JPH0533056U - 金属分析装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】黒鉛るつぼの脱ガス処理を効果的に行なえる装
置をコンパクトに構成し、かつ、比熱の異なるキャリア
ガスを選択した場合でも、分析条件を変更することなく
金属分析を行なえるようにする。 【構成】黒鉛るつぼ６を用いる試料抽出炉３へのキャリ
アガスの供給路11にキャリアガスを予熱させるための加
熱手段15，16を設けると共に、当該加熱手段の発熱量を
制御するための制御手段17を設けてある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、黒鉛るつぼを用いて金属試料に含まれる元素量を分析するための金 属分析装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

上記の装置による金属分析は、気密下に置かれる試料抽出炉内の一対の電極間 に黒鉛るつぼをセットし、この黒鉛るつぼに金属試料を投入すると共に、キャリ アガス（不活性ガス）を試料抽出炉内に供給し、かつ、前記電極間に大電流を流 して黒鉛るつぼ内の金属試料を電気的に溶解させ、そのとき発生したガスを検出 器に取り出して、そのガス濃度を基にして元素量を分析するものである。

【０００３】 この金属分析に先立って、黒鉛るつぼに金属試料を投入させないで、前記試料 抽出炉にキャリアガスを流しつつ当該黒鉛るつぼだけを高温（分析すべき金属試 料の溶解温度よりも高め）に加熱し、黒鉛るつぼに含まれる不純物（水分を含む 各種ガス）を除去させる所謂脱ガスの処理が行なわれる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

この脱ガスの処理に用いられるキャリアガスとして、一般にはアルゴンガスや ヘリウムガスが選択されるが、これらのガス温度は非常に低くて炉内温度を下げ ることから、黒鉛るつぼを高温に加熱させる上で当該黒鉛るつぼに対する印加電 力を大きくしているが、印加電力を大きくするにも限度があって脱ガスに時間が かゝり、かつ、印加電力を大きくするほどトランスが大きくなって装置が大型化 する問題があった。

【０００５】 一方、金属分析の面では、キャリアガスとしてアルゴンガスを選択する場合と ヘリウムガスを選択する場合とでは比熱が大きく異なることから、選択するガス の種類に応じて、温度変化を加味して分析条件を変更している状況にあり、金属 分析が非常に煩わしい問題があった。

【０００６】 本考案は、かゝる実情に鑑みて成されたものであって、本考案の第１目的は、 非常に簡単な前処理の技術によって、黒鉛るつぼの脱ガス処理を効果的に行なえ る装置をコンパクトにして提供する点にあり、本考案の第２目的は、上記の第１ 目的を達成した上で更に、条件変更を伴わせないで金属分析を行なわせられるよ うにする点にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するに至った第１考案による金属分析装置は、黒鉛るつぼを 用いる試料抽出炉へのキャリアガスの供給路にキャリアガスを予熱させるための 加熱手段を設けた点に特徴がある。 第２考案による金属分析装置においては、第１考案の装置に加えて更に、上記 加熱手段の発熱量を制御するための制御手段を設けた点に特徴がある。

【０００８】

【作用】

第１考案の特徴構成によれば、黒鉛るつぼの脱ガスに際して、予熱されたキャ リアガスを試料抽出炉に供給させることで、黒鉛るつぼを高温に加熱させるため の電力負荷を小さくでき、あるいは、電力負荷を従前通りとするならば炉内温度 の高温化が達成される。 第２考案の特徴構成によれば、キャリアガスの種類に応じて加熱手段の発熱量 を変化させることで、所望する一定した温度のキャリアガスを試料抽出炉に供給 させることが可能となる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。金属分析装置の原理図を示 す図１において、１，２はキャリアガス供給用のボンベで、互いに異なるアルゴ ンやヘリウム等の不活性ガスが充填されている。

【００１０】 ３は試料抽出炉で、エアシリンダ４によって駆動昇降される下部電極８と、当 該下部電極８とによって黒鉛るつぼ６を挟圧する上部電極７を備え、かつ、それ ぞれ電磁式のキャリアガス選択弁９とメイン開閉弁10とを介して前記ボンベ１， ２からのキャリアガスの供給路11が接続されている。 12は試料抽出炉３へのキャリアガスの供給量を絞り制御する流量制御手段で、 電磁式の開閉弁13と当該開閉弁13を迂回するキャピラリー流路14とから成る。

【００１１】 15，16は前記供給路10内のキャリアガスを予熱させるための加熱手段で、前記 流量制御手段12の上流側と下流側に設けられ、後述する脱ガスの処理モードと金 属分析モードの何れにおいても、キャリアガスの比熱と供給量を基にして、前記 試料抽出炉３に供給されるキャリアガスが設定温度にまで加熱されるように、当 該加熱手段15，16の発熱量が制御手段17によって制御されるように構成されてい る。

【００１２】 18は試料抽出炉３からのサンプルガス供給路19に接続されたガス検出器で、前 記サンプルガス供給路19に介装されたフィルタ20の下流側には、エジェクターポ ンプ21を備えた脱ガス流路22が分岐接続されている。 23は試料抽出炉３から排出されるガスを前記ガス検出器18と脱ガス流路22とに 切り換え供給する電磁式の流路切換弁、24は脱ガス流路22に設けられたパイロッ ト圧式の流路開閉弁である。

【００１３】 上記のエジェクターポンプ21は、高圧空気の噴射によって脱ガス流路22内のガ ス、より具体的には試料抽出炉３内のガスを大気に放出させるエジェクター25と 、前記エアシリンダ４等のアクチュエーターやその他計装用に装備されている高 圧空気ライン26からの高圧空気の取り出し管27、及び、当該取り出し管27に介装 された電磁開閉弁28から成る。

【００１４】 上記構成において、試料抽出炉３内に黒鉛るつぼ６をセットした状態で脱ガス モードが選択されると、前記一対の電極７，８間に大電流が流されて、試料抽出 炉３の炉内温度が分析すべき金属試料の溶解温度よりも高くなるように印加電力 が制御される。

【００１５】 そして、前記流量制御手段12の開閉弁13が閉じられて、前記キャピラリー流路 14によって絞り制御された小容量のキャリアガスが試料抽出炉３に供給されると 共に、当該キャリアガスの比熱とその供給量に応じて前記加熱手段15，16が発熱 制御されて、キャリアガスが設定温度にまで加熱されて試料抽出炉３に供給され る。

【００１６】 このように、キャリアガスを予熱して試料抽出炉３に供給させることで、当該 試料抽出炉３の炉内温度の低下が効果的に防止されるのであり、而して、黒鉛る つぼ６を上記の温度に加熱させるための電力負荷が小さくて済み、延いては、一 対の電極７，８に対する電流印加のためのトランスが小さくなることで装置の小 型化が達成される。 あるいは、電力負荷を従前通りにするならば炉内温度を一層高くすることがで きる。

【００１７】 次いで、前記高圧空気の取り出し管27に介装された電磁開閉弁28が開かれてエ ジェクターポンプ21が駆動され、かつ、前記サンプルガス供給路19に介装されて いる流路切換弁23が、前記試料抽出炉３からのガスを脱ガス流路22に供給させる ように切り換えられると共に、そのガス圧をパイロット圧にして流路開閉弁24が 開かれ、前記脱ガス流路22内のガスひいては試料抽出炉３内のガスがエジェクタ ーポンプ21によって強制吸引される。

【００１８】 これによって試料抽出炉３が高温下で減圧されるもので、黒鉛るつぼ６に含ま れるガスを減圧下で効果的に脱ガス処理することができる。 あるいは上述したように、一対の電極７，８に対する電力負荷を従前通りにし て炉内温度を高くする形態をとるならば、脱ガス時間の短縮化が達成される。

【００１９】 金属分析のモードが選択された場合は、電磁開閉弁28が閉じられてエジェクタ ーポンプ21の駆動が停止されると共に、開閉弁13が開かれて所定容量のキャリア ガスが試料抽出炉３に供給され、かつ、必要に応じて加熱手段15，16によるキャ リアガスの加熱が停止される。

【００２０】 次いで、流路切換弁23がガス検出器18側に切り換えられて流路開閉弁24が閉じ られ、かつ、これまでに試料抽出炉３内の黒鉛るつぼ６に金属試料が投入されて 当該金属試料が溶解され、この溶解に伴って発生したサンプルガスがガス検出器 18に供給されて、そのガス濃度を基にして金属試料に含まれる元素量の分析が行 われるのである。

【００２１】 尚、実施例では、キャリアガス供給路11に流量制御手段12を設けると共に、エ ジェクターポンプ21による減圧の手段を備えた脱ガス流路22をサンプルガス供給 路19に分岐接続させて、脱ガスを減圧下で行なわせるようにしているが、流量制 御手段12ならびに減圧の手段を省略し、かつ、脱ガス流路22に、キャピラリーや 絞りによる流量制御手段を設けて、脱ガスを高温・加圧下で行なわせるようにし て実施可能である。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように第１考案の金属分析装置によれば、キャリアガスを予熱し て試料抽出炉に供給させることによって、黒鉛るつぼを高温に加熱させるための 電力負荷を小さくでき、延いては、トランスを小さくすることができて、金属分 析装置の小型化が達成される。 あるいは、電力負荷を従前通りとするならば、試料抽出炉の炉内温度を高温下 に置くことができ、短時間での脱ガスが達成される。

【００２３】 このことに加えて第２考案の金属分析装置によれば、キャリアガスの種類に応 じて加熱手段の発熱量を変化させることで、所望する一定した温度のキャリアガ スを試料抽出炉に供給させることが可能となり、キャリアガスの選択に応じて分 析条件を変更せずとも、選択したキャリアガスの種類に応じて所定の温度下で金 属分析を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による金属分析装置の一実施例の原理図
である。

【符号の説明】

３…試料抽出炉、６…黒鉛るつぼ、11…キャリアガス供
給路、15，16…加熱手段、17…制御手段。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 黒鉛るつぼを用いる試料抽出炉へのキャ
   リアガスの供給路にキャリアガスを予熱させるための加
   熱手段を設けてあることを特徴とする金属分析装置。
2. 【請求項２】 黒鉛るつぼを用いる試料抽出炉へのキャ
   リアガスの供給路にキャリアガスを予熱させるための加
   熱手段を設けると共に、当該加熱手段の発熱量を制御す
   るための制御手段を設けてあることを特徴とする金属分
   析装置。