JPH0536089Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はボールジヨイントのシールの構造に関
する。

（従来の技術） 運転室全体が前方に回動し得るチルトキヤブ形
の運転室は前側取付部をヒンジ機構により、後側
取付部をフツクによりシヤーシフレームに固定す
るように構成され、普通、運転室はその自重とバ
ランスするばね力を有するトーシヨンバーばね
や、円筒コイルばねをチルト時の補助装置として
使用することにより１人の人力で容易にチルトで
きるようになつている。また、大型トラツクの場
合には運転室を油圧シリンダ（キヤブチルトシリ
ンダ）でチルトさせるようにして、チルト時に人
力を必要とせず、且つ運転室のチルト角を大きく
してオーバセンタのチルトを可能とし、重整備性
の向上を図るようにしている。

かかるチルトシリンダはロツドの先端を運転室
の底部に、シリンダボトムをシヤーシフレームに
夫々ボールジヨイントを介して回動及び揺動可能
に軸支されている。このボールジヨイントによる
取付は第２図に示すように、一端をシヤーシフレ
ームに固着されたピン１とチルトキヤブシリンダ
２のボトムに穿設された軸孔２ａとの間にボール
ジヨイント３を介在させ、当該ボールジヨイント
３の両側にシール部材４，４を介してサイドワツ
シヤ５，５を配設し、ワツシヤ６を介してナツト
７を螺着し、ピン１にシリンダ２のボトムを回動
及び揺動可能に軸支し、且つボールジヨイント３
の揺動部分への塵埃の侵入を防止するようしにし
ている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記構造のボールジヨイント３
の取付構造においては、シール部材４，４とサイ
ドワツシヤ５，５との間に間隙が発生し易く、内
部に充填したグリースの漏出を来たし、また、当
該間隙から塵埃が内部に侵入してボールジヨイン
ト３の摺動部分の摩耗を促進し、耐久性が低下す
る等の問題がある。

本考案は上述の問題点を解決するためになされ
たもので、ボールジヨイントの両側に配設される
サイドワツシヤと当該ボールジヨイントの端面と
の間のシール性の向上を図るようにしたボールジ
ヨイントのシール構造を提供することを目的とす
る。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案によれば、回
動及び揺動可能なボールジヨイントの両側に夫々
配置されるサイドワツシヤの当該ボールジヨイン
トの端面と対向する端面に、弾性部材により形成
され前記ボールジヨイントの端面に先端が圧接す
るダストリツプを同心的に２重に固着すると共
に、これらの２つのダストリツプの間に弾性部材
により形成され前記ボールジヨイントの揺動時に
前記サイドワツシヤと前記ボールジヨイントに支
持される部材との干渉を防止する環状のストツパ
を固着した構造としたものである。

（作用） サイドワツシヤに同心的に設けた２つのダスト
リツプにより当該サイドワツシヤとボールジヨイ
ントの端面との間をシールする。これによりシー
ル性が向上し、前記ボールジヨイントの摺動部分
に充填されたグリースの漏出が防止される。更
に、ストツパによりボールジヨイントの揺動に起
因するサイドワツシヤと当該ボールジヨイントに
より支持される部材との干渉を防止する。

（実施例） 以下本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳
述する。尚、第２図と同一部材には同一の符号を
付してある。

第１図においてシリンダ２はボトム側に穿設さ
れた軸孔２ａをシヤーシフレーム（図示せず）に
一端を固設されたピン１にボールジヨイント３を
介して回動及び揺動可能に軸支されている。この
ボールジヨイント３はインナボール３ａをピン１
に外嵌され、アウタリング３ｂをシリンダ２の軸
孔２ａに内嵌されてこれら両者間に介在されてい
る。このボールジヨイント３のインナボール３ａ
の幅はアウタリング３ｂの幅よりも広く設定され
ている。

サイドワツシヤ１０，１０は夫々中央の孔を介
してピン１に嵌挿されてボールジヨイント３の両
側に配設され、その外径はシリンダ２の孔２ａよ
りも僅かに大径をなし、且つ周縁を一側（外側）
に全周に亘り略直角に折曲されて形成形成されて
いる。このサイドワツシヤ１０は内面に２つの環
状のダストリツプ１１，１２を同心状に設けら
れ、一方のダストリツプ１１は基端の外径をサイ
ドワツシヤ１０の半径の略1/2程度に設定され、
先端を前記基端よりも僅かに大径且つ薄肉とされ
ている。このダストリツプ１１の先端は図示のよ
うにボールジヨイント３のアウタリング３ｂの端
面周縁に圧接可能とされる。

他方のダストリツプ１２は基端の外径をサイド
ワツシヤ１０の外径よりも僅かに小径とされ、先
端を前記基端よりも僅かに大径且つ薄肉とされて
いる。このダストリツプ１２の先端は図示のよう
にシリンダ２の軸孔２ａの開口端周縁に圧接可能
とされる。更に、このタストリツプ１２の基端に
は半径方向内方に環状のストツパ１３をフランジ
状に一体に形成されている。このストツパ１３は
その肉厚をサイドワツシヤ１０の端面とシリンダ
２の軸孔２ａの開口端の端面との間の間隔よりも
小さい適宜の寸法に設定され、当該軸孔２ａの開
口端周縁に当接可能とされている。

これらの各ダストリツプ１１，１２及びストツ
バ１３は弾性部材例えば、耐油性を有するゴム部
材により形成され、サイドワツシヤ１０の端面に
同心的に配置され、且つ各基端及びストツパ１３
の端面を例えば、焼付けにより一体的に強固に固
着される。このようにしてサイドワツシヤ１０，
１０の各端面にダストリツプ１１，１２及びスト
ツパ１３を形成する。そして、ボールジヨイント
３と、両側の各サイドワツシヤ１０，１０と、各
ダストリツプ１１，１１との間にグリース１５を
充填する。

以下に作用を説明する。

ボールジヨイント３を両側から挟む各サイドワ
ツシヤ１０，１０の内側の各ダストリツプ１１，
１１はその弾性により先端をアウタリング３ｂの
端面に圧接し、外側の各ダストリツプ１２，１２
はその先端を弾性によりシリンダ２の孔２ａの開
口端面に圧接する。これらの各ダストリツプ１
１，１２はボールジヨイント３のアウタリング３
ｂの揺動に応じて伸縮して良好に圧接する。この
ように２重にダストリツプ１１，１２を設けるこ
とによりシール性が向上し、グリースの漏出が良
好に防止される。

また、各サイドワツシヤ１０，１０は前記揺動
時に夫々ストツパ１３，１３を介してシリンダ２
の孔２ａの開口端面に弾性的に圧接するためにシ
リンダ２とサイドワツシヤ１０の接触に起因する
異音を防止することができる。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、回動及び
揺動可能なボールジヨイントの両側に夫々配置さ
れるサイドワツシヤの当該ボールジヨイントの端
面と対向する端面に、弾性部材により形成され前
記ボールジヨイントの端面に先端が圧接するダス
トリツプを同心的に２重に固着すると共に、これ
らの２つのダストリツプの間に弾性部材により形
成され前記ボールジヨイントの揺動時に前記サイ
ドワツシヤと前記ボールジヨイントに支持される
部材との干渉を防止する環状のストツパを固着し
たので、前記ボールジヨイントのインナボールと
アウタリングのガタツキに起因する異音を防止す
ることができると共に前記ストツパによりサイド
ワツシヤと被支持部材との接触に起因する異音を
防止することができ、更に、２枚のダストリツプ
により前記ボールジヨイントとサイドワツシヤと
の間のシール性が大幅に向上し、注入せるグリー
スの漏出を良好に防止することができ長期間無給
油で使用することが可能となる。また、前記シー
ル性の向上に伴い前記ボールジヨイントの摺動部
分への塵埃の侵入を阻止することができ、当該ボ
ールジヨイントの耐久性の向上を図ることができ
る等の優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るボールジヨイントのシー
ル構造の一実施例を示す要部拡大断面図、第２図
は従来のボールジヨイントの断面図である。 １……ピン、２……シリンダ、３……ボールジ
ヨイント、６……ワツシヤ、７……ナツト、１０
……サイドワツシヤ、１１，１２……ダストリツ
プ、１３……ストツパ、１５……グリース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回動及び揺動可能なボールジヨイントの両側に
   夫々配置されるサイドワツシヤの当該ボールジヨ
   イントの端面と対向する端面に、弾性部材により
   形成され前記ボールジヨイントの端面に先端が圧
   接するダストリツプを同心的に２重に固着すると
   共に、これらの２つのダストリツプの間に弾性部
   材により形成され前記ボールジヨイントの揺動時
   に前記サイドワツシヤと前記ボールジヨイントに
   支持される部材との干渉を防止する環状のストツ
   パを固着したことを特徴とするボールジヨイント
   のシール構造。