JPH05340365A - 接触面における密閉促進構造 - Google Patents
接触面における密閉促進構造Info
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- JPH05340365A JPH05340365A JP30636192A JP30636192A JPH05340365A JP H05340365 A JPH05340365 A JP H05340365A JP 30636192 A JP30636192 A JP 30636192A JP 30636192 A JP30636192 A JP 30636192A JP H05340365 A JPH05340365 A JP H05340365A
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- ridge
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Abstract
(57)【要約】
【構成】本発明はスクロール流体機械のように高い密着
性を必要とする機械部品の表面を処理した接触面におけ
る密閉促進構造に関するものであり、共に硬質材料から
成る一の部材10Aと他の部材10Bとの構成表面の一
部または全部が接触することで密閉を維持する構造にお
いて、一の部材10Aの構成表面には変形許容層13を
設け、他の部材10Bの構成表面には密閉用突稜14を
設けたことを特徴とする。 【効果】本発明では密閉用突稜14が設けられるから、
合成樹脂材料においてフィラーを含むことに因んで不可
避的に形成されてしまう凹凸があっても、密閉用突稜1
4と変形許容層13との両者の作用により、表面粗度の
大きな部材であっても結果的に高い密着性が保たれる。
性を必要とする機械部品の表面を処理した接触面におけ
る密閉促進構造に関するものであり、共に硬質材料から
成る一の部材10Aと他の部材10Bとの構成表面の一
部または全部が接触することで密閉を維持する構造にお
いて、一の部材10Aの構成表面には変形許容層13を
設け、他の部材10Bの構成表面には密閉用突稜14を
設けたことを特徴とする。 【効果】本発明では密閉用突稜14が設けられるから、
合成樹脂材料においてフィラーを含むことに因んで不可
避的に形成されてしまう凹凸があっても、密閉用突稜1
4と変形許容層13との両者の作用により、表面粗度の
大きな部材であっても結果的に高い密着性が保たれる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えばいわゆるエンジニ
アリングプラスチックと称される合成樹脂によって機械
部品を構成した場合における機械部品間の密閉促進構造
に関するものである。
アリングプラスチックと称される合成樹脂によって機械
部品を構成した場合における機械部品間の密閉促進構造
に関するものである。
【0002】
【発明の背景】一般に金属素材によって構成されていた
機械装置や機械部品をいわゆるエンジニアリングプラス
チックと称される機械適性の優れた材料で構成すること
が行われている。しかしながら例えば部品等の表面精度
が極めて厳しく要求されているものにあっては、その要
求に応じきれず、従来は実施が困難なものと認識され、
積極的な開発への取り組みがされていなかった。
機械装置や機械部品をいわゆるエンジニアリングプラス
チックと称される機械適性の優れた材料で構成すること
が行われている。しかしながら例えば部品等の表面精度
が極めて厳しく要求されているものにあっては、その要
求に応じきれず、従来は実施が困難なものと認識され、
積極的な開発への取り組みがされていなかった。
【0003】その一例として例えばスクロール流体機械
が存在するものであって、このものの場合には流体を作
動させるための主要部材である一組の渦巻状ラップが重
要な構成となっており、相互に接するラップ同士の接点
におけるシール状況がその性能の良否を決定している。
このため従来のスクロール流体機械は、金属を主体と
し、鍛造成形後、ラップの表面研磨が入念に行われて製
造されていた。しかしながらこの表面研磨作業は、ラッ
プ自体が複雑な渦巻状であるため、数値制御によるいわ
ゆるNCラッピングマシンによるとしても極めて手間の
かかる作業を必要としていた。
が存在するものであって、このものの場合には流体を作
動させるための主要部材である一組の渦巻状ラップが重
要な構成となっており、相互に接するラップ同士の接点
におけるシール状況がその性能の良否を決定している。
このため従来のスクロール流体機械は、金属を主体と
し、鍛造成形後、ラップの表面研磨が入念に行われて製
造されていた。しかしながらこの表面研磨作業は、ラッ
プ自体が複雑な渦巻状であるため、数値制御によるいわ
ゆるNCラッピングマシンによるとしても極めて手間の
かかる作業を必要としていた。
【0004】そこで本発明者はエンジニアリングプラス
チックの加工適正に鑑み、スクロール流体機械について
もエンジニアリングプラスチックを用いて、その表面に
変形許容層を設けることで、表面粗度の大きな部材であ
っても高い密着性が得られるような合成樹脂部材の開発
を行い、既に特許出願をしている(特願平3−3343
05号)。
チックの加工適正に鑑み、スクロール流体機械について
もエンジニアリングプラスチックを用いて、その表面に
変形許容層を設けることで、表面粗度の大きな部材であ
っても高い密着性が得られるような合成樹脂部材の開発
を行い、既に特許出願をしている(特願平3−3343
05号)。
【0005】
【開発を試みた技術的事項】本発明はこのような機械部
品について、更に高い密着性を実現するための表面処理
を施した接触面における密閉促進構造の開発を試みたも
のである。
品について、更に高い密着性を実現するための表面処理
を施した接触面における密閉促進構造の開発を試みたも
のである。
【0006】
【目的達成の手段】即ち本出願に係る接触面における密
閉促進構造の第一の発明は、共に硬質材料から成る一の
部材と他の部材との構成表面の一部または全部が接触す
ることで密閉を維持する構造において、一の部材の構成
表面には変形許容層を設け、他の部材の構成表面には密
閉用突稜を設けたことを特徴として成るものである。
閉促進構造の第一の発明は、共に硬質材料から成る一の
部材と他の部材との構成表面の一部または全部が接触す
ることで密閉を維持する構造において、一の部材の構成
表面には変形許容層を設け、他の部材の構成表面には密
閉用突稜を設けたことを特徴として成るものである。
【0007】また本出願に係る接触面における密閉促進
構造の第二の発明は、共に硬質材料から成る一の部材と
他の部材との構成表面の一部または全部が接触すること
で密閉を維持する構造において、一の部材の構成表面に
密閉用変形突稜を設けたことを特徴として成るものであ
る。
構造の第二の発明は、共に硬質材料から成る一の部材と
他の部材との構成表面の一部または全部が接触すること
で密閉を維持する構造において、一の部材の構成表面に
密閉用変形突稜を設けたことを特徴として成るものであ
る。
【0008】更に本出願に係る接触面における密閉促進
構造の第三の発明は、前記要件に加えて前記他の部材の
構成表面には変形許容層が設けられることを特徴として
成るものである。
構造の第三の発明は、前記要件に加えて前記他の部材の
構成表面には変形許容層が設けられることを特徴として
成るものである。
【0009】更にまた本出願に係る接触面における密閉
促進構造の第四の発明は、共に硬質材料から成る一の部
材と他の部材との構成表面の一部または全部が接触する
ことで密閉を維持する構造において、一の部材の構成表
面と他の部材の構成表面とには共に変形許容層と密閉用
突稜とを設け、且つ一の部材と他の部材の密閉用突稜は
互いに位置がずれて存在し、各密閉用突稜に対応しても
う一方の部材には各々変形許容層が設けられていること
を特徴として成るものである。
促進構造の第四の発明は、共に硬質材料から成る一の部
材と他の部材との構成表面の一部または全部が接触する
ことで密閉を維持する構造において、一の部材の構成表
面と他の部材の構成表面とには共に変形許容層と密閉用
突稜とを設け、且つ一の部材と他の部材の密閉用突稜は
互いに位置がずれて存在し、各密閉用突稜に対応しても
う一方の部材には各々変形許容層が設けられていること
を特徴として成るものである。
【0010】更にまた本出願に係る接触面における密閉
促進構造の第五の発明は、前記要件に加えて前記硬質材
料は一定の機械強度を有するエンジニアリングプラスチ
ックであることを特徴として成るものである。
促進構造の第五の発明は、前記要件に加えて前記硬質材
料は一定の機械強度を有するエンジニアリングプラスチ
ックであることを特徴として成るものである。
【0011】更にまた本出願に係る接触面における密閉
促進構造の第六の発明は、前記要件に加えて前記変形許
容層または前記密閉用変形突稜は、ポリシラザンから成
ることを特徴として成るものである。これら発明により
前記目的を達成しようとするものである。
促進構造の第六の発明は、前記要件に加えて前記変形許
容層または前記密閉用変形突稜は、ポリシラザンから成
ることを特徴として成るものである。これら発明により
前記目的を達成しようとするものである。
【0012】
【発明の作用】本発明にあっては、一の部材の構成表面
には変形許容層を設け、他の部材の構成表面には密閉用
突稜を設けたから、両者の接触状態では密閉用突稜が変
形許容層に食い込むようにして完全な密閉が実現でき
る。
には変形許容層を設け、他の部材の構成表面には密閉用
突稜を設けたから、両者の接触状態では密閉用突稜が変
形許容層に食い込むようにして完全な密閉が実現でき
る。
【0013】また一の部材の構成表面に密閉用変形突稜
を設ければ、密閉用変形突稜の変形により高い密着性が
得られる。更にまた一の部材の構成表面と他の部材の構
成表面とには、共に変形許容層と密閉用突稜とを設け、
且つ一の部材と他の部材の密閉用突稜は互いに位置がず
れている構成とすれば、両部材の密閉用突稜が互いに他
の部材の変形許容層に食い込みより確実な密閉がなされ
る。
を設ければ、密閉用変形突稜の変形により高い密着性が
得られる。更にまた一の部材の構成表面と他の部材の構
成表面とには、共に変形許容層と密閉用突稜とを設け、
且つ一の部材と他の部材の密閉用突稜は互いに位置がず
れている構成とすれば、両部材の密閉用突稜が互いに他
の部材の変形許容層に食い込みより確実な密閉がなされ
る。
【0014】
【実施例】以下本発明を図示の実施例に基づいて具体的
に説明するが、その説明にあたっては本発明をスクロー
ル流体機械に適用した場合を例示して説明する。符号1
は本発明を適用するスクロール流体機械であって、この
ものについて概説すると、まず外筐部材としてほぼ円筒
状のハウジング2を具える。このハウジング2内には主
要部材である固定スクロール10Aと旋回スクロール1
0Bとが設けられるものであって、一例としてハウジン
グ2のエンドプレートを直接利用して固定スクロール1
0Aを形成する。これら固定スクロール10Aと旋回ス
クロール10Bとが互いに噛み合って流体の処理空間を
幾つか形成するものであり、これらの空間を作動室3と
する。
に説明するが、その説明にあたっては本発明をスクロー
ル流体機械に適用した場合を例示して説明する。符号1
は本発明を適用するスクロール流体機械であって、この
ものについて概説すると、まず外筐部材としてほぼ円筒
状のハウジング2を具える。このハウジング2内には主
要部材である固定スクロール10Aと旋回スクロール1
0Bとが設けられるものであって、一例としてハウジン
グ2のエンドプレートを直接利用して固定スクロール1
0Aを形成する。これら固定スクロール10Aと旋回ス
クロール10Bとが互いに噛み合って流体の処理空間を
幾つか形成するものであり、これらの空間を作動室3と
する。
【0015】そしてハウジング2の一部を成す固定スク
ロール10Aには吸入口4と吐出口5とが設けられる。
一方吸入口4及び吐出口5とが設けられた反対側からは
偏心駆動軸6がハウジング2の中心に設けられ、その先
端に旋回スクロール10Bを取り付け、その旋回運動を
行わせる。更に偏心駆動軸6の他端側はハウジング2か
ら外部側に突出し、ここに適宜直接駆動モータあるいは
図示の実施例のようにプーリ7を設けて回転が伝達され
るように構成される。尚、符号8は偏心駆動軸6によっ
て旋回する旋回スクロール10Bが回転(自転)しない
ように設けられた回転止めである。
ロール10Aには吸入口4と吐出口5とが設けられる。
一方吸入口4及び吐出口5とが設けられた反対側からは
偏心駆動軸6がハウジング2の中心に設けられ、その先
端に旋回スクロール10Bを取り付け、その旋回運動を
行わせる。更に偏心駆動軸6の他端側はハウジング2か
ら外部側に突出し、ここに適宜直接駆動モータあるいは
図示の実施例のようにプーリ7を設けて回転が伝達され
るように構成される。尚、符号8は偏心駆動軸6によっ
て旋回する旋回スクロール10Bが回転(自転)しない
ように設けられた回転止めである。
【0016】尚これらの基本構成については従来のスク
ロール流体機械を踏襲するものであり、すでに公知のあ
るいは以後改良し得るスクロール流体機械の適宜の構成
が本発明に適用し得ることはいうまでもない。そして流
体を直接作動させるための固定スクロール10Aと旋回
スクロール10Bとはそれぞれほぼ相似した形状を有す
るものであり、固定スクロール10Aは鏡板11Aに対
し渦巻状のラップ12Aを具えるとともに、旋回スクロ
ール10Bの鏡板11Bと渦巻状のラップ12Bを具え
る。そして互いに相接する部材である鏡板11A、11
B及びラップ12A、12Bにおいて本発明の特徴的構
成である密閉促進構造を適用するのである。
ロール流体機械を踏襲するものであり、すでに公知のあ
るいは以後改良し得るスクロール流体機械の適宜の構成
が本発明に適用し得ることはいうまでもない。そして流
体を直接作動させるための固定スクロール10Aと旋回
スクロール10Bとはそれぞれほぼ相似した形状を有す
るものであり、固定スクロール10Aは鏡板11Aに対
し渦巻状のラップ12Aを具えるとともに、旋回スクロ
ール10Bの鏡板11Bと渦巻状のラップ12Bを具え
る。そして互いに相接する部材である鏡板11A、11
B及びラップ12A、12Bにおいて本発明の特徴的構
成である密閉促進構造を適用するのである。
【0017】尚以下の説明において、固定スクロール1
0Aと旋回スクロール10Bとを区別して表示する必要
のない場合にはスクロール10と、また同様に鏡板11
A、11B、及びラップ12A、12Bについても鏡板
11、ラップ12として表示する。
0Aと旋回スクロール10Bとを区別して表示する必要
のない場合にはスクロール10と、また同様に鏡板11
A、11B、及びラップ12A、12Bについても鏡板
11、ラップ12として表示する。
【0018】以下密閉促進構造について具体的に説明す
る。図4に示すようにポリフェニレンサルファイド、ポ
リアリレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリトリア
ジン、又はポリアセタール等を主成分としたいわゆるエ
ンジニアリングプラスチックを用いて、硬質材料から成
る一の部材たる固定スクロール10Aを構成し、その表
面に変形許容層13を設けるものである。
る。図4に示すようにポリフェニレンサルファイド、ポ
リアリレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリトリア
ジン、又はポリアセタール等を主成分としたいわゆるエ
ンジニアリングプラスチックを用いて、硬質材料から成
る一の部材たる固定スクロール10Aを構成し、その表
面に変形許容層13を設けるものである。
【0019】この変形許容層は例えば東燃株式会社製造
の東燃ポリシラザンや昭和テクノコート株式会社のシロ
キシレーン(SILOXIRANE)2033又は同2131 (Pent
aqlycidal-Ether of Cyclosilicon)等の材料を表面に塗
布するものである。尚、東燃ポリシラザンは、構造式が
(Si Ha NHb )n a=1〜3、b=0or1、物質
名をペルヒドロポリシラザンという熱硬化性の無機ポリ
マーであって、窒素もしくはアルゴン中600℃以上で
熱分解することにより非晶質の窒化珪素が得られる。ま
たこのものを大気中200℃以上で加熱すると、殆ど重
量変化することなく非晶質の三窒化珪素が得られる。も
ちろん温度は、成形したエンジニアリングプラスチック
の熱変形温度ないし融点以下で加熱硬化させる。
の東燃ポリシラザンや昭和テクノコート株式会社のシロ
キシレーン(SILOXIRANE)2033又は同2131 (Pent
aqlycidal-Ether of Cyclosilicon)等の材料を表面に塗
布するものである。尚、東燃ポリシラザンは、構造式が
(Si Ha NHb )n a=1〜3、b=0or1、物質
名をペルヒドロポリシラザンという熱硬化性の無機ポリ
マーであって、窒素もしくはアルゴン中600℃以上で
熱分解することにより非晶質の窒化珪素が得られる。ま
たこのものを大気中200℃以上で加熱すると、殆ど重
量変化することなく非晶質の三窒化珪素が得られる。も
ちろん温度は、成形したエンジニアリングプラスチック
の熱変形温度ないし融点以下で加熱硬化させる。
【0020】シロキシレーンや東燃ポリシラザンにより
構成される変形許容層は、それ自体適宜硬度を有すると
ともに、図4に示すようにエンジニアリングプラスチッ
クで構成されたラップ12におけるフィラーFによって
生ずる凹凸等を覆い、平面な平滑な状態とする。
構成される変形許容層は、それ自体適宜硬度を有すると
ともに、図4に示すようにエンジニアリングプラスチッ
クで構成されたラップ12におけるフィラーFによって
生ずる凹凸等を覆い、平面な平滑な状態とする。
【0021】ここで均一な変形許容層13を形成するた
めに、次のような方法を採り得る。即ち図9(a)に示
すように、ラップ12の幅寸法よりも変形許容層の厚さ
の二倍分だけ大きな内幅寸法を有する仕上凹型16内
に、例えばポリシラザン17を適量入れておき、そこに
幅方向において仕上凹型16の中央になるようにラップ
12を入れ込む。尚、ラップ12を仕上凹型16の中央
に入れ込むのは、ラップ12の両面に同じ厚さの変形許
容層を形成するためであるが、このような必要がない場
合には、要はラップ12の変形許容層の形成面が仕上凹
型16内面に接触しない状態で入れ込めばよい。このよ
うにすれば、ラップ12の回りにポリシラザン17が回
り込み、ラップ12の両面にそれぞれ変形許容層の厚さ
分だけポリシラザン17が存在することになる。この状
態でポリシラザン17を半硬化させ、脱型すればラップ
12に均一な変形許容層が形成される。
めに、次のような方法を採り得る。即ち図9(a)に示
すように、ラップ12の幅寸法よりも変形許容層の厚さ
の二倍分だけ大きな内幅寸法を有する仕上凹型16内
に、例えばポリシラザン17を適量入れておき、そこに
幅方向において仕上凹型16の中央になるようにラップ
12を入れ込む。尚、ラップ12を仕上凹型16の中央
に入れ込むのは、ラップ12の両面に同じ厚さの変形許
容層を形成するためであるが、このような必要がない場
合には、要はラップ12の変形許容層の形成面が仕上凹
型16内面に接触しない状態で入れ込めばよい。このよ
うにすれば、ラップ12の回りにポリシラザン17が回
り込み、ラップ12の両面にそれぞれ変形許容層の厚さ
分だけポリシラザン17が存在することになる。この状
態でポリシラザン17を半硬化させ、脱型すればラップ
12に均一な変形許容層が形成される。
【0022】尚、脱型を容易にするため、あらかじめ仕
上凹型16の内面に適宜の離型剤を塗布する必要があ
り、またラップ12と変形許容層13との接着性を高め
るため、あらかじめラップ12表面には適宜のプライマ
ーを塗布したり、ブラスト等の表面処理をしておくこと
が好ましい。尚また、ポリシラザン17の硬化前に脱型
すると、その後の硬化で塗布ヤセするので、少なくとも
半硬化してから脱型を行なう必要がある。
上凹型16の内面に適宜の離型剤を塗布する必要があ
り、またラップ12と変形許容層13との接着性を高め
るため、あらかじめラップ12表面には適宜のプライマ
ーを塗布したり、ブラスト等の表面処理をしておくこと
が好ましい。尚また、ポリシラザン17の硬化前に脱型
すると、その後の硬化で塗布ヤセするので、少なくとも
半硬化してから脱型を行なう必要がある。
【0023】また上記方法に用いる他の型として、図9
(b)に示すように断面がコの字の仕上上型18aと、
この仕上上型18aが丁度嵌まり合う凹状の仕上下型1
8bとを組み合わせて用いることもできる。この場合に
は、仕上下型18bの中央にラップ12を置き、その回
りにポリシラザン17を入れ、上から仕上上型18aを
被せてラップ12の回りにポリシラザン17が回り込む
ようにして、均一な変形許容層を形成する。他の点は上
記の場合と同様である。
(b)に示すように断面がコの字の仕上上型18aと、
この仕上上型18aが丁度嵌まり合う凹状の仕上下型1
8bとを組み合わせて用いることもできる。この場合に
は、仕上下型18bの中央にラップ12を置き、その回
りにポリシラザン17を入れ、上から仕上上型18aを
被せてラップ12の回りにポリシラザン17が回り込む
ようにして、均一な変形許容層を形成する。他の点は上
記の場合と同様である。
【0024】次に硬質材料から成る他の部材たる旋回ス
クロール10Bには、その表面に密閉用突稜14が設け
られる。この密閉用突稜14は、ほぼ100μm以下の
突起が図4、5に示すようにスクロールの幅方向に複数
本が平行に筋状に形成されるものであって、旋回スクロ
ール10Bと同じエンジニアリングプラスチックから成
る。因みにこの密閉用突稜14は、固定スクロール10
Aの変形許容層13に食い込むように接触することによ
り、その部分で完全な密閉状態が実現されるのである。
クロール10Bには、その表面に密閉用突稜14が設け
られる。この密閉用突稜14は、ほぼ100μm以下の
突起が図4、5に示すようにスクロールの幅方向に複数
本が平行に筋状に形成されるものであって、旋回スクロ
ール10Bと同じエンジニアリングプラスチックから成
る。因みにこの密閉用突稜14は、固定スクロール10
Aの変形許容層13に食い込むように接触することによ
り、その部分で完全な密閉状態が実現されるのである。
【0025】尚、密閉用突稜14の外観形状は、図6
(a)に示すように幅方向に斜めに形成したり、図6
(b)に示すようにV字形に形成したり、図6(c)に
示すように波形に形成したものであっても構わない。要
は密閉状態が完全であればどのような形状であっても構
わない。また変形許容層13が旋回スクロール10Bの
ラップ12Bに、密閉用突稜14が固定スクロール10
Aのラップ12Aに設けられていても構わない。
(a)に示すように幅方向に斜めに形成したり、図6
(b)に示すようにV字形に形成したり、図6(c)に
示すように波形に形成したものであっても構わない。要
は密閉状態が完全であればどのような形状であっても構
わない。また変形許容層13が旋回スクロール10Bの
ラップ12Bに、密閉用突稜14が固定スクロール10
Aのラップ12Aに設けられていても構わない。
【0026】次に他の実施例について説明する。上記固
定スクロール10Aには、図7に示すように変形許容層
13の代わりに、シロキシレーンや東燃ポリシラザンよ
り構成される密閉用変形突稜15を設けてもよい。この
場合、旋回スクロール10Bはエンジニアリングプラス
チックのままか、あるいは変形許容層13を設けても構
わない。因みにこのような構造では、両ラップ12A、
12Bが圧接すると、密閉用変形突稜15が変形して高
い密着性が得られる。尚、旋回スクロール10B側に変
形許容層13が設けられる場合には、この変形許容層1
3も同時に変形して密着性に寄与する。
定スクロール10Aには、図7に示すように変形許容層
13の代わりに、シロキシレーンや東燃ポリシラザンよ
り構成される密閉用変形突稜15を設けてもよい。この
場合、旋回スクロール10Bはエンジニアリングプラス
チックのままか、あるいは変形許容層13を設けても構
わない。因みにこのような構造では、両ラップ12A、
12Bが圧接すると、密閉用変形突稜15が変形して高
い密着性が得られる。尚、旋回スクロール10B側に変
形許容層13が設けられる場合には、この変形許容層1
3も同時に変形して密着性に寄与する。
【0027】更に図8に示すような他の実施例について
説明する。このものは上記固定スクロール10Aと旋回
スクロール10Bとの両者に変形許容層13と密閉用突
稜14とが設けられるものであって、固定スクロール1
0Aにおける密閉用突稜14と旋回スクロール10Bに
おける密閉用突稜14とが互いに位置がずれて存在し、
且つ固定スクロール10Aにおける密閉用突稜14に対
応して旋回スクロール10B側に、また旋回スクロール
10Bにおける密閉用突稜14に対応して固定スクロー
ル10A側に、それぞれ変形許容層13が設けられてい
るものである。尚このような実施例では、各スクロール
において密閉用突稜14の他の部分を全て変形許容層1
3としてもよいし、他方のスクロールの対応する部分に
だけ変形許容層13を設けても構わない。
説明する。このものは上記固定スクロール10Aと旋回
スクロール10Bとの両者に変形許容層13と密閉用突
稜14とが設けられるものであって、固定スクロール1
0Aにおける密閉用突稜14と旋回スクロール10Bに
おける密閉用突稜14とが互いに位置がずれて存在し、
且つ固定スクロール10Aにおける密閉用突稜14に対
応して旋回スクロール10B側に、また旋回スクロール
10Bにおける密閉用突稜14に対応して固定スクロー
ル10A側に、それぞれ変形許容層13が設けられてい
るものである。尚このような実施例では、各スクロール
において密閉用突稜14の他の部分を全て変形許容層1
3としてもよいし、他方のスクロールの対応する部分に
だけ変形許容層13を設けても構わない。
【0028】尚、本発明の応用事例は当然ながら前述の
スクロール流体機械のみならず、密閉性を要求されるギ
ヤポンプその他適宜の部材、部品に適用できる。また変
形許容層13は、同一材料を単層または複層に形成する
ほか、異種材料を積層状態に形成することも可能であ
る。
スクロール流体機械のみならず、密閉性を要求されるギ
ヤポンプその他適宜の部材、部品に適用できる。また変
形許容層13は、同一材料を単層または複層に形成する
ほか、異種材料を積層状態に形成することも可能であ
る。
【0029】
【発明の効果】本発明では密閉用突稜14または密閉用
変形突稜15が設けられるから、合成樹脂材料において
フィラーを含むことに因んで不可避的に形成されてしま
う凹凸があっても、密閉用突稜14と変形許容層13と
の両者の作用または密閉用変形突稜15の変形作用によ
り、表面粗度の大きな部材であっても結果的に高い密着
性が保たれる。
変形突稜15が設けられるから、合成樹脂材料において
フィラーを含むことに因んで不可避的に形成されてしま
う凹凸があっても、密閉用突稜14と変形許容層13と
の両者の作用または密閉用変形突稜15の変形作用によ
り、表面粗度の大きな部材であっても結果的に高い密着
性が保たれる。
【図1】本発明の接触面における密閉促進構造を適用し
たスクロール流体機械を示す分解斜視図である。
たスクロール流体機械を示す分解斜視図である。
【図2】同上骨格的横断面図である。
【図3】同上縦断側面図である。
【図4】スクロール表面の変形許容層並びに密閉用突稜
周辺を拡大して示す骨格的部分縦断面図並びに斜視図で
ある。
周辺を拡大して示す骨格的部分縦断面図並びに斜視図で
ある。
【図5】同上ラップの接触状態を示す横断面図である。
【図6】密閉用突稜の形成態様を異ならせた種々の実施
例を示す説明図である。
例を示す説明図である。
【図7】固定スクロールに密閉用変形突稜を設けた実施
例を示す部分横断面図である。
例を示す部分横断面図である。
【図8】固定スクロールと旋回スクロールとの両方に変
形許容層と、密閉用突稜を設けた実施例を示す部分横断
面図である。
形許容層と、密閉用突稜を設けた実施例を示す部分横断
面図である。
【図9】均一な変形許容層の形成方法の一例を示した説
明図である。
明図である。
1 スクロール流体機械 2 ハウジング 3 作動室 4 吸入口 5 吐出口 6 偏心駆動軸 7 プーリ 8 回転止め 10 スクロール 10A 固定スクロール 10B 旋回スクロール 11 鏡板 11A 鏡板 11B 鏡板 12 ラップ 12A ラップ 12B ラップ 13 変形許容層 14 密閉用突稜 15 密閉用変形突稜 16 仕上凹型 17 ポリシラザン 18a 仕上上型 18b 仕上下型 F フィラー
Claims (6)
- 【請求項1】 共に硬質材料から成る一の部材と他の部
材との構成表面の一部または全部が接触することで密閉
を維持する構造において、一の部材の構成表面には変形
許容層を設け、他の部材の構成表面には密閉用突稜を設
けたことを特徴とする接触面における密閉促進構造。 - 【請求項2】 共に硬質材料から成る一の部材と他の部
材との構成表面の一部または全部が接触することで密閉
を維持する構造において、一の部材の構成表面に密閉用
変形突稜を設けたことを特徴とする接触面における密閉
促進構造。 - 【請求項3】 前記他の部材の構成表面には変形許容層
が設けられることを特徴とする請求項2記載の接触面に
おける密閉促進構造。 - 【請求項4】 共に硬質材料から成る一の部材と他の部
材との構成表面の一部または全部が接触することで密閉
を維持する構造において、一の部材の構成表面と他の部
材の構成表面とには共に変形許容層と密閉用突稜とを設
け、且つ一の部材と他の部材の密閉用突稜は互いに位置
がずれて存在し、各密閉用突稜に対応してもう一方の部
材には各々変形許容層が設けられていることを特徴とす
る接触面における密閉促進構造。 - 【請求項5】 前記硬質材料は一定の機械強度を有する
エンジニアリングプラスチックであることを特徴とする
請求項1、2、3または4記載の接触面における密閉促
進構造。 - 【請求項6】 前記変形許容層または前記密閉用変形突
稜は、ポリシラザンから成ることを特徴とする請求項
1、2、3または4記載の接触面における密閉促進構
造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30636192A JPH05340365A (ja) | 1992-04-10 | 1992-10-20 | 接触面における密閉促進構造 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11791592 | 1992-04-10 | ||
JP4-117915 | 1992-04-10 | ||
JP30636192A JPH05340365A (ja) | 1992-04-10 | 1992-10-20 | 接触面における密閉促進構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05340365A true JPH05340365A (ja) | 1993-12-21 |
Family
ID=26455948
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30636192A Pending JPH05340365A (ja) | 1992-04-10 | 1992-10-20 | 接触面における密閉促進構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05340365A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101968054A (zh) * | 2007-01-31 | 2011-02-09 | 株式会社日立制作所 | 涡旋式流体机械 |
WO2019220990A1 (ja) * | 2018-05-15 | 2019-11-21 | 株式会社エンプラス | スクロールポンプ用の加圧機構部品及びスクロールポンプ |
-
1992
- 1992-10-20 JP JP30636192A patent/JPH05340365A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101968054A (zh) * | 2007-01-31 | 2011-02-09 | 株式会社日立制作所 | 涡旋式流体机械 |
WO2019220990A1 (ja) * | 2018-05-15 | 2019-11-21 | 株式会社エンプラス | スクロールポンプ用の加圧機構部品及びスクロールポンプ |
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