JPH05339592A - 冷凍機油組成物 - Google Patents

冷凍機油組成物

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JPH05339592A
JPH05339592A JP17613092A JP17613092A JPH05339592A JP H05339592 A JPH05339592 A JP H05339592A JP 17613092 A JP17613092 A JP 17613092A JP 17613092 A JP17613092 A JP 17613092A JP H05339592 A JPH05339592 A JP H05339592A
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JP
Japan
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acid ester
oil
ester
refrigerating machine
carbonic acid
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Application number
JP17613092A
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English (en)
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Yasuo Kondo
康男 近藤
Koji Beppu
幸治 別府
Kazuo Tagawa
一生 田川
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Eneos Corp
Original Assignee
Mitsubishi Oil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明はフロン系冷媒の代替品であるハイドロ
フルオロカーボンを使用する冷凍機用潤滑油を調製する
ための冷凍機油組成物を提供することを目的とする。 【構成】特定の炭酸エステル単独、またはこれと鉱油お
よび/またはアルキルベンゼンとの混合油を基油とし
て、リン酸エステルおよび/または亜リン酸エステルを
特定量添加することを特徴とする冷凍機油組成物。 【効果】本発明は、高温部におけるスラッジ生成を抑制
し、優れた耐摩耗性と良好な冷媒相溶性を備えたハイド
ロフルオロカーボン用冷凍機油として、高温・高圧環境
下での長期間使用が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍機油組成物に関し、
詳しくはすべり面、ガス吐き出し口など圧縮機の高温部
におけるスラッジ生成・付着を抑制し、かつ優れた潤滑
性を有する冷凍機油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷凍機は、冷蔵・冷凍庫、エアコン、カ
ークーラーをはじめとして、各種各様のものが様々な機
器の冷却と温度調節に応用されている。一般には、往復
動形、ターボ形及び回転形などの圧縮機に、冷媒として
いわゆるフロン系冷媒を用いた蒸気圧縮式の冷凍機が、
使い易さと安全性などの面から広く使用されている。
【0003】冷凍機油は、蒸気圧縮式の冷凍機の潤滑油
として、圧縮機摺動部の摩耗防止と摩擦の低減を計るた
めに用いられ、高温高圧の冷媒雰囲気に曝される昇圧工
程では、減摩作用の他、摺動面の冷却、ガス圧縮熱の放
熱、ガス圧縮工程におけるシール、摩耗粉や異物の除去
などの役割がある。このため、冷凍機油の性能として、
優れた耐摩耗性、耐荷重性などの潤滑性と共に、使用冷
媒ならびに絶縁材、金属など機材の共存下において、熱
安定性と化学的な安定性が高く、機材への影響のないも
のが求められる。また、冷凍機油は、その一部が圧縮し
た冷媒ガスに混入し、冷凍機の系内を循環して、蒸発
器、毛管・膨張弁などの低温部に流入する。このため、
蒸発器の冷却性能を高め、低温部から圧縮機への油戻り
をよくするため、更には低温再起動時の摺動部への給油
などのために、低温流動性と封入冷媒との相溶性が冷凍
機油に求められる。
【0004】従来よりフロン系の冷媒としては、JIS
K1517で規定のフルオロメタン類(トリクロロモ
ノフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオ
ロメタン(CFC−12)、モノクロロジフルオロメタ
ン(HCFC−22))、JIS K1528で規定の
フルオロエタン類(トリクロロトリフルオロエタン(C
FC−113)、ジクロロテトラフルオロエタン(CF
C−114))およびモノクロロペンタフルオロエタン
(CFC−115)などが単独または混合して用いられ
ている。
【0005】これらの冷媒は、いずれも分子中に塩素を
含み、それぞれ溶解度合は異なるが、炭化水素系油との
相溶性を持つ。このため、これらの冷媒を使用した冷凍
機には、適度に精製したナフテン系鉱油、パラフィン系
鉱油、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィンなどの
単独または混合した基油に、酸化防止剤、摩耗防止剤、
腐食防止剤などを添加して、耐摩耗性、耐荷重性、熱安
定性および冷媒相溶性など、冷凍機油として要求される
性能を満たした、JIS K2211で規定される冷凍
機油が使用されている。
【0006】1974年、米国カルフォルニア大学のロ
ーランド教授とモリーナ博士によってフロンによる成層
圏のオゾン層破壊の学説が発表されて以来、地球環境の
保護のため、国際的にフロン、とりわけクロロフルオロ
カーボン(CFC)の規制が計画され、代替品の検討が
進められている。国内では、1989年7月1日よりC
FC−11、12、113、114、115が規制対象
フロンに指定され、代替品として、1,1,1,2−テ
トラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,
2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、
1,1,1,2−テトラフルオロ−2−クロロエタン
(HCFC−124)、ペンタフルオロエタン(HFC
−125)、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン
(HFC−142b)、1,1,1−トリフルオロエタ
ン(HFC−143a)、1,1−ジフルオロエタン
(HFC−152a)などのハイドロフルオロカーボン
が取り上げられている。主要冷媒CFC−12の代替品
としては、HFC−134a、HFC−134、HFC
−125などが検討され、HFC−134aの採用が見
込まれている。
【0007】HFC−134a冷媒を使用した冷凍機の
潤滑油としては、これまで炭酸エステル、カルボン酸エ
ステル、ポリエーテルなどの相溶性のある含酸素炭化水
素系合成油が検討されている。特に、炭酸エステル系合
成油は、HFC−134aとの相溶性と共に加水分解安
定性と電気絶縁性が優れ、腐食性と吸湿性が低いなどの
特性があり、期待されている。
【0008】炭酸エステル系合成油を用いた冷凍機油
は、例えば特開平3−247695号、同4−8724
号、同4−11628号などに開示されている。また、
炭酸エステル系合成油にリン酸エステルおよび/または
亜リン酸エステルを加えた冷凍機油は、特開平4−18
490号、同4−63893号などに開示されている。
【0009】しかし、炭酸エステル系合成油は、炭化水
素系油に較べて化学的に活性なため、高温となる圧縮機
内では特有のスラッジを生成し易く、また、耐摩耗性能
も優れたものではない。これ迄、添加剤による耐摩耗性
の向上、熱安定性の向上の検討がなされているが、炭酸
エステル特有のスラッジ生成と摩耗を抑制する面では満
足できるものは得られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、HF
C−134aその他のハイドロフルオロカーボンを冷媒
として使用する冷凍機油の潤滑油として、耐荷重性能、
耐摩耗性能、相溶性などの性能を有するとともに、スラ
ッジの生成がなく、長期間にわたり使用可能な炭酸エス
テル系の冷凍機油を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、炭酸エステル特有のスラッジ生成を
抑制する添加剤について試験と検討を重ねた結果、特定
の炭酸エステルに特定量のリン酸エステルおよび/また
は亜リン酸エステルを加えると、ハイドロフルオロカー
ボンと良好な相溶性を持ち、耐荷重性能、耐摩耗性能お
よび高温高圧下でのスラッジ生成の抑制に極めて高い効
果があることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】(1)スラッジの生成抑制(熱安定性) 炭酸エステルは、従来の実験室評価では熱安定性と耐焼
付性能は炭化水素系油と遜色なく良好な性能を示す。し
かし、すべりと熱を伴う試験で評価すると、炭化水素系
油と異なり、摩耗とスラッジの生成が著しい。
【0013】即ち、炭酸エステルについてガラス封管試
験(冷凍機油の熱安定性試験として従来行われている試
験法であり、例えば油とHFC−134a各1mlと、
直径1.6mm、長さ30mmのFe,Cu,Al線を
ガラス管に封じ、加熱して熱安定性を調べる。)を行っ
たところ、200℃で50日間加熱してもほとんど変化
せず、優れた熱安定性を示した。しかし、新たにHFC
−134a雰囲気下ですべりを加えた熱安定性試験、例
えば独OPTIMOL社製SRV(Schwingungs Reib u
nt Verschlein Testerの略、以下、同じ)試験機を用い
てHFC−134a、5リットル/hの雰囲気下、17
5℃2時間実施した摩擦試験では、橙色のスラッジを生
成し易いことがわかった。これに対して、炭化水素系油
の鉱油およびアルキルベンゼンについて同一の試験で
は、変化はなく、スラッジは生成しなかった。
【0014】本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の炭
酸エステルを基油とする場合、特定量のリン酸エステル
および亜リン酸エステルが橙色スラッジの生成抑制に有
効なことを見い出すことに成功した。
【0015】(2)潤滑性 冷凍機油の潤滑性の評価には、ファレックス試験(AS
TM2670A法、B法)の焼付荷重がよく用いられ
る。炭酸エステル系合成油の耐荷重性能は優れている。
【0016】例えばファレックス試験のA法では、同粘
度の炭化水素系油の焼付荷重が300 lbs(133
4N)〜500 lbs(2224N)であるのに対し
て、炭酸エステル系合成油は1000 lbs(444
8N)を超えるものが多い。
【0017】しかし、冷凍機は、長期間使用するため、
摩耗防止が重要となる。炭酸エステルの耐摩耗性は、炭
化水素系油に較べて特に優れているとはいえない。例え
ばシェル4球試験(ASTMD2782)機を用いて、
荷重30kgf(294N)、30分間すべり試験後の
下球摩耗痕径で比較すると、炭化水素系油は0.6〜
0.7mmであるのに対し、炭酸エステルは0.5〜
0.7mmであった。耐摩耗性向上には添加剤が利用で
きるが、冷媒との相溶性、熱安定性および機材にできる
だけ悪影響しないものが必要である。
【0018】リン酸エステル、亜リン酸エステルは、活
性が低く、安定性が良好なため、従来より冷凍機油の添
加剤として使用されている。しかし、炭化水素系油で
は、溶解度が低く、低濃度で摩耗防止効果を示すため、
リン酸エステル、亜リン酸エステルの添加量は、1質量
%以下で用いられている。また、炭酸エステル系合成油
では、任意の割合で溶解するが、これまでの使用例は、
例えば特開平4−18490号、同4−63893号に
耐摩耗性、耐荷重性をさらに改良するために冷凍機油の
全量に対し、0.1〜5.0重量%の配合が開示されて
いるが、リン酸エステル、亜リン酸エステルの添加量に
よる耐摩耗性への特異な効果に着眼して用いることはな
かった。
【0019】本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の炭
酸エステルに特定量のリン酸エステル、亜リン酸エステ
ルを添加すると、上記のスラッジ生成抑制効果に併せ
て、優れた摩耗防止効果を発揮することを見い出したの
である。
【0020】即ち、本発明は、1価のアルコール、トリ
オール、ポリオキシアルキレングリコール、糖アルコー
ルの1種以上の炭酸エステルを基油として、これにリン
酸エステルおよび/または亜リン酸エステルを基油の
3.0〜40.0質量%添加、または、鉱油および/ま
たはアルキルベンゼンに上記炭酸エステルを混合した基
油に、該混合した炭酸エステルの3.0〜40.0質量
%のリン酸エステルおよび/または亜リン酸エステルを
添加することを特徴とする、ハイドロフルオロカーボン
を冷媒とする蒸気圧縮機用の冷凍機油組成物を提供する
ものである。
【0021】本発明の冷凍機油組成物のリン酸エステル
としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフ
ェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフ
ェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシ
レニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、ジフェニルオルソキセニルホスフェート、オクチル
ジフェニルホスフェート、フェニルイソプロピルフェニ
ルホスフェート、ジフェニルイソプロピルフェニルホス
フェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェー
ト、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリスジク
ロロプロピルホスフェートなどが使用できる。なかで
も、トリクレジルホスフェート、フェニルイソプロピル
フェニルホスフェート、ジフェニルイソプロピルフェニ
ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホス
フェートが特に好ましい。
【0022】また、亜リン酸エステルとしては、トリフ
ェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリ
ス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチル
ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フ
ェニルジイソデシルホスファイト、トリイソデシルホス
ファイト、ジ−2−エチルヘキシルハイドロゼンホスフ
ァイトなどが使用できる。なかでも、トリイソオクチル
ホスファイト、トリクレジルホスファイトが特に好まし
い。
【0023】更に、異ったリン酸エステル同士の混合
物、または亜リン酸エステル同士の混合物、またはリン
酸エステルと亜リン酸エステルの混合物も使用できる。
【0024】リン酸エステルおよび/または亜リン酸エ
ステルの配合割合は、1価のアルコール、トリオール、
ポリオキシアルキレングリコール、糖アルコールの1種
以上の炭酸エステル基油、または、鉱油および/または
アルキルベンゼンに混合した同炭酸エステルの3.0〜
40.0質量%、冷媒との相溶性および耐水性を高める
ため好ましくは3.0〜20.0質量%、より好ましく
は3.0〜10.0質量%である。リン酸エステルおよ
び/または亜リン酸エステルの配合割合が3.0質量%
未満ではスラッジ生成の抑制および耐摩耗性の向上効果
が十分でない。一方、40.0質量%を超えるとスラッ
ジ生成の抑制効果が進まない。
【0025】本発明の冷凍機油組成物の基油としては、
1価のアルコール、トリオール、ポリオキシアルキレン
グリコール、糖アルコールの1種以上の炭酸エステル、
または鉱油および/またはアルキルベンゼンに1価のア
ルコール、トリオール、ポリオキシアルキレングリコー
ル、糖アルコールの1種以上の炭酸エステルを混合した
基油が用いられる。これらは、冷凍機油としての機能を
果たせる低温流動性と熱安定性を有している。
【0026】炭酸エステルとしては、製造方法は特定さ
れないが、1価のアルコール(例えば、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノー
ル、1−ペンタノール、2−ペンタノール、シクロペン
タノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、シク
ロヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノー
ル、1−オクタノール、2−オクタノール、1−ノナノ
ール、2−ノナノール、1−デカノール、2−デカノー
ル、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ド
デカノール、2−ドデカノール、1−トリデカノール、
2−トリデカノール、2−テトラデカノール、2−ペン
タデカノール、フェノール、クレゾール、ベンジルアル
コール、ジオールのアルキルエーテルなど)、
【0027】または、グリセリン、ジグリセリン、ポリ
グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、2−メチ
ルプロパン−1,2,3−トリオール、2,3,4−ペ
ンタントリオール、2−メチルブタン−1,2,3−ト
リオール、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチ
ルブタン−1,2,3−トリオールなどのトリオール、
【0028】または、ポリオキシエチレングリコール、
ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアル
キレングリコール、
【0029】または、テトリット、ベンチット、ヘキシ
ット、ソルビット、マンニット、ソルビタン、マニタン
などの糖アルコール
【0030】の1種以上とホスゲンを反応させて得られ
たもの、または低級アルコールの炭酸エステルとの交換
反応により得られたもの、更に、アルコールと一酸化炭
素を直接反応させて得られたもの、または炭酸銀とハロ
ゲン化アルキルなどと反応させて得られたものなどが挙
げられる。これらの1種又は2種以上の組合せ使用が可
能である。
【0031】なお、2価アルコール(例えば、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジ
オール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プ
ロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−
ペンタンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオ
ール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオ
ール、2−メチル−1,3ーペンタンジオール、2−メ
チル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−
2,3−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、
2,4−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル
−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,
3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサン
ジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパン
ジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタ
ンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−ノナン
ジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカン
ジオール、1,2−シクロデカンジオール、1,2−ウ
ンデカンジオール、1,2−シクロウンデカンジオー
ル、1,2−ドデカンジオール、ピナコール、ブタノイ
ル−α−グリコールなどのジオール)及びポリオールの
1種以上の炭酸エステルは、すべり面などの高温部にお
けるスラッジ生成が見られるので本発明から除外され
る。
【0032】炭酸エステルは、通常、粘度5〜1500
mm/s(40℃)の範囲で、酸価1mgKOH/
g、水分500ppmまでのものが使用できるが、熱安
定性に影響する不純物、混入物、水分を除くため、蒸
留、口過および吸着剤、脱水剤で処理した酸価0.02
mgKOH/g以下、水分20ppm以下のものが好ま
しい。
【0033】鉱油としては、パラフィン系原油、中間基
原油、ナフテン系原油などを常圧および減圧蒸留して得
られた潤滑油留分を溶剤抽出、水素化処理、水添分解処
理、溶剤脱ロウ、深冷脱ロウ、接触水素脱ロウ、再蒸
留、硫酸処理、白土処理、脱水処理などの工程を組合わ
せて精製したものが使用できる。通常、粘度5〜500
mm/s(40℃)の範囲で、流動点−15〜−30
℃、硫黄分0.05〜1.0質量%、全窒素分0.00
2〜0.1質量%のものが適用できるが、特に使用条件
の厳しい機種に使用される粘度5〜100mm/s
(40℃)の範囲のものでは、低温流動性および耐熱性
をよりよくするため、流動点−35℃以下、硫黄分0.
1質量%以下、窒素分0.001質量%以下のものが好
ましく、更に硫黄分5ppm以下、窒素分1ppm以下
のものが好ましい。
【0034】アルキルベンゼンとしては、フッ化水素な
どの触媒を用いてプロピレンの重合物とベンゼンを原料
として合成される分岐アルキルベンゼン、また同触媒を
用いてノルマルパラフィンとベンゼンを原料として合成
される直鎖アルキルベンゼンが使用できる。通常、蒸留
して、留出油または残渣油の粘度5〜100mm/s
(40℃)のモノ、ジ、トリ−アルキルベンゼンが使用
できる。熱安定性に悪影響する合成過程での重合物、着
色物を除くため、白土処理をしたものが好ましい。
【0035】本発明の冷凍機油組成物には、冷凍機油と
しての性能を満たす範囲において、二塩基酸ジエステ
ル、ポリオールエステル、ポリエーテル、ポリエーテル
のハロゲン化物、ポリエーテルの末端エステル化物、フ
ッ素系油などの基油ならびに潤滑油を混合できる。
【0036】なお、冷凍機油の添加剤として用いられる
酸化防止剤、金属不活性剤、熱安定性向上剤、極圧剤、
摩耗防止剤、消泡剤などを併用できる。酸化防止剤とし
ては、ヒンダートフェノール系、アミン系、硫黄系など
のもので、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t
−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、トリメチルジハイド
ロキノン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、
3,7−ジオクチルフェノチアジン、アルキルフェノチ
アジン−1−カルボキシレート、フェニル−2−ナフチ
ルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−2−ジメチル−p
−クレゾール、5−エチル−10,10’−ジフェニル
フェナザリン、アルキルジサルファイドなどを用いるこ
とができる。金属不活性剤、熱安定性向上剤としては、
ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、
アリザニン、キリザニン、2−アルキレンオキシド、ビ
ニールシクロヘキセンジオキシドなど、極圧剤、摩耗防
止剤としては、アルキルまたはアリールフォスフォロチ
オネート、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化カルボン
酸、ジアルキルまたはジアリールジチオリン酸金属塩、
ジアルキルジチオカルバミン酸金属塩、油溶性硫化モリ
ブデン含有化合物など、消泡剤としては、ジメチルポリ
シロキサン、カルボン酸金属塩などを用いることができ
る。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例について
説明する。実施例および比較例に使用した基油および添
加剤、試験法は、下記のとおりである。
【0038】1.基油 (1)炭酸エステルは、ポリオキシアルキレングリコー
ルポリカーボネートのmod.E−2505(三井石油
化学工業社製)を使用した。 (2)アルキルベンゼンは、ABA−H(三菱油化社製
ハード型アルキルベンゼン)を使用した。 (3)鉱油は、パラフィン系鉱油(ISOVG32、粘
度指数108、硫黄分0.01質量%)を使用した。
【0039】2.添加剤 リン酸エステルはトリクレジルホスフェート(大八化学
社製)、亜リン酸エステルはトリイソオクチルホスファ
イト(堺化学工業社製)を使用した。
【0040】3.試験法 本発明の目的である炭酸エステル特有のスラッジの生成
抑制と摩耗防止のため、スラッジ生成傾向は独OPTI
MOL社製SRV加熱振動型摩擦試験機による摺動部周
辺のスラッジ生成の有無によって評価し、耐摩耗性はシ
ェル式4球試験の摩耗痕径によって評価した。 (1)粘度測定:JIS K2283に規定の方法 (2)SRV試験:材質SUJ−2のディスクとボール
を試験材として、次の条件で摩擦試験を行い、試験後の
ディスク表面のスラッジ生成の有無を観察した。 試験条件:供試油1滴、振幅1mm、試験温度175
℃、試験時間2時間 雰囲気は、HFC−134aガスを5リットル/hの割
合で流した。 (3)4球試験:ASTMD2782に規定の方法に準
拠し、次の条件で試験した。HFC−134aガスを5
リットル/hの割合でキャピラリーを介して下球の中心
に吹き込み、荷重30kgf(294N)、回転数15
00rpmで30分間試験し、下球3個の摩耗痕径を測
り、1個当たりの平均値を求めた。
【0041】4.試験結果 (1)図1に、炭酸エステルの耐摩耗性に対するリン酸
エステルの添加効果例を示す。これにより、鉱油では少
量のリン酸エステル添加量に比例して摩耗防止効果を示
すが、炭酸エステルでは有効な下限添加量が鉱油の場合
より多く必要であり、また、添加量が一定値を超えると
急激に摩耗防止効果が現れることが分かる。 (2)表1に、実施例および比較例の各試験結果を示
す。
【0042】
【表1】
【0043】表1から明らかなように、実施例1〜4
(基油は、炭酸エステル100%)は、優れたスラッジ
生成抑制効果と耐摩耗性を示している。これに対し、比
較例2、4(リン酸エステルまたは亜リン酸エステルの
添加量は、基油の2%)および比較例3、5(リン酸エ
ステルまたは亜リン酸エステルの添加量は、基油の50
%)は、スラッジを生成し、耐摩耗性が低い。
【0044】実施例5〜8(基油は、炭酸エステル90
%、鉱油10%)および実施例9〜12(基油は、炭酸
エステル90%、アルキルベンゼン10%)は、スラッ
ジを生成せず、耐摩耗性も優れている。これに対し、比
較例7、9、12、14(リン酸エステルまたは亜リン
酸エステルの添加量は、混合した炭酸エステルの2%)
および比較例8、10、13、15、(リン酸エステル
または亜リン酸エステルの添加量は、混合した炭酸エス
テルの50%)は、スラッジを生成し、耐摩耗性も低
い。
【0045】なお、実施例1〜12の炭酸エステル(ポ
リオキシアルキレングリコール)に替えて、1−オクタ
ノール(1価のアルコール)、ポリグリセリン(トリオ
ール)、ソルビタン(糖アルコール)の炭酸エステルを
用いたことのみ異ならせて上記の各試験を行ったとこ
ろ、それぞれ実施例と同等の評価であった。
【0046】本発明の冷凍機油組成物は、基油が炭酸エ
ステルまたは、これと鉱油、アルキルベンゼンの1種類
以上との混合油と、添加剤がリン酸エステル、亜リン酸
エステルの1種類以上とで構成されている。
【0047】実施例1、6、11の各々において、基油
の炭酸エステルに替えて、ジエチレングリコール、1,
4−ブタンジオールまたはポリオールの炭酸エステルを
用いたことのみ異ならせたところ、SRV試験がいずれ
も△の評価であった。
【0048】一方、実施例1、6、11の各々におい
て、添加剤のTCPまたはTOPi単独使用に替えて、
TCPとTOPiの同量を混合使用したことのみ異なら
せたところ、相当する実施例1、6、11の各々と同等
の評価であった。
【0049】実施例は、炭酸エステルとリン酸エステル
および/または亜リン酸エステル、炭酸エステルおよび
鉱油とリン酸エステルおよび/または亜リン酸エステ
ル、炭酸エステルおよびアルキルベンゼンとリン酸エス
テルおよび/または亜リン酸エステルの組み合わせであ
るが、いずれも同様の良好な試験結果を示している。こ
れ以外の混合基油とリン酸エステルおよび/または亜リ
ン酸エステルの組み合わせも実施例と同様の良好な試験
結果であった。
【0050】
【発明の効果】本発明の冷凍機油組成物は、地球環境保
護の観点から、従来使用されていたフロン系冷媒の代替
品として世界的に検討がすすめられているHFC−13
4aその他のハイドロフルオロカーボンを冷媒として用
いる冷凍機の潤滑油に関するものである。
【0051】本発明は、炭酸エステル系合成油の長所で
あるHFC−134aとの相溶性、加水分解安定性、電
気絶縁性、低腐食性、低吸湿性などの特性を活かしつ
つ、これにリン酸エステルおよび/または亜リン酸エス
テルを特定量配合することによって、炭酸エステル系合
成油の欠点であるスラッジ生成、耐摩耗性不良を解決し
た。
【0052】本発明は、ハイドロフルオロカーボンを冷
媒として用いる冷凍機の潤滑油として、スラッジの生成
を抑制し、耐摩耗性を向上させることにより、長期間の
使用を可能とし、かつ、潤滑性、熱安定性、冷媒との相
溶性を有する優れたものである。
【0053】しかも、その用途に応じ、本発明の基油お
よび添加剤の種類、その混合割合を選択することによっ
て、様々な冷凍機に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭酸エステルの耐摩耗性に対するリン酸エステ
ルの添加効果例を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 137:02 137:04) C10N 30:06 40:30 8217−4H

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1価のアルコール、トリオール、ポリオキ
    シアルキレングリコール、糖アルコールの1種以上の炭
    酸エステルを基油として、これにリン酸エステルおよび
    /または亜リン酸エステルを基油の3.0〜40.0質
    量%添加してなる、ハイドロフルオロカーボンを冷媒と
    する蒸気圧縮機用の冷凍機油組成物。
  2. 【請求項2】鉱油および/またはアルキルベンゼンに1
    価のアルコール、トリオール、ポリオキシアルキレング
    リコール、糖アルコールの1種以上の炭酸エステルを混
    合した基油に、該混合した炭酸エステルの3.0〜4
    0.0質量%のリン酸エステルおよび/または亜リン酸
    エステルを添加してなる、ハイドロフルオロカーボンを
    冷媒とする蒸気圧縮機用の冷凍機油組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07331232A (ja) * 1994-06-03 1995-12-19 Harashima Tomoko 混合冷媒組成物
WO1997024415A1 (en) * 1995-12-28 1997-07-10 Daikin Industries, Ltd. Refrigerating machine oil and refrigerator using same

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