JPH05347020A - 潤滑剤及びそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

潤滑剤及びそれを用いた磁気記録媒体

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JPH05347020A
JPH05347020A JP16395092A JP16395092A JPH05347020A JP H05347020 A JPH05347020 A JP H05347020A JP 16395092 A JP16395092 A JP 16395092A JP 16395092 A JP16395092 A JP 16395092A JP H05347020 A JPH05347020 A JP H05347020A
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JP
Japan
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lubricant
group
long
perfluoropolyether
chain hydrocarbon
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JP16395092A
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Hirofumi Kondo
洋文 近藤
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種使用条件下において、長期に亘り優れた
潤滑効果を発揮する潤滑剤を提供するとともに、その潤
滑効果により走行性、耐摩耗性、耐久性の向上が図られ
る磁気記録媒体を提供する。 【構成】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形成さ
れてなり、この磁性層の表面に、潤滑剤として末端にピ
ペロニル基を有するパーフルオロポリエーテルに分子内
に極性基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基
等)が導入された長鎖炭化水素を加えてなるものを用い
て潤滑剤層が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気テープ、磁気ディ
スク等の磁気記録媒体における潤滑剤及びそれを用いた
磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、強磁性金属材料を蒸着等の手法
により非磁性支持体の表面に被着し、これを磁性層とし
たいわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体では、磁性層
表面の平滑性が極めて良好であるため、磁気ヘッドやガ
イドローラー等の摺動部材に対する実質的な接触面積が
大きく、従って摩擦係数が大きくなり凝着現象(いわゆ
る張り付き)が起き易く走行性や耐久性に欠ける等問題
点が多い。
【0003】そこで、これら問題点を改善するために各
種の潤滑剤を使用することが検討されており、従来より
高級脂肪酸やそのエステル等を上記磁気記録媒体の磁性
層にトップコートすることにより摩擦係数を抑えようと
する試みがされている。
【0004】ところで、磁気記録媒体に使用される潤滑
剤には、その性質上非常に厳しい特性が要求され、従来
用いられている潤滑剤では対応することが難しいのが現
状である。
【0005】即ち、磁気記録媒体に使用される潤滑剤に
は、(1)寒冷地での使用に際して所定の潤滑効果が確
保されるように低温特性に優れること、(2)磁気ヘッ
ドとのスペーシングが問題となるので極めて薄く塗布で
きることと、その場合にも十分な潤滑特性が発揮される
こと、(3)長時間、あるいは長時間の使用に耐え、潤
滑効果が持続すること、等が要求される。
【0006】しかしながら、従来より使用されていた高
級脂肪酸やそのエステル等は、0℃以下のような低温条
件上では凍結して固化して潤滑剤としての機能が損なわ
れたり、長時間の耐久性に欠ける傾向にある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、磁気録媒
体の分野においては、使用される潤滑剤の能力不足に起
因して、走行性や耐久性等の実用特性に不満を残してい
る。そこで本発明は、各種使用条件下において優れた潤
滑性を発揮する潤滑剤を提供するとともに、走行性、耐
摩耗性、耐久性等に優れた磁気記録媒体を提供すること
を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究を重ねた結果、末端にピペ
ロニル基を有するパーフルオロポリエーテルに、分子内
に極性基(例えばアミノ基、カルボキシル基、又は水酸
基等)が導入された長鎖炭化水素を加えたものを潤滑剤
として使用することにより、優れた潤滑効果が得られる
ことを見いだし本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明にかかる潤滑剤は、末端にピ
ペロニル基を有するパーフルオロポリエーテルに対して
分子内に極性基を有する長鎖炭化水素が加えられてなる
ことを特徴とするものである。また、本発明にかかる磁
気記録媒体は、非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有
してなる磁気記録媒体において、上記磁性層の表面に上
述の第1乃至第3の発明にかかる潤滑剤を保有すること
を特徴とするものである。
【0010】本発明にかかる潤滑剤は、末端にピペロニ
ル基を有するパーフルオロポリエーテルに、分子内に極
性基を有する長鎖炭化水素が加えられてなるものであ
り、良好な潤滑性を有するとともに、その効果が長時間
に亘り維持され、更に低温低湿下、或いは高温高湿下の
ような過酷な条件下で使用した場合にも優れた潤滑性を
発揮するものである。
【0011】従って、これら潤滑剤を磁気記録媒体の潤
滑剤として用いれば、優れた潤滑効果により摩擦係数の
低減化が図られ、走行性、耐摩耗性、耐久性等を大幅に
改善することができる。
【0012】これら潤滑剤に使用される末端にピペロニ
ル基を有するパーフルオロポリエーテルとしては、ピペ
ロニル基を両方の末端に有するものでも良く、少なくと
も一方の末端(片末端)に有するものでも良く、またそ
の置換位置によらずに使用することができる。このよう
な末端にピペロニル基を有するパーフルオロポリエーテ
ルとしては、市販のものが何れも使用可能であり、例え
ば下記の(1)式で表されるもの(商品名 フォンブリ
ンAM-2001 ,モンテフルオス社製)等が挙げられるが、
これに限定されるわけではない。なお、下記の(1)式
中、p,qは、いずれも1以上の整数を表す。
【0013】
【化1】
【0014】この末端にピペロニル基を有するパーフル
オロポリエーテルの分子量は、特に制約されるものでは
ないが、実用的には600〜5000程度が好ましい。
分子量が大きすぎると、末端基の吸着基としての効果が
薄れ、逆に分子量が小さすぎると、パーフルオロポリエ
ーテル鎖による潤滑効果が失われてしまう。なお、上記
パーフルオロポリエーテルにおいては、パーフルオロポ
リエーテル鎖が部分水素化されていてもよい。即ち、パ
ーフルオロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部(50%
以下)を水素原子で置き換えても良い。この場合には、
パーフルオロポリエーテルとして部分水素化したパーフ
ルオロポリエーテルを使用すれば良く、これによってフ
ロン系溶媒の使用量を減らすことが可能となる。
【0015】一方、上記分子内に極性基を有する長鎖炭
化水素において、極性基としては、例えばアミノ基、カ
ルボキシル基、水酸基等が挙げられる。この分子内に極
性基を有する長鎖炭化水素において、その構造等は任意
であり、分岐構造、異性体構造、脂環構造、不飽和結合
の有無によらず選択することができる。また、炭素数
は、6以上、30以下であることが好ましく、より好ま
しくは炭素数10以上、22以下の直鎖状のものとされ
る。炭素数が少ないとその効果が少なくなり、逆に炭素
数が多いと溶解性が小さくなるので一般的ではなくな
る。
【0016】このうち、分子内にアミノ基が導入された
長鎖炭化水素(アミン)としては、例えば下記の表1に
示す構造を有するものが使用可能である。
【0017】
【表1】
【0018】この分子内にアミノ基が導入された長鎖炭
化水素において、分子内に導入されるアミノ基の数に
は、特に制限はないが、あまり多くなると溶解性に問題
が生じることから、3以下であることが好ましい。
【0019】また、分子内にカルボキシル基が導入され
た長鎖炭化水素(カルボン酸)、或いは分子内に水酸基
が導入された長鎖炭化水素(アルコール)としては、例
えば下記の表2、表3に示す構造を有するものがそれぞ
れ使用可能である。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】これら分子内にカルボキシル基、或いは水
酸基が導入された長鎖炭化水素において、分子内に導入
される極性基の数には、特に制限はないが、上述のよう
な溶解性の点から、3以下であることが好ましい。
【0023】なお、これら分子内に極性基が導入された
長鎖炭化水素の添加量としては、上記末端にピペロニル
基を有するパーフルオロポリエーテルに対する比率がモ
ル比で0.01〜100とされる。上記長鎖炭化水素の
添加量が上記範囲から外れると、十分な潤滑効果が得ら
れない。
【0024】また、本発明の磁気記録媒体は、磁性層の
表面に潤滑剤として上述のような末端にピペロニル基を
有するパーフルオロポリエーテルに対して分子内に極性
基を有する長鎖炭化水素が加えられてなるものを保有す
るものである。
【0025】ここで、本発明が適用される磁気記録媒体
としては、特に限定されないが、本発明は、特に非磁性
支持体表面に蒸着法やスパッタリング法等の手法により
金属磁性薄膜が磁性層として被着形成されてなる、所謂
金属磁性薄膜型の磁気記録媒体に適用して有効である。
勿論、本発明が適用される磁気記録媒体において、膜構
成等は任意であり、例えば非磁性支持体と磁性層との間
に下地層を介した構成であっても良い。
【0026】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体におい
て、非磁性支持体、金属磁性薄膜等の種類は、何ら限定
されるものではなく、従来より知られるものが何でも使
用できる。例示するならば、非磁性支持体としては、例
えばポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロース誘
導体、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド類、ポ
リカーボネート等に代表されるようなプラスチック材料
により形成される高分子支持体や、アルミニウム合金、
チタン合金等からなる金属基板、アルミナガラス等から
なるセラミクック基板、ガラス基板等が何れも使用可能
である。このうち、Al合金板やガラス板等の剛性を有
する基板が使用される場合には、基板表面にアルマイト
処理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を形成してその表面
を硬くするようにしてもよい。
【0027】また、この非磁性支持体の形状は、何ら限
定されるものではなく、テープ状、シート状、ドラム状
等、如何なる形態であってもよい。更に、この非磁性支
持体には、その表面性をコントロールするために、微細
な凹凸が形成されていてもよい。
【0028】上記金属磁性薄膜は、メッキやスパッタリ
ング、真空蒸着等の真空薄膜形成技術により連続膜とし
て形成されるもので、例えばFe、Co、Ni等の金属
やCo−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co−Pt−
Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、F
e−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−
Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合金等からな
る面内磁化記録金属磁性膜やCo−Cr系合金薄膜が使
用可能とされる。
【0029】特に、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、
予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、
In、Ge、Si、Tl等の低融点非磁性材料の下地層
を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着ある
いはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性
材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保
するとともに、抗磁性を向上するようにしても良い。
【0030】また、上述のように非磁性支持体の構成材
料として剛性を有する基板(ハードディスク)が使用さ
れる場合には、上記金属磁性薄膜の表面に例えばカーボ
ン膜、ダイヤモンド状あるいはアモルファス状カーボン
膜、酸化クロム膜、SiO2膜等の硬質保護膜を形成す
るようにしてもよい。
【0031】かかる磁気記録媒体において、上述の第1
乃至第3の発明の潤滑剤を保有せしめる方法としては、
上記金属磁性薄膜等からなる磁性層の表面や上記保護膜
の表面に潤滑剤層をトップコートする方法が挙げられ
る。この場合、使用される潤滑剤の塗布量としては、
0.5〜100mg/m2 であることが好ましく、1〜
20mg/m2 であることがより好ましい。
【0032】また、末端にピペロニル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルに対して分子内に極性基が導入され
た長鎖炭化水素が加えられてなる潤滑剤は、単独で磁気
記録媒体の潤滑剤として用いてもよいが、従来公知の潤
滑剤と組み合わせて用いてもよい。
【0033】更に、より厳しい条件に対処し、潤滑効果
を持続させるために、重量比30:70〜70:30程
度の配合比で極圧剤を併用してもよい。この極圧剤は、
境界潤滑領域において部分的に金属接触を生じたときに
これに伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応生成物
皮膜を形成することにより摩擦、摩耗防止作用を行うも
のであって、例えばリン系極圧剤、硫黄系極圧剤、ハロ
ゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合系極圧剤等のい
ずれも使用可能である。
【0034】また、本発明の磁気記録媒体においては、
上述の潤滑剤、極圧剤の他、必要に応じて、防錆剤を併
用してもよい。防錆剤としては、通常この種の磁気記録
媒体の防錆剤として使用されるものであればいずれも使
用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン
類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素
環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物等である。
【0035】ところで、上述の金属磁性薄膜型の磁気録
媒体においては、磁性層である金属磁性薄膜の他に、バ
ックコート層や下塗層等が必要に応じて形成されていて
もよい。
【0036】例えば、バックコート層は、所謂塗布型の
磁気記録媒体において使用される磁性塗膜と同様の樹脂
結合剤に、導電性を付与するためのカーボン系微粉末や
表面粗度をコントールするための無機顔料等を添加し、
これを塗布形成さることによって得られるものである
が、本発明では、このバックコート層中に上記末端にピ
ペロニル基を有するパーフルオロポリエーテルに分子内
に極性基を有する長鎖炭化水素を加えた潤滑剤を内添、
あるいはトップコートにより含有せしめてもよい。
【0037】また、本発明においては、磁性塗膜、金属
磁性薄膜及びバックコート層等にいずれも上記末端にピ
ペロニル基を有するパーフルオロポリエーテルに分子内
に極性基を有する長鎖炭化水素が加えられてなる潤滑剤
を内添、或いはトップコートしても良い。
【0038】
【作用】末端にピペロニル基を有するパーフルオロポリ
エーテルに対して分子内にアミノ基、カルボキシル基、
或いは水酸基等の極性基を有する長鎖炭化水素が加えら
れてなる潤滑剤は、良好な潤滑性を有しており、この効
果を低温低湿下等の厳しい条件下においても維持するこ
とができる。
【0039】従って、磁気記録媒体において、上記潤滑
剤を磁性層の表面に保有せしめることにより、上記潤滑
剤の有する優れた潤滑効果により摩擦係数が低減され、
走行性、耐久性が改善される。
【0040】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない
ことはいうまでもない。実験例1 本実験例では、潤滑剤として末端にピペロニル基を有す
るパーフルオロポリエーテルに対して分子内にアミノ基
を有する長鎖炭化水素をモル比で2倍等量加えてなる潤
滑剤が使用された所謂金属磁性薄膜型の磁気記録媒体に
ついて、種々の使用条件下における耐久性、走行性を検
討した。
【0041】先ず、14種類の潤滑剤1〜14を用い、
以下の手順に従って磁気テープを作製した。なお、上記
潤滑剤1〜14を構成してなる末端にピペロニル基を有
するパーフルオロポリエーテルの主鎖の構造、及び分子
内にアミノ基を有する長鎖炭化水素(アミン)の種類
は、上記表1中に示す通りである。即ち、10μ厚のポ
リエチレンテレフタレートフィルムの表面に斜方蒸着法
によりCoを被着させ、膜厚200nmの強磁性金属薄
膜を成膜して磁性層を形成した。
【0042】次に、上記表1に示す潤滑剤1〜14をフ
レオンとエタノールの混合溶媒に溶解し、これらを上記
金属磁性薄膜の表面にそれぞれ塗布して潤滑剤層を形成
した。なお、各潤滑剤1〜14の塗布量は、5mg/m
2 とした。その後、得られた磁気テープを8ミリ幅に裁
断してサンプルテープ1〜14を作製した。
【0043】このようにして作製された各サンプルテー
プ1〜14について、温度25℃湿度60%のとき、温
度−5℃のとき、温度40℃湿度80%の各条件下にお
ける摩擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性をそれ
ぞれ測定した。この結果を表4及び表5に示す。
【0044】なお、比較用として、上述のような潤滑剤
を用いた潤滑剤層を形成しなかった磁気テープ(比較例
1)、潤滑剤として末端にピペロニル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルを単独で使用した磁気テープ(比較
例2)についても同様に測定し、その結果を表5に併せ
て記した。なお、比較例2においては、末端にピペロニ
ル基を有するパーフルオロポリエーテルとして、パーフ
ルオロポリエーテル鎖がCH2CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2C
H2なる構成を有するものを使用した。
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】表4及び表5中、スチル耐久性はポーズ状
態にて出力が−3dB低下するまでに要した時間を表
す。シャトル耐久性は1回につき2分間のシャトル走行
を行った時に出力が3dB低下するまでのシャトル回数
を表す。
【0048】表4及び表5から明らかなように、潤滑剤
として末端にピペロニル基を有するパーフルオロポリエ
ーテルを単独で用いた場合よりも、本実施例のように末
端にピペロニル基を有するパーフルオロポリエーテルに
対して分子内にアミノ基を有する長鎖炭化水素が加えら
れてなる潤滑剤を用いた場合には、種々の使用条件下に
おいても摩擦係数が低く、走行性、耐久性が劣化するこ
となく、非常に良好な結果が得られた。
【0049】実験例2 次に、潤滑剤として末端にピペロニル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルに対して分子内にアミノ基を有する
長鎖炭化水素が加えられてなる潤滑剤を用い、この潤滑
剤における上記パーフルオロポリエーテルと上記長鎖炭
化水素の比率を変化させた場合について検討した。
【0050】なお、本実験において使用した潤滑剤を構
成してなる末端にピペロニル基を有するパーフルオロポ
リエーテルとしては、パーフルオロポリエーテル鎖がCH
2CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2CH2なる構成を有するものを
使用し、分子内にアミノ基を有する長鎖炭化水素として
は、ステアリルアミンC1837NH2 を使用した。
【0051】上記実験例1において潤滑剤として使用し
た潤滑剤1〜14を、下記の表6に示すように上記パー
フルオロポリエーテルに対する上記長鎖炭化水素の添加
量が異なる各種潤滑剤15〜24に変え、その他は上記
実験例1と同様にしてサンプルテープ15〜24を作製
した。
【0052】
【表6】
【0053】そして、得られた各サンプルテープ15〜
24について、上記実験例1と同様にして25℃湿度6
0%のとき、温度40℃湿度80%の各条件下における
摩擦係数をそれぞれ測定した。この結果を下記の表7に
示す。
【0054】
【表7】
【0055】表7より、上記パーフルオロポリエーテル
に対する上記長鎖炭化水素の添加量をモル比で0.01
〜100の範囲内にすることにより、様々な使用条件下
でも摩擦係数を十分に低減させることができることが判
った。
【0056】実験例3 本実験例では、潤滑剤として末端にピペロニル基を有す
るパーフルオロポリエーテルに対して分子内にカルボキ
シル基を有する長鎖炭化水素が加えられてなる潤滑剤が
使用された所謂金属磁性薄膜型の磁気記録媒体につい
て、種々の使用条件下における耐久性、走行性を検討し
た。
【0057】上記実験例1において潤滑剤として使用し
た潤滑剤1〜14を、上記表2に示される14種類の潤
滑剤25〜38に変え、その他は上記実験例1と同様の
手順に従ってサンプルテープ25〜38を作製した。な
お、本実験において使用した上記潤滑剤25〜38を構
成してなる末端にピペロニル基を有するパーフルオロポ
リエーテルの主鎖の構造、及び分子内にカルボキシル基
を有する長鎖炭化水素(カルボン酸)の種類は、上記表
2中に示す通りである。
【0058】そして、得られた各サンプルテープ25〜
38について、温度25℃湿度60%のとき、温度−5
℃のとき、温度40℃湿度80%の各条件下における摩
擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性をそれぞれ測
定した。この結果を下記の表8及び表9に示す。
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】表8及び表9から明らかなように、潤滑剤
として末端にピペロニル基を持つパーフルオロポリエー
テルを単独で用いた場合よりも、末端にピペロニル基を
持つパーフルオロポリエーテルに分子内にカルボキシル
基を有する長鎖炭化水素を加えた潤滑剤を使用すること
により、摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性等
は、各種条件でも劣化することがなく、非常に良好な結
果が得られた。
【0062】実験例4 次に、潤滑剤として末端にピペロニル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルに対して分子内にカルボキシル基を
有する長鎖炭化水素が加えられてなる潤滑剤を用い、こ
の潤滑剤における上記パーフルオロポリエーテルと上記
長鎖炭化水素の比率を変化させた場合について検討し
た。
【0063】なお、本実験において使用した潤滑剤にお
いて、末端にピペロニル基を有するパーフルオロポリエ
ーテルとしては、パーフルオロポリエーテル鎖がCH2CF2
O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2CH2なる構成を有するものを使用
し、分子内にカルボキシル基を有する長鎖炭化水素とし
ては、ステアリン酸C17H35COOHを使用した。
【0064】上記実験例1において潤滑剤として使用し
た潤滑剤1〜14を、下記の表10に示すように上記パ
ーフルオロポリエーテルに対する上記長鎖炭化水素の添
加量が異なる各種潤滑剤39〜48に変え、その他は上
記実験例1と同様にしてサンプルテープ39〜48を作
製した。
【0065】
【表10】
【0066】そして、得られた各サンプルテープ39〜
48について、上記実験例1と同様にして25℃湿度6
0%のとき、温度40℃湿度80%の各条件下における
摩擦係数をそれぞれ測定した。この結果を下記の表11
に示す。
【0067】
【表11】
【0068】表11より、上記パーフルオロポリエーテ
ルに対する上記長鎖炭化水素の添加量をモル比で0.0
1〜100の範囲内にすることにより、様々な使用条件
下でも摩擦係数を十分に低減させることができることが
判った。
【0069】実験例5 本実験例では、潤滑剤として末端にピペロニル基を有す
るパーフルオロポリエーテルに対して分子内に水酸基を
有する長鎖炭化水素が加えられてなる潤滑剤が使用され
た所謂金属磁性薄膜型の磁気記録媒体について、種々の
使用条件下における耐久性、走行性を検討した。
【0070】上記実験例1において潤滑剤として使用し
た潤滑剤1〜14を、上記表3に示される14種類の潤
滑剤49〜62に変え、その他は上記実験例1と同様の
手順に従ってサンプルテープ49〜62を作製した。な
お、本実験において使用した上記潤滑剤49〜62を構
成してなる末端にピペロニル基を有するパーフルオロポ
リエーテルの主鎖の構造、及び分子内に水酸基を有する
長鎖炭化水素(アルコール)の種類は、上記表3中に示
す通りである。
【0071】そして、得られた各サンプルテープ49〜
63について、温度25℃湿度60%のとき、温度−5
℃のとき、温度40℃湿度80%の各条件下における摩
擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性をそれぞれ測
定した。この結果を下記の表12及び表13に示す。
【0072】なお、比較用として、上述のような潤滑剤
を用いた潤滑剤層を形成しなかった磁気テープ(比較例
3)、潤滑剤として末端にピペロニル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルを単独で使用した磁気テープ(比較
例4)についても同様に測定し、その結果を表13に併
せて記した。なお、比較例4においては、末端にピペロ
ニル基を有するパーフルオロポリエーテルとして、パー
フルオロポリエーテル鎖がCH2CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF
2CH2なる構成を有するものを使用した。
【0073】
【表12】
【0074】
【表13】
【0075】表12及び表13から明らかなように、潤
滑剤として末端にピペロニル基を持つパーフルオロポリ
エーテルを単独で用いた場合よりも、末端にピペロニル
基を持つパーフルオロポリエーテルに分子内に水酸基を
持つ長鎖炭化水素を加えた潤滑剤を使用することによ
り、摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性等は、各
種条件でも劣化することがなく、非常に良好な結果が得
られた。
【0076】実験例6 次に、潤滑剤として末端にピペロニル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルに対して分子内に水酸基を有する長
鎖炭化水素が加えられてなる潤滑剤を用い、この潤滑剤
における上記パーフルオロポリエーテルと上記長鎖炭化
水素の比率を変化させた場合について検討した。
【0077】なお、本実験において使用した潤滑剤にお
いて、末端にピペロニル基を有するパーフルオロポリエ
ーテルとしては、パーフルオロポリエーテル鎖がCH2CF2
O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2CH2なる構成を有するものを使用
し、分子内に水酸基を有する長鎖炭化水素としては、ス
テアリルアルコールC18H37OHを使用した。
【0078】上記実験例1において潤滑剤として使用し
た潤滑剤1〜14を、下記の表14に示すように上記パ
ーフルオロポリエーテルに対する上記長鎖炭化水素の添
加量が異なる各種潤滑剤63〜72に変え、その他は上
記実験例1と同様にしてサンプルテープ63〜72を作
製した。
【0079】
【表14】
【0080】そして、得られた各サンプルテープ63〜
72について、上記実験例1と同様にして25℃湿度6
0%のとき、温度40℃湿度80%の各条件下における
摩擦係数をそれぞれ測定した。この結果を下記の表15
に示す。
【0081】
【表15】
【0082】表15より、上記パーフルオロポリエーテ
ルに対して上記長鎖炭化水素をモル比で0.01〜10
0を加えた潤滑剤を使用することにより、摩擦係数は、
各種条件でも劣化することがなく、非常に良好な結果が
得られることが判った。
【0083】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように本発明
においては、末端にピペロニル基を有するパーフルオロ
ポリエーテルに対して分子内に極性基(例えば、アミノ
基、カルボキシル基、水酸基等)が導入された長鎖炭化
水素が加えられた潤滑剤を使用しているので、如何なる
使用条件下でも優れた潤滑性が発現し、また長期に亘り
その効果が維持できる。従って、本発明によれば、走行
性、耐摩耗性、耐久性に優れた磁気記録媒体を提供する
ことが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 70:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末端にピペロニル基を有するパーフルオ
    ロポリエーテルに対して分子内に極性基を有する長鎖炭
    化水素が加えられてなることを特徴とする潤滑剤。
  2. 【請求項2】 上記長鎖炭化水素に極性基としてアミノ
    基が導入されていることを特徴とする請求項1記載の潤
    滑剤。
  3. 【請求項3】 上記長鎖炭化水素に極性基としてカルボ
    キシル基が導入されていることを特徴とする請求項1記
    載の潤滑剤。
  4. 【請求項4】 上記長鎖炭化水素に極性基として水酸基
    が導入されていることを特徴とする請求項1記載の潤滑
    剤。
  5. 【請求項5】 上記パーフルオロポリエーテルに対する
    上記長鎖炭化水素のモル比が0.01〜100であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の潤滑剤。
  6. 【請求項6】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有
    してなる磁気記録媒体において、上記磁性層の表面に末
    端にピペロニル基を有するパーフルオロポリエーテルに
    対して分子内に極性基を有する長鎖炭化水素が加えられ
    てなる潤滑剤を保有することを特徴とする磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 上記長鎖炭化水素に極性基としてアミノ
    基が導入されていることを特徴とする請求項6記載の磁
    気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記長鎖炭化水素に極性基としてカルボ
    キシル基が導入されていることを特徴とする請求項6記
    載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 上記長鎖炭化水素に極性基として水酸基
    が導入されていることを特徴とする請求項6記載の磁気
    記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7510999B2 (en) 2004-05-28 2009-03-31 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Lubricant composition for magnetic recording media

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