JPH05334990A - ホロー電極形低圧放電灯およびこれを用いた表示装置ならびに光学読取り装置 - Google Patents

ホロー電極形低圧放電灯およびこれを用いた表示装置ならびに光学読取り装置

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JPH05334990A
JPH05334990A JP26243992A JP26243992A JPH05334990A JP H05334990 A JPH05334990 A JP H05334990A JP 26243992 A JP26243992 A JP 26243992A JP 26243992 A JP26243992 A JP 26243992A JP H05334990 A JPH05334990 A JP H05334990A
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coil
electron emitting
filament coil
lamp
emitting substance
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English (en)
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Katsuhide Misono
勝秀 御園
Hideto Mochizuki
秀人 望月
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】始動時におけるグロー放電時間を短くし、素早
くアーク放電へ移行させるようにしてスパッタリングを
防止したホロー電極形低圧放電灯およびこれを用いた表
示装置ならびに光学読取り装置を提供する。 【構成】電子放射物質を保持したフィラメントコイル4
と、このフィラメントコイルを収容し高融点金属ワイヤ
を密着巻きした包囲コイル5とからなることを特徴とす
る。 【作用】包囲コイルが高融点金属ワイヤを密着巻きした
コイル形状をなしているから、スリーブの肉厚を薄くす
ることができ、隣接するワイヤ同志の接触面積が小さい
ので温度が上昇し易くなり、グロー放電時間を短くして
素早くアーク放電に移行させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電極としてホロー形熱
電極を用いた小形の低圧放電灯、およびこれを光源とし
た表示装置、ならびに上記低圧放電灯を光源とした光学
読取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、液晶表示装置のバックライトとし
て、バルブ径の極めて細いけい光ランプが使用されてい
る。例えば、3〜5インチの液晶カラ−テレビにおいて
は、ガラスバルブの外径が6mm、電極間距離が3〜5イ
ンチ(75〜125mm程度)の小形けい光ランプがバッ
クライトとして用いられている。
【0003】このようなけい光ランプは、バルブ径が細
いので、従来のようなフィラメントコイルからなる熱陰
極をバルブ軸と交差する姿勢でバルブに収容することが
できないばかりでなく、30 mA以下のランプ電流で動
作させるためにコイル素線を極めて細くしなければなら
ないという条件がある。
【0004】このため、電極として実公平4−3387
号公報に示されたような、ホロー形熱電極を封装する提
案がなされている。この種のホロー形熱電極は、電子放
射物質(エミッタ−)を保持したフィラメントコイルを
金属スリーブに収容したものであり、フィラメントコイ
ルが金属スリーブの内部に保持されるため、消費電力を
低減する目的でコイル素線を細くしても、フィラメント
を確実に支持することができ、振動や衝撃に対しても強
くなるなどの利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
のホロー形熱電極は、フィラメントコイルの一端部のみ
がウエルズに接続されている構造であるから、予め通電
加熱して予熱することができない。よって始動形態は、
両電極間に電圧を印加することにより放電空間に絶縁破
壊を誘起させ、最初にホロー形熱電極全体が負グローで
覆われる、いわゆる負グロー放電が始まり、このグロー
放電が両端のフィラメントコイル間のアーク放電へと移
行するものである。
【0006】さらに説明すると、始動に必要な高い始動
電圧を印加した場合、ホロー形熱電極全体でグロー放電
が発生し、このグロー放電により熱電極全体の温度が上
昇し、この温度上昇によりフィラメントコイルに担持し
た電子放射物質が熱電子を放出するようになり、次第に
負グローがフィラメントコイルに集中するようになる。
熱電子の放出量が増えて熱電子による電流がイオン電流
より多くなると、両電極間のア−ク放電に移行し、フィ
ラメントコイル相互間で主ア−ク放電を行うようにな
る。このような主放電に至ると陰極降下電圧が下がり、
上記始動電圧よりも低いランプ電圧により主放電が持続
される。
【0007】しかしながら、上記始動時におけるグロー
放電が長く続くと、金属スリーブおよびフィラメントコ
イルが過酷な温度状況におかれるため、金属スリーブの
材質や、フィラメントコイルに担持した電子放射物質が
飛散する。このため、これら金属スリーブや電子放射物
質が消失してランプ寿命が短くなり、またこれらスパッ
タ物質がバルブ壁に付着して早期黒化を招く原因とな
る。特に、始動時のグロー放電中は高い陰極電圧降下の
ために電子放射物質がイオン電流によって叩かれ、電子
放射物質がスパッタリングして表面が荒らされ、この表
面が電子放射物質の内部から拡散する電子放射物質に覆
われて仕事関数の低い元の良好な状態に回復するまでに
数十分のエ−ジング時間を必要とするなどの不具合があ
り、点滅頻度の多い液晶表示装置のバックライトとして
は、著しく短寿命になる欠点がある。
【0008】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、その目的とするところは、始動時におけるグ
ロー放電時間を短くし、素早くアーク放電に移行させる
ことができ、フィラメントコイルが過酷な温度状態にお
かれるのを軽減し、これらのスパッタリングを防止する
ことができるホロー電極形低圧放電灯およびこれを用い
た表示装置ならびに読取り装置を提供しようとするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の1番目のホロー
電極形低圧放電灯は、バルブの端部に、電子放射物質を
保持したフィラメントコイルと、このフィラメントコイ
ルを収容し高融点金属ワイヤを密着巻きした包囲コイル
とからなることを特徴とする。
【0010】また、本発明の2番目のホロー電極形低圧
放電灯は、電子放射物質を保持したフィラメントコイル
と、このフィラメントコイルを収容し高融点金属ワイヤ
を密着巻きした包囲コイルとからなるホロー電極を、バ
ルブの端部に封装した低圧放電灯において、上記電子放
射物質を含むフィラメントコイルの熱容量をC1 、包囲
コイルの熱容量をC2 とした場合、 2≦C2 /C1 ≦10 としたことを特徴とする。さらに、本発明は、上記各ホ
ロー電極形低圧放電灯を光源としたことを特徴とする表
示装置および読取り装置である。
【0011】
【作用】本発明の1番目のホロー電極形低圧放電灯は、
フィラメントコイルを収容する包囲体が高融点金属ワイ
ヤを密着巻きしたコイル形をなしているから、包囲コイ
ルの肉厚を薄くすることができ、この包囲コイルは隣接
するワイヤ同志の接触面積が小さいので温度が上昇し易
くなり、グロー放電時間を短くして素早くアーク放電に
移行させることができる。
【0012】また、本発明の2番目のホロー電極形低圧
放電灯は、包囲コイルに対してフィラメントコイルの熱
容量が相対的に小さくなり、グロー放電中のフィラメン
トコイルの温度上昇が早くなって素早くアーク放電に移
行し、過酷な温度状態に晒される時間が短くなる。この
ためスパッタリングを軽減することができ、点滅黒化が
少なくなるとともに、寿命特性が向上する。
【0013】
【実施例】以下本発明について、図1ないし図3に示す
一実施例にもとづき説明する。図3は液晶表示装置の概
略的構成を示し、10、10はバックライトとして用い
られるホロー電極形けい光ランプを示す。これらホロー
電極形けい光ランプ10、10は例えば直管形ランプで
あり、ランプケーシング20に収容されている。ランプ
ケーシング20は内面が反射面21をなす皿形に形成さ
れており、上記2本のホロー電極形けい光ランプ10、
10が互いに平行をなして並び置かれている。なお、ホ
ロー電極形けい光ランプ10、10は、後述する電極を
封装した端部がランプケーシング20の側壁を貫通して
外部に突出されており、ランプケーシング20内の温度
上昇を防止している。ランプケーシング20の上面開口
部には、液晶表示パネル30が取着されている。この液
晶表示パネル30は上記ホロー電極形けい光ランプ1
0、10から放射される光により照射されるようになっ
ており、したがってホロー電極形けい光ランプ10、1
0はバックライトとなっている。
【0014】上記ホロー電極形けい光ランプ10の構成
を、図1および図2にもとづき説明する。すなわち1は
ガラスバルブであり、このバルブ1はソーダライムマグ
ネシアガラス、または鉛ガラスなどにより形成されてお
り、内径dが12mm以下、例えば4mm程度に形成され、
肉厚tが0.3〜0.8mm程度、例えば0.5mmに構成
されている。このバルブ1の内面にはけい光体被膜2が
形成されている。バルブ1の両端部にはそれぞれホロー
形熱電極3、3が封装されている。なお、これらホロー
形熱電極3、3間の電極間距離は160mm程度とされて
いる。
【0015】ホロー形熱電極3の構造は図1に示されて
おり、本実施例の場合はフィラメントコイル4およびこ
のフィラメントコイル4を収容した包囲体、つまり包囲
コイル5とからなる。フィラメントコイル4は、シング
ルコイル、ダブルコイルおよびトリプルコイルのいづれ
であってもよいが、本実施例の場合、線径2MGのタン
グステンワイヤを、内径0.5mm、長さ2mm、重量3.
8mgの大きさに形成したダブルコイルを用いている。こ
のようなフィラメントコイル4には、詳図しないが電子
放射物質が塗布されている。電子放射物質は、例えばバ
リウムを主体としたアルカリ土類の炭酸塩、例えば(B
a,Sr,Ca)CO3 などが好適する。この種のアル
カリ土類の炭酸塩は、比較的低い温度で熱電子を放出
し、低電流で点灯するランプに有効である。このような
電子放射物質は上記フィラメントコイル4に、例えば総
量で1.0mg程度塗布されている。そして、このような
フィラメントコイル4と電子放射物質との熱容量C
1 は、0.81ジュール/1000Kとなっている。
【0016】上記のような構造のフィラメントコイル4
を収容した包囲コイル5は、本実施例の場合、高融点の
タングステンまたはタンタルからなるワイヤ、例えばタ
ングステンワイヤを密着巻きしてコイル形にしてある。
つまり包囲コイル5は全体が筒形コイルの構造となって
いる。この場合、例えばタングステンワイヤは線径50
MGであり、内径1mm、長さ3mm、重量20mg程度とさ
れ、このコイル形金属スリーブ5の熱容量C2 は、2.
7ジュール/1000Kとなっている。
【0017】上記電子放射物質を含むフィラメントコイ
ル4の熱容量C1 と、包囲コイル5の熱容量C2 の比C
2 /C1 は、 2≦C2 /C1 ≦10 …(1) とされている。本実施例の場合、C2 /C1 は3.37
5となっている。
【0018】上記フィラメントコイル4の基端および包
囲コイル5の基端は、共にウエルズ6に連結されてお
り、このウエルズ6はバルブ1の端部を気密に貫通して
封着されている。この場合、包囲コイル5に収容された
フィラメントコイル4の先端が包囲コイル5の開口前端
から前方に突出することがないようにして包囲コイル5
に格納されているものである。
【0019】上記のような構造のバルブ1内には、水銀
と希ガスが収容されている。希ガスは、アルゴンArの
みであってもよいが、始動性を向上させるためにアルゴ
ンArとネオンNeの混合ガスを用い、例えば50Torr
程度の圧力で封入されている。そして、アルゴンArと
ネオンNeの比は、Ar/Ne=30/70〜80/2
0程度がよい。
【0020】このような構成のランプは、周波数が40
KHzの高周波点灯回路に接続され、始動時に1200
Vrms の高周波電圧が印加され、点灯中の放電電流が5
〜20 mAとなり、バルブ表面の輝度は、放電電流10
mAで30,000cd/m2 程度になる。
【0021】このような構造のけい光ランプにおいて
は、両電極3、3間に始動電圧が印加されると、放電空
間が絶縁破壊され、このためホロー形熱電極3全体が負
グローで覆われ、グロー放電が始まる。このグロー放電
は両電極3、3全体の温度を上昇させ、この温度上昇に
よる熱は次第にフィラメントコイル4に集中するように
なり、このフィラメントコイル4に担持した電子放射物
質が熱電子を放出する。熱電子の放出量が増えて熱電子
による電流がイオン電流より多くなると、両電極3、3
間のア−ク放電へ移行し、このアーク放電はフィラメン
トコイル4、4同志の放電となる。この時、負グローは
包囲コイル5内に入った状態になる。
【0022】このような始動過程において、包囲コイル
5を、高融点金属ワイヤによる密着巻きコイル形とした
から、包囲コイル5の肉厚を薄くすることができ、かつ
隣接するワイヤ同志の接触面積が小さいので温度上昇が
迅速になされ、アーク放電へ速やかに移行させることが
できる。
【0023】また、本実施例では電子放射物質を含むフ
ィラメントコイル4の熱容量C1 と、包囲コイル5の熱
容量C2 の比C2 /C1 を、 2≦C2 /C1 ≦10 …(1) としたので、包囲コイル5に対しフィラメントコイル4
の熱容量が相対的に小さくなり、フィラメントコイル4
の温度上昇を促すことができ、熱電子の放出を短時間に
かつ多量にすることができる。このためグロー放電時間
を短縮することができ、包囲コイル5およびフィラメン
トコイル4を過酷な温度状態におく時間を短くすること
ができ、コイルの材質や、フィラメントコイル4に担持
した電子放射物質の飛散を低減することができる。よっ
て、ランプ寿命を向上させることができ、スパッタ物質
のバルブ壁への付着が少なくなり、黒化を防止すること
ができる。
【0024】本発明における上記(1)式は、本発明者
等の実験により得られたもので、その実験について説明
する。包囲コイル5に収容されるフィラメントコイルの
構造は、図1に示すようなダブルコイル形の外に、図4
の(A)図、(B)図および(C)図に示すようなシン
グルコイル形、または図示しないトリプルコイル形が実
施可能である。なお、図4の(A)図は、フィラメント
コイル4の基端を包囲コイル5の基端と一緒にウエルズ
6に結束した構造であり、同(B)図は包囲コイル5の
基端をウエルズ6に巻付け構造であり、さらに同(C)
図は包囲コイル5とウエルズ6との間に中間コイル8を
設け、包囲コイル5の基端を中間コイル8にねじ込んで
連結した構造である。
【0025】これらダブルコイル形およびシングルコイ
ル形のフィラメントコイルを種々形成し、これらフィラ
メントコイルと各種包囲コイル5と組合わせてホロー熱
電極3を構成した。その仕様条件を下記の表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】これら各包囲コイル5と、各フィラメント
コイル4とを種々組み合わせ、それら熱容量の比C2
1 を求め、これら熱容量比C2 /C1 と、始動特性と
の関係を調べた。
【0028】始動特性の評価は、図5に示すように、グ
ロー放電からアーク放電への移行の良否(A)、またこ
の種のランプは調光操作する場合があるから、ランプ電
流を絞っていった場合のアーク放電からグロー放電への
移行の良否(B)、および点滅回数による黒化に進行具
合(C)を調査した。グロー放電からアーク放電への移
行の良否は、ランプ電流IL が10 mA以上の場合に1
秒以内で移行するか否かを評価基準としたもので、図5
の(A)に示すように、C2 /C1 が2〜16の範囲で
良好な結果を得た。また、調光時のように、アーク放電
からグロー放電への移行の良否は、ランプ電流IL が5
mA以下の場合に円滑に移行するか否かを評価基準とし
たもので、図5の(B)から理解できるように、C2
1 が2〜16の範囲で良好な結果を得た。さらに、点
滅黒化については、10、000回の点滅を繰り返した
場合の黒化進行具合を評価したもので、図5の(C)に
示すように、C2 /C1 が2〜10の範囲で良好な結果
を得た。このような評価試験により、電子放射物質を含
むフィラメントコイル4の熱容量C1 と、包囲コイル5
の熱容量C2 の比C2 /C1 は、 2≦C2 /C1 ≦10 …(1) を満足すればよいことが確認された。
【0029】なお、ホロー形電極3の全熱容量(C1
2 )は、 2.2≦(C1 +C2 )≦4.0(ジュール/1000K) …(2) とされている。
【0030】なお、始動特性を改善する対策として、以
下のような手段を採用してもよい。すなわち、この種の
ランプは、既に説明した通り、始動時におけるグロー放
電中の高い陰極電圧降下のために電子放射物質がイオン
電流によって叩かれ、電子放射物質がスパッタリングし
て表面が荒らされる。この表面を電子放射物質の内部か
ら拡散した電子放射物質により覆って仕事関数の低い元
の良好な状態に回復するまでには数十分のエ−ジング時
間が必要となる。よって点滅頻度の多いランプの場合
は、著しく短寿命になる欠点がある。そこで、電子放射
物質の表面状態を、迅速に良好な状態に回復させてやれ
ばよく、このためグロー放電からア−ク放電に移行した
後に、しばらくの時間だけ定格ランプ電流よりも大きな
ランプ電流を供給するようにすればよい。つまり、図6
に示すように、グロー放電からア−ク放電に移行した
後、数10秒または数分間だけ定格ランプ電流(12 m
A)よりも大きなランプ電流(20mA)を供給してや
れば、電子放射物質のスポット上の温度が上昇するの
で、電子放射物質の内部からバリウムBaが拡散し、バ
リウムBaの量が増すとともに電子放射物質を覆ってい
たタングステンWなどの飛散除去が促され、電子放射物
質の表面を仕事関数の低い良好な状態に速やかに回復す
ることができる。
【0031】このようなことから図6に示す実線の特性
図のように、ランプ特性を改善することができ、バリウ
ムBaイオンの発光強度(455nm)の特性が変化して
いることからも電子放射物質の回復が確認され、よって
ランプ寿命を長くすることに有効である。
【0032】また、始動性の改善対策として、バルブ内
に封入する希ガスの選定も有効である。本実施例では、
アルゴンArとネオンNeの混合ガスを50Torr程度の
圧力で封入してあり、アルゴンArとネオンNeの比
は、Ar/Ne=30/70〜80/20程度がよい。
アルゴンArとネオンNeの混合ガスはペニングガスと
して始動電圧を引き下げるのに有効であることが知られ
ており、加えて本発明が対象とするホロー形電極の場
合、電子放射物質の劣化を和らげる緩衝ガスとして機能
すると考えられる。すなわち、図7は上記実施例構造の
ランプにおけるアルゴンArとネオンNeの比を変化し
た場合の始動電圧Vs、陰極降下電圧Vkおよびバリウ
ムイオンの発光強度の変化具合を測定した結果のグラフ
である。同図から、ネオンNeの比を増すと始動電圧V
sは低下するが、グロー放電中の陰極降下電圧Vkが高
くなる。そして、バリウムイオンの発光強度はAr/N
e=30/70〜80/20の時に、低いレベルを示し
た。特性がArの比率の高い方にシフトしているのは以
下の理由によると考えられる。つまり、Arの比率が高
いと始動電圧Vsは高くなるが、グロー放電中の陰極降
下電圧Vkは低くなる。しかし、絶縁破壊によるグロー
の開始および負グロー放電中のいづれの場合にも電子放
射物質の表面がイオン電流によって叩かれ荒らされる。
この場合、時間的には、絶縁破壊は数μsec であるが、
グロー放電は数10msecであり、グロー放電の時間が遥
かに長い。よって、Arの比率を増す方が有利である。
しかしArの比率が高くなり過ぎると、絶縁破壊電圧が
高くなり過ぎ、この時電子放射物質の表面が荒らされ、
バリウムイオンの発光強度が高くなると考えられる。し
たがって結局は両者のバランスから、絶縁破壊時、およ
び負グロー放電中の電子放射物質のダメージを少なく
し、しかもバリウムイオンの発光強度を低く抑えて管壁
黒化を少なくするには、Ar/Ne=30/70〜80
/20の範囲が良好になる。
【0033】なお、上記実施例の場合、電子放射物質
(エミッタ)をフィラメントコイル4の表面に塗布して
担持させた場合を説明した。フィラメントコイル4がダ
ブルコイルやトリプルコイルで形成される場合は、表面
積が大きいので電子放射物質の付着量を多くすることが
できるが、太い線が使えるので機械的強度が向上すると
ともに製造が容易である等の理由からシングルコイルに
より形成した場合は、単にフィラメントコイル4の表面
に塗布するだけでは電子放射物質の量が不足することが
心配される。
【0034】そこで、図8に示すように、フィラメント
コイル4の中空部に電子放射物質7を充填するようにす
れば、電子放射物質7がフィラメントコイル4の中空部
を埋めるので担持量を多くすることができる。しかし、
フィラメントコイル4の中空部に充填した電子放射物質
7は、これを分解・活性化するために外部から高周波誘
導加熱した場合に中心部の温度が上昇し難く、また放出
ガスの抜けも良くない。特にコイル端部に対応する電子
放射物質7の端部は、フィラメントコイル4の端部温度
があまり上昇しないから温度上昇が少ない傾向にある。
【0035】このような不具合を防止するため、図8に
示す例では、フィラメントコイル4の中空部に充填した
電子放射物質7の端部中央部に中空部(凹部)8、8を
形成してある。このようにすれば、電子放射物質7の端
部中央部の熱容量が少なくなるので外部から高周波誘導
加熱した場合に中心部の温度が速やかに上昇し、内部ま
で充分に分解・活性化され、かつ中心部のガスの抜けも
良好になる。
【0036】なお、電子放射物質7は、上記アルカリ土
類の炭酸塩、例えば(Ba,Sr,Ca)CO3 に制約
されるものではなく、アルカリ土類の酸化物、例えば
(Ba,Sr,Ca)O、またはアルカリ土類の金属酸
化物、例えばBa3 WO6 ,Ba2 CaV2 8 などで
あってもよく、これらの電子放射物質は、低い温度で熱
電子を放出し易く、また分解が容易もしくは不要である
などの利点がある。
【0037】また、上記実施例の場合、直管形のホロー
電極形けい光ランプ10について説明したが、ランプは
U字形やW字形などのような屈曲形ランプであってもよ
い。そして、ランプはけい光ランプに限定されるもので
はない、ホロー形電極を用いた希ガス放電灯などにも実
施可能である。さらにまた、本発明のホロー電極形ラン
プは、液晶表示装置のバックライトとして用いる場合に
限らず、光学読取り装置の光源としても使用可能であ
る。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明の1番目のホ
ロー電極形低圧放電灯によると、フィラメントを包囲す
る部材が高融点金属ワイヤを密着巻きした包囲コイルに
より構成したから、包囲コイルの肉厚を薄くすることが
でき、隣接するワイヤ同志の接触面積が小さいため温度
上昇が容易になり、グロー放電時間を短くして素早くア
ーク放電に移行させることができる。
【0039】また、本発明の2番目のホロー電極形低圧
放電灯によると、包囲コイルに対してフィラメントコイ
ルの熱容量が相対的に小さくなり、グロー放電中のフィ
ラメントコイルの温度上昇が早くなって素早くアーク放
電に移行し、過酷な温度状態に晒される時間が短くな
る。このためスパッタリングを軽減することができ、点
滅黒化が少なくなるとともに、寿命特性が向上する。
【0040】そして、このようなランプを光源として用
いた表示装置および光学読取り装置は、上記ランプの持
つ利点を有効に活用することができ、光源の寿命が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すホロー電極形けい光ラ
ンプの電極部の断面図。
【図2】同実施例のランプの全体を示す断面図。
【図3】同実施例のランプを用いた液晶表示装置の概略
的構成を示す分解した斜視図。
【図4】(A)、(B)および(C)図は他の電極構造
を示す図。
【図5】熱容量の比とランプ特性との関係を示す図。
【図6】ランプ電流の変化とバリウムの発光強度の関係
を示す図。
【図7】アルゴンとネオンの比に対する始動電圧、陰極
降下電圧およびバリウムの発光強度の変化具合を示す
図。
【図8】本発明のさらに他の実施例を示す電極部の断面
図。
【符号の説明】
1…バルブ 3…ホロー電極 4…フィラ
メントコイル 5…包囲コイル 6…ウエルズ 7…電子放
射物質 8…中空部。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バルブの端部に封装され電子放射物質を
    保持したフィラメントコイルと、 このフィラメントコイルを収容し、高融点金属ワイヤを
    密着巻きしてなる包囲コイルと、を具備したことを特徴
    とするホロー電極形低圧放電灯。
  2. 【請求項2】 上記フィラメントコイルの中空部に電子
    放射物質を充填し、この電子放射物質の端部を中空構造
    にしたことを特徴とする請求項1に記載のホロー電極形
    低圧放電灯。
  3. 【請求項3】 バルブの端部に、電子放射物質を保持し
    たフィラメントコイルおよびこのフィラメントコイルを
    収容し高融点金属ワイヤを密着巻きしてなる包囲コイル
    とからなるホロー電極を封装してなる低圧放電灯を、光
    源として用いたことを特徴とする表示装置。
  4. 【請求項4】 バルブの端部に電子放射物質を保持した
    フィラメントコイルおよびこのフィラメントコイルを収
    容し高融点金属ワイヤを密着巻きしてなる包囲コイルと
    からなるホロー電極を封装してなる低圧放電灯を、光源
    として用いたことを特徴とする光学読取り装置。
  5. 【請求項5】 バルブの端部に、電子放射物質を保持し
    たフィラメントコイルおよびこのフィラメントコイルを
    収容し高融点金属ワイヤを密着巻きしてなる包囲コイル
    とからなるホロー電極を封装してなる低圧放電灯におい
    て、 上記電子放射物質を含むフィラメントコイルの熱容量を
    1 、包囲コイルの熱容量をC2 とした場合、 2≦C2 /C1 ≦10 としたことを特徴とするホロー電極形低圧放電灯。
  6. 【請求項6】 上記フィラメントコイルの中空部に電子
    放射物質を充填し、この電子放射物質の端部を中空構造
    にしたことを特徴とする請求項5に記載のホロー電極形
    低圧放電灯。
  7. 【請求項7】 上記放電灯は、始動時においてグロー放
    電からアーク放電に移行した後しばらくの間、定格ラン
    プ電流よりも大きなランプ電流を流すようにしたことを
    特徴とする請求項5に記載のホロー電極形低圧放電灯。
  8. 【請求項8】 バルブの端部に、電子放射物質を保持し
    たフィラメントコイルおよびこのフィラメントコイルを
    収容し高融点金属ワイヤを密着巻きしてなる包囲コイル
    とからなるホロー電極を封装してなる低圧放電灯を、光
    源として用いた表示装置において、上記低圧放電灯は、
    上記電子放射物質を含むフィラメントコイルの熱容量を
    1 、包囲コイルの熱容量をC2 とした場合、 2≦C2 /C1 ≦10 としたことを特徴とする表示装置。
  9. 【請求項9】 バルブの端部に、電子放射物質を保持し
    たフィラメントコイルおよびこのフィラメントコイルを
    収容し高融点金属ワイヤを密着巻きしてなる包囲コイル
    とからなるホロー電極を封装してなる低圧放電灯を、光
    源として用いた光学読取り装置において、上記低圧放電
    灯は、上記電子放射物質を含むフィラメントコイルの熱
    容量をC1 、包囲コイルの熱容量をC2 とした場合、 2≦C2 /C1 ≦10 としたことを特徴とする光学読取り装置。
JP26243992A 1992-03-31 1992-09-30 ホロー電極形低圧放電灯およびこれを用いた表示装置ならびに光学読取り装置 Pending JPH05334990A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1312725C (zh) * 2005-01-07 2007-04-25 廖炫泰 复合型双辅丝主辅式三丝三螺旋灯丝及其制造方法

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