JPH0536555B2 - - Google Patents

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JPH0536555B2
JPH0536555B2 JP59074653A JP7465384A JPH0536555B2 JP H0536555 B2 JPH0536555 B2 JP H0536555B2 JP 59074653 A JP59074653 A JP 59074653A JP 7465384 A JP7465384 A JP 7465384A JP H0536555 B2 JPH0536555 B2 JP H0536555B2
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JP
Japan
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paper
fibers
fiber
denier
binder
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JP59074653A
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JPS60224900A (ja
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Tsuneo Genma
Tatsuo Komatsu
Akio Mizobe
Isao Sakuragi
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0536555B2 publication Critical patent/JPH0536555B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は自己接着機能を賦与したポリビニルア
ルコール系繊維(以下PVA繊維と略称する。)を
湿式抄造して得られる湿式不織布(以下紙と称す
る。)に関する。 天然繊維、化合繊々維を用いた紙の強力は、共
有結合力、水素結合力、Van der Waole′s力な
どを利用して繊維間をいかにうまく結合させるか
により決まる。従つて繊維の反応基の有無、親水
性の程度、繊維形態(太さ、長さ、断面形状、或
いはフイブリル等)、繊維物性などは得られる紙
の強力に大きな影響を及ぼす。 天然繊維、化合繊、無機繊維において、繊維間
結合力を賦与するために通常次の様な方法がとら
れる。(1)フイブリル化。(2)特殊な繊維断面形態の
採用。(3)接着剤(溶液エマルジヨン、粉末サスペ
ンジヨン、繊維状バインダー)の利用。 このうちフイブリル化を利用したものには、天
然繊維にあつては各種のパルプや靭皮繊維などの
植物繊維、石綿などの鉱物繊維、化合繊維にあつ
てはポリエチレン系合成パルプ(三井ゼラパツク
SWP)、アクリル系合成パルプ(旭化成製紙用カ
シミロンA−104など)、PVA系合成パルプ(ク
ラレVPF)、アラミド系合成パルプ(Dupon′tケ
ブラー)等に代表例をみることができる。 特殊なな繊維断面形態を採用したものには1960
年AVISCO社の発表したレイヨンRD−101など
があげられ、この繊維の断面は通常のレイヨンに
比べ偏平でありその持てる大中空皮膜は薄く平滑
である為、抄紙時に水の表面張力で膨潤繊維が互
いに自由に引きよせられ、水素結合を生じ、自己
接着性を発現すると言われている。 接着剤としてはアクリレート、エチレンビニル
アセテート、スチレンブタジエンゴム、ポリ塩化
ビニル、エポキシ樹脂、、メラミン樹脂、尿素樹
脂等のエマルジヨン、熱可塑性を利用したポリエ
チレン、ポリプロピレン等の粉末又は繊維、未延
伸ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル酢酸
ビニルコポリマー等の繊維、或いは融点の比較的
高いポリプロピレン等を芯成分とし融点のより低
いポリエチレンを鞘成分とする複合繊維、更に湿
熱溶解性を利用する澱粉、CMC,PVA系の粉末
及び通常のPVA系繊維状バインダーなどが代表
例としてあげられる。処理方法はビーター内添
性、ウエツトパートに於ける湿紙へのバインダー
スプレー法又は浸漬法が通常採用されている。ま
た出来た紙の機能を十分発揮させる為に更に樹脂
による2次加工(例えばコーテイング加工、含浸
加工、ラミネート加工)を施すこともある。 天然繊維は叩解によるフイブリル化発現という
優れた特性を持つているので、バインダーの助け
をかりずにほとんど単独で抄紙することができ
る。他素材を混抄することも多いが、それは成紙
形成上の問題というより、紙の性能改善を目的と
した場合が多い。一方化合繊、無機繊維には繊維
強力、耐薬品性、耐水性、寸法安定性、防炎性等
の従来の天然有機繊維の欠点を補う性質を具備し
ながら、自己接着性がないため、単独で成紙を得
ることが難しく、直ちにその優れた性能を紙に反
映できなかつた。例えばレイヨンの場合、強力が
高く均一であり、抄紙に適した繊維長のものが均
一に大量に生産でき従来の木材繊維や靭皮繊維の
ような選別、漂白、離解、フイブリル化等の処理
を不要とし、ピーターまたはポーチヤーに投入し
混和分散するだけで簡単に抄紙できる利点がある
反面、レイヨン単独での抄紙は難しく、叩解パル
プと混抄せざるを得なかつた。ところが通常の
PVA繊維状バインダーの発明で、今迄レイヨン
単独では抄紙不能であつたレイヨン紙が簡単に生
産できるようになつたのである。一方バインダー
なしでレヨン紙を作る研究も多数行なわれ、繊維
間結合面積を著しく増大した大中空レイヨンと
か、リボンストローレイヨンの如き自己接着性を
有する製紙用特殊レイヨン糸が開発された。この
発明により今迄の製紙用レイヨンでは不可能と考
えられていた洋紙分野への進出にも可能性が出て
来たと言われている。しかしながら自己接着性レ
イヨン紙は糸断面が偏平であるためと繊維同志が
十分接近していて密度が高い為にPVAバインダ
ー使用の普通レイヨン紙に比べ透気性が悪く、風
合も硬く、また光沢もありすぎて用途が限定され
ている。 またガラス繊維の場合は不燃性や寸法安定性が
優れているが、結合手を持たず、叩解したフイブ
リル状の石綿、パルプ或いは通常のPVA繊維状
バインダーと混抄してガラス紙とするか、各種バ
インダーの助けをかりてガラス紙としている。ガ
ラス紙を過機とする場合などは抄紙時都合の良
かつた石綿やパルプ或いはPVA繊維状バインダ
ーがガラス網目を詰め過抵抗を徒に大きくし、
過寿命を縮めていることがある。 また天然パルプを利用する場合、耐薬品性等の
点で障害となる場合があり、用途面で制約を受け
る。 このように結合手を持たず単独で成紙を得にく
い化合繊、無機繊維に極めて有効に働らく接着剤
にも色々問題が残されている。まず第1点はバイ
ンダーの捕足率である。内添法に於ては被接着繊
維(以下主体繊維と称する。)層の間を通り、白
水中を繰返し循環することにより、フエルト等の
汚染原因ともなる。次に接着作用は主体繊維が交
叉或いは接触した点に接着剤が存在してはじめて
発現する。粒子を大きくすると接点が減少するた
め、強力を維持するには増量しなければならな
い。一方溶液の場合は、繊維表面全体に付着した
としても主体繊維の交点に必要な量の接着剤が確
保できなければ効果は発揮されない。接着剤の接
着効率をあげるためには細い繊維状バインダーを
利用することが望ましい。特に親水性ポリマーで
ある通常のPVA繊維状バインダーは非フイブリ
ル系繊維の抄紙によく配合使用されており、接着
効果ばかりでなく、抄紙時の工程通過性に著しい
効果を示すことが知られている。理由は判らない
が疎水性の未延伸ポリエステル繊維においてもこ
のような挙動が若干認められる。 しかしながら繊維状バインダーといえども、主
体繊維の各交点の全てに、バインダー繊維を組合
すことは不可能である。更にバインダーを繊維化
する際、延伸作用により分子が配向する。従つて
バインダー効果を発揮する溶解時、分子はポテン
シヤルエネルギーを最低にするため、繊維状で収
縮する。バインダー繊維が高配合になるとこの現
象が抄紙工程で致命的な障害となることもある。 この外、接着剤は得られた紙の基本性能に対し
て重大な影響を与えることがある。例えば紙の特
徴の1つに細孔を持つていることがあげられる。
この細孔を活用して過機能、保液機能等を生み
出している。ところが、接着剤が水可溶性バイン
ダーの場合は接着点がいわゆる水掻状になりやす
く、蛙の足の指の間ある薄膜のようなものが形成
され、結果として細孔を塞ぐことになる。また熱
可塑性バインダー繊維の場合は接合点は水掻状で
なく点接着状態のものが多く細孔を塞がないよう
になつてはいるが、接着に寄与していない部分の
熱可塑性バインダー繊維は過抵抗を大きくした
り、、吸液能力を低下したりして、接着による紙
力の向上とは裏腹に本来の目的とする紙の機能を
低下させることになりかねない。 これ等の欠点を補ない、繊維交点の殆んどが接
着効果を発現させる為には、形態の安定な主体繊
維の外側をバインダー成分で覆つてはどうかとい
う発想が生まれてくる。 熱可塑性ポリマーの場合、芯の部分即ち主体繊
維部分に比較的融点の高い繊維形成能を有する物
質を使い、これの外層部の全て或いは1部に主体
繊維成分よりも融点が低く且つ接着能のある成分
を組合せた複合繊維(例えばチツソ製SE、大和
紡製NBF等)が市販されている。ところがこれ
らの熱可塑性複合繊維は細い繊度の繊維を得るこ
とが困難で、一般に2デニール近傍の太さが限界
と言われており、接着効率の面やその他紙物性の
面で充分とは言えない。 親水性ポリマーであるPVA系においても同様
の試がなされており、水に対する溶解度の差を利
用し、完全鹸化PVAと部分鹸化PVAの複合繊維
が開示されている(特開昭56−125271)。しかし
相溶性の強い両ポリマーを比較的低濃度で湿式紡
糸して複合化するため、両ポリマーが部分混合
し、主体繊維部分の形態安定性を悪くする等多く
の問題が残されている。 本発明者等は細い繊度の主体繊維により滓捕
促率にすぐれしかも通常のバインダーを使用しな
いために過抵抗が小さく、かつリントの少ない
過性能の非常にすぐれた紙、或いは耐折強力が
高く、強靭で柔軟性の優れた紙、その他新しい機
能性に富んだ紙を提供すべく、鋭意研究した結果
本発明に到つた。 即ち基本的には複合繊維バインダーの接着方式
を保持し、且つ主体繊維の機能を併せ持つ自己接
着性繊維を用いて抄紙することにより、上記の如
き優れた性能を具備する紙を提供することが出来
るようになつた。 つまり本発明は、下記特性(1),(2)および(3)を有
するポリビニルアルコール系繊維(以下自己接着
性PVA繊維と称することがある)単独から実質
的になる湿式不織布である。 (1) 1デニール当り2mgの荷重をかけて水中に浸
漬し、1℃/1分の速度で昇温し、95℃に到達
した時の繊維収縮率が15%であること、 (2) 処理剤を除去した繊維を浴比100で純水中に
分散させ95℃で30分間浸漬したときの溶出有機
分のKMnO4消費量が50〜500ppmであること、 (3) 繊維の太さが0.01〜2.0デニールであること、 この自己接着性PVA繊維は、まず主体繊維と
しての形態安定性を保持しなければないない。そ
の為には以下で定める熱収縮温度測定法での95℃
水中に於ける繊維収縮率が15%以下でなければな
らない。 その測定法とは、測定すべき繊維に、1デニー
ル当り2mgの荷重をかけて水中に浸漬し、1℃/
1分の速度で昇温し、95℃に到達した時の繊維収
縮率を求めるもので、この収縮率が15%以下、望
ましくは8%以下でなければならない。繊維収縮
率が15%を超えると該繊維配合率が高いため抄紙
時乾燥機内で繊維が収縮し、横筋状の裂目が発生
し、商品化が困難で、場合によつては抄紙不可能
となる。 このことは後述する実施例及び比較例からも明
らかであり、すなわち該収縮率が15%よりわずか
に低い場合(実施例2)には乾燥時に収縮を生じ
るもののその程度は致命的と言うほどではなく抄
紙条件や乾燥条件を選ぶことにより性能の優れた
紙を問題なく製造できるのに対して、収縮率が15
%を越える場合(比較例1)には乾燥時に激しい
収縮を生じて紙に横筋状の亀裂が入り、断紙が生
じている。このことからも収縮率は15%を境にし
て抄紙性と製品物性が大きく変わることが判る。 次に当該繊維を95℃の熱水中に30分間浸漬した
時の溶出有機分のKMnO4消費量が50〜500ppm
の範囲内になければならない。KMnO4消費量の
測定は次の如く行なつて求める。繊維に付着して
いる繊維以外の処理剤、例えば芒硝、油剤、ラテ
ツクス等を予め水洗抽出などの方法で除去して乾
燥した繊維を約1g採取し、純水中に分散させ浴
比100とし95℃で30分間浸漬処理した液を三角フ
ラスコにとり、希硫酸5c.c.及びN/
100KMnO410c.c.を加え、5分間煮沸する。次で
N/100修酸液10c.c.を加え脱色させ、N/
100KMnO4で滴定し、滴定に用したc.c.数(a)を求
める。またブランクテストにより純水のKMnO4
滴定c.c.数(b)を求め、次式 KMnO4消費量(ppm)=(a−b) ×1000/試験液採取量(c.c.)×0.316 によりKMnO4消費量を求める。通常の抄紙工程
に於ける乾燥機温度範囲でKMnO4消費量が
50ppm未満の場合は自己接着性が発現しくい。ま
た500ppmを超えると上記主体繊維部分の形態安
定性が悪くなるため、抄紙性不良になつたり、或
いは得られた紙が著しく硬くなる。このように
KMnO4消費量は自己接着性能の程度を示す極め
て重要な代用特性である。またこの現象は、叩解
したフイブリル化パルプに於て細分化された偏平
状微細繊維が水素結合により接着する外、含有さ
れていたヘミセルローズが繊維間でバインダー効
果を発揮する現象と類似している。 KMnO4消費量が50〜500ppmであらねばなら
ないことは、後述する実施例及び比較例からも明
らかであり、すなわちKMnO4消費量が50ppmを
わずかに越える場合(実施例8)には乾裂断長が
2Kmを越える値であるのに対して、50%より低い
場合(比較例2)には繊維が自己接着性を有して
いないため紙力は自重を支えることすらできない
ほど低いこと、またKMnO4消費量が500ppmよ
りわずかに低い場合(実施例12)には、性能の優
れた紙が問題なく製造できるのに対し、500ppm
を越える場合(比較例3)には、乾燥の途中から
横筋が入り、激しい場合には横筋切れを生じ得ら
れる紙は透明性を増して著しく硬くなり取り扱い
性の悪いフイルム調のものとなること、つまり
KMnO4消費量が50〜500ppmである場合とそれ
を外れる場合とでは、抄紙性と製品物性とが大き
く変わることが判る。 第3の特定すべき特性は、繊維の太さが0.01〜
2デニール、望ましくは0.05〜0.8デニールの間
でなければならないことである。細い領域の繊維
を用いることは繊維表面積を増大させ、得られた
紙の繊維間接触点が増加するため強固な水素結合
が得られる。第1図は、本発明の範囲内にある繊
維収縮率、KMnO4消費量を示す繊度の異なつた
自己接着性PVA繊維100%をそれぞれ用い、それ
ぞれほぼ同じ秤量で抄紙して得た紙の乾裂断長を
繊度に対してプロツトしたものである。繊度が太
くなるとKMnO4消費量の高い領域と組合すこと
が必要であるが、それでも繊維表面積の減少が支
配的となり、その上限は2デニール、望ましくは
0.8デニール以下である。一方繊度が0.8デニール
以下となると自己接着状態は急激に向上し、得ら
れた紙力が増大する。しかし0.3デニール近傍を
境として紙力は再び低下する。これは当該繊維の
水中分散性が悪化し、フロツク生成によつて地合
が乱れることによると考えられる。0.01デニール
より小さくなると地合は乱れ穴あき紙となつてし
まい紙強力の点より下限は0.01デニール、望まし
い下限は0.05デニール以上である。また当該繊維
の水中分散性は繊維のアスペクト比(繊維長/繊
維直径)に著しく支配される。細くなれば短い繊
維長が必要となるが、切断装置、生産性及び経済
性の面より限界があり、0.01デニールより2デニ
ールの範囲が必要で0.05デニールより0.8デニー
ルの間がより好ましいものである。 繊度0.01〜2デニールが本発明において必須で
あることは上記説明及び第1図から明らかである
が、さらに後述する実施例及び比較例からも明ら
かである。すなわち2デニールよりわずか低い場
合(実施例5)には、抄紙性及び得られた紙の地
合は良好であるのに対し、2デニールを越える場
合(比較例4)には、乾燥で単糸が取られ毛羽だ
らけとなり、紙力も極めて低いものとなつてい
る。このことより、自己接着性繊維の繊度が0.01
〜2デニールである場合とそれを外れる場合とで
は、抄紙性と製品物性とが大きく異なることが判
る。 なおPVA繊維は各種の断面形状を有する繊維
を種々の紡糸方式により得ることができる。真円
のものよりも偏平なものがより望ましい。しかし
本発明で特定する範囲内においては限定するもの
ではない。 本発明で用いる前記特許を有する自己接着性
PVA繊維は芯鞘構造或いは海島構造を有するも
のでは無いにもかかわらず、それらと同様な効果
を発揮する繊維であることが特徴的であり、一種
類のポリマーよりなり、叩解せずにそのまま使用
できる繊維であることが特徴的であり、本発明の
湿式抄造紙の優れた特性はこのPVA繊維によつ
てもたらされるものである。 このような自己接着性PVA繊維は前述の3つ
の特性を有するものであればよいものであり、そ
の製造法は何ら制約されるものではない。その製
造法は、例えばPVAに対して0.5〜5重量%の硼
酸又は硼酸塩を含有する平均重合度1200〜3000の
PVAを、その溶解後のPHが5以下になるような
量の酸と共に常法により濃度8〜13%の水溶液と
し、該水溶液を紡糸原液としてアルカリ性芒硝浴
へ吐出させ、延伸率、熱処理条件或いは化学処理
を組合すことにより、本発明で規定する繊維、95
℃の繊維収縮率、及びKMnO4消費量の繊維を得
ることが出来る。 上記の如き自己接着性能の著しく優れたPVA
繊維を用いて作る紙は100%該PVA繊維を抄紙す
る点に本発明の特徴的があるが、ごく少量ならば
他の繊維やパルプ等を加えてもよい。 該繊維は自己接着性能を有するため接着剤を使
用せずに性能の優れた紙を生産することを可能に
した。 また該繊維を用いることにより主体繊維100%
からなる紙の生産が可能となつた。その結果紙力
向上、過性向上、吸液性改善、光遮蔽性向上、
耐薬品性向上、柔軟性向上、溶出物減少、保温性
向上、不良率減少、作業性向上など様々な効果を
あげることができた。これら本発明による紙の有
用性は広く産業界に貢献することができるもので
ある。 本発明の紙は次の如き用途に用いられる。衝材
表面紙、紙オムツ用紙、障子紙、ルーフイング原
紙、薄葉紙、菓子包装紙、オーバレイ紙、フイル
ター紙、金箔紙、植毛原紙、セパレーター紙、温
床紙、合紙、粘着テープ原紙、ペーパーポツト原
紙、強靭仙花紙、紙幣パツド用紙、麺帯紙、紙紐
原紙、ワイパー、薬品保持材、証券用紙、電気絶
縁紙、石膏ボード紙、壁紙、板紙、デイスケツト
カバー紙、レコード包装紙、ベツトシーツ、手術
衣用紙等。 以下実施例をもつて説明するが、実施例中の厚
さはJISP8118、裂断長はJISP8113、透気度は
JISP8117、に準じて測定した。又アリカリ液吸
液量の測定は次の如く行なつた。50mm×50mmの試
験片を切りとり、重さ(W1g)を測定する。次
で試験片を予め調整した20℃、35%KOH水溶液
に30分間浸漬した後、30秒間液切りしてアルカリ
液を吸液した試験片の重量(W2g)を測定する。
W1,W2より次式によりアルカリ吸液量を求め
る。 アルカリ吸液量=W2−W1/W1(g/g) 抄紙性と地合は観察と管能検査により判定し
た。 実施例1,2、比較例1 重合度1750、ケン化度99.0モル%のPVAを用
い、硼酸、酢酸を該PVAに対してそれぞれ1.5重
量%、0.3重量%加えて共に溶解し、13重量%の
水溶液とし、これを紡糸原液とした。この原液を
孔直径0.04mmφの口金よりカ性ソーダ50g/、
芒硝300g/の凝固浴中に吐出させ、糸条形成
を行なつた。この時の吐出量、バスドラフト条
件、水洗条件、乾燥条件、延伸条件、熱処理条
件、化学処理条件等を表−1に記載の如く調整し
て繊維収縮率7.2%、KMnO4消費量174ppm、繊
度0.38デニール(実施例1);繊維収縮率13.4%、
KMnO4消費量231ppm、繊度0.38デニール(実施
例−2);繊維収縮率18%、KMnO4消費量
68ppm、繊度0.42デニール(比較例1)の繊維を
得た。これらの繊維を2.5mmに切断し、PVA繊維
状バインダーを加えずに、ビーターで離解した後
短網ヤンキー型試験抄紙機で抄紙し、130℃のヤ
ンキードライヤーで乾燥して秤量約65g/m2の紙
をつくつた。 実施例1,2の如く自己接着性があつて繊維収
縮率の適度な繊維はバインダー無しでも成紙を得
ることができ、実施例1の場合秤量63.8g/m2
乾裂断長5.4Km、実施例2の場合秤量66.1g/m2
乾裂断長6.4Kmで十分使用に耐えるものであつた。
但し実施例2の場合は繊維収縮率が高い為と思わ
れるが、ウエツトフエルト条件、湿式ウエブ水
分、プレスロール圧等を上手に調整しないと、収
縮の為に発生する薄い横筋状の亀裂が認められ
た。一方比較例1の如く自己接着性を有しながら
繊維収縮率が15%を越える場合には、バインダー
なしでも部分的にシート状物を得ることはできた
が、ヤンキー乾燥機での収縮が激しく、乾燥途中
からシート状物に横筋状の0.2〜3mmの亀裂が3
〜40cm毎に入り、やがて断紙した。このように繊
維収縮率が大きいと乾燥での収縮トラブルにより
連続抄紙が困難になり、又苦労して得たシート状
物には亀裂の入つた斑だらけのものであつて、指
紙としての機能をはたすことはできないものであ
つた。 実施例3,4、比較例2,3 重合度1750、ケン化度99.9モル%のPVAを溶
解し、芒硝浴中に常法により紡出した後、乾燥条
件、延伸条件、熱処理条件、化学処理条件等を表
1に示すように調整して、繊維収縮率9.4%、
KMnO4消費量124ppm、繊度0.73デニール(実施
例3)、繊維収縮率10.8%、KMnO4消費量
361ppm、繊度0.76デニール(実施例4)、繊維収
縮率1.6%、KMnO4消費量13ppm、繊度0.75デニ
ール(比較例2)、繊維収縮率12.2%、KMnO4
費量642ppm、繊度0.76デニール(比較例3)、の
繊維を得た。繊維長を3mmに切断し、PVA繊維
状バインダーを加えずに実施例1に準じた方法で
抄紙した。得られた結果を表−2に示す。
【表】
【表】 原料PVAや紡糸条件が実施例1,2と異なつ
ているにもかかわらず、実施例3,4の如く特定
の原糸を用いるならば、バインダー無しで使用に
耐える紙を得ることができ、その最も弱い方向の
乾裂断長、即ちCD乾裂断長が3.52Kmと高い紙強
力であつた。これに対し比較例2の如く自己接着
性を発現しにくいPVA繊維にあつてはバインダ
ー無しで成紙を得ることができないことを確認し
た。観察によると湿式ウエブは実施例3,4と全
く同様に安定に形成されるのであるが、ヤンキー
乾燥機で乾燥が進むにつれて結合力は減少し、紙
力はほとんど自重を支えることもできずに断紙し
た。部分的に得たシート状物はバインダー効果が
全無い為、息を吹くと繊維が飛散する状態で紙と
言えるものではなかつた。また自己接着性能の強
い比較例3の場合比較例2の場合とは対照的にバ
インダー無しでも繊維同志が強固に接合し、部的
にはCD乾裂断長で3〜6Kmにも達する紙力を生
み出すことができる。しかながらKMnO4消費量
500ppmを越えると繊維収縮率が高くなる傾向で
あることも手伝つて乾燥途中から横筋が入つた
り、激しくなると比較例1の如く横筋切れを発生
することもあつた。このようにして得られた紙は
透明性が増し、著しく硬くなり、取扱い性の極め
て悪い物であつた。 実施例5,6,7,8,9,10,11,12、比較例
4 重合度1750、ケン化度99.9モル%のPVAを実
施例1に準じて原液調整し、孔直径を種々変更し
カ性ソーダ50g/、芒硝300g/の凝固浴中
に吐出させ糸条形成した。この時の吐出量、バス
ドラフト条件、水洗条件、乾燥条件、延伸条件、
熱処理条件、化学処理条件等を表−3に示すよう
に調整して表−4の繊維欄に記載した自己接着性
能を有するPVA繊維(実施例5,6,7,8,
9,10,11,12)及び自己接着性能を持たない
PVA繊維(比較例4)を得た。 これらの繊維をアスペクトが350〜500になるよ
うな繊維長に切断し、製紙原とし、バインダーを
加えずに次の方法で抄紙、坪量約40g/m2
PVA繊維単独紙を作つた。即ち製紙原料を
JISP8209標準離解機で離解後、角形シートマシ
ンによりJISP8209タツピー抄紙法に準じて抄紙
した。かくして得られた湿式ウエブを2.5Kg/cm2
で60秒間プレスした後表面温度115℃のロータリ
ードライヤー(ジヤポ(株)製Auto Dryer TL−
3)で約70秒間乾燥して成紙とした。 観察結果及び裂断長を繊度の効果がわかるよう
に表4に示す。
【表】
【表】
【表】 また繊度と乾裂断長の関係を前出の第1図に示
した。図からもわかるように繊度が細くなると共
に加速度的に裂断長は大きくなる。繊度が太くな
ると繊維接合表面積の減少等により乾裂断長は低
下する。特に2デニールを越えた比較例4の場合
には抄紙性の面からも乾燥で単糸が取られ易くな
り、得られた紙は毛羽だらけであり強力も著しく
低い。実施例5,6,7,8,9は抄紙性も良く
地合も良好である。繊度が0.75デニールより小さ
くなると共に乾裂断長は急激に向上し、自己接着
性能の特徴が発揮されるようになる。然しながら
実施例10,11,12に示されるように繊度が0.3デ
ニール近傍を境として乾裂断長は低下しはじめ
る。これは該繊維の水中分散性が悪化してフロツ
ク生成により地合が乱されることによると考えら
れる。0.22デニールから0.05デニールと繊度が細
くなると共にフロツク数も増加し、乾裂断長も低
下していくが、かなり高い水準に保たれる。 実施例13、比較例5,6,7 実施例3の自己接着性能を有するPVA繊維と
1.5デニールで繊維長が5mmのレイヨン繊維の配
合率を、100部:0部(実施例13)、20部:80部
(比較例5)、5部:95部(比較例6)、0部:100
部(比較例7)と変更して実施例5のタツピー抄
紙法により混抄紙を作製した。その結果を表−5
に示す。
【表】 実施例13では全く問題なく抄紙でき裂断長も大
きいが、比較例5になると乾燥で少し毛羽立ち初
め、比較例6になると毛羽が多発する。そしてレ
イヨン100部では湿紙移行すらできない状態とな
り成紙を得ることはできなかつた。 比較例8,9、参考例1,2 実施例3の繊維に、製紙用バインダー繊維とし
てクラレ製VPB105−1×3を用い、そのバイン
ダー繊維添加率を変更して実施例1で用いた短網
ヤンキー型試験抄紙機で抄紙し、得られた紙の坪
量、緊度、裂断長、透気度、アルカリ液吸液量を
求めた。バインダー繊維添加率が0%(実施例
3)、6%(比較例8)、20%(比較例9)の結果
を表−6に示す。また参考例として比較例2で用
いた自己接着性能を有さない主体繊維にバインダ
ー繊維添加率を5%(参考例1)、20%(参考例
2)として抄紙した結果も示す。
【表】 バインダー繊維添加率が大きくなると共に紙の
緊度、裂断長、透気度は大きくなり、アルカリ液
吸液量は小さくなる。これ等の事実は大小無数に
存在する紙の多孔質細孔と空隙が、バインダーに
より閉塞されていき、紙強力は向上するが、過
抵抗は増え、液を吸蔵する空隙が減少したことを
示していると考えられる。自己接着性能を有する
PVA繊維はバインダーなしでも抄紙でき、その
紙はバインダーが添加されている従来の紙に比べ
透気度が優れ、アルカリ液吸液量が著しく改善さ
れた性能の優れた紙である。 参考例と実施例、比較例を比べるとバインダー
量が同じ場合自己接着性能のある繊維からなる紙
の方が、自己接着性能のない繊維からなる紙より
も、乾裂断長は大きく、紙強力面では有利である
ことがわかる。自己接着性能のない主体繊維はバ
インダーを使わないと紙ができないので、実施例
3にみられるような透気度が低くアルカリ液吸液
量の多い紙を得ることは難かしいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明実施例で得られた、PVA繊
維単独紙における繊度と乾裂断長の関係を示すグ
ラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 下記特性(1)、(2)および(3)を有するポリビニル
    アルコール系繊維単独から実質的になる湿式不織
    布。 (1) 1デニール当り2mgの荷重をかけて水中に浸
    漬し、1℃/1分の速度で昇温し、95℃に到達
    した時の繊維収縮率が15%以下であること、 (2) 処理剤を除去した繊維を浴比100で純水中に
    分散させ95℃で30分間浸漬したときの溶出有機
    分のKMnO4消費量が50〜500ppmであること、 (3) 繊維の太さが0.01〜2.0デニールであること、 2 ポリビニルアルコール系繊維が、水中収縮率
    が8%以下、太さが0.05〜0.8デニールである特
    許請求の範囲第1項記載の湿式不織布。
JP59074653A 1984-04-12 1984-04-12 湿式不織布 Granted JPS60224900A (ja)

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JPS51130304A (en) * 1975-05-07 1976-11-12 Denki Kagaku Kogyo Kk Process for increasing paper strength

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