JPH0536640B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、内部に一体的に組込んだ電動機を介
し高速で回転可能な遠心圧縮機に関する。

（従来技術） 遠心圧縮機は、回転機械であり、インペラーと
して用いられる少くとも１個のホイール（羽根
車）と、デイフユーザーとして用いられる少くと
も１個の取出し渦室とを備えており、その機能
は、気体例えば登録商標「フレオン」の下に市販
されているガスを圧縮することにある。１個の羽
根車当りの圧縮比を相当大きく、例えば2.5とす
ることが望まれる場合には、回転速度を非常に高
く、例えば１万ないし数万r.p.m.とすることが必
要になる 駆動電動機と圧縮機の１個以上の羽根車を駆動
する軸との間に機械的な増速装置を介在させた、
高速で回転する遠心圧縮機は、実際に知られてい
る。この既知の装置においては、プチツト・ビテ
ツスと呼ばれる第１のたわみ継手が、電動機の回
転子と増速装置の入力側の歯車との間に介在され
ていると共に、グランド・ビテツスと呼ばれる別
のたわみ継手が、増速装置の出力側のピニオンと
圧縮機の回転子との間に介在されている。

しかしながら、増速装置を採用する従来の遠心
圧縮機では、上記継手用の高価な潤滑装置を必要
とすると共に、エネルギー消費量が増加してしま
い、また、機械部品点数の増加により圧縮機の信
頼性が低下する等の欠点を有していた。

（発明が解決しようとする課題） 従つて、上記増速装置を使用することなく遠心
圧縮機の回転速度を上げることが望まれるが、圧
縮機の速度を上げるためには、過熱防止のため、
各部品間における各種の摩擦、例えば、機械的接
触による機械摩擦、空気摩擦の減少させなければ
ならない。

そこで本発明は、機械的接触による機械摩擦及
び空気摩擦を減少させた遠心圧縮機を提供するこ
とを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明は、上記課題を解決するため、高速で回
転することができる遠心圧縮機であつて、両端に
固定された少なくとも２つの羽根車を有する、圧
縮すべき流体を推進させるための単一のシヤフト
と、シヤフトによつて支持された回転子を有し、
シヤフトの中心部分に位置決めされた高速電動機
と、少なくとも高速電動機を取り囲むケーシング
と、ケーシングに対して軸線方向に移動可能な支
持部材と、ケーシング内でシヤフトを支持するた
めの少なくとも２つの磁気軸受と、ケーシング内
の空間を密封するために、ケーシングと羽根車の
一方との間に配置された少なくとも１つの第１の
面シール手段と、支持部材と羽根車の他方との間
に配置された少なくとも１つの第２の面シール手
段と、空間を真空にするための手段と、第１の面
シールの近くに設けられた、ケーシングに対する
シヤフトの軸線方向位置を検出し、軸線方向位置
を表す第１の信号を発生するための第１の軸線方
向位置検出器と、第２の面シール手段の近くに設
けられた、シヤフトに対する支持部材の軸線方向
位置を検出し、軸線方向位置を表す第２の信号を
発生するための第２の軸線方向位置検出器と、シ
ヤフトを軸線方向に移動させるための第１の手段
と、支持部材を軸線方向に移動させるための第２
の手段と、第１の信号及び第２の信号を受信し、
第１の信号及び第２の信号に基づいて第１の手段
及び第２の手段を作動させるための制御装置とを
有する遠心圧縮機を提供する。

（作用） 高速電動機により遠心圧縮機のシヤフトを回転
させると、シヤフトの羽根車により流体が圧縮さ
れ、この圧縮流体を介して、ケーシング内の空間
を真空にするための手段によつてケーシング内の
空間が真空にされる。他方、この真空は、ケーシ
ングと羽根車の一方との間に配置された第１の面
シール手段と、支持部材と羽根車の他方との間に
配置された第２の面シール手段とによりケーシン
グ内の空間を密封することによつて保たれる。

また、羽根車を備えたシヤフトが軸線方向に移
動した場合には、第１の軸線方向位置検出器及び
第２の軸線方向位置検出器からの信号を受信した
制御装置により第１の手段及び第２の手段を作動
させ、これにより、支持部材及びシヤフトを軸線
方向に移動させることによつて、シヤフトを接触
なしに支持することができ、第１の面シール手段
及び第２の面シール手段によるケーシング内の空
間の密封が確保される。

（実施例） 次に、添付図面に示した本発明の好ましい実施
例について詳述する。

第１図において１は一体型の遠心圧縮機（電動
圧縮機）のシヤフトである。シヤフト１は中央部
に高速の電動機の回転子２を支持しており、回転
子２は図示したように固定子３により囲まれてい
る。メーカーにより注文生産されるこの形式の電
動機は、10000〜15000r.p.mの回転速度で、数千
KWの出力を発生する。

シヤフト１は、第１圧縮段の回転要素を形成す
る第１吸込み羽根車４と、第２圧縮段の回転要素
を形成する第２吸込み羽根車５とを、両端に片も
ち状に支持している。シヤフト１は２つの磁気軸
受６，７によつて支持され、磁気軸受６，７は、
位置検出器３２の制御で調節することができ、シ
ヤフト１の長手方向の位置調節を行うための磁気
ストツパー８と関連されている。なお第１図にお
いて９は無電流時にシヤフト１がその上に載置さ
れる接地軸受である。

回転子２、固定子３、磁気軸受６，７及び磁気
ストツパー８は、流体密のケーシング１０に一体
的に配置されている。第１圧縮段の吸込み羽根車
４は、低圧配管、即ち、吸込み配管１１に接続さ
れていると共に、第１圧縮段の排出渦形室、又
は、取出し渦形室１２に接続されており、排出渦
形室１２自体は第１圧縮段の排出配管１３に通じ
ている。

排出配管１３からの圧縮された流体は、第２吸
込み羽根車５を備えた第２圧縮段の吸込みスリー
ブ１５まで、配管１４によつて給送される。第２
圧縮段は、第１圧縮段と同様に、取出し渦形室１
６と、排出配管１７とを有し、排出配管１７は取
出し配管１８に連結され、取出し配管１８は圧縮
された排出流体を送出する。

本発明によれば、第１圧縮段及び第２圧縮段は
共にシール手段を有し、これらのシール手段は、
羽根車４，５のカバーに設けられた軸線方向のラ
ビリンスシール、すなわち、パツキング１９、及
び、シヤフト１の軸線２２と垂直な第１及び第２
の面シール手段、すなわち、面パツキング２０，
２１を有し、これらの面パツキングは、後述する
ように、滑らかな耐磨耗面に当接し、耐磨耗面の
軸線方向変位によつて調節することができるラビ
リンスパツキングである。

本発明の別の特徴によれば、ケーシング１０の
内部は、或る所定の圧力に保たれている。この圧
力は一例として大気圧でもよく、また吸込み配管
１１中の吸込み圧力でもよいが、この実施例のよ
うに、装置の供給圧力よりも著しく低い圧力とす
ることが特に好ましい。

ケーシング１０の内部空所は、真空装置２４を
有する配管２３により上記内部空所と吸込み配管
１１とを連結することによつて真空にされ、この
真空装置２４は、拡大尺で第５図に示され、非常
に簡単なエジエクターからなり、エジエクターの
首部２５は、圧縮機の第２圧縮段の取出し配管１
８に連結された射出ノズル２６との関連されてい
る。これによりケーシング１０の内部の圧力は、
吸込み配管１１中の吸込み圧力の約1/3に等しく
なる。

詳述すると、配管２３は、ケーシング１０の内
部空所に、吸込み配管１１におけるのと同じ圧力
を形成する。配管２３に配管されたエジエクター
は、ケーシング１０から空気を引き出し、この空
気を配管２３を介して吸込み配管１１に送り出す
ポンプとして働く。この圧送効果は、第２圧縮段
の取出し配管１８から引出された加圧空気の作用
によつて得られる。加圧空気は、配管によつて射
出ノズル２６に供給され、首部２５の前で配管２
３の中に出る。射出ノズル２６は、吸込み配管１
１に差し向けられ、ノズル２６によつて供給され
た加圧空気は、ケーシング１０の内部空所内に収
容された空気を吸込み配管１１に向けて推進させ
る。その結果、ケーシング内の圧力は、吸込み配
管１１内の圧力以下になるのである。

変形例として、ケーシング１０の内部に吸込み
圧力を加えるためには、真空装置２４に射出ノズ
ル２６を設けなくても良い。

次に、第２，３図を参照して、面パツキング２
０，２１の調節装置について説明する。

最初に第３図を参照すると、磁気ストツパー８
は、２個の固定子２７，２８及び軸方向位置検出
器２９に組合されている。詳細には、磁気ストツ
パー８は、シヤフトに堅固に取付けられたデイス
ク状磁気部材であり、かかる磁気部材は、ケーシ
ング１０に設けられた２つの半径方向面と向かい
合う２つの半径方向面を有し、ケーシングの半径
方向面が、夫々、固定子２７，２８及び位置検出
器２９を支持する。検出器２９と固定子２７，２
８とは、面パツキング２１の耐摩耗部材３０とこ
れに向合うラビリンス３１との間の最小の遊〓を
得るようにストツパー８、従つて、シヤフト１の
長手方向位置を制御すための、後述する制御装置
に組合されている。

第２図を参照して、面パツキング２０も、滑ら
かな耐摩耗部材３４と向合うラビリンス３３を有
しているが、この耐摩耗部材は、磁化可能な支持
部材３５により支持されており、磁化可能な支持
部材３５は、圧縮機の制御装置、すなわち、中央
電子制御装置に接続した位置検出器３７の制御の
下に、電磁誘導コイル３６に流れる電流の作用に
より移動することができる。固定子２７，２８及
びコイル３６に流れる電流は、面パツキング２１
の摩擦要素３０とラビリンス３１との間だけでな
く、面パツキング２０の摩擦要素３３とラビリン
ス３４との間にも最小の遊〓を生ずるように、中
央電子制御装置によつて制御される。詳細には、
制御装置は、検出器２９，３７を含む電子回路で
あり、これらの検出器２９，３７の信号の値と、
面パツキング２０，２１の所望の遊びの値とを比
較し、これらの値の間に差異が検出されたときに
は、シヤフトを移動させるための第１の手段たる
固定子２７，２８及び支持部材を移動させるため
の第２の手段たる電子誘導コイル３６に電子制御
信号を供給し、一定の遊びの値を得る。

第４図に示した面パツキング２０の調節装置の
変形実施例にれば、支持部材３５は電磁作用によ
つて移動する代りに、電気抵抗発熱体３８によつ
て多く又は少く膨張するようになつている。電気
抵抗発熱体３８に供給される電流の値は位置検出
器３７によつて制御される。

（効果） 以上のように、本発明によれば、シヤフトを接
触なしに支持することができるので、機械的接触
によるシヤフトの動力損失を小さくすることがで
き、電動機のエネルギ効率を向上させることがで
きる。

また、ケーシング内の空間を真空にすることが
できるので、電動機の回転子と固定子との間の気
体分子密度を下げることができ、かくして、電動
機の回転子と固定子との間の狭い間〓で推進され
る気体によるシヤフトに対する大きな損失を大幅
に減らし、電動機のエネルギ効率を向上させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による２段式の電動圧縮機を
示す長手方向断面図であり、第２図は、第１図の
圧縮機の第１段の羽根車及びこれと関連したパツ
キングの断面図であり、第３図は、第１図の圧縮
機の磁気ストツパー、第２段の羽根車及びこれと
関連したパツキングの断面図であり、第４図は、
第１図の圧縮機の第１段の羽根車と関連された面
パツキングを調節するための装置の変形実施例の
断面図であり、第５図は、第１図の圧縮機の部分
拡大図である。 （符号の説明）、１……軸、２……回転子、３
……固定子、４，５……羽根車、６，７……磁気
軸受、８……磁気ストツパー、１０……ケーシン
グ、１１……吸込み配管、２０，２１……面パツ
キング、２３……配管、３５……支持部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高速で回転することができる遠心圧縮機であ
   つて、 両端に固定された少なくとも２つの羽根車を有
   する、圧縮すべき流体を推進させるための単一の
   シヤフトと、 前記シヤフトによつて支持され、前記シヤフト
   の中心部分に位置決めされた回転子を有する高速
   電動機と、 少なくとも前記高速電動機を取り囲むケーシン
   グと、 前記ケーシングに対して軸線方向に移動可能な
   支持部材と、 前記ケーシング内で前記シヤフトを支持するた
   めの少なくとも２つの磁気軸受と、 前記ケーシング内の空間を密封するために、前
   記ケーシングと一方の前記羽根車との間に配置さ
   れた少なくとも１つの第１の面シール手段と、前
   記支持部材と他方の前記羽根車との間に配置され
   た少なくとも１つの第２の面シール手段と、 前記空間を真空にするための手段と、 前記第１の面シール手段の近くに設けられた、
   前記ケーシングに対する前記シヤフトの軸線方向
   位置を検出し、前記軸線方向位置を表す第１の信
   号を発生するための第１の軸線方向位置検出器
   と、 前記第２の面シール手段の近くに設けられた、
   前記シヤフトに対する前記支持部材の軸線方向位
   置を検出し、前記軸線方向位置を表す第２の信号
   を発生するための第２の軸線方向位置検出器と、 前記シヤフトを軸線方向に移動させるための第
   １の手段と、 前記支持部材を軸線方向に移動させるための第
   ２の手段と、 前記第１の信号及び第２の信号を受信し、前記
   前記第１の信号及び第２の信号に基づいて前記第
   １の手段及び第２の手段を作動させるための制御
   装置とを有する、 前記遠心圧縮機。 ２ 前記支持部材が、軸線方向長さが可変の部分
   を介して前記ケーシングに固定されて連結され、
   前記第２の手段が、前記部分の軸線方向長さを調
   節するための加熱手段を備えていることを特徴と
   する、特許請求の範囲第１項に記載の遠心圧縮
   機。 ３ 前記空間を真空にするための手段が、前記空
   間を前記圧縮機の吸い込み配管に接続するための
   配管手段を備えていることを特徴とする、特許請
   求の範囲第１項に記載の遠心圧縮機。 ４ 前記空間を真空にするための手段が、吸引に
   よつて真空を作るための装置を備え、前記装置
   が、少なくとも１つのエジエクターと、前記エジ
   エクターを前記圧縮機の取出し配管に接続する手
   段とを備えていることを特徴とする、特許請求の
   範囲第１項に記載の遠心圧縮機。