中における500メガヘ
ルツプロトン核磁気共鳴スペクトルを模写したものであ
る。
【図4】n−13の重DMSO中における125メガヘ
ルツ炭素13核磁気共鳴スペクトルを模写したものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/40 ACV ADD 7252−4C C12P 17/16 2104−4B //(C07D 405/06 207:00 7019−4C 309:00) 6701−4C (C12P 17/16 C12R 1:645) 7804−4B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式(I)で示される化合物n−13また
    はその塩。 【化1】
  2. 【請求項2】請求項1に記載された化合物n−13また
    はその塩を有効成分として含む、カルシウム蓄積阻害
    剤。
  3. 【請求項3】請求項1に記載された化合物n−13また
    はその塩を有効成分として含む、活性酸素消去剤。
  4. 【請求項4】請求項1に記載された化合物n−13また
    はその塩を有効成分として含む、過酸化脂質生成抑制
    剤。
  5. 【請求項5】Auxarthron属に属し、n−13の生産能を
    有する菌株を適当な培地で好気的に培養し、その培養物
    より化合物n−13を得ることを特徴とする、請求項1
    に記載された式(I)で示される化合物n−13の製造
    法。
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CN109971652A (zh) * 2019-03-25 2019-07-05 中山大学 一株藏波罗花内生真菌Onygenales X117及其发酵产物的制备方法和应用

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