JPH0536346U - パラフインブロツク用冷却板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】皮膜５の膜厚の管理を容易且つ確実にして、パ
ラフィンブロックに亀裂が生じるのを防止する。 【構成】冷却管４により冷却板本体３を冷やし、この冷
却板本体３の上面に載せられた型箱内のパラフィンを冷
却固化する。冷却板本体３の表面には、合成樹脂製フィ
ルムを貼着する事で、皮膜５を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案に関するパラフィンブロック用冷却板は、生物組織片（以下、試料と する。）を包埋したパラフィンブロックを迅速に冷却する為の冷却器に組み込み 、使用時には上記試料を包埋したパラフィンブロックを、容器ごと載置する。

【０００２】

【従来の技術】

患者の病変組織等の試料を顕微鏡検査する為に、これをパラフィンで包んで固 定してから、この試料をパラフィンと共に薄切してガラス板に貼着し、パラフィ ンを除く脱脂作業を行なってから試料を染色する染色作業を行ない、更にこの試 料の上にカバーガラスを重ねて顕微鏡標本を作る作業が行なわれている。

【０００３】 この一連の顕微鏡標本製作作業の中のパラフィン包埋は、金属製、或は合成樹 脂製の型箱の中に試料を入れてから、この型箱内に溶融パラフィンを注入し、更 にこのパラフィンを型箱内で固まらせる事により行なっている。この様なパラフ ィンによる包埋作業を迅速に行なう為に従来から、図１に示す様な卓上型の冷却 器を使用して、パラフィン固化を迅速に行なわせる様にしている。

【０００４】 この冷却器は、前部に水平に設けた冷却板１の下面に、冷凍機のエバポレータ である冷却管を添設し、この冷却管に後部のケース２内に設けた冷凍機本体から 冷媒を送り込んで、上記冷却板１を冷却する様に構成している。パラフィンによ る包埋作業を行なう際には、試料並びに溶融パラフィンを入れた型箱を上記冷却 板１に載せて冷却し、パラフィンを迅速に固化させる。

【０００５】 冷却板１は、図２に示す様に、アルミニウム等の伝熱性の良好な金属により造 られた、１cm程度の厚い冷却板本体３の下面に冷却管４を添設し、冷却板本体３ の表面及び側面にナイロン、ポリ四弗化エチレン樹脂（ＰＴＦＥ）等の皮膜５を 、塗装により形成している。この皮膜５は、０．２mm程度の厚さを有するもので 、上記冷却板本体３表面の体裁を整えると共に、冷却板本体３と上記型箱との間 の伝熱性を調整して、この型箱内に入れられたパラフィンに亀裂が生じるのを防 止する役目を有する。

【０００６】 即ち、冷却器の運転時に、上記冷却板本体３の温度は−５℃〜−１０℃程度に なるが、この冷却板本体３と上記型箱内のパラフィンとの間の熱交換効率が良過 ぎた場合、このパラフィンの一部に、試料との境界部分で亀裂が発生し易くなる 。内部に亀裂が発生したパラフィンは崩れ易く、包埋作業に続いて行なわれる薄 切作業を行ないにくくなる為、上記皮膜５により熱交換効率を若干低下させて、 亀裂の発生を防止している。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上述の様に構成される冷却器に組み込まれた、従来のパラフィンブ ロック用冷却板の場合、冷却板本体３の表面にナイロンやＰＴＦＥを塗装する事 で、皮膜５を形成していた為、この皮膜５の厚さ（膜厚）を所望値に規制する事 が難しく、例えば膜厚を０．２mm程度にしたい場合でも、０．２〜０．５mm程度 の間でばらつき、しかも１枚の冷却板本体３の表面でも、場所によって膜厚が異 なる事が避けられなかった。

【０００８】 又、使用する型箱の材質（金属であるか合成樹脂であるか）、その大きさ、試 料の種類によって、冷却板本体３と型箱との間の伝熱性を調節したい場合もある が、従来のパラフィンブロック用冷却板の場合、完成後に於いて冷却板本体３表 面の皮膜５の膜厚を変える事は出来ず、この様な要望に対処する事は出来なかっ た。

【０００９】 本考案のパラフィンブロック用冷却板は、この様な事情に鑑みて考案されたも のである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】 本考案のパラフィンブロック用冷却板は、前述した従来のパラフィンブロック 用冷却板と同様、図２に示す様に、水平方向に設けられた冷却板本体３と、この 冷却板本体３の下面に添設された冷却管４と、上記冷却板本体３の少なくとも上 面を覆った皮膜５とから構成される。

【００１１】 更に、本考案のパラフィンブロック用冷却板に於いては、上記皮膜５を、ポリ エチレンフィルム、ナイロンフィルム、ＰＴＦＥフィルム等の合成樹脂製のフィ ルムを貼着する事により形成した事を特徴としている。この様な合成樹脂製フィ ルムを上記冷却板本体３の表面に貼着する作業は、接着剤を使用して接着する他 、溶着によっても行なえる。例えば、基材を持たない両面接着剤により上記合成 樹脂製フィルムと冷却板本体３とを接着する事は、作業が容易で、しかも接着剤 層の厚さを均一に、しかも極薄に管理出来る事から、好ましく採用出来る。

【００１２】 又、膜厚としては、例えば運転時に於ける冷却板本体３の温度が−５℃で、合 成樹脂製フィルムとしてポリエチレンフィルムを使用した場合には０．５mm、同 じ条件で運転時の温度を−１０℃とした場合には１．０mmとするのが、一般的な 型箱で一般的な試料の包埋処理を行なう上で好ましい。

【００１３】

【作用】

以上に述べた様に構成される本考案のパラフィンブロック用冷却板は、冷却板 本体３の表面に膜厚の均一な合成樹脂製フィルムを貼着する事で、この冷却板本 体３の表面に皮膜５を形成するので、この皮膜５の膜厚を所望値通りに、しかも 均一に出来る。

【００１４】 又、既に貼着している合成樹脂製フィルムの表面に更に新たな合成樹脂製フィ ルムを貼着する事により、後から上記皮膜５の膜厚を大きくする事が可能となる 為、使用状態に応じて最適の膜厚を容易に得られる。

【００１５】

【考案の効果】 本考案のパラフィンブロック用冷却板は、以上に述べた通り構成され作用する 為、冷却板本体に載置した型箱内のパラフィンを最適な条件の下で冷却出来て、 このパラフィンに亀裂が発生するのを確実に防止出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の対象となるパラフィンブロック用冷却
板を組み込んだ冷却器の斜視図。

【図２】本考案の対象となるパラフィンブロック用冷却
板の縦断面図。

【符合の説明】

１ 冷却板 ２ ケース ３ 冷却板本体 ４ 冷却管 ５ 皮膜

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水平方向に設けられた冷却板本体と、この冷却板本体の
   下面に添設された冷却管と、上記冷却板本体の少なくと
   も上面を覆った皮膜とから成るパラフィンブロック用冷
   却板に於いて、上記皮膜を、合成樹脂製のフィルムを貼
   着する事により形成する事を特徴とするパラフィンブロ
   ック用冷却板。