JPH0534293Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、転てつ器の設置部分に表示装置を設
けて運転者の注意力を喚起することにより、鉄道
線路における転てつ器設置部分を進行する車輌が
転てつ器の背向側からこの部分を通過するとき、
転てつ器が通過阻止状態にあるにもかかわらず、
転てつ器のトングレールを無理に押し開いて進行
するのを防止することを目的として成された、転
てつ器の開通方向表示装置に関するものである。

（従来の技術） 周知のように転てつ器にあつては、車輌が対向
側から進行する場合はなんの問題もないが、背向
側から進行するときには、トングレールの位置
（向き）によつて、支障なく進行できる開通側と、
進行すると支障が生ずる非開通側とがある。非開
通側とは、転てつ器を対向側から見たとき、トン
グレールの位置（向き）が、車輌を導入しない側
の背向側である。通常の列車運行では、信号機の
示す現示によつて運転するため、転てつ器の開通
方向と信号機の連動によつて安全が確保され、こ
のように非開通側の背向側から車輌を進行させる
ことはないが、夜間に行なわれる各種修理等のた
めの保守用車輌では、信号機の現示にたよらず特
異な運転を行なうので、不注意によりこの方向か
ら転てつ器を通過しようとする場合がある。

（考案が解決しようとする課題） このように車輌が非開通側から転てつ器を通過
しようとすると、当然にトングレールを押し開く
ことになるので、転てつ器その他に無理な力が加
わり、転てつ棒または転てつ器自体を破損し、ま
たは車輌が脱輪し、その修復作業に手間どり、列
車ダイヤを混乱させることになるおそれがある。
本考案はこの問題を解決するために成されたもの
である。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記課題を解決するための手段とし
て、軸と、アームと、表示板とを有する転てつ器
の開通方向表示装置であつて、軸は、転てつ器の
近傍に回動自在に垂設され、アームは、一端が転
てつ器の転てつ棒に結合し、他端は軸に結合さ
れ、転てつ器の動作に対応して軸を回動させるも
のであり、表示板は、軸の上方部位に取付けら
れ、軸線方向から見て所定角度の複数の面に開通
と非開通の表示を塗り分けたものである。

（作用） このような構成とすれば、転てつ器の切換えを
行なうたびに表示板が回動して、背向側から進行
する車輌に、開通と非開通の表示を行なうから、
保守用車輌の運転者はこの表示に従つて運転する
ことにより、非開通の表示が手でいるときにはそ
の手前で車輌を停止させ、場合によつて転てつ器
を開通側に切換えてから進行することにより、こ
の種の表示装置が存在しなかつた従来のように、
転てつ棒または転てつ器自体に破損を生ずること
がないことになる。

（実施例） 次に、本考案の一実施例を図について説明する
と、第１図において１は転てつ器であつて、軸８
と、アーム１０と、表示板１４とを有するもので
ある。この転てつ器１は、図の上方が対向側、下
方が二又に分れる背向側である。これらは枕木２
に基本レール３とトングレール４とが支持されて
形成されている。枕木２の一つは延長され、この
延長部分、すなわち転てつ器１の近傍に、第３図
に示すようにボルト５、ナツト６により取付けら
れたブラケツト７を介して垂設された軸８が、こ
の軸線を中心にする向きに回動自在に支持されて
いる。第２図および第３図に示すように軸８の下
端にはボス９が一体に設けられている。１０はア
ームであつて、一端がロツド１２を介して転てつ
器１の転てつ棒１３に結合しており、他端はボス
９に、ナツト１１によつて固着されている。

以上の構造により、トングレール４が転てつ作
用で所定距離動くと、この動きは転てつ棒１３と
ロツド１２を介してアーム１０に伝えられ、軸８
を回動させることになる。そこでアーム１０の長
さを適当に選定し、トングレール４が切換えに必
要なだけ動いたとき、軸８が90°だけ回動するよ
うに設定する。

第２図および第３図に示すように、軸８の上方
部位には、軸８の軸線方向から見て二又に分れる
左右の基本レール３，３の開き度合いに応じた所
定角度を有する複数の面を有する表示板１４が取
り付けられている。そしてこの表示板１４の複数
の面は、「開通」と「非開通」とをそれぞれ表示
するように塗り分けられている。１４ａは「開
通」をまた１４ｂは「非開通」を示すマークで、
それぞれ色分けされ、夜間のヘツドランプで明確
に識別できるようになつている。表示板１４の軸
８への取付けはボルト等で行なう。

このように構成されたこの進路表示装置は、転
てつ器１を、背向側（図面の下側）から通過する
車輌の運転者が表示板１４を確認するのが目的で
ある。したがつて軸８の長さや表示板１４の大き
さは、これに適したものとする。実施例において
は、軸長ｌ＝402mm（50Kgレールのとき）および
375mm（50Kgレールのとき）とし、表示板１４は
横が300mm、縦が200mmの長方形にして好結果を得
ている。

この表示板１４の見方としては、第１図の背向
側から車輌を進行させて来た場合、左側から来る
車輌は「非開通」であり、右側から来る車輌は
「開通」である。したがつて左側から来る車輌の
運転者は転てつ器１の手前で一時停止をし、下車
して手動またはスイツチ操作により、転てつ器１
野切換えを行なつてそれと共に回動する表示板１
４で「開通」を確認してから車輌を進行させる。

（考案の効果） 本考案は以上説明したように構成したものであ
るから、保守用車輌の運転者が表示板を見た上で
「開通」を確認して走行するようにすれば、車輌
が転てつ器のトングレールを無理に押し開いて進
行するのを確実に防止することができるから、転
てつ棒または転てつ器自体を破損したり、車輌を
脱輪させたりすることが全く生じないことにな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用する転てつ器の平面図、
第２図は第１図の矢印方向を拡大して示した矢
視図、第３図は第１図の矢印方向を拡大して示
した矢視図、第４図は第２図の表示板より下の部
分の平面図、第５図は第４図の底面図である。 １……転てつ器、３……基本レール、４……ト
ングレール、８……軸、１０……アーム、１２…
…ロツド、１３……転てつ棒、１４……表示板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 軸８と、アーム１０と、表示板１４とを有する
   転てつ器の開通方向表示装置であつて、 軸８は、転てつ器１の近傍に回動自在に垂設さ
   れ、 アーム１０は、一端が転てつ器１の転てつ棒１
   ３に結合し、他端は軸８に結合され、転てつ器１
   の動作に対応して軸８を回動させるものであり、 表示板１４は、軸８の上方部位に取付けられ、
   軸線方向から見て所定角度の複数の面に開通と非
   開通の表示を塗り分けたものである 転てつ器の開通方向表示装置。