JP2541442Y2 - ショッピングカーを兼用するベビーカー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、座板の下面に物品収納用の篭を摺動及び折
り畳み自在に取付けたショッピングカーを兼用するベビ
ーカーに関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

幼児を乗せて運搬をする所謂ベビーカーは各種の構造
のものが知られている。それらは、幼児を乗せる座床部
分と背当て部分との関係角度が、幼児の着座状態から臥
床状態までを自由に変更できるようにしたフルリクライ
ニング機構付きのもの等として広く知られており、ま
た、ベビーカーを移動させる手押し機構も、手押し杆が
幼児の背面に位置して背面側から押すようにしたもの
や、或いは、手押し杆を幼児と対面する側に位置させ幼
児と対面しながら押すようにしたものなど各種のものが
知られている。

しかしながら、これら公知のベビーカーは主たる目的
が幼児の運搬であるため荷物を乗せて運搬する機構が効
果的に形成されていなかった。

即ち従来のベビーカーでは、ベビーカー座床板の下面
に、篭のような小型の物品収容体を取付けることが行わ
れているが、これらに取付けられた公知の物品収容体
は、ベビーカーの折り畳み機構に関連する制限、或いは
ベビーカーの取扱等に関連する機構的な制限のため篭等
の物品収容体を座板の裏面直下（投影面）に取付けなけ
ればならなかった。

上記の物品収容体はその構造が比較的浅い皿状に形成
されている場合はともかく、物品収容体の収容量を増や
すため深さの深い収容体として構成されているものの場
合は、座床板の裏面と物品収容体の上面開口面との距離
が少なくなってしまうため、物品を収容する時は、座床
板と開口面との間に形成される間隔の少ない隙間から品
物を挿入するという操作を伴うこととなり、物品収容体
の開口面全面を有効に利用することができないという欠
点を有していた。

上記の問題を解決する手段として、物品収容体の開口
面を座床板の下面よりも後方にずらして位置させること
で、大きな開口面を形成できるようにしたショッピング
カーを兼用するベビーカーが本願出願人によって開発、
考案されたが、この場合にも物品収容体がそのままの状
態で折り畳まれるよう固定されていたためにベビーカー
の背当て部背面側に嵩張った状態で折り畳まなければな
らないという不便さを有していた。

〔考案の目的〕

本考案は上記した事情に鑑み、これに対処しようとす
るものであり、ベビーカーとして幼児の運搬に供するこ
とができるのは勿論のこと、幼児の運搬と同時にショッ
ピングによって買い込んだ多量の物品の収納運搬も並行
して行えるようにしたショッピングカーを兼用するベビ
ーカーを提供せんとするものである。

また本考案の他の目的は、座床板の下面に取付けた物
品収容体を、使用時には座床板の後方部位まで摺動さ
せ、これにより物品収容体の上面に形成した開口面の全
面を効果的に使用できるようにし、また、不使用時には
物品収容体を座床板の下面に移動復帰させて収納するこ
とによりベビーカー本体を極めてコンパクトに折り畳み
収納できるようにしたショッピングカーを兼用するベビ
ーカーを提供しようとするものである。

〔考案の要点〕

本考案は、平面コ字状の枠杆にネットを用いて形成す
るとともに底板を有する袋部を吊り下げて上面を開口し
た物品収容体を有するショッピングカーを兼用するベビ
ーカーにおいて、前脚杆及び後脚杆に差し渡すように取
り付けた座床部の下面両側にガイドレールを設け、前記
枠杆の両端部に回転自在に取り付けた滑車を前記ガイド
レールに形成した摺動溝に嵌合させ、枢軸を介して内側
に折り畳み可能とした保形枠杆により前記枠杆と前記底
板とを連結し、一方端部が前記枢軸の枢着部に連結され
他端部は前記枠杆の内側中央部に設けたガイドピン及び
前記枠杆の先端部近傍に設けたガイドピンの二つの支点
を順次通過したのち前記ガイドレールの後端部に固定さ
れた紐体を取り付け、前記枠杆の前記座床部下面後方位
置から下面位置への移動に伴い前記枢軸の枢着部が前記
紐体により内側に引かれることにより折り畳まれ、上方
に引き上げられる構成としたショッピングカーを兼用す
るベビーカーを考案の要点としている。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第４図を参照して
説明する。

図に示すベビーカーは公知のものであり、前脚杆１と
後脚杆２及び手押し杆３とを折り畳み自在に組み合わせ
て躯体を構成し、前脚杆１、後脚杆２の上端部を一個所
に取りまとめた枢着部と、後脚杆２の長さ方向における
中間部から起立させた支承杆31とに差し渡すように肘掛
け杆４を取付けている。

５は、前脚杆1,1、及び後脚杆2,2にそれぞれ差し渡す
ように取付けた座床部であり、後端部には背当て部６が
傾斜角度の調節を自在として起伏自在に枢着起立せしめ
ている。

７は、物品収容体であり、平面コ字状に形成した枠杆
71に、ネットを用いて形成した袋72を吊り下げ固定する
ことによって上面を開口した深い篭状の容体として構成
している。

前記の枠杆71は、座床部５の裏面両側に取付けたガイ
ドレール51,51に摺動自在に取付けるものである。

枠杆71をガイドレール51,51に取付けるための具体的
な構造は、第２図に詳細に例示するとおり、平面コ字状
に形成した枠杆71の両端部に回転自在に取付けた滑車73
…73をガイドレール51,51に形成した摺動溝54に嵌合さ
せることにより枠杆71の引き出し及び収納を自在とする
よう摺動自在に取付けるものであり、使用時においては
物品収容体７が、座床部５の後端部、即ちガイドレール
51,51の後端部方向に引き出された状態で片持ち梁状に
吊り下げ支持されるように構成するものである。

なお、第２図に例示するように、ガイドレール51,51
の前後両端部近くには、物品収容体７が濫りに移動する
のを防止するための係止突起52,52を少許の高さとなる
よう突設形成している。係止突起の望ましい突設位置は
枠杆71の前後にそれぞれ二つづつ取付けた滑車73,73の
中間部に位置するように突設することがよく、これによ
って滑車73,73が前後いずれの方向にも移動がしにくく
なる。

枠杆71を移動させる場合には、滑車73,73が係止突起5
2,52を乗り越えて移動を行うものである。

なお、枠杆71の移動を防止するための機構は前記の係
止突起52に限定されるものではなく、枠杆71がガイドレ
ール51の所定位置に停止できる構造であればどのような
構造のものであっても差し支えないことは勿論である。

53はガイドレール51の端部に取付けた蓋板であり、滑
車73がガイドレール51から離脱するのを防止するもので
ある。

ネットを用いて構成した袋72は、深い篭状の形状を保
持するための特別の骨格等を組み込んでおらず、枠杆71
と底板74との間に差し渡すように取付けた保形枠杆18…
18を構成する二つのリンク18a,18aの伸張により展開形
状が保持されるようにしている。（第３図参照） 物品収容体７は座床部５の下面に摺動させることによ
ってその折り畳みが自動的に行える構造になっている。
即ち、同図中18…18は物品収容体７を構成する枠杆71と
底板74との間に差し渡すようにして取付けた保形枠杆で
あり、二つのリンク18a,18aを枢軸を介してそれぞれ内
側に折り畳むことができるように連結することによって
一本の保形枠を構成している。

なお、これらの保形枠杆18…18は物品収容体７の内側
の四隅全部にそれぞれ取付けられている。

19,19は保形枠杆18を折り畳み操作させるための紐体
であり、先端部が枠杆を形成する二つのリンク18a,18a
の枢着部に連結されており、他端部は、コ字状枠杆71の
内側中央部に取付け形成したガイドピン75及びコ字状枠
杆71の先端部近くの内側に形成したガイドピン76の二つ
の支点を順次通過したのちガイドレール51,51の後端部
に固定されている。

折り畳み作動用の紐19は物品収容体７が座床部下面か
ら後方に引き出し摺動させられている状態で保形枠杆18
が直立状態となれるように寸法決めされており、物品収
容体７が座床部５の下面に収納されている状態では紐19
はコ字状の枠杆71と平行する位置に収納されるようにな
っている。

〔考案の作動〕

上記のように構成した本考案のベビーカーは以下のよ
うに使用する。

第４図の概略図に例示するように、座床部５の下面に
折り畳み収納されている物品収容体７を座床部５の背面
側に引き出せば、この引き出し操作に従って、物品収容
体７の開口面積の露出面及びその高さが自動的に且つ徐
々に拡大展開され、枠杆71が最後部の停止位置に引き出
しをされた場合には物品収容体７も完全に展開状態が完
成されているという方法である。

（１）物品収容体を使用する場合 この場合の展開操作は、第４図（ｃ）に例示するよう
に、座床部５の下面に位置させられている物品収容体７
を座床部５の後方に引き出すことから開始する。

第４図（ｃ）に例示する状態にある場合、物品収容体
７の内側四隅に設けられている保形枠18を構成するすべ
てのリンク18a,18aは作動紐19,19の収縮作用により第３
図に点線で例示するように枢軸部分から内側に向かうよ
うに二つ折りされており、これにより物品収容体７全体
がコンパクトに薄く折り畳まれている。

上記の状態にある物品収容体７を座床部５の後方に引
き出せば、その引き出しに従って枠杆71の開口面の露出
面積が徐々に増加してゆき、この増加とともに、物品収
容体７の高さ方向の容量も徐々に増加してくる。即ち、
物品収容体７の引き出し量が全移動量の半分程度の場合
（第４図（ｂ）例示の状態の場合）には枠杆71の上面開
口面積もほぼ半分程度が開口され、また、高さ方向の伸
張も半分程度の伸張であるが、物品収容体７の全ての移
動（引き出し）が完了した場合には第４図（ａ）に例示
するように物品収容体７の展開も完全に終了している。
この場合これらの操作はすべて底板74の自重による下方
移動に伴う作動紐19の伸展、及びこれに伴うリンク18a,
18aの伸張作動に従って自動的に完了するものである。

上記の状態になった物品収容体７は、底板74の下面後
端部をステップ板９に載せる。なお、この時必要に応じ
て底板74の下面後端部に係止具（図示しない）を形成
し、この係止具に係合する係止孔（図示しない）をステ
ップ板９に穿設するとよい。これによって物品収容体７
は濫りに移動をすることのない安定した吊り下げを行う
ことがてきるようになり、買物をした品物の収容に供す
ることができるようになる。

（２）物品収容体の収納 この場合、前記した物品収容体の使用に記載した操作
と全く逆の操作を行うことで達成できる。

即ち、第１図及び第３図例示のように座床部７の下面
後方に位置している物品収容体７のコ字状枠杆71を座床
部５の下面方向に押し込むだけでよい。

このコ字状枠杆71が押し込まれると、これに従って枠
杆71に取付けたガイドピン75,76の位置も当然前進する
ことになる。ガイドピンの位置が前進すると基端部をガ
イドレール51の後端部に固定されている紐19は、ガイド
ピン75との接触部位が順次前側に移動するようになり、
これに伴って第１図において正面八字状を呈していた紐
19の八字形態が収縮される方向に引き上げ作動される。

紐19が引き上げられるに従って、（即ち、コ字状枠杆
71の押し込みが進行するに従って）保形枠杆18…18が二
本のリンク18a,18aの枢着部位から内側に向かって二つ
折りされるようになり、最終的には底板74部分がコ字状
枠杆71と密着した状態になって収納が終了する。

上記した収納作業は、コ字状枠杆71の押し込みという
単純な作業によって簡単に達成することができる。

〔考案の効果〕

上記のように構成した本考案の効果は以下の通りであ
る。

（１）従来は座床部の直下に固定されていた物品収容体
７を、座床部５の下面直下の位置から下面後方位置に引
き出し移動できるように構成したので、物品収容体の構
造サイズを、その上端が座床部５の下面に近接するよう
な極めて大きなサイズのものとして構成することが可能
となった。

即ち物品収容体７はそのサイズが大きなものであって
も、使用時においては座床部５の下面後方位置に摺動移
動させられているので、開口面をすべて物品の収納口と
して効果的に利用することが可能となり、従来の大型篭
が有していた開口部と座床部下面との間隔の狭隘が原因
となる物品収納作業上の問題点を完全に解決することが
できた。

（２）従来のベビーカーに取付けた買物籠は、ベビーカ
ー本体を組み立てることによって自動的に使用可能の状
態を呈するよう組み立てられていたが本考案の物品収容
体７は、必要のない時にはこれを折り畳んで座床部５の
下面に収納することも可能となるので、物品収容体を使
用しない場合でもベビーカーを全体としてコンパクトな
状態として使用をすることが可能となった。

（３）物品収容体７の折り畳み操作が、物品収容体７を
単に移動させるだけという極めて簡単な操作で行うこと
が可能である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すものであり、第１図は物品収
容体を引き出した状態を示す斜視図、第２図は同上図に
おける物品収容体を分解した斜視図、第３図は同上図に
おける要部の拡大側面図、第４図は物品収容体を移動さ
せながら折り畳み／若しくは展開させる場合を示す概略
的作動図である。 １……前脚杆、２……後脚杆、３……手押し杆、４……
肘掛け杆、５……座床部、51……ガイドレール、52……
係止突起、53……蓋板、54……摺動溝、６……背当て
部、７……物品収容体、71……枠杆、72……袋、73……
滑車、74……底板、75,76……ガイドピン、９……ステ
ップ板、18……保形枠、18a……リンク、19……紐

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】平面コ字状の枠杆にネットを用いて形成す
   るとともに底板を有する袋部を吊り下げて上面を開口し
   た物品収容体を有するショッピングカーを兼用するベビ
   ーカーにおいて、前脚杆及び後脚杆に差し渡すように取
   り付けた座床部の下面両側にガイドレールを設け、前記
   枠杆の両端部に回転自在に取り付けた滑車を前記ガイド
   レールに形成した摺動溝に嵌合させ、枢軸を介して内側
   に折り畳み可能とした保形枠杆により前記枠杆と前記底
   板とを連結し、一方端部が前記枢軸の枢着部に連結され
   他端部は前記枠杆の内側中央部に設けたガイドピン及び
   前記枠杆の先端部近傍に設けたガイドピンの二つの支点
   を順次通過したのち前記ガイドレールの後端部に固定さ
   れた紐体を取り付け、前記枠杆の前記座床部下面後方位
   置から下面位置への移動に伴い前記枢軸の枢着部が前記
   紐体により内側に引かれることにより折り畳まれ、上方
   に引き上げられる構成としたショッピングカーを兼用す
   るベビーカー。