JPH05331568A - AlまたはAl合金低温溶解用フラックスとそのフラックスを用いた溶解法 - Google Patents

AlまたはAl合金低温溶解用フラックスとそのフラックスを用いた溶解法

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JPH05331568A
JPH05331568A JP16361992A JP16361992A JPH05331568A JP H05331568 A JPH05331568 A JP H05331568A JP 16361992 A JP16361992 A JP 16361992A JP 16361992 A JP16361992 A JP 16361992A JP H05331568 A JPH05331568 A JP H05331568A
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Kenji Osumi
研治 大隅
Kiyomasa Oga
清正 大賀
Motohiro Arai
基浩 新井
Hisashi Kadoyama
尚志 門山
Takao Furukawa
隆夫 古川
Gouzou Shirota
剛造 城田
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 単体弗化物:8〜11重量部、複合弗化物:
7〜14重量部、硝酸塩:8〜25重量部、硫酸塩:7
〜20重量部、塩化物:40〜60重量部を含有するA
lまたはAl合金低温溶解用フラックス及びこのフラッ
クスを用いた溶解法。 【効果】 除滓性に優れメタルロス率の少ないAlまた
はAl合金低温溶解用フラックス及び溶解法を提供でき
るようになった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタルロスの少ないA
lまたはAl合金低温溶解用フラックスおよびそれを用
いた溶解法に関する。尚、本発明において低温とは、A
lまたはAl合金の液相線温度以上720℃以下の範囲
を意味する。
【0002】
【従来の技術】AlまたはAl合金(以下「Al合金」
で代表することがある)は、軽量で意匠性に優れる等の
利点から近年需要が増大しており、生産性の向上が強く
望まれている。また、需要の増加に伴い発生するスクラ
ップ量も増大し、資源の有効利用の面からもスクラップ
中のメタル分を効率良く回収する技術の開発が望まれて
いる。
【0003】従来のAl合金の溶解精錬においては、原
料としては地金配合が主体で、溶解炉中で通常750〜
800℃にて溶解し、溶湯の清浄化等の品質保証を目的
としてハロゲンガスまたはハロゲン化合物を吹き込み精
錬を行なっている。このとき、溶湯中に混在し、精錬に
より浮上した介在物は、通常、滓(スラグ)と称されて
いる。この滓の組成物は、溶湯であるメタル分と酸化物
あるいは窒化物との混合体である。
【0004】上記の滓は除滓工程により炉外に取り出さ
れるが、この場合、原料コスト低減を目的として滓中の
メタル分回収が行なわれている。上記の滓中のメタル分
回収の方法としては以下の2通りの方法が一般的となっ
ている。
【0005】除去すべき滓を炉外に引き出した後、冷
却用キルンで冷却し、大きなメタル塊のみを引き出し
て、それを再加熱溶解し、再び炉の装入しやすい形状の
鋳型に凝固させて再利用するための原料とする。 滓を再加熱、溶解、撹拌する滓絞り機により、メタル
分を絞り取り、炉へ装入しやすい形状の鋳型に凝固させ
て再利用するための原料としている。
【0006】または、上記、の併用を行なってい
る。上記のように、滓中のメタル分を利用する場合、炉
から取り出された滓中のメタル分は80〜90%であ
り、キルン処理、再溶解処理、滓絞りにより処理する量
はかなり多い。
【0007】即ち、従来法では、溶解炉において精錬剤
を溶湯中に吹き込むことによって溶湯の品質保証と除滓
を同時に行おうとするものであるが、冷却された滓から
メタル分を分離し再利用するためには、冷却滓に対して
1回あるいはそれ以上の加熱冷却を繰り返す必要があ
り、加熱に際して多大のエネルギーを必要とし、また再
加熱・溶解時にはメタル分回収の際酸化ロスが発生した
り、滓中のメタル分が多く滓処理量が多いなどの問題点
がある。
【0008】また、資源の再利用を目的として原料中に
スクラップを多く配合した場合、スクラップは地金に比
べて滓の発生量が多いので、溶湯表面を滓が厚く覆うた
め、従来の溶湯中への精錬剤の吹き込みではキャリアガ
スによる撹拌が十分ではなく効率良く精錬・除滓を行な
えないのが現状である。
【0009】そこで、除滓方法として、Al合金の溶湯
表面に発熱型フラックスを散布する方法が提唱されてい
る(特公平3−077262号公報)。これは、溶湯清
浄化フラックスをキャリアガスにより吹き込み、ガスの
バブリングによってのみ攪拌する従来の方法に対し、別
途に溶湯清浄化処理を行った後に発熱型フラックスを滓
表面に散布して機械的に攪拌し、積極的に滓と反応させ
ようとするものである。
【0010】一方、Al溶解工程の効率化及び生産性向
上のため、昇温時間を短縮する目的で、Al溶湯温度を
720℃以下とする低温操業の試みがなされているが、
そのような低温溶解では従来の組成の発熱型フラックス
では着火せず、使用できないという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
状況に鑑みてなされたものであって、その目的は低温操
業において使用可能で、しかも滓発生率が少なくメタル
ロス率の低い溶解用フラックスを提供すると共に、この
フラックスを用いて効率的な溶解を行なう方法を提供す
るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明は、酸化剤として硝酸塩:8〜25重量
部及び硫酸塩:7〜20重量部、増量剤として塩化物:
40〜60重量部、発熱剤として単体弗化物:8〜11
重量部及び複合弗化物:7〜14重量部を含有するAl
またはAl合金低温溶解用フラックスであることに第1
の要旨を有し、AlまたはAl合金原料を、溶解炉にお
いてAlまたはAl合金の液相線温度以上720℃以下
で溶解すると共に、上記に記載のAlまたはAl合金低
温溶解用フラックスをAlまたはAl合金溶湯表面に散
布し、該溶湯表面に存在する滓と前記フラックスとを攪
拌することによって前記溶湯との反応を促進させ除滓す
るAlまたはAl合金の溶解法であることに第2の要旨
を有する。
【0013】
【作用】本発明者等は、まず溶解精錬における溶解温度
について種々検討した。その結果図1〜3に示すよう
に、純Al系(JIS 1000系)、Al−Mg系
(JIS 5000系)及びAl−Mn−Mg系(JI
S 3000系)のいずれにおいても、溶解温度が72
0℃以下の温度領域では酸化物の生成量が少ないことが
判明した。即ち、Al合金の溶解において720℃以下
の温度で溶解を行なえば酸化物生成量、ひいては滓の生
成量が少なく、溶解歩留りの向上が望める。また生産効
率の面から考えても、通常の溶解温度である750〜8
00℃と比較して、昇温に要するエネルギー、所要時間
が著しく低減、短縮される。
【0014】また、原料Al合金中のスクラップ配合率
と酸化物生成との関係を調べた。その結果、図4に示す
ようにスクラップ配合率が10重量%以上になると酸化
物の生成量が急増するが、溶解温度を720℃以下にす
ることによって、酸化物の生成を抑制できることが判明
した。以上の検討結果から、本発明においては、Al合
金の溶解温度を該Al合金の液相線温度以上720℃以
下と規定した。
【0015】本発明者等は、低温溶解、すなわち対象と
なるAl合金の液相線温度以上720℃以下の温度での
溶解において優れた除滓性を示す組成について検討し
た。この低温溶解においては、着火源として主にAl粉
を用いた従来組成のフラックスでは着火が困難である。
そこで本発明者等は、弗化物に着目し、その加熱分解時
の挙動について検討した。弗化物は、その融点は一般に
1000℃以上と高温であるが、融点以下の温度でヒュ
ーム化し分解温度が300〜600℃と著しく低くなる
ことが判明している。特に複合弗化物はその傾向が著し
い。そこで前記ヒュームを着火源として用い、更に単体
弗化物(例えばAlF3 )と複合弗化物(例えばK3
lF3 )とを混合して用いることによって発熱着火反応
を多段階とすれば、発熱の持続性を持たせることが可能
であることを見出した。除滓時の発熱反応は複雑なもの
であるが、本発明のフラックスを用いることによってそ
の反応は以下の様に構成されると考えられる。
【0016】 (1) 滓温度での複合弗化物の熱分解によるヒューム化。 (2) 滓中の酸化物と上記ヒュームとの発熱反応による滓
温度の上昇。 (3) 酸化剤(硫酸塩,硝酸塩)の熱分解によるO2 の供
給。 (4) O2 供給による発熱反応の促進。 (5) 昇温による単体弗化物のヒューム化。 (6) 滓中の酸化物と上記ヒュームとの発熱反応により一
層の温度上昇。 (7) 滓中の微小Al粒の昇温、溶解。 (8) 滓全体の昇温による滓中の粗大メタル分の昇温、溶
解。
【0017】上記の反応の結果、滓中の粗大メタル分が
溶湯中へもどり、メタルロスが減少する。また、滓の発
熱により、不可避的残存物が溶湯との濡れ性の悪い酸化
物に変換され、その結果滓と溶湯との分離性が向上す
る。以下に本発明のフラックス成分についての限定理由
を記載する。
【0018】複合弗化物は7〜14重量部とする。着火
源の役目を果たす物質として、前述した理由から単体弗
化物と複合弗化物の混合物を選択した。中でも複合弗化
物は低温溶解での着火を可能にするものである。7重量
部未満では低温での着火・発熱反応性に乏しく、一方1
4重量部を超えると反応が激しくなりすぎて発熱反応の
良好な確保ができないためである。複合弗化物としては
例えばK3 AlF6 ,Na3 AlF3 等が挙げられる。
【0019】単体弗化物は8〜11重量部とする。単体
弗化物は複合弗化物よりも高い温度で着火・発熱反応を
起こすため、より広い温度範囲での発熱反応の持続性を
確保する目的で添加する。8重量部未満では滓との反応
性が悪く、11重量部を超えると反応性が激しくなるた
めである。単体弗化物としては、例えばAlF3 等が挙
げられる。
【0020】硝酸塩は8〜25重量部とする。酸化剤、
即ち酸素供給源として必須の成分であり、8重量部未満
では酸化剤として効果的ではない。また25重量部を超
えると、爆発等の危険があり好ましくない。従って含有
量は8〜25重量部とした。硝酸塩としてはKNO3
NaNO3 等が挙げられる。
【0021】硝酸塩は7〜20重量部とする。硫酸塩は
硝酸塩よりは弱い酸化剤であり、硝酸塩のみで不足する
酸素を補給し反応を緩やかに進行させる為に必須な成分
である。含有量が7重量部未満では酸化剤として効果的
ではなく、また20重量部を超えると、酸素供給過多と
なり、発熱反応が激しくなりすぎるため好ましくないの
で、硫酸塩の含有量は7〜20重量部とした。硫酸塩と
してはK2 SO4 ,Na2 SO4 等が挙げられる。
【0022】塩化物は40〜60重量部とする。共融物
として塩化物は弗化物の融点を下げ、フラックスの反応
性を向上させ、かつ、フラックス内での酸化反応を緩慢
にさせ、反応が爆発的に進行するのを防止する働きがあ
る。また、塩化物は滓に対して濡れ性を示し、滓の吸着
作用が大きくなり、メタルと滓との分離性を高める。こ
のため塩化物を40〜60重量部とした。塩化物として
はKCl,NaCl等が挙げられる。
【0023】尚、本発明のフラックスを用いて除滓する
場合、その添加量は溶湯の種類等に応じて適宜選択すれ
ば良いが、通常溶湯100重量部に対し0.01〜0.
3重量部の範囲で添加する。以下に実施例を挙げて本発
明を更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限
するものではなく、前・後記の趣旨の範囲内で変更実施
することはすべて本発明の技術的範囲に包含される。
【0024】
【実施例】
実施例1 低温溶湯を以下の条件で調製し、フラックスを添加した
ものと、フラックスを添加しないものにおける夫々のメ
タルロス率(%)を調べた。
【0025】原料:薄物スクラップ25%(重量%の意
味、以下同じ)、残部Al地金(純度99.7%) 溶解条件:20t反射型溶解炉 溶解温度:680〜700℃ 溶解雰囲気:大気 除滓条件:下記組成のフラックスを溶湯添加し撹拌除滓 フラックス組成:AlF3 :18重量部,K3 AlF
6 :7重量部 K2 SO4 :15重量部,KNO3 :10重量部 KCl:50重量部 炉外への除滓:レーキにて除滓 炉外精練:脱ガス…不活性ガス微細気泡の連続吹込み 脱介在物…耐火性多孔質フィルター 鋳造:半連続鋳造 メタルロス率の測定結果を表1に示す。
【0026】実施例2 低温溶湯を下記の条件で調製し、実施例1と同様にして
メタルロス率(%)を調べた。
【0027】原料(Al−Mg系):キャンエンドスク
ラップ30%,残部Al地金(純度99.7%) 溶解条件:20t反射型溶解炉 溶解雰囲気:大気 溶解温度:690〜710℃ 除滓条件:下記組成のフラックスを溶湯に添加し、撹拌
除滓 フラックス組成:AlF3 …11重量部,K3 AlF6
…14重量部 K2 SO4 …10重量部,KNO3 …15重量部 KCl…50重量部 炉外への除滓:レーキにて除滓 炉外精練:脱ガス…不活性ガス微細気泡の連続吹込み 脱介在物…耐火性多孔質フィルター 鋳造:半連続鋳造 メタルロス率の測定結果を表1に示す。
【0028】実施例3 低温溶湯を下記の条件で調製し、実施例1と同様にして
メタルロス率を調べた。
【0029】原料(Al−Mn系):キャンボディ系ス
クラップ25%,残部Al地金(純度99.7%) 溶解条件:20t反射型溶解炉 溶解雰囲気:大気 溶解温度:690〜710℃ 除滓条件:下記組成のフラックスを溶湯に添加し、撹拌
除滓 フラックス組成:AlF3 …8重量部,K3 AlF6
12重量部 K2 SO4 …20重量部,KNO3 …15重量部 KCl…45重量部 炉外への除滓:レーキにて除滓 炉外精練:脱ガス…不活性ガス微細気泡の連続吹込み 脱介在物…耐火性多孔質フィルター 鋳造:半連続鋳造 メタルロス率の測定結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、本発明の限定要
件を満たすフラックスを添加した実施例では、フラック
スを添加しなかった比較例に比べ明らかにメタルロス率
の低下がみられた。
【0032】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
メタルロスが少なくしかも除滓性の高いAlまたはAl
合金低温溶解用フラックスを提供できるようになった。
本発明のフラックスを用いることによって、Alまたは
Al合金の低温溶解後発生する滓中のメタル分を効率よ
く回収することができるようになった。またスクラップ
含有率の高い原料にも適用することができ、従来に比較
してエネルギーコスト、再加熱による酸化コスト、処理
コストが低減し、しかも除滓作業性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】純Al系合金における加熱温度と酸化物生成量
との関係を示す図。
【図2】Al−Mg系合金における加熱温度と酸化物生
成量との関係を示す図。
【図3】Al−Mg−Mn系合金における加熱温度と酸
化物生成量との関係を示す図。
【図4】滓中の酸化物生成率とスクラップ配合率との関
係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 門山 尚志 真岡市鬼努ケ丘15番地 株式会社神戸製鋼 所真岡製造所内 (72)発明者 古川 隆夫 真岡市鬼努ケ丘15番地 株式会社神戸製鋼 所真岡製造所内 (72)発明者 城田 剛造 真岡市鬼努ケ丘15番地 株式会社神戸製鋼 所真岡製造所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化剤として硝酸塩:8〜25重量部及
    び硫酸塩:7〜20重量部、増量剤として塩化物:40
    〜60重量部、発熱剤として単体弗化物:8〜11重量
    部及び複合弗化物:7〜14重量部を含有することを特
    徴とするAlまたはAl合金低温溶解用フラックス。
  2. 【請求項2】 酸化剤としてKNO3 :8〜25重量部
    及びK2 SO4 :7〜20重量部、増量剤としてKC
    l:40〜60重量部、発熱剤としてAlF3:8〜1
    1重量部及びK3 AlF6 :7〜14重量部を含有する
    請求項1に記載のAlまたはAl合金低温溶解用フラッ
    クス。
  3. 【請求項3】 AlまたはAl合金原料を、溶解炉にお
    いてAlまたはAl合金の液相線温度以上720℃以下
    で溶解すると共に、請求項1または2に記載のAlまた
    はAl合金低温溶解用フラックスをAlまたはAl合金
    溶湯表面に散布し、該溶湯表面に存在する滓と前記フラ
    ックスとを攪拌することによって前記溶湯との反応を促
    進させ除滓することを特徴とするAlまたはAl合金の
    溶解法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 19960116