JP2003035284A - スクロール型ポンプの部材の表面被覆方法 - Google Patents

スクロール型ポンプの部材の表面被覆方法

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JP2003035284A
JP2003035284A JP2001224244A JP2001224244A JP2003035284A JP 2003035284 A JP2003035284 A JP 2003035284A JP 2001224244 A JP2001224244 A JP 2001224244A JP 2001224244 A JP2001224244 A JP 2001224244A JP 2003035284 A JP2003035284 A JP 2003035284A
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Tatsuo Natori
達雄 名取
Takeshi Harada
武 原田
Ikumori Ootake
生司 大竹
Kiju Endo
喜重 遠藤
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シール性が良好であり、クリアランスを極小に
して圧縮効率を高めるスクロール型ポンプの部材の表面
被覆方法を提供することにある。 【解決手段】空間を形成する旋回スクロール6及び固定
スクロール7の部材表面にMoS粒子を含有する耐冷
媒性樹脂の表面被覆材を塗布する工程と、表面被覆材が
硬化する前に前記空間を組み立てる工程と、容積可変手
段を駆動し、部材表面に付着した前記表面被覆材を硬化
させると共に余剰分を排出する工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール型ポン
プの部材の表面被覆方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スクロール型ポンプには圧縮機と真空ポ
ンプとがあるが、圧縮機が多用されているので、以下ス
クロール圧縮機を例にとって説明する。スクロール圧縮
機の圧縮室は、固定スクロールと旋回スクロールとによ
って形成される渦巻き状のラップを噛みあわせることに
より同時に複数室が形成され、旋回スクロールの旋回運
動により圧縮室の容積が徐々に小さくなってガスを高圧
に圧縮し吐出口より吐出している。
【0003】固定スクロール及び旋回スクロールは、従
来、機械加工によって精密に仕上げられ、その後に組み
立てる製造方法がとられている。しかし複数の構成部品
を精密に仕上げてもそれぞれが寸法公差を持っており、
これら部品を組み立てることによりさらに組み立て誤差
が累積される。したがって圧縮室の間隙を機械加工のみ
で所望の値にすることは極めて困難である。
【0004】従来、スクロール圧縮機の高効率化を達成
するために、例えば特開平6−320349号公報に
は、図4の(イ)に示すように、鏡板面、ラップ面を超
精密研磨した固定スクロール及び旋回スクロールの加工
品を準備し(A)、その後軟質な表面処理例えば燐酸塩
被膜処理等を施し(B)、これらの加工品を組み立て
(C)、その後なじみ運転を行い(D)、噛み合い部の
隙間を狭くしてスクロール圧縮機(E)とする加工技術
が記載されている。
【0005】またWO97/49919号公報には、渦
巻き状のラップを鏡板面に有する旋回スクロール及び固
定スクロールより構成されるスクロール型ポンプにおい
て、図4の(ロ)に示すように、固定スクロール及び旋
回スクロールの加工品を準備し(A)、これらの加工品
を組み立て(B)、運転可能にした後に表面処理材(成
膜材料)を吸入口あるいは吐出口(この場合には逆転さ
せる)より導入し、旋回スクロールを運転しながら圧縮
空間に表面処理材で成膜して隙間を極小にするスクロー
ル圧縮機(E)の加工技術が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】固定スクロール及び旋
回スクロールその他の圧縮機構成部品を機械加工で超精
密にばらつきなく量産することは現実的に困難が多い。
また組み立て時の組み合わせ方によっては組み立て時の
間隙が、従来の表面処理では調整できない程大きい場合
があり、圧縮機の性能にばらつきが生じる。
【0007】また運転時において、スクロール圧縮機で
は、ガス吸入側である外周部は温度及び圧力が低く、ガ
ス吐出側の中心部に向かうほど温度、圧力が共に高くな
る。従って旋回スクロールのラップには中心部から外周
部に向かって応力が掛り、「花びらが開く」ように変形
する。固定スクロールの場合も程度は少ないがこの傾向
は見られる。その結果、圧縮空気の漏れが大きくなって
圧縮機の効率を低下させる。この場合の漏れは、(1)
ラップ高さ方向の隙間からの漏れと、(2)ラップの垂
直壁同士の接触線隙間からの漏れとの2つに分けられ
る。
【0008】これらの問題に対し、例えば鉄合金製スク
ロールの摺動部表面に燐酸マンガン処理を施した場合に
は、摺動性及び耐摩耗性に良好な特性は得られるが、燐
酸マンガン被膜は比較的硬質で表面凹凸が大きく、組み
立て段階で摺動部がなじむまで時間が掛かる。例えば旋
回スクロールに燐酸マンガン処理を約10μm厚で施し
た場合、なじんで圧縮機の性能が安定するまで5時間程
度掛かる。またこの種の自己成長型被膜は得られる膜厚
に限度があり、最大でも20〜30μmである。
【0009】また、WO97/49919号公報に開示
される方法の場合は、吸入口から導入されたスラリ状の
表面処理材は、最も抵抗の少ない流路を選択的に進む傾
向があり、全体的に均一にシールを形成することに対し
必ずしも十分には配慮されていない。
【0010】本発明の目的は、シール性が良好であり、
クリアランスを極小にして圧縮効率を高めるスクロール
型ポンプの部材の表面被覆方法を提供することにある。
また本発明の目的は、固定スクロール及び旋回スクロー
ルを高精度に加工する必要がないので、加工のコストダ
ウンを図れるスクロール型ポンプの部材の表面被覆方法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係るスクロール型ポンプの部材の表面被覆方
法の発明の構成は、鏡板面に渦巻き状のラップを有する
旋回スクロール及び固定スクロール部材と、前記旋回ス
クロールを回転駆動して旋回スクロール及び固定スクロ
ール部材で形成される空間の容積を可変にする容積可変
手段とを備えるスクロール型ポンプの部材の表面被覆方
法において、前記空間を形成する旋回スクロール及び固
定スクロール部材の表面に、MoS粒子を含有する耐
冷媒性樹脂の表面被覆材を塗布する工程と、この表面被
覆材が硬化する前に前記空間を組み立てる工程と、前記
容積可変手段を駆動し、前記部材の表面に付着した前記
表面被覆材を硬化させながら余剰分を排出する工程とを
有するものである。
【0012】上記目的を達成するために本発明に係るス
クロール型ポンプの部材の表面被覆方法の他の発明の構
成は、鏡板面に渦巻き状のラップを有する旋回スクロー
ル及び固定スクロール部材と、前記旋回スクロールを回
転駆動して旋回スクロール及び固定スクロール部材で形
成される空間の容積を可変にする容積可変手段とを備え
るスクロール型ポンプの部材の表面被覆方法において、
前記空間を形成する旋回スクロール及び固定スクロール
部材の表面に、MoS粒子を含有する耐冷媒性樹脂の
表面被覆材を塗布する工程と、前記表面被覆材が硬化す
る前に前記空間を組み立てる工程と、容積可変手段を駆
動し、前記部材の表面に付着した前記表面被覆材を硬化
させながら新たに表面被覆材をポンプの吸入口もしくは
吐出口より導入すると共に、余剰分を吐出口もしくは吸
入口から排出する工程とを有するものである。好ましく
は、前記表面被覆材は、溶剤、耐冷媒性樹脂、Mo
、Sb、C(黒鉛)を混合してなるものであ
る。また、前記耐冷媒性樹脂は、ポリアミドイミドとす
るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照して説明する。実施の形態を説明する前に、まず、
漏れが発生する理由について説明する。図2は、スクロ
ール圧縮機1(図6参照)の運転前のラップ部断面図で
ある。旋回スクロール6のラップ6aと鋳鉄製固定スク
ロール7のラップ7aとは噛み合い、渦巻き状のラップ
6a,7aは、接触部9で線接触し、その両隣のラップ
間では圧縮室(空間)8を形成している。また、ラップ
6a,7aの先端と両スクロール7,6の鏡板7b,6
bとの隙間10a,10bも駆動前は、ほぼ一定であ
る。
【0014】しかし、スクロール圧縮機を運転(もしく
は駆動)した場合には、両スクロール6,7の外周部す
なわちガス吸入部と中心部すなわちガス吐出部との間に
圧力差及び温度差が生じる。このため、旋回スクロール
6及び固定スクロール7は共に変形する。この変形は、
ラップ高さ方向の変形と、渦巻き方向の変形とに分けら
れる。旋回スクロール6は薄肉であるなどの理由により
固定スクロール7よりも変形の程度が大きい。旋回スク
ロール6のラップ高さ方向の変形は、相手側すなわち固
定スクロール7の鏡板7bとの隙間10aを増大させて
漏れを大きくする。このため、スクロール圧縮機の効率
が大幅に低下する。
【0015】図3は、スクロール圧縮機の運転中(もし
くは回転駆動中)のラップ部断面図で、漏れる現象を図
によって詳述する。外周部は温度も圧力も低く、中心部
に向かうほど温度、圧力が高くなる。従って旋回スクロ
ール6のラップには中心部から外周部に向かって応力が
掛り、花びらが開くように変形する(以下、この変形を
「花開き現象」と称する)。固定スクロール7の場合も
程度は少ないがこの傾向は見られる。従って、この傾向
を強調(デフォルメ化)すると同図に示すようになる。
旋回スクロール6のラップ6aの先端と固定スクロール
7の鏡板7bとの隙間10aは中心部から外周部に向か
って大きくなる。また旋回スクロール6及び固定スクロ
ール7のラップ6a,7aの垂直壁同士の隙間10cも
同じように外周部に向かって大きくなる。その結果、圧
縮空気の漏れが大きくなってスクロール圧縮機の圧縮効
率を低下させる。
【0016】以下に、(1)ラップ高さ方向の隙間10
aからの漏れと、(2)ラップの垂直壁同士の接触線隙
間10cからの漏れとについて、詳しく説明する。 (1)ラップ高さ方向からの漏れ(ラップ先端と鏡板と
の隙間からの漏れ) 高さ方向の変形量は、スクロール圧縮機の大きさ及び駆
動条件によって異なるが、最大で20〜40μm程度に
なる。従って、従来の燐酸マンガン処理被膜のような自
己成長被膜では、20〜30μm程度が最大膜厚である
ため、変形量分をこの被膜によって吸収することは出来
ない場合がある。
【0017】例えば、ラップ6a,7aに予めある厚さ
の被膜を形成し、被膜面が相手方と接するように組み立
て、運転によってラップ6a,7aを相手方と摺動させ
て摩耗させ、これによって摺動隙間を極小にしようとし
ても、その箇所における被膜厚さの合計が、ラップ6
a,7aの変形によって形成される隙間より少ないと空
気の漏れを防ぐことはできない。また変形の状況によっ
ては金属接触する部分もあり、その際は長時間運転して
接触部分を磨耗させる必要がある。 (2)ラップ同士の垂直壁隙間からの漏れ(渦巻き方向
の接触線からの漏れ) 上記(1)のラップ高さ方向からの漏れと同様の理由に
より、ラップ垂直壁の接触線からの漏れを防ぐことはが
出来ない場合があり、従ってスクロール圧縮機の圧縮効
率を大幅に上げることは上記従来技術によっては困難な
場合があった。以下に述べる本実施例は、運転状態で前
述した「花開き現象」を呈している両スクロール間の、
3次元的な複雑形状の接触線隙間を充填する新規な表面
被膜方法であり、長期運転を行っても部材からの被膜の
剥離が無く、シール性が良好でクリアランスを極小にす
る表面被膜方法であって、高効率なスクロール型ポンプ
を実現することができる。
【0018】(実施例1)図4の(ハ)は、本実施例の
表面被膜方法の工程図である。すなわち、本発明は同図
の(イ)に示す従来法のように、被膜硬化後にスクロー
ル部材を組み立てるのとは異なり、スクロール加工品
(A)を、組み立て前にスラリ状の表面被覆材を多めに
塗布(B)し、これが硬化する前すなわち塗布した表面
被覆材がスラリ状態の間に組み立て(C)、スクロール
圧縮機を図示しない容積可変手段で運転することによっ
て表面被覆材を硬化させて(D)、スクロール圧縮機が
完成する(D)。なお、図4の(ロ)のように、工程
(D)において、スクロール圧縮機の吸入口もしくは吐
出口から表面被覆材を補給のために導入しても良い。
【0019】図1は、本発明に係る表面被覆の形成状況
を示す図である。 運転前(駆動前):旋回スクロール6及び固定スクロ
ール7のラップと鏡板面とに、表面被覆材20のスラリ
を刷毛などで多め(例えば300〜600μm)に塗布
する。塗布は均一である必要はない。同図(1−1)〜
(1−3)に示すように、両スクロールによって形成さ
れる空間は、ほぼ表面被覆材20のスラリで充填されて
いても良い。また、5分の1程度の充填度も良い。な
お、同図(1−1)は両スクロールの平面図、(1−
2)は(1−1)におけるA−A線断面図、(1−3)
は(1−2)の一部拡大詳細図である。
【0020】運転中(駆動中):例示のスクロール圧
縮機は約2.5回転が1周期である。約1.5回転した
時の状態を(2−1)〜(2−3)に示す。旋回スクロ
ール1の回転につれて空間内の表面被覆材20のスラリ
は、中心に向かって移動する(例えば歯磨きチューブ内
の内容物を挟んで徐々に押し出す状態に近似)。
【0021】約1.5回転後は、中心の排気孔付近に表
面被覆材20のスラリが移動している。移動の際、両ス
クロールの接触部、すなわちラップ間及びラップと鏡板
間には、その摺動隙間を埋める表面被覆材20の薄い被
膜が形成される。なお、同図(2−1)は両スクロール
の平面図、(2−2)は(2−1)におけるB−B線断
面図、(2−3)は(2−2)の一部拡大詳細図であ
る。
【0022】運転後(駆動後):1周期後すなわち
2.5回転後は同図(3−3)の拡大図に示すように、
両スクロールの接触部の隙間を、その変形に応じて充填
された厚さが、たとえば約30μm以下の表面被覆材2
0の被膜が形成さる。この被膜は、旋回スクロールが回
転するにつれて硬化するとともにラップ壁に密着して強
固な薄膜を形成する。
【0023】同図(3−1)は両スクロールの平面図、
(3−2)は(3−1)におけるC−C線断面図、(3
−3)は(3−2)の一部拡大詳細図である。同図(3
−3)は理解を容易にするため、スクロールの変形程度
及び被膜20aの厚さを強調し、デフォルメ化して描い
ている。したがって圧縮室8の空間容積が被膜20aの
形成によっても、必要な容積が十分確保されていること
は言うまでもない。同図(3−3)より明らかなよう
に、従来法では、複雑な隙間を想定して予め被膜を形成
させることは不可能であった。
【0024】上記の表面被膜方法は、スクロール圧縮機
に限らず、スクリュウ式、ベーン型、レシプロ型など一
般の容積型圧縮機及び容積型真空ポンプ等の加工にも適
用できる。以上に説明するように、運転中の「花開き現
象」により形成された、両スクロールの三次元的かつ複
雑な接触線隙間はスラリ状の表面被覆材で完全に埋めら
れ、表面被覆材の余剰分は連続的に吐出口より系外に排
出される。
【0025】本実施例は、スクロール型ポンプにおい
て、前述した「花開き現象」を呈している両スクロール
間の、3次元的な複雑形状の接触線隙間を充填する表面
被覆方法であり、長期間の運転によっても被膜の剥離が
無く、シール性が良好でクリアランスを極小にすること
ができ、高効率なスクロール型ポンプを実現することが
できる。
【0026】以下に、さらに詳細に説明する。鉄系の固
定スクロール及び旋回スクロールを脱脂した後、サンド
ブラストで表面に凹凸をつける。次に燐酸マンガン処理
を行い3〜5μmの被覆層を形成する。固定スクロール
及び旋回スクロールの噛み合い部に予め、刷毛、スプレ
ーなどでスラリ状のMoS(二硫化モリブデン)を含
む表面被覆材を十分な厚さ(例えば300〜600μ
m)に塗布する。表面被覆材が硬化する前にこれら固定
スクロール及び旋回スクロールを組み立て、その後運転
速度を徐々に上げ、表面被覆材を硬化させる。なお運転
直後より、過剰な表面被覆材は排出口より排出される。
【0027】旋回スクロールの旋回運動により各圧縮室
内の表面被覆材は、それぞれのラップ表面に強固に付着
し、かつ練り合わされる。ラップ表面と表面被覆材とは
緊密な密着力を有するように選択されるので、両者は相
互に強い密着力で一体化する。また旋回運動をすること
による気体の断熱圧縮熱、及び摩擦熱により表面被覆材
は乾燥硬化する。外部からの加熱、例えば熱風導入など
も、被膜の硬化に効果的である。なお、運転状態で吸入
口より表面被覆材を少量ずつ補給・導入すると被膜形成
が一層良好に行われる。
【0028】図5は、ラップ素地金属と被膜とのミクロ
的な断面モデル図である。被膜20aは、M(二
硫化モリブデン)23とSb(三酸化アンチモ
ン)24、C(黒鉛)25、及びこれらを固着すると共
に素地金属27と密着させるバインダーとして作用する
PAI(ポリアミドイミド樹脂)26よりなる。M
23とC25とを含む表面被覆材にSb24を
添加すると、被膜中のM23とC25等の潤滑性
粒子の酸化を防ぐのに効果的である。すなわち被膜中に
Sb24が存在することにより、被膜内に侵入し
てきた空気中の酸素を選択的に捕捉し、Sb自身
が先に酸化することによって、M23やC25の
酸化を防止する。このため被膜の潤滑性は長期間維持さ
れる。さらに、この表面被覆材は、約370℃以下の温
度であれば、加熱によって強度が上昇する特性を有して
おり、運転中の断熱圧縮熱や摩擦熱によって経時的に高
強度になるという優れた特性を有している。
【0029】(実施例2)図6は、本発明に係る表面被
覆方法を適用したスクロール圧縮機の断面図である。同
図に示すように、ケース28に収納された固定スクロー
ル31と旋回スクロール30とは、フレーム32と旋回
スクロール30との間に介在する自転阻止のためのオル
ダムリング34により支持されて互いに噛み合ってお
り、フレーム32と固定スクロール31とはボルト(図
示せず)により締結されている。また、容積可変手段と
しての電動機29に固定された回転軸33は、フレーム
32の内面側に設けられた軸受33aによって回転自在
に支持されている。回転軸33の一端(図示上端)は偏
心軸となって旋回スクロール30のボス部と係合し旋回
運動可能となっている。なお、34bは吐出口である。
【0030】図7は、鋳鉄(FC250)製固定スクロ
ール及び旋回スクロールの表面被覆の工程図である。ま
ず、固定スクロール及び旋回スクロールの各部材を20
0℃×2時間(H)の加熱を行い、冷却後アセトンにて
脱脂する(A)。その後、水にて洗浄し埃等を除去する
(B)。つぎに約100meshのサンドブラストをか
けて表面に微細な凹凸を付与する(C)。さらに燐酸マ
ンガン処理を行って、厚さ約3μmの燐酸マンガン被膜
を形成する(D)。
【0031】組み立て前に旋回スクロール30及び固定
スクロール31の摺動部に、スラリ状の表面被覆材を刷
毛にて十分な厚さ(300〜600μm程度)に塗布す
る(E)。表面被覆材には、溶材(1−4ジオキサン:
N−Nジメチルアセトアミド=1:1の混合液):75
wt%、PAI樹脂:15wt%、M:6wt
%、Sb:3.2wt%、C:0.8wt%を混
合して用いた。この場合、厚さを厳密にして塗布するこ
とは不要であり、ラップ間の空隙を20〜30%充填す
るほど多量であっても構わない。塗布後、表面被覆材が
硬化する前に圧縮機(スクロール部材)を組み立てる
(F)。この圧縮機を徐々に回転させることによって
(G)、圧縮室内の表面被覆材は、旋回スクロール及び
固定スクロール表面に付着しながら被膜を形成する
(H)。余剰の固体潤滑材は吐出口34bより排出され
る。すなわち、回転にともなって、圧縮室内における表
面被覆材は、隙間の大きさに従がって付着して硬化し、
強固な被膜によってクリアランスを極小にする。
【0032】(実施例3)図8は、本発明に係る表面被
覆方法を適用した他のスクロール圧縮機(10W)の断
面図である。固定スクロ−ル35は鋳鉄(FC250)
製35×10mmの大きさであり、旋回スクロ−ル3
6は大きさφ25×8mmの耐冷媒樹脂であるPAI
(ポリアミドイミド)樹脂製であり、機械加工により製
作した。同図に示すように、固定スクロ−ル35と旋回
スクロ−ル36とは、フレーム39と旋回スクロ−ル3
6との間に介在する自転阻止部材としての円形突起37
により支持されて互いに噛み合っており、フレーム39
と固定スクロ−ル35とは図示しないボルトにより締結
されている。また、回転軸40は図示してない電動機と
係合され、さらにフレーム39の内面側に軸受け支持さ
れて回転できる構造になっている。駆動用回転軸40の
一端は、偏心軸となって旋回スクロ−ル36のボス部と
係合し旋回運動可能となっている。
【0033】表面被覆は、図7に示す工程に準じた。ス
クロール圧縮機の組み立て前に旋回スクロ−ル36及び
固定スクロ−ル35の摺動部に実施例1と同様にスラリ
ー状の表面被覆材を刷毛にて塗布した。この場合も、十
分な厚さ(300〜600μm程度)とし、正確さは不
要であって、同様にラップ間の空隙を20〜30%充填
するほど多量であっても構わない。次に、表面被覆材が
硬化する前にスクロール圧縮機を組み立て、最高速度の
5000rpmにて回転させる。これによって余剰の表
面被覆材は吐出口41より排出される。この間、圧縮室
内における表面被覆材は、クリアランスの大きさ通りに
付着して硬化し、強固な被膜によって両スクロ−ルの接
触線に沿うクリアランスを極小にする。なお、回転させ
ている状態で空気の吸入口42より前記スラリ−状の表
面被覆材を少量ずつ補給・導入すると被膜形成が一層良
好に行われる。表面被覆材の具体的配合は実施例2と同
様に、溶剤(1−4ジオキサン:N−Nジメチルアセト
アミド=1:1の混合液):75wt%、ポリアミドイ
ミド樹脂:15wt%、MoS:6wt%、Sb
:3.2wt%、C:0.8wt%を混合して用い
た。
【0034】図9は、上記スクロール圧縮機の圧縮性能
で、回転数は5000rpmとした。同図において、
「無処理」は機械加工した両スクロールをそのまま組み
立てた場合で、機械加工の公差、組み立て公差、運転時
の「花開き現象」などのため、吐出圧力は0.15MP
aしか得られなかった。これに対し、「表面処理」は、
機械加工品に本発明に係る表面被覆を施して組み立てた
場合であり、0.43Mpaとなって、無処理の場合に
比較して約3倍の吐出圧力が得られた。
【0035】図10は、回転数を変えた場合の吐出圧力
の変化である。無処理の場合は回転数を1000rpm
から5000rpmまで上げても、圧力は0.05MP
aしか増加しなかった。これに対し本発明に係る表面被
覆を施した場合には0.15MPaから0.43MPa
へと急激な吐出圧力の増加が認められた。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シ
ール性が良好であり、クリアランスを極小にして効率を
高めるスクロール型ポンプの部材の表面被覆方法が得ら
れる。
【0037】また、固定スクロール及び旋回スクロール
を高精度に加工する必要がないので、加工のコストダウ
ンを図れるスクロール型ポンプの部材の表面被覆方法が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面被覆の形成状況を示す図であ
る。
【図2】スクロール圧縮機の運転前のラップ部断面図で
ある。
【図3】スクロール圧縮機の運転中のラップ部断面図で
ある。
【図4】本発明に係る表面被覆方法と従来方法との工程
説明図である。
【図5】ラップ素地金属と被膜とのミクロ的な断面モデ
ル図である。
【図6】本発明に係る表面被覆方法を適用したスクロー
ル圧縮機の断面図である。
【図7】鋳鉄製固定スクロール及び旋回スクロールの表
面被覆の工程図である。
【図8】本発明に係る表面被覆方法を適用した他のスク
ロール圧縮機の断面図である。
【図9】スクロール圧縮機の圧縮性能を示す図である。
【図10】スクロール圧縮機の回転数を変えた場合の吐
出圧力の変化を示す図である。
【符号の説明】
1…スクロール圧縮機、6,30,36…旋回スクロー
ル、7,31,35…固定スクロール、8…圧縮室(空
間)、20…表面被覆材、20a…被膜、23…MoS
、24…Sb、25…C、28…ケース、29
…電動機、32,39…フレーム、33、40…回転
軸、33a…軸受、34b,41…吐出口、34…オル
ダムリング、37…円形突起、34、42…吸入口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大竹 生司 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 遠藤 喜重 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 Fターム(参考) 3H029 AA02 AA14 AA21 AB03 AB06 BB31 CC02 CC05 CC38 CC39 3H039 AA03 AA06 AA09 AA12 BB04 BB07 CC02 CC35 CC36

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鏡板面に渦巻き状のラップを有する旋回ス
    クロール及び固定スクロール部材と、前記旋回スクロー
    ルを回転駆動して旋回スクロール及び固定スクロール部
    材で形成される空間の容積を可変にする容積可変手段と
    を備えるスクロール型ポンプの部材の表面被覆方法にお
    いて、 前記空間を形成する旋回スクロール及び固定スクロール
    部材表面に、MoS粒子を含有する耐冷媒性樹脂の表
    面被覆材を塗布する工程と、 この表面被覆材が硬化する前に前記空間を組み立てる工
    程と、 前記容積可変手段を駆動し、前記部材の表面に付着した
    前記表面被覆材を硬化させながら余剰分を排出する工程
    とを有することを特徴とするスクロール型ポンプの部材
    の表面被覆方法。
  2. 【請求項2】鏡板面に渦巻き状のラップを有する旋回ス
    クロール及び固定スクロール部材と、前記旋回スクロー
    ルを回転駆動して旋回スクロール及び固定スクロール部
    材で形成される空間の容積を可変にする容積可変手段と
    を備えるスクロール型ポンプの部材の表面被覆方法にお
    いて、 前記空間を形成する旋回スクロール及び固定スクロール
    部材表面に、MoS粒子を含有する耐冷媒性樹脂の表
    面被覆材を塗布する工程と、 前記表面被覆材が硬化する前に前記空間を組み立てる工
    程と、 前記容積可変手段を駆動し、前記部材の表面に付着した
    前記表面被覆材を硬化させながら新たに表面被覆材をポ
    ンプの吸入口もしくは吐出口より導入すると共に、余剰
    分を吐出口もしくは吸入口から排出する工程とを有する
    ことを特徴とするスクロール型ポンプの部材の表面被覆
    方法。
  3. 【請求項3】前記表面被覆材は、溶剤、耐冷媒性樹脂、
    MoS、Sb、Cを混合してなるものであるこ
    とを特徴とする請求項1もしくは2記載のスクロール型
    ポンプの部材の表面被覆方法。
  4. 【請求項4】前記耐冷媒性樹脂は、ポリアミドイミドと
    することを特徴とする請求項1ないし3記載のいずれか
    のスクロール型ポンプの部材の表面被覆方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012096068A1 (ja) 2011-01-14 2012-07-19 アネスト岩田株式会社 スクロール式流体機械、及びその弾性被膜形成方法及び装置
US9427771B2 (en) 2011-01-14 2016-08-30 Anest Iwata Corporation Method for forming coating on scroll type fluid machine

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