JPH05338448A - 難燃性燃料タンク - Google Patents

難燃性燃料タンク

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JPH05338448A
JPH05338448A JP17940492A JP17940492A JPH05338448A JP H05338448 A JPH05338448 A JP H05338448A JP 17940492 A JP17940492 A JP 17940492A JP 17940492 A JP17940492 A JP 17940492A JP H05338448 A JPH05338448 A JP H05338448A
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JP
Japan
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acrylonitrile
tank
fuel tank
film
polyethylene
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Pending
Application number
JP17940492A
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English (en)
Inventor
Takao Kuno
貴雄 久野
Masayuki Yamazaki
昌幸 山崎
Toshikazu Nakazato
敏和 中里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
Application filed by Tonen Sekiyu Kagaku KK, Tonen Chemical Corp filed Critical Tonen Sekiyu Kagaku KK
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  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 アクリロニトリル、またはアクリロニトリル
と重合性難燃剤をグラフト重合してなるポリエチレン層
を表面に備えていることを特徴とする難燃性燃料タン
ク。 【効果】 本発明の燃料タンクは耐熱性、難燃性が増大
し、燃料の透過性が低下する。また資源のリサイクルに
対応でき、燃料タンクを薄肉化、軽量化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィンを基材樹
脂とする耐熱性の良好な燃料タンクに関する。より詳し
くは、乗用車、トラックなどの車両の燃料であるガソリ
ンや軽油を搭載するのに好適な耐熱性、難燃性の燃料タ
ンクに関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】ポリオレフィンは低コス
トで軽量かつ成形性に優れ、耐候性、耐薬品性、機械的
強度等が良好であるため、燃料タンク等の各種容器の基
材樹脂として広く使用されている。従来、このようなポ
リオレフィンの特長を生かし、車両搭載用の燃料タンク
として、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリオレ
フィンを基材樹脂とする単層あるいは多層積層構造の燃
料タンクが知られている。しかし、ポリオレフィンは可
燃物であることから、事故等によるタンク火災時の安全
性が必ずしも十分ではなく、耐熱性の改善が求められて
いる。
【0003】そこで、燃料タンクの構造材料の一部もし
くは全部を金属等の不燃物に変えることにより、火焔に
対する燃焼性が改善され、燃料タンクの耐熱性が向上す
ることが期待される。しかし、不燃物を使用した燃料タ
ンクでは、タンク火災時における内部燃料の気化により
高圧となり、燃焼よりもさらに危険な爆発を起こす欠点
がある。また、この金属等の不燃物を使用するタンクの
不燃化方法は、タンク重量の増加を招くことから、樹脂
化による燃料タンクの軽量化のメリットを損ない、車両
搭載用の燃料タンクの耐熱性の改善方法としては望まし
い方法ではない。
【0004】難燃性を付与する他の方法として、少なく
とも最外層に難燃剤を含有させる方法がある。しかし、
この方法では最外層の肉厚に応じて多量の難燃剤を含有
させることが必要であり、コスト的に不利となる。そこ
で難燃剤をタンクの表面のみに存在させれば有効と考え
られるが、難燃剤の移行現象を利用する場合には、析出
物が徐々にタンク表面から脱離するためその有効性は期
待するほど大きくなく、比較的短期間で効力が失われ
る。また、火炎により短時間で劣化してタンク表面が低
分子量化して滴下し、燃料が漏れ出して燃焼が拡大する
ことになり好ましくない。
【0005】従って、本発明の目的は、燃料タンクの重
量増加や爆発の危険性を有する金属等の不燃物を使用す
ることなく、ポリオレフィンを基材樹脂として、軽量で
耐熱性が良好でコスト的に有利に製造できる燃料タンク
を提供することにある。特に、燃料タンクを完全に不燃
性にすると、事故の際にタンクが爆発して重大な事態を
招くことになるため、搭乗者が避難するのに十分な時間
だけは不燃状態にあり、その後は爆発することなく燃焼
する燃料タンクを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明者らは、下記の項目について検討した。 (1) ポリオレフィンを基材樹脂とする燃料タンクは、通
常、押出成形により単層もしくは多層の円筒状パリソン
を作成した後、タンク金型内に収容するブロー成形法に
より製造される。従って、耐火焔燃焼性の良好な燃料タ
ンクを得るためには、成形時に少なくともタンク外層面
に燃焼性は有し、耐熱性の良好な樹脂層を設けることが
有効であると考えられる。
【0007】(2) 樹脂製品の表面特性の改質方法として
電子線などを照射する方法が周知であり、例えば、電子
線を照射してアクリロニトリルをポリエチレンにグラフ
ト重合させて耐熱性を向上させることが知られている
(特開昭62-277441 号公報、J.Appl. Polym. Sci., 43,
221-225 (1991)、J. Appl. Polym. Sci., 43, 553-558
(1991))。この方法により得られるアクリロニトリル
をグラフトする技術と、難燃剤による樹脂の難燃化技術
を燃料タンクに利用して、燃料タンクの難燃化をはかり
着火性を低下させ火災の拡大を抑止させる。
【0008】(3) 燃料タンクの耐熱性の改善に際し、ブ
ロー成形による従来の燃料タンクの製造工程を大幅に変
更しない。すなわち、ボトル等の容器にラベル等の基材
を貼合する方法として、ラベル基材を予め金型内にセッ
トした後、樹脂材料をブロー成形して容器を製造する成
形法(インモールド法)が知られている。このインモー
ルド成形はブロー成形材料とラベル等の基材材質が同質
の場合には、接着剤もしくは接着用樹脂等の貼合材料を
必要とせず、工程の省略化が可能であるという利点を有
し、燃料タンクの外層面に前記耐熱性フィルムを被覆す
る手段として有用と考えられるので、この方法を利用す
る。
【0009】本発明者らは上記検討結果に基き、本発明
を完成したものである。すなわち、本発明は、アクリロ
ニトリル、またはアクリロニトリルと重合性官能基を有
する難燃剤(以下、重合性難燃剤と略記することがあ
る。)をグラフト重合してなるポリエチレン層を表面に
備えていることを特徴とする難燃性燃料タンクを提供し
たものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明において、燃料タンクの表面にアク
リロニトリル、またはアクリロニトリルと重合性難燃剤
をグラフト重合してなるポリエチレン層を形成する方法
としては、(1) タンクの成形時に基材樹脂外層のポリオ
レフィンを、ガンマ線、電子線または紫外線を照射して
アクリロニトリルをグラフト重合してなるポリエチレン
フィルムで被覆する方法、(2) タンクの成形時に基材樹
脂外層のポリオレフィンを、ガンマ線、電子線または紫
外線を照射してアクリロニトリルと重合性難燃剤との混
合物をグラフト重合してなるポリエチレンフィルムで被
覆する方法、
【0011】(3) 基材樹脂を成形してなるポリエチレン
を外層とするタンクの外表面にガンマ線、電子線または
紫外線を照射した後、アクリロトリルを含有する溶液で
処理してアクリロニトリルをグラフトしたポリエチレン
層を形成する方法、(4) 基材樹脂を成形してなるポリエ
チレンを外層とするタンクの外表面にガンマ線、電子線
または紫外線を照射した後、アクリロニトリルと重合性
難燃剤を含有する混合液で処理してアクリロニトリルお
よび重合性難燃剤をグラフトしたポリエチレン層を形成
する方法、
【0012】(5) 重合性難燃剤を含有するポリエチレン
をフィルム状に成形した後、ガンマ線、電子線または紫
外線を照射してアクリロニトリルおよび重合性難燃剤を
グラフトし、基材樹脂のタンク成形時に外層のポリオレ
フィンを前記グラフトフィルムで被覆する方法、および
(6) 重合性難燃剤を含有するポリエチレンをフィルム状
に成形し、基材樹脂のタンク成形時に外層のポリオレフ
ィン上に前記フィルムを被覆したタンクを作成した後、
このタンクにガンマ線、電子線または紫外線を照射して
アクリロニトリルおよび重合性難燃剤をグラフトする方
法、等が挙げられる。
【0013】すなわち、ポリエチレン層の態様として
は、(i) 前記(1) 、(2) および(5) のようにアクリロニ
トリル、またはアクリロニトリルと重合性難燃剤をポリ
エチレンにグラフト重合してなる難燃性のポリエチレン
フィルムと基材樹脂とを一体成形したフィルム被覆によ
るもの、(ii)前記(3) および(4) のようにポリエチレン
を外層とするタンクの表面にアクリロニトリル、または
アクリロニトリルと重合性難燃剤を直接グラフト重合さ
せてなるもの、あるいは(iii) 前記(6) のように(i) の
フィルム被覆と、(ii)のタンク表面への直接グラフト重
合を併用してなるものを挙げることができる。
【0014】本発明でフィルムまたは基材樹脂としてポ
リエチレン層の形成に使用するポリエチレンは、低密度
ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン
(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の
ポリエチレンである。ポリエチレンは密度が0.910 〜0.
980 g/cm3 のものが好ましく、またメルトインデック
ス(MI、190℃、2.16kg荷重)が0.05〜10.0g/1
0分のものが好ましい。より好ましくは、密度が0.940
〜0.960 g/cm3 、メルトインデックスが0.1 〜2.0 g
/10分の範囲のものである。
【0015】本発明でポリエチレン層に使用する重合性
難燃剤の具体例としては、ビニルフォスフォネートオリ
ゴマー、臭素化アセナフチレン等が挙げられる。ポリエ
チレン層には重合性難燃剤の外、通常用いられている、
充填剤、熱安定剤、難燃剤、光安定剤、可塑剤、帯電防
止剤、離型剤、発泡剤、造核剤等の添加剤を適宜添加す
ることができる。
【0016】ポリエチレン層に用いるポリエチレンフィ
ルムは、ポリエチレンを単独使用するか、または重合性
難燃剤などの添加物を適宜配合したポリエチレン組成物
を原料として使用し、これらの原料ポリエチレンをTダ
イ法、インフレーション法等の従来公知のフィルム成形
法によりフィルムに成形することによって製造すること
ができる。フィルムの厚みは特に制限はないが、10〜
500μmが好ましく、50〜100μmがより好まし
い。
【0017】本発明のタンクの基材構成としては、従来
公知の燃料タンクにおけると同様に単層もしくは、好ま
しくはガスバリヤー層を接着層を介して外層となるポリ
オレフィンで挟んだ多種多層構造のものが採用できる。
ただし、アクリロニトリル、またはアクリロニトリルと
重合性難燃剤を基材樹脂に直接グラフト重合する場合に
は、少なくとも外層をポリエチレンとする。ポリエチレ
ン層をフィルム被覆により形成する場合の燃料タンク用
の多種多層構造の基材の典型として、ポリアミドをガス
バリヤー層とし、その両面の接着層と最外層のポリオレ
フィン層からなる3種5層構成の例について説明する。
【0018】外層のポリオレフィンとしては、エチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1などのα−
オレフィンからなるポリマーが用いられる。これらのポ
リオレフィンは単独で、または2種以上混合して用いる
ことができる。このようなポリオレフィンのうちでは、
ポリプロピレンおよびポリエチレンが好ましく、特に照
射線による劣化の少ないポリエチレン、中でも高密度ポ
リエチレン(HDPE)が好ましい。ガスバリヤー層と
外層との間の中間層には変性ポリオレフィンが用いられ
る。変性ポリオレフィンとしては、例えば、不飽和カル
ボン酸またはその無水物により変性したポリオレフィン
が挙げられる。
【0019】ここで、不飽和カルボン酸またはその無水
物としては、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボ
ン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカル
ボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、エンディッ
ク酸無水物(無水ハイミック酸)等のジカルボン酸無水
物が挙げられ、特にジカルボン酸およびその無水物が好
ましい。具体的には、無水マレイン酸、エンド−ビシク
ロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボ
ン酸無水物(無水ハイミック酸)が好ましい。不飽和カ
ルボン酸またはその無水物により変性するポリオレフィ
ンとしては、外層のポリオレフィン層との接着性の点か
ら、そのポリオレフィンと同質のものを使用するのが好
ましい。
【0020】ガスバリヤー層のポリアミドとしては、ヘ
キサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカ
メチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−ト
リメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−または1,
4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−
アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−キシリ
レンジアミンのような脂肪族、脂環族または芳香族のジ
アミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シク
ロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸
のような脂肪族、脂環族または芳香族のジカルボン酸と
から製造されるポリアミド樹脂、6−アミノカプロン
酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン
酸のようなアミノカルボン酸から製造されるポリアミド
樹脂、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタムのよう
なラクタムから製造されるポリアミド樹脂、およびこれ
らの成分からなる共重合ポリアミド樹脂、またはこれら
のポリアミド樹脂の混合物が挙げられる。
【0021】具体的には、ポリアミド6、ポリアミド6
6、ポリアミド11、ポリアミド12およびこれらの共
重合体等が挙げられる。ポリアミドの分子量は3,000 〜
200,000 の範囲、特に10,000〜100,000 の範囲が好まし
い。なお、上記各層用の樹脂には、その改質を目的とし
て、充填剤、難燃剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、帯
電防止剤、離型剤、発泡剤、造核剤等の添加剤を適宜添
加することができる。
【0022】本発明でポリエチレンフィルムまたは基材
樹脂外層のポリエチレンにアクリロニトリル、またはア
クリロニトリルと重合性難燃剤をグラフト重合させる方
法としては照射グラフト重合が採用され、例えば特開昭
62-277441 号公報等で公知の前照射法および同時照射法
のいずれによっても行なうことができる。フィルムまた
は基材樹脂に照射する照射線としては、ガンマ線、電子
線(電離放射線)、紫外線が用いられる。ガンマ線およ
び電子線は前照射および同時照射の双方に有用であり、
紫外線は同時照射の線源として有用である。紫外線を利
用する場合には、光開始剤を添加する必要がある。光開
始剤としては、例えばジエトキシアセトフェノン、2−
ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−
オン等のアセトフェノン類、イソブチルベンゾインエー
テル、イソプロピルベンゾインエーテル等のベンゾイン
エーテル類、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシ
クロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類、
ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン等のケトン
類等が挙げられる。照射線源としては、取扱い易い点か
ら電子線が好ましい。
【0023】以下、照射線源として電子線を使用し、前
述の(6) に示す態様のポリオレフィン層を有する燃料タ
ンクを製造する場合を例として、本発明の難燃性燃料タ
ンクをさらに詳しく説明する。所望の厚みに成形した重
合性難燃剤を含有するポリエチレンフィルムを準備す
る。次に、上記難燃剤含有ポリエチレンフィルムをタン
ク成形(ブロー成形)の過程で外層に被覆する。このと
き、重合性難燃剤を含有するポリエチレンフィルムは、
燃料タンク基材の全面を覆うことが好ましいが、災害時
に被燃焼面となる、例えばタンク下部のみを覆うように
してもよい。重合性難燃剤を含有するポリエチレンフィ
ルムをタンク成形の過程で最外層として被覆する具体的
方法としては、ブロー成形する基材樹脂の円筒状のパリ
ソンと金型との間に前記ポリエチレンフィルムを設置す
るか、もしくは金型表面にセットする方法が採用され
る。
【0024】円筒状のパリソンは、ブロー成形する基材
の層構成に応じ、共押出成形等の従来公知の方法により
形成する。すなわち、重合性難燃剤含有ポリエチレンフ
ィルムを燃料タンクの金型にセットし、燃料タンク基材
の各層用の材料に対応する樹脂をそれぞれの押出機から
押出し、共押出成形により円筒状の各層構造を有するパ
リソンを成形し、このパリソンを前記フィルムをセット
した燃料タンクのキャビティを有する金型内に送り込む
ブロー成形法により容易に製造することができる。
【0025】次いで、タンクの外表面にアクリロニトリ
ルを照射グラフト重合する。アクリロニトリルの照射グ
ラフト重合は、(A)タンクを照射した後アクリロニト
ルあるいはその溶液(以下、両者を一括してアクリロニ
トリル含有液という。)で処理する方法、すなわち、タ
ンクをアクリロニトル含有液に浸漬するか、あるいはア
クリロニトル含有液を塗布する方法、または(B)タン
クの外表面をアクリロニト含有液で処理(浸漬または塗
布)した後に照射する方法により行なわれる。
【0026】(A)の方法(前照射法)では、タンクを
照射下で少なくとも1回転させながら、タンクの外表面
全体、もしくは耐熱性の必要な部分(フィルムを貼り合
わせた部分)に照射を行なう。照射の条件は、加速電圧
150〜5000kV、好ましくは300kV以下で、通常は、
空気雰囲気下、好ましくは酸素分率が20容量%以下の
窒素雰囲気下、さらに好ましくは不活性ガス(窒素、ア
ルゴン等)雰囲気下にて行なわれる。5000kVを越える
と、タンクの内部まで架橋が進みすぎ、機械的強度が低
下する。照射線量としては、0.5 〜50Mrad、好ましく
は0.5 〜10Mrad程度が適当である。0.5 Mrad未満では
アクリロニトリルのグラフトが十分に行なわれない。ま
た照射線量が多すぎると、機械的強度が低下する。
【0027】照射後のタンクのアクリロニトリル含有液
による処理は、タンクを含有液に浸漬するか、またはそ
の混合液を塗布することにより行なわれる。アクリロニ
トリルは原液(100重量%)を用いることもできる
が、通常は適当な溶媒でアクリロニトリルを所望の濃度
に希釈した溶液が用いられる。希釈用の溶媒は汎用の有
機溶媒でよく、好ましくはベンゼンあるいは水などのラ
ジカル反応性を有さないものである。水を使用する場合
には、界面活性剤等の乳化剤や第2硫酸アンモニウム鉄
などを含有させることが好ましい。これによりアクリロ
ニトリルのホモポリマーの生成を抑制し、基材とのグラ
フト化反応をより効率的に行なうことができる。溶液の
濃度はアクリロニトリルの濃度として5重量%以上が適
当である。濃度が5重量%未満で十分な耐熱性の付与を
行なうためには、溶液の繰返し塗布または浸漬時間等の
延長が必要となり、フィルムの製造工程上問題となる。
【0028】次に、グラフト処理を行なったタンクを適
当な洗浄剤で十分に洗浄する。洗浄剤としては一般に使
用されている有機溶媒、例えばアセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、ジ
メチルホルムアミド、ピロリドン等が用いられるが、こ
れらの中ではジメチルホルムアミドおよびピロリドンが
好ましい。次いで乾燥する。かくしてアクリロニトリル
と重合性難燃剤をポリエチレンにグラフトした外層を備
えた燃料タンクが得られる。
【0029】また、(B)のタンクの外表面をアクリロ
ニトリル含有液で処理した後に照射する方法(同時照射
法)では、タンク外表面に前述のアクリロニトリル含有
液を塗布、あるいはタンクをアクリロニトリル含有液に
浸漬して塗布した後、タンクを少なくとも1回転させな
がら、タンクの溶液塗布面に照射を行なう。照射の条件
は、前記とほぼ同様であり、加速電圧150〜5000kV、
好ましくは300kV以下で、空気雰囲気下、酸素分率が
20容量%以下の窒素雰囲気下、好ましくは不活性ガス
(窒素、アルゴン等)雰囲気下にて行なわれる。照射線
量は0.5 〜50Mrad、好ましくは0.5 〜10Mrad程度で
あるが、0.01Mrad以下の低線量率がより好ましい。高線
量率で照射すると、アクリロニトリルのホモポリマーが
生成し、グラフト化処理後の洗浄により、ホモポリマー
が失われるため、耐熱効果が不十分となる。
【0030】次に、上記のグラフト処理を行なったタン
クを適当な洗浄剤で十分に洗浄する。洗浄剤としては
(A)の方法と同様の有機溶媒が用いられる。次いで、
タンクを乾燥することにより、アクリロニトリルと重合
性難燃剤をポリエチレンにグラフトした燃料タンクが得
られる。
【0031】また、前記(1) 、(2) および(5) に例示し
たタンクの基材樹脂と一体成形する難燃性のポリエチレ
ンフィルムは、アクリロニトリル、またはアクリロニト
リルと重合性難燃剤を含有する溶液にポリエチレンフィ
ルムもしくは重合性難燃剤含有ポリエチレンフィルムを
前記(A)の前照射法および(B)の同時照射法に準じ
て照射グラフト重合することにより得ることができる。
すなわち、前照射法においてはポリエチレンフィルムも
しくは重合性難燃剤含有ポリエチレンフィルムに照射し
た後、このフィルムをアクリロニトリル、またはアクリ
ロニトリルと重合性難燃剤を含有する溶液に浮かせるか
浸漬してアクリロニトリル、またはアクリロニトリルと
重合性難燃剤をポリエチレンにグラフトさせたフィルム
を得る。また、同時照射法においては、ポリエチレンフ
ィルムもしくは重合性難燃剤含有ポリエチレンフィルム
にアクリロニトリル、またはアクリロニトリルと重合性
難燃剤を含有する溶液を塗布あるいは浸漬した後、照射
してグラフトしたフィルムを得る。
【0032】フィルムのグラフト処理に使用する溶液の
アクリロニトリルと重合性難燃剤の割合は、アクリロニ
トリルが10〜95重量%、重合性難燃剤が90〜5重
量%である。アクリロニトリルが10重量%未満(重合
性難燃剤が90重量%以上)では耐熱性が不十分とな
り、またアクリロニトリルが95重量%以上(重合性難
燃剤が5重量%未満)では難燃剤による効果が十分でな
い。アクリロニトリルと重合性難燃剤は、それぞれの混
合物そのものを用いることもできるが、通常は水、低級
アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコールなど)あるいはそれらの混合溶媒の溶液として
使用される。
【0033】さらに、(3) および(4) に例示したタンク
の外表面へのアクリロニトリル、またはアクリロニトリ
ルと重合性難燃剤のグラフト処理も(A)および(B)
の方法に準じて、照射後のタンクをアクリロニトリル、
またはアクリロニトリルと重合性難燃剤を含有する溶液
で処理するか、あるいは前記溶液でタンクを処理した
後、照射することによって行なうことができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を説
明するが、本発明は下記の記載のみに限定されるもので
はない。実施例1〜3および比較例1 高密度ポリエチレン(密度:0.953 g/cm3 ,MI:1.
2 g/10分)を用いてインフレーション法により、押
出温度210℃にて50μmの厚みのフィルムを作成し
た。前記の高密度ポリエチレンフィルムについて、加速
電圧200kV、照射線量2Mrad で電子線を照射した。
この照射フィルムをアクリロニトリルのベンゼン溶液
(50重量%)に40℃にて10分間浮かせた状態で保
持した後、ジメチルホルムアミドで洗浄した。次いで1
00℃で24時間真空乾燥して、アクリロニトリルをグ
ラフトしたフィルムを得た。次にグラフトフィルムを電
子線照射面が燃料タンクの外面となるよう燃料タンクの
金型にセットし、ガスバリヤー層としてポリアミド(東
レ(株)製,CM1061,ポリアミド6,相対粘度6.
0 ,融点225.5 ℃)、接着中間層として無水マレイン酸
変性ポリエチレン[MI(190℃, 2.16 kg荷重)
0.25 /10分,無水マレイン酸付加率 0.4%、密度
0.945g/cm3 ]、表面層として高密度ポリオレフィ
ン(ハイロードメルトインデックス(HLMI 190℃,
21.6kg荷重)6g/10分,密度0.945 g/cm3
を用いて、押出し機出口温度235℃、樹脂温度238
℃、樹脂吐出量100kg/hrで、複数の単軸押出機
からなる多層ブロー成形機((株)日本製鋼所製 NB-30
G )により成形して、内容量40リットルの、表面にア
クリロニトリルをグラフトしたフィルム層を有する3種
5層構成の燃料タンクを作成した(実施例1)。
【0035】前記実施例1と同一のフィルムを用いて、
電子線の照射量を5 Mrad (実施例2)および10 Mra
d (実施例3)として、同様にして燃料タンクを作成し
た。また、これとは別にフィルム層を設けない燃料タン
ク(比較例1)を作成した。これら、4種類のタンクに
ついて、ガソリン透過試験および燃焼試験を行なった結
果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】なお、各評価試験の実施方法およびその評
価基準は下記の通りである。 ガソリン透過試験:昭和52年運輸省自動車局長通達
(自動第1327号)に従い、タンク内にガソリンをタ
ンクの公称容量の50%(20リットル)入れ、温度4
0℃にて8週間保持したときのガソリンの透過率を測定
した。 ◎:ガソリン透過量が 0.3g/日以下 ○:ガソリン透過量が 0.3を越え0.6 g/日以下 △:ガソリン透過量が 0.6を越え1.0 g/日以下 燃焼試験:タンクの公称容量の50%のガソリン(20
リットル)を入れてオイルパン上にて炎にさらし、樹脂
劣化物からなる液状物が着火しながら滴下を開始するま
での時間(可燃液滴落下開始時間)を測定した。
【0038】表1から明らかなように、ガンマ線、電子
線または紫外線を照射してアクリロニトリルをグラフト
したフィルムを表層に設けた本発明の燃料タンクでは、
ガソリンの透過性が低下すると共に、タンクを火焔上に
置くテストにおいて、樹脂劣化物が滴下するまでの時間
が、フィルムを設けないものに比べて長くなり耐熱性に
おいて優れている。
【0039】実施例4〜5および比較例2 ガスバリヤー層としてポリアミド、接着中間層として無
水マレイン酸変性ポリエチレン、表面層として高密度ポ
リエチレンからなる内容量40リットルの3種5層構成
の燃料タンクを実施例1〜3で使用したタンクと同様に
して作成し、このタンクを電子線照射装置にセットした
回転軸に取付け、加速電圧200kV、照射線量2 Mrad
で電子線を照射した。この照射タンクをアクリロニトリ
ルのベンゼン溶液(50重量%)に40℃にて10分間
浸漬した後、ジメチルホルムアミドで洗浄し、80℃に
て72時間加熱乾燥して、アクリロニトリルをグラフト
したタンクを得た(実施例4)。
【0040】同様にして照射線量のみ10 Mrad に変え
て照射を行ない、アクリロニトリルをグラフトしたタン
クを作成した(実施例5)。これらのタンク、およびグ
ラフト処理しないタンク(比較例2)について、実施例
1と同様にガソリン透過試験および燃焼試験を行なっ
た。その結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかなように、表面にアクリロ
ニトリルをグラフトした本発明の燃料タンクでは、ガソ
リンの透過性が低下し、タンクを火焔上に置くテストに
おいて樹脂劣化物が滴下するまでの時間が、グラフト処
理しないものに比べて長くなり、耐熱性において優れて
いる。
【0043】実施例6〜8および比較例3〜4 前記実施例1〜3で用いたのと同様の厚さ50μmの高
密度ポリエチレンフィルムについて、加速電圧200k
V、照射線量2 Mrad で電子線を照射し、この照射フィ
ルムをアクリロニトリル(80重量%)とビニルフォス
フォネートオリゴマー(アクゾ社製,20重量%)のイ
ソプロピルアルコール溶液(50重量%)に40℃にて
15分間浮かせた状態で保持した後、ジメチルホルムア
ミドで洗浄した。次いで100℃で24時間真空乾燥し
て、アクリロニトリルとビニルフォスフォネートオリゴ
マーをグラフトしたフィルムを得た。赤外分光法および
核磁気共鳴法により定量したところこのフィルム表層中
のアクリロニトリル濃度は80重量%であった。
【0044】次にこのグラフトフィルムをタンクの金型
にセットし、ガスバリヤー層としてポリアミド(東レ
(株)製,CM1061,ポリアミド6,相対粘度6.0
,融点225.5 ℃)、接着中間層として無水マレイン酸
変性ポリエチレン[MI(190℃, 2.16 kg荷重)
0.25 /10分,無水マレイン酸付加率 0.4%、密度
0.945g/cm3 ]、表面層として高密度ポリエチレン
(ハイロードメルトインデックス(HLMI 190℃,2
1.6kg荷重)6g/10分,密度0.945 g/cm3
を用いて、押出し機出口温度235℃、樹脂温度238
℃、樹脂吐出量100kg/hrで、複数の単軸押出機
からなる多層ブロー成形機((株)日本製鋼所製NB-30G
)により成形して、内容量40リットルの、表面にア
クリロニトリルとビニルフォスフォネートオリゴマーと
をグラフトしたフィルム層を有する3種5層構成の燃料
タンクを作成した(実施例6)。
【0045】前記実施例6と同一のフィルムを用いて、
電子線の照射量、アクリロニトリル濃度を変えて、実施
例6と同様にして燃料タンクを作成した(実施例7およ
び8)。また、これとは別にアクリロニトリルのみをグ
ラフトしたフィルム層を設けた燃料タンク(比較例
3)、およびフィルムで被覆しない燃料タンクを作成し
た(比較例4)。電子線の照射線量、表層中のアクリロ
ニトリル濃度を表3に示す。これらのタンクについて、
実施例1〜3と同様にしてガソリン透過試験および燃焼
試験を行なった結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】表3から明らかなように、ガンマ線、電子
線または紫外線を照射してアクリロニトリルと難燃性重
合剤とをグラフトしたフィルムを表層に設けた本発明の
燃料タンクでは、ガソリンの透過性が低下すると共に、
タンクを火焔上に置くテストにおいて、樹脂劣化物が滴
下するまでの時間が、フィルムを設けないもの、あるい
はアクリロニトリルのみをグラフトしたものに比べて長
くなり耐熱性、難燃性において優れている。
【0049】実施例9〜10および比較例5〜6 ガスバリヤー層としてポリアミド、接着中間層として無
水マレイン酸変性ポリエチレン、表面層として高密度ポ
リエチレンからなる内容量40リットルの3種5層構成
の燃料タンクを実施例1〜3で用いたタンクと同様にし
て作成し、このタンクを電子線照射装置にセットした回
転軸に取付け、加速電圧200kV、照射線量2 Mrad で
電子線を照射した。この照射タンクをアクリロニトリル
(80重量%)とビニルフォスフォネートオリゴマー
(アクゾ社製,20重量%)のイソプロピルアルコール
溶液(50重量%)に40℃にて15分間浸漬し、ジメ
チルホルムアミドで洗浄した。次いで80℃で72時間
加熱乾燥して、アクリロニトリルとビニルフォスフォネ
ートオリゴマーを外層のポリエチレンにグラフト重合し
たタンクを得た(実施例9)。赤外分光法および核磁気
共鳴法により定量したこのフィルム表層中のアクリロニ
トリル濃度は61重量%であった。
【0050】照射線量を10 Mrad としたほかは同様に
して照射を行ない、アクリロニトリルとビニルフォスフ
ォネートオリゴマーの割合を変えた溶液を使用してアク
リロニトリルと重合性難燃剤をグラフトしたタンクを作
成した(実施例10)。これとは別にアクリロニトリル
のみをグラフトしたフィルム層を設けた燃料タンク(比
較例5)、およびフィルムを被覆しない燃料タンクを作
成した(比較例6)。電子線の照射線量、表層中のアク
リロニトリル濃度を表4に示す。これらのタンクについ
て、実施例1〜3と同様にしてガソリン透過試験および
燃焼試験を行なった結果を表4に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】表4から明らかなように、表面にアクリロ
ニトリルと重合性難燃剤をグラフトした本発明の燃料タ
ンクでは、ガソリンの透過性が低下すると共に、タンク
を火焔上に置くテストにおいて、樹脂劣化物が滴下する
までの時間が、フィルムを設けないもの、あるいはアク
リロニトリルのみをグラフトしたものに比べて長くなり
耐熱性、難燃性において優れている。
【0054】実施例11〜14および比較例7〜8 高密度ポリエチレン(密度:0.953 g/cm3 ,MI:1.
2 g/10分)100gとビニルフォスフォネートオリ
ゴマー(アクゾ社製)30gを直径50mmの単軸押出機
により出口温度160℃にて混練し、インフレーション
法により50μmの厚みのフィルムを作成した。前記の
難燃剤配合高密度ポリエチレンフィルムについて、加速
電圧200kV、照射線量2 Mrad の電子線を照射した。
この照射フィルムをアクリロニトリルのベンゼン溶液
(50重量%)に40℃にて10分間浮かせた状態で保
持した後、ジメチルホルムアミドで洗浄乾燥した。次い
で100℃で24時間真空乾燥して、アクリロニトリル
とフィルム内に含有のフォスフォネートオリゴマーをポ
リエチレンにグラフト重合したポリエチレンフィルムを
得た。次にこのグラフトポリエチレンフィルムをタンク
の金型にセットし、実施例6〜8と同様の方法により成
形し、内容量40リットルの、表面にアクリロニトリル
をグラフトした難燃剤(ビニルフォスフォネートオリゴ
マー)含有フィルム層を有する3種5層構成の燃料タン
クを作成した(実施例11)。
【0055】前記実施例11と同一の難燃剤含有フィル
ムを用いて、表5に示す如く難燃剤の配合量を変えたほ
かは、実施例11と同様にしてアクリロニトリルをグラ
フトした難燃剤含有ポリエチレンを作成し、実施例11
と同様の基材を使用してタンクを作成した(実施例12
〜14)。
【0056】難燃剤(含有塩素が70%の塩素化パラフ
ィンと酸化アンチモンの重量比2:1の混合物)を基材
の最外層の高密度ポリエチレン(実施例11と同じも
の)に30重量部配合して成形したタンク(比較例
7)、難燃剤を配合しない高密度ポリエチレンフィルム
に電子線照射重合してアクリロニトリルをグラフトした
フィルムを実施例11と同一の基材を使用してインモー
ルド成形したタンク(比較例8)、および実施例11と
同一の基材のみを使用し、表面にフィルムを設けないタ
ンク(比較例9)を作成した。以上の実施例11〜14
および比較例7〜9のタンクについて、実施例1〜3と
同様にしてガソリン透過試験および燃焼試験を行なっ
た。その結果を表5に示す。
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】表5から明らかなように、ガンマ線、電子
線または紫外線を照射してアクリロニトリルを難燃性重
合剤含有フィルムにグラフトしたフィルムを表層に設け
た本発明の燃料タンクでは、ガソリンの透過性が低下す
ると共に、タンクを火焔上に置くテストにおいて、樹脂
劣化物が滴下するまでの時間が、フィルムを設けないも
の、あるいはアクリロニトリルのみをグラフトしたもの
に比べて長くなり耐熱性、難燃性において優れている。
【0060】実施例15〜18および比較例10〜12 実施例11〜14で用いたものと同様の厚さ50μmの
難燃剤配合高密度ポリエチレンフィルムを燃料タンクの
金型にセットし、実施例6〜8と同様の方法により成形
し、内容量40リットルの、表面に難燃剤を含有するポ
リエチレンフィルム層を有する3種5層構成の燃料タン
クを作成した。このタンクを電子線照射装置にセットし
た回転軸に取付け、加速電圧200kV、照射線量2 Mra
d で電子線を照射した。この照射タンクをアクリロニト
リルのベンゼン溶液(50重量%)に40℃にて15分
間浸漬した後、ジメチルホルムアミドで洗浄し、80℃
にて72時間加熱乾燥して、アクリロニトリルとタンク
表層のビニルフォスフォネートオリゴマーをポリエチレ
ンにグラフトした燃料タンクを作成した(実施例1
5)。
【0061】前記実施例15と同一の難燃剤(ビニルフ
ォスフォネートオリゴマー)を含有するフィルムを用い
て、電子線の照射量を10 Mrad に変えたほかは、実施
例15と同様にして燃料タンクを作成した(実施例1
6)。また、難燃剤の配合量を変えたほかは、実施例1
5と同様にして難燃剤含有ポリエチレンを作成後、イン
モールド成形法でタンクを作成し、実施例15と同様に
アクリロニトリルをグラフトしたタンクを作成した(実
施例17および18)。
【0062】実施例15と同一の基材のみ使用し、表面
にフィルムを設けないタンク(比較例10)、難燃剤
(含有塩素が70%の塩素化パラフィンと酸化アンチモ
ンの重量比2:1の混合物)を基材の最外層のポリエチ
レンに30重量部配合して成形したタンク(比較例1
1)、および難燃剤を配合しない高密度ポリエチレンフ
ィルムを実施例15と同一の基材を使用してインモール
ド成形したタンクに実施例15と同条件で電子線を照射
してアクリロニトリルをグラフトしたタンク(比較例1
2)を作成した。実施例15〜18よび比較例10〜1
2のタンクについて、実施例1〜3と同様にしてガソリ
ン透過試験および燃焼試験を行なった。その結果を表6
に示す。
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】表6から明らかなように、ガンマ線、電子
線または紫外線を照射してアクリロニトリルを難燃性重
合剤とポリエチレンにグラフトした表層に設けた本発明
の燃料タンクでは、ガソリンの透過性が低下すると共
に、タンクを火焔上に置くテストにおいて、樹脂劣化物
が滴下するまでの時間が、フィルムを設けないもの、あ
るいはアクリロニトリルのみをグラフトしたものに比べ
て長くなり耐熱性、難燃性において優れている。
【0066】
【発明の効果】本発明のアクリロニトリル、またはアク
リロニトリルと重合性難燃剤をグラフト重合してなるポ
リエチレン層を表面に備えている燃料タンクは、重量の
増加や爆発の危険を有する金属等の不燃物を使用するこ
となく、ポリオレフィンを基材樹脂とし、軽量で耐熱
性、難燃性の優れたものである。これにより着火性が低
下すると共に、火災の拡大の抑制および安全性の向上に
有効であり、車両用の燃料であるガソリンや軽油等を搭
載するのに好適な燃料タンクである。また、本発明の燃
料タンクでは最外層がタンク主材と同質のものであるこ
とから、資源のリサイクルに対応でき、また燃料タンク
を一層薄肉化、軽量化することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリル、またはアクリロニト
    リルと重合性難燃剤をグラフト重合してなるポリエチレ
    ン層を表面に備えていることを特徴とする難燃性燃料タ
    ンク。
JP17940492A 1992-06-12 1992-06-12 難燃性燃料タンク Pending JPH05338448A (ja)

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JP17940492A JPH05338448A (ja) 1992-06-12 1992-06-12 難燃性燃料タンク

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001085829A1 (en) * 2000-05-12 2001-11-15 Logstar Ror A/S Coating composition for high density polyethylene tubing
WO2001062493A3 (de) * 2000-02-24 2001-12-06 Basell Polyolefine Gmbh Kunststoffhohlkörper mit erhöhter brandfestigkeit durch flammschutzmittel
CN102002133A (zh) * 2010-10-08 2011-04-06 中国科学院长春应用化学研究所 聚烯烃长效流滴膜用树脂及其制备方法

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