JPH05331613A - 被覆層付き筒状体の製造方法 - Google Patents

被覆層付き筒状体の製造方法

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JPH05331613A
JPH05331613A JP4159880A JP15988092A JPH05331613A JP H05331613 A JPH05331613 A JP H05331613A JP 4159880 A JP4159880 A JP 4159880A JP 15988092 A JP15988092 A JP 15988092A JP H05331613 A JPH05331613 A JP H05331613A
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JP
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coating layer
powder
cylindrical body
tubular body
tubular
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JP4159880A
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Takeshi Shinozaki
斌 篠崎
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被覆層付き筒状体を、再研摩するだけの簡易
な再生が可能なものとする手段を提供する。 【構成】 少なくとも一部が筒状体の本体11bを構成
する筒体2を配置すると共に、その筒体2に対して外側
筒体3A(又は内側筒体)を両筒体間に隙間を形成しつ
つ外嵌した状態に配置し、前記隙間に、前記両筒体より
も低融点である被覆層形成材の粉末5を充填して密閉し
た後、その粉末5が充填された密閉雰囲気を脱気しつつ
粉末5をその融点以上に加熱して粉末5を溶融させ、そ
の溶融物を下から上へ指向性凝固させて前記両筒体と前
記被覆層形成材とを一体化させる。更に、前記外側筒体
3A(又は内側筒体)の部分を機械的に除去する。尚、
前記外側筒体3Aの内面(又は内側筒体の外面)には、
予め、酸化物系セラミックスが溶射されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、筒状本体の外周又は内
周に被覆層を形成した被覆層付き筒状体を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、溶融メッキラインにて使用され
ている各種ロールを構成する筒状体として、外周に被覆
層が形成された被覆層付き筒状体が採用されている。即
ち、溶融メッキラインにおけるメッキ浴内に浸漬配置さ
れ、メッキ処理のために前記浴内へ連続供給される長尺
素材を一定時間だけ浸漬させた後に浴外へ導くべく、そ
の長尺素材を巻回させてその進行方向を転換させるシン
クロール、そのシンクロールにて進行方向が転換された
長尺素材の浴外への進行を、その長尺素材を両側から挟
み込んで補助する一対のサポートロール、メッキ浴表面
において前記長尺素材を両側から適度に挟み込んでメッ
キ付着量の調節を行う一対のコーティングロール等、各
種ロールを構成する筒状体として、メッキ浴との長期接
触に耐える耐食性を備える被覆層を筒状本体の外周に形
成してなる被覆層付き筒状体が採用されている。
【0003】また、前記メッキ浴内に配置されているシ
ンクロール軸受(即ち、前記シンクロールを前記メッキ
浴内にて回転自在に支持するすべり軸受状のシンクロー
ル軸受)等を構成する筒状体として、筒状本体の内周に
被覆層が形成された被覆層付き筒状体が採用されてい
る。
【0004】これらの被覆層付き筒状体は、従来、粉末
式フレーム溶射法(即ち、自溶性合金等の溶射材の粉末
を燃焼炎中に送給しそれを溶融させつつ飛行させて被溶
射面に溶射皮膜を形成する粉末式フレーム溶射法)を用
いて、筒状本体の外周面又は内周面に溶射皮膜を形成す
ることによって製造されていた。そして、前記被覆層付
き筒状体を、前記各種ロール等の筒状体として実際に使
用する場合は、通常、前記筒状体の外周面又は内周面を
研摩して使用していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来方法によっ
て製造された被覆層付き筒状体の被覆層は、通常、その
厚さが50〜200μm程度の非常に薄いものであっ
た。なぜなら、溶射によって形成される被覆層の厚肉化
を図ろうとする場合には、筒状本体と被覆層との密着強
度、被覆工程の生産性や経済性等の面から限界が生じる
からであった。従って、前記被覆層付き筒状体が一定期
間使用されて被覆層が目減りした状態では、その被覆層
の厚さに、再研摩を行って被覆層を残存させる余裕が通
常は存在しないので、一定期間使用の被覆層付き筒状体
は、前記再研摩を行うだけの簡易な再生が不可能であっ
た。そこで、一定期間使用の被覆層付き筒状体は、その
外周面又は内周面に対し、再研摩を施した上で、費用が
嵩むにも拘らず再溶射を行って前記皮膜を形成すること
により、再生させていた。然るに、前記筒状体に対し
て、一定期間の使用の都度、上述のような再研摩・再溶
射を施して前記筒状体を再生させるのでは、その再生費
用が著しく嵩むという問題があった。本発明は、かかる
実情に着目してなされたものであり、前記再研摩を行う
だけの簡易な再生を可能とし、再生費用の低減を図り得
る手段を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る被覆層付き
筒状体の製造方法は、筒状本体の外周に被覆層を形成し
た被覆層付き筒状体を製造するにあたって、少なくとも
一部が前記筒状本体を構成する本体用筒体を配置すると
共に、その本体用筒体に対して外側筒体を両筒体間に隙
間を形成しつつ外嵌した状態に配置し、前記隙間に、前
記両筒体よりも低融点である被覆層形成材の粉末を充填
して密閉した後、その粉末が充填された密閉雰囲気を脱
気しつつ前記粉末をその融点以上に加熱して前記粉末を
溶融させ、その溶融物を下から上へ指向性凝固させて前
記両筒体と前記被覆層形成材とを一体化させた後、少な
くとも前記外側筒体の部分を機械的に除去する点を第1
の特徴として備えている。
【0007】更に加えて、前記外側筒体の内面に、予
め、酸化物系セラミックスを溶射しておく点を第2の特
徴として備えている。
【0008】また、筒状本体の内周に被覆層を形成した
被覆層付き筒状体を製造するにあたって、少なくとも一
部が前記筒状本体を構成する本体用筒体を配置すると共
に、その本体用筒体に対して内側筒体を両筒体間に隙間
を形成しつつ内嵌した状態に配置し、前記隙間に、前記
両筒体よりも低融点である被覆層形成材の粉末を充填し
て密閉した後、その粉末が充填された密閉雰囲気を脱気
しつつ前記粉末をその融点以上に加熱して前記粉末を溶
融させ、その溶融物を下から上へ指向性凝固させて前記
両筒体と前記被覆層形成材とを一体化させた後、少なく
とも前記内側筒体の部分を機械的に除去する点を第3の
特徴として備えている。
【0009】更に加えて、前記内側筒体の外面に、予
め、酸化物系セラミックスを溶射しておく点を第4の特
徴として備えている。
【0010】
【作用】第1の特徴、又は、第3の特徴を備えた本発明
方法によれば、前記隙間に充填された粉末に対して前記
加熱を行って、その粉末を前記両筒体が溶融しない条件
で溶融させた後、それを冷却凝固させて、前記被覆層形
成材の凝固物を形成し、その凝固物を前記両筒体に対し
て冶金的に一体化させることができる。尚、前記被覆層
となる前記凝固物は、前記加熱が前記脱気の下で行われ
ること及び前記凝固が前記指向性凝固であることに基づ
いて、ガス閉じこもり等に起因する微小空隙等の欠陥の
ない状態となる。そして、前記凝固物の厚さは、前記隙
間の大きさを適宜に設定すること、即ち前記両筒体の寸
法を適宜に設定してそれらを適宜に配置することによ
り、比較的自由に変更することができる。尚、前記筒状
体を実際に使用するに際しては、前記外側筒体又は内側
筒体の部分を機械的に除去する。
【0011】第2の特徴、又は、第4の特徴を備えた本
発明方法によれば、前記外側筒体の内面又は前記内側筒
体の外面に、予め、酸化物系セラミックスが溶射されて
いるので、前記被覆層形成材の凝固物が形成される過程
で、その凝固物は、前記本体用筒体に対して上述の場合
と同様に冶金的に接合するが、前記外側筒体の内面又は
前記内側筒体の外面に対して前記セラミックスの存在に
よって冶金的に接合しない。
【0012】
【発明の効果】第1の特徴又は第3の特徴を備えた本発
明方法によれば、上述の如く前記凝固物の厚さを比較的
自由に変更することができるので、前記被覆層の厚肉化
も可能となる。そこで、本発明方法によって被覆層の厚
肉化を図りつつ製造した被覆層付き筒状体は、その筒状
体が一定期間使用されて被覆層が目減りした状態でも、
その厚さに、再研摩を行って被覆層を残存させる余裕を
持たせることができ、もって、一定期間使用の被覆層付
き筒状体に対する簡易な再生が可能となる。従って、前
記被覆層付き筒状体の再生費用の低減が可能となり、従
来の問題が解消されるようになる。
【0013】第2の特徴又は第4の特徴を備えた本発明
方法によれば、上述の如く、前記被覆層形成材の凝固物
が形成される過程で、その凝固物が前記外側筒体の内面
又は前記内側筒体の外面に対して冶金的に接合しないの
で、その外側筒体又は内側筒体を非破損状態で前記被覆
層付き筒状体から分離させることができる。従って、そ
の外側筒体又は内側筒体の再使用が可能となり、前記被
覆層付き筒状体の再生費用の更なる低減が可能となる。
【0014】
【実施例】
〔第1実施例〕(第2の特徴を備える本発明方法に対
応) 図3には、本発明方法を用いて製造される被覆層付き筒
状体を主要な構成要素とするシンクロールが示されてい
る。前記被覆層付き筒状体は、ステンレス鋼(具体的に
は、SUS410)で本体が構成された筒状体11であ
り、その筒状体11には、その両端部にステンレス鋼
(具体的には、SUS410)製の被軸受部12,13
が内嵌装着(その内嵌状態は溶接によって固定される)
されて、前記シンクロールが構成される。
【0015】前記シンクロールは、溶融メッキラインに
おけるメッキ浴内に浸漬配置され、メッキ処理のために
前記浴内へ連続供給される長尺素材を一定時間だけ浸漬
させた後に浴外へ導くべく、その長尺素材を巻回させて
その進行方向を転換させるのに使用される。そのシンク
ロールは、上述の如くメッキ浴内に浸漬されるので、そ
の主要部の外周に(即ち、筒状本体11bの外周に)メ
ッキ浴との長期接触に耐える耐食性を備える被覆層11
aが本発明方法によって形成される。
【0016】本発明方法は具体的には図1及び図2に示
される手順によって実施される。先ず、図1に示す如
く、ステンレス鋼(具体的には、SUS410、融点:
1510〜1530℃)の遠心鋳造材にて構成され、一
部が前記筒状本体11bとなる本体用筒体2を配置する
と共に、その本体用筒体2に対し、ステンレス鋼(具体
的には、SUS410、融点:1510〜1530℃)
の遠心鋳造材にて構成された外側筒体3Aを両筒体2,
3A間に隙間を形成しつつ外嵌した状態に配置する。即
ち、前記両筒体2,3Aを、一般構造用圧延鋼材(SS
材)にて構成された下部プレート4上の適宜位置に載置
し、その接当部分を溶接して固定することにより、前記
両筒体2,3Aを、その相互間に隙間を形成した状態に
配置する。
【0017】前記外側筒体3Aは、図1中及び図2中に
仮想線で図示した前記筒状体11の外径よりも若干大き
い内径を有する、ストレートな筒状体に形成されてい
る。その外側筒体3Aの内面には、予め、濡れ性が悪く
熱衝撃に強く高温で相変化し難い酸化物系セラミックス
(具体的には、ZrO2 )が溶射されている。
【0018】前記本体用筒体2の内径寸法は、上下にわ
たって一定寸法(少なくとも前記筒状体11の内径より
も小さい寸法)に設定されている。また、前記本体用筒
体2の外径寸法は、前記筒状本体11bを実質的に形成
する部分となる下側部分2aが、少なくとも、前記筒状
本体11bの外径に相応する寸法に設定され、且つ、溶
融前の嵩高い粉末5を溶融前に溜める余裕空間を前記外
側筒体3Aとの間に形成する上側部分2bが、その余裕
空間が形成されるように前記下側部分2aよりも小径寸
法に設定されている。
【0019】前記両筒体2,3A間の空間には、前記両
筒体2,3Aよりも低融点であり、メッキ浴に対する耐
食性を有し、前記筒状本体11bとの冶金的接合性が良
好な被覆層形成材の粉末5が充填される。その粉末5
は、具体的には、化学組成が、C:0.9%(重量%、
以下同じ)、B:1.8%、Si:2.5%、Cr:1
9.0%、Fe:2.6%、W:9.0%、Ni:1
3.0%、Co:51.2%である自溶性合金(融点:
1050〜1150℃)の粉末である。その粉末5の前
記隙間への充填量は、前記外側筒体3Aと前記本体用筒
体2の下側部分2aとの間のスペースに相当する容積に
前記自溶性合金の比重:約8.0を掛けた重量分以上に
設定する。
【0020】前記両筒体2,3A間の隙間に前記粉末5
を充填した後、前記両筒体2,3Aの天部に、脱気パイ
プ6付きの蓋体7を装着して密閉し、更に、その密閉雰
囲気を前記脱気パイプ6の先端部に接続した真空ポンプ
(図外)にて脱気し、前記雰囲気の真空度を、1.0×
10-2〜1.0×10-4Torrまで下げた上で、前記
脱気パイプ6を閉じることにより、前記隙間を、前記粉
末5が充填済みであり且つ脱気済みである密封隙間とす
る。
【0021】然る後、前記両筒体2,3Aの隙間に前記
粉末5を充填密封した組立体を、熱処理炉(図外)内に
装入し、前記粉末5が、その融点以上で前記両筒体2,
3Aの融点以下の適宜温度(具体的には、粉末5の融点
より10〜50℃高い温度、即ち、1060〜1200
℃)となるように加熱して、前記両筒体2,3Aを溶融
させることなく、前記粉末5のみを溶融させる。然る
後、その溶融物を下から上へ指向性凝固させて、前記両
筒体2,3Aと前記自溶性合金とを、欠陥(ガス閉じこ
もりに起因する微小空隙等)のない状態で冶金的に一体
化させる(図2参照)。その凝固状態では、前記自溶性
合金は嵩縮小して前記余裕空間内には存在しないように
なる。尚、前記指向性凝固は、前記熱処理炉が上下方向
に複数のバーナーが並設されている場合はその複数のバ
ーナーの燃焼状態を下から順に停止したり、前記組立体
を炉外冷却すべく前記熱処理炉から取り出す場合は、そ
の取り出し後に、前記組立体の上側部分の周囲にのみ断
熱材を巻いてその部分の冷却を緩やかにしたりして行
う。
【0022】然る後、前記組立体から前記筒状体11を
取り出すべく、その組立体の上下を切断する。そして、
その内周部分を機械加工で除去して所定寸法に仕上げる
こととする。その内周部分を除去するのは、前記筒状体
11の両端部に前記被軸受部12,13を内嵌装着する
ときに、前記内周部分に所定の寸法精度が必要となるか
らである。
【0023】一方、前記組立体の外周部分においては、
前記外側筒体3Aの内面に前記酸化物系セラミックスが
溶射されているので、前記被覆層形成材の凝固物形成過
程でその凝固物が前記外側筒体3Aの内面に対して冶金
的に接合しない。従って、前記外側筒体3Aを前記筒状
体11から容易に分離させることができ、その外側筒体
3Aは再使用が可能となる。尚、分離後の前記筒状体1
1の外周部分は、機械加工で所定寸法に精度よく仕上げ
られる。
【0024】尚、前記筒状体11の内周部分に、上述の
ような寸法精度が要求されない場合には、前記内周部分
を除去する必要がないのはいうまでもない。また、前記
外側筒体3Aの内面に予め溶射される酸化物系セラミッ
クスとしては、前記ZrO2以外に、Al2 3 、Si
2 等が考えられる。
【0025】〔第2実施例〕(第1の特徴を備える本発
明方法に対応) 前記外側筒体3Aとして、その内面に予め前記酸化物系
セラミックスが溶射されていないものを使用する本発明
方法も考えられる。この場合、前記被覆層形成材の凝固
物形成後、前記組立体から前記筒状体11を取り出すべ
く、その組立体の上下を切断した上で、その内周部分も
機械加工で除去して所定寸法に仕上げると共に、その外
周部分(少なくとも前記外側筒体3Aの部分)を機械加
工で除去して所定寸法に仕上げることとする。前記被覆
層形成材の凝固物形成過程でその凝固物が前記外側筒体
3Aの内面に冶金的に接合するからである。
【0026】〔第3実施例〕(第4の特徴を備える本発
明方法に対応) 図6には、製造工程の一部に本発明方法が用いられるシ
ンクロール軸受が示されている。尚、図面において第1
実施例と同一の符号で表示した部分は同一又は相当の部
分を示している。
【0027】前記シンクロール軸受は、溶融メッキライ
ンにおけるメッキ浴内に浸漬配置され、前記シンクロー
ル(図3参照)の両端の被軸受部12,13を前記メッ
キ浴内にて回転自在に支持するのに使用される筒状体1
1である。尚、その筒状体11の本体11bも筒状に構
成され、その筒状本体11bはSUS410等のステン
レス鋼にて構成されている。前記シンクロール軸受は、
前記シンクロールと共に、上述の如くメッキ浴内に浸漬
されるので、前記筒状本体11bの内周にメッキ浴との
長期接触に耐える耐食性を備える被覆層11dが本発明
方法によって形成される。
【0028】本発明方法は具体的には図4及び図5に示
される手順によって実施される。先ず、図4に示す如
く、ステンレス鋼(具体的には、SUS410、融点:
1510〜1530℃)の遠心鋳造材にて構成され、一
部が前記筒状本体11bとなる本体用筒体2を配置する
と共に、その本体用筒体2に対し、ステンレス鋼(具体
的には、SUS410、融点:1510〜1530℃)
の遠心鋳造材にて構成された内側筒体3Bを両筒体2,
3B間に隙間を形成しつつ外嵌した状態に配置する。即
ち、前記両筒体2,3Bを、一般構造用圧延鋼材(SS
材)製の下部プレート4上の適宜位置に載置し、その接
当部分を溶接固定することにより、前記両筒体2,3B
を、その相互間に隙間を形成した状態に配置する。
【0029】前記内側筒体3Bは、図4中及び図5中に
仮想線で図示した前記筒状体11の内径よりも若干小さ
い外径を有する、ストレートな筒状体に形成されてい
る。その内側筒体3Bの外面には、予め、濡れ性が悪く
熱衝撃に強く高温で相変化し難い酸化物系セラミックス
(具体的には、ZrO2 )が溶射されている。
【0030】前記本体用筒体2の外径寸法は、上下にわ
たって一定寸法(少なくとも前記筒状体11の外径より
も大きい寸法)に設定されている。また、その内径寸法
は、前記筒状本体11bを実質的に形成する部分となる
下側部分2aが、少なくとも、前記筒状本体11bの内
径に相応する寸法に設定され、且つ、溶融前の嵩高い粉
末5を溶融前に溜める余裕空間を前記内側筒体3Bとの
間に形成する上側部分2bが、その余裕空間が形成され
るように前記下側部分2aよりも大径寸法に設定されて
いる。
【0031】前記両筒体2,3B間の空間には、前記両
筒体2,3Bよりも低融点であり、メッキ浴に対する耐
食性を有し、前記筒状本体11bとの冶金的接合性が良
好な被覆層形成材の粉末5が充填される。その粉末5
は、具体的には、化学組成が、C:0.9%、B:1.
8%、Si:2.5%、Cr:19.0%、Fe:2.
6%、W:9.0%、Ni:13.0%、Co:51.
2%である自溶性合金(融点:1050〜1150℃)
の粉末である。その粉末5の前記隙間への充填量は、前
記内側筒体3Bと前記本体用筒体2の下側部分2aとの
間のスペースに相当する容積に前記自溶性合金の比重:
約8.0を掛けた重量分以上に設定する。
【0032】前記両筒体2,3B間の隙間に前記粉末5
を充填した後、前記両筒体2,3Bの天部に、脱気パイ
プ6付きの蓋体7を装着して密閉し、更に、その密閉雰
囲気を前記脱気パイプ6の先端部に接続した真空ポンプ
(図外)にて脱気し、前記雰囲気の真空度を、1.0×
10-2〜1.0×10-4Torrまで下げた上で、前記
脱気パイプ6を閉じることにより、前記隙間を、前記粉
末5が充填済みであり且つ脱気済みである密封隙間とす
る。
【0033】然る後、前記両筒体2,3B間の隙間に前
記粉末5を充填密封した組立体を、熱処理炉(図外)内
に装入する。そして、前記粉末5が、その融点以上で前
記両筒体2,3Bの融点以下の適宜温度(具体的には、
粉末5の融点より10〜50℃高い温度、即ち、106
0〜1200℃)となるように加熱して、前記両筒体
2,3Bを溶融させることなく前記粉末5のみを溶融さ
せる。然る後、その溶融物を下から上へ指向性凝固させ
て、前記両筒体2,3Bと前記自溶性合金とを、欠陥
(ガス閉じこもりに起因する微小空隙等)のない状態で
冶金的に一体化させる(図5参照)。その凝固状態で
は、前記自溶性合金は嵩縮小して前記余裕空間内には存
在しないようになる。尚、前記指向性凝固は、前記熱処
理炉が上下方向に複数のバーナーが並設されている場合
はその複数のバーナーの燃焼状態を下から順に停止した
り、前記組立体を炉外冷却すべく前記熱処理炉から取り
出す場合は、その取り出し後に、前記組立体の上側部分
の周囲にのみ断熱材を巻いてその部分の冷却を緩やかに
したりして行う。
【0034】然る後、前記組立体から前記筒状体11を
取り出すべく、その組立体の上下を切断する。そして、
その外周部分を機械加工で除去して所定寸法に仕上げる
こととする。その外周部分を除去するのは、前記筒状体
11の組立装着時に、前記外周部分に所定の寸法精度が
必要となるからである。
【0035】一方、前記組立体の内周部分においては、
前記内側筒体3Bの外面に酸化物系セラミックスが溶射
されているので、前記被覆層形成材の凝固物形成過程で
その凝固物が前記内側筒体3Bの外面に対して冶金的に
接合しない。従って、前記内側筒体3Bを前記筒状体1
1から容易に分離させることができ、その内側筒体3B
は再使用が可能となる。
【0036】尚、前記筒状体11の外周部分に、上述の
ような寸法精度が要求されない場合には、前記外周部分
を除去する必要がないのはいうまでもない。また、前記
内側筒体3Bの外面に予め溶射される酸化物系セラミッ
クスとしては、前記ZrO2以外に、Al2 3 、Si
2 等が考えられる。尚、分離後の前記筒状体11の内
周部分は、機械加工で所定寸法に精度よく仕上げられ
る。
【0037】〔第4実施例〕(第3の特徴を備える本発
明方法に対応) 前記内側筒体3Bとして、その外面に予め前記酸化物系
セラミックスが溶射されていないものを使用する本発明
方法も考えられる。この場合、前記被覆層形成材の凝固
物形成後、前記組立体から前記筒状体11を取り出すべ
く、その組立体の上下を切断した上で、その外周部分
(少なくとも前記内側筒体3Bの部分)を機械加工で除
去して所定寸法に仕上げると共に、その内周部分も機械
加工で除去して所定寸法に仕上げることとする。前記被
覆層形成材の凝固物形成過程でその凝固物が前記内側筒
体3Bの外面に冶金的に接合するからである。
【0038】〔別実施例〕上述の各実施例は、本発明方
法をシンクロール又はその軸受を製造するのに適用した
ものであったが、本発明方法は、前記シンクロール以外
の被覆層付き筒状体、例えば、前記シンクロールにて進
行方向が転換された長尺帯状材の浴外への進行をその長
尺帯状材を両側から挟み込んで補助する一対のサポート
ロール、メッキ浴表面において前記長尺帯状材を両側か
ら適度に挟み込んでメッキ付着量の調節を行う一対のコ
ーティングロール等、或いは、前記サポートロール等を
前記浴内にて回転自在に支持する軸受等、各種の被覆層
付き筒状体を製造する場合にも適用することができる。
【0039】また、筒状本体の外周又は内周にセラミッ
クス又は樹脂よりなる被覆層を形成する場合には、前記
密閉隙間に充填する被覆層形成材の粉末を、セラミック
スの粉末又は樹脂の粉末とすればよい。
【0040】また、前記外側筒体の内面又は前記内側筒
体の外面に、前記酸化物系セラミックスの層を、塗布等
の簡易手段で被覆することも考えられる。この場合、前
記内面又は前記外面に対する前記セラミックス層の接合
力が弱く、昇温時に前記セラミックス層が剥離する危険
性があるが、前記外側筒体又は内側筒体と前記筒状体1
1とを上述の如く分離させる効果は、一定のレベルで期
待できる。
【0041】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の第1実施例の一過程を示す説明図
【図2】その後続過程を示す説明図
【図3】その方法で製造した筒状体を主要部とするシン
クロールの縦断面図
【図4】本発明方法の第3実施例の一過程を示す説明図
【図5】その後続過程を示す説明図
【図6】その方法で製造した筒状体を主要部とするシン
クロール軸受の縦断面図
【符号の説明】
2 本体用筒体 3A 外側筒体 3B 内側筒体 5 粉末 11a,11d 被覆層 11b 筒状本体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状本体(11b)の外周に被覆層(1
    1a)を形成した被覆層付き筒状体を製造する方法であ
    って、 少なくとも一部が前記筒状本体(11b)を構成する本
    体用筒体(2)を配置すると共に、その本体用筒体
    (2)に対して外側筒体(3A)を両筒体(2),(3
    A)間に隙間を形成しつつ外嵌した状態に配置し、前記
    隙間に、前記両筒体(2),(3A)よりも低融点であ
    る被覆層形成材の粉末(5)を充填して密閉した後、そ
    の粉末(5)が充填された密閉雰囲気を脱気しつつ前記
    粉末(5)をその融点以上に加熱して前記粉末(5)を
    溶融させ、その溶融物を下から上へ指向性凝固させて前
    記両筒体(2),(3A)と前記被覆層形成材とを一体
    化させた後、少なくとも前記外側筒体(3A)の部分を
    機械的に除去する被覆層付き筒状体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記外側筒体(3A)の内面に、予め、
    酸化物系セラミックスを溶射しておく請求項1記載の被
    覆層付き筒状体の製造方法。
  3. 【請求項3】 筒状本体(11b)の内周に被覆層(1
    1d)を形成した被覆層付き筒状体を製造する方法であ
    って、 少なくとも一部が前記筒状本体(11b)を構成する本
    体用筒体(2)を配置すると共に、その本体用筒体
    (2)に対して内側筒体(3B)を両筒体(2),(3
    B)間に隙間を形成しつつ内嵌した状態に配置し、前記
    隙間に、前記両筒体(2),(3B)よりも低融点であ
    る被覆層形成材の粉末(5)を充填して密閉した後、そ
    の粉末(5)が充填された密閉雰囲気を脱気しつつ前記
    粉末(5)をその融点以上に加熱して前記粉末(5)を
    溶融させ、その溶融物を下から上へ指向性凝固させて前
    記両筒体(2),(3B)と前記被覆層形成材とを一体
    化させた後、少なくとも前記内側筒体(3B)の部分を
    機械的に除去する被覆層付き筒状体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記内側筒体(3B)の外面に、予め、
    酸化物系セラミックスを溶射しておく請求項3記載の被
    覆層付き筒状体の製造方法。
JP4159880A 1992-03-30 1992-06-19 被覆層付き筒状体の製造方法 Pending JPH05331613A (ja)

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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57203775A (en) * 1981-06-10 1982-12-14 Toshiba Corp Forming method of abrasion resistant covering
JPS6039172A (ja) * 1983-08-12 1985-02-28 Toshiba Mach Co Ltd ライニング層形成方法及びその装置
JPS62248553A (ja) * 1986-04-19 1987-10-29 Kubota Ltd 二層中空筒体の製造方法

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