JPH05358Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は孔版印刷用製版装置に関するものであ
る。

〔従来技術とその問題点〕

孔版印刷は印刷方法の中でも比較的簡単でしか
も安価であるため、ビラ、パンフレツトなどの印
刷に利用されている。この孔版印刷は、印刷すべ
き画像がインキ透過性貫通孔により形成された孔
版印刷用原版を用い、この原版に印刷用紙を重ね
合せた上原版に印刷インキを塗布し、この印刷イ
ンキを貫通孔から通過させて印刷用紙に付着せし
め印刷画像を形成する方法である。

従来の孔版印刷用原版の製造方法においては、
第６図に示すように、合成樹脂より成る感熱層１
１と印刷インキが浸透する多孔性支持体１２との
積層体より成る光透過性のステンシル１の当該感
熱層１１の表面に複写すべき原稿２の原稿面を密
着させて重ね合せ、赤外線ランプもしくは閃光放
電灯よりの赤外線IRを含む光をステンシル１を
介して原稿２の原稿面に照射し、原稿２の例えば
黒色の画像部分２１に赤外線吸収により発生する
熱で感熱層１１における前記画像部分２１と対向
する部分にインキ透過性貫通孔１３を形成し、も
つて第７図に示すように孔版印刷用原版１０を製
造する。

ところで、鮮明で忠実な印刷画像を得るために
はステンシル１と原稿２との密着度が重要であ
り、画像部分２１で発生した熱が感熱層１１に確
実に伝達されて画像部分２１に忠実な貫通孔１３
が形成されなければならない。このステンシル１
と原稿２とを密着させるために、回転可能な円筒
状の透明体と複数個の固定ローラーおよびテンシ
ヨンローラーに巾広のエンドレスベルトを巻掛け
て張設し、ステンシル１と原稿２の組みをベルト
と透明体とで挾圧保持している。そして、テンシ
ヨンバネの弾発力でベルトにテンシヨンをかけて
いる。このとき、透明体がその断面が真円であ
り、ベルトの両端の周長が同一であればテンシヨ
ンローラーの軸線は固定ローラーと平行の状態で
テンシヨンをかければよいが、実際には、透明体
は真円でなく、ベルトの両端の周長も同一ではな
いため、均一にテンシヨンをかけるにはテンシヨ
ンローラーと固定ローラーとの軸線は平行ではな
く、また、ベルトの移動にともなつて両軸線の角
度も変化させなければならない。従つて、テンシ
ヨンローラーは調芯機能が要求され、テンシヨン
ローラーの両端は自動調芯ベアリングで軸受けさ
れていた。しかし、この自動調芯ベアリングは大
型で構造が複雑であり、価格も高いものである。

〔考案の目的〕

本考案はこれらの事情にもとずいてなされたも
のであり、自動調芯ベアリングを使用することな
く、簡単な構造でテンシヨンローラーに調芯機能
を付与し、均一なテンシヨンをかけることが可能
な孔版印刷用製版装置を提供することを目的とす
る。

〔考案の効果〕

本考案の構成は、円筒状の透明体と一対の側板
間に架設された複数個の固定ローラーおよびテン
シヨンローラーに幅広のエンドレスベルトが巻掛
けて張設され、原稿とステンシルの組みがベルト
と透明体とで挾圧保持され、このステンシルに向
けて透明体を介して赤外線を含む光を照射する製
版装置であつて、該テンシヨンローラーの両端
は、テンシヨンバネで付勢された軸受板にベアリ
ングを介して回転自由に固着され、この軸受板
は、側板の横方向に長形な開口に嵌め込まれて摺
動可能な摺動部と、該開口の縦方向の内寸より大
きな保持部との２段構造であり、この保持部と該
側板との間に、テンシヨンローラーが固定ローラ
ーに対して回動して非平行となり得る間隙を設け
ることを特徴とする。

〔実施例〕

以下に、図面に示す実施例に基いて本考案を具
体的に説明する。

第１図において、装置内の枠体にはガラス円筒
の透明体４が回転可能に取付けられ、その内部に
閃光放電灯である赤外線ランプ４１とこれを取り
囲むミラー４２が配置されている。そして、４個
の固定ローラー６と１個のテンシヨンローラー７
および透明体４に巾広のエンドレスベルト５が巻
掛けられているが、テンシヨンローラー７はベル
ト５の外側から接触しており、第２図に示す圧縮
テンシヨンバネ９の弾発付勢力によりベルト５を
内側に押圧している。固定ローラー６の内の１個
が駆動ローラーであつて、これの回転に伴つてベ
ルト５は透明体４の表面に圧接して透明体４と共
に回転しながら走行する。透明体４の近傍には搬
入シユート８１と搬出シユート８２が上下２段に
設けられており、搬入シユート８１より原稿２と
ステンシル１の組合せＷを投入すると組合せＷは
透明体４とベルト５に挾まれて廻り込み、その間
に赤外線ランプ４１の閃光により赤外線を含む光
の照射を受ける。この照射により、第６図と第７
図で説明したように、画像部分２１に発生した熱
が感熱層１１に伝達され、画像部分２１に忠実な
貫通孔１３が形成されて原版１０が完成し、搬出
シユート８２より取り出される。

次に、テンシヨンローラー７の軸受け構造を説
明する。装置内には一対の側板３０が立設されて
おり、この側板３０には横方向に長形の開口３１
が設けられている。一方、テンシヨンローラー７
の両端は、第４図に示すように、ベアリング７１
を介して軸受板２０に回転自由に固定されてい
る。この軸受板２０は、第３図に示すように、縦
方向の寸法が開口３１の内寸と等しくして、開口
３１に嵌め込まれて摺動する摺動部２１と、開口
３１の内寸より大きい保持部２２とが一体の２段
構造となつている。そして、摺動部２１の孔２３
にベアリング７１が嵌着されている。この摺動部
２１が、前述の様に、開口３１に嵌め込まれる
が、テンシヨンローラー７が他のローラー６と平
行のときは、側板３０と保持部２２との間には間
隙ｌが設けられている。

しかして、前述の製版操作を行うとき、透明体
４の断面が真円でなく、また、ベルト５の両端の
周長も同一でないため、ベルト５は蛇行しようと
する。しかし、テンシヨンローラー７の両端の軸
受板２０が横方向に長形な開口３１に嵌め込ま
れ、かつ、側板３０と保持部２２との間隙ｌが設
けられているので、両軸受板２０は相互に独立し
て摺動することができ、保持部２２が側板３０に
衝合するまで、即ち、第５図に示す角度αまで回
動できる。この様にテンシヨンローラー７に自動
調芯機能が付与されているので、ベルト５が蛇行
しようとしても、テンシヨンローラー７がこれに
なじんで回動する。従つて、ベルト５には均一な
テンシヨンがかかり、原稿２とステンシル１とを
各部位にわたつて均一に密着することができる。

〔考案の効果〕

以上説明した様に、本考案は、テンシヨンロー
ラーの両端の軸受板を側板の開口内で相互に独立
して摺動でき、かつ、テンシヨンローラーが回動
できるようにしたので、自動調芯ベアリングを使
用しなくても、簡単な構造でテンシヨンローラー
に調芯機能を付与でき、ベルトに均一なテンシヨ
ンがかかつて原稿に忠実な原版を製造できる孔版
印刷用製版装置とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の側面断面図、第２図は
要部の側面図、第３図は軸受板の斜視図、第４図
は要部の縦断面図、第５図は要部の横断面図、第
６図と第７図は原版の説明図である。 １……ステンシル、１０……原版、１１……感
熱層、１２……多孔性支持体、２……原稿、４…
…透明体、４１……赤外線ランプ、４２……ミラ
ー、５……エンドレスベルト、６……固定ローラ
ー、７……テンシヨンローラー、９……テンシヨ
ンバネ、２０……軸受板、２１……摺動部、２２
……保持部、３０……側板、３１……開口、７１
……ベアリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒状の透明体と一対の側板間に架設された複
   数個の固定ローラーおよびテンシヨンローラーに
   幅広のエンドレスベルトが巻掛けて張設され、原
   稿とステンシルの組みがベルトと透明体とで挟圧
   保持され、このステンシルに向けて透明体を介し
   て赤外線を含む光を照射する製版装置であつて、
   該テンシヨンローラーの両端は、テンシヨンバネ
   で付勢された軸受板にベアリングを介して回転自
   由に固着され、この軸受板は、側板の横方向に長
   形な開口に嵌め込まれて摺動可能な摺動部と、該
   開口の縦方向の内寸より大きな保持部との２段構
   造であり、この保持部と該側板との間に、テンシ
   ヨンローラーが固定ローラーに対して回動して非
   平行となり得る間隙を設けたことを特徴とする孔
   版印刷用製版装置。