JPH0533707Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はウエストゲート付ターボ過給エンジン
のブーストコンペンセータに係り、特にある値以
上に過給圧が上昇した場合に噴射量を減少させる
逆転機構を有するブーストコンペンセータに関す
るものである。

［従来の技術］ ブーストコンペンセータは過給圧（ブースト
圧）の増加に伴つて燃料噴射ポンプのラツクを燃
料増方向に移動させエンジン性能を向上させるべ
く機能するものであり、ターボ過給エンジンに付
設させる。しかしながらただ単にブースト圧の増
大につれて燃料を増加させると、例えばウエスト
ゲートの故障などでブースト圧が異常に上昇した
場合、燃料の大量に噴射されるのでエンジンに過
大な力が作用する不具合が生ずる。このため従来
技術でも燃料を制限する手段が採用されている。
例えば実開昭56−22434号および実開昭57−3839
号が上げられる。

［考案が解決しようとする問題点］ 実開昭56−22434号はブーストコンペンセータ
のダイヤフラムを支持するスプリング力を機関温
度と関係ずけて変化させるものであり、実開昭57
−3839号は燃料噴射ポンプのラツクとダイヤフラ
ム例の係合をエンジン潤滑油圧と関連させて解除
するように構成されるものである。いづれも前記
の不具合を解消するものであるが、構造がやや複
雑であり、かつ動作の確実性において劣る欠点を
有する。

本考案は比較的簡単な構造で所定ブースト圧以
上の過給に対し確実に噴射量を低減せしめ、特に
ウエストゲート付ターボ過給エンジンに過大な力
が作用するのを防止せしめる逆転機構を有するブ
ーストコンペンセータを提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案はこのために、ブーストコンペンセータ
内に第１のレバと第２のレバを設け、その一端側
を燃料噴射ポンプのラツクに係合する第１のレバ
の前記ラツク側に、装置の不動側に他端側を枢支
される第２のレバの一端側を枢着せしめ、第１の
レバの他端側と第２のレバ間に適宜強さのスプリ
ングを架設すると共に、前記第１のレバの他端側
と第２のレバの第１のレバとの枢支点間に装置の
ダイヤフラムに連結するロツドを枢着し、かつ第
２のレバの揺動を所定位置で制限するストツパを
設けてなる逆転機構を有するブーストコンペンセ
ータを構成するものである。

［作用］ ブースト圧がある値以下の場合には、ブースト
圧に比例して第１および第２のレバが同時に揺動
し、第１のレバに係合するラツクを燃料増方向に
移動させる。ブースト圧が前記のある値に到達す
ると、第２のレバはストツパにより揺動が制限さ
れ、第１のレバのみが揺動し、前記ラツクを燃料
減方向に移動させる。これにより確実な燃料制限
が行われる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面に基づき説明す
る。

ブーストコンペンセータ１０は燃料噴射ポンプ
１２上に配設され、その装置本体１１内には第１
のレバ１と第２のレバ２が設けられている。第１
のレバ１はその一端側をラツク１３の突起部１４
に当接係合する。第２のレバ２はその一端側を第
１のレバ１のラツク１３側に枢着し、第１の支点
３を形成すると共に装置本体１１に第２の支点４
により枢支される。第１のレバ１の他端側と第２
のレバ２の第２の支点４の近傍間には後に説明す
る取付け強さを有するスプリング５が架設され
る。また第１のレバ１の他端側と第１の支点３間
にはロツド６の一端側が枢支され、ロツド６の他
端側はダイヤフラム７に固定される。ストツパ８
は装置本体１１側に固定され、第２のレバ２に当
接する位置に配置される。また第２のレバ２の中
間位置には第１のレバ１が当接するストツパ９が
固着される。なおスプリング５は第１の支点３ま
わりに揺動可能な第１のレバ１をストツパ９に押
圧する向きに付勢する。ダイヤフラム７と装置本
体１１間にはスプリング１５が介設され、ダイヤ
フラム７を調整ねじ１６側に押圧する。調整ねじ
１６は装置本体１１にナツト１７により固定さ
れ、ダイヤフラム７に当接して、その初期位置を
調整設定する。一方、ラツク１３には支持側に支
持されるスプリング１８が係合し、その突起部１
４を第１のレバ１に押圧し、ラツク１３を燃料増
方向に付勢している。

図示しない吸気マニホールドからの過給空気は
パイプ１９により装置本体１１の室２０内に導入
されダイヤフラム７にブースト圧を付加する。

次に、本実施例の作用を更に詳しく説明する。

ダイヤフラム７にブースト圧が付加されない初
期状態では、第１のレバ１はスプリング５の引き
寄せ力により第１の支点３まわりに時計方向に回
動し、ストツパ９に当接し、第２のレバ２と一体
的な結合状態に保持される。またこの状態では第
２のレバ２はストツパ８に当接していない。ブー
スト圧が増加し、ロツド６により第１のレバ１が
押されるが、ある所定のブースト圧に到達するま
ではスプリング５のバネ力がそのブースト圧より
も強く調整されているため、第１のレバ１と第２
のレバ２とは前記の一体的結合状態をくずさず第
２の支点４を中心として時計方向に回動する。こ
れにより第１のレバ１の一端側が突起部１４から
離れる。しかしスプリング１８により突起部１４
は常時第１のレバ１側に押されているためラツク
１３は図の左方向、すなわち燃料増方向に移動す
ることになる。従つて、第２図に示す如く、燃料
噴射ポンプからの噴射量はブースト圧に比例して
増加することになる（第２図は横軸にブースト
圧、縦軸に噴射量を表示した線図である）。ブー
スト圧が第２図に示す圧力P₀に到達すると（圧
力P₀が前記した所定のブースト圧に相当する）、
ブースト圧がスプリング５のバネ力に打ち勝つ。
同時に第２のレバ２がストツパ８に当接し、揺動
が拘束される。従つてこの状態から更にブースト
圧が増加すると第１のレバ１がスプリング５を引
き伸しながら第１の支点３を中心として反時計方
向に回動する。これにより突起部１４は第１のレ
バ１の一端側により押圧され、ラツク１３は図の
右方、すなわち燃料減方向に移動する。第２図は
その様子を示したものである。第２図における噴
射量減を示す傾斜角θは第１のレバ１の形状、第
１の支点３、ロツド６の第１のレバ１との結合
点、スプリング５の取付け位置、バネ力、スプリ
ング１８のバネ力、突起部１４と第１のレバ１と
の係合位置関係等の各要素の組合せにより適宜に
設定され、傾斜角θを零にすることも可能であ
る。

以上の如くしてブースト圧の異常な増加に対し
噴射量の増加を制限することができるので、エン
ジンに過激の力が付加されることを確実に防止す
ることができる。また本実施例は第１のレバ１と
第２のレバ２を使用する機構学的構成から形成さ
れるため、構造が簡単であると共に、確実の動作
を得ることができる。更に組合せ関係を変化させ
ることにより任意の噴射量の調整が可能となる。

［考案の効果］ 以上の説明によつて明らかな如く、本考案によ
れば所定のブースト圧以上の過給に対し確実に噴
射量を低減せしめ、エンジンに過大な力が作用さ
れるのを防止し得る効果が上げられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例の構成図、第２図は本
実施例のブースト圧と噴射量との関係を示す線図
である。 １……第１のレバ、２……第２のレバ、３……
第１の支点、４……第２の支点、５，１５，１８
……スプリング、６……ロツド、７……ダイヤフ
ラム、８，９……ストツパ、１０……ブーストコ
ンペンセータ、１１……装置本体、１２……燃料
噴射ポンプ、１３……ラツク、１４……突起部、
１６……調整ねじ、１７……ナツト、１９……パ
イプ、２０……室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブースト圧により燃焼噴射ポンプのラツクを移
   動させターボ過給エンジンに供給する燃料を増減
   するブーストコンペンセータにおいて、一端側を
   前記ラツクに係合する第１のレバと、一端側を前
   記第１のレバの前記ラツク側に枢着すると共に、
   装置の不動側にその他端側を枢支される第２のレ
   バとを設け、前記第１のレバの他端側と第２のレ
   バ間に所定バネ力を有するスプリングを架設する
   と共に、前記第１のレバの前記他端側と前記第２
   のレバの第１のレバとの枢支点間に装置のダイヤ
   フラムに連結するロツドの一端部を枢着し、かつ
   第２のレバの揺動を所定位置で制限するストツパ
   を設けることを特徴とする逆転機構を有するブー
   ストコンペンセータ。