JPH05340277A - 内燃機関の可変圧縮比装置の緩衝機構 - Google Patents

内燃機関の可変圧縮比装置の緩衝機構

Info

Publication number
JPH05340277A
JPH05340277A JP14563192A JP14563192A JPH05340277A JP H05340277 A JPH05340277 A JP H05340277A JP 14563192 A JP14563192 A JP 14563192A JP 14563192 A JP14563192 A JP 14563192A JP H05340277 A JPH05340277 A JP H05340277A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
buffer
eccentric sleeve
compression ratio
piston
eccentric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP14563192A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Matsuda
雅彦 松田
Takeo Kume
建夫 久米
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP14563192A priority Critical patent/JPH05340277A/ja
Publication of JPH05340277A publication Critical patent/JPH05340277A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の運転中に緩衝ピストンに作用する
慣性力に起因した緩衝能力低下を来さない可変圧縮比装
置の緩衝機構を提供すること。 【構成】 緩衝ピストン(62,63)は、スプリング
(64)によって偏心スリーブ(5)のフランジ部(5
1,52)側に付勢され、フランジ部のカム面(51
a,52a)に当接している。圧縮比変更時に偏心スリ
ーブが最大又は最小偏心位置付近まで回転すると、カム
面によって緩衝ピストンが油圧シリンダ内に押し込ま
れ、油室(64)から油が排出されて緩衝作用が奏され
る。緩衝ピストンは、コネクティングロッド(6)のク
ランク軸挿通孔の軸心方向に延びる油圧シリンダ内に配
されて慣性力作用方向には移動不能で、ピストン振動に
よる緩衝能力低下を来さない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の可変圧縮比
装置の緩衝機構に関し、特に、緩衝能力に優れた緩衝機
構に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の高負荷域或は高回転域でのノ
ッキングを防止すると共に低負荷域での熱効率ひいては
燃費を向上するため、内燃機関に可変圧縮比装置を装備
することは従来公知である。例えば、特願平2ー125
166号では、ピストンとクランク軸とに両端が夫々枢
支されたコネクティングロッドを備えるエンジンに用い
る可変圧縮比装置が提案されている。この装置は、コネ
クティングロッドの一端とクランク軸との間に介装され
外周面の中心と内周面の中心とが偏心した偏心スリーブ
を備え、偏心スリーブの両側にはコネクティングロッド
の上記一端を挟むようにフランジ部が偏心スリーブと一
体に形成されている。コネクティングロッド内には該ロ
ッドから出没自在にロックピンが収容され、該ロックピ
ンは両フランジ部に夫々設けた切欠部のいずれか一方に
係合可能になっている。一方のフランジ部の切欠部にロ
ックピンが係合して偏心スリーブが最大偏心状態で固定
されると、見かけ上のコネクティングロッド長が最大に
なって高圧縮比状態になる。又、他方のフランジ部の切
欠部にロックピンが係合すると、最小偏心状態となって
見かけ上のロッド長が最小となり、低圧縮比状態にな
る。
【0003】上記可変圧縮比装置を装備したエンジンの
運転中、エンジン回転力,エンジンのピストンに加わる
上下方向慣性力,エンジンの爆発力などによる合成トル
クが偏心スリーブに作用する。従って、ロックピンと切
欠部との係合が解除されると、合成トルクを受ける偏心
スリーブが回転し、これに伴って、両側フランジ部の周
面に所定区間にわたって形成したガイド用切欠部がコネ
クティングロッド側に設けたストッパピンに対して摺動
し、偏心スリーブが所定区間分だけ回転するとガイド用
切欠部の終端がストッパピンに当接するに至る。偏心ス
リーブの回転速度は相当に大きく、従って、ガイド用切
欠部の端がストッパピンに当接するときに衝撃が発生す
るという不都合が生じる。
【0004】そこで、上記可変圧縮比装置は、ガイド用
切欠部の端がストッパピンに当接するときの衝撃を吸収
するための機構を備えている。この衝撃吸収機構すなわ
ち緩衝機構は、コネクティングロッドのクランク軸側端
部に設けた油圧シリンダと、ストッパピンと一体に設け
られ油圧シリンダ内においてクランク軸に直交する方向
に移動自在のピストンと、該ピストンの両側に画成され
たシリンダ室内に夫々配される2つのスプリングとを有
し、両該スプリングによりピストンを通常は中立位置に
保持している。そして、ガイド用切欠部の一端がストッ
パピンに当接すると、ストッパピンと一体のピストンが
シリンダ内を移動し、このピストン移動に伴ってシリン
ダ室内の作動油がオリフィスを介してシリンダ室から排
出され、作動油がオリフィスを通過するときに損失が生
じて衝撃吸収のための緩衝作用が奏される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】エンジン回転中、エン
ジン回転数が増大するにつれて大きさが増大しかつクラ
ンク軸の回転角に応じて方向が変化する慣性力(振動
力)が緩衝ピストンに加わる。上記提案の可変圧縮比装
置では、衝撃吸収機構のピストンすなわち緩衝ピストン
は、上述のように、クランク軸に直交する方向すなわち
慣性力作用方向に移動自在である。このため、衝撃吸収
機構によって緩衝作用が奏されている間にも緩衝ピスト
ンが慣性力作用方向に振動し、従って、衝撃吸収機構の
緩衝能力が損なわれる。このため、緩衝ピストンに大き
い慣性力が加わり緩衝能力が大幅に低下するエンジン高
回転域においても所要の緩衝能力を担保するには、衝撃
吸収機構の緩衝能力を高くしなければならず、換言すれ
ば、衝撃吸収機構すなわち緩衝機構が大型になる。
【0006】本発明は、上述の問題を解決するためにな
されたもので、内燃機関の運転中に緩衝ピストンに作用
する慣性力に起因した緩衝能力低下を来さない緩衝機構
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、コネクティングロッドの一端部に形成したクランク
軸挿通孔内でクランク軸の回りに回転自在の偏心スリー
ブを、所定の偏心スリーブ回転位置の任意の一つに固定
して、内燃機関の圧縮比を変化させるようにした可変圧
縮比装置において、本発明は、クランク軸挿通孔の軸心
方向に延びるシリンダと、該シリンダ内で移動自在の緩
衝ピストンと、該緩衝ピストンをシリンダの外方側に付
勢する付勢手段と、緩衝ピストンの外方端が当接するカ
ム面を形成したストッパとを備え、偏心スリーブが所定
の回転位置の一つに接近したときに緩衝ピストンをカム
面によってシリンダの内方側に移動させることを特徴と
する。
【0008】
【作用】付勢手段によってシリンダの外方側に付勢され
る緩衝ピストンは、その外方端がストッパのカム面に当
接した状態にある。偏心スリーブの固定が解除されると
偏心スリーブがクランク軸の回りに回転する。偏心スリ
ーブが所定の偏心スリーブ回転位置の一つに接近する
と、ストッパのカム面によって、付勢手段の付勢力に抗
して緩衝ピストンがシリンダの内方側に移動される。こ
のピストン移動に伴ってシリンダ内の作動流体たとえば
作動油がシリンダから排出され、このときに流体摩擦損
失が生じて緩衝作用が奏される。
【0009】緩衝ピストンは、コネクティングロッドの
一端部に形成したクランク軸挿通孔の軸心方向にのみ移
動自在に配され、即ち、内燃機関の運転中に緩衝ピスト
ンに作用する慣性力(振動力)の作用方向に対して垂直
な方向のみに移動自在に配されている。従って、クラン
ク軸に直交する方向すなわち慣性力の作用方向には移動
不能である。このため、内燃機関の運転中に緩衝ピスト
ンに作用する慣性力に起因して緩衝ピストンの振動が発
生することがなく、ピストン振動による緩衝機構の緩衝
能力の低下を来さない。
【0010】
【実施例】図1及び図2を参照すると、内燃エンジンは
コネクティングロッド6を備え、該ロッド6のピストン
8側の端部およびクランク軸1側の端部(以下、小端部
および大端部と夫々称する)は、ピストンピン7および
クランクピン2によって夫々枢支されている。コネクテ
ィングロッド6の大端部に穿設したクランクピン挿通孔
(広義にはクランク軸挿通孔)には、エンジンに搭載さ
れる可変圧縮比装置の主要要素の一つである偏心スリー
ブ5がクランクピン2の回りに回転自在に配され、この
偏心スリーブ5によって、クランクピン挿通孔とクラン
クピン2とを相互に偏心させるようにしている。即ち、
偏心スリーブ5はその内周面の中心とその外周面の中心
とが偏心しており、スリーブ5を最小偏心位置からクラ
ンク軸1の回りに約160度回転すると、スリーブ5が
最大偏心位置をとるようになっている。又、偏心スリー
ブ5の内周面とクランクピン2の外周面との間、およ
び、偏心スリーブ5の外周面とコネクティングロッド6
のクランクピン挿通孔の内周面との間にはメタル軸受
9,10が夫々介装され、これにより、スリーブ5とピ
ン2との間およびスリーブ5とクランクピン挿通孔との
間での摺動を円滑にしている。
【0011】可変圧縮比装置は、クランク軸1の軸方向
に移動自在のロックピン12を含む偏心スリーブブロッ
ク手段11を備え、油圧駆動機構11Aでロックピン1
2を作動させることにより、偏心スリーブ5に形成した
2つの係合部5a,5bの任意の一方にロックピン12
を係合させて、偏心スリーブ5を最小偏心位置及び最大
偏心位置の任意の一方に固定するようになっている。ロ
ックピン12の中間部には、フランジ状にピストン部1
2aが拡径して一体に設けられている。
【0012】偏心スリーブブロック手段11に関連し
て、コネクティングロッド6の大端部には、ロックピン
12が嵌合する段付き貫通孔がクランク軸の軸方向に形
成されている。この貫通孔の内方端部側の小径穴部はロ
ックピン12の径とほぼ同一径で、貫通孔の中径穴部は
ピストン12aの径とほぼ同一径で、又、貫通孔の外方
端部側の大径穴部はピストン12aより大きい径を有し
ている。従って、この貫通孔にロックピン12を入れる
と、貫通孔の小径穴部にロックピン12が液密に挿通さ
れると共に、貫通孔の中径穴部にピストン部12aが液
密に嵌挿される。そして、リターンスプリング15を入
れた後に貫通孔の大径部にこれとほぼ同径のキャップ1
6を嵌め込んでコネクティングロッド6にボルト等にて
固定すると、油圧通路17,18に夫々連通する油圧室
13,14がピストン部12aの両側に画成される。リ
ターンスプリング15は油圧室13内に装填されて、ロ
ックピン12を油圧室14側へ付勢することになる。な
お、ピストン部12a両側の受圧面積は等しく設定され
ている。上述のピストン部12a,油圧室13,14,
リターンスプリング15は、ロックピン12を駆動する
ためのピストン式油圧駆動機構11Aを構成する。
【0013】偏心スリーブ5は、コネクティングロッド
6の大端部を挟むように軸方向に互いに離隔したフラン
ジ部51,52を有している。一方のフランジ部51の
周縁部には、偏心スリーブ5の最小偏心位置に対応する
周方向位置に切欠状の係合部5aが形成されている。同
様に、他方のフランジ部52の周縁部には、スリーブ5
の最大偏心位置に対応する周方向位置に切欠状の係合部
5bが形成されている。
【0014】ロックピン12が図1において右方へ移動
してロックピン12と係合部5bとが係合すると、偏心
スリーブ5が最大偏心位置でコネクティングロッド6の
大端部に固定され、これにより、コネクティングロッド
6は見かけ上最も伸びた状態になって、高圧縮比状態を
確立するようにしている。一方、ロックピン12が左方
へ移動してロックピン12と係合部5aとが係合する
と、偏心スリーブ5が最小偏心位置でコネクティングロ
ッド6に固定され、コネクティングロッド6は見かけ上
最も縮んだ状態になって、低圧縮比状態が確立する。低
圧縮比状態での圧縮比としてはエンジンがノッキングを
起こさない程度の通常の値が選ばれ、一方、高圧縮比状
態での圧縮比は通常の値よりも大きい値に設定されてい
る。
【0015】更に、可変圧縮比装置は、油圧通路17,
18を介して油圧室13,14に標準油圧を印加するた
めの手段と、ロックピン12をリターンスプリング15
の付勢力に抗して油圧室13側へ移動させるべく油圧室
14に標準油圧よりも高い油圧を印加するための手段と
を有している。即ち、図1に示すように、油圧通路1
7,18は、クランク軸1のクランクジャーナル3から
クランクアーム4の部分を通ってクランクピン2から更
にメタル軸受9,偏心スリーブ5,メタル軸受10及び
コネクティングロッド6の大端部を通って、夫々油圧室
13,14に連通している。メタル軸受9,10の内周
面には、油圧通路17,18につながる2条の無端状溝
が形成され、又、メタル軸受9,10には、両該軸受け
の各溝と偏心スリーブ5又はコネクティングロッド6の
大端部の油圧通路17,18とを連通させる貫通孔が形
成されている。
【0016】図3を参照すると、油圧印加系において、
油圧通路17はメインギャラリ23側に連通し、油圧通
路18は切換弁25を介してサブオイルポンプ24或は
メインギャラリ23側に連通している。オイルタンク或
はオイルパン20からのオイルは、リリーフ弁付きのオ
イルポンプ19,オイルフィルタ22及びメインギャラ
リ23を介して油圧通路17に供給され、メインギャラ
リ23からサブオイルポンプ24に供給されたオイル
は、該ポンプ24において更に加圧されるようになって
いる。なお、オイルポンプ19,サブオイルポンプ24
はエンジンに駆動的に連結されている。
【0017】又、油圧印加系は、高い油圧と標準油圧と
の差圧を一定に調整するためのリリーフ弁26と、切換
弁25を切り替え制御するための制御弁27と、切り替
え制御信号を制御弁27に供給するためのコントローラ
40とを更に備えている。コントローラ40は、エンジ
ン負荷センサ41及びエンジン回転数センサ42の出力
に基づいてエンジン高負荷域あるいは高回転域を検出す
ると制御弁27をa位置に切り替えるための制御信号を
送出し、エンジン低負荷域を検出すると弁27をb位置
にするような制御信号を送出するようになっている。
【0018】そして、制御弁27がa位置をとると切換
弁25のパイロット油圧が低下して切換弁25がa位置
に切り替わり、メインギャラリ23からの標準油圧が油
圧通路18を介して油圧室14に供給される。このとき
油圧室13内には油圧通路17を介してメインギャラリ
23からの標準油圧が供給されているので、リターンス
プリング15の付勢力によって、ロックピン12が左方
へ移動して係合部5aに係合する。この結果、偏心スリ
ーブ5が最小偏心位置をとり、コネクティングロッド6
は見かけ上最も縮んだ状態になって、低圧縮比状態が確
立される。
【0019】一方、制御弁27がb位置をとると切換弁
25のパイロット油圧が上がって切換弁25がb位置に
切り替わり、サブオイルポンプ24からの高い油圧が油
圧通路18を介して油圧室14に供給される。このとき
油圧室13内には油圧通路17を介してメインギャラリ
23からの標準油圧が供給されているので、リターンス
プリング15の付勢力に抗してロックピン12が右方へ
移動して係合部5bと係合し、偏心スリーブ5が最大偏
心位置近傍をとり、コネクティングロッド6は見かけ上
最も伸びた状態になって、高圧縮比状態が確立される。
【0020】高圧縮比状態と低圧縮比状態間での移行
時、偏心スリーブ5と係合部5a,5bの一方との係合
状態が一旦解除され、次いで、スリーブ5と他方の係合
部との係合状態が確立される。しかしながら、偏心スリ
ーブ5と係合部との係合状態が解除されると偏心スリー
ブ5が相当の回転速度でクランクピン2の回りで回転す
るので、偏心スリーブ5と係合部との係合状態を再確立
するのに困難を来たす。
【0021】このため、可変圧縮比装置は、偏心スリー
ブ5が最大偏心位置又は最小偏心位置に接近したときに
偏心スリーブ5の回転速度を強制的に低下させて偏心ス
リーブ5と係合部5a又は5bとの係合状態を容易に再
確立するための緩衝機構を備えている。図1,図2及び
図4に示すように、本実施例の緩衝機構は、偏心スリー
ブ5の両フランジ部51,52間においてコネクティン
グロッド6の大端部の一側外周面に設けた主体部60を
備えている。主体部60の中央部分には、コネクティン
グロッド6の大端部に形成したクランクピン挿通孔の軸
心に沿って延びる段付き貫通孔が形成されている。又、
主体部60の一側にはこの貫通孔と整合してキャップ6
1がボルトで固定されている。そして、主体部60の貫
通孔形成面とキャップ61とによって画成される油圧シ
リンダ内には、互いに同一構成の一対の緩衝ピストン6
2,63が移動自在に収容されている。緩衝ピストン6
2,63の各々は、全体として円筒状をなすと共に大径
の基端部を有し、各該緩衝ピストンの基端部側の端面に
は浅い有底穴が形成されている。
【0022】両緩衝ピストン62,63間には両端がピ
ストンの有底穴に夫々着座するスプリング64が介設さ
れ、スプリング64によって、ピストン62,63を互
いに離反する方向すなわち油圧シリンダの外方側に常時
付勢するようにしている。ここで、主体部60に形成し
た段付き貫通孔の大径部及び小径部は、ピストン62,
63の大径部及び小径部と夫々ほぼ同一直径にされ、キ
ャップ61にはピストン62,63の小径部と略同一直
径の貫通孔がピストンと整合して形成されている。従っ
て、スプリング64により外方に付勢されるピストン6
2は、その大径部がキャップ61に当接して主体部60
の油圧シリンダ内に該シリンダから離脱不能に収容さ
れ、同様に、ピストン63は、その大径部が主体部60
の貫通孔形成部の内面に当接してシリンダ内に離脱不能
に収容されている。
【0023】緩衝ピストン62,63の対向面間に画成
される油室65は、主体部60の貫通孔の一側に形成さ
れ該貫通孔と連通する連通路66に連通している。な
お、ピストン62,63が図5に示すようにシリンダ内
に後退したとき、主体部60の貫通孔形成面とピストン
62,63の外周面とによって、連通路66に夫々連通
する油室67,68が画成されるようになっている。
【0024】緩衝機構は、緩衝ピストン62,63が当
接するストッパとして機能する偏心スリーブ5のフラン
ジ部51,52を構成要素として含んでいる。図4に示
すように、フランジ部51,52の周縁部内面には、ピ
ストン62,63の外方端が夫々常時当接する曲面状の
カム面51a,52aが形成されている。フランジ部5
1,52の周縁部のカム面形成部位の厚さは、偏心スリ
ーブ5の最大偏心位置の手前から徐々に厚くなり最大偏
心位置で最大にされ、又、スリーブ5の最小偏心位置の
手前から徐々に厚くなり最小偏心位置で最大にされてい
る。換言すれば、フランジ部51,52のカム面形成部
位は、偏心スリーブ5が最大偏心位置及び最小偏心位置
の任意の一方に接近したときにピストン62,63を主
体部60に形成したシリンダの内方側に強制的に移動さ
せるような断面形状に形成されている。
【0025】本実施例の緩衝機構は、緩衝作用のための
ストロークを行うピストンを2つ設けることによって、
実質的なピストンのストローク長を増大させて緩衝機構
の緩衝能力を増大させている。換言すれば、一つのピス
トンあたりのストローク長を低減でき、フランジ部5
1,52の厚さを厚くできない場合にも所要の緩衝能力
が得られるようにしている。
【0026】以下、上記構成の緩衝機構を備えた可変圧
縮比装置の作動を説明する。偏心スリーブ5のフランジ
部51に形成した係合部5aとロックピン12との係合
より偏心スリーブ5が最小偏心位置に固定された状態す
なわち低圧縮比状態でエンジンを運転している間に、コ
ントローラ40がエンジン負荷センサ41及びエンジン
回転数センサ42に基づいてエンジン低負荷域を検出し
て制御信号を送出すると、この制御信号に応じて制御弁
27がb位置をとるので切換弁25がb位置をとり、オ
イルポンプ24からの高い油圧が油圧通路18を介して
油圧室14に供給される。その一方で、油圧室13内に
は油圧通路17を介してメインギャラリ23からの標準
油圧が供給されているので、高い油圧と標準油圧との差
圧がピストン部12aにかかり、これによりスプリング
15の付勢力に抗してロックピン12が図1において右
方に移動する。このため、ロックピン12と係合部5a
との係合が解除され、偏心スリーブ5が、エンジン回転
力などによる合成トルクを受けてコネクティングロッド
6に形成したクランクピン挿通孔内においてクランクピ
ン2の回りに回転する。
【0027】偏心スリーブ5の回転中、ロックピン12
の一端は偏心スリーブ5のフランジ部52の周縁部内面
に当接しており、又、フランジ部51,52のカム面5
1a,52aと両該曲面に常時当接する緩衝ピストン6
2,63の外方端との相対位置が変化する。そして、偏
心スリーブ5が最大偏心位置に接近するにつれて、外方
端がフランジ部カム面51a,52aに当接した緩衝ピ
ストン62,63は、カム面によって、スプリング64
のばね力に抗して、主体部60に形成した油圧シリンダ
内に強制的に押し込まれる。しかも、緩衝ピストン6
2,63は、図4に示すカム面形状から明かなように、
最大偏心位置に近接したときにシリンダ内に急速に押し
込まれ、最大偏心位置に達すると緩衝ピストン62,6
3はシリンダ内に完全に後退する。
【0028】この様に、緩衝ピストン62,63が油圧
シリンダ内方に押し込まれると、両ピストン間に画成さ
れる油室65の容積が減少し、油室65内の作動油が、
両ピストンの基端部間の間隙を介して連通路66に排出
され、更に、油室67,68に排出される。ピストン基
端部間の間隙は、油室65の容積減少につれて徐々に狭
くなり、可変オリフィス作用を奏する。従って、油室6
5からの作動油の排出に伴って流体摩擦損失が生じる。
このため、偏心スリーブ5の回転速度が低下する。即
ち、緩衝機構により油圧による緩衝作用が奏される。
【0029】上述の様に、偏心スリーブ5が最大偏心位
置に接近するにつれて偏心スリーブ5の回転速度が低下
するので、偏心スリーブ5が最大偏心位置まで回転して
偏心スリーブ5のフランジ部52の周縁に形成した係合
部5bとロックピン12の一端が互いに対向した状態に
なると、ロックピン12と係合部5bとが容易に係合す
るに至る。但し、実際は、ロックピン12が係合部5b
を一回行き過ぎて偏心スリーブ5の速度が十分低下し、
再び係合部5bに戻ったところで、ロックピン12が係
合部5bに嵌入することもある。
【0030】しかも、緩衝ピストン62,63は、コネ
クティングロッド6のクランクピン挿通孔の軸心方向に
のみ移動自在で、従って、エンジン運転に起因してピス
トンに作用する慣性力すなわち振動力の作用方向に対し
て垂直な方向にのみ移動自在であって、振動力作用方向
には移動不能なので、エンジン運転に起因して振動する
ことがない。従って、緩衝機構は、振動による緩衝能力
の低下を来さない。
【0031】以上のようにして、ロックピン12と係合
部5bとが係合して、偏心スリーブ5が最大偏心位置で
コネクティングロッド6の大端部に固定されると、コネ
クティングロッド6は見かけ上ほぼ最も伸びた状態に切
り替えられて、高圧縮比状態とされる。その後、エンジ
ン高負荷域あるいは高回転域が検出されて制御弁27を
a位置にするような制御信号がコントローラ40から送
出されると、切換弁25がa位置になり、油圧通路1
7,18を介してメインギャラリ23からの標準油圧が
油圧室13,14に供給され、リターンスプリング15
の付勢力によって、ロックピン12が左方に移動する。
【0032】低圧縮比状態から高圧縮比状態への移行の
場合と同様、偏心スリーブ5が最大偏心位置から離脱し
て回転し、最小偏心位置に接近するにつれて、緩衝機構
の油圧による緩衝作用が奏され、偏心スリーブ5の回転
速度が減少する。そして、偏心スリーブ5が最小偏心位
置に達して、偏心スリーブのフランジ51に形成した係
合部5aとロックピン12とが対向すると、ロックピン
12と係合部5aとが容易に係合して、偏心スリーブ5
が最小偏心位置でコネクティングロッド6の大端部に固
定される。その結果、コネクティングロッド6は見かけ
上最も縮んだ状態に切り替えられて、ノッキングを回避
可能な低圧縮比状態となる。
【0033】なお、上記実施例では、一対の緩衝ピスト
ンを用いて緩衝能力を増大させた緩衝機構について説明
したが、本発明の緩衝機構において一対のピストンを設
けることは必須ではなく、一つの緩衝ピストンのみを設
けても良い。又、緩衝能力を更に増大すべく、上記緩衝
機構と略同一構成のものを偏心スリーブの周方向に離間
させて複数個設けても良い。
【0034】
【発明の効果】上述のように、本発明は、コネクティン
グロッドの一端部に形成したクランク軸挿通孔内でクラ
ンク軸の回りに回転自在の偏心スリーブを、所定の偏心
スリーブ回転位置の任意の一つに固定して、内燃機関の
圧縮比を変化させるようにした可変圧縮比装置におい
て、クランク軸挿通孔の軸心方向に延びるシリンダと、
該シリンダ内で移動自在の緩衝ピストンと、該緩衝ピス
トンをシリンダの外方側に付勢する付勢手段と、緩衝ピ
ストンの外方端が当接するカム面を形成したストッパと
を備え、偏心スリーブが所定の回転位置の一つに接近し
たときに緩衝ピストンをカム面によって前記シリンダの
内方側に移動させるようにしたので、内燃機関の運転中
に緩衝ピストンに作用する慣性力に起因して緩衝能力が
低下することがなく、従って、緩衝機構をコンパクトに
構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の緩衝機構を備えた内燃エン
ジンの可変圧縮比装置を示す一部断面正面図である。
【図2】図1に示す可変圧縮比装置の右側面図である。
【図3】可変圧縮比装置と共に用いられる油圧印加系を
示す油圧回路図である。
【図4】図1及び図2に示す緩衝機構の拡大平面断面図
である。
【図5】緩衝ピストンが油圧シリンダ内に後退した状態
で示す緩衝機構の拡大平面断面図である。
【符号の説明】
1 クランク軸 2 クランクピン 5 偏心スリーブ 5a,5b 係合部 6 コネクティングロッド 12 ロックピン 51,52 フランジ部 51a,52a カム面 60 主体部 61 キャップ 62,63 緩衝ピストン 64 スプリング 66 連通路 67,68 油室

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コネクティングロッドの一端部に形成し
    たクランク軸挿通孔内でクランク軸の回りに回転自在の
    偏心スリーブを、所定の偏心スリーブ回転位置の任意の
    一つに固定して、内燃機関の圧縮比を変化させるように
    した可変圧縮比装置において、前記クランク軸挿通孔の
    軸心方向に延びるシリンダと、前記シリンダ内で移動自
    在の緩衝ピストンと、前記緩衝ピストンを前記シリンダ
    の外方側に付勢する付勢手段と、前記緩衝ピストンの外
    方端が当接するカム面を形成したストッパとを備え、前
    記偏心スリーブが前記所定の回転位置の一つに接近した
    ときに前記緩衝ピストンを前記カム面によって前記シリ
    ンダの内方側に移動させることを特徴とする、内燃機関
    の可変圧縮比装置の緩衝機構。
  2. 【請求項2】 前記シリンダ内で互いに接近離反移動自
    在に配された一対の緩衝ピストンを有することを特徴と
    する請求項1の内燃機関の可変圧縮比装置の緩衝機構。
JP14563192A 1992-06-05 1992-06-05 内燃機関の可変圧縮比装置の緩衝機構 Withdrawn JPH05340277A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14563192A JPH05340277A (ja) 1992-06-05 1992-06-05 内燃機関の可変圧縮比装置の緩衝機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14563192A JPH05340277A (ja) 1992-06-05 1992-06-05 内燃機関の可変圧縮比装置の緩衝機構

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05340277A true JPH05340277A (ja) 1993-12-21

Family

ID=15389477

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14563192A Withdrawn JPH05340277A (ja) 1992-06-05 1992-06-05 内燃機関の可変圧縮比装置の緩衝機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05340277A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100487957B1 (ko) * 2002-10-31 2005-05-06 엘지전자 주식회사 이중용량 압축기의 래칭기구
KR100487958B1 (ko) * 2002-10-31 2005-05-06 엘지전자 주식회사 이중용량 압축기의 래칭기구
DE102004053225A1 (de) * 2004-11-04 2006-05-11 Daimlerchrysler Ag Hubkolbenmaschine
WO2017097936A1 (de) * 2015-12-10 2017-06-15 Volkswagen Aktiengesellschaft Brennkraftmaschine

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100487957B1 (ko) * 2002-10-31 2005-05-06 엘지전자 주식회사 이중용량 압축기의 래칭기구
KR100487958B1 (ko) * 2002-10-31 2005-05-06 엘지전자 주식회사 이중용량 압축기의 래칭기구
DE102004053225A1 (de) * 2004-11-04 2006-05-11 Daimlerchrysler Ag Hubkolbenmaschine
WO2017097936A1 (de) * 2015-12-10 2017-06-15 Volkswagen Aktiengesellschaft Brennkraftmaschine

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5562068A (en) Compression ratio changing device in internal combustion engine
US5553584A (en) Valve operating device for internal combustion engine
US5146879A (en) Variable compression ratio apparatus for internal combustion engine
AU2002306327B2 (en) Compression ratio variable device of internal combustion engine
US20070175421A1 (en) Variable compression ratio device of internal combustion engine
JPH05340277A (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置の緩衝機構
JPS6361779A (ja) 可変容量形圧縮機
EP1533498B1 (en) Compression ratio variable device of internal combustion engine
JP2730387B2 (ja) 内燃機関の圧縮比制御装置
JPH06241058A (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JP2689296B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JP2785425B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JP2007177751A (ja) 内燃機関の圧縮比可変装置
JP2913722B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JPH05302529A (ja) 内燃機関の圧縮比制御装置
JP2012229642A (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JP2559525Y2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JPH0830423B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JP2688728B2 (ja) 内燃機関の圧縮比制御装置
JPH05280383A (ja) 内燃機関の圧縮比制御装置
JP2558348Y2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JPH089386Y2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JP2913721B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JPH05302530A (ja) 内燃機関の圧縮比制御装置
JPH0673339U (ja) ピストンピン可動型エンジン

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990831