JPH0536441Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、イオントフオレーゼ用導子に関し、
特に、火傷などの懸念がなく、かつ適用時の操作
性に優れたイオントフオレーゼ用導子に関するも
のである。

〔従来の技術〕

従来、薬物を外皮より投与する方法としては、
軟膏、クリームなど、外皮に薬物を基剤とともに
塗擦する方法が採られているが、近年、イオン性
薬物を直流電流にて皮膚内に浸透させるイオン導
入療法（すなわち、イオントフオレーゼ）が脚光
を浴びつつある。

イオントフオレーゼは、皮膚深部に薬物を局所
的に投与する方法として、殺菌感染、静脈瘤生潰
瘍、ケロイド、慢性関節炎などに使用され、近年
は全身薬の投与手段としても脚光を浴びつつあ
る。

ところが、イオントフオレーゼにおいては、電
流による火傷を生起するという問題点がある。そ
の原因としては、電極金属部と皮膚との接触不
良、局部的な電流の集中などが挙げられており、
このような火傷を引き起こす電流は、1mA／cm²
以上の電流密度である。

このような問題点を克服する方法として、厚手
のフエルトを湿らせて用いる方法や、正電極の面
積を増大する方法（特開昭55−52765号公報）が
提示されている。また、逆方向の電流を一定間隔
で流す方法（特開昭55−54961号公報）が提案さ
れている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記方法においても電極金属部
と薬液含浸部材との接触不良により局部的に電流
が集中し、火傷を生ずる危険は避けられない。火
傷を防止するために電極金属部と薬液含浸部材と
の接触を十分にするために可撓性金属を用いた
り、厚手の薬液含浸部材を用いているが、操作が
煩雑になるという問題点がある。

また、現在市販されているイオントフオレーゼ
用電極パツド（導子）では、電極部としてスナツ
プ（フオツク）を用いているが、これは、外見上
は非常に良いが、連続直流発生装置または断続直
流発生装置と接触・脱離させる時に無理な力が導
子にかかるため使い難いものであつた。

本考案者らは、操作性良好で、かつ金属電極部
と薬液含浸部材との接触を確実に行え、装置末端
部の端子と容易に接続でき無理な力のかからな
い、しかもイオントフオレーゼの対象となる皮膚
部位に密着性のよいイオントフオレーゼ用導子を
開発すべく鋭意研究を重ねた結果、導電性材を不
織布などの含浸部材の一面に一体的に形成し、導
電性材と含浸部材との接触面積を可及的に大きく
することにより、良好なイオントフオレーゼ用導
子となることを見出した。

また、導電性材の上部に切り込みまたは突起部
を設けてこれを装置との接続用端子とすることに
よつて、装置への脱着時に無理な力が導子にかか
らず、しかも短時間に装置を導子に取付けること
が可能になつた。

一方、イオントフオレーゼでは、薬剤の投与量
は投与面積に比例することが知られている。この
ために、電極パツトの面積は治療上、非常に重要
である。それ故、電極パツトを患部の形状に合わ
せて自在の大きさ、形状に簡単に切断できること
が好ましいわけであるが、その際、複雑な形状で
も面積がわかる必要がある。

従つて本考案の目的は、適用部位の大きさ、形
状に合致した導子をその大方の面積に十分に把握
した上で簡単に得ることができるイオントフオレ
ーゼ用導子を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

しかして、前記目的は導子に目盛を設けること
によつて達成される。

すなわち、本考案は液体用含浸部材の一面に、
目盛を有する導電性材を一体的に形成してなるこ
とを特徴とするイオントフオレーゼ用導子に関
し、使用時に目盛を基準にして導子を所望の大き
さに簡単に切断することができる。

本考案において導電性材は、通常、含浸部材の
一面に、一体的に設けられる。ここに一体的なる
概念は、当該導電性材と含浸部材とが、通常の条
件下では容易に分離しない形状であり、両者が全
面的に接着ないし粘着（これらを接合と総称する
こともある）している場合のみならず、多くの点
にて点接合している場合をも包含するものであ
る。

当該接合は、たとえば接着剤、粘着剤を使用す
る方法などによつて達成することができる。

接着剤、粘着剤は、導電性剤と含浸部材との間
の通電をよくするために、導電性のもの（たとえ
ば、カーボングラフアイト混入アクリル粘着剤、
含水ゲル様粘着剤など）を使用することが好まし
い。非導電性のものを使用する場合には、多くの
点にて接着剤或いは粘着剤を適用して点接合と
し、導電性材と含浸部材とが可及的に大きい面積
にて直接接触していることが要求され、このよう
にしておけば導電性材と含浸部材との間の通電が
妨げられるようなことはない。

導電性材は、電流が含浸部材全体を満遍なく流
れるように電流を含浸部材全体に均一に分布させ
るため、及び出力装置との接続のための接点とし
て作用するために使用されるものであり、かかる
機能を有する材料、形状よりなるものであれば特
に制限はなく、たとえば導電性金属、具体的には
アルミニウム、銀、ニツケル、ステンレス、金、
パラジウム、銅、プラチナ、イリジウムなどが例
示され、通常は薄板状のものが使用され、また、
特に可撓性を有するものが好ましい。或いは導電
性高分子からなる導電性フイルムであつてもよ
い。

本考案において液体用含浸部材は薬物または電
解質などを含浸させるためのものであり、液体と
して薬液、電解質溶液を含浸しうるものであれば
特に限定されず、従来既知のものを使用すれば充
分である。たとえば、不織布、紙、発泡体、多孔
質膜などが例示される。

具体的に不織布としては、綿、羊毛、ジユー
ト、ナイロン66、ナイロン６、アクリル、ビスコ
ースレーヨン、セルロースアセテート、セルロー
ストリアセテート、ポリエステルなどの材料から
なるものがあり、特に綿、ビスコースレーヨン、
セルロースエステルが好ましい。

紙としては、リンター紙、パルプ紙が好まし
い。

発泡体としては、連続気泡のものが好ましく、
ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアル
コールなどが好ましい。

多孔質膜としては、セルローストリアセテー
ト、エチレンビニルアルコール、ポリアミド、ポ
リイミド、ポリプロピレンなどが例示される。

導子の人体への固定方法に関して、導子は通常
は人体に対する皮膚接触面が不織布のような粘着
性を有しない部材を用いているので、皮膚固定時
には導子の上から粘着テープなどで固定している
が、人体の治療部位に導子を確実に固定できれば
粘着テープに限らずどのようなものであつても構
わない。しかしながら、皮膚に適用することを考
慮すると、伸縮性のある粘着包帯が望ましいが、
アクリル系またはゴム系の医療用テープであれば
何でもよい。また粘着性のある含水ゲル層を予め
設けておくのもよい。

さらに、以下の実施例から明白であるが、導子
の導電性材には直流発生装置（たとえばバツテリ
ーなど）からのリード線を接続する必要があり、
そのため通常の使用時には導電性材に接続用の端
子となる導電性テープ片などを設けるが、この他
に導電性材に切り込みを設けて舌片を形成し、そ
れを端子として使用してもよく、いずれにしても
直流発生装置からのリード線を接続できる端子の
役目を果たすものであれば特に制限はない。ま
た、端子は導電性材に一体的に形成したり（たと
えば導電性材を折り畳んだひだを用いる）、予め
導電性材に設けておく必要はなく、別体としてお
き、導子を任意の大きさに切断した後に導電性材
上に貼る付けて用いることも可能である。

〔実施例〕

以下、本考案のイオントフオレーゼ用導子を図
面に基づいて具体的に説明する。

第１図は、その導子の一実施例を示し、直流発
生装置（図示せず）からのリード線を接続するた
めの端子となる１個の導電性テープ片Ｔ１を導電
性金属板（導電性材）１のほぼ中央に貼着してあ
る。導電性金属板１と含浸部材２とは、剥がれな
いように通常は導電性の接着剤３で接合されてい
る。図からも明らかように、導電性金属板１の表
面には、碁盤目状に目盛を施してある。この目盛
は太線ａを細線ｂとにより形成され、太線ａ同士
の間隔はたとえば１cm、太線ａと細線ｂとの間隔
はたとえば0.5cmに設定されている。従つて使用
時には、治療部位の面積に応じて太線ａと細線ｂ
を目安にして導子を所望の大きさに切断すればよ
いわけであり、その際に導子の大方の面積も容易
に把握できる。

この導子を実際に患部位置に固定するには、導
子を適用部位にあてがい、その上から粘着テープ
などにより固定すればよい。また、たとえば粘着
テープによつて導子の一端寄りの部分を仮着した
後に、含浸部材に薬液や電解質液を供給し、その
後にさらに粘着テープなどで他端寄りの部分を固
定でき、この場合は導子と薬液などとを別々に保
存しておくことが可能である。

第２図は別の実施例を示し、導電性金属板１の
太線ａと細線ｂを基準として所定の大きさに切断
し、導電性テープ片Ｔ１の代わりに導電性金属板
１を三箇所で一部を切り込んで突起端子Ｔ２とし
たものである。このように目盛を基準にすれば、
任意の大きさの導子をそのおおよその面積を把握
した上で簡単に得ることができる。さらにこの場
合も前述の実施例と同様に、導子の一部を仮着後
に薬液などを含浸部材に供給することも可能であ
る。

第３図に第１図に示したイオントフオレーゼ用
導子を腕に固定する場合を示す。治療部位として
瘢痕１０に当該導子Ｄをあてがい、これを粘着テ
ープＭによつて固定する。通電用として直流電源
１１（たとえば電圧が45Vのバツテリー）を使用
し、負電極１２を導子Ｄの導電性テープ片Ｔ１に
接続し、正電極１３を瘢痕１０に近接する部位に
粘着した生理食塩水を含浸させた別の導子１４の
端子T′に接続する。なお、正電極１３を接続す
る別の導子１４は、本考案の導子を使用すればよ
く、その大きさは治療部位より大きい面積である
ことが好ましく、生理食塩水は含浸部材に含浸さ
せてある。また直流電源１１の負電極１２に至る
リード線にはミリ電流計１５と電位差計１６を接
続してある。これにより、陰極側からアニオン
（陰イオン）が、陽極側からカチオン（陽イオン）
が皮膚または粘膜を通して体内に導入され、治療
が促進される。

〔考案の効果〕

以上説明した如く本考案のイオントフオレーゼ
用導子は、薬液または電解質液などの液体を含浸
させた含浸部材に接合させた導電性材に目盛を施
してあるから、この目盛を基準にすれば、治療部
位に応じて大概の面積を把握した上で容易に所望
の大きさの導子を得ることができるという効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のイオントフオレーゼ用導子の
一実施例の斜視図、第２図は別の実施例の斜視
図、第３図は本考案のイオントフオレーゼ用導子
の適用例を示す概略説明図である。 １……導電性金属板、２……含浸部材、３……
接着剤、Ｔ１……導電性テープ片、Ｔ２……突起
端子、ａ……太線、ｂ……細線、Ｍ……粘着テー
プ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 液体用含浸部材の一面に、目盛を有する導電
   性材を一体的に形成してなることを特徴とする
   イオントフオレーゼ用導子。 (2) 前記目盛を有する導電性材に、リード線を接
   続するための端子を設けてあることを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第(1)項記載のイオン
   トフオレーゼ用導子。 (3) 前記液体が薬液または電解質液であることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第(1)項記載
   のイオントフオレーゼ用導子。