JPH05332386A - エネルギー吸収部材 - Google Patents

エネルギー吸収部材

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JPH05332386A
JPH05332386A JP4137199A JP13719992A JPH05332386A JP H05332386 A JPH05332386 A JP H05332386A JP 4137199 A JP4137199 A JP 4137199A JP 13719992 A JP13719992 A JP 13719992A JP H05332386 A JPH05332386 A JP H05332386A
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energy absorbing
absorbing member
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energy
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Yasumi Miyashita
康己 宮下
Akiji Anahara
明司 穴原
Yoshiharu Yasui
義治 安居
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F7/00Vibration-dampers; Shock-absorbers
    • F16F7/12Vibration-dampers; Shock-absorbers using plastic deformation of members
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60RVEHICLES, VEHICLE FITTINGS, OR VEHICLE PARTS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60R21/00Arrangements or fittings on vehicles for protecting or preventing injuries to occupants or pedestrians in case of accidents or other traffic risks
    • B60R21/01Electrical circuits for triggering passive safety arrangements, e.g. airbags, safety belt tighteners, in case of vehicle accidents or impending vehicle accidents
    • B60R21/013Electrical circuits for triggering passive safety arrangements, e.g. airbags, safety belt tighteners, in case of vehicle accidents or impending vehicle accidents including means for detecting collisions, impending collisions or roll-over
    • B60R21/0132Electrical circuits for triggering passive safety arrangements, e.g. airbags, safety belt tighteners, in case of vehicle accidents or impending vehicle accidents including means for detecting collisions, impending collisions or roll-over responsive to vehicle motion parameters, e.g. to vehicle longitudinal or transversal deceleration or speed value

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衝突変形時に突発的な荷重を発生せずに少な
くとも2水準の衝突速度に対応するエネルギーを吸収で
き、しかも部材重量当たりのエネルギー吸収効率が良い
エネルギー吸収部材を提供する。 【構成】 エネルギー吸収部材1は、その肉厚が軸方向
に沿って2段階に増加する断面円形の筒状に形成されて
いる。筒状体の肉薄部1aの先端側にはテーパ部2が形
成されている。肉薄部1aの先端の面積は当該肉薄部の
テーパ部2以外の部分の断面積の2/3以下となってい
る。エネルギー吸収部材1は合成樹脂を長繊維(フィラ
メント)で補強したFRP(繊維強化プラスチック)で
形成され、フィラメントが周方向に巻き付けられた状態
に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車に装備されるバン
パの支持部材やヘリコプターの床下部等に使用されるエ
ネルギー吸収部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車には衝突時における車体及び搭乗
者の保護のため、一般に車体の前後に衝突時の衝撃エネ
ルギーを吸収するバンパが取り付けられている。バンパ
は自動車が障害物と衝突した際に加わる大きな負荷に対
して非可逆的にエネルギーを吸収する必要がある。そし
て、吸収エネルギーを大きくするため、従来からバンパ
本体を支持する支持部材の材質や構造の改良が種々なさ
れている。
【0003】又、ヘリコプターの座席床下部にも不慮の
故障で機体が着地する際の衝撃を少しでも和らげ、特に
搭乗者への影響を軽減するために、軽量でエネルギー吸
収機能の高い部材が求められている。
【0004】例えば、1988年2月18日公開のドイ
ツ特許(3626150)には、繊維強化プラスチック
から成る弾性変形可能な減衰成形体を介してバンパを車
体のステイに取り付けたものが開示されている。減衰成
形体は実質的にリング状に形成され、減衰成形体を形成
する繊維強化プラスチックの強化繊維は周方向に配列さ
れている。そして、減衰成形体はその側面から衝撃力が
加わる状態、すなわち衝撃力が加わる方向に対して減衰
成形体の軸が直交する状態で使用される。
【0005】又、特開昭57−124142号公報には
バンパに使用する衝撃保護用構造材として、図8に示す
ように繊維複合材料(例えばエポキシ樹脂含浸ガラス繊
維)製の条帯21からなる網状組織で円筒状に形成され
た構造体22が提案されている。構造体22は筒の軸方
向に圧縮負荷が加わる状態で使用され、構造体22に軸
方向の荷重が作用すると網状組織の対向する結節点23
において層間剥離を起こし、剪断降伏が繊維とマトリッ
クスとの界面で生ずることによりエネルギーを段階的に
吸収するようになっている。条帯21は構造体22の長
手方向軸線に対して30〜60度の傾斜角をもって傾斜
されている。又、各結節点23は約10層の繊維複合材
料製の条帯21で形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記ドイツ
特許に開示されたような実質的にリング状の繊維強化プ
ラスチックに、その側面から外力を加えて破壊すると、
変形部位は荷重と同方向の部位のみで破壊され、外力に
対して直角方向の部位は実質的に元のままの形状を残し
破壊されない。従って、部材に荷重を加えた際の圧縮変
形過程で発生する応力と変形量の積(具体的には圧縮荷
重−変位量曲線と変位量を表す軸との間の面積)で表さ
れるエネルギー吸収量が極めて小さく、部材重量当たり
の効率が悪いという問題がある。
【0007】一方、特開昭57−124142号公報に
開示された筒状の衝撃保護用構造材は、筒の軸方向から
圧縮荷重が加わるようにバンパを支持した状態で使用さ
れる。従って、圧縮荷重を加えて破壊を行った場合は全
ての部位が破壊されるため、側方から圧縮荷重が加わっ
た場合に比較して部材重量当たりのエネルギー吸収効率
を高めることができる。しかし、条帯21の交差角が3
0〜60度の網目組織で構成されているため、軸方向の
圧縮荷重が作用すると網目組織の変形により筒状体が小
荷重で容易に圧縮変形するという問題がある。又、バン
パ支持部材のように人体への衝撃を小さくするという条
件がある場合には、荷重の最大値を人体への影響の低い
レベルに抑える必要があり、荷重変動の激しい場合には
全体としてのエネルギー吸収量が小さくなる。従って、
人体への衝撃を小さく、しかも変形時のエネルギー吸収
量を大きくするという要求を満たすためには、突発的な
荷重の発生を防止し、圧縮荷重−変位量曲線をできるだ
け荷重変動の少ない平坦なレベルに保つことが重要とな
る。しかし、この衝撃保護用構造材は変位量の増加に伴
って荷重が逐次低下していくため、エネルギー吸収量が
大きくなり難いという問題がある。
【0008】又、近年、自動車の搭乗者保護のためにい
わゆるエアバッグが採用されている。エアバッグの作動
感知センサは瞬間的に発生する大荷重を検知することは
できず、所定の低レベルの荷重が所定時間保持された
後、荷重がそれより高い第2のレベルに達したときに作
動するようになっている。従って、バンパー及びバンパ
ーレインフォースメントなどの低速度で衝突した場合の
他のエネルギー吸収機能が十分でない場合はエアバッグ
の作動感知センサのチューナーとしては1個のエネルギ
ー吸収部材で2水準の衝突速度に対応するエネルギーを
吸収できるエネルギー吸収部材が必要となる。
【0009】又、衝突する場合の速度・方向には何も限
定はなく、多岐にわたるのが通例である。従って、種々
の速度に対応できるエネルギー吸収機能を得るには、多
種類の破壊荷重レベルの異なる部材を組み合わせる必要
がある。
【0010】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は自動車の衝突時やヘリコプター
のローター故障による着地時の衝撃を和らげ、搭乗者へ
の影響を軽減するため、衝突変形時に突発的な荷重を発
生せず、斜め方向からの荷重に対しても高い衝撃吸収能
力を持ち、少なくとも2水準の衝突速度に対応するエネ
ルギーを吸収でき、しかも部材重量当たりのエネルギー
吸収効率が良いエネルギー吸収部材を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め本発明においては、強化繊維が少なくとも周方向に巻
回され、マトリックスで充填された繊維強化複合材料で
筒状体を、その肉厚が軸方向に沿って少なくとも2段階
に逐次増加するように形成し、筒状体の肉薄側の端部の
面積が当該肉薄部の断面積の2/3以下となるように、
かつ断面積が軸方向に連続的に変化するように加工し
た。
【0012】
【作用】本発明のエネルギー吸収部材は筒部の軸方向か
ら圧縮荷重を受けるように取り付けられる。エネルギー
吸収部材の軸方向に荷重がかかると、肉厚の薄い側の面
積の小さな端部から徐々に破壊が始まり、破壊によって
起こる強化繊維に沿った円周方向の層間剥離が、逐次完
全な円筒部にも伝播する。そして、複数のレベルの圧縮
荷重に対応して肉厚の異なる部分の筒状体が圧縮破壊さ
れる。従って、圧縮破壊の際にほぼ一定の荷重レベルを
保つた状態で段階的に荷重レベルが増加する。又、エネ
ルギー吸収部材が軸方向から圧縮荷重を受けて破壊され
る場合、筒状体の全周にわたって全ての部位で座屈破壊
を起こしてエネルギーを吸収する。従って、部材重量当
たりのエネルギー吸収効率が良くなる。
【0013】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明を具体化した第1実施例を図
1〜図6に従って説明する。
【0014】図1に示すように、エネルギー吸収部材1
は、その肉厚が軸方向に沿って2段階に増加する断面円
形の筒状に形成されている。筒状体の肉薄部1aの先端
側にはテーパ部2が形成されている。すなわち、筒状体
の肉薄部1aの先端側は断面積が軸方向に連続的に変化
するように形成されている。エネルギー吸収部材1は合
成樹脂を長繊維(フィラメント)で補強したFRP(繊
維強化プラスチック)で形成され、フィラメントが周方
向に巻き付けられた状態に形成されている。肉薄部1a
の端面の面積は当該肉薄部1aのテーパ部2以外の部分
の断面積の2/3以下、好ましくは1/2以下とするの
がよい。又、肉厚が薄い肉薄部1aと厚い肉厚部1bと
の肉厚の差が肉薄部1aの肉厚の2倍以上ある場合は、
その連続部をテーパ部とする方が破壊過程での異常な荷
重変動を減ずる上で有効である。
【0015】エネルギー吸収部材1はフィラメントに樹
脂を付着しながらマンドレル上に巻き付けた後、樹脂を
加熱硬化させるフィラメントワインディング法によりF
RP円筒を形成したのち、切削加工によりテーパ部2が
形成される。肉厚の変化はフィラメントの巻回時に積層
数を肉厚に対応させて変えるか、全長にわたって肉厚部
1bと同じ厚さでフィラメントを巻回し、樹脂硬化後に
表面を切削加工により肉薄部1aに仕上げてもよい。
【0016】このエネルギー吸収部材1は軸方向から圧
縮荷重を受ける状態で、バンパの支持部材としてあるい
は、直接荷重が作用する衝撃保護部材として使用され
る。このように強化繊維が周方向に巻回された筒状体に
軸方向の荷重を加えて圧縮破壊すると、筒状体は筒状体
の全周にわたって全ての部位で座屈破壊を起こしてエネ
ルギーを吸収する。従って、筒状体を構成する材料の重
量が小さいにも拘らず、大きなエネルギーを吸収し、極
めて効率のよい優れたエネルギー吸収部材となる。
【0017】繊維の巻回方向が筒状体の軸に直角な周方
向に近い程、全層の繊維が互いに平行に配列され、繊維
相互の錯綜による繊維間の空隙が減少し、繊維の充填率
が高められる。筒状体に外部から加えられる荷重を支え
るのは主に繊維であり、繊維充填率の高い程、大きな荷
重を担うことができ、吸収エネルギーも増大する。
【0018】繊維の配列が平行に揃っていると、それに
直角な荷重により繊維相互の横擦れ的な変位が多くの部
分で発生し、細かい円輪状の細片となって細分化されつ
つ崩壊するため、同じ重量でも多くのエネルギーを吸収
することができる。
【0019】繊維の配列が軸方向に立っていくと軸対称
の配列により、交差角度が大きくなり、平行度の乱れか
ら生じる間隙も大きくなって網目状となる。この状態で
軸方向の圧縮荷重が作用すると、組織の変形により小荷
重で容易に筒状体が圧縮変形し、吸収エネルギーも小さ
くなって好ましくない。従って、筒状体の周方向に巻回
される繊維はできるだけ軸に直角な配列であることが好
ましい。
【0020】エネルギー吸収部材1を構成する筒状体の
端部の断面積は先端に向かって連続的に小さくなってい
る。このような筒状体に軸方向の圧縮荷重がかかると、
断面積の小さな側から徐々に破壊を始め、破壊によって
起こる繊維の配列方向(円周方向)に沿った層間剥離
が、逐次完全な筒状部分にも伝播していく。そして、層
間剥離の発生による荷重変動を示すものの、全体的には
ほぼ一定の荷重レベルを保って変化し、その間に大きな
エネルギーを吸収できる。
【0021】筒状体内部の繊維配列がほぼ同じであれ
ば、その破壊荷重は断面積とほぼ比例関係にある。この
実施例のエネルギー吸収部材1は筒状体の肉厚が2段に
変化しているため、肉薄部1aの破壊が終了するまで
は、第1のレベルに荷重が保持され、その後、肉厚部1
bの破壊が起こり第2のレベルに荷重が上昇する。すな
わち、1個の部材で2種のレベルの異なる衝突速度に対
応可能である。
【0022】これに対して筒状体の断面積が軸方向に沿
って一定の場合、軸方向から圧縮荷重を受けると、全荷
重が筒状体の全断面に均等に作用し、筒状体が一つの剛
体として挙動し、平均荷重以上の大きな荷重に耐える。
しかし、筒状体の最弱点部に層間剥離が起こり、剪断破
壊が発生すると、亀裂が一挙に拡大して筒状態が崩壊
し、荷重は瞬時に大幅な低下を示す。そして、その後、
次第に荷重が増加し始めて筒状体の断面積固有の荷重レ
ベルに上昇して、その荷重を維持しつつ変形が進行し、
その間に破壊エネルギーを吸収する。しかし、吸収エネ
ルギーは変位×荷重によって算出され、一旦崩壊した後
の低荷重レベルのため、全吸収エネルギーは極めて小さ
い値となる。
【0023】エネルギー吸収部材1の先端面の面積及び
テーパ部2の筒状体軸に対する傾斜角度は、圧縮変形時
に許容される最大荷重と荷重速度によって決定される。
発生する最大荷重を小さくするためには先端面の面積を
小さくする。又、荷重速度が大きい場合には傾斜角度を
大きくとる方が好ましい。筒状体が端部より逐次円滑に
崩壊しつつある時の安定荷重のピーク値を1として、円
筒端面の面積を変化させた時の破壊初期の最大荷重を示
したのが図2である。図2によると、破壊初期の最大荷
重は端部面積が減少する程直線的に低下し、筒状体が端
部から安定的に破壊する時に示す筒状体固有の破壊荷重
(のピーク値=1)の線と交わる。データのバラツキを
考慮して端部面積は筒状体面積の2/3以下であれば初
期破壊荷重が安定破壊荷重を超えることなく、従って衝
突時のショックを緩和しつつ大きなエネルギー吸収効果
が得られるのである。よって、筒状体の先端面の面積は
当該筒状体のテーパ部2以外の部分の断面積の2/3以
下とする必要がある。
【0024】次にフィラメントとして直径13μmのガ
ラス繊維(2310 tex)を、合成樹脂としてエポキシ樹脂を
それぞれ使用して製造したエネルギー吸収部材につい
て、より具体的に説明する。
【0025】エポキシ樹脂に硬化剤を配合した液を付着
しながら、直径50mmの金属円筒(マンドレル)上に
ガラス繊維をほぼフープ状に巻付けて、肉薄部1aの厚
さ4mm、長さ30mm、肉厚部1bの厚さ5mm、長
さ60mmの2段円筒とした。次に熱風炉中に8時間入
れて樹脂を硬化させた後、マンドレルから外して、繊維
充填率65%のエネルギー吸収部材1を形成した。な
お、肉薄部1aの先端面面積を肉薄部断面積の1/3と
しテーパ部2の軸に対する角度を60°とした。又、肉
薄部1aと肉厚部1bとの連続部にはテーパ部を形成し
なかった。
【0026】又、同様にエポキシ樹脂に硬化剤を配合し
た液を付着しながら、直径50mmの金属円筒(マンド
レル)上にガラス繊維をほぼフープ状に巻付けた後、加
熱硬化して、肉厚5mm、長さ90mmのFRP円筒を
得た。そのFRP円筒を切削加工して前記と同様なエネ
ルギー吸収部材1を形成した。
【0027】両エネルギー吸収部材1に対して、軸方向
からの圧縮荷重を加えた場合の圧縮荷重と変位量との関
係を測定した結果を図3,4に示す。圧縮はエネルギー
吸収部材1の両端面間の距離がほぼ50mm程度となる
まで行った。なお、図3は後加工なしで形成したもの、
図4は後加工により所定の形状に形成したものをそれぞ
れ示す。
【0028】比較のため図5に示すように端面にテーパ
部を有しないエネルギー吸収部材10を形成し、前記と
同様に軸方向からの圧縮荷重を加えた場合の圧縮荷重と
変位量との関係を測定した。結果を図6に示す。
【0029】先端にテーパ部を有しないエネルギー吸収
部材10の場合は、圧縮初期に大きな荷重が発生した
後、荷重が低下し、その後再び荷重が増大する。これに
対して、先端にテーパ部2を有する両エネルギー吸収部
材1の場合は、いずれも圧縮初期に大きな荷重が発生せ
ず2段階に荷重が変動している。すなわち、エネルギー
吸収部材1の肉厚の2段階の変化に対応して、エネルギ
ー吸収レベルが2段階に変化している。又、切削加工に
よって肉厚の差を設けたエネルギー吸収部材1の方が、
繊維巻回時に肉厚の差を設けたものより荷重の変動が幾
分少ないようであるが、両者に本質的な差異は認められ
ない。
【0030】この実施例のようにエネルギー吸収部材1
の肉厚が2段に変化し、エネルギー吸収レベルが2段階
に変化するエネルギー吸収部材1は、自動車の搭乗者保
護のために用いられるエアバッグの作動感知センサのチ
ューナーとして好適に用いられる。
【0031】(実施例2)次に第2実施例を図7及び図
8に従って説明する。この実施例ではエネルギー吸収部
材1の肉薄部1aの端部形状が前記実施例のものと異な
っている。すなわち、図7に示すようにエネルギー吸収
部材1の肉薄部1aの先端側にはテーパ部はなく、端部
が斜めに切り取られた形状に形成されている。切り取り
箇所は2か所設けられ、軸と直交する面に対して所定の
角度をなす傾斜面3が対称に2個形成されている。すな
わち肉薄部1aは傾斜面3と対応する部分では、その断
面積が先端側から軸方向に連続的に変化するようになっ
ている。
【0032】エネルギー吸収部材1は前記実施例と同様
にフィラメントワインディング法によりFRP円筒を形
成し、肉薄部1aを切削加工により形成したのち、その
一端を所定の角度で裁断加工することにより形成され
る。
【0033】肉薄部1aの厚さ4mm、肉厚部1bの厚
さ5mm、傾斜面3の角度30°に形成したエネルギー
吸収部材1に対して、軸方向からの圧縮荷重を加えた場
合の圧縮荷重と変位量との関係を測定した結果を図8に
示す。
【0034】前記実施例のエネルギー吸収部材1の場合
と同様に圧縮初期に大荷重が発生することなく、エネル
ギー吸収レベルが2段階となった。すなわち、肉薄部1
aの断面積が先端から徐々に大きくなっているため、断
面積の小さな側から徐々に破壊を始め、破壊によって起
こる繊維の配列方向(円周方向)に沿った層間剥離が、
逐次完全な筒状部分にも伝播する。
【0035】なお、本発明は前記各実施例に限定される
ものではなく、例えば、肉厚の変化を3段階以上となる
ようにしてもよい。この場合は肉厚が必ず一方向に向か
って逐次厚くなっていることが必要である。その理由は
エネルギー吸収部材の破壊が連続的に円滑に進み、筒状
体の一端から全壁面が無駄なく破壊するのは、筒状体の
肉薄部で発生した周方向繊維の剥離現象が、荷重の増大
に従って次第に肉厚部に伝播することによるからであ
る。もし肉厚の順序がランダムであれば、荷重の増加に
より筒状体の破壊もランダムな位置で進行し、取り残さ
れた肉厚部は、それを支持する部位の崩壊により所定の
姿勢を維持できず、その機能を発揮できない虞が大き
い。
【0036】又、肉薄部1a側端部に傾斜面3を形成す
る場合、その数は2個に限らず1個としたり、3個以上
としてもよい。傾斜面2の少ない方が斜め荷重に対する
エネルギー吸収能からも、又、加工工数を少なくしてコ
スト低減を図る上でも好ましい。しかし、エネルギー吸
収部材1の圧縮挙動の軸に対する方向性を無くすことが
求められる場合は、傾斜面の数を多くして先端形状のバ
ランスをとってやる方がよい。又、エネルギー吸収部材
1を構成する筒状体は、製作容易性の点からは円筒体が
好ましいが、多面筒体でもよい。しかし、多面筒体とす
る場合には、面と面との接合部が角部となって異常な応
力集中が生じるのを防止するため、接合部を曲面として
周方向の繊維間に発生した層間亀裂が円滑に伝播するよ
うにするのが好ましい。又、素材のFRPを構成する樹
脂はエポキシ樹脂に限らずフェノール樹脂、不飽和ポリ
エステルなどの熱硬化性樹脂の他、ポリエステル、ポリ
イミド等の熱可塑性樹脂を使用してもよい。又、強化繊
維としてガラス繊維に代えてカーボン繊維、アラミド繊
維等の高強度の物性をもった各種の機能繊維を使用して
もよい。又、エネルギー吸収部材をエアバッグの作動感
知センサのチューナーとして使用する他に、バンパの支
持部材や直接衝撃荷重を受ける衝撃吸収部材あるいはヘ
リコプターの座席床下部等に適用してもよい。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように本発明のエネルギー
吸収部材は、少なくとも2水準の衝突速度に対応するエ
ネルギーを吸収できる。又、破壊される際に筒状体の面
積の小さな側の端部から徐々に破壊が始まり、全体的に
ほぼ一定の荷重レベルを保って変化し、しかもエネルギ
ー吸収部材の全ての部位で座屈破壊を起こしてエネルギ
ーを吸収するので、エネルギー吸収量が大きくなるとと
もに部材重量当たりのエネルギー吸収効率が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例のエネルギー吸
収部材の概略斜視図である。
【図2】端部面積と円筒面積の比を変化させた場合の筒
状体の端部面積と破壊初期の最大荷重との関係を示した
図である。
【図3】第1実施例のエネルギー吸収部材に軸方向荷重
を加えた場合の圧縮荷重−変位量曲線である。
【図4】第1実施例のエネルギー吸収部材に軸方向荷重
を加えた場合の圧縮荷重−変位量曲線である。
【図5】比較例のエネルギー吸収部材の概略斜視図であ
る。
【図6】比較例のエネルギー吸収部材に軸方向荷重を加
えた場合の圧縮荷重−変位量曲線である。
【図7】第2実施例のエネルギー吸収部材の概略斜視図
である。
【図8】第2実施例のエネルギー吸収部材に軸方向荷重
を加えた場合の圧縮荷重−変位量曲線である。
【図9】従来の衝撃保護用構造材を示す概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
1…エネルギー吸収部材、1a…肉薄部、1b…肉厚
部、2…テーパ部、3…傾斜面。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化繊維が少なくとも周方向に巻回さ
    れ、マトリックスで充填された繊維強化複合材料で筒状
    体を、その肉厚が軸方向に沿って少なくとも2段階に逐
    次増加するように形成し、筒状体の肉薄側の端部の面積
    が当該肉薄部の断面積の2/3以下となるように、かつ
    断面積が軸方向に連続的に変化するように加工したエネ
    ルギー吸収部材。
JP04137199A 1992-05-28 1992-05-28 エネルギー吸収部材 Expired - Lifetime JP3144054B2 (ja)

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JP04137199A JP3144054B2 (ja) 1992-05-28 1992-05-28 エネルギー吸収部材
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