JPH0536520Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、薬剤、化粧品その他の液剤を高圧ガ
スと共にボンベ内に封入し、弁の開放によつてボ
ンベ内の液剤を噴霧させるエアゾール用圧力容器
に関する。

（従来の技術） 従来、古くから使用されているエアゾール用圧
力容器は、金属製の耐圧容器本体の開口部にマウ
ンテイングキヤツプを被せ、その縁部を加締めて
固着し、そのマウンテイングキヤツプ内にハウジ
ングを挟持させ、そのハウジング内に噴出筒、弁
用ガスケツト、スプリングからなる弁機構を支持
させ、吐出筒の先端に噴出ノズルヘツドを取付け
たものが知られている。

また、合成樹脂製の容器本体を使用し、その開
口部に栓体を嵌着して一体化させ、その栓体内に
弁機構を組み込み、栓体の下端からデイプチユー
ブを垂下させると共に、必要な耐圧性を確保する
ために容器本体の内部に仕切壁を形成させた構造
のものも考え出されていた。

例えば、容器本体内に縦向きの耐圧用仕切壁を
でもつて内部を二つに縦割させた第４図イの如き
圧力容器や、第４図ロに示した如く内部を田字状
に四つに縦割させたもの、或いは第４図ハの如き
略格子状に区画させた圧力容器等が考えられてい
た。

更に、高圧ガスと目的材が封入される容器本体
と、該容器本体の上部に設けられ前記目的材の噴
出を制御する弁機構（バルブ）とを備えた噴霧式
ボンベにおいて、前記容器本体内に耐圧用仕切壁
（補強部材）を一体成形し、該耐圧用仕切壁に、
上部が前記弁機構に連通し下部が前記容器本体の
底部に向かつて開口する吸上孔を形成してなる噴
霧式ボンベがあつた（実開昭61−69598号参照）。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、前述したような金属製の耐圧容
器からなるエアゾール用圧力容器にあつては、部
品点数が多く、製品組立に多工程を要し、コスト
高となるといつた問題があるのみならず、製缶技
術上、断面丸型形状にしかできず、容器のバラエ
テイー化、特徴付け等において不満足な結果に終
つていた。

一方、耐溶剤、耐薬品性等の性能や、化粧品、
医薬部外品等の用途に対応させるため、ポリエチ
レンテレフタレート（以下、PETと略す）、ポリ
アクリロニトリル（以下、PANと略す）等を素
材とした合成樹脂製のエアゾール容器の開発が進
められていたが、PET樹脂は射出成形が困難で
ブロー成形に限定されるため、上記同様形状が自
由にならず、しかも超音波溶着性が悪いため、タ
ンク本体とバルブ部分の組立は従来通りのクリン
チ式で行わなければならず工程的メリツトがない
等の問題があつた。

更に、上記PET樹脂の欠点を解消させるPAN
樹脂を使用しての開発が進められているが、要求
される耐圧、耐熱性等の各種性能は比較的容易に
解決できるものであるが、金型構造上、圧力容器
の成形加工に余儀なくされており、また、必要な
耐圧性を確保させるための容器本体の内部構造、
例えば仕切壁の設け方等に種々な問題があるた
め、耐衝撃性（特に、低温落下）の改善が困難で
あつた。すなわち、エアゾール用圧力容器本体内
に縦向きの耐圧用仕切壁でもつて内部を二つに縦
割させた第４図イの如き容器や、第４図ロに示し
た如く内部を田字状に四つに縦割させた容器にあ
つては、仕切壁で容器の略中心部分が塞がれるた
め、栓体の下端から容器内部の中央位置へデイプ
チユーブを垂下させることができず、エアゾール
用圧力容器としては機能上、好ましいものではな
かつた。尚、この場合、デイプチユーブを容器の
中心位置よりずらすことは可能ではあるが、金型
構造上、複雑になり、自動組立をする上で蓋にな
る部分の方向性が出るため得策ではなかつた。

また、断面が第４図ハの如き略格子状に区画さ
れた容器にあつては、金型構造上、冷却水の通路
が確保できないといつた問題があつた。

他方、実開昭61−69598号公報に開示されてい
る噴霧式ボンベにあつては、前記仕切壁に吸上孔
が形成されているため、目的材の吸い上げ路の配
置が前記仕切壁によつて邪魔されることがなく、
また、常套のデイプチユーブが不要になるといつ
た利点を有するものの、前記仕切壁が前記容器本
体に一体成形されているため、前記吸上孔のみを
取り換えることができないといつた欠点を有し、
吸上孔が詰まつて噴霧できなくなつた場合にあつ
ても、そのまま容器ごと処分するしかなかつた。

しかも、前記吸上孔には前記仕切壁が連設され
ているため、例えば、所謂低温落下や容器本体に
必要以上の衝撃力等が加わつた際には、外周壁の
加圧変形に連れて前記補強部材が前記吸上孔を直
接かつ局部的に加圧することから、同吸上孔にひ
び割れや変形などが生じてしまうことが危惧され
るものであつた。

本考案はこのような問題点を鑑みてなされたも
ので、PAN樹脂で成形しても低コストで噴霧性
能及び耐衝撃性を向上させたエアゾール用圧力容
器を提供することを目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 上述の如き従来の問題点を解決し、所期の目的
を達成するため本考案の要旨とする構成は、中空
筒状に成形された合成樹脂製の容器本体と、該容
器本体の開口部に気密に一体化された上部栓体と
を有し、該上部栓体内に、一端が同栓体の頂部へ
突出するように配設された吐出筒の押し込みによ
り開閉動作される弁機構を備えると共に、前記上
部栓体より容器本体の底部に向けてデイプチユー
ブを垂下させ、前記容器本体内に縦向きの耐圧用
仕切壁を備えて複数の隔室を形成させたエアゾー
ル用圧力容器において、前記容器本体は、断面略
矩形状に成形された同本体の四隅部を対角線外方
向へ稍膨出させて各辺の外周面をそれぞれ弓状に
湾曲せしめた外周壁と、該外周壁の内部中央位置
へ設けられた断面略菱形状の中央隔室とを備える
と共に、該中央隔室の四隅部と前記外周壁の各辺
中央位置とをそれぞれ前記仕切壁にて連設し、か
つ、前記中央隔室内に前記デイプチユーブを挿着
してなるエアゾール用圧力容器に存する。

（作用） このように構成される本考案のエアゾール用圧
力容器は、前記容器本体が、断面略矩形状に成形
された同本体の四隅部を対角線外方向へ稍膨出さ
せて各辺の外周面をそれぞれ弓状に湾曲せしめた
外周壁と、該外周壁の内部中央位置へ設けられた
断面略菱形状の中央隔室とを備えると共に、該中
央隔室の四隅部と前記外周壁の各辺中央位置とを
それぞれ前記仕切壁にて連設したことによつて、
容器本体が落下した際の衝撃力は、まず、外周壁
の両側二点に分散される他、仮令、容器本体に必
要以上の衝撃力（外圧）が加わつて外周壁が加圧
変形したとしても、前記仕切壁が菱形状をなした
前記中央隔室の角部を作用点とすべく加圧して同
外圧力を二方へと分散させることとなり、また、
その際、該中央隔室が僅かながらも所謂クツシヨ
ン材となるべく弾性変形することも相俟つて、前
記衝撃力を吸収、滅減することとなる。

しかも、前記中央隔室内に前記デイプチユーブ
が挿着されることから、従来の如き前記仕切壁で
デイプチユーブが直接かつ局部的に加圧せられる
ことをも阻止することとなる。

（実施例） 次に、本考案の実施の一例を図面を参照しなが
ら説明する。

図中Ａは、本考案に係るエアゾール用圧力容器
であり、このエアゾール用圧力容器Ａは合成樹脂
材をもつて成形された有底筒状の容器本体１を有
し、この容器本体１は、断面略矩形状をした中空
の外周壁１ａと、該外周壁１ａの中空内部を縦割
して区画成形された後述する隔室１５ａ〜１５ｅ
とからなつている。

また、この外周壁１ａは、断面四隅部を対角線
外方向へ稍膨出せしめて各辺の外周面をそれぞれ
弓状に湾曲せしめた断面略〓状に成形されてお
り、その外周壁１ａの上方開口部に合成樹脂製の
上部栓体２が嵌合されている。そして、この容器
本体１と上部栓体２とは超音波溶着によつて一体
化させて両者間の耐圧性及び気密性を維持させて
いる。尚、この容器本体１を成形する合成樹脂材
にアイゾツト値（耐衝撃度−吸収エネルギー
（Ｊ）Kgｆcmを試験片の切欠き部の元の断面積で
除した値（KJ／m²）をいう）の高い材料、例え
ばポリアクリロニトリル樹脂（アイゾツト値20Kg
cm／cm）等を使用することにより、耐衝撃度、特
に落下強度に優れることとなる。

また、上部栓体２は、有底筒状をした弁室３が
一体成形され、その弁室３の底面中央に容器本体
１内に通じる透孔４が開口され、その透孔４に連
通させてデイプチユーブ５が連結されている。

上部栓体２の弁室３内には、その開口部中央よ
り先端を外方に突出させた吐出筒６が挿入されて
いる。この吐出筒６は中心に有底の吐出孔７が形
成され、その吐出孔７に通じる弁口８が内方端側
の外周面に形成された環状溝内に開口されてい
る。環状溝内にはガスケツト９が嵌合されてい
る。このガスケツト９は円盤リング状に形成さ
れ、その中心孔内面で環状の凹溝内に開口した弁
口８を閉鎖している。

更に、このガスケツト９はその外周縁部が弁室
３の内周面に形成された断部１０の上面に当接さ
れ、その上面を弁室開口部に螺嵌したガイド螺子
１１をもつて押圧し、弁室３の内面との気密性を
維持させて固定している。ガイド螺子１１は中心
に透孔が形成され、その透孔内に吐出筒６が軸方
向に摺動自在に挿通されている。また、吐出筒６
はその内方端面と弁室底面との間に介在させたス
プリング１２によつて突出方向に付勢されてい
る。

また、吐出筒６の突出端にはアクチユエータ１
３が取外し自在に嵌合されている。このアクチユ
エータ１３は噴霧ノズル１４を有し、吐出筒６の
吐出孔７から吐出させる容器本体１内からの液体
を霧状にして噴出させるようにしている。

一方、このエアゾール用圧力容器Ａの容器本体
１は、第２図に示すように、断面略矩形状をした
中空の外周壁１ａと、該外周壁１ａの内部中央位
置に縦設された断面略菱形状の中央隔室１５ａ
と、該中央隔室１５ａの四隅部と前記外周壁１ａ
の各辺中央位置とを連設させた仕切壁１６，１６
…でもつて中央隔室の外周を略田字状に区画して
なる四つの周囲隔室１５ｂ，１５ｃ，１５ｄ，１
５ｅとからなり、前記の中央隔室１５ａ及び四つ
の周囲隔室１５ｂ〜１５ｅを仕切る仕切壁１６
が、該容器本体１の外周壁１ａと一体に成形され
ている。また、容器本体１の底壁１ｂには第１図
に示すように、前記隔室１５ａ〜１５ｅに跨る大
きさの底部開口１７が形成され、この底部開口１
７に連なる仕切壁１６の底部位置に各隔室１５ａ
〜１５ｅ間を連通させる連通窓１８，１８…が開
口されている。また、底部開口１７に合成樹脂製
の底部栓体１９が嵌着され、超音波溶着により気
密に一体化されており、この底部栓体１９は透明
の合成樹脂材をもつて成形され、内部の液剤の残
量が見えるようにしている。尚、容器本体１の製
造に際しては、成形型内に上端開口側から各隔室
１５ａ〜１５ｅを成形する中子を挿入すると共に
底部開口１７側から連通窓１８，１８…を成形す
る中子を挿入し、溶融合成樹脂を注入して栓体１
９を除く全体を成形する。然る後、栓体１９を嵌
着し、超音波溶着により一体化する。

このように構成されるエアゾール用圧力容器Ａ
は、第１図に示すように吐出筒６がスプリング１
２によつて押し出された状態では、弁体を兼用し
ているガスケツト１８の内周面で弁口８が閉じら
れている。この状態からアクチユエータ１３を押
し、吐出筒６をスプリング１２に抗して押し込む
とガスケツト１８が吐出筒６の環状溝の縁によつ
て押し曲げられ、これによつて弁口８が開かれ容
器本体１内の高圧流体が吐出され、噴霧ノズル１
４で噴霧される。また、底部開口１７に連なる仕
切壁１６の底部位置に各隔室間を連通させる連通
窓１８を成形したことにより、最後の液剤までス
ムーズにデイプチユーブ１４内を押し上げられる
こととなり、デイプチユーブ１４が装着される隔
室のみの液面のみが低下してしまい、他の隔室に
ある最後の液剤がなくなるまで効率良く安定した
噴霧が得られないといつた従来の問題を解消でき
ることとなつた。しかも容器本体底部には開口１
７を設け、この開口１７に通じる配置に連通窓１
８を設けると共に栓体１９をもつて開口１７を閉
鎖した構造としたことにより、合成樹脂のモール
ド成形により容器本体１を製造することとした場
合でも仕切壁１６の下端の連通窓１８を容易に成
形できるものである。

（考案の効果） 本考案は上述の如く構成され、前記容器本体
が、断面略矩形状に成形された同本体の四隅部を
対角線外方向へ稍膨出させて各辺の外周面をそれ
ぞれ弓状に湾曲せしめた外周壁と、該外周壁の内
部中央位置へ設けられた断面略菱形状の中央隔室
とを備えると共に、該中央隔室の四隅部と前記外
周壁の各辺中央位置とをそれぞれ前記仕切壁にて
連設したことによつて、必要な耐圧性を確保する
ために容器内部に仕切壁を設けた構造のものであ
つても、同仕切壁で容器内部の略中心位置が塞が
れることがなく、前記中央隔室内にデイプチユー
ブを着脱自在に挿着することが可能となり、ま
た、容器本体が落下した際の衝撃力は、まず、外
周壁の両側二点に分散される他、仮令、容器本体
に必要以上の衝撃力（外圧）が加わつて外周壁が
加圧変形したとしても、前記仕切壁が菱形状をな
した前記中央隔室の角部を作用点とすべく加圧し
て同外圧力を二方へと分散し、また、その際、該
中央隔室が僅かながらも所謂クツシヨン材となる
べく弾性変形することも相俟つて、前記衝撃力を
吸収、減滅せしめるため、簡単な構造でありなが
らも耐衝撃性に優れたエアゾール用圧力容器を提
供できることとなつた。

しかも、斯かる中央隔室内に前記デイプチユー
ブを挿着したことによつて、前記仕切壁でデイプ
チユーブが直接かつ局部的に加圧せられることが
ないため、従来の如き、外周壁の加圧変形に連れ
てデイプチユーブが仕切壁にて加圧せられ、同デ
イプチユーブにひび割れなどが生じてしまうとい
つた危惧をも一掃できることとなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るエアゾール用圧力容器の
一実施例を示す縦断面図、第２図は第１図の−
線断面図、第３図は第１図の−線断面図、
第４図イ，ロ，ハは従来例の横断面図である。 １……容器本体、１ａ……外周壁、２……上部
栓体、３……弁室、４……透孔、５……デイプチ
ユーブ、６……吐出筒、７……吐出孔、８……弁
口、９……ガスケツト、１０……断部、１１……
ガイド螺子、１２……スプリング、１３……アク
チユエータ、１４……噴霧ノズル、１５ａ……中
央隔室、１５ｂ，１５ｃ，１５ｄ，１５ｅ……周
囲隔室、１６……仕切壁、１７……底部開口、１
８……連通窓、１９……底部栓体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 中空筒状に成形された合成樹脂製の容器本体
   と、該容器本体の開口部に気密に一体化された上
   部栓体とを有し、該上部栓体内に、一端が同栓体
   の頂部へ突出するように配設された吐出筒の押し
   込みにより開閉動作される弁機構を備えると共に
   前記上部栓体より容器本体の底部に向けてデイプ
   チユーブを垂下させ、前記容器本体内に縦向きの
   耐圧用仕切壁を備えて複数の隔室を形成させたエ
   アゾール用圧力容器において、 前記容器本体は、断面略矩形状に成形された同
   本体の四隅部を対角線外方向へ稍膨出させて各辺
   の外周面をそれぞれ弓状に湾曲せしめた外周壁
   と、該外周壁の内部中央位置へ設けられた断面略
   菱形状の中央隔室とを備えると共に、該中央隔室
   の四隅部と前記外周壁の各辺中央位置とをそれぞ
   れ前記仕切壁にて連設し、かつ、前記中央隔室内
   に前記デイプチユーブを挿着してなることを特徴
   とするエアゾール用圧力容器。