JPH0533714Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案は断熱プレートによつて燃焼室の断熱
を計るようにしたエンジン構造に関する。

（従来の技術） 一般に、エンジンはシリンダブロツクとシリン
ダヘツドとが接合固定されていて、上記シリンダ
ブロツクには燃焼室を形成するシリンダライナが
嵌入されている。このようなエンンジンにおいて
は、燃焼室で燃料が燃焼されることによつて生じ
る熱がシリンダブロツクを伝わつて外部に放散さ
れるのを防止するために断熱構造が採られてい
る。

このような断熱構造のエンジンにおいては、シ
リンダライナとシリンダブロツクとの間に断熱プ
レートを設けることが行われている。

しかしながら、断熱プレートが設けられるエン
ジンにおいては、たとえばシリンダヘツドに穿設
された取付孔に燃料噴射ノズルをパイプを介して
取付けるための取付孔を上記シリンダヘツドだけ
でなく、断熱プレートにも穿設しなければならな
くなる。すると、燃焼室で発生する燃焼ガスが取
付孔の内周面と上記パイプの外周面との間を通つ
て断熱プレートとシリンダブロツクとの接合面間
に漏れやすいということがあつた。

（考案が解決しようとする問題点） この考案は上記事情にもとずきなされたもの
で、その目的とするところは、断熱プレートを用
いて断熱性の向上を計つたエンジンにおいて、シ
リンダヘツドと上記断熱プレートとの接合面間か
ら燃焼ガスが漏れずらいようにしたエンジン構造
を提供することにある。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段及び作用） この考案は、シリンダヘツドと内部を燃焼室と
したシリンダライナとの間に断熱プレートを設け
るとともに、上記シリンダヘツドから上記断熱プ
レートを介して上記燃焼室に通じる取付孔に軟金
属からなるパイプを嵌合し、このパイプの外周面
に上記断熱プレートと上記シリンダヘツドとの面
で挾持される凸部を全周にわたつて設ける。そし
て、上記断熱プレートと上記シリンダヘツドとが
上記パイプのフランジを挾持することによつてこ
れらの間の気密性を向上させる。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を図面を参照して説
明する。図中１はクランクケースである。このク
ランクケース１には取付部２が形成され、この取
付部２には内部を燃焼室３ａとしたシリンダライ
ナ３が嵌入固定されている。このシリンダライナ
３の開口端側の端面にはシリンダヘツド４が接合
固定されている。このシリンダヘツド４の上記燃
焼室３ａと対向する下面には凹部５が形成され、
この凹部５にはセラミツクス材などの断熱性と高
温強度に優れた材料で作られた断熱プレート６が
設けられている。この断熱プレート６と上記シリ
ンダライナ３との間にはこれらの間の気密を確保
するためのガスケツト７が設けられている。

上記シリンダヘツド４には給排気通路８と取付
孔９とが形成されている一方、断熱プレート６に
は上記給排気通路８と対応して第１の通孔８ａ、
取付孔９と対応して取付孔９の一部をなす第２の
通孔９ａがそれぞれ穿設されている。上記給排気
通路８は給排気弁１１によつて開閉されるように
なつている。この給排気弁１１は、そのステム１
２が上記シリンダヘツド４に設けられたスリーブ
１３にスライド自在に支持されていて、ステム１
２の下端に設けられた弁部１４が上記断熱プレー
ト６に穿設された第１の通孔８ａを開閉するよう
になつている。上記シリンダヘツド４に穿設され
た取付孔９と断熱プレート６に穿設された第２の
通孔９ａとにはパイプ１５が嵌入されている。こ
のパイプ１５は銅などの軟金属で形成されてい
て、上記シリンダヘツド４とシリンダライナ３と
の接合面に対応する箇所には凸部としてのフラン
ジ１６が形成されている。このフランジ１６は上
記シリンダヘツド４に形成された凹部１７内に位
置し、この凹部１７の内面とこの凹部１７に対応
する部分の上記断熱プレート６とで挾持されてい
る。このフランジ１６は上記パイプ１５に予め形
成しておいてもよいが、フランジ１５の形成され
ていないパイプ１５を取付孔９に嵌入したのち、
このパイプ１５に外径がパイプ１５の内径よりも
大きなテーパ状の治具（図示せず）を圧入するこ
とによつて軟金属からなる上記パイプ１５の一部
を上記凹部１７へ流入させることによつて上記フ
ランジ１６を形成するようにしてもよい。後者の
手段によつてフランジ１６を形成すれば、パイプ
１５の外周面が取付孔９の内周面に密着するか
ら、これらの間の気密性が向上する。そして、上
記パイプ１５には燃料噴射ノズル１８が気密な状
態で挿入されている。

このような構造のエンジンによれば、燃焼室３
ａで燃料が燃焼されることによつて発生する熱
は、シリンダライナ３とシリンダヘツド４との間
に設けられた断熱プレート６によつて断熱される
から、シリンダヘツド４を伝わつて外部に放散さ
れずらい。

また、燃焼の際に発生する燃焼ガスは断熱プレ
ート６に穿設された第２の通孔９ａの内周面とパ
イプ１５の外周面との間に入込むが、このパイプ
１５に形成されたフランジ１６がシリンダライナ
３とシリンダヘツド４とで挾持されているから、
このフランジ１６によるシール効果によつて取付
孔９に入込んだ燃焼ガスがシリンダライナ３とシ
リンダヘツド４との接合面間から漏れるのが防止
される。しかも、上記フランジ１６が軟金属で作
られているから、このことによつても高いシール
効果が得られ、燃焼ガスの漏れが良好に防止され
る。

なお、この考案は上記一実施例に限定されず、
パイプ１５は燃料噴射ノズル１８を取付けるもの
だけでなく、他のパイプたとえばグロープラグを
取付けるパイプなどにも適用できること無論であ
る。

［考案の効果］ 以上述べたようにこの考案は、シリンダヘツド
と内部を燃焼室としたシリンダライナとの間に断
熱プレートを設けるとともに、上記シリンダヘツ
ドから上記断熱プレートを介して上記燃焼室に通
じる取付孔に軟金属からなるパイプを嵌合し、こ
のパイプの外周面に上記断熱プレートと上記シリ
ンダヘツドとの面で挾持されるフランジを全周に
わたつて設けた。したがつて、断熱プレートを用
いてエンジンを断熱構造としても、上記パイプの
フランジによつてシリンダライナとシリンダヘツ
ドとの間が良好にシールされるので、燃焼ガスが
シリンダライナとシリンダヘツドとの接合面間か
ら外部に漏れるのを防止することができる。ま
た、フランジが軟金属で作られていることによつ
ても、このフランジによるシール効果の向上が計
れる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図はエ
ンジンの一部分の断面図、第２図はパイプの一部
分の拡大断面図である。 ３……シリンダライナ、３ａ……燃焼室、４…
…シリンダヘツド、６……断熱プレート、９……
取付孔、１５……パイプ、１６……フランジ（凸
部）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドと内部を燃焼室としたシリンダ
   ライナとの間に断熱プレートを設けるとともに、
   上記シリンダヘツドから上記断熱プレートを介し
   て上記燃焼室に通じる取付孔に軟金属からなるパ
   イプを嵌合し、このパイプの外周面に上記断熱プ
   レートと上記シリンダヘツドとの面で挾持される
   凸部を全周にわたつて設けたことを特徴とするエ
   ンジン構造。