JPH05343756A - 半導体結合超伝導素子 - Google Patents

半導体結合超伝導素子

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JPH05343756A
JPH05343756A JP4150453A JP15045392A JPH05343756A JP H05343756 A JPH05343756 A JP H05343756A JP 4150453 A JP4150453 A JP 4150453A JP 15045392 A JP15045392 A JP 15045392A JP H05343756 A JPH05343756 A JP H05343756A
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Tatsushi Akasaki
達志 赤▲崎▼
Junsaku Nitta
淳作 新田
Hideaki Takayanagi
英明 高柳
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた超伝導電流特性およびその制御特性に優
れた半導体結合超伝導3端子素子を提供する。 【構成】半導体中の2次元電子ガスで結合した半導体結
合超伝導3端子素子において、半導体として高キャリア
濃度、高移動度を有し、かつトランスコンダクタンスg
mの大きいInAlAs/InGaAs(In組成が80原子
%以上)系のHEMTを用い、加えてInGaAsよりな
るチャネル層と超伝導電極間のショットキーバリアを無
くしオーミック接触を可能とした素子構造とする。 【効果】高キャリア濃度、高移動度で、 かつ高いトラ
ンスコンダクタンスgmが得られるので、これを用いて
構成した半導体結合超伝導素子は、優れた超電流特性お
よびその制御特性を実現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体を接合部にもつ超
伝導素子、すなわち超伝導体と半導体と超伝導体とを結
合して構成した半導体結合超伝導素子に関する。
【0002】
【従来の技術】トンネル型ジョセフソン接合素子の発明
以来、半導体におけるバイポーラトランジスタや電界効
果トランジスタ(FET)に対応する超伝導3端子素子
の研究は数多く行われている。この中にあって、半導体
結合超伝導素子は、半導体に対する電気的制御による3
端子動作の可能性から多くの試みがなされてきた。半導
体結合超伝導素子において、半導体中に流れる超伝導電
流Icの大きさは、次の数1式によって与えられる
(R.C.Ruby and T.Van Duzer:IEEE Tra
nsactions on Electron Devices,ED‐28(19
81),p.1394)。
【0003】
【数1】
【0004】ここで、Δnは超伝導体/半導体界面の半
導体側に誘起されるペアポテンシャル、Lは超伝導電極
間の距離である。ξnは、半導体中へのクーパー対の侵
入長に相当した量(コヒーレンス長と呼ばれる)であ
り、次の数2,数3式で与えられる(例えば、V.Z.
Kresin:Physical Review B34(1986),
p.7587)。
【0005】
【数2】
【0006】
【数3】
【0007】ここで、h′(h′=h/2πとする)は
プランク定数、kはボルツマン定数、Tは温度であ
り、このコヒーレンス長ξnは半導体のキャリア濃度Ns
と移動度μおよび有効質量m*で決まる。数2式は、コ
ヒーレンス長ξnが平均自由行程1よりも長い、いわゆ
るダーティリミットの場合に成り立ち、 数3式は、1
>ξnのクリーンリミットの場合である。また、Δnは d
e Gennesの境界条件(P.G.de Gennes:Reviews
of Modern Physics 36(1964),p.225)
によれば、状態密度の比によって決定されキャリア濃度
が高い程大きくなるが、超伝導体/半導体界面の酸化膜
やショットキバリアの存在によって大きく低減される。
したがって、大きな超伝導電流を得るにはショットキバ
リアがなく、かつ高キャリア濃度で高移動度半導体材料
を用いる必要がある。また、3端子動作の原理は、ゲー
ト電圧による半導体中のキャリア濃度変化が数1式にお
けるコヒーレンス長ξnおよびペアポテンシャルΔn変化
を通じて、超伝導電流Icを制御することにある。した
がって、すぐれた制御特性を得るためには、小さなゲー
ト電圧によってキャリア濃度の大きな変化が可能なトラ
ンスコンダクタンスgmの大きな半導体材料であること
が必要条件となる。これまでに実現された、代表的な半
導体結合超伝導3端子素子としては、 InAsを用い
たもの(H.Takayanagi and T.Kawakami:Physic
al Review Letters 54(1985),p.244
9、およびH.Takayanagi and T.Kawakami:Dige
st of Technical Papers(1985),p.98〔In
ternational Electron Device Meeting,Washingto
n D.C.〕)、 Siを用いたもの(T.Nishino,
M.Miyake,Y.Harada and U.Kawabe:IEEE
Electron Devices Letters,6(1985),p.
297)、およびT.Nishino,E.Yamada and U.
Kawabe:Physical Review B33(1986),p.
2042)、 InGaAsを用いたもの(A.W.Kle
insasser,T.N.Jackson,D.Mclnturff,F.R
ammo,G.D.Pettit and J.M.Woodall:Appli
ed Physics Letters 55(1989),p.190
9)、 GaAsを用いたもの(Z.Ivanov,T.Cla
eson and T.Anderson:Japanese Journal of App
lied Physics Supplement 26‐3(1987),
p.1617)、などが挙げられる。しかしながら、実
用に供するものは現在までに得られていない。この原因
として、InAsを用いた素子においては、超伝導電極と
オーミックコンタクトが可能であるものの適当なゲート
酸化膜を得るのが難しく、充分なゲート電圧特性が得ら
れていない点にある。Siを用いた超伝導素子において
は、超伝導電極との間にショットキーバリアが存在し、
かつ移動度が低いために超伝導電極間隔Lを0.1μm
程度にまで短くする必要があった。また、InGaAsあ
るいはGaAsを用いた素子についてもショットキーバリ
アが存在し超伝導電流が小さく、かつ良好なゲート電圧
特性が得られないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したごとく、従来
の半導体結合超伝導3端子素子においては、キャリア濃
度や移動度が高くても超伝導電極とオーミックコンタク
トがとれていなかったり、あるいはオーミックコンタク
トがとれていてもトランスコンダクタンスgmが低く、
優れた超伝導電流特性およびその制御特性が得られない
という問題があった。
【0009】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解消し、優れた超伝導電流およびその制御特性を有する
半導体結合超伝導3端子素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、半導体中の2次元電子ガスで結合した半導
体結合超伝導3端子素子において、半導体として高キャ
リア濃度、高移動度を有し、かつトランスコンダクタン
スgmの大きいInAlAs/InGaAs系のHEMT(hig
h‐electron‐mobility‐transistor)を用いることを
特徴とするものである。加えて、InGaAsよりなるチ
ャネル層と超伝導電極間のショットキーバリアを無くす
ことにより、オーミック接触を可能とするものである。
【0011】本発明は、半導体中に形成される2次元電
子ガスと、該2次元電子ガスとオーミック接触する2つ
の超伝導電極と、該2つの超伝導電極間の上記半導体の
2次元電子ガス中に流れる超伝導電流を制御するゲート
電極とを少なくとも備えた半導体結合超伝導素子におい
て、上記半導体は、基板側から、InAlAsよりなるバ
ッフア層と、InGaAsよりなるチャネル層と、InAl
Asよりなるスペーサ層と、InAlAsよりなるキャリア
供給層と、InAlAsよりなるゲートコンタクト層を順
次積層して構成した半導体結合超伝導素子である。さら
に、本発明の半導体結合超伝導素子を構成する半導体
は、 基板側から、InAlAsよりなるバッフア層と、
InAlAsよりなるキャリア供給層と、 InAlAsより
なるスペーサ層と、InGaAsよりなるチャネル層と、
InAlAsよりなるゲートコンタクト層を順次積層し
て、半導体結合超伝導素子を構成することもできる。本
発明の半導体結合超伝導素子を構成する半導体のInGa
Asよりなるチャネル層中のIn組成は80原子%以上含
有するものであり、このチャネル層に2つの超伝導電極
を接触させることによりオーミック接触を構成するもの
である。また、上記InGaAsよりなるチャネル層中の
In組成は、該チャネル層のゲート電極側の界面におい
て80原子%以上含有し、 かつ上記界面以外の部分に
おけるIn組成は、基板と格子整合するIn組成範囲に変
化する構成となし、上記InGaAsよりなるチャネル層
を2つの超伝導電極と接触させることによりオーミック
接触を構成することもできる。
【0012】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、図面を用いて
さらに詳細に説明する。 <実施例1>図1に、本実施例における半導体結合超伝
導3端子素子の構造の一例を示す。半絶縁性InP基板
9上に、アンドープInAlAsバッフア層8、 アンド
ープInGaAsチャネル層(In組成が80原子%以上)
7、アンドープInAlAsスペーサ層6、n+InAlAs
キャリア供給層5、およびアンドープInAlAsゲート
コンタクト層4を順次積層し、さらに超伝導電極(ソー
ス)1、超伝導電極(ドレイン)2、およびゲート電極
3を設けた素子構造である。この素子構造は、MBE法
あるいはMOCVD法により成長させたウエハを、光露
光あるいは電子ビーム露光を用いてパターニングするこ
とにより作製することができる。また、超伝導電極1,
2直下の半導体を、少なくともアンドープInGaAsチ
ャネル層に達するまでウェットエッチングまたはドライ
エッチングを用いて除去し、超伝導電極1,2と接触さ
せている。InGaAsチャネル層が、InP基板に格子整
合している場合のIn組成は53%であり、この時のシ
ョットキーバリアハイトΦBは約0.2eVである。しか
し、InGaAsのIn組成が80%を超えると、ショット
キーバリアハイトΦBはほとんど零(0)となる(K.
Kajiyama,Y.Mizushima,and S.Sakata:App
l.Phys.Lett.,23(8)(1973),p.45
8)。このことから、InGaAsチャネル層のIn組成を
80%以上にすることにより超伝導電極とのオーミック
接触が可能となり、バリアを介することなくクーパー対
が供給され、InGaAs層を通じてソース、ドレイン間
に超伝導電流が流れる。ここで、ゲート電極に電界をか
けることにより、上記InGaAs層中に形成される二次
元電子ガスのキャリア濃度を変化させ、超伝導電流に変
化をもたらし制御することができる。また、InPに格
子整合しているIn組成が53%のInGaAs/InAlA
s系HEMTは、AlGaAs/GaAs系HEMTに比べ、
高いキャリア濃度と移動度を持つことが知られている
が、さらにIn組成を80%にすることにより、キャリ
ア濃度Nsが3.1×1012cm~2で、移動度μが126
00cm2/Vs(300K)、トランスコンダクタンスg
mもゲート長650Åの時にgm=1.58S/mmとな
ることが報告されている(L.D.Nguyen,A.S.
Brown,M.A.Thompson,L.M.Jelloian,L.
E.Larson and M.Matloubian:IEEE Electro
n Devices Letters,13(1992),p.14
3)。この値は、従来構造のIn組成が53%の素子と
比較して約25%の改善である。本発明においては、超
伝導電極をIn組成が80%以上のInGaAs層と結合さ
せることにより、オーミックコンタクトを可能とするこ
とと、高いキャリア移動度とトランスコンダクタンスg
mが得られる特徴を生かした半導体結合超伝導素子が実
現されるものであって、本発明の素子では、大きな超伝
導電流と感度の優れたゲート特性が可能となる。本発明
の素子のように、大きな超伝導電流が得られることは、
熱雑音に対する安定性や次段の駆動能力を得るために重
要である。
【0013】<実施例2>図2は、本実施例における素
子構造を示す。図に示すごとく、チャネル層の下にキャ
リア供給層を持つHEMTは、実施例1が順HEMT構
造と呼ばれるのに対し、逆HEMT構造と呼ばれてい
る。この素子構造は、InGaAsチャネル層/InAlAs
キャリア供給層の界面に形成される2次元電子層がゲー
トに近づくために、従来の素子構造のHEMTよりも高
いトランスコンダクタンスgmを示す。加えて、チャネ
ル層の下にキャリア供給層があるため、超伝導電極と接
触する部分のInGaAsチャネル層のバンドが下げら
れ、オーミックコンタクトがさらに改善される。これら
のことから、本発明の半導体結合超伝導素子では、大き
な超伝導電流と感度の優れたゲート特性が得られる。
【0014】<実施例3>図3に、本実施例における素
子構造を示す。本実施例の特徴とするところは、アンド
ープInGaAsチャネル層10のIn組成を、半絶縁性I
nP基板9側から、該InP基板9に格子整合するIn組
成から、アンドープInAlAsゲートコンタクト層4と
の界面においてIn組成が80原子%以上となるよう
に、In組成を段階的に増加させる構成にして、超伝導
電極1,2とオーミック接触が得られるようにした点に
ある。この素子構造の利点は、実施例1および2と同様
のオーミック接触が得られるのに加えて、In組成を段
階的に増大させることにより、格子不整合による結晶性
の劣化を抑制することができることである。また、図3
では、実施例2と同じ逆HEMTの素子構造を例示した
が、これを順HEMTの素子構造としても上記と同様の
効果が得られることは言うまでもない。
【0015】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明の半
導体結合超伝導3端子素子は、InGaAsよりなるチャ
ネル層のIn組成を80原子%以上とするか、あるいは
ゲートコンタクト層との界面においてIn組成を80原
子%以上とすることにより、超伝導電極とのオーミック
接触が可能となり、高キャリア濃度、高移動度で、かつ
高いトランスコンダクタンスgmが得られるので、これ
を用いて構成した半導体結合超伝導素子は、優れた超伝
導電流特性およびその制御特性を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1において例示したIn組成が
80原子%以上のInGaAsチャネル層を有するInAl
As/InGaAs系の順HEMT構造の半導体結合超伝導
3端子素子の断面構成を示す摸式図。
【図2】本発明の実施例2において例示したIn組成が
80原子%以上のInGaAsチャネル層を有するInAl
As/InGaAs系の逆HEMT構造の半導体結合超伝導
3端子素子の断面構成を示す摸式図。
【図3】本発明の実施例3において例示したInAlAs
ゲートコンタクト層/InGaAsチャネル層の界面での
In組成を80%以上としたInAlAs/InGaAs系の
逆HEMT構造の半導体結合超伝導3端子素子の断面構
成を示す摸式図。
【符号の説明】
1…超伝導電極(ソース) 2…超伝導電極(ドレイン) 3…ゲート電極 4…アンドープInAlAsゲートコンタクト層 5…n+InAlAsキャリア供給層 6…アンドープInAlAsスペーサ層 7…アンドープInGaAsチャネル層(In組成が80%
以上) 8…アンドープInAlAsバッフア層 9…半絶縁性InP基板 10…アンドープInGaAsチャネル層(In組成が段階
的に変化)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体中に形成される2次元電子ガスと、
    該2次元電子ガスとオーミック接触する2つの超伝導電
    極と、該2つの超伝導電極間の上記半導体の2次元電子
    ガス中に流れる超伝導電流を制御するゲート電極とを少
    なくとも備えた半導体結合超伝導素子において、上記半
    導体は、基板側から、InAlAsよりなるバッフア層
    と、InGaAsよりなるチャネル層と、InAlAsよりな
    るスペーサ層と、InAlAsよりなるキャリア供給層
    と、InAlAsよりなるゲートコンタクト層を順次積層
    して構成したことを特徴とする半導体結合超伝導素子。
  2. 【請求項2】半導体中に形成される2次元電子ガスと、
    該2次元電子ガスとオーミック接触している2つの超伝
    導電極と、該2つの超伝導電極間の上記半導体の2次元
    電子ガス中に流れる超伝導電流を制御するゲート電極と
    を少なくとも備えた半導体結合超伝導素子において、上
    記半導体は、基板側から、InAlAsよりなるバッフア
    層と、InAlAsよりなるキャリア供給層と、InAlAs
    よりなるスペーサ層と、InGaAsよりなるチャネル層
    と、InAlAsよりなるゲートコンタクト層を順次積層
    して構成したことを特徴とする半導体結合超伝導素子。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載の半導体結合
    超伝導素子において、 In組成が80原子%以上含有
    するInGaAsからなるチャネル層に2つの超伝導電極
    を接触させることにより、オーミック接触を構成したこ
    とを特徴とする半導体結合超伝導素子。
  4. 【請求項4】請求項1または請求項2記載の半導体結合
    超伝導素子において、InGaAsよりなるチャネル層中
    のIn組成は、該チャネル層のゲート電極側の界面にお
    いて80原子%以上含有し、かつ上記界面以外の部分に
    おけるIn組成は、基板と格子整合するIn組成範囲に変
    化する構成となし、上記InGaAsよりなるチャネル層
    を2つの超伝導電極と接触させることによりオーミック
    接触を構成したことを特徴とする半導体結合超伝導素
    子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006093731A (ja) * 2005-11-07 2006-04-06 Fujitsu Ltd 化合物半導体装置
JP2006120784A (ja) * 2004-10-20 2006-05-11 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 半導体結合超伝導三端子素子及びその製造方法
JP2016219726A (ja) * 2015-05-26 2016-12-22 日本電信電話株式会社 電界効果トランジスタ

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