JPH0535903Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案はベビーカーに関するものであり、特に
シヨツピングを兼用できるベビーカーに関するも
のである。

〔従来技術とその問題点〕

幼児を乗せて運搬するベビーカーは各種構造の
ものが知られている。

それらは、幼児を載せる座床板と背当て板との
関係が、座つた状態から寝かせた状態まで自由に
その関係角度を変更できるようにした所謂リクラ
イニング機構付きのもの等として広く知られ、ま
たベビーカーを移動させる手押し機構も、手押し
杆が幼児の背面に起立して背面側から押すように
したものや、幼児と対面する側に起立させて幼児
と対面しながら押すようにしたものなど各種のも
のが知られている。

しかしながら、これら従来のベビーカーは主た
る目的が幼児の運搬であるため、荷物を収納して
運ぶことができず、また座床部の床下等に付属す
る小物入れもその名称が示す通りあくまでも「小
物入れ」に過ぎず、バツゲージスペースとしては
不十分な機能しか有していないため、シヨツピン
グカーとして利用することは困難であつた。

またシヨツピングカー専用のものとして、物品
収納部の下に、二つの車輪を取付け、この二輪車
に引き手を付けたものや、車輪間隔を比較的狭め
たコンパクトな四輪車形態とし、これに前記と同
様の引き手を付けたカート形式のものなどが知ら
れるが、専ら物品の運搬を目的としているため乗
用機能は全く具えていなかつた。

これらの問題に対応するものとして、ベビーカ
ー本体の下面後方に、比較的大きい容量を持つた
物品収納体を吊り下げられるように構成したもの
が本願出願人によつて開発されたが（実開昭63−
8158号）この構造では、ベビーカー本体の下面後
方に吊り下げた物品収容体の底部下面を単にステ
ツプ板に載せるだけであつたり、或いは、後脚杆
の下端部の内側に設けた支承突起上に載せるとい
う程度のものであつたため物品収納体の底面が不
安定であり、ベビーカーを移動させる時に前記物
品収納体が揺れ動き易い欠点のあることが指摘さ
れていた。

〔考案の目的〕

本考案は上記の事情に鑑みて為されたものであ
り、ベビーカー本来の用法ができることは勿論の
こと、幼児の運搬と同時にシヨツピングにより買
い込んだ大量の物品の収納及び運搬も同時に行え
るようにし、しかも、物品収納後の物品収納部は
使用時に極めて安定した状態でベビーカー本体に
係止されるよう構成したシヨツピングカーを兼用
するベビーカーを提供せんとするものである。

また本考案の他の目的は、物品を収納する必要
のない時は、物品収納部を極めてコンパクトに折
り畳み、ベビーカー本来の機能部分だけを使用で
きるよう構成したシヨツピングカーを兼用するベ
ビーカーを提供しようとするものである。

〔考案の要点〕

本考案は上端部を肘掛け杆の先端にそれぞれ枢
着した前脚杆と後脚杆相互の間隔を側面八字状に
展開できるよう構成し、後脚杆の中間部から上方
に手押し杆を起立させ、前記前脚杆と後脚杆の間
に座床板を取付け、座床板の後端に背当て板を側
面Ｌ字状に起立させてなるベビーカーにおいて、
座床板の下面後方に、上面を広い開口面とすると
ともに折り畳み及び起伏を自在に行えるよう構成
した角底状の物品収納体の上面先端部をブラケツ
トを介して吊り下げ、物品収納体の背面下端には
係止具を取付け、ベビーカーのステツプ板には前
記係止具を嵌合させる嵌合孔を穿設し、背当て板
の背面上方には前記係止具を係止させる係止フツ
クを取付けてなるシヨツピングカーを兼用するベ
ビーカーを考案の要点としている。

〔実施例〕

以下に本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。

１は前脚杆、２は後脚杆であり、二つの脚杆１
及び２は上端部において肘掛け杆３の先端に枢着
し、折り畳み操作に伴つて二本の脚杆１及び２相
互の間隔が側面八字状に展開できるよう構成して
いる。

４は、正面コ字状に形成した手押し杆であり、
その基端部を折り畳み操作板５の先端に枢着して
いる。

折り畳み操作板５は、側面形状をほぼＬ字状に
形成しており、後脚杆２と平行させて取付けた下
端部を後脚杆２に軸着するとともに、手押し杆４
の下端部を軸着した先端部が後脚杆２の軸杆背面
（長さ方向に沿つた軸杆の上面）に平行して当接
するようにしている。

また折り畳み操作板５の先端には、手押し杆４
の内側に位置し、手押し杆４と平行した状態で肘
掛け杆３の後端部を支承する支承杆３１の下端部
を枢着している。

支承杆３１の上端には肘掛け杆３の基端部が枢
着されている。

折り畳み操作板５は、ベビーカーを折り畳み操
作する時に、下端軸着部を支点として後脚杆２の
下端方向に反転するように構成されている。

６は、両側部を前脚杆１及び後脚杆２に差し渡
して取付けた座床板であり、この座床板６の後端
部には、硬質の合成樹脂等によつて形成した背当
て板７が側面Ｌ字状をなすよう起伏自在に枢着さ
れている。

６１は、背当て板７の傾斜角度を調整するため
背当て板７の背面を横切るように差し渡した係止
杆であり、その中間部分が、傾斜角度調整板７１
に形成した所定の係止位置（図示しない）に選択
的に係止することにより背当て板７の傾斜角度が
決定されるようにしている。

なお、ベビーカー本体の詳細な構造は本考案に
取つて必須のものではなく、座床板とその後端部
に背当て板を側面Ｌ字状に取付けた構造体がベビ
ーカー本体に取付けられたものであればその他の
構造はどのような構造であつても差し支えない。

８は、キヤンバス布等の比較的硬質の布帛、或
いはメツシユ地等の布帛を用いて構成した物品収
納体であり、上面を開口した深い箱状の容体とし
て構成している。

物品収納体８の上端開口部には、開口部の形状
を維持するためのコ字状の枠体８１が取付けられ
ており、この枠体８１の両端部が座床板６の後端
部から吊り下げられたブラケツト７２に起伏自在
に枢着されている。

物品収納体８の底部には、深い箱状に形成した
容器の形状を有効に保持するため、及び、係止具
９を取付けるのに便利とするために、保形性を具
えた適宜の厚さ及び重量を有する底板８２を取付
けている。

物品収納体８の背面下端に取り付けた係止具９
は硬質の合成樹脂を用いて形成するものであり、
第１図及び第２図に詳細に例示するように、物品
収納体８の底板８２に後端下面に取付ける固定板
９１の後端部に開放板９２を側面Ｌ字状に起立形
成するとともに、Ｌ字状の屈曲部に近接する固定
板９１の下面には、後脚杆２，２に差し渡したス
テツプ板１０に形成した嵌合孔１１に嵌合させる
ための係止突起９３を突設している。

また、開放板９２の先端には背当て板７の背面
に取付けた係止フツク１２を嵌合させるための嵌
合孔９４を横長に裂設している。

なお、実施例では係止フツク１２が背当て板７
の背面に取付けた傾斜角度調整板７１に取付ける
よう構成しているがこの構造に限定されるもので
はない。

また、背当て板７の構造も図示例示のものに限
定されるものではなく、例えば例示の硬質合成樹
脂製のものに代えて、上記例示の先願考案（実開
昭63−8158号）に示されるような布帛製の背当て
部とすることも自由である、この場合には布帛製
の背当て部の背面適宜位置に係止フツク１２を取
付けることも可能である。

〔考案の作用〕

本考案のベビーカーは、幼児の運搬と荷物の収
容搬送を同時に行いたい時、或いは荷物だけを単
独で搬送したい時には、第１図例示のように、物
品収納体８の上面開口部を開放した状態に組み立
てることで簡単にその目的を達成できる。

特に本考案は、物品収納体８の底板８２の後端
下面に、固定板９１の後端部に開放板９２を側面
Ｌ字状に起立形成するとともに、Ｌ字状の屈曲部
に近接する固定板９１の下面には、ステツプ板１
０に形成した嵌合孔１１に嵌合させるための係止
突起９３を突設した係止具９を取付けたので、係
止突起９３を嵌合孔１１に嵌合させた物品収納体
８は揺れ動くことなく常に安定した使用状態を維
持でき、従来構造のものでは得ることができない
優れた効果を発揮できる。

また、荷物の収容を必要としない場合には、底
板８２の後端部に取付けた係止具９の係止突起９
３とステツプ板１０の嵌合孔１１との嵌合を開放
し、底板８２を枠杆８１方向に縮めながら折り畳
み、若しくは、折り畳み操作を行うことなく底板
８２後端に取付けた係止具９を背当て板７方向に
引き上げればこの引き上げ操作に連動して物品収
納体８全体が薄く圧偏されて折り畳まれる。

この状態で係止具９の開放板９２に形成した嵌
合孔９４に、背当て板７の背面に取付け形成した
係止フツク１２を挿入係止させれば物品収納体８
は薄く圧偏された状態で背当て板７の背面にコン
パクトに折り畳み収納を行うことができる。（第
２図ａ参照） 更にまた、折り畳んだ状態にある物品収納体８
を開放するには、前記の操作と逆の操作、即ち、
閉止状態にある係止具９の開放板９２に形成した
横長の嵌合溝９４と係止フツク１２との係合を開
放するだけで、物品収納体８は自己の重量により
下方に垂れ下り深い角底状の形状を瞬時に形成
し、物品収納体８の底板８２の下面先端に取付け
た係止具９の係止突起９３をステツプ板１０に設
けた嵌合孔１１に嵌挿させることによつて前記し
た安定的は吊り下げを行える。

更に、折り畳み状態にあるベビーカー本体を第
３図例示のように折り畳むことも可能でありこれ
によつて全体は極めてコンパクトなものとするこ
とができる。

〔考案の効果〕

上記のように構成した本考案の効果は以下のと
おりである。

(1) 座床板６の下面後方に、上面を広い開口面と
するとともに折り畳み及び起伏を自在に行える
よう構成した角底状の物品収納体８の上面先端
部をブラケツト７２を介して吊り下げ、物品収
納体８の背面下端には係止具９を取付け、ベビ
ーカーのステツプ板１０には前記係止具を嵌合
させる嵌合孔１１を穿設し、背当て板７の背面
上方には前記係止具９を係止させる係止用のフ
ツク１２を取付けた構成としたので、物品収納
体８を使用している時は、係止具９がステツプ
板１０の嵌合孔１１に嵌合して吊り下げ状態を
正確に維持し、また、物品収納体８を使用しな
い時は、係止具９を背当て板７の背面上方に取
付けた係止フツク１２と係合させることにより
コンパクトに折り畳み収納できる優れた効果が
ある。

(2) 座床板６の後端下面から後脚杆２の上部に至
る広い空間部分のすべてを物品収納体８の占有
スペースとして利用できるようになり、極めて
大きい開口面を有する物品収納体８を効果的に
形成することが可能となつた。

(3) 座床板６に幼児を乗せたままで同時に大量の
荷物を運搬することができるようになつた。

(4) 幼児の着座と移送及び荷物の搬送の二つの機
能がどちらの機能も損われることなく有効に発
揮でき、従来のベビーカーでは期待することの
できなかつた優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すものであり、第１図
ａはベビーカーの使用時において物品収納体を開
いた状態で示す斜視図、第１図ｂは同上図におい
て円で囲んだ部分を示す拡大斜視図、第２図ａは
ベビーカーの使用時において物品収納体を折り畳
んだ状態で示す斜視図、第２図ｂは同上図におい
て円で囲んだ部分を示す拡大斜視図、第３図は物
品収納体を折り畳み且つベビーカー全体を折り畳
んで示す斜視図である。 １……前脚杆、２……後脚杆、３……肘掛け
杆、３１……支承杆、４……手押し杆、５……折
り畳み操作板、６……座床板、７……背当て板、
７１……傾斜角度調整板、７２……ブラケツト、
８……物品収納体、８１……枠体、８２……底
板、９……係止具、９１……固定板、９２……開
放板、９３……係止突起、９４……嵌合裂溝、１
０……ステツプ板、１１……嵌合孔、１２……係
止フツク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上端部を肘掛け杆の先端にそれぞれ枢着した
   前脚杆と後脚杆相互の間隔を側面八字状に展開
   できるよう構成し、後脚杆の中間部から上方に
   手押し杆を起立させ、前記前脚杆と後脚杆の間
   に座床板を取付け、座床板の後端に背当て板を
   側面Ｌ字状に起立させてなるベビーカーにおい
   て、座床板の下面後方に、上面を広い開口面と
   するとともに折り畳み及び起伏を自在に行える
   よう構成した角底状の物品収納体の上面先端部
   をブラケツトを介して吊り下げ、物品収納体の
   背面下端には係止具を取付け、ベビーカーのス
   テツプ板には前記係止具を嵌合させる嵌合孔を
   穿設し、背当て板の面上方には前記係止具を係
   止させる係止フツクを取付けてなるシヨツピン
   グカーを兼用するベビーカー。 (2) 係止具が固定板と開放板とによつて側面Ｌ字
   状を呈するように形成され、固定板の先端裏面
   には係止突起が突出形成され、開放板の先端に
   は、背当て板の背面上端に取付けた係止フツク
   の先端部を嵌合させるための嵌合孔が穿設され
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載のシヨツ
   ピングカーを兼用するベビーカー。