JPH0537660Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はステツプモータに係り、回転子の回転
軸又はこの回転軸及び回転子を回転軸に固定する
ブツシユを非磁性体材料で形成することにより、
その出力トルクが一定で安定した回転を行ない、
その構造が簡単なステツプモータを提供すること
を目的とする。

本出願人は先に実願昭55−122593号その他によ
り、円板状でその軸直交面に複数の磁極が周方向
に交互に極性を異ならしめて着磁形成された回転
子と、コイルを嵌裝したヨークに取り付けられ回
転子の軸直交面に離間対向した複数の内側磁極片
を有する内側固定子及びこの内側磁極片とギヤツ
プを設けた状態で噛み合い状態に整合された複数
の外側磁極片を有する外側固定子で構成される固
定子とよりなるステツプモータを提案した。

このステツプモータは回転子の両側に一対の固
定子を設けて２相とすることができるが、２相の
ステツプモータでは、回転子を挟んで対向する２
つの固定子の内側固定子及び外側固定子どうしが
同一極性に励磁される場合と、異極性に励磁され
る場合とがある。このため、２つの固定子のヨー
クが接触し、かつ回転子の回転軸及びブツシユが
強磁性体材料である場合には上記異極性に励磁さ
れたとき２つの固定子間に磁路が形成され、モー
タの出力トルクが大きく低下する。つまりこのス
テツプモータはステツプ毎に出力トルクが変化す
るという欠点があつた。

本発明は上記の欠点を除去したものであり、以
下図面と共にその一実施例につき説明する。

第１図は本考案になるステツプモータの一実施
例の断面図を示す。第１図示のステツプモータは
回転子の軸直交中央面に対して左右対称に構成さ
れた２相のステツプモータである。同図中、１は
円板状の回転子であり、この軸直交面を略等角度
で放射状に分割される複数の扇状の区画夫々は周
方向に交互に極性を異ならしめ、かつ軸方向に着
磁形成されている。この回転子１は樹脂等の非磁
性体材料で形成されたブツシユ２によつて真鍮、
リン青銅等の非磁性体材料で形成された回転軸３
に固定されている。また、回転軸３は回転子１を
挟んで対向する一対の固定子夫々の軸受４ａ，４
ｂによつて回転自在に軸承されている。軸受４
ａ，４ｂ夫々にはリング状かつ断面略コ字状のヨ
ーク５ａ，５ｂが夫々の開口部を回転子１に対向
させた状態でこの軸受４ａ，４ｂに嵌合固定され
ている。また、ヨーク５ａ外周壁の延長部５a₁は
ヨーク５ｂの拡径された延長部５b₁に嵌合して回
転子１を囲繞している。ヨーク５ａ内にはリング
状かつ断面コ字状のコイルボビン６ａがコイル７
ａを巻回されて抱持固定され、同様にヨーク５ｂ
内にはリング状かつ断面コ字状のコイルボビン６
ｂがコイル７ｂを巻回されて抱持固定されてい
る。

このヨーク５ａ，５ｂ夫々には内側固定子８
ａ，８ｂ、外側固定子９ａ，９ｂが固定されてい
る。内側固定子８ａは第２図に示す如く、中央の
基部８a₁と、この基部８a₁より外方に延在する等
角度放射状に配置された複数の略扇状の内側磁極
片８a₂とよりなり、基部８a₁の中央の孔８a₃に回
転軸２を挿入されて基部８a₁をヨーク５ａの内周
壁端部５a₂に固定されている。外側固定子９ａは
リング状の基部９a₁とこの基部９a₁より軸中心方
向に延在する等角度放射状に配置された複数の略
扇状の外側磁極片９a₂とよりなり、この外側磁極
片９a₂が内側磁極片８a₂と等間隔に噛み合い状態
とされて基部９a₁をヨーク５ａの外周壁内側に固
定されている。また、ヨーク５ｂに固定される内
側固定子８ｂ及び外側固定子９ｂも同様の構成で
ある。この内側固定子８ａ及び外側固定子９ａ，
内側固定子８ｂ及び外側固定子９ｂ夫々のなす軸
直交面は回転子１の軸直交面より所定距離だけ離
間対向せしめられ、左右対称とされている。

この２相のステツプモータは第１ステツプで対
向する内側固定子８ａ，８ｂ夫々を共にＮ極（以
下「Ｎ，Ｎ」と記す）に励磁され、続いて第２ス
テツプで「Ｎ，Ｓ」，第３ステツプで「Ｓ，Ｓ］、
第４ステツプで「Ｓ，Ｎ」に励磁され、これを繰
り返して回転せしめられる。ここで、内側固定子
８ａ，８ｂが同一極性となる第１ステツプ，第３
ステツプにおける等価回路は第３図Ａに示す如く
コイル７ａ，７ｂの発生する磁束の向き、つまり
磁束発生源Ea，Ebの向きが逆であり、磁束の発
生量が同一である限り一対の固定子間に磁束の漏
れはない。

また、内側固定子８ａ，８ｂが異なる極性とな
る第２ステツプ，第４ステツプにおける等価回路
は第３図Ｂに示す如く、磁束発生源Ea，Ebの向
きが同一となり、一対の固定子間に実線に示す
如き磁路が形成される。ここで、R₁は回転軸２
を介在したヨーク５ａ，５ｂとの間の磁気抵抗で
あり、R₂はブツシユ３を介在したヨーク５ａ，
５ｂ及び内側固定子８ａ，８ｂ夫々との間の磁気
抵抗であり、R₃ａ，R₃ｂは内側固定子８ａと外
側固定子９ａとの間、内側固定子８ｂと外側固定
子９ｂとの間夫々の空隙磁気抵抗であり、R₄は
ヨーク５ａ，５ｂ間の接合部の磁気抵抗である。
従来の如く回転軸２及びブツシユ３が磁性体材料
で形成される場合磁気抵抗R₁は回転軸２とヨー
ク５ａ，５ｂ夫々との間の空隙磁気抵抗であり、
磁気抵抗R₂はヨーク５ａ（又は内側固定子８ａ）
とブツシユ３及びブツシユ３とヨーク５ｂ（又は
内側固定子８ｂ）との空隙磁気抵抗である。しか
し第１図に示す実施例では回転軸２及びブツシユ
３が非磁性体材料で形成されているため磁気抵抗
R₁，R₂共にヨーク５ａ，５ｂ間の空隙磁気抵抗
となり、この磁気抵抗R₁，R₂が従来より大幅に
大となり第３図Ｂの実線に示す如き磁路つまり
ヨーク５ａより回転軸２及びブツシユ３を介して
ヨーク５ｂに至り、更にヨーク５ｂと５ａとの接
合部を介してヨーク５ａに至る閉ループの磁路に
よる磁束の漏れがほとんどなくなる。

従つてステツプ２，４においてもステツプ１，
３と同一の出力トルクが得られ、ステツプモータ
の回転が安定したものとなる。

ここで、ヨーク５ａ，５ｂを非磁性体材料で形
成した接合部材を介して接合することにより磁気
抵抗R₄を無限大とすることも可能であるが、上
記の実施例では接合部材を必要とせず、その構造
が簡単である。

なお、回転子１がブツシユ３を用いず直接回転
軸２に固定されている場合は回転軸２だけが非磁
性体材料で形成されることになる。

上述の如く、本考案になるステツプモータは、
周方向に交互に極性を異ならしめ軸方向に着磁さ
れた回転子と、複数の内側磁極片を有する内側固
定子及び複数の外側磁極片を有する外側固定子で
構成される一対の固定子を回転子の両側に回転子
の軸直交面に離間対向させ一対の固定子のヨーク
である外周壁を互いに嵌合して回転子を囲繞して
なる２相のステツプモータにおいて、回転子の回
転軸又は回転軸及び回転子を回転軸に固定するブ
ツシユを非磁性体材料で形成してなるため、一対
の固定子の内側固定子及び外側固定子どうしが異
なる極性に磁化された場合もこの一対の固定子間
に磁束の漏れが生じることがなく、その出力トル
クが一定で安定した回転を行ない、また一対の固
定子間を非磁性体材料の接合部材で接合する必要
がなく、その構造が簡単になる等の特長を有する
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案ステツプモータの一実施例の縦
断面図、第２図は第１図の−線に沿う横断面
図、第３図Ａ，Ｂは第１図示のステツプモータの
等価回路である。 １……回転子、２……回転軸、３……ブツシ
ユ、４ａ，４ｂ……軸受、５ａ，５ｂ……ヨー
ク、７ａ，７ｂ……コイル、８ａ，８ｂ……内側
固定子、８a₂，８b₂……内側磁極片、９ａ，９ｂ
……外側固定子、９a₂，９b₂……外側磁極片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 周方向に交互に極性を異ならしめ軸方向に着磁
   された回転子と、複数の内側磁極片を有する内側
   固定子及び複数の外側磁極片を有する外側固定子
   で構成される一対の固定子を該回転子の両側に該
   回転子の軸直交面に離間対向させ一対の固定子の
   ヨークである外周壁を互いに嵌合して該回転子を
   囲繞してなる２相のステツプモータにおいて、該
   回転子の回転軸又は該回転軸及び該回転子を該回
   転軸に固定するブツシユを非磁性体材料で形成し
   てなるステツプモータ。