JPH0533231Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はワークに窄設した油路等の加工穴を封
じるために用いる鋼球等の部品を該加工穴に圧入
し、圧入後、ワークをかしめることによつて該部
品をワーク内に封じ込めるようになつた部品の圧
入およびカシメ装置に関する。

（従来技術） ワークに窄設した油路等の加工穴に鋼球を圧入
して、該加工穴をふさぐ操作を行なう装置とし
て、例えば、特公昭56−34419号公報に開示され
た装置が挙げられる。この装置は、先端部にかし
め爪が形成されるとともに、ワークの加工穴をふ
さぐための鋼球を加工穴の方に案内する内腔を有
する案内筒と、上記内腔内を往復摺動するように
配置され供給管から内腔内に供給される鋼球をワ
ークの加工穴に圧入するための打込杆と、案内筒
及び打込杆を前進させるパンチを備えており、パ
ンチによつて打込杆を押圧して鋼球を加工穴内に
圧入すると同時に、案内筒を前進させて、ワーク
の加工穴の周囲をかしめて鋼球をワークの加工穴
内に封じ込めるようになつている。

（解決すべき問題点） この開示された装置では、単一のパンチからの
押圧力を、打込杆への鋼球の圧入力と、ワークを
かしめるかしめ爪へのかしめ力とに分散して、圧
入工程とほぼ同時に加工穴周辺部のカシメ工程を
行なうようになつている。この場合、パンチの押
圧力を鋼球への圧入力と、ワークのカシメ力と
に、常に同一条件で分散させることが事実上困難
であるとともに、カシメ爪がワークにくい込んで
カシメ作業が行なわれる際にも、打込杆が前進し
て鋼球を加工穴の内部に押し込むことになるので
鋼球の圧入深さに関してワークによりバラツキが
生じることとなる。この結果、クランクシヤフト
のようなワークの場合には、回転バランスに悪影
響が出るという問題がある。

また、鋼球の圧入工程と、かしめ工程とを別々
に行なうようにした圧入、かしめ装置も知られて
いるが、この形式の従来の装置は、圧入機構とか
しめ機構を作動させるための駆動装置がそれぞれ
必要となることから、装置が複雑化、大型化する
という問題があつた。

（上記問題を解決するための手段） 本考案は、上記問題を解決し、コンパクトでし
かもほぼ一定の安定した部品圧入深さを得ること
ができる部品の圧入およびかしめ装置を提供する
ことを目的としている。

本考案の装置は、ワークに圧入されるべき複数
の部品を並べて供給可能に収納する部品供給通路
を有する部品ガイドと、前記部品ガイドの先端か
ら圧入すべき部品を１こだけ保持する貫通穴を有
する往復動自在の部品供給シリンダと、該部品供
給シリンダ内に往復動自在に配置され前記部品供
給シリンダの貫通穴に保持された部品を受取りボ
ア内に導入する部品供給口と先端部にワーク内に
部品が圧入された後ワークの加工穴をかしめるた
めのかしめヘツドを有する圧入シリンダと、前記
部品供給シリンダに設けられ前記圧入シリンダを
打撃してかしめヘツドによるかしめ動作を行わせ
る打撃部材と、該圧入シリンダ内部に往復動自在
に収容され部品を前記ワークの加工穴内に圧入す
る圧入ロツドと、前記圧入シリンダをワークに接
近させた後圧入ロツドを前進させることにより前
記部品をワークに圧入しその後部品供給シリンダ
を前進させて前記圧入シリンダを打撃しかしめヘ
ツドによりワークをかしめて部品を封じる動作を
制御する駆動機構とを備え、前記部品供給シリン
ダが後退したとき部品ガイドの供給通路と部品供
給シリンダの貫通穴とが整合して部品が供給通路
から１こだけ貫通穴内に供給されるとともに、部
品供給シリンダが前進したとき前記部品供給シリ
ンダの貫通穴と前記圧入シリンダの部品供給口と
が整合して部品が貫通穴から部品供給口を介して
圧入シリンダのボア内の圧入ロツドの前方に供給
され、圧入ロツドが前進して部品をワークに圧入
し、つぎにかしめヘツドがワークをかしめて部品
を封じることによつて、前記部品供給シリンダの
後退前進工程の１回のサイクルによつて部品供
給、圧入及びかしめ動作を連続して行なうように
構成されたことを特徴とする。本考案によれば、
圧入ロツド、圧入シリンダ、部品供給シリンダ、
かしめシリンダは、それぞれ入れ子状に組み合わ
されることになる。なお本考案の駆動機構は、油
圧あるいは空圧等の任意の圧力手段を用いて作動
させることができる。

（実施例の説明） 以下図面を参照しつつ本考案の実施例につき説
明する。

第１図を参照すれば、本考案の１実施例に係る
圧入およびかしめ装置１は、元台２と一体に構成
されるかしめシリンダ３と、該かしめシリンダ３
のシリンダボア４内に往復摺動自在に配置される
部品供給シリンダ５を備えている。さらに、部品
供給シリンダ５のシリンダボア６内には、圧入シ
リンダ７が同様に往復摺動自在に配置されるとと
もに、圧入シリシンダ７のシリンダボア８内に
は、圧入ロツド９が往復摺動自在に配置されてい
る。圧入ロツド９の先端部に形成された圧入ヘツ
ド９ａは、第２図及び第３図に示すように複数の
突起１０が形成されており、該突起１０は圧入シ
リンダ７に設けられた圧入ロツド９用の案内路１
１の凹部１１ａにスプライン係合している。そし
て、突起１０は、圧入ヘツド９ａの先端よりも僅
かに手前で止まつており、これによつて突起１０
の前端面により肩部１０ａが形成される。圧入ヘ
ツド９ａの先端には、空気を吸込むための吸込口
９ｂが開口している。この吸込口９ｂは、圧入ロ
ツド９の内部に延びる空気通路１２、該空気通路
１２と連通するように圧入シリンダ７の内面に形
成された溝１３及び圧入シリンダ７の内部に設け
られた空気通路１４を介して適当な負圧源（図示
せず）に接続されるようになつている。案内路１
１の圧入ヘツド９の前方には、圧入シリンダ７に
設けられた鋼球供給口７ａを介して、加工穴封孔
用の鋼球１５が供給されるようになつている。ま
た圧入シリンダ７の先端部には、ワークすなわち
クランクシヤフト１６の加工穴すなわちオイル通
路１７の周辺部をかしめるためのかしめ爪１８を
有するかしめヘツド１９が取付けられている。こ
の場合、かしめ爪１８は、案内路１１の周囲に複
数個、隔置して設けられる。部品供給シリンダ５
が往復動する軌道上にはガイド２０が配置されて
おり、ガイド２０の内部には、鋼球１５を複数個
収容した鋼球供給通路２１が形成されている。ま
た、部品供給シリンダ５には、該部品供給シリン
ダ５が後退位置にあるときに通路２１と整合する
ように貫通穴２２が形成されており、部品供給シ
リンダ５は供給シリンダ５が後退位置に達したと
き、鋼球１５が１つだけこの貫通穴２２の中に供
給されるような板厚を有している。そして、貫通
穴２２内に供給された鋼球１５は、部品供給シリ
ンダ５が前進したとき、圧入シリンダ７の鋼球供
給口７ａを介して、案内路１１に供給されるよう
になつている。最も外側に位置するかしめシリン
ダ３のシリンダボア４は、内部に配置される部品
供給シリンダ５によつて２つのチヤンバ４ａ，４
ｂの区画されており、前方チヤンバ４ａには、か
しめシリンダ３の内外を連通するように形成され
た圧力供給通路２３ａを介して、また後方チヤン
バ４ｂには、同様に圧力供給通路２３ｂを介し
て、それぞれ圧入が導入され、これによつて部品
供給シリンダ５の摺動が制御されるようになつて
いる。また、部品供給シリンダ５のシリンダボア
６は、内部を摺動する圧入シリンダ７によつて、
前方チヤンバ６ａ、中央チヤンバ６ｂ、及び後方
チヤンバ６ｃの３つのチヤンバに区画され互いに
連通が遮断されている。前方チヤンバ６ａには、
圧力供給通路２４を介して、圧力が導入されるよ
うになつており、中央チヤンバ６ｂは、貫通穴２
４ａを介して、かしめシリンダの前方チヤンバ４
ａと連通しており、従つて、かしめシリンダ３の
圧力供給通路２３ａ、前方チヤンバ４ａ及び貫通
穴２４ａを介して圧力が導入されるようになつて
いる。また後部チヤンバ６ｃは、圧力源ではなく
適当な連通手段（図示せず）によつて大気に連通
している。後方チヤンバ６ｃには、圧入シリンダ
７の後端との間に、コイルバネ２５が縮挿されて
いるとともに、前方に向つて突出する衝撃部材２
６が取付けられている。衝撃部材２６は、部品供
給シリンダ５の後端のリツドに摺動自在に支持さ
れている。さらに、圧入シリンダ７のシリンダボ
ア８の内部は、内部を摺動する圧入ロツド９のビ
ストン部９ｃによつて、前方チヤンバ８ａと後方
チヤンバ８ｂとに区画され、互いに連通が遮断さ
れている。圧入シリンダ７の前方チヤンバ８ａ
は、貫通穴２７を介して、部品供給シリンダ５の
前方チヤンバ６ａに連通するとともに、後方チヤ
ンバ８ｂは、貫通穴２８を介して部品供給シリン
ダの中央チヤンバ６ｂに連通している。

従つて、圧入シリンダ７の前方チヤンバ８ａに
は、部品供給シリンダの圧力供給通路２４、前方
チヤンバ６ａ及び圧入シリンダ７の貫通穴２７を
介して圧入ロツド９用の作動圧力が導入されるよ
うになつており、後方チヤンバ８ｂには、かしめ
シリンダ３の圧力供給通路２３ａ、前方チヤンバ
４ａ、部品供給シリンダ５の貫通穴２４ａ、中央
チヤンバ６ｂ、及び貫通穴２８を介して圧力が導
入されるようになつている。この結果、圧入シリ
ンダ７及びかしめシリンダ３は構造的に複動式シ
リンダ、部品供給シリンダ５は、スプリングリタ
ーン式シリンダをそれぞれ構成する。

（作動） 次に作動について説明する。

本例の装置１は、部品すなわち鋼球１５をワー
ク即ち、クランクシヤフト１６の加工穴１７に圧
入し、ワーク周辺をかしめるために、ワーク１６
の加工穴１７にかしめヘツド１９が対向するよう
に第１図に示す状態で配置される。この場合、圧
力供給通路２４にのみ圧力が導入され、圧力供給
通路２３ａ，２３ｂに開放状態になつている。従
つて、圧入シリンダ７の前方チヤンバ８ａ及び部
品供給シリンダ５の前方チヤンバ６ａが加圧状態
になつており、圧入ロツド９及び、圧入シリンダ
７、部品供給シリンダ５はすべて後退位置にあ
る。この状態で、圧力供給通路２４の圧力供給を
停止して、解放する。

これによつて、圧入シリンダ７がバネ２５の弾
性力により、圧入ロツド９を後退位置に保持した
状態で前進し、ワーク１６に、かしめヘツド１９
の前端のかしめ爪１８が接触する程度に接近す
る。次に、かしめシリンダ３の圧力供給通路２３
ａに圧力を導入するとともに、圧力供給通路２４
を開放する。これによつて、かしめシリンダ３の
前方チヤンバ４ａ、貫通穴２４ａ、部品供給シリ
ンダ５の中央チヤンバ６ｂ及び貫通穴２８を介し
て圧入シリンダ７の後方チヤンバ８ｂに圧力が導
入され、圧入ロツドが前進して鋼球１５を加工穴
１７内に圧入する。この場合、圧入ヘツド９ｂの
先端は鋼球１５を押しつつ、加工穴１７内に僅か
に進入し、第３図に示すように突起１０の肩部１
０ａがワーク１６の加工穴１７の周縁部に当接し
たところで、圧入ロツド９の前進動作が停止す
る。この動作によつて、鋼球１５は、加工穴１７
の所定深さ位置まで圧入される。次に、かしめシ
リンダ３の圧力供給通路２３ｂに圧力を導入し
て、かしめシリンダ３の後方チヤンバ４ｂを加圧
状態にする。これによつて、部品供給シリンダ５
がコイルバネ２５の弾性力に抗して前進する。そ
して、前方位置において、衝撃部材２６が、圧入
シリンダ７の後端を打撃し、これによつて、圧入
シリンダ７の先端のかしめヘツド１９のかしめ爪
１８がワーク１６の加工穴１７の周辺部にくい込
んで、この部分をかしめる。この結果、鋼球１５
は、加工穴１７内に後退不能に封じ込められる。
なおこの動作において、部品供給シリンダ５は、
部品供給通路２１内の鋼球１５を１つだけ、貫通
穴２２に保持した状態で前進し、前方位置におい
て、圧入シリンダ７の部品供給口７ａに整合した
とき、鋼球１５は部品供給口７ａ内に落下する。
次に、圧力供給通路２３ｂを脱圧するとともに、
圧力供給通路２４に圧力を導入する。これによつ
て、圧入ロツド９、圧入シリンダ７及び部品供給
シリンダ５が後退し、装置１は第１図の状態に復
帰する。このとき、部品供給口７の内の鋼球１５
は、圧入ロツド９が後退するため、案内路１１内
の圧入ヘツド９ａの前方に導入される。なお、圧
入ロツド９内には、負圧通路１２が形成されてお
り、この通路を通じての負圧により鋼球１５は、
常に圧入ヘツドに吸着した状態に維持される。従
つて、装置１を縦姿勢にした状態で作業を行なう
場合であつても、鋼球１５が落下することがな
く、支障なく作業することができる。

（考案の効果） 本考案によれば、部品圧入動作と、ワークのか
しめ動作とが完全に分離されている、すなわち、
かしめ動作の際には部品は全く影響を受けないの
で安定した圧入深さを得ることができる。また本
考案の装置は、入れ子状に構成して各シリンダを
作動させるようにしているので、コンパクトであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の装置の断面図、第２図は、
装置のヘツド部分の詳細図、第３図は、ヘツド部
分の部分断面図である。 １……圧入及びかしめ装置、３……かしめシリ
ンダ、５……部品供給シリンダ、７……圧入シリ
ンダ、１５……鋼球、１６……ワーク、１７……
加工穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ワークに圧入されるべき複数の部品を並べて供
   給可能に収容する部品供給通路を有する部品ガイ
   ドと、前記部品ガイドの先端から圧入すべき部品
   を１こだけ保持する貫通穴を有する往復動自在の
   部品供給シリンダと、該部品供給シリンダ内に往
   復動自在に配置され前記部品供給シリンダの貫通
   穴に保持された部品を受取りボア内に導入する部
   品供給口と先端部にワーク内に部品が圧入された
   後ワークの加工穴をかしめるためのかしめヘツド
   を有する圧入シリンシダと、前記部品供給シリン
   ダに設けられ前記圧入シリンダを打撃してかしめ
   ヘツドによるかしめ動作を行わせる打撃部材と、
   該圧入シリンダ内部に往復動自在に収容され部品
   を前記ワークの加工穴内に圧入する圧入ロツド
   と、前記圧入シリンダをワークに接近させた後圧
   入ロツドを前進させることにより前記部品をワー
   クに圧入しその後部品供給シリンダを前進させて
   前記圧入シリンダを打撃しかしめヘツドによりワ
   ークをかしめて部品を封じる動作を制御する駆動
   機構とを備え、前記部品供給シリンダが後退した
   とき部品ガイドの供給通路と部品供給シリンダの
   貫通穴とが整合して部品が供給通路から１こだけ
   貫通穴内に供給されるとともに、部品供給シリン
   ダが前進したとき前記部品供給シリンダの貫通穴
   と前記圧入シリンダの部品供給口とが整合して部
   品が貫通穴から部品供給口を介して圧入シリンダ
   のボア内の圧入ロツドの前方に供給され、圧入ロ
   ツドが前進して部品をワークに圧入し、つぎにか
   しめヘツドがワークをかしめて部品を封じること
   によつて、前記部品供給シリンダの後退前進工程
   の１回のサイクルによつて部品供給、圧入及びか
   しめ動作を連続して行うように構成されたことを
   特徴とする部品の圧入及びカシメ装置。