JPH0533218Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本作業は、切断機に関するものである。

〔従来の技術〕

切断機で回転刃物に下降送りを加えながら材料
を切断するような場合は、摩耗に応じて刃物の研
磨が行なわれるが、研磨の度に刃物直径が減少す
るので、切削に当つてはその都度刃物の下降停止
位置と回転停止時期とを調整して切残しが生じな
いようにしなければならない。

油圧や空圧等の送り調整装置を備えている切断
機の場合は、下降停止位置と回転停止時期の設定
は調整装置によつて同時に行なうことができる
が、このような送り調整装置を備えていない切断
機の場合は、これら二つの動作は別々の機構を用
いてそれぞれ単独に行なわれるのが普通である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上述したように、切断機により刃物に下降送り
を与えながら材料を切断する場合は、刃物の下降
停止位置と回転停止時期とを調整する必要があ
る。この場合、油圧や空圧式の調整装置が設置さ
れていればこれら油圧あるいは空圧を制御するこ
とにより精密な位置決め等を行なうことができる
が、これでは設備費が高額となり機械装置が大形
で汎用性に乏しい。

調整装置を備えていない切断機の場合は、設備
費が安価で機械も小形となり汎用性にも長ずる利
点はあるが、調整精度に欠ける難点がある。ま
た、切断の終期に刃物に加わる切断荷重を調整す
る手段がないので、切削終了時に切削材が厚肉か
ら薄肉に変化する場合、刃先に加わる荷重が増大
してこれを破損させる問題点があつた。

本考案の目的は、切削動作が安定で経済性に優
れる切断機を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、ベース上の万力に固定されている材
料を切断する刃物と、支軸に支えられ前記刃物を
保持しながら送り動作を行なうヒンジと、前記ベ
ースに固定されこのヒンジの送り動作を調整する
アームとを具える切断機において、前記ヒンジに
高さを加減できる調整ボルトを設け、この調整ボ
ルトにより押上げられる摺動部材と、この摺動部
材を加圧する圧縮ばねと、前記摺動部材の移動と
連動して接点を開閉させ前記刃物の駆動電源を開
閉するリミツトスイツチとが前記アーム内に設け
てあることを特徴とし、安定な切削動作と経済的
効果が得られるようにして目的の達成を計つたも
のである。

〔作用〕

本考案の切断機では、刃物に下降送りを与えな
がら材料を切断する場合、刃物を保持して送り動
作を行なうヒンジに高さが加減できる調整ボルト
を取付け、また刃物の下降動作を調整するアーム
の内部には摺動部材と、この摺動部材を加圧する
スプリングと、摺動部材の変位に追随して接点を
開閉させるリミツトスイツチを設けておき、刃物
が下降して切断終期に達したとき、上記調整ボル
トの頭部で摺動部材を押上げるように動作させる
とともに、スプリングの反溌力によりこの調整ボ
ルト、すなわちヒンジを押戻すようにしながら下
降を停止するようにしてあるので、刃物には最も
破損し易い切断の終期にクツシヨン効果が与えら
れることになり、刃先に加わる衝撃が減少してい
わゆる歯こぼれを停止することができる。

またこの場合、リミツトスイツチは摺動部材が
押上げられる迄は接点が閉じていて刃物の原動機
を駆動させているが、摺動部材が押上げられると
接点が開いて原動機の電源を遮断するように動作
するので、刃物は切断動作を停止することにな
る。

すなわち、このようにして刃物にクツシヨン動
作を与えながらその最適下降位置の位置決めと動
作停止時期とを同期させて行なうことができるの
で、切断の初期より完了に至るまで安定した動作
を行なわせることが可能となる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図により説明する。

第１図は本考案の切断機の一実施例を示す正面
図で切断開始時の状態を示す。第２図は第１図の
Ａ部断面図である。第３図は第１図に対し切断完
了時の正面図を示す。第４図は第３図のＡ部断面
図である。

各図において、１は切断用の刃物、２はその駆
動用原動機である。３はヒンジで、刃物１、原動
機２を保持した状態でベース５に設けられた支軸
４の回りを下方に移動しつつ刃物１に下降送りを
与える。６はアームでベース５に固定されヒンジ
３の送り動作を制動しながら調節するように働
く。

７は調節ボルトでヒンジ３の下端に取付られ、
固定ナツト７′により高さが調節される。８は摺
動部材で刃物１が下降して最下端付近に達したと
き調整ボルト７によつて押上げられる。

９は圧縮ばねで摺動部材８の頭部に設置されこ
れを押圧するように働く。１０はリミツトスイツ
チ、１０′はその接触子で、接触子１０′は切削中
は摺動部材８の凹部と接して接点を閉じ原動機２
を駆動させているが、摺動部材８が押上げられる
と凹部を離れて接点を解放状態にして原動機２を
停止させる。

１１はバイス（万力）の固定部、１２はその可
動部、１３は可動部１２を進退させるハンドル、
１４は被切断材、１５は摺動部材８の落下を防止
するピン、１６は機械全体を支持するタンクであ
る。

この実施例の切断機では、機械が稼働状態に入
ると第１図に示すように刃物１はヒンジ３の矢印
Ｒ方向の移動に伴つて移動し被切断材１４の切断
を開始する。このときアーム６はヒンジ３の移動
を制動を加えつつ調節する。

切断が進行すると第２図に示すように調整ボル
ト７がヒンジ３の移動に伴つて矢印Ｓの方向に上
昇し、Ｐ点で摺動部材８と衝突するようになる。

さらに切断が進むと第４図に示すように調整ボ
ルト７が摺動部材８を押上げて圧縮ばね９を圧縮
する。この状態に到れば摺動部材８の頭部がアー
ム６の内壁Ｑ（第２図）に到着するのでヒンジ３、
したがつて刃物１は下降動作を停止する。このと
き圧縮ばね９はその圧力により摺動部材８、調整
ボルト７を介してヒンジ３および刃物１を押戻す
ように動作するので、刃物１にはクツシヨン作用
が与えられることになり、刃先に加わる切削荷重
が減少して歯こぼれが生ぜず安定した切削を行な
うことが可能となる。

摺動部材８が押上げられるとリミツトスイツチ
１０の接触子１０′は凹部より脱却して第４図に
示す状態となるので、スイツチ接点が開放して原
動機２の電源が遮断され、刃物１の回転が停止し
て切断が完了する。

切断が完了した場合の刃物１と被切断材１４と
の関係は第３図に示すように、刃物１の先端の軌
跡は点線に示すように被切断材１４を内接させる
ような位置となる。

このようにこの切断機では、ヒンジ３に取付ら
れた調整ボルト７によつて摺動部材８を押上げて
刃物１の下降送りを停止させ、同時にリミツトス
イツチ１０を摺動部材８の動作と連動させて刃物
１の回転を停止するようにしているので、この調
整ボルト７の高さを調整することにより、刃物１
の最適停止位置を定めることができ、またリミツ
チスイツチ１０の取付位置を調整することにより
刃物１の最適停止時期を設定することが可能とな
る。

以下、本実施例を用いることにより、 (1) 切断終期に圧縮ばねの屈伸力を利用刃物にク
ツシヨン作用を与えることができるので、切断
動作が安定となり、歯こぼれを防止することが
できる。

(2) 調整ボルトの高さを調整することにより、刃
物の最適停止位置を定めることができる。

(3) リミツトスイツチを摺動部材の動作と連動さ
せ、取付位置を調整することにより、刃物の最
適停止時期を定めることができる。

(4) 刃物の歯こぼれを防止し、また不必要な稼働
を防止することができるので、作業効率の向上
とコストの低下を実現することができる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、切削動作が安定で経済性に優
れる切断機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の切断機の一実施例を示す正面
図、第２図は第１図のＡ部断面図、第３図は切断
完了時の切断機正面図、第４図は第３図のＡ部断
面図である。 １は刃物、３はヒンジ、５はベース、６はアー
ム、７は調整ボルト、８は摺動部材、９は圧縮ば
ね、１０はリミツトスイツチ、１４は被切断材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベース上の万力に固定されている材料を切断す
   る刃物と、支軸に支えられ前記刃物を保持しなが
   ら送り動作を行なうヒンジと、前記ベースに固定
   された該ヒンジの送り動作を調節するアームとを
   具える切断機において、前記ヒンジに高さを加減
   できる調整ボルトを設け、該調整ボルトにより押
   上げられる摺動部材と、該摺動部材を加圧する圧
   縮ばねと、前記摺動部材の移動と連動して接点を
   開閉させ前記刃物の駆動電源を開閉するリミツト
   スイツチとが前記アーム内に設けてあることを特
   徴とする切断機。