JPH05345829A - ポリエーテルエーテルケトン水性分散液及びそれを用いた積層成形材料 - Google Patents

ポリエーテルエーテルケトン水性分散液及びそれを用いた積層成形材料

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JPH05345829A
JPH05345829A JP18174292A JP18174292A JPH05345829A JP H05345829 A JPH05345829 A JP H05345829A JP 18174292 A JP18174292 A JP 18174292A JP 18174292 A JP18174292 A JP 18174292A JP H05345829 A JPH05345829 A JP H05345829A
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JP
Japan
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molding material
polyetheretherketone
weight
aqueous dispersion
laminated molding
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Application number
JP18174292A
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English (en)
Inventor
Yoshiharu Kimoto
義治 木本
Katsumi Kumon
克己 公文
Takeshi Higashimoto
健 東本
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Yodogawa Kasei KK
Original Assignee
Yodogawa Kasei KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】平均粒子径0.03mm以下のポリエーテルエ
ーテルケトン0.1〜60重量%、非イオン界面活性剤
0.01〜5重量%及び安定剤0.1〜10重量%を水
に分散してなるポリエーテルエーテルケトン水性分散液
並びにそのポリエーテルエーテルケトン水性分散液を含
浸した有機繊維及び/又は無機繊維の織布又は不織布と
からなる積層成形材料。 【効果】織布及び/又は不織布への含浸塗布に用いて有
用かつ新規なポリエーテルエーテルケトン水性分散液、
並びにその水性分散液を用いて得られた織布及び/又は
不織布とポリエーテルエーテルケトンとが一体化して成
る電気特性及び耐熱性が優れた積層成形材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエーテルエーテルケ
トン水性分散液及びそれを用いた積層成形材料に関し、
更に詳しくは織布及び/又は不織布への含浸塗布に用い
て有用かつ新規なポリエーテルエーテルケトン水性分散
液、及びその水性分散液を用いて得られた織布及び/又
は不織布とポリエーテルエーテルケトンとが一体化して
成る積層成形材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエーテルエーテルケトンはその優れ
た物理特性、化学特性、電気特性、耐熱性及び機械的強
度を有するため、高機能性材料として広く使用されて来
た。そして、その加工方法としてはポリエーテルエーテ
ルケトンが熱可塑性樹脂であるため、一般に射出成型、
押出し成型、回転成型などが適用されている。
【0003】また、物理特性、化学特性、電気特性の向
上及び耐熱性、耐久性、摺動特性、色彩効果などの改善
のために、ポリエーテルエーテルケトンに無機質及び/
又は有機質の充填材を混練後、射出成型等により充填材
が充填されて成るポリエーテルエーテルケトン成型品が
汎用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ポリエーテルエーテル
ケトン成形品としては棒、板、ブロック、パイプ、チュ
ーブ、フィルム及び射出成形品などがあるが、織布及び
/又は不織布により繊維強化された積層成形材料はなか
った。
【0005】ポリエーテルエーテルケトン溶液はポリエ
ーテルエーテルケトンを溶解する安価でかつ取扱が容易
な溶媒がないために得られず、このためデイッピング法
などにより織布、不織布などへの含浸塗布が出来ず、織
布及び/又は不織布により縦横に均一に繊維強化された
積層成形材料を得ることができなかった。
【0006】積層成形材料はポリエーテルエーテルケト
ンフィルムと織布及び/又は不織布とを積層し加熱成形
することにより得ることもできるが、加熱成形時に製品
外へのポリエーテルエーテルケトンの流出により樹脂の
損失が発生し、経済的な方法とは言えなかった。
【0007】本発明の目的は、上述した課題の解消にあ
り、織布及び/又は不織布への含浸塗布に用いて有用か
つ新規なポリエーテルエーテルケトン水性分散液、並び
にその水性分散液を用いて得られた織布及び/又は不織
布とポリエーテルエーテルケトンとが一体化して成る、
電気特性及び耐熱性が優れた積層成形材料を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエーテルエ
ーテルケトン水性分散液は、平均粒子径0.03mm以
下のポリエーテルエーテルケトン0.1〜60重量%、
非イオン界面活性剤0.01〜5重量%及び安定剤0.
1〜10重量%を水に分散してなることを特徴とするも
のである。
【0009】本発明の積層成形材料は、平均粒子径0.
03mm以下のポリエーテルエーテルケトン0.1〜6
0重量%、非イオン界面活性剤0.01〜5重量%及び
安定剤0.1〜10重量%を水に分散してなるポリエー
テルエーテルケトン水性分散液を含浸した有機繊維及び
/又は無機繊維の織布又は不織布であることを特徴とす
るものである。
【0010】本発明の水性分散液に使用されるポリエー
テルエーテルケトンは、一般にポリエーテルエーテルケ
トンとして知られているものであれば如何なるものであ
ってもよく、例えば、ビクトレックス・ピーク(VIC
TREX PEEK)(商品名、ICI社製)が挙げら
れる。このポリエーテルエーテルケトンは平均粒子径が
0.03mm以下のものが使用される。平均粒子径が
0.03mmを超えると沈澱を生じやすく、また均一な
分散混合が困難となるからである。好ましくは0.00
5〜0.02mmである。
【0011】このポリエーテルエーテルケトンの配合割
合は、通常0.1〜60重量%である。この配合割合が
0.1重量%未満ではポリエーテルケトンの配合量が少
な過ぎるために均一な分散混合が困難であり、60重量
%を超えると水性分散液の安定性が悪くなり、沈澱を生
じやすくなり望ましくない。好ましくは5〜50重量%
である。
【0012】本発明の水性分散液に使用される非イオン
界面活性剤は、一般に非イオン界面活性剤として知られ
ているものであれば如何なるものであってもよく、例え
ば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンフェニルエーテル、脂肪酸エチレンオ
キシド付加物、高級アルコールエチレンオキシド付加物
などが挙げられる。これらの中でも、水との相溶性が良
好で、かつ得られる積層成形材料の良好な物性、外観を
得るためには乾燥・焼成工程において熱分解によりガス
化し、残留成分を残さずに完全に除去されることの観点
から、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの
使用が好ましい。
【0013】この非イオン界面活性剤の配合割合は、通
常0.01〜5重量%である。この配合割合が0.01
重量%未満では十分な効果が得られずポリエーテルエー
テルケトンと水との分離を招き、5重量%を超えると乾
燥・焼成工程での非イオン界面活性剤の熱分解が困難と
なり、加熱時間の増加、積層成形材料の色ムラの発生な
どを招き望ましくない。好ましくは0.1〜3重量%で
ある。
【0014】本発明の水性分散液に使用される安定剤
は、一般に水性分散液の安定剤として知られているもの
であれば如何なるものであってもよく、例えば、ポリビ
ニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチル
セルロース、ヒドロキシエチル繊維素、ポリアクリル
酸、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシドなどの合
成糊料;カゼイン、α−スターチ、トラガカントゴムな
どの天然糊料が挙げられる。これらの中でも、乾燥・焼
成工程において熱分解によりガス化し残留成分を残さず
に完全に除去されることの観点から、ポリビニルアルコ
ール、ポリアクリル酸の使用が好ましい。
【0015】この安定剤の配合割合は、通常0.1〜1
0重量%である。この配合割合が0.1重量%未満では
ポリエーテルエーテルケトンが沈澱し易いため積層成形
材料にポリエーテルエーテルケトンの付着ムラが発生し
易く、10重量%を超えると水性分散液の粘度の増大な
どを招き均一な塗布が困難となり望ましくない。好まし
くは0.5〜7重量%である。
【0016】本発明の水性分散液に使用される水は、格
別に制限されず、蒸留水、イオン交換水、純水などであ
れば如何なるものであってもよい。これらの中でも、均
一かつ良好な耐熱性、耐薬品性、電気特性及び物理特性
などを有し、更に色ムラ及び変色などのない積層成形材
料を得る観点から、できるだけ不純物の少ない水の使用
が好ましい。
【0017】この水の配合割合は、通常、水性分散液に
対し、上述の各成分であるポリエーテルエーテルケト
ン、非イオン界面活性剤及び安定剤、並びに所望の充填
材などの他の成分を除く、残りの部分となる。
【0018】本発明の水性分散液は、更に30重量%以
下の無機質及び/又は有機質の充填材を含むものが好ま
しい。この充填材としては、無機物、有機物のいずれも
使用でき、金属、顔料、染料及びポリエーテルエーテル
ケトン以外の樹脂も充填材として使用できる。
【0019】無機物の充填材としては、例えば、二硫化
モリブデン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン
酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化カルシウ
ム、チタン酸カリウム、フッ化黒鉛、ブロンズ、タル
ク、マイカ、クレー、セリサイト、シリカ、アルミナ、
グラファイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭化ケイ
素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、アルミナウィス
カー、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスビーズ、中空ガラ
スビーズ、アルミニウムパウダー、ニッケルパウダー、
プラチナパウダー、金パウダー、銀パウダー、銅パウダ
ー、アルミニウム箔、ニッケル箔、プラチナ箔、ステン
レス鋼箔、金箔、銀箔、銅箔、ステンレスフレーク及び
黄銅などの合金が挙げられる。
【0020】充填材としては顔料、染料も使用でき、例
えば、酸化第二鉄、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ケ
イ素、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化クロム、酸化コ
バルト、酸化ジルコニウム、硫化カドミウム、硫化セレ
ン、硫酸バリウム、クロム酸鉛、リン酸コバルト、ホウ
酸コバルト、炭酸鉛、カーボンブラック、フタロシアニ
ン系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、ベンジジン系
有機顔料、レーキ顔料、アゾ系染料、アントラキノン系
染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、インダン
スレン系染料が挙げられる。
【0021】有機物の充填材としては、例えば、芳香族
ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミ
ド、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、
ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、サーモト
ロピック液晶ポリマー、リオトロピック液晶ポリマー及
びポリテトラフロロエチレンなどのフッ素樹脂が挙げら
れる。
【0022】電気特性の改善では積層成形材料の比誘電
率を下げるために中空ガラスビーズ、ポリテトラフロロ
エチレンなどが充填され、逆に上げるためにアルミナな
どが充填される。
【0023】充填材はその種類及び/又は配合量を調整
することにより、無充填の積層成形材料の物理・化学及
び電気などの各特性を改善でき、所望の機械的性質・熱
的性質及び電気的性質、色などを有する積層成形材料を
得ることができる。
【0024】この充填材の配合割合は、通常30重量%
以下である。この配合割合が30重量%を超えると得ら
れる積層成形材料の機械的性質、熱的性質及び電気的性
質などの低下を起こすために望ましくない。好ましくは
5〜25重量%である。
【0025】本発明のポリエーテルエーテルケトン水性
分散液の一製造方法について説明する。先ず、水に非イ
オン界面活性剤を0.01〜5重量%加え、完全に溶解
させる。ここで、溶解条件および溶解方法などは非イオ
ン界面活性剤が均一に溶解するものであればいずれの条
件および方法であってもよいが、泡乃至泡沫などの発生
はポリエーテルエーテルケトンの分散混合が困難となる
ため、泡乃至泡沫などが発生しない条件及び方法が望ま
しい。
【0026】次に、水に非イオン界面活性剤を加えた溶
液に平均粒子径0.03mm以下のポリエーテルエーテ
ルケトンを0.1〜60重量%加え、攪拌などにより均
一に分散混合させる。ここで、攪拌などの方法及び条件
は均一な分散混合が得られるならば如何なる方法及び条
件であってもよく、中でも泡乃至泡沫などの発生しにく
いものが望ましい。
【0027】更に、上述により得られた水とポリエーテ
ルエーテルケトンと非イオン界面活性剤とからなる分散
液を攪拌などによる流動状態で50〜80℃に加熱保持
し、安定剤を0.1〜10重量%加え、均一に溶解させ
て本発明のポリエーテルエーテルケトン水性分散液が製
造される。ここで、加熱保持方法は、非イオン界面活性
剤、ポリエーテルエーテルケトン及び安定剤を変質させ
ない方法が望ましい。従って、溶液の温度が50℃未満
では安定剤の溶解作業時間が増加し、液温が80℃を超
えると泡乃至泡沫などが発生し易くなるため望ましくな
い。好ましくは60〜75℃である。
【0028】更に、充填材を配合したポリエーテルエー
テルケトン水性分散液は、上述で得られた水性分散液に
充填材を30重量%以下加え、攪拌などにより均一に分
散混合することにより製造される。ここで、充填材の水
性分散液への充填量はポリエーテルエーテルケトンの配
合量よりも少ない方が望ましく、また、2種類以上の充
填材を充填する場合もその合計充填量がポリエーテルエ
ーテルケトンの配合量よりも少ない方が望ましい。
【0029】この充填材を配合したポリエーテルエーテ
ルケトン水性分散液の製造方法としては、充填材を単独
で、又は2種類以上の充填材を混合した後に分散液に添
加するか、或いは充填材とポリエーテルエーテルケトン
とを混合して得られた充填材含有ポリエーテルエーテル
ケトンを分散液に添加するいずれの方法であってもよ
い。ここで、充填材の分散液への添加時期は、格別に制
限されないが、好ましくは非イオン界面活性剤の添加後
で、かつ安定剤の添加前である。
【0030】本発明のポリエーテルエーテルケトン水性
分散液は、製造直後に使用することができる。また、攪
拌などにより流動状態を維持しつつ室温まで冷却した後
に、長期間保存することもできる。なお、冷却の方法と
しては自然放冷又は強制冷却のいずれであってもよい。
【0031】本発明のポリエーテルエーテルケトン水性
分散液の使用に際しては、長期間保存中にポリエーテル
エーテルケトンや充填材が沈澱し易いため、その塗布前
に攪拌などによりポリエーテルエーテルケトンなどを均
一に分散・混合させておく方が望ましい。
【0032】また、織布又は不織布への塗布に際して
は、水性分散液中に泡沫が存在すると、得られるプリプ
レグのような積層成形材料における水性分散液の未着部
分、ボイド、表面荒れなどの発生原因となる。
【0033】このため、溶解及び攪拌などの各工程で泡
乃至泡沫を発生させないことが望ましいが、これは極め
て困難である。従って、各工程後または塗布前に真空脱
気などにより水性分散液中の泡乃至泡沫を除去すること
が望ましい。
【0034】一方、泡乃至泡沫などの除去方法として
は、水性分散液の成分を変化させない方法が望ましく、
また消泡剤及び抑泡剤を使用することは得られるプリプ
レグのような積層成形材料の物理、化学及び電気の各特
性並びに耐熱性及び外観の低下を招くことから望ましい
ことではない。しかし、消泡剤及び抑泡剤は所望の積層
成形材料の特性が得られるならば、必要に応じて使用さ
れてもよい。
【0035】この消泡剤及び抑泡剤としては、例えば、
高級アルコール、シリコーン、ポリカルボン酸、ポリプ
ロピレングリコール、リン酸トリブチルなどが挙げられ
る。これらの中でも、乾燥工程及び焼成工程において熱
分解によりガス化し残留成分を残さずに完全に除去され
るものが望ましいことの観点から、高級アルコールの使
用が望ましい。
【0036】本発明の積層成形材料は、上述したポリエ
ーテルエーテルケトン水性分散液を有機繊維及び/又は
無機繊維に塗布などして製造されるものである。
【0037】本発明の積層成形材料に使用される有機繊
維及び/又は無機繊維の織布又は不織布は、基材となる
ものであって、各物性に優れた高強度の積層成形材料を
得るには乾燥及び焼成の各工程で熱溶融・熱分解を起こ
さないものが好ましい。この織布又は不織布としては、
例えば、ガラスクロス、カーボンファイバークロス、芳
香族ポリアミドクロス、ガラスフェルト、ステンレスフ
ェルトなどが挙げられる。これらの中でも、ガラスクロ
ス、カーボンファイバークロス、芳香族ポリアミドクロ
スの使用が好ましい。
【0038】本発明の積層成形材料は、基材である織布
及び/又は不織布へのポリエーテルエーテルケトン水性
分散液の塗布方法としてスプレー法、ロールコータ法、
カーテンコータ法、浸漬法のいずれの方法を適用しても
容易に製造されることができるが、これらの中でも塗布
方法としては浸漬法が好ましい。この浸漬法は、浸漬工
程、乾燥工程及び焼成工程の一連の工程から構成され
る。
【0039】すなわち、織布又は不織布をポリエーテル
エーテルケトン水性分散液中に浸漬した後に引き上げ、
ついで水分を乾燥し、更にポリエーテルエーテルケトン
の融点以上の温度で焼成することによりポリエーテルエ
ーテルケトンと織布及び/又は不織布とが一体化して成
る積層成形材料が製造される。
【0040】織布又は不織布へのポリエーテルエーテル
ケトンの付着量は、浸漬、乾燥、焼成の一連の各工程を
繰り返すことにより、また水性分散液中のポリエーテル
エーテルケトンの濃度の調節及び浸漬時間の調節により
任意に設定されることができる。
【0041】充填材配合のポリエーテルエーテルケトン
の水性分散液を用いれば、充填材配合の積層成形材料が
得られる。充填材の配合量及び/又は種類の異なるポリ
エーテルエーテルケトン水性分散液を基材に塗布するこ
とにより、充填材の配合量及び/又は種類の異なるポリ
エーテルエーテルケトン層を2層以上有する積層成形材
料を得ることもできる。
【0042】また、ロールコータ法などにより片面にの
みポリエーテルエーテルケトン水性分散液を塗布するこ
とにより、基材の一方の面と他方面とに形成されたポリ
エーテルエーテルケトン層の厚みが異なる積層成形材料
を得ることもできる。
【0043】さらに、2種類以上の充填材の種類及び/
又は配合量の異なるポリエーテルエーテルケトン層の少
なくとも一つの層が充填材を充填していないポリエーテ
ルエーテルケトン層であってもよい。
【0044】さらにまた、積層成形材料の少なくとも一
方の面にフッ素樹脂(例えば、ポリテトラフロロエチレ
ン)、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィドのような
耐熱性樹脂などを塗布することもできる。
【0045】得られた積層成形材料を所望の形状に裁断
し積層し熱プレスなどにより一体化することにより各種
の積層成形材料を得ることができる。すなわち、積層成
形材料及び/又は充填材配合の積層成形材料のみで各種
の積層成形材料も得られるが、必要に応じて銅箔又はそ
の他の金属箔と板とを積層して銅張積層板、多層板、金
属張積層板としてもよく、またポリエーテルエーテルケ
トン以外の樹脂製の積層成形材料を混層してこれらの積
層成形材料を得てもよい。
【0046】このようにして得られた積層成形材料は物
理、化学及び電気の各特性並びに耐熱性などが優れてい
る。また、ポリエーテルエーテルケトンをポリエーテル
ケトン、ポリエーテルニトリル、ポリアリルエーテルケ
トン及び熱可塑性ポリイミドのような耐熱性樹脂に置き
換えることにより積層成形材料を得ることもできる。
【0047】本発明の積層成形材料は、物理、化学及び
電気の各特性、耐熱性並びに機械的強度が優れているた
め、また柔軟性を有するため、例えば、乾燥炉又は焼成
炉などのベルトコンベアのベルト材、又はフレキシブル
プリント基板の基材として使用されて極めて有用なもの
である。
【0048】また、本発明の積層成形材料を積層成形し
て得られる多層積層板、銅張積層板及び金属張積層板
は、機械部品、構造用材料、断熱材又はプリント基板な
どとして使用されて極めて有用なものである。
【0049】以下において、実施例及び比較例を掲げ、
図面を参照しつつ本発明を更に詳しく説明する。
【0050】(実施例1)純水にトライトンX−100
(商品名、UCC&P社製、非イオン界面活性剤、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)1重量%を
加えて溶解した溶液に、平均粒子径:0.016mmの
ビクトレックス・ピーク10重量%を加えて撹拌分散し
て分散液を調製した。この分散液を65℃に加熱保持
し、撹拌しつつカーボポール941(商品名、ビ・エフ
・グッドリッチ・ケム(B.F.Goodrich C
hem)社製、安定剤、ポリアクリル酸)0.5重量%
を加えて本発明のポリエーテルエーテルケトン水性分散
液を得た。
【0051】得られたポリエーテルエーテルケトン水性
分散液を用いて、質量110g/m2 のPWB用ガラス
クロス(商品名、(株)有沢製作所製、ガラスクロス)
に浸漬法により5回塗布して本発明の積層成形材料を得
た。なお、1回の塗布による積層成形材料におけるポリ
エーテルエーテルケトンの量は10重量%で、5回繰り
返しの場合は60重量%であった。
【0052】得られた積層成形材料を250mm×25
0mmに裁断し、4枚重ねて加熱成形して板厚0.7m
m×250mm×250mmの積層板を得た。その積層
成形材料4枚の重量は70.25gで、一方その積層板
の重量は69.8gであった。その差はわずかに0.4
5gであり、ポリエーテルエーテルケトンの流れ出し量
が極めて少ないことが確認された。また、積層成形材料
の比誘電率は3.53であった。
【0053】(実施例2)純水にトライトンX−100
を1重量%加え溶解した溶液に、平均粒子径0.016
mmのビクトレックス・ピーク10重量%及びフルオン
AD1(商品名、旭硝子(株)製、ポリテトラフロロエ
チレン60重量%含有の水性分散液)10重量%を加
え、撹拌し、分散させて分散液を得た。この分散液を6
5℃に加熱保持しつつ撹拌しながら、分散液にカーボポ
ール941を0.5重量%を加え、充填材が配合された
本発明のポリエーテルエーテルケトン水性分散液を得
た。
【0054】得られたポリエーテルエーテルケトン水性
分散液を用いて、質量110g/m2 のPWB用ガラス
クロスに浸漬法により5回塗布して本発明の積層成形材
料を得た。なお、得られた積層成形材料は図2に示す通
り、ポリエーテルエーテルケトン1にポリテトラフロロ
エチレン3が均一に充填され、両者を合計した樹脂量は
65重量%であった。
【0055】得られた積層成形材料を250mm×25
0mmに裁断し、4枚重ねて加熱成形して板厚0.7m
m×250mm×250mmの積層板を得た。この積層
板の比誘電率は3.17であった。
【0056】(実施例3)純水にトライトンX−100
を1重量%加えて溶解した溶液に、平均粒子径0.01
6mmのビクトレックス・ピーク10重量%及びイワタ
ニアルミナ(商品名、岩谷化学工業(株)製、アルミナ
粉末、平均粒子径:0.001mm)10重量%を加え
撹拌分散して分散液を調製した。この分散液を65℃に
加熱保持し、撹拌しつつカーボポール941を0.5重
量%加え、充填材が配合された本発明のポリエーテルエ
ーテルケトン水性分散液を得た。
【0057】得られた充填材配合ポリエーテルエーテル
ケトン水性分散液を用いて、質量110g/m2 のPW
B用ガラスクロスに浸漬法により5回塗布して本発明の
積層成形材料を得た。なお、得られた積層成形材料は図
3に示す通り、ポリエーテルエーテルケトン1にアルミ
ナ粉末4が均一に充填され、両者を合計した樹脂量は6
8重量%であった。
【0058】得られた積層成形材料を250mm×25
0mmに裁断し、4枚重ねて加熱成形して板厚0.7m
m×250mm×250mmの積層板を得た。この積層
板の比誘電率は5.1であった。
【0059】(実施例4)イワタニアルミナ10重量%
をグラファイト5重量%に変えた以外は、実施例3と同
一である本発明の充填材配合ポリエーテルエーテルケト
ン水性分散液を調製した。実施例1の積層成形材料に浸
漬法により1回塗布を行い、図4に示す通り、内部が無
充填のポリエーテルエーテルケトン1であり、かつ表面
にはグラフィト6が均一に充填されて成る充填材配合ポ
リエーテルエーテルケトン層5から成る充填材が配合さ
れた本発明の積層成形材料を得た。
【0060】この積層成形材料はグラファイトを含有す
る表面層を有するため、摺動特性が極めて良好であるこ
とが確認された。
【0061】(実施例5)実施例1の積層成形材料にフ
ルオンAD639(商品名、旭硝子(株)製、ポリテト
ラフロロエチレン水性分散液)を浸漬法により2回塗布
し、図5に示す通り、内部がポリエーテルエーテルケト
ン1から成り、かつ表面がポリテトラフロロエチレンか
ら成る本発明の積層成形材料を得た。
【0062】この積層成形材料においてはポリエーテル
エーテルケトンの樹脂量が56重量%であり、ポリテト
ラフロロエチレンの樹脂量が7重量%であった。
【0063】このようにポリテトラフロロエチレンを表
面に塗布した充填材が配合された積層成形材料は、高強
度でかつ耐薬品性が優れていることが確認された。
【0064】(実施例6)実施例1の積層成形材料に、
スプレー法により片面に実施例4の充填材配合ポリエー
テルエーテルケトン水性分散液を塗布し、かつ他の面に
実施例5のポリテトラフロロエチレン水性分散液を塗布
して充填材が配合された本発明の積層成形材料を得た。
【0065】得られた積層成形材料は、図6に示す通
り、内部がポリエーテルエーテルケトン1とガラスクロ
ス2とからなり、片面がグラファイト6が均一に充填さ
れて成る充填材配合ポリエーテルエーテルケトン層を有
し、もう一方の面がポリテトラフロロエチレン7を有す
る構成である。
【0066】この充填材が配合された本発明の積層成形
材料は高い機械的強度、良好な耐熱性を有しかつ片面が
グラファイトを内包するために良好な摺動特性を有し、
もう一方の面がポリテトラフロロエチレンであるため優
れた耐薬品性を有することが確認された。
【0067】
【比較例】フィルム厚0.2mm×250mm×250
mmのビクトレックス・ピーク製のフィルム5枚と25
0mm×250mmに裁断した質量110g/m2 のP
WB用ガラスクロス4枚を交互に重ね合わせた後、加熱
成形を行い板厚0.7mm×250mm×250mmの
積層板を得た。
【0068】ビクトレックス・ピーク製のフィルムとP
WB用ガラスクロスとの合計重量は108.5gであっ
たが、得られた積層板の重量は72.6gであった。こ
の事は、36.1gのポリエーテルエーテルケトン(ビ
クトレックス・ピーク)が積層板外に流出し成形上の損
失となったことを示す。
【0069】薄いポリエーテルエーテルケトンフィルム
を使用するなどして積層板外への流出を無くした積層板
は、積層板中にボイドやピンホールなどが発生し易く、
均一にポリエーテルエーテルケトンが充填された積層板
は得られなかった。
【0070】
【発明の効果】以上に詳述した通り、本発明のポリエー
テルエーテルケトン水性分散液は、従来製造されること
がなかった水性分散液であって、ポリエーテルエーテル
ケトンが分散混合して成る水性分散液であるため、例え
ば織布及び/又は不織布への含浸塗布が可能となる。こ
のため、例えば、物理、化学及び電気の各特性並びに耐
熱性が優れたポリエーテルエーテルケトン製プリプレグ
を安全かつ経済的に製造することができる。
【0071】本発明の積層成形材料は、上記したポリエ
ーテルエーテルケトン水性分散液を用いて得られたもの
であるため、織布及び/又は不織布とポリエーテルエー
テルケトンが一体化しており、このため優れた物理、化
学及び電気の各特性を有する。
【0072】また、本発明の積層成形材料は、所望の特
性を有する樹脂をその表面に塗布することにより、高強
度及び高耐熱性を有すると共に、所望の表面特性を有す
る積層成形材料となすことができる。
【0073】また、本発明の積層成形材料は、配合する
充填材を種々選択して用いることにより、所望の機械的
性質、熱的性質、電気的性質、色などを有するものを得
ることができる。
【0074】さらに、本発明の積層成形材料は、積層成
形加工に際し、ガラスクロスとポリエーテルエーテルケ
トンフィルムを交互に積層した場合と比較して、ポリエ
ーテルエーテルケトンの流出量が少なく、それだけポリ
エーテルエーテルケトンの損失が少なくてすむため、そ
の製造方法の面において極めて経済的かつ簡易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造された本発明の積層成形材料の
断面図である。
【図2】実施例2で製造された本発明の充填材入り積層
成形材料の断面図である。
【図3】実施例3で製造された本発明の充填材入り積層
成形材料の断面図である。
【図4】実施例4で製造された本発明の充填材入り積層
成形材料の断面図である。
【図5】実施例5で製造された本発明の積層成形材料の
断面図である。
【図6】実施例6で製造された本発明の積層成形材料の
断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 15/53 // C08L 71:10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径0.03mm以下のポリエーテ
    ルエーテルケトン0.1〜60重量%、非イオン界面活
    性剤0.01〜5重量%及び安定剤0.1〜10重量%
    を水に分散させてなることを特徴とするポリエーテルエ
    ーテルケトン水性分散液。
  2. 【請求項2】さらに30重量%以下の無機質及び/又は
    有機質の充填材を含む請求項1に記載のポリエーテルエ
    ーテルケトン水性分散液。
  3. 【請求項3】平均粒子径0.03mm以下のポリエーテ
    ルエーテルケトン0.1〜60重量%、非イオン界面活
    性剤0.01〜5重量%及び安定剤0.1〜10重量%
    を水に分散させてなるポリエーテルエーテルケトン水性
    分散液を含浸した有機繊維及び/又は無機繊維の織布又
    は不織布であることを特徴とする積層成形材料。
  4. 【請求項4】ポリエーテルエテールケトン水性分散液が
    さらに30重量%以下の無機質及び有機質の充填剤を含
    む請求項3に記載の積層成形材料。
  5. 【請求項5】充填材の種類及び/又は量が異なるポリエ
    ーテルエーテルケトン層を有する請求項3に記載の積層
    成形材料。
  6. 【請求項6】積層成形材料の一方の面と他方の面のポリ
    エーテルエーテルケトン層の厚さが異なる請求項3に記
    載の積層成形材料。
  7. 【請求項7】積層成形材料の少なくとも一方の面がポリ
    エーテルエーテルケトン以外の樹脂を有する請求項3に
    記載の積層成形材料。
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