JPH05339404A - 燃料タンクの製造方法 - Google Patents

燃料タンクの製造方法

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JPH05339404A
JPH05339404A JP4177603A JP17760392A JPH05339404A JP H05339404 A JPH05339404 A JP H05339404A JP 4177603 A JP4177603 A JP 4177603A JP 17760392 A JP17760392 A JP 17760392A JP H05339404 A JPH05339404 A JP H05339404A
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tank
acrylonitrile
fuel tank
film
layer
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JP4177603A
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Takao Kuno
貴雄 久野
Masayuki Yamazaki
昌幸 山崎
Toshikazu Nakazato
敏和 中里
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 タンクの成形時に基材樹脂外層のポリオレフ
ィンを、ガンマ線、電子線または紫外線を照射してアク
リロニトリルと重合性官能基を有する難燃剤との混合物
をグラフト重合してなるポリエチレンフィルムで被覆す
ることを特徴とする燃料タンクの製造方法。 【効果】 本発明による燃料タンクは耐熱性が増大し、
燃料の透過性が低下する。また、資源のリサイクルに対
応でき、燃料タンクを薄肉化、軽量化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィンを基材樹
脂とする耐熱性の良好な燃料タンクの製造方法に関す
る。より詳しくは、乗用車、トラックなどの車両の燃料
であるガソリンや軽油を搭載するのに好適な耐熱性、難
燃性の燃料タンクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】ポリオレフィンは低コス
トで軽量かつ成形性に優れ、耐候性、耐薬品性、機械的
強度等が良好であるため、燃料タンク等の各種容器の基
材樹脂として広く使用されている。従来、このようなポ
リオレフィンの特長を生かし、車両搭載用の燃料タンク
として、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリオレ
フィンを基材樹脂とする単層あるいは多層積層構造の燃
料タンクが知られている。しかし、ポリオレフィンは可
燃物であることから、事故等によるタンク火災時の安全
性が必ずしも十分ではなく、耐熱性の改善が求められて
いる。
【0003】そこで、燃料タンクの構造材料の一部もし
くは全部を金属等の不燃物に変えることにより、火焔に
対する燃焼性が改善され、燃料タンクの耐熱性が向上す
ることが期待される。しかし、不燃物を使用した燃料タ
ンクでは、タンク火災時における内部燃料の気化により
高圧となり、燃焼よりもさらに危険な爆発を起こす欠点
がある。また、この金属等の不燃物を使用するタンクの
不燃化方法は、タンク重量の増加を招くことから、樹脂
化による燃料タンクの軽量化のメリットを損ない、車両
搭載用の燃料タンクの耐熱性の改善方法としては望まし
い方法ではない。
【0004】難燃性を付与する他の方法として、少なく
とも最外層に難燃剤を含有させる方法がある。しかし、
この方法では最外層の肉厚に応じて多量の難燃剤を含有
させることが必要であり、コスト的に不利となる。そこ
で難燃剤をタンクの表面のみに存在させれば有効と考え
られるが、難燃剤の移行現象を利用する場合には、析出
物が徐々にタンク表面から脱離するためその有効性は期
待するほど大きくなく、比較的短期間で効力が失われ好
ましくない。
【0005】従って、本発明の目的は、燃料タンクの重
量増加や爆発の危険性を有する金属等の不燃物を使用す
ることなく、ポリオレフィンを基材樹脂として、軽量で
耐熱性が良好でコスト的に有利に製造できる燃料タンク
の製造方法を提供することにある。特に、燃料タンクを
完全に不燃性にすると、事故の際にタンクが爆発して重
大な事態を招くことになるため、搭乗者が避難するのに
十分な時間だけは不燃状態にあり、その後は爆発するこ
となく燃焼する燃料タンクの製造方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明者らは、下記の項目について検討した。 (1) ポリオレフィンを基材樹脂とする燃料タンクは、通
常、押出成形により単層もしくは多層の円筒状パリソン
を作成した後、タンク金型内に収容するブロー成形法に
より製造される。従って、耐火焔燃焼性の良好な燃料タ
ンクを得るためには、成形時に少なくともタンク外層面
に燃焼性は有しているが、耐熱性の良好な樹脂層を設け
ることが有効であると考えられる。
【0007】(2) 樹脂製品の表面特性の改質方法として
電子線などを照射する方法が周知であり、例えば、電子
線を照射してアクリロニトリルをポリエチレンにグラフ
ト重合させて耐熱性を向上させることが知られている
(特開昭62-277441 号公報、J.Appl. Polym. Sci., 43,
221-225 (1991)、J. Appl. Polym. Sci., 43, 553-558
(1991))。この方法により得られるアクリロニトリル
をグラフトしたフィルムを用いたガソリンバリヤー性お
よび耐燃焼性の改善された燃料タンクを本発明者らは開
発し、別途特許出願しているが、難燃剤を併用してフィ
ルムの一層の難燃化をはかり着火性を低下させ火災の拡
大を抑止させる。
【0008】(3) 燃料タンクの耐熱性の改善に際し、ブ
ロー成形による従来の燃料タンクの製造工程を大幅に変
更しない。すなわち、ボトル等の容器にラベル等の基材
を貼合する方法として、ラベル基材を予め金型内にセッ
トした後、樹脂材料をブロー成形して容器を製造する成
形法(インモールド法)が知られている。このインモー
ルド成形はブロー成形材料とラベル等の基材材質が同質
の場合には、接着剤もしくは接着用樹脂等の貼合材料を
必要とせず、工程の省略化が可能であるという利点を有
し、燃料タンクの外層面に前記耐熱性フィルムを被覆す
る有用な手段と考えられるので、この方法を利用する。
【0009】本発明者らは上記の検討結果に基き、本発
明を完成したものである。すなわち、本発明はタンクの
成形時に基材樹脂外層のポリオレフィンを、ガンマ線、
電子線または紫外線を照射してアクリロニトリルと重合
性官能基を有する難燃剤(以下、重合性難燃剤と略記す
ることがある。)との混合物をグラフト重合してなるポ
リエチレンフィルムで被覆することを特徴とする燃料タ
ンクの製造方法を提供したものである。以下、本発明を
詳細に説明する。
【0010】本発明で使用するアクリロニトリルと重合
性難燃剤との混合物をグラフト重合させるポリエチレン
は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリ
エチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDP
E)等のポリエチレンである。上記ポリエチレンは密度
が0.910 〜0.980 g/cm3 のものが好ましく、またメル
トインデックス(MI、190℃、2.16kg荷重)が0.05
〜10.0g/10分のものが好ましい。より好ましくは、
密度が0.940 〜0.960 g/cm3 、メルトインデックスが
0.1 〜2.0 g/10分の範囲のものである。
【0011】本発明では、まず上記ポリエチレンをTダ
イ法、インフレーション法等の従来公知のフィルム成形
法によりフィルム化した後、アクリロニトリルと重合性
難燃剤との混合物をポリエチレンフィルムにガンマ線、
電子線または紫外線を照射してグラフト重合させて耐熱
性、難燃性に優れたポリエチレンフィルムを得る。フィ
ルムの厚みは特に制限はないが、10〜500μmが好
ましく、50〜100μmがより好ましい。
【0012】アクリロニトリルと重合性難燃剤との混合
物をポリエチレンフィルムに照射してグラフト重合させ
る方法としては、例えば特開昭62-277441 号公報等で公
知の前照射法および同時照射法に準じて行なうことがで
きる。すなわち、前照射法においてはポリエチレンフィ
ルムに照射した後、ポリエチレンフィルムをアクリロニ
トリルと重合性難燃剤との混合液またはその混合液を溶
媒に溶かした溶液(以下、両者を一括して混合物含有液
という。)の上に浮かせるか、または浸漬処理してポリ
エチレンにアクリロニトリルと重合性難燃剤をグラフト
させたポリエチレンフィルムを得る。また、同時照射法
においては、ポリエチレンフィルムにアクリロニトリル
と重合性難燃剤の混合物含有液を塗布、あるいはその混
合物含有液に浮かせるか、または浸漬した後、照射して
グラフトしたフィルムを得る。
【0013】重合性官能基を有する難燃剤の具体例とし
ては、ビニルフォスフォネートオリゴマー、臭素化アセ
ナフチレン等が挙げられる。アクリロニトリルと重合性
難燃剤の割合は、アクリロニトリルが10〜95重量
%、重合性難燃剤が90〜5重量%である。アクリロニ
トリルが10重量%未満(重合性難燃剤が90重量%以
上)では耐熱性が不十分となり、またアクリロニトリル
が95重量%以上(重合性難燃剤が5重量%以下)では
難燃剤による効果が十分でない。アクリロニトリルと重
合性難燃剤は、それぞれの混合物そのものを用いること
もできるが、通常は水、低級アルコール(メタノール、
エタノール、イソプロピルアルコールなど)あるいはそ
れらの混合溶媒の溶液として使用される。
【0014】フィルムに照射する照射線としては、ガン
マ線、電子線(電離放射線)、紫外線が用いられる。ガ
ンマ線および電子線は前照射および同時照射の双方に有
用であり、紫外線は同時照射の線源として有用である。
紫外線を利用する場合には、光開始剤を添加する必要が
ある。光開始剤としては、例えばジエトキシアセトフェ
ノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロ
パン−1−オン等のアセトフェノン類、イソブチルベン
ゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル等の
ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケ
タール類、ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン
等のケトン類等が挙げられる。照射線源としては、取扱
い易いことから電子線が好ましい。以下、照射線源とし
て電子線を使用する場合を例として、本発明で使用する
アクリロニトリルと重合性難燃剤とをグラフト重合する
ポリエチレンフィルムの調製方法を具体的に説明する。
【0015】前照射法によるグラフト化 所望の厚みに成形したポリエチレンフィルムを準備し、
そのフィルムに加速電圧150〜5000kV、好ましくは2
00〜1000kV程度の電子線を照射する。電子線の照射
は、通常は空気雰囲気下、好ましくは酸素分率が20容
量%以下の窒素雰囲気下、さらに好ましくは不活性ガス
(窒素、アルゴン等)雰囲気下にて行なわれる。照射線
量としては、0.5 〜50Mrad程度が適当である。0.5 Mr
ad未満ではアクリロニトリルと重合性難燃剤のグラフト
が十分に行なわれない。また50Mradを越えるとフィル
ムが劣化することとなり、特に延伸性の低下によりイン
モールド成形が困難となる。電子線の照射後、アクリロ
ニトリルと重合性難燃剤の混合物含有液でポリエチレン
フィルムを処理してアクリロニトリルと重合性難燃剤を
グラフトさせる。処理方法としては、ポリエチレンフィ
ルムをアクリロニトリルと重合性難燃剤の混合物含有液
上に浮かせるのが好ましいが、浸漬または塗布してもよ
い。処理の温度は室温以上からアクリロニトリルと重合
性難燃剤の混合物含有液の沸点以下であり、処理時間は
1〜60分程度が好ましい。
【0016】溶液の濃度は10重量%以上が適当であ
る。濃度が10重量%未満では、耐熱性、難燃性の付与
が不十分となる。次いで、上記のグラフト処理を行なっ
たポリエチレンフィルムを適当な洗浄剤で十分に洗浄す
る。洗浄剤としては一般に使用されている有機溶媒、例
えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタ
ノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ピロ
リドン等が用いられるが、これらの中ではジメチルホル
ムアミドおよびピロリドンが好ましい。次にグラフトポ
リエチレンフィルムを乾燥する。かくして得られたアク
リロニトリルと重合性難燃剤をグラフトしたフィルムを
燃料タンクの基材を被覆する耐熱性フィルムとして使用
する。
【0017】同時照射法によるのグラフト化 所望の厚みに成形したポリエチレンフィルムを準備し、
そのフィルムを前処理法で説明したと同様にアクリロニ
トリルと重合性難燃剤の混合物含有液上に浮かせ、また
は浸漬、塗布する。次いで、アクリロニトリルと重合性
難燃剤の混合物含有液を塗布されたポリエチレンフィル
ムに電子線を照射し、グラフト重合させる。電子線の照
射は前処理法と同様の加速電圧、照射線量および雰囲気
下に行なうが、この場合は0.01Mrad/分以下の低線量率
で照射を行なうのがより好ましい。高線量率で照射を行
なうと、アクリロニトリルのホモポリマーが生成するこ
ととなり、グラフト化処理後の洗浄により、ホモポリマ
ーが失われるため、耐熱効果が不十分となる。上記のグ
ラフト処理を行なったポリエチレンフィルムを、前照射
の場合と同様に洗浄、乾燥し、燃料タンクの基材を被覆
する耐熱性フィルムとして使用する。
【0018】本発明における燃料タンクの基材構成は、
従来公知の燃料タンクにおけると同様に単層もしくは、
好ましくはガスバリヤー層を接着層を介して外層となる
ポリオレフィンで挟んだ多種多層構造のものが採用でき
る。燃料タンク用の多種多層構造の基材の典型として、
ポリアミドをガスバリヤー層とし、その両面の接着層と
最外層のポリオレフィン層からなる3種5層構成の例に
ついて説明する。
【0019】外層のポリオレフィンとしては、エチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1などのα−
オレフィンからなるポリマーが用いられる。これらのポ
リオレフィンは単独で、または2種以上混合して用いる
ことができる。このようなポリオレフィンのうちでは、
ポリプロピレンおよびポリエチレンが好ましく、特に最
外層となる基材と同質のポリエチレン、中でも高密度ポ
リエチレン(HDPE)が好ましい。ガスバリヤー層と
外層との間の中間層には変性ポリオレフィンが用いられ
る。変性ポリオレフィンとしては、例えば、不飽和カル
ボン酸またはその無水物により変性したポリオレフィン
が挙げられる。
【0020】ここで、不飽和カルボン酸またはその無水
物としては、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボ
ン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカル
ボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、エンディッ
ク酸無水物(無水ハイミック酸)等のジカルボン酸無水
物が挙げられ、特にジカルボン酸およびその無水物が好
ましい。具体的には、無水マレイン酸、エンド−ビシク
ロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボ
ン酸無水物(無水ハイミック酸)が好ましい。不飽和カ
ルボン酸またはその無水物により変性するポリオレフィ
ンとしては、外層のポリオレフィン層との接着性の点か
ら、そのポリオレフィンと同質のものを使用するのが好
ましい。
【0021】ガスバリヤー層のポリアミドとしては、ヘ
キサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカ
メチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−ト
リメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−または1,
4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−
アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−キシリ
レンジアミンのような脂肪族、脂環族または芳香族のジ
アミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シク
ロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸
のような脂肪族、脂環族または芳香族のジカルボン酸と
から製造されるポリアミド樹脂、6−アミノカプロン
酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン
酸のようなアミノカルボン酸から製造されるポリアミド
樹脂、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタムのよう
なラクタムから製造されるポリアミド樹脂、およびこれ
らの成分からなる共重合ポリアミド樹脂、またはこれら
のポリアミド樹脂の混合物が挙げられる。
【0022】具体的には、ポリアミド6、ポリアミド6
6、ポリアミド11、ポリアミド12およびこれらの共
重合体等が挙げられる。ポリアミドの分子量は3,000 〜
200,000 の範囲、特に10,000〜100,000 の範囲が好まし
い。なお、上記各層用の樹脂には、その改質を目的とし
て、充填剤、難燃剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、帯
電防止剤、離型剤、発泡剤、造核剤等の添加剤を適宜添
加することができる。
【0023】燃料タンクの製造方法 本発明の燃料タンクの製造方法は、上記アクリロニトリ
ルと重合性難燃剤を電子線等の照射によりグラフト重合
させたポリエチレンフィルムをタンク成形(ブロー成
形)の過程で外層に被覆するものである。このとき、前
記アクリロニトリルと重合性難燃剤をグラフトしたポリ
エチレンフィルムは、燃料タンク基材の全面を覆うこと
が好ましいが、災害時に被燃焼面となる、例えばタンク
下部のみを覆うようにしてもよい。ポリエチレンフィル
ムをタンク成形の過程で最外層として被覆する具体的方
法としては、ブロー成形する基材樹脂の円筒状のパリソ
ンと金型との間にグラフトポリエチレンフィルム設置す
るか、もしくは金型表面にセットする方法が採用され
る。
【0024】円筒状のパリソンは、ブロー成形する基材
の層構成に応じ、共押出成形等の従来公知の方法により
形成する。すなわち、アクリロニトリルと重合性難燃剤
をグラフトしたフィルムを燃料タンクの金型にセット
し、燃料タンク基材の各層用の材料に対応する樹脂をそ
れぞれの押出機から押出し、共押出成形により円筒状の
各層構造を有するパリソンを成形し、このパリソンを前
記フィルムをセットした燃料タンクのキャビティを有す
る金型内に送り込むブロー成形法により容易に製造する
ことができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を説
明するが、本発明は下記の記載のみの限定されるもので
はない。 実施例1 高密度ポリエチレン(密度:0.953 g/cm3 ,MI:1.
2 g/10分)を用いてインフレーション法により、押
出温度210℃にて50μmの厚みのフィルムを作成し
た。前記の高密度ポリエチレンについて、加速電圧20
0kV、照射線量2 Mrad で電子線を照射した。この照射
フィルムをアクリロニトリル(80重量%)とビニルフ
ォスフォネートオリゴマー(アクゾ社製,20重量%)
のイソプロピルアルコール溶液(50重量%)に40℃
にて15分間浮かせた状態で保持した後、ジメチルホル
ムアミドで洗浄した。次いで100℃で24時間真空乾
燥して、アクリロニトリルとビニルフォスフォネートオ
リゴマーをグラフトしたフィルムを得た。赤外分光法お
よび核磁気共鳴法により定量したところこのフィルム表
層中のアクリロニトリル濃度は80重量%であった。
【0026】次にこのグラフトフィルムをタンクの金型
にセットし、ガスバリヤー層としてポリアミド(東レ
(株)製,CM1061,ポリアミド6,相対粘度6.0
,融点225.5 ℃)、接着中間層として無水マレイン酸
変性ポリエチレン[MI(190℃, 2.16 kg荷重)
0.25 /10分,無水マレイン酸付加率 0.4%、密度
0.945g/cm3 ]、表面層として高密度ポリエチレン
(ハイロードメルトインデックス(HLMI 190℃,2
1.6kg荷重)6g/10分,密度0.945 g/cm3
を用いて、押出し機出口温度235℃、樹脂温度238
℃、樹脂吐出量100kg/hrで、複数の単軸押出機
からなる多層ブロー成形機((株)日本製鋼所製NB-30G
)により成形して、内容量40リットルの、表面にア
クリロニトリルとビニルフォスフォネートオリゴマーと
をグラフトしたフィルム層を有する3種5層構成の燃料
タンクを作成した。
【0027】実施例2〜5、比較例1〜2 前記実施例1と同一のフィルムを用いて、電子線の照射
量、アクリロニトリル濃度を変えて、実施例1と同様に
して燃料タンクを作成した(実施例2〜5)。また、こ
れとは別にアクリロニトリルのみをグラフトしたフィル
ム層を設けた燃料タンク(比較例1)、およびフィルム
で被覆しない燃料タンクを作成した(比較例2)。電子
線の照射線量、表層中のアクリロニトリル濃度を表1に
示す。これら7種類のタンクについて、落下衝撃特性、
ガソリン透過試験および燃焼試験を行なった結果を表1
に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】なお、各評価試験の実施方法およびその評
価基準は下記の通りである。 落下試験:タンク内に不凍液(エチレングリコール溶
液)をタンクの公称容量の50%(20リットル)入
れ、−40℃の温度で、高さ6mから鉄板(厚さ1c
m)の上に落下せしめる操作を、6回行なった後、不凍
液漏れの発生しなかったタンク個数を測定した。 ◎:6個 ○:4〜5個 △:2〜3個 ×:1〜0個
【0031】ガソリン透過試験:昭和52年運輸省自動
車局長通達(自動第1327号)に従い、タンク内にガ
ソリンをタンクの公称容量の50%(20リットル)入
れ、温度40℃にて8週間保持したときのガソリンの透
過率を測定した。 ◎:ガソリン透過量が 0.3g/日以下 ○:ガソリン透過量が 0.3を越え0.6 g/日以下 △:ガソリン透過量が 0.6を越え1.0 g/日以下 燃焼試験:ガソリンをタンクの公称容量の50%(20
リットル)入れてオイルパン上にて炎にさらし、樹脂劣
化物からなる液状物が着火しながら滴下を開始するまで
の時間(可燃液滴落下開始時間)を測定した。
【0032】表1の実施例1〜5から明らかなように、
照射線量を変化させてもガソリン透過試験、落下衝撃試
験共良好である。また、アクリロニトリルのみをグラフ
ト化したフィルムを表面層とするタンク(比較例1)お
よびフィルムで被覆しない燃料タンク(比較例2)と比
べて、可燃液滴落下開始時間が延びている。これによ
り、着火性が低下すると共に、火災の拡大の抑制効果お
よび安全性の向上に有効である。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法によりガンマ線、電子線ま
たは紫外線を照射してアクリロニトリルと重合性難燃剤
とをグラフトしたフィルムを表層に設けた燃料タンクで
は、ガソリンの透過性が低下すると共に、タンクを火焔
上に置くテストにおいて、樹脂劣化物が滴下するまでの
時間が、フィルムを設けないもの、あるいはアクリロニ
トリルのみをグラフトしたものに比べて長くなり耐熱
性、難燃性において優れている。また、重合性難燃剤を
表面層にグラフト化しているため、単なる難燃剤を配合
した場合のように移行による表面からの消失が防止で
き、難燃性の効力は永久的なものとなり、着火性が低下
すると共に火災の拡大の抑制効果および安全性の向上に
有効である。本発明による燃料タンクでは最外層の被覆
層(フィルム基材)がタンク主材と同質のものであるこ
とから、資源のリサイクルに対応でき、また燃料タンク
を一層薄肉化、軽量化することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B60K 15/03 B29K 23:00 B29L 22:00 4F C08L 51:06 7142−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンクの成形時に基材樹脂外層のポリオ
    レフィンを、ガンマ線、電子線または紫外線を照射して
    アクリロニトリルと重合性官能基を有する難燃剤との混
    合物をグラフト重合してなるポリエチレンフィルムで被
    覆することを特徴とする燃料タンクの製造方法。
JP4177603A 1992-06-11 1992-06-11 燃料タンクの製造方法 Pending JPH05339404A (ja)

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JP (1) JPH05339404A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4845253A (en) * 1987-11-23 1989-07-04 The Dow Chemical Company Silver-based catalyst for vapor phase oxidation of olefins to epoxides
CN110218356A (zh) * 2019-06-13 2019-09-10 湖南工业大学 一种铸型尼龙6原位聚合包覆黑磷阻燃剂及其制备方法和应用

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