JPH05329589A - 薄肉鋳片 - Google Patents

薄肉鋳片

Info

Publication number
JPH05329589A
JPH05329589A JP13728692A JP13728692A JPH05329589A JP H05329589 A JPH05329589 A JP H05329589A JP 13728692 A JP13728692 A JP 13728692A JP 13728692 A JP13728692 A JP 13728692A JP H05329589 A JPH05329589 A JP H05329589A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling drum
dimple
dimples
diameter
laser beam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13728692A
Other languages
English (en)
Inventor
Motoi Kido
基 城戸
Katsuhiro Minamida
勝宏 南田
Atsushi Sugibashi
敦史 杉橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP13728692A priority Critical patent/JPH05329589A/ja
Publication of JPH05329589A publication Critical patent/JPH05329589A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レーザビームによりディンプル加工された鋳
片鋳造用冷却ドラムを用いて薄肉鋳片を得ることに関
し、これによりその表面に「あざ」、および「表面波」
による光沢ムラ,粗大結晶組織等の欠陥のない薄肉鋳片
を得ることを目的とする。 【構成】 主面1から隆起した1つの突起部2と、その
突起部の基部周辺に、上記主面より陥没した窪み部3が
形成されている単位構成部4が複数個形成されている薄
肉鋳片である。更に、突起基部の径5が50μm以上5
00μm以下、突起部の高さ6が250μm以下、各転
写跡の中心間の距離7が各突起基部径寸法の1.05倍
から5倍以下である。また更に、上記窪み部の深さ8が
50μm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造における単ド
ラム方式,双ドラム方式,ドラム−ベルト方式等の冷却
ドラムから鋳造された薄肉鋳片に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造の分野において、製品の最終形
状に近い肉厚の薄い鋳片(以後、薄肉鋳片という)を溶
鋼から直接的に製造する技術の開発が強く望まれてい
る。薄肉鋳片を鋳造する場合、厚肉鋳片を鋳造する場合
と比べて冷却ドラムで溶鋼がかなり急激に冷やされるの
で、鋳造された鋳片に肉厚の変動または表面割れ等が引
き起こされる。従って、これらの欠陥を引き起こさない
ような冷却ドラムを作る必要がある。
【0003】例えば、特開昭60−第184449号で
は、冷却ドラムの周面全体に均一な凹凸を設けて「空気
溜まり」を形成し、冷却ドラム周面に「空気層」を作る
ことが提案されている。これは、「空気溜まり」により
冷却ドラムの抜熱能力を小さくして溶鋼を緩慢に冷却す
ることによって、形成される「凝固シェル」の厚みを板
幅方向で均一化し、肉厚変動および表面割れのない薄肉
鋳片を鋳造可能にしている。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】しかし、凹凸を設けた
冷却ドラムを用いて鋳造を行うと鋳片表面へ凹凸状の跡
(転写跡)が転写される。この転写跡の凹凸はその後の
圧延により平滑にされるので支障を及ぼさないが、転写
跡の一部に粗大粒が存在すると「あざ」となって残り、
鋳造された製品の商品価値を損ねてしまう。
【0005】また、凹凸を設けた冷却ドラムを用いて溶
鋼を鋳込むと、溶鋼の「湯溜まり」に「表面波」が発生
し、鋳造される鋳片表面に横皺を形成したり、光沢ム
ラ,粗大結晶組織等の欠陥を引き起こしたりする。その
ため、鋳込作業の際には「表面波」を発生させない細心
の注意が必要になる。
【0006】たとえば「あざ」が発生する原因は、上記
「空気溜まり」によって「緩冷却」される部分(粗大粒
形成部分)と、冷却ドラムと直に接して「急冷却」され
る部分(微小粒形成部分)とにおいて凝固した溶鋼の結
晶粒径に差があり、これら粒径差によるが光の反射率の
違いから「あざ」となって現れるからである。これは冷
却ドラム周面に形成された凹凸が溶鋼の冷却速度分布に
対して大きいことに起因する。ここで、「粗大粒」とは
「微小粒」よりもその粒径が約10μm大きいものをい
う。
【0007】一方「表面波」が発生する原因は、「凝固
シェル」が形成される際、冷却ドラム界面における溶鋼
の進行方向で「急冷却」される部分と「緩冷却」される
部分との境界が局部的領域で概連続的に構成されるため
に発生するからである。この境界は、たとえば、冷却ド
ラム周面に凹凸が間隔をおいて規則的に設けられていた
り、凹凸部で形成されるべき表面張力が得られず結果的
にそこが「急冷却」部分となることによって、「急冷
却」部分が連鎖的に形成されるために構成される。
【0008】このように「あざ」および「表面波」の問
題は、冷却ドラムに形成した凹凸に起因していることが
分かる。そして、係る問題を解決するためには形成する
凹凸(またはディンプル)の大きさ,形状,配置を考慮
する必要があることがわかる。
【0009】従来、上記のような冷却ドラムを得るため
に用いられる手法は主に湿式エッチングである。エッチ
ングは、マイクロエレクトロニクスの分野等ではかなり
の微細加工を達成しているが、係る冷却ドラムの加工に
おいては、加工するディンプル径を小さくすると共にそ
の深さも必要とするので加工寸法に限界がある。実際、
上記した凹凸部で形成されるべき表面張力を保証するた
めに必要なディンプル深さは約70μmであり、この深
さ寸法を得るためにディンプル径寸法は最小で約300
μmとなってしまう。言い換えると、ディンプル径寸法
を300μm以下にするとディンプル深さが得られず表
面張力を保証することができなくなってしまう。
【0010】加えてエッチングは、ディンプルの大きさ
や形状および配置に関して係る各寸法を柔軟に変えるこ
とが難しい。またエッチングは、その加工に用いる薬品
処理に係る周辺設備等を含め、最近取り立たされている
環境への課題も懸念される。
【0011】その他にショットプラスト,放電加工,機
械加工等もディンプル加工に用いられている。しかし、
ショットプラストはエッチングと同様に加工寸法の限
界,寸法制御,加工精度等の問題がある。放電加工およ
び機械加工においては微細加工が可能であるが、冷却ド
ラムに対して加工するディンプル数が非常に多いので、
電極の交換等を含めて時間的な面で工業上不適当または
不可能である。
【0012】そこで本発明の目的は、「レーザビーム」
の照射によりディンプル加工された冷却ドラムから薄肉
鋳片を鋳造し、表面に「あざ」および「表面波」に係る
欠陥の無い薄肉鋳片を得ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の薄肉鋳片の一実施態様を図1に示す。本発明に係る薄
肉鋳片は、主面1から隆起した1つの突起部2と、その
突起部の基部周辺に上記主面より陥没した窪み部3が形
成されている単位構成部4が複数個形成されている薄肉
鋳片である。更に、突起基部の径5が50μm以上50
0μm以下、突起部の高さ6が250μm以下、各転写
跡の中心間の距離7が各突起基部径寸法の1.05倍か
ら5倍以下が好ましい。また更に、上記窪み部の深さ8
が50μm以下が好ましい。
【0014】
【作用】上記手段による薄肉鋳片は、表面に「あざ」お
よび「表面波」に係る欠陥が無く、係る薄肉鋳片を圧延
すると上記欠陥の無い製品が得られる。
【0015】レーザビームによりディンプル加工された
冷却ドラムにおいて、レーザビームはその径を波長の約
3倍まで絞れるので、ディンプル寸法が「微細化」され
ており、またレーザゆえにその電気的加工制御が可能で
あるので、形成するディンプルに関して柔軟性のある寸
法設定がなされている。そして、上記薄肉鋳片における
陥没した窪み部は、係る冷却ドラムから転写された特徴
部である。
【0016】本発明者らは、上記した従来技術の問題点
を鋭意検討した結果、係る問題は冷却ドラムの周面に均
一な空気層が形成されていないことが原因であることを
知得し、均一な空気層を形成するための具体的な各方法
について種々検討した結果、本発明に至ったものであ
る。それら具体的構成の1つが冷却ドラムに形成するデ
ィンプルの「微細化」であり、もう1つが同ディンプル
の「ランダム化」である。
【0017】ディンプルの「微細化」とは、冷却ドラム
に形成するディンプル径を従来より小さく、且つ各ディ
ンプル間の間隔を従来より狭くすることである。「微細
化」された冷却ドラムから鋳造された鋳片表面には転写
跡(または突起部)が小さく密集される。係る転写跡
は、ディンプルの「空気溜まり」により「緩冷却」され
た部分であるが「粗大粒」は存在しない。この理由は、
転写跡の外側からその中心に向かう或る範囲は隣接する
「急冷却」部分への熱移動があるために「粗大粒」が形
成されないからである。つまり、ディンプル径を小さく
すると「粗大粒」を形成する領域がなくなるからであ
る。
【0018】次にディンプルの「ランダム化」とは、冷
却ドラムの周面に各様のディンプルを不規則に配置させ
ることである。統計学的に示すと、各ディンプルに係る
各寸法値が度数分布的に顕著な特異点を持たないように
分布された状態、言い換えると分布密度のバラツキが小
さい状態とすることを意図する。「ランダム化」の目的
は、冷却ドラム周面に均一な空気層を構成することであ
り、冷却ドラム周面の抜熱分布を均一化して抜熱分布に
規則性を作らないようにすることによって、上記「あ
ざ」や「表面波」の問題を解決するものである。
【0019】「ランダム化」する各寸法要素には、ディ
ンプル径,ディンプル深さ,ディンプル間隔があり、こ
のうちの1つに対して行ってもよいが、最適形態は各寸
法要素を組み合わせて相乗効果を得ることが好ましい。
【0020】ディンプル間隔寸法をランダムにすると、
ディンプル配置が冷却ドラム周面で規則的な方向性を作
らなくなるので、上述した「表面波」の原因である境界
の形成を抑制することができる。ディンプル径をランダ
ムにすると、冷却ドラム周面における「緩冷却」部分と
「急冷却」部分との面積比が変わるので、ディンプルに
おける抜熱分布の規則性が形成されなくなる。そして、
この両者を組み合わせると、係る状態が更に複雑となる
のでその効果は相乗される。
【0021】また、ディンプル深さをランダムにして
も、各ディンプル毎に抜熱分布が変わるので「緩冷却」
する部分と「急冷却」する部分の規則性が形成されなく
なる。
【0022】従って、冷却ドラムにディンプルを形成す
る際、各ディンプル寸法は、鋳造される鋳片の材料,厚
さ,温度等の鋳造条件に基づき設計されるが、係る「微
細化」および「ランダム化」を考慮して、冷却ドラム周
面に均一な空気層を形成するように決めることが重要で
ある。これにより冷却ドラム周面には、各様のディンプ
ルが複雑に構成される。
【0023】加えて、冷却ドラム周面に均一な空気層を
形成するように設計されるディンプル寸法において、デ
ィンプルの深さ寸法を考慮する必要がある。つまり、デ
ィンプル内で「空気溜まり」を保証するために溶鋼が形
成する表面張力を保証する必要があるからである。
【0024】ディンプルの径寸法に対する深さ寸法の比
(ディンプル深さ/ディンプル径)は「アスペクト比」
として表され、鋳込みの条件にもよるが、約0.23以
上必要である。従って、この「アスペクト比」も考慮し
てディンプル寸法を決定する必要がある。
【0025】このように、形成するディンプルの各寸法
値は、上記各事項が検討され設計されるが、これらの指
針として実験より以下の範囲が工業的に好ましい。 (1) ディンプル径寸法(約50μmから約500μm) (2) ディンプル深さ寸法(約50μmから約500μ
m) (3) 各ディンプルの中心間寸法(径寸法の約1.05倍
から約5倍) (4) アスペクト比(0.23以上)
【0026】かくの如く制作された冷却ドラムから鋳造
された薄肉鋳片は、その表面が上記した「課題を解決す
るための手段」に記されたような形態となる。
【0027】
【実施例】図2は、本発明に係る薄肉鋳片を得るための
冷却ドラムにディンプル加工する装置の一実施例を示
す。
【0028】係る加工装置は、レーザ発振器20/パワ
ー制御ユニット21と、これから発振されたレーザビー
ム22の光路を構成するガルバノ・ミラー23(以後、
ミラーという),三角ミラー24および集光レンズ25
を含む光学系26と、レーザの発振周波数および出力を
制御すると共に光学系のミラー等を駆動制御する加工制
御器27とを備えている。
【0029】冷却ドラム28はその回転軸29を中心に
一定速度ωで回転しており、その回転ωが回転制御器3
0によって維持されている。本加工装置は、回転する冷
却ドラム28の回転軸方向へその表面に対して一定距離
aを保ちながら一定速度vで移動する掃引装置31に懸
架されている。その速度vは掃引制御器32により維持
されるので、結果的にレーザビーム22は冷却ドラム2
8の周面を螺旋状に走査する。勿論、本加工装置と冷却
ドラム28間の配置関係は冷却ドラム28自身が回転し
ながらその回転軸方向に移動する形態でもよい。
【0030】本加工装置のレーザ発振器20/パワー制
御ユニット21は1台のYAGレーザを用いているが他
のレーザ装置、たとえば炭酸ガスレーザ等の連続発振型
のガスレーザ、またはルビーレーザ等のパルス発振型の
固体レーザでも可能である。レーザビームは加工制御器
27により出力とその発振周波数が制御されている。シ
ャッタ33はレーザ発振器20の先に位置し、加工開始
時、レーザビームが安定するまでその光路を遮断するた
めのものである。光学系のミラー23および集光レンズ
25は、それぞれ、角度位置、焦点距離を動かす機械的
または電気的な駆動部(図示せず)を備えている。
【0031】ミラー23は、加工制御器27からの制御
信号34に従ってその振動周期fおよび振動角pが制御
されて振動するので、反射するレーザビームの光軸を水
平方向に変位させる。これによりミラー23は、冷却ド
ラム28に照射するレーザビームの照射位置36を冷却
ドラムの回転軸方向に振り分けるので、形成するディン
プルの位置間隔を冷却ドラムの回転軸方向に分散させ
る。
【0032】集光レンズ25も同様に、加工制御器27
による制御信号35に従ってその焦点距離が制御され、
冷却ドラムに集束するレーザビームの発散角αを変え
る。これにより冷却ドラムの照射面36におけるレーザ
ビームの集束面積が変わり、ディンプル径が変わる。
【0033】レーザパワー制御ユニット21は、加工制
御器27のレーザ出力制御信号37に従ってレーザ励起
電力を変えてレーザの出力値を変える。これにより、冷
却ドラム面36に集束するレーザビームのエネルギが変
わるのでディンプル深さが変わる。また、加工制御器2
7は一定周期のレーザ励起タイミング信号38に変調を
かけてレーザ励起間隔を変え、冷却ドラム表面に照射す
るレーザビームの照射時間間隔を変える。これによりド
ラムの円周方向の照射位置間隔が結果的に分散するの
で、ディンプルの位置間隔がドラムの円周方向で変わ
る。
【0034】このように加工制御器27からの各制御信
号によりディンプルの位置間隔,径および深さが変えら
れランダム化される。加工制御器27におけるその各制
御信号は、冷却ドラム28の回転速度ω、および掃引装
置31の掃引速度v等が考慮されて予め設定される。ま
た、これらランダム化のための各制御信号値の決定に
は、たとえば統計学的手法(フーリエ変換等)によりラ
ンダムテーブルを予め作り、これに従って加工作業する
こともできる。
【0035】上記ディンプル加工装置において、波長
1.06μmのYAGレーザを用いてパルス幅0.1m
sec、発振周波数を320Hzから480Hz、出力
を90mJから200mJ/パルスとし、ミラーの振動
周期を293Hzでその振動角を0.34度、焦点距離
50mmの集光レンズへの入射角を±5度,発散角を2
mradから20mradとして実験を行った。その結
果、冷却ドラム周面には、ディンプル径約90μmから
約230μm、ディンプル深さ約100μmから約48
0μm、ディンプル中心間隔寸法の平均が約140μm
のディンプルが形成された。そして、この冷却ドラムを
用いて薄肉鋳片を鋳造した結果、表面に欠陥のない5m
m厚のステンレス鋼(SUS304)が得られた。
【0036】図3は、エッチング手段により形成可能な
ディンプルの最適例(a)と、本発明に係るレーザビー
ムにより形成できるディンプルの一代表例(b)とを各
々鋳造された鋳片と共に断面図で示したものである。
【0037】エッチング手段により形成されたディンプ
ル40は、径寸法が約300μm、深さがこの径寸法で
表面張力を作り得る最小値約70μmである。一方、レ
ーザビームにより形成されたディンプル41は径寸法が
約110μm、深さが約300μmであり互いに断面形
状が大きく異なることがわかる。
【0038】冷却ドラムの表面にレーザビームを用いて
ディンプルを形成する加工装置は、上記例に限らずその
変形例,応用例として種々案出され得る。しかし、レー
ザビームを用いて加工した冷却ドラムによって鋳造され
た鋳片42は、その表面(主面)43に、陥没した窪み
部44が存在する。この窪み部44は、レーザビーム加
工の結果、冷却ドラム45のディンプル径基部に突起状
の塊46が残り、これが転写されたものである。しか
し、たとえば、この窪み部44の深さが約50μm以
下、突起部47の高さが約250μm以下であれば、次
工程の圧延工程にそのまま適用できる。
【0039】たとえば、加工装置のレーザ出力を100
mJ/パルス,500パルス/秒として、冷却ドラムに
ディンプル径約150mm,ディンプル深さ約100m
mのディンプルを形成した場合、ディンプル径基部に形
成される塊の高さは約1μmである。そして、係る冷却
ドラムで鋳造された薄肉鋳片の表面は、突起部の径が約
150mm,突起部の高さが約40μm,窪み部の深さ
が約1μmの形状となる。
【0040】図4は、図3のディンプルが形成された冷
却ドラム表面の一例を示したものである。エッチング手
段によって形成された冷却ドラムの表面(a)は、係る
手法ゆえに各ディンプル61が規則的に並んでいる。一
方、レーザビームによって形成された冷却ドラムの表面
(b)は、どの方向をとっても顕著なディンプル配置の
規則性が存在せず、しかもディンプル62の径寸法が各
々異なっている。
【0041】また、鋳造の際に溶鋼が鋳込まれるとき、
エッチング手段でディンプル形成された冷却ドラムの周
面を矢印Y方向に溶鋼が進むとき、ディンプルにより
「緩冷却」される部分61と、冷却ドラム表面と直に接
して「急冷却」される部分63との境界64または65
が形成される恐れがある。しかし、レーザビームによっ
て形成された冷却ドラムは、ディンプル配置が規則性を
構成していないので、境界が「急冷却」部分66に沿っ
て連続的に形成される可能性は少ない。従ってレーザビ
ームによって形成された冷却ドラムから鋳造される薄肉
鋳片には「表面波」による表面の欠陥が発生されない。
【0042】図5は、各々図4の表面を備えた冷却ドラ
ムを用いて鋳造された薄肉鋳片の表面を示したものであ
る。各冷却ドラムを使用し、同一条件のもとで薄肉鋳片
を鋳造したとき、鋳造された鋳片表面は上記した違いに
より大きな差が発生している。エッチング加工に係る鋳
片(a)には、ディンプルによって「緩冷却」された部
分に粗大粒が発生し「あざ」67となって現れている。
この「あざ」が発生した部分67はディンプル径の約3
分の1の大きさである。このように「緩冷却」された部
分の中央部に「あざ」が現れる理由は、ディンプル径部
から中心に向かった或る範囲(この場合約100μm前
後)にあっては、隣接する「急冷却」部分に熱が移動す
るので、結晶粒が粗大粒の大きさまで成長しないからで
ある。一方、レーザビーム加工に係る鋳片(b)はディ
ンプル径寸法が約110μmと小さいので粗大粒を形成
する部分が存在せず「あざ」を発生させていない。
【0043】
【発明の効果】このように本発明により、レーザビーム
を照射してディンプル加工した冷却ドラムを用いて鋳造
することによって、表面に「あざ」および「表面波」係
る欠陥のない薄肉鋳片を得ることができ、この薄肉鋳片
から良好な製品が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄肉鋳片の一実施態様を示す図で
あって、(a)が平面図、(b)が断面図である。
【図2】本発明に係る薄肉鋳片を得るための冷却ドラム
にディンプル加工する装置の一実施例を示す図である。
【図3】ディンプルおよび鋳片の一断面を示す断面図で
あって、(a)がエッチンッグ加工、(b)がレーザビ
ーム加工によるものである。
【図4】冷却ドラム周面に形成されたディンプルの一構
成を示す平面図であって、(a)がエッチンッグ加工、
(b)がレーザビーム加工によるものである。
【図5】鋳片の一表面を示す平面図であって、(a)が
エッチンッグ加工、(b)がレーザビーム加工によるも
のである。
【符号の説明】
1…主面 2…突起部 3…窪み部 20…レーザ発振器 22…レーザビーム 23…ガルバノ・ミラー 24…三角ミラー 25…集光レンズ 27…加工制御器 28…冷却ドラム 30…冷却ドラム回転制御器 32…掃引制御装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主面(1)から隆起した1つの突起部
    (2)と、該突起部の基部周辺に前記主面より陥没した
    窪み部(3)を備えた単位構成部(4)が複数個形成さ
    れている薄肉鋳片。
  2. 【請求項2】 前記突起基部の径(5)が50μm以上
    500μm以下、該突起部の高さ(6)が250μm以
    下、該各転写跡の中心間の距離(7)が該各突起基部径
    寸法の1.05倍から5倍以下である請求項1に記載の
    薄肉鋳片。
  3. 【請求項3】 前記窪み部の深さ(8)が50μm以下
    である請求項1または2に記載の薄肉鋳片。
JP13728692A 1992-05-28 1992-05-28 薄肉鋳片 Pending JPH05329589A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13728692A JPH05329589A (ja) 1992-05-28 1992-05-28 薄肉鋳片

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13728692A JPH05329589A (ja) 1992-05-28 1992-05-28 薄肉鋳片

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05329589A true JPH05329589A (ja) 1993-12-14

Family

ID=15195137

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13728692A Pending JPH05329589A (ja) 1992-05-28 1992-05-28 薄肉鋳片

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05329589A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100711793B1 (ko) * 2005-09-02 2007-04-30 주식회사 포스코 쌍롤식 박판 주조기의 주조롤 및 이를 사용하여 제조된주물편

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100711793B1 (ko) * 2005-09-02 2007-04-30 주식회사 포스코 쌍롤식 박판 주조기의 주조롤 및 이를 사용하여 제조된주물편

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5391856A (en) Cooling drum for casting thin cast pieces and method and apparatus for forming dimples in peripheral surface of the drum
US5484980A (en) Apparatus and method for smoothing and densifying a coating on a workpiece
CA1244325A (en) Method and apparatus for laser hardening of steel
EP0147190A1 (en) Method and apparatus for laser gear hardening
GB2040824A (en) Forming microcavities on the surface of a rolling millroll
JPH06134553A (ja) 薄肉鋳片の連続鋳造用鋳型及びその表面加工方法
JPH05329589A (ja) 薄肉鋳片
JP2559947B2 (ja) 薄肉鋳片鋳造用冷却ドラムのディンプル加工装置および加工方法
KR20100077261A (ko) 박판주조용 주조롤의 표면처리 시스템 및 그 시스템에 의해표면처리된 주조롤
JPH10211658A (ja) 粉粒体積層造形方法及びその装置
JPS6254577B2 (ja)
JPH05329590A (ja) 鋳片鋳造用冷却ドラム
JPS6119083B2 (ja)
JPH05329667A (ja) 薄肉鋳片鋳造用冷却ドラムのディンプル加工装置および加工方法
JP2559948B2 (ja) 鋳片鋳造用冷却ドラムのディンプル加工装置
JP2965419B2 (ja) 鋳片鋳造用冷却ドラムのディンプル加工装置
JP2003311459A (ja) レーザ表面加工装置
JP3422979B2 (ja) 薄鋳片連続鋳造機用ドラムのディンプル加工方法および装置
JPH04238654A (ja) 薄肉鋳片鋳造用冷却ドラムのディンプル形成方法
JPH09327753A (ja) 薄肉鋳片連続鋳造装置の冷却ドラム
JPH04361854A (ja) 薄肉鋳片鋳造用冷却ドラム、ドラムに対するディンプルの形成方法および加工装置
JP2022032620A (ja) レーザ加工方法及びレーザ加工装置
JP2001225137A (ja) 凹凸加工方法及びその装置
JPS63105918A (ja) レ−ザ−光オシレ−ト方法
JPH0839199A (ja) 双ドラム連続鋳造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20010327